第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当社グループの財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関する変動要因のうち,投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる事項のうち,以下の事項に関し重要な変更があった。

なお,文中における将来に関する事項は,当四半期報告書提出日(2024年2月9日)現在において判断したものであり,今後のエネルギー政策や電気事業制度の見直しなどの影響を受ける可能性がある。また,以下の「(1)事業環境の変化」については,当四半期報告書において変更を行ったものであり,「(7)コンプライアンス」については,当事業年度の第2四半期報告書で変更した内容から当四半期報告書において,改めて変更を行ったものである。なお,「(1)事業環境の変化  ③新成長分野の事業化」については,当事業年度の第2四半期報告書に記載した内容から変更はない。

(以下の見出しに付された項目番号は,前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」の項目番号に対応するものである。)

 

(1)事業環境の変化

当社グループを取り巻く事業環境は,世界経済の回復によるエネルギー需要増加や欧州における紛争などにより燃料価格が高騰したが,2022年度後半にかけては,記録的な暖冬により欧州の天然ガスの在庫蓄積が進んだことなどによりLNGの需給が緩和し,ピーク時に比べ低位に推移した。また,電力卸売価格も低位に推移した。これらにより,2022年度においては,期ずれを除いた連結経常利益は,最終的に1,560億円程度の利益を確保することができた。しかしながら,ロシアから欧州へのガス供給不安などから,今後も国際的なエネルギーの争奪が継続し,為替変動リスクも含め燃料価格のボラティリティが高く,当社グループの事業においても,先行きが不透明な厳しい経営環境が継続している。

また,太陽光発電をはじめとした自然変動電源が大量導入され,需要の増加と太陽光発電量などの低下が重なる冬季に需給ひっ迫が生じやすくなっている中,設備のトラブルが発生した場合や資源国において不測の事態が生じた場合などには,日本国内における需給状況が悪化することが懸念される。

このような事業環境の変化に対して当社グループは,再生可能エネルギー発電出力の予測精度向上,他の一般送配電事業者との連携も含めた日々の系統運用・需給調整や水力発電所の安定的な運用,JERAによる休止火力発電所の再稼働やJERAの燃料トレーディング子会社であるJERA  Global  Marketsを通じた機動的な調達による安定的な燃料確保,お客さまに電気を効率的にご利用いただくデマンドレスポンスの活用などにより,グループ一丸となってエネルギーの安定供給を継続する。

収支安定化に向けては,国内エネルギー事業において電源調達ポートフォリオの最適化や市場リスク管理の高度化などに引き続き取り組んでいく。加えて,新成長領域やグローバル事業のさらなる拡大などを通じて,持続的な成長を実現し,中期経営目標の達成を目指していく。

さらに,近年のデジタルトランスフォーメーション(DX)の進展や再生可能エネルギーをはじめとする分散型電源の導入拡大,さらには脱炭素化への取り組みの進展などにより,エネルギー事業を取り巻く環境は今後も大きく変化していくと想定される。

当社グループは,「ゼロエミチャレンジ2050」及び「JERAゼロエミッション2050」に基づき,安全確保を大前提とした原子力の活用,再生可能エネルギーの拡大や,水素・アンモニアサプライチェーンの構築を含むゼロエミッション電源の追求などに取り組むとともに,社会・お客さまと一体となって進めるエネルギー利用の電化・脱炭素化を通じて,脱炭素社会の実現を目指している。また,国の「GXリーグ基本構想」に賛同し,CO排出量削減に向けた取り組みを着実に進めていく。

2050年の社会像を見据えて果敢にチャレンジするため,「中部電力グループ経営ビジョン2.0」に基づき,人財一人ひとりの成長・活躍を通じたお客さま・社会への多様な価値の提供による,地域・社会の持続的な発展に貢献していく。

 

また,当社を取り巻く環境が大きく変化する中,機動的な意思決定と,より高度なガバナンスの両立をこれまで以上に進めるため,2024年6月開催予定の定時株主総会において承認されることを条件として監査等委員会設置会社へ移行する方針を決定した。

ただし,欧州における紛争に起因する影響の拡大,各種市場における想定と異なる制度見直しの実施など,当社グループを取り巻く事業環境が変化した場合,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。

 

