第2 【事業の状況】

1 【事業等のリスク】

以下に記載の内容を除き、当第3四半期連結累計期間において、新たな事業等のリスクの発生および前事業年度の第99期有価証券報告書に記載された「事業等のリスク」についての重要な変更はない。変更点は下線で示している。なお、変更点の前後について一部省略している。また、以下の見出しに付された項目番号は、前事業年度の有価証券報告書における「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3 事業等のリスク (3)事業等のリスク」の項目番号に対応したものである。

なお、文中の将来に関する事項は、当四半期報告書提出日(2024年2月9日)現在において当社グループが判断したものである。

 

a.ESGの観点 (c) G ガバナンス ② ガバナンス・コンプライアンス

(前略)

(特別高圧電力および高圧電力の取引に関する独占禁止法違反)

当社は、特別高圧電力および高圧電力の取引に関し、2021年4月13日および同年7月13日に、独占禁止法違反に係る被疑事実があるとして、公正取引委員会による立入検査を受け、2023年3月30日に、同委員会から、不当な取引制限を禁止する独占禁止法第3条に違反する行為があったと認定された。なお、当社は排除措置命令および課徴金納付命令のいずれも受けていない。当社は、2023年4月にコンプライアンス委員会から、原因究明および再発防止策の提言を受け、当社再発防止策を決定した。また、2023年7月14日に業務改善命令を受領し、本年8月10日に業務改善計画を経済産業大臣に提出した。当社は、二度とこのような事態を起こさないとの強い決意のもと、再発防止策を徹底していく。

 

b.財務目標達成の観点 (a)エネルギー事業 ③ 原子力発電

(前略)

使用済燃料は、発電所内の使用済燃料プールで一定期間貯蔵したあと、再処理工場へ搬出する。万が一、プールが満杯になれば発電所を運転できなくなるため、計画的に搬出する必要があり、使用済燃料を一時的に貯蔵できる中間貯蔵施設を設置することで、将来にわたって発電所を安定的に運転できる。当社では、「使用済燃料対策推進計画」を策定し、福井県外の中間貯蔵施設について、2023年末までに計画地点を確定、2030年頃の操業開始に向けて取り組んでいる。2021年2月12日、2023年末の期限までに計画地点を確定できない場合は、その後、確定できるまでの間、美浜3号機、高浜1、2号機の運転は実施しないという不退転の覚悟で臨む旨、福井県へご報告した。2023年6月12日、使用済MOX燃料再処理実証研究に伴う仏国への使用済燃料搬出の計画が確定したことを踏まえ、使用済燃料が福井県外に搬出されるという意味で、中間貯蔵と同等の意義があり、計画地点の確定は達成された旨、福井県へご報告した。10月10日、中間貯蔵施設の操業を開始する2030年頃までの取組みを具体化するために、使用済燃料対策推進計画を補完する指針として、使用済燃料対策ロードマップを策定し、福井県、福井県議会にご説明した。そのなかで、必要な搬出容量を確保するため、六ヶ所再処理工場への使用済燃料の搬出、仏国への使用済燃料の搬出、中間貯蔵施設の取組みに加え、将来の中間貯蔵施設への使用済燃料の搬出に備えて発電所構内に乾式貯蔵施設の設置を検討することをお示しした。10月13日、福井県知事より、美浜発電所3号機および高浜発電所1、2号機の運転継続に関するご理解をいただいた。2024年1月19日、使用済燃料対策推進計画について、使用済燃料対策の具体的な取組みを「使用済燃料対策ロードマップ」に基づき実施する旨の反映と、2023年末までの計画地点確定に関する記載の削除について改訂を行った。当社は、使用済燃料対策ロードマップに基づく取組みを着実に実施するとともに、安全最優先で原子力発電所の安全・安定運転に全力で取り組んでいく。
 
 

 

