当第3四半期連結累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、新規設立に伴う有価証券届出書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
当社は、2023年10月2日に単独株式移転により日総工産株式会社の完全親会社として設立されましたが、連結の範囲に実質的な変更はないため、前年同四半期と比較を行っている項目については、日総工産株式会社の2023年3月期第3四半期連結累計期間(2022年4月1日から2022年12月31日まで)と、また、前連結会計年度末と比較を行っている項目については、日総工産株式会社の2023年3月期連結会計年度末(2023年3月31日)と比較しております。
また、当第3四半期連結累計期間(2023年4月1日から2023年12月31日まで)の四半期連結財務諸表は、単独株式移転により完全子会社となった日総工産株式会社の四半期連結財務諸表を引き継いで作成しております。
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間における我が国の経済は、雇用環境の改善もあり、緩やかな回復が見られます。一方、世界的な金融引締めによる影響などが我が国の景気を下押しするリスクや中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要があります。
このような経営環境の中、当社グループは「働く機会と希望を創出する」というミッションに基づき、企業と人の成長を支援する人材ソリューションサービスで、働く人が働きがいを持ち、成長していける職場を作り上げていくとともに、社会変化や産業構造変化に対応できるサービスの提供を目指し、「高い成長力のある企業グループに変革する」ための取り組みを推進しております。
当社グループは、ミッションの実現に向けたマテリアリティ(重要課題)を「働きやすい職場づくり」、「社会変化や産業変化への対応」、「ガバナンスの強化」と定義しております。デジタル化の推進と人材投資を積極的に行い、従業員満足と顧客満足の最大化、高付加価値サービスの提供、管理体制や内部統制の強化に取り組むことで、社会価値創造による企業価値の向上を目指しております。
当第3四半期連結累計期間の経営成績は、売上高72,534百万円(前年同期比7.9%増)、営業利益2,048百万円(前年同期比46.5%増)、経常利益2,129百万円(前年同期比41.8%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益1,395百万円(前年同期比48.9%増)となりました。
売上高においては、グループの中核サービスである製造系人材サービスの売上高伸長に伴い、前年同期と比較して増収となりました。また、利益面においては、事業の拡大や事業基盤の強化に向けた従業員数の増強に伴う人件費の増加などがありましたが、売上高の伸張で吸収した結果、営業利益は前年同期比で増益となりました。
当第3四半期連結累計期間における各種取組みは、次のとおりであります。
(総合人材サービス)
当第3四半期連結累計期間における総合人材サービスの売上高は70,251百万円(前年同期比8.2%増)となり、売上総利益は11,521百万円(前年同期比11.4%増)となりました。
① 製造生産系人材サービス
製造生産系人材サービスは、主に製造派遣、製造請負に区分されます。
当第3四半期連結累計期間における当サービスの売上高は57,719百万円(前年同期比6.1%増)となりました。
当第3四半期連結累計期間においては、顧客の旺盛な人材ニーズに応えることで、当サービスの期末在籍者数は14,963名(前年同期比286名増)となりました。また、働きやすい職場づくりに向けて、職場環境の改善に取り組んだことから、1か月あたりの離職率は3.8%(前年同期と同水準)と低水準で推移しております。更に、オートモーティブインダストリー(自動車製造及びEV関連製造業界)の顧客の生産回復に連動し、製造スタッフの稼働時間が増加したことから、1人当たりの売上高が434千円(前年同期比3.2%増)となりました。
② エンジニア系人材サービス
エンジニア系人材サービスは、製造領域及びIT関連のエンジニア派遣、SES(System Engineering Service)に区分されます。
当第3四半期連結累計期間における当サービスの売上高は6,638百万円(前年同期比4.8%増)となりました。
当第3四半期連結累計期間においては、セミコンダクターインダストリー(半導体製造業界)の顧客における生産活動低調の影響から、当サービスの期末在籍者数は1,505名(前年同期比37名減)、1人当たりの月平均売上高は496千円(前年同期比28千円減)となりました。一方、教育訓練施設を活用した独自の「人材育成モデル」を推し進めた効果もあり、離職率は2.1%(前年同期と同水準)と低水準で推移しております。
③ 事務系人材サービス
事務系人材サービスは、一般事務派遣、BPO(Business Process Outsourcing)に区分されます。
当第3四半期連結累計期間における当サービスの売上高は1,630百万円(前年同期比4.8%減)となりました。
当第3四半期連結累計期間においては、広報・集客活動を中心に採用活動を進めておりましたが、登録者数の伸び悩みもあり、事務系派遣の在籍人数は552名(前年同期比75名減)となりました。
④ その他の人材サービス