③新成長分野の事業化

当社グループは,さまざまな領域で「つながることで広がる価値」を創出し,生活の質を向上させるサービスを充足させることで,地域社会やお客さまが求める新たな価値の提供を目指していく。不動産事業においては,日本エスコン,中電不動産を中心にまちづくりに一層貢献するとともに,資源循環・上下水道・地域交通などといった地域インフラ事業については,さまざまなパートナーのみなさまと連携して脱炭素・循環型社会の構築を進めていく。また,医療・健康といった生活関連事業の拡大により,地域の健康寿命の延伸などに寄与していく。今後も,地域のみなさまやパートナーとの連携を大切にしながら,「新しいコミュニティの形」の創造に挑戦していく。

また,当社は,株式会社東芝及びそのグループ会社の企業価値向上を目的とするTB投資事業有限責任組合に,有限責任組合員として1,000億円を出資することを2023年9月21日付で決定した。本出資は,東芝が安定した経営基盤を構築し,同社の企業価値を大きく向上させることに貢献するものであり有意義な投資機会であると考えている。

グローバル事業においては,再生可能エネルギーなどの「グリーン領域」,水素・アンモニアなどの「ブルー領域」,マイクログリッド・アジア配電事業などの「小売・送配電・新サービス領域」及び地熱発電などの「フロンティア領域」の4領域を組み合わせて最適なポートフォリオを形成し,各国・地域の社会課題解決への貢献と,収益の拡大を目指している。

なお,当社は,2016年7月1日付で会社分割により海外発電・エネルギーインフラ事業をJERAへ承継した取引について,2022年12月17日に,メキシコ税務当局から約759億円(2022年12月時点の為替レートに基づく)の納付を命じる更正決定通知を受領した。本通知の内容は,日墨租税条約及びメキシコ税法に反する不合理なものであることから,2023年2月10日に,当局に対し行政不服審査を申し立てた。加えて,日墨租税条約に基づく両国税務当局間の相互協議も実施中である。

グローバル事業をはじめとする新成長分野における事業の展開にあたっては,カントリーリスクも含め適切なリスク評価を行うとともに,定期的にモニタリングを実施していく。

ただし,これらの事業が,他事業者との競合の進展やカントリーリスクの顕在化などにより,当社グループの期待するような結果をもたらさない場合には,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。

 

(7)コンプライアンス

当社グループでは,法令及び社会規範の遵守に関する基本方針及び行動原則を示した「中部電力グループコンプライアンス基本方針」のもと,設備の保安を含む業務運営全般におけるコンプライアンスの徹底,企業倫理の向上に努めている。

具体的には,2019年には「中部電力グループ贈収賄・腐敗防止方針」及び「金品授受に関するガイドライン」を制定するなど,取り組みを強化している。

このような中,当社及び中部電力ミライズは2021年4月13日に中部地区等における特別高圧電力及び高圧電力の供給並びに中部地区における低圧電力及び都市ガス供給等に関して,及び同年10月5日に中部地区における特別高圧電力,高圧電力,大口需要家向け都市ガス等に係る供給に関して,それぞれ独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いがあるとして,公正取引委員会の立入検査を受け,同委員会の調査に対し,全面的に協力してきた。

 

2023年3月30日,上記のうち中部地区等における特別高圧電力及び高圧電力の供給について,当社は,独占禁止法に基づく課徴金納付命令を,中部電力ミライズは,独占禁止法に基づく排除措置命令及び課徴金納付命令を,同委員会からそれぞれ受領した。各命令について,当社及び中部電力ミライズは,同委員会との間で,事実認定と法解釈について見解の相違があることから,司法の公正な判断を求めることとし,同年9月25日に取消訴訟を提起した。課徴金については,前連結会計年度において独占禁止法関連損失を特別損失に計上し,納付期限までに納付している。これらの命令を受けて,当社及び中部電力ミライズは,経済産業省などから補助金交付等の停止及び契約に係る指名停止等の措置を受けている。また,2023年7月14日,中部電力ミライズは経済産業大臣から電気事業法に基づく業務改善命令を受け,同年7月28日,当該業務改善命令に対応する報告を行った。

2023年12月20日,中部地区における大口需要家向け都市ガスに係る供給に関して,当社は,同委員会から独占禁止法に基づく課徴金納付命令書(案)に関する意見聴取通知書を,中部電力ミライズは,同委員会から独占禁止法に基づく排除措置命令書(案)及び課徴金納付命令書(案)に関する意見聴取通知書を,それぞれ受領した。当社及び中部電力ミライズは,各通知書の内容を精査するとともに,同委員会からの命令書(案)の内容に関する説明等を踏まえ,今後の対応を慎重に検討していく。また,本案件に係る課徴金納付命令書(案)を受領したことを受け,当第3四半期連結累計期間において,独占禁止法関連損失引当金繰入額を特別損失に計上した。

