第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当第2四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクのうち、以下のリスクに関して下記のとおり変更いたします。

 

(1) 子会社管理について

当社グループでは、子会社を2社(株式会社ファイナンス・プロデュース及びメールカスタマーセンター株式会社)有しております。当該子会社は、当社グループの連結子会社となってからの期間が短いことから、今後の急速な事業成長に管理体制の整備が追い付かない可能性があります。当社の管理部門において内部統制を含め管理体制の強化に努めておりますが、管理体制が不十分であることにより、法令違反や許認可に関わる手続き不備等によって、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

また、以下の主要なリスクが発生しております。

 

① M&A、出資等について

2022年11月に連結子会社化した株式会社ファイナンス・プロデュース及び2023年10月に連結子会社化したメールカスタマーセンター株式会社は、今後当社グループの業績に大きく貢献するものと見込んでおります。しかしながら、事業環境の変化等により業績が当初の想定を下回る場合、のれんの減損処理等が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。そのため、M&Aや出資等を通じて連結子会社化した各グループ会社の管理体制を整備し、当社グループ全体における戦略的な連携を進めることで相乗効果を発生させる等によりリスクへの耐性を高めてまいります。

 

② オフラインマーケティング業界の需要構造の変化について

当社グループのマーケティング支援事業はメールカスタマーセンター株式会社による紙のダイレクトメール(DM)発送代行業務を中心にサービス提供を行っております。紙のダイレクトメール(DM)は、販売促進を目的とするものをはじめ、公共サービスにおける各種通知や業務通信などに利用されるとともに、デジタルマーケティングとの組み合わせによる利用が図られるなど、顧客企業のプロモーション手法として広く定着しておりますが、将来において、顧客企業のプロモーション手法に大きな変化が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループのAIやデータサイエンスの知見も活用し、高付加価値なサービスを開発・提供する等、顧客企業から選ばれ続ける状態を目指し、事業リスク低減に取り組んでまいります。

 

③ 郵便制度改正について

当社グループのマーケティング支援事業はメールカスタマーセンター株式会社による紙のダイレクトメール(DM)発送代行業務を中心にサービス提供を行っております。郵便制度は、我が国のインフラとして持続性を有していますが、サービス内容や料金の改正によっては、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。そのため、郵便制度の変更が生じた際には、個別商品ごとの切替需要を取り込むことができるように、提供するサービスや価格を柔軟かつ機動的に変更する等によって、事業リスク低減に取り組んでまいります。

 

 なお、文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1) 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況

① 経営成績の状況

当社グループは、「UPGRADE JAPAN」をミッションとして掲げ、「データの真価を解き放ち、革新の連鎖を起こしていく」というヴィジョンを実現すべく、データサイエンスや機械学習、AIといった最先端の技術を社会に実装することを目指しております。

当第2四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの収束と景気の緩やかな持ち直しの動きが見られた一方で、国際的な紛争の長期化や国内外のマクロ経済におけるインフレ・金融引締めの傾向が見られる等、先行き不透明な状況が続きました。当社グループを取り巻く環境としましては、企業の競争力強化や人材不足への対応から、AIやDX(デジタルトランスフォーメーション)への急速な注目の高まりや、国内企業のIT投資の拡大局面が続いていること、「Chat GPT」をはじめとするLLM(大規模言語モデル)による技術革新が進展し生成AIの利活用に対する注目度が高まっていることなどが追い風となっております。また、政府の成長戦略において、産業競争力強化の観点からスタートアップ企業の支援及びスタートアップエコシステム強化の重要性が提唱されており、2022年は「スタートアップ創出元年」と定められ約1兆円の補正予算が閣議決定されました。2022年11月末には『スタートアップ育成5か年』が公表され、5年後の2027年度にはスタータップへの投資額を10倍超の10兆円規模にする目標が掲げられました。

 

そのような環境の中で、当社は従来のDX活用/AI導入の支援などの労働集約的なビジネスに加えて、自社AIソリューションを中心とした非労働集約的な収益の獲得も目指しており、AIソリューション開発プロジェクト獲得や研究開発、先行投資としての積極的な人材採用に注力いたしました。「Chat GPT」をはじめとするLLM(大規模言語モデル)の活用をテーマとするプロジェクトも増加しており、AIの利活用に対する需要の高まりに機動的に対応する形で事業運営を行っております。また、グループ会社の株式会社ファイナンス・プロデュースではスタートアップの資金調達やM&Aを助言する案件を多数獲得・執行し、メールカスタマーセンター株式会社では紙のダイレクトメール(DM)発送代行において既存顧客の取引窓口の拡大や新規受注の獲得を行いました。