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)財政状態及び経営成績の状況

当社および当社の関係会社は、電気やガス、ユーティリティサービスなど多様なソリューションを通じて新たな価値を提供する「エネルギー事業」、中立・公平な立場で電気の安全安定供給を行う「送配電事業」、総合的な情報通信サービスを提供する「情報通信事業」および不動産関連サービスや生活・ビジネス関連サービスの提供を行う「生活・ビジネスソリューション事業」において事業展開している。

 

(経営成績)

当第3四半期連結累計期間において、小売販売電力量は、需要数が増加したことなどから、862億kWhと前年同期に比べて5.6%増加した。

収入面では、販売電力料収入が増加したことなどから、売上高(営業収益)は2,998,064百万円と、前年同期に比べて224,928百万円の増収(+8.1%)となった。

支出面では、燃料価格の低下や原子力利用率の上昇により火力燃料費が減少したことなどから、営業費用は2,385,372百万円と、前年同期に比べて607,089百万円の減少(△20.3%)となった。

この結果、当第3四半期連結累計期間の営業利益は612,692百万円と、前年同期に比べて832,018百万円の増益経常利益は639,414百万円と、前年同期に比べて817,204百万円の増益親会社株主に帰属する四半期純利益は351,035百万円と、前年同期に比べて475,463百万円の増益となった。

 

セグメントの経営成績は、次のとおりである。

 

① エネルギー事業

収入面では、販売電力料収入が増加したことなどから、外部顧客への売上高は2,475,431百万円と、前年同期に比べて342,971百万円の増収(+16.1%)となり、内部売上高を含めた売上高は2,630,461百万円と、前年同期に比べて220,987百万円の増収(+9.2%)となった。

支出面では、燃料価格の低下や原子力利用率の上昇により火力燃料費が減少したことなどから、経常費用は減少した。

この結果、セグメント利益は505,261百万円と、前年同期に比べて682,184百万円の増益となった。

 

② 送配電事業

収入面では、需給調整取引単価の下落による収益の減少があったことなどから、外部顧客への売上高は251,339百万円と、前年同期に比べて114,724百万円の減収(△31.3%)となり、内部売上高を含めた売上高は743,354百万円と、前年同期に比べて116,173百万円の減収(△13.5%)となった。

支出面では、需給調整に伴う費用が減少したことなどから、経常費用は減少した。

この結果、セグメント利益は76,677百万円と、前年同期に比べて127,089百万円の増益となった。

 

③ 情報通信事業

収入面では、株式会社オプテージにおいて、株式会社関電セキュリティ・オブ・ソサイエティを吸収合併したことによりホームセキュリティサービスの収益が増加したことや、FTTHサービスの収益が増加したことなどから、外部顧客への売上高は167,383百万円と、前年同期に比べて4,221百万円の増収(+2.6%)となり、内部売上高を含めた売上高は219,278百万円と、前年同期に比べて9,688百万円の増収(+4.6%)となった。

支出面では、株式会社関電システムズにおいて、システム開発案件が増加したことなどから、経常費用は増加した。

この結果、セグメント利益は39,230百万円と、前年同期に比べて6,936百万円の増益(+21.5%)となった。

 

④ 生活・ビジネスソリューション事業

収入面では、関電不動産開発株式会社の住宅分譲事業において、販売単価が下落したことや、昨年度に実施した土地売却による収入がなくなったことなどから、外部顧客への売上高は103,911百万円と、前年同期に比べて7,539百万円の減収(△6.8%)となり、内部売上高を含めた売上高は132,122百万円と、前年同期に比べて10,251百万円の減収(△7.2%)となった。

支出面では、関電不動産開発株式会社の住宅分譲事業において、売上原価が減少したことなどから、経常費用は減少した。

この結果、セグメント利益は13,949百万円と、前年同期に比べて2,350百万円の減益(△14.4%)となった。

 

 

(財政状態)

資産は、設備投資額が減価償却費を上回ったものの、和歌山発電所建設計画が中止されたことなどから、前年度末に比べて17,475百万円減少(△0.2%)し、8,756,949百万円となった。