この他の案件に対しても,引き続き適切に対応していく。

当社及び中部電力ミライズは,二度と独占禁止法に関する疑いを持たれることがないよう,2023年4月7日に公表したコンプライアンス徹底策を着実に実施していく。

また,中部電力パワーグリッドにおいて,託送業務システムで管理しているお客さま情報を中部電力ミライズ及びその委託先へ漏えいした事案が判明し,中部電力ミライズにおいて,同社従業員が顧客管理システムを通じて中部電力ミライズ以外の小売電気事業者と契約しているお客さま情報を閲覧していた事案が判明した。この件に関し,中部電力パワーグリッド及び中部電力ミライズは,2023年4月17日,電力・ガス取引監視等委員会より業務改善勧告を受け,同年5月12日,当該業務改善勧告に対応する報告を行った。

中部電力パワーグリッドにおいて,経済産業省の再生可能エネルギー業務管理システムを閲覧するために付与されたID及びパスワードを適切に管理しておらず,同システム上で中部電力ミライズの従業員においてもFIT認定情報が閲覧可能な状態となっていた事案が判明した。この件に関し,中部電力パワーグリッド及び中部電力ミライズは,2023年4月17日,資源エネルギー庁より指導を受け,同年5月12日,当該指導に対応する報告を行った。

加えて,これらの件に関し,中部電力パワーグリッド及び中部電力ミライズは,2023年6月29日,個人情報保護委員会から指導及び報告等の求めを受け,同年9月29日に報告を行った。

中部電力パワーグリッド及び中部電力ミライズは,2023年5月12日に公表した再発防止策を着実に実施していく。

その他,当社グループにおいて,不動産投資事業に対し関係行政から処分を受けた事象なども発生しており,これらについても適切に対応していく。

当社グループは,今後も,常にコンプライアンスに関する取り組み状況を確認し,その結果に基づいて説明責任を果たすとともに,コンプライアンス徹底に向けた不断の取り組みを進めていく。

ただし,コンプライアンスに反する事象により,社会的信用の低下などが発生した場合には,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。

 

 

2 【経営者による財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は,当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものである。

 

(1) 財政状態及び経営成績の状況

①  経営成績

 

 

前第3四半期
連結累計期間

(自  2022年4月1日

至  2022年12月31日)

当第3四半期
連結累計期間

(自  2023年4月1日

至  2023年12月31日)

増    減

金額(億円)

金額(億円)

金額(億円)

増減率(%)

売上高(営業収益)

28,140

26,971

△1,169

△4.2

営業利益

482

2,896

2,413

500.0

経常損益

△278

4,369

4,648

特別利益

439

64

△374

△85.3

特別損失

393

0

△393

△99.9

親会社株主に帰属
する四半期純損益

△374

3,571

3,945

 

 

当第3四半期連結累計期間の収支の状況については,売上高(営業収益)は,燃料費調整額(燃調収入)等の減少などから,前第3四半期連結累計期間に比べ1,169億円減少し2兆6,971億円となった。

経常損益は,燃料価格等の変動が電力販売価格に反映されるまでの期ずれについて差損から差益に転じたことや,ミライズにおける電源調達価格の低下,パワーグリッドにおける需給調整にかかる費用の減少などから,前第3四半期連結累計期間に比べ4,648億円改善し4,369億円の利益となった。

なお,期ずれを除いた連結経常損益は,3,190億円程度の利益となり,前第3四半期連結累計期間に比べ1,480億円程度の増益となった。

また,政策保有株式の一部を売却したことにより有価証券売却益64億円を特別利益に計上した一方,独占禁止法関連損失引当金繰入額0億円を特別損失に計上した。

この結果,法人税等を差し引いた親会社株主に帰属する四半期純損益は,前第3四半期連結累計期間に比べ3,945億円改善し3,571億円の利益となった。

 

中部電力ミライズ㈱の販売電力量は,電気機械等の生産減などはあるものの,中部エリア内での標準メニューの受付再開による契約増加などから,前第3四半期連結累計期間に比べ8億kWh増加し763億kWhとなった。

なお,中部電力ミライズ㈱及びその子会社,関連会社の合計の販売電力量は,前第3四半期連結累計期間に比べ17億kWh減少し816億kWhとなった。

 

また,中部エリアの需要電力量は,夏季の気温影響による冷房設備の稼動増はあるが,電気機械等の生産減などから,前第3四半期連結累計期間に比べ14億kWh減少し902億kWhとなった。

