当第3四半期連結累計期間において、当四半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している以下の主要なリスクが発生しております。
なお、文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(継続企業の前提に関する重要事象等について)
当社グループは、2019年9月18日付「『事業再生計画』の株式会社東京証券取引所への提出に関するお知らせ」にて公表したとおり、産業競争力強化法に基づく特定認証紛争解決手続(事業再生ADR手続)の中で全てのお取引金融機関からご同意いただいた事業再生計画に沿って、事業再構築のための各施策に引き続き取り組んでおります。しかしながら、近年においては新型コロナウイルス感染症の世界的流行や部品不足による完成車メーカーの減産、原材料価格やエネルギーコストの市況高騰などの影響を大きく受け、安定的に資金を創出するに至っておりません。
このような状況下、当第3四半期連結累計期間末において、事業再生計画期間の末日である2024年6月30日を一括返済期日としている1年内返済予定長期借入金49,652百万円が、手元流動性26,202百万円(現金及び預金)に比して高水準であり、借入金の一括での返済に困難性が生じていることから、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象または状況が存在しております。このような状況を早期に解消するために、以下の対応策を実行し、収益性及び財務体質の改善を図ってまいります。
(1) 収益性の改善
事業再生計画に沿って、全ての拠点・事業部門において、できる限り早期の赤字脱却を実現すべく、聖域なき構造改革を実行しております。米国においては、最適な生産体制を確立するために1工場体制へのシフトに向けた検討を進めてまいりましたが、2023年10月20日開催の取締役会において、Akebono Brake, Elizabethtown Plant(米国ケンタッキー州)の生産を2025年12月までに終了・閉鎖することを決議いたしました。引き続き売上規模減少に応じた米国本社間接人員の削減により販管費を圧縮するとともに、オペレーションの適正化と生産性の向上により収益の確保を目指します。また、全ての地域において、原材料価格やエネルギーコストの市況高騰による影響の一部を販売価格へ転嫁することや、人員の適正化、生産性改善などの合理化を進めることにより、収益性の改善を図ってまいります。
(2) 財務体質の改善
保有資産の売却や投資案件の厳選及び抑制などを通じて、運転資金の安定的な確保に努めております。お取引金融機関に対しては、事業再生計画の進捗状況や当社グループの経営成績及び財政状態を定期的に報告し、事業再生計画期間終了後においても継続的な支援が得られるよう緊密な連携を続けてまいります。
しかしながら、これらの対応策は進捗の途上であり、お取引金融機関からの支援につきましても一定の理解は得られているものの、確約されているものではないことから、現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められます。
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものでありますが、予測しえない経済状況の変化等さまざまな要因があるため、その結果について、当社が保証するものではありません。
当社第3四半期(2023年4月1日~2023年12月31日)における当社グループを取り巻く事業環境は、世界的なインフレによる原材料価格・エネルギーコストの市況高騰や、各国の利上げによる景気の下振れリスクなど、依然として不透明な状況が続いております。
このような状況下、当第3四半期連結累計期間(注)における当社グループの業績は、半導体供給不足の影響が改善したことや、日本・北米・欧州を中心とした自動車需要の回復、円安の影響などにより、売上高は1,250億円と対前年同期比121億円(+10.7%)の増収となりました。
利益面では、原材料価格・エネルギーコストの高止まりによる負担増があったものの、それらの影響について販売価格への転嫁を進めたことや、生産性改善などの合理化の効果により、営業利益は11億円と対前年同期比10億円(+808.9%)の増益となりました。経常利益は、為替相場の変動により当社が保有する海外子会社への外貨建ての貸付金に対して発生した為替差益を計上し11億円となったものの、対前年同期比では△16億円(△59.7%)の減益となりました。
特別損益については、2022年6月に閉鎖したアラス工場(フランス)の不動産売却により固定資産売却益を計上しました。これにより、親会社株主に帰属する四半期純利益は2億円となったものの、対前年同期比では△18億円(△90.5%)の減益となりました。
セグメントごとの業績は次のとおりです。
① 日本
半導体の供給改善に伴う完成車メーカーの挽回生産による受注の増加、原材料価格やエネルギーコストの市況高騰影響の販売価格への転嫁などにより、売上高は518億円と対前年同期比20億円(+4.0%)の増収となりました。
利益面では、前期から継続する原材料価格やエネルギーコストの市況高騰影響があるものの、上記販売価格への転嫁に加え、前期に実施した早期退職措置等による労務費の適正化や生産性向上などの合理化により、営業利益は19億円と対前年同期比6億円(+47.4%)の増益となりました。
② 北米
