当第1四半期連結累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
①経営成績の状況
国内環境は、海外や国内の旅行者が増加し、雇用・所得環境に改善がみられるなど、景気の緩やかな回復基調が続く一方で、ウクライナ情勢の深刻化など不安定な国際情勢による地政学リスクの影響、輸入コスト及びエネルギーコストの高止まり等による物価の高騰が続いていることから、依然として消費者の節約志向は続きました。
このような状況のなか、移動体通信分野では、世界各国で第5世代移動通信方式(5G)の商用サービスが開始され、移動体通信の高速化・大容量化、サービス品質の向上に向けての研究開発及び設備投資が継続し、国内においても2020年3月から5Gの商用サービスが開始され、契約数の順調な拡大に伴い基地局数も増加、5Gサービスの拡大と更なる進化に向けた研究開発及び設備投資が継続的に行われておりました。しかし、2023年度のモバイルキャリア4社の設備投資は、一部キャリアは5G投資の増額で全体の5G投資は増えたものの、4G投資の減少により、対前年比減の見込みとなっております。設備投資額低減の背景には、既存の4Gから5Gへの移行によって5Gの人口カバー率がすでに95%を超えていることと、O-RANや基地局シェアリングの影響があると言われております。
2024年度以降も各社の設備投資額の減少傾向は続くことが予想されますが、今後は、自動車を始めとする様々な分野での5G活用に向けた研究開発や、ローカル5G領域での5Gネットワークの構築に向けた取り組み等や、さらに通信事業者におきましては、次世代の通信規格である6Gに向けた検討も進んでいくものと思われます。また、5Gの基地局市場では現在、無線アクセスネットワーク(RAN)のオープン化に取り組むO-RANアライアンスによる活動が行われております。これまで各メーカー独自仕様のインタフェースで構成されていた基地局装置に対してO-RANの標準仕様を適用することで、マルチベンダー化による柔軟なRANの構築が可能となるため、世界各国の通信事業者によるO-RAN導入の検討が注目されております。
固定通信分野では、光ファイバの普及によるブロードバンドサービスが定着し、NetflixやAmazonプライム・ビデオ等のビデオストリーミングを中心としたデータトラフィックが急速に増加していることに加え、企業活動におけるテレワークの推進やクラウドサービスの高度化も急速に進んでおります。通信事業者は、急増する多種多様な通信トラフィックに柔軟に対応するため、ネットワークの負荷低減に向けた投資や、ネットワーク処理のソフトウエア化等を急速に進めながら、通信インフラの更なる高速化・大容量化を推進しております。
これらの技術や新サービスの導入に伴い、研究開発投資や設備投資の需要が引き続き見込まれる一方で、通信事業者間の加入者獲得競争等によるサービスの低価格傾向は継続しており、通信業界全体の投資意欲に関しましては国内外の政治経済の状況を見極めつつ、選別的な姿勢が継続されるものと予想されます。
このような状況の中、当社グループでは、主に以下の営業、マーケティング及び研究開発活動を行いました。
(ⅰ) 4G/5Gに対応する製品の開発、販売、保守並びにテストサービスの受託
(ⅱ) O-RAN、基地局シェアリングなどの顧客ニーズへの対応
(ⅲ) 欧州、北米、中国、韓国、インド等の海外市場における5G対応製品の市場開拓及び販売
(ⅳ) 次世代ネットワーク及びネットワーク・セキュリティ等に対応した製品開発及び商材開拓並びに販売
(ⅴ) ローカル5G等の通信分野における新事業に向けたマーケティング活動等
セグメントについては、昨今の移動体通信モバイルネットワークにおいて独自インターフェースがIPを標準としたインターフェースに移行しており、モバイルネットワークがIP化されつつあるため、既存の報告セグメントによるネットワーク毎の管理が適切ではなくなってきたため、「物販セグメント」及び「サービスセグメント」という視点で管理することといたしました。
そのため、当第1四半期連結会計期間より報告セグメントを従来の「モバイル事業」及び「IP事業」の2区分から、「物販事業」及び「サービス事業」の2区分に変更しております。なお、前第1四半期累計会計期間のセグメント情報は、上記変更後の報告セグメントの区分に基づき作成したものを開示しております。
その結果、当第1四半期連結累計期間におけるセグメント別の経営成績は以下のとおりとなりました。
(物販セグメント)568,524千円(前年同期比28.4%減)
当セグメントの売上高は、568,524千円となりました。移動体通信市場におきましては、国内大手通信事業者が2020年3月に5Gの商用サービスを開始し、5G向けの研究開発が積極的に行われております。当社では、5Gのフラッグシップ製品となる「DuoSIM-5G」を、当第1四半期連結累計期間におきましても、引き続き国内の通信事業者及び基地局メーカーに販売したことに加え、FPGA搭載SmartNIC「Griffin」等の新製品販売注力しつつ、ネットワーク・セキュリテイ分野の商材開拓及び販売等を行い、新分野における製品開発及び販売を展開するとともに、開発及びサポート体制の強化を図り、5G向け製品の海外向け販売活動を積極的に展開して参ります。
セグメント損益につきましては、25,109千円の営業利益(前年同期比75.4%減)となりました。研究開発投資は主に減収の影響により、前年同期で減少いたしました。
(サービスセグメント)301,309千円(前年同期比5.2%減)
当セグメントの売上高は、301,309千円となりました。当社が培ってきたモバイル通信の技術をベースにテストサービスの受託や保守サービスの獲得及び新分野における付加価値の高いサービスを提供してまいります。
セグメント損益につきましては、減収ではありますが、70,624千円の営業利益(前年同期比5.7%増)となりました。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間におきましては、売上高869,834千円(前年同期比21.8%減)、営業利益95,733千円(前年同期比43.3%減)、経常利益92,200千円(前年同期比44.7%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益36,645千円(前年同期比66.4%減)となりました。
②財政状態の状況
当第1四半期連結会計期間末における流動資産は8,008,314千円であり、前連結会計年度末に比べ245,367千円減少いたしました。売掛金及び契約資産が364,350千円増加しましたが、現金及び預金が587,979千円減少したことが主な要因であります。
当第1四半期連結会計期間末における固定資産は1,531,545千円であり、前連結会計年度末に比べ53,641千円増加いたしました。投資有価証券が104,405千円増加したことが主な要因であります。
当第1四半期連結会計期間末における流動負債は1,809,162千円であり、前連結会計年度末に比べ97,361千円増加いたしました。賞与引当金が88,951千円増加したことが主な要因であります。
当第1四半期連結会計期間末における固定負債は554,866千円であり、前連結会計年度末に比べ55,113千円減少いたしました。社債が15,000千円、長期借入金が36,246千円減少したことが主な要因であります。
当第1四半期連結会計期間末における純資産は7,175,830千円であり、前連結会計年度末に比べ233,973千円減少いたしました。親会社株主に帰属する四半期純利益36,645千円の計上、配当金の支払いにより利益剰余金が273,927千円減少したことが主な要因であります。
(2) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前連結会計年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループの対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(4) 財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当第1四半期連結累計期間において、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費の総額は284,512千円であります。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
当第1四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。