 

当第3四半期連結累計期間におけるセグメント別の業績(内部取引消去前)は以下のとおりである。

なお,㈱JERAは持分法適用関連会社のため,売上高は計上されない。

 

[ミライズ]

電力・ガスの販売と各種サービスの提供に伴う売上高については,中部エリア内での標準メニューの受付再開等による販売電力量の増加などから,前第3四半期連結累計期間に比べ249億円増加し2兆1,665億円となった。

経常利益は,電源調達価格の低下などから,前第3四半期連結累計期間に比べ1,547億円増加し1,673億円となった。

 

 

[パワーグリッド]

電力ネットワークサービスの提供に伴う売上高については,再生可能エネルギー特別措置法に基づく購入電力の卸電力市場への販売単価の低下などから,前第3四半期連結累計期間に比べ1,752億円減少し6,654億円となった。

経常損益は,エリア需要の減少に伴う託送収益の減少はあったものの,レベニューキャップ制度導入に伴う託送料金の見直しや,需給調整にかかる費用の減少などから,前第3四半期連結累計期間に比べ929億円改善し737億円の利益となった。

 

[JERA]

燃料上流・調達から発電,電力・ガスの販売に伴う経常損益は,期ずれ差損から差益に転じたことなどから,前第3四半期連結累計期間に比べ2,133億円改善し1,536億円の利益となった。

 

②  財政状態

総資産は,㈱JERAなどの関係会社長期投資の増加により投資その他の資産が増加したことなどから,前連結会計年度末に比べ4,758億円増加し6兆9,309億円となった。

純資産については,配当金の支払いはあったが,親会社株主に帰属する四半期純利益の計上や,その他の包括利益累計額の増加などにより,前連結会計年度末に比べ4,857億円増加し2兆6,479億円となった。

この結果,自己資本比率は,前連結会計年度末から4.8ポイント向上し36.7%となった。

 

(2) 事業上及び財務上の対処すべき課題

前事業年度の有価証券報告書に記載した「対処すべき課題」について重要な変更が生じている。以下の内容は,変更後の事業上及び財務上の対処すべき課題の全文を一括して記載したものである。

なお,文中における将来に関する事項は,当四半期報告書提出日(2024年2月9日)現在において判断したものである。また,以下の内容については,当事業年度の第2四半期報告書で変更した内容から,当四半期報告書において改めて変更を行ったものである。

 

当社は,2020年4月から,送配電部門を中部電力パワーグリッド,販売部門を中部電力ミライズにそれぞれ分社し,これらにJERAを加えた3つの事業会社を核とする体制といたしました。パワーグリッドにおいては,一層の中立性・公平性を図るとともに,ミライズ・JERAにおいては,それぞれの市場,お客さまと向き合い,より強靭な企業グループへの成長を目指してまいります。

このような事業体制のもと,以下の課題への対応をはじめ,グループを挙げてエネルギーの安定供給に努めるとともに,お客さまの期待を超えるサービスを実現・提供することにより,中部電力グループ全体の持続的成長と企業価値の向上を果たしてまいります。

 

(安全・安価で安定的なエネルギーのお届け)

資源価格のボラティリティの激しさや,為替変動によって,エネルギー市場の不確実性が高まり,不安定な事業環境が継続しております。当社グループとして,あらゆるコストダウンに取り組んできましたが,経営努力だけでは対応できず,お客さまに安定して電気をお届けするため,2023年4月より特別高圧電力及び高圧電力の標準メニューの見直しを実施いたしました。引き続き徹底した経営効率化に取り組むとともに,いかなる状況においても,バリューチェーン全体で良質なエネルギーを安全・安価で安定的にお届けするという「変わらぬ使命」をグループ一丸となって完遂してまいります。

このため,燃料調達の安定化を図るとともに,電源調達ポートフォリオの見直しや,電力先物,燃料先物取引などのヘッジ手法を適切に組み合わせてまいります。さらに,お客さまに電気を効率的にご利用いただくデマンドレスポンスの活用などのサービス拡充にも取り組んでまいります。

自然災害の激甚化や送配電設備の高経年化など,レジリエンス向上の取り組みもより一層重要となっております。引き続き,設備のメンテナンスを確実に行いつつ,中長期的な視点から,高経年化設備の更新を計画的に進めてまいります。

 