 

AIソリューション事業については、AIソリューションの横展開事例の増加や、新規顧客獲得や既存顧客からのアップセル等もあり好調に推移しました。フィナンシャル・アドバイザリー事業については、ファイナンス戦略アドバイザリー及びスタートアップの資金調達助言等の案件を複数執行しました。マーケティング支援事業については、紙のダイレクトメール(DM)発送代行において既存顧客の取引窓口の拡大や新規受注の獲得が順調に進展しました。それらの結果、当第2四半期連結累計期間の売上高は5,634,201千円(前年同期比505.2%増)、売上総利益は662,572千円(前年同期比36.4%増)となりました。

AIソリューション開発プロジェクト(Joint R&D)の獲得、プロダクトやプラットフォームの構想及び開発、人材採用といった先行投資を引続き積極的に進めたことに伴い、営業利益は5,216千円(前年同期比90.3%減)となりました。

メールカスタマーセンター株式会社の連結子会社化に伴う借入金の支払手数料に伴い、経常損失は28,130千円(前年同期は経常利益46,678千円)、親会社株主に帰属する四半期純損失は73,078千円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純利益29,301千円)となりました。

 

セグメント別の経営成績は以下のとおりであります。

 

(AIソリューション事業)

AIソリューション事業については、AIソリューションの横展開事例の増加や、新規顧客獲得や既存顧客からのアップセル等もありましたが、一部案件の開始時期の遅れや収益獲得の遅延等がありました。この結果、売上高は822,966千円(前年同期比11.6%減)、セグメント損失は17,915千円(前年同期はセグメント利益54,039千円)となりました。

 

(フィナンシャル・アドバイザリー事業)

フィナンシャル・アドバイザリー事業については、ファイナンス戦略アドバイザリー及びスタートアップの資金調達助言等の案件を複数執行しました。この結果、売上高は72,825千円、セグメント損失は3,096千円となりました。

 

(マーケティング支援事業)

マーケティング支援事業については、当第2四半期連結会計期間より連結の範囲に含めたメールカスタマーセンター株式会社の紙のダイレクトメール(DM)発送代行において、既存顧客の取引窓口の拡大や新規受注の獲得が予算対比で順調に進展しました。この結果、売上高は4,738,410千円、セグメント利益は26,229千円となりました。

 

なお、当社グループの第2四半期連結累計期間におけるセグメント別の損益状況については「第4.経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」をご参照ください。

 

② 財政状態の状況

(資産)

当第2四半期連結会計期間末における資産合計7,771,838千円となり、前連結会計年度末に比べ3,550,730千円増加しました。これは主に、メールカスタマーセンター株式会社の連結子会社化に伴い、受取手形、売掛金及び契約資産が2,032,130千円、顧客関連資産が1,244,250千円、のれんが646,254千円増加したことによるものであります。

 

(負債)

当第2四半期連結会計期間末における負債合計は4,216,559千円となり、前連結会計年度末に比べ3,615,161千円増加しました。これは主に、メールカスタマーセンター株式会社の連結子会社化に伴い、買掛金が1,698,865千円、長期借入金が1,758,446千円増加したことによるものであります。

 

(純資産)

当第2四半期連結会計期間末における純資産合計は3,555,278千円となり、前連結会計年度末に比べ64,431千円減少しました。これは主に、親会社株主に帰属する四半期純損失を計上したことにより利益剰余金が73,078千円減少したことによるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して326,661千円減少し、2,819,753千円となりました。

当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当第2四半期連結累計期間における営業活動により支出した資金は、348,206千円(前年同期は120,467千円の収入)となりました。これは主に、賞与引当金の減少144,618千円、売上債権の増加215,288千円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当第2四半期連結累計期間における投資活動により支出した資金は、1,721,025千円(前年同期は496,977千円の支出)となりました。これは主に、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出1,716,515千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当第2四半期連結累計期間における財務活動により得られた資金は、1,742,570千円(前年同期は200,182千円の支出)となりました。これは主に、長期借入れによる収入1,740,000千円によるものであります。

 

(2) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当第2四半期連結累計期間において、重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定について、重要な変更はありません。

 

(3) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当第2四半期連結累計期間において、当社グループの経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について、重要な変更はありません。

 

(4) 研究開発活動

当第2四半期連結累計期間において当社グループが支出した研究開発費の総額は42千円であります。

 

(5) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当第2四半期連結累計期間において、当社グループの資本の財源及び資金の流動性についての分析について、重要な変更はありません。

 

(6) 経営成績に重要な影響を与える要因について

当第2四半期連結累計期間において、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「1 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

3【経営上の重要な契約等】

 当第2四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。