負債は、有利子負債が減少したことなどから、前年度末に比べて394,506百万円減少(△5.7%)し、6,540,136百万円となった。

純資産は、親会社株主に帰属する四半期純利益(351,035百万円)を計上したことなどから、前年度末に比べて377,030百万円増加(+20.5%)し、2,216,813百万円となった。

これらの結果、当四半期末の自己資本比率は、前年度末に比べて4.3%上昇し、24.7%となった。

 

(2)経営方針、経営環境及び対処すべき課題等

当第3四半期連結累計期間において、経営方針、経営環境及び対処すべき課題等について重要な変更はない。

 

(3)研究開発活動

当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、5,863百万円である。なお、当第3四半期連結累計期間において、研究開発活動の状況に重要な変更はない。

 

 

(4)生産、受注及び販売の実績

当社および連結子会社における生産、受注及び販売の実績については、その大半を占めるエネルギー事業のうち当社の数値を記載している。

 

 発受電実績

種別

2022年度第3四半期

連結累計期間

(2022年4月2022年12月)

(百万kWh)

2023年度第3四半期

連結累計期間

(2023年4月2023年12月)

(百万kWh)

前年

同期比

(%)

発受電電力量

自社

水力発電電力量

10,578

10,251

96.9

火力発電電力量

35,141

27,603

78.6

原子力発電電力量

17,052

31,693

185.9

新エネルギー発電電力量

15

9

62.8

他社受電電力量

37,015

36,811

99.4

揚水発電所の揚水用電力量

△1,568

△2,230

142.3

合計

98,233

104,136

106.0

総販売電力量

93,294

99,173

106.3

出水率(%)

97.0

92.0

 

(注) 1 火力発電電力量は、汽力発電電力量と内燃力発電電力量の合計である。

    2 新エネルギー発電電力量は、汽力発電設備におけるバイオマスと新エネルギー等発電設備における太

           陽光による発電電力量である。

       3 発受電電力量と総販売電力量は、提出日(2024年2月9日)現在において把握している電力量を記載

           している。

       4 揚水発電所の揚水用電力量とは、貯水池運営のための揚水用に使用する電力量である。

       5 2022年度第3四半期累計期間出水率は、1991年度から2020年度までの第3四半期累計期間の30カ年平

           均に対する比である。2023年度第3四半期累計期間出水率は、1992年度から2021年度までの第3四

           半期累計期間の30カ年平均に対する比である。

       6 四捨五入の関係で、合計が一致しない場合がある。

       7 発受電電力量の合計と総販売電力量の差は損失電力量等である。

 

② 販売実績
a.販売電力量

 

2022年度第3四半期

連結累計期間

(2022年4月2022年12月)

(百万kWh)

2023年度第3四半期

連結累計期間

(2023年4月2023年12月)

(百万kWh)

前年

同期比

(%)

総販売電力量(小売、他社 計)

93,294

99,173

106.3

 

小売販売電力量

81,585

86,166

105.6

 

 

電灯

21,024

21,342

101.5

 

 

電力

60,561

64,824

107.0

 

他社販売電力量

11,709

13,007

111.1

 

(注)1 総販売電力量は、提出日(2024年2月9日)現在において把握している電力量を記載している。

2 四捨五入の関係で、合計が一致しない場合がある。

 

b.料金収入

 

2022年度第3四半期

連結累計期間

(2022年4月2022年12月)

(百万円)

2023年度第3四半期

連結累計期間

(2023年4月2023年12月)

(百万円)

前年

同期比

(%)

電灯料・電力料

1,658,266

1,701,203

102.6

 

電灯料

518,605

432,408

83.4

 

電力料

1,139,661

1,268,795

111.3

他社販売電力料

312,020

261,988

84.0

 

 

(5)設備の新設、除却等の計画

当第3四半期連結累計期間において中止された建設計画

区分

工事件名

最大出力(千kW)

中止年月

電気事業

和歌山発電所建設計画

3,700

2023.12

 

 

3 【経営上の重要な契約等】

該当事項なし。