その他の人材サービスは、高年齢者社員の人材派遣、障がい者による軽作業請負などに区分されます。
当第3四半期連結累計期間における当サービスの売上高は4,262百万円(前年同期比70.8%増)となりました。なお、当サービスにおける売上高については、2023年3月期の第2四半期連結会計期間より、株式会社ニコン日総プライムを連結子会社化しているため、増減率が大幅に増加となっております。
高年齢者が活躍できる職場モデルの構築に向けて、高年齢者社員の活躍を支援し、継続して働くことができる雇用機会の開拓と確保、仕組みの構築に取り組んでおります。当第3四半期連結累計期間におけるプライム社員(高年齢者社員)数は671名となりました。
また、障がい者社員が活躍できる職場モデルの構築に向けて、単に障がい者社員を雇用するのではなく、外部の顧客から軽作業の受託を行うなど、一人ひとりの特性を活かした活躍を推進しながら、学校関係者や支援機関そして行政をはじめとした地域社会との共生を目指しております。当第3四半期連結累計期間における障がい者社員数は224名となりました。
(介護・福祉サービス)
介護・福祉サービスは、施設介護、在宅介護に区分されます。
当第3四半期連結累計期間における当サービスの売上高は2,283百万円(前年同期比1.0%増)となり、売上総利益は253百万円(前年同期比9.7%増)となりました。
当第3四半期連結累計期間においては、当サービスの中核である施設介護において、地域に根ざした心ある介護を通して社会に貢献することを目標に、集客活動を行った結果、介護施設の入居者数は377名(前年同期比2名増)となりました。また、介護スタッフの育成を行いながら、サービス品質の向上を目指すことで、施設における入居率は93.8%(前年同期93.3%)と高水準で推移しました。
(当社グループの成長に向けた取り組みの進捗)
当社グループは、産業界が必要としている人材をお客様との連携を通じて育成し、付加価値の高いサービスを提供することで顧客満足度を向上させながら、従業員に対しては、育成と連動するキャリアアップの機会を拡充し、異業種間連携や資本業務提携、そしてМ&Aなどのパートナーシップの構築を通じて、従業員の希望に合わせたキャリアチェンジの機会を拡大させ、従業員満足度を高めてまいります。
インダストリー戦略
当社グループにおいては、連結売上高の64.5%を占める総合人材サービスにおける事業の拡大に向けて、個々のお客様のニーズに応えるだけではなく、技術革新や環境問題などを背景に加速度的に産業構造が変化していくなか、産業(インダストリー)ごとのニーズに積極的かつスピーディに応えていく「インダストリー戦略」を推し進めております。
オートモーティブインダストリー(自動車製造及びEV関連製造業界)における人材ニーズは堅調に推移していますが、メーカーにおける生産停止の影響は継続する見込みであります。当第3四半期連結累計期間におけるオートモーティブインダストリーの売上高は30,250百万円(前年同期比17.2%増)となりました。
また、セミコンダクターインダストリー(半導体製造業界)においては、低調な生産動向の影響を受けて、製造スタッフの稼働時間が通常より低く推移したことから、当第3四半期連結累計期間におけるセミコンダクターインダストリーの売上高は9,325百万円(前年同期比12.3%減)となりました。
同様に、エレクトロニクスインダストリー(電子機器製造業界)の生産動向は低調に推移しており、当第3四半期連結累計期間におけるエレクトロニクスインダストリーの売上高は7,234百万円(前年同期比7.1%減)となりました。
人材育成戦略
当第3四半期連結累計期間における総合人材サービスの教育実施者数は延べ15,637名となり、うち、エンジニア人材への教育については、1,057名となりました。また、介護・福祉サービスの教育実施者数は延べ1,480名となりました。
当社グループは、独自の「人材育成モデル」を構築し、推進しております。具体的には、半導体製造装置などの実機を実装した教育研修施設を開設し、お客様のニーズに沿って開発した教育プログラムを用いて育成することで、職場配属後の習熟が早く定着の良い人材の輩出に取り組んでおります。こうした独自の高度なOff-JTを用いたサービス提供は、お客様から高い評価を頂いております。
当第3四半期連結累計期間において、日総工産は、近畿経済産業局が設立した「関西蓄電池人材育成等コンソーシアム」に参画いたしました。本コンソーシアムの目的は、2030年までに蓄電池・材料の国内製造基盤として、約3万人にも及ぶ蓄電池に係る人材を育成・確保していくことにあります。高品質かつ迅速な人材サービスの提供が可能である当社グループの強みを活かし、これらの課題解決に貢献できるものであると考えており、2024年3月に日本国内10か所目となる「日総EVテクニカルセンター関西」の開設を予定しております。本施設は、蓄電池産業向けの人材育成に特化した教育研修施設であります。
また、2024年5月に、半導体製造向け人材の育成に特化した「日総テクニカルセンター熊本」の増設を予定しております。この増設により、その研修対応人数は、現状の3倍を想定しております。
介護・福祉サービスにおいても、新たに採用された介護スタッフへの教育、施設介護におけるより良いサービス品質の向上に向けた教育が重要であると認識しております。これらのサービス品質を担保するために、OJTのみならず定期的なOff-JTが実施できる体制を構築しております。