また,太陽光発電をはじめとした自然変動電源が大量導入され,需要の増加と太陽光発電量などの低下が重なる冬季に需給ひっ迫が生じやすくなっております。この課題に対し,休止火力発電所の再稼働などを通じ,追加供給力の確保などに取り組むとともに,他の一般送配電事業者との連携も含めた日々の系統運用・需給調整により,周波数や電圧を適切に維持し,中部エリアの安定供給に努めつつ,全国の安定供給にも寄与してまいります。

なお,不透明な環境が継続する状況ではありますが,足元の資源価格が低位に推移していることや,当社グループ全体で取り組んでいるコストダウンなどの経営努力を踏まえ,2023年6月から2024年3月にかけて電気料金の負担軽減をはじめとした施策を実施しており,2024年4月から2025年3月にかけても,引き続き同程度の施策を実施してまいります。

 

(浜岡原子力発電所の再稼働に向けた取り組み)

浜岡原子力発電所については,「福島第一原子力発電所のような事故を二度と起こさない」という固い決意のもと,安全性向上対策を進めております。3・4号機については,原子力規制委員会による新規制基準への適合性確認審査を受けており,基準地震動については,2023年9月開催の審査会合において概ね妥当と評価されました。基準津波についても着実に進捗しており,これが概ね妥当と評価された後は,プラント関係審査に対応していくとともに,安全性向上対策の有効性をはじめ浜岡原子力発電所の安全性に係る理解活動を実施してまいります。

エネルギー資源の乏しいわが国において,化石燃料価格の変動や地球温暖化という課題に対処しつつ,将来にわたり安定的にエネルギーを確保していくためには,原子力を引き続き重要な電源として活用することが不可欠であると考えております。

今後も,新規制基準への適合性確認を早期にいただけるよう最大限努力するとともに,地域のみなさまのご理解をいただけるようコミュニケーションを図り,安全確保を大前提に浜岡原子力発電所の再稼働に向けて取り組んでまいります。

 

(脱炭素社会実現に向けた取り組み)

中部電力グループは,経営ビジョン2.0,ゼロエミチャレンジ2050及びJERAゼロエミッション2050にもとづき,再生可能エネルギーの拡大や,水素・アンモニアサプライチェーンの構築を含むゼロエミッション電源の追求などに取り組むとともに,社会・お客さまと一体となって進めるエネルギー利用の電化・脱炭素化を通じて,脱炭素社会の実現を目指しております。また,国の「GXリーグ基本構想」に賛同し,CO排出量削減に向けた取り組みを着実に進めてまいります。

経営ビジョン2.0で掲げた「2030年頃に,保有・施工・保守を通じた再生可能エネルギーの320万kW(80億kWh)以上の拡大に貢献」という目標の達成に向け,短期的には太陽光発電,中期的には水力・バイオマス・陸上風力発電,長期的には洋上風力・地熱発電の開発・保有拡大を全国で積極的に推進してまいります。同時に,小規模分散が主体となる太陽光発電については,グループ会社による設備の保守・施工などに加えて,お客さまのお役立ちにつながる付加価値サービスを提供してまいります。

また,他エリアとの電力融通の拡大に向けた設備増強に努めるなど,再生可能エネルギーの拡大に貢献してまいります。

 

(新しいコミュニティの形の創造に向けた取り組み)

中部電力グループは,さまざまな領域で「つながることで広がる価値」を創出し,生活の質を向上させるサービスを充足させることで,地域社会やお客さまが求める新たな価値の提供を目指してまいります。

不動産事業につきましては,日本エスコン,中電不動産を中心にまちづくりに一層貢献するとともに,資源循環・上下水道・地域交通などといった地域インフラ事業については,さまざまなパートナーのみなさまと連携して脱炭素・循環型社会の構築を進めてまいります。また,医療・健康といった生活関連事業の拡大により,地域の健康寿命の延伸などに寄与してまいります。

今後も,地域のみなさまやパートナーとの連携を大切にしながら,「新しいコミュニティの形」の創造に挑戦してまいります。

 

 

当社及び中部電力ミライズは,2023年3月30日,中部地区等における特別高圧電力及び高圧電力の供給に関し,公正取引委員会から独占禁止法にもとづく課徴金納付命令等を受けました。本命令の内容については,当社と同委員会との間で,事実認定及び法解釈に見解の相違があるため,司法の公正な判断を求めることとし,同年9月25日に取消訴訟を提起しております。