なお、教育訓練については、外部展開も行っており、当第3四半期連結累計期間における外部社員研修(受託)の延べ実施人数は148名となりました。クライアントのニーズを把握し、これまでに培った教育コンテンツをアレンジしながら、お客様の課題解決に向けた活動を行っております。
APB株式会社への出資
当社は、全樹脂電池メーカーであるAPB株式会社への出資を行うことといたしました。
APB株式会社が製造する全樹脂電池は、自由形状で大規模蓄電池にも応用可能であり、発火などの重大リスク及び独自の生産プロセスによるコストを大幅に低減した次世代のリチウムイオン電池であります。
また、当社グループ独自の「人材育成モデル」は、APB株式会社の開発・製造工程においても活用可能であり、人材を通した連携は双方に取って大きなシナジーを得るものと考えております。
財務戦略
当社は、自社の資本コスト(株主資本コストおよび加重平均資本コスト(WACC))を注視し、重要な経営指標を自己資本利益率(ROE)と投下資本利益率(ROIC)とした上で、稼ぐ力の追求と資本効率性の向上に取り組みます。また安定的にROICが資本コスト(加重平均資本コスト(WACC))を上回る構造を実現する事で企業価値の向上に努めてまいります。
(2)財政状態に関する説明
(資産)
当第3四半期連結会計期間末における流動資産は21,608百万円となり、前連結会計年度末に比べ138百万円減少い
たしました。これは主に、現金及び預金が738百万円減少したことによるものであります。
当第3四半期連結会計期間末における固定資産は8,624百万円となり、前連結会計年度末に比べ279百万円増加い
たしました。これは主に、投資その他の資産のその他が127百万円増加したことによるものであります。
この結果、総資産は30,233百万円となり、前連結会計年度末に比べ140百万円増加いたしました。
(負債)
当第3四半期連結会計期間末における流動負債は12,041百万円となり、前連結会計年度末に比べ145百万円減少い
たしました。これは主に、賞与引当金が614百万円減少したことによるものであります。
当第3四半期連結会計期間末における固定負債は2,758百万円となり、前連結会計年度末に比べ338百万円減少い
たしました。これは主に、長期借入金が367百万円減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は14,800百万円となり、前連結会計年度末に比べ484百万円減少いたしました。
(純資産)
当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は15,432百万円となり、前連結会計年度末に比べ624百万円増加
いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する四半期純利益1,395百万円及び剰余金の配当544百万円及び非支
配株主持分262百万円によるものであります。
この結果、自己資本比率は50.2%(前連結会計年度末は48.4%)となりました。
(3)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
該当事項はありません。
(6)従業員数
2023年12月31日現在
|
従業員数(人) |
総合人材サービス |
1,968 (226) |
介護・福祉サービス |
253 ( 70) |
全社(共通) |
31 ( - ) |
合計 |
2,252 (296) |
(注)1.従業員数は就業人員数であり、臨時雇用者数(パートタイマー)は、当該連結累計期間の平均人員数を
( )外数で記載しております。
2.全社(共通)は、当社の従業員数を記載しております。
当社及び当社の連結子会社である日総工産株式会社は、2023年12月18日開催の取締役会において、以下のとおり、株式会社アイズの自己株式を除く発行済株式を取得し、子会社化することを決議いたしました。これに伴い、日総工産株式会社は、2023年12月27日付で株式譲渡契約を締結し、2024年1月31日付で同社の株式を取得いたしました。
(株式取得による会社等の株式譲渡契約)
1.株式取得の理由
日総グループは、中期経営計画のビジョンである「高い成長力のある企業グループに変革する」ため、既存事業のもつ優良な顧客基盤と事業運営リソースを活用し、事業ポートフォリオの多様化と提供価値の高度化に取り組んでおります。
株式会社アイズは、首都圏を中心にIT領域における派遣・受託事業を展開しながら、工作機械メーカーへの製造派遣・請負事業も手掛けるなど、日総工産とは異なる顧客層との取引基盤を有しております。
日総工産の強みである採用と人材育成のリソースを活用することで、当社グループが現在保持していない新たな事業領域(IT領域)における収益基盤を獲得するとともに、既存領域においても新たなサービス提供が出来ると考えております。
2.株式取得の相手会社の名称
株式会社アイズ
3.取得した相手会社の名称、事業内容、規模
(1)名称 株式会社アイズ
(2)事業内容 アウトソーシング事業・ビジネスソリューション事業・エンジニアリング事業・
ファクトリーオートメーション事業
(3)資本金の額 20,000千円
4.株式取得の時期
(1)契約締結日 2023年12月27日
(2)株式譲渡実行日 2024年1月31日
5.取得する株式の数及び取得後の持分比率
(1)取得する株式数 224株
(2)異動後の持分比率 100%
なお、詳細は、「第4 経理の状況 1四半期連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。