また,2023年12月20日,中部地区における大口需要家向け都市ガスに係る供給に関して,当社は,同委員会から独占禁止法に基づく課徴金納付命令書(案)に関する意見聴取通知書を,中部電力ミライズは,同委員会から独占禁止法に基づく排除措置命令書(案)及び課徴金納付命令書(案)に関する意見聴取通知書を,それぞれ受領いたしました。当社及び中部電力ミライズは,各通知書の内容を精査するとともに,同委員会からの命令書(案)の内容に関する説明等を踏まえ,今後の対応を慎重に検討してまいります。

加えて,託送業務で知り得たお客さま情報などの不適切な取り扱いにつきましては,公正な競争を阻害するおそれのあるものであり,大変重く受け止めております。本事案を受け,中部電力パワーグリッド及び中部電力ミライズにおいて,それぞれ原因の分析や再発防止策を策定するとともに,当社も加えた3社で,再発防止策の妥当性や実施状況を確認しております。

中部電力グループは,従前より,企業の社会的責任を果たすため,CSR宣言にもとづき事業活動を進めており,そのことがESGの観点を踏まえた事業経営の深化や,SDGsの課題解決に貢献するものと考えております。今後とも,お客さまや社会からの信頼が事業運営の基盤であることを肝に銘じて,コンプライアンスを徹底することで,CSRを完遂してまいります。

 

(3) 研究開発活動

当第3四半期連結累計期間における当社グループ全体としての研究開発費の総額は,4,371百万円である。

(注) 上記金額には,内部取引を考慮していない。

 

(4) 生産,受注及び販売の実績

当社グループは,電力・ガスの販売と各種サービスの提供を行う「ミライズ」,電力ネットワークサービスの提供を行う「パワーグリッド」,燃料上流・調達から発電,電力・ガスの販売を行う「JERA」等が,バリューチェーンを通じて,電気事業を運営している。

当社グループにおける生産,受注及び販売の状況については,その大半を占める電気事業のうち主要な実績を記載している。

なお,電気事業は,販売電力量が景気動向等の影響を受けることや,夏季と冬季に高い水準となる傾向にあり,四半期ごとの業績に変動が生じることがある。

 

①  発電実績

種別

当第3四半期
連結累計期間

(自  2023年4月1日

至  2023年12月31日)

対前年同四半期
増減率(%)

発電電力量

(百万kWh)

水力

6,801

0.1

原子力

新エネルギー

306

8.1

合計

7,107

0.4

出水率(%)

95.7

 

(注) 1  発電電力量及び出水率は,中部電力㈱の実績を記載している。

2  出水率は,1992年度から2021年度までの第3四半期連結累計期間の30カ年平均に対する比である。

3  四捨五入の関係で,合計が一致しない場合がある。

 

 

②  販売実績

ア  販売電力量及び料金収入

種別

当第3四半期
連結累計期間

(自  2023年4月1日

 至  2023年12月31日)

対前年同四半期
増減率(%)

販売電力量
(百万kWh)

低圧

20,734

△0.9

高圧・特別高圧

55,608

1.8

合計

76,343

1.1

料金収入(百万円)

1,816,428

7.6

 

(注) 1  販売電力量及び料金収入は,中部電力ミライズ㈱の実績を記載している。

2  四捨五入の関係で,合計が一致しない場合がある。

3  料金収入には「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」に基づいて受領した電気・ガス価格激変緩和対策補助金収入185,068百万円を含む。

 

〔参考1〕

グループ合計の販売電力量(百万kWh)

81,588

△2.0

 

(注)  中部電力ミライズ㈱及びその子会社,関連会社の実績を記載している。なお,グループ内の販売電力量は除いている。

 

〔参考2〕

他社販売電力量(百万kWh)

8,672

△0.6

 

(注) 1  中部電力ミライズ㈱の実績を記載している。なお,中部電力ミライズ㈱の子会社及び関連会社への販売電力量は除いている。

2  当第3四半期連結会計期間末日現在で把握している電力量を記載している。

 

イ  中部エリアの需要電力量及び料金収入

種別

当第3四半期
連結累計期間

(自  2023年4月1日

 至  2023年12月31日)

対前年同四半期
増減率(%)

中部エリアの需要電力量(百万kWh)

90,166

△1.5

料金収入(百万円)

452,267

6.9

 

(注) 1  中部エリアの需要電力量及び料金収入は,中部電力パワーグリッド㈱の実績を記載している。

2  料金収入は,接続供給託送収益(インバランスの供給に係る収益を除く)を記載している。

 

(5) 主要な設備

当第3四半期連結累計期間において,主要な設備に重要な異動はない。また,主要な設備の前連結会計年度末における計画に著しい変更はない。

 

3 【経営上の重要な契約等】

該当事項なし