半導体の供給改善に伴う完成車メーカーの挽回生産による受注増加に加え、前期の後半に立ち上がった新型車向け製品により、売上高は376億円と対前年同期比74億円(+24.4%)の増収となりました。
利益面では原材料価格やエネルギーコストの市況高騰影響の販売価格への転嫁に努めているものの、摩擦材製品の開発費用の増加、賃金上昇による労務費の増加、生産合理化や経費削減の大幅な遅れを背景に、営業損失は28億円(前期は営業損失23億円)となりました。
③ 欧州
前期にフランスのアラス工場を閉鎖したことによる売上高の減少がありましたが、半導体の供給改善に伴う完成車メーカーの挽回生産によりスロバキア工場の受注が増加したため、売上高は112億円と対前年同期比16億円(+16.8%)の増収となりました。
利益面では、アラス工場閉鎖による固定費削減効果やスロバキア工場の受注増加、生産性向上などの合理化により、営業利益は4億円(前期は営業損失3億円)となりました。
④ 中国
ガソリン車の購入税優遇政策の終了等で主要な日系完成車メーカーを中心に受注が減少した一方で、前期の後半に立ち上がった中国系完成車メーカー向け製品売上の増加により、売上高は91億円と対前年同期比0.2億円(+0.2%)の増収となりました。
利益面では、生産性向上などの合理化に取り組んだものの、主要な日系完成車メーカー向け製品の受注減少や利益率の高い摩擦材製品の生産が減少した影響により、営業損失は4億円(前期は営業損失4億円)となりました。
⑤ タイ
金利上昇やローン審査厳格化を主とした国内需要減退に加え、海外の完成車メーカー向け輸出製品の受注減少があったものの、円安影響により売上高は51億円と対前年同期比2億円(+3.5%)の増収となりました。
利益面では、生産性向上などの合理化に取り組んだものの、受注減少及びエネルギーコストなどの市況高騰影響により、営業利益は4億円と対前年同期比1億円(△13.8%)の減益となりました。
⑥ インドネシア
経済全体が堅調に推移しており、小型乗用車用製品を中心とした受注が好調なことから、売上高は187億円と対前年同期比15億円(+8.9%)の増収となりました。
利益面では、賃金上昇による労務費増加があったものの、受注増加や生産性向上などの合理化により、営業利益は14億円と対前年同期比2億円(+13.9%)の増益となりました。
(注) 当第3四半期連結累計期間とは
(1) 北米・中国・タイ・インドネシア:2023年1月~2023年9月
(2) 日本・欧州 :2023年4月~2023年12月 となります。
資産、負債及び純資産の状況
(資産)
当期末の資産は1,496億円と前期末比83億円の増加となりました。流動資産は773億円と前期末比35億円の増加となりました。これは主に、円安の影響などにより売上債権が19億円増加したことによるものです。固定資産は723億円と前期末比48億円の増加となりました。これは主に、株価の上昇により投資有価証券が24億円増加したこと並びに減価償却費を計上した一方で設備投資及び円安の影響により有形固定資産が18億円増加したことによるものです。
(負債)
当期末の負債は939億円と前期末比29億円の増加となりました。これは主に、円安の影響などにより仕入債務が13億円増加したことや、上述投資有価証券の増加に伴い繰延税金負債が8億円増加したことによるものです。なお、前期末比で固定負債の有利子負債が480億円減少し、流動負債の有利子負債が484億円増加しております。これは主に、返済期日が1年内となったことから、長期借入金が1年内返済予定の長期借入金に振り替わったことによるものです。
有利子負債残高500億円から「現金及び預金」を控除したネット有利子負債残高は238億円であります。
(純資産)
当期末の純資産は557億円と前期末比54億円の増加となりました。これは主に、株価の上昇により有価証券評価差額金が17億円増加したことや円安の影響により為替換算調整勘定が25億円増加したことによるものです。
当期末の現金及び現金同等物は、前期末比7億円増加の262億円となりました。
主な要因として、税金等調整前四半期純利益14億円や減価償却費48億円があった一方で、法人税等の支払額9億円などがあり、資金が増加となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
主な要因として、フランスにおける閉鎖した拠点の資産売却などにより有形及び無形固定資産の売却による収入5億円があった一方で、日本・北米・インドネシアを中心とした設備投資により有形及び無形固定資産の取得による支出28億円の計上などがあり、資金が減少となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
主な要因として、長期借入金の返済による支出12億円及び非支配株主への配当金の支払額4億円などにより、資金が減少となりました。
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針について重要な変更はありません。
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき課題について重要な変更はありません。
2019年9月18日付「『事業再生計画』の株式会社東京証券取引所への提出に関するお知らせ」にて公表したとおり、産業競争力強化法に基づく特定認証紛争解決手続(事業再生ADR手続)の中で全てのお取引金融機関からご同意いただいた事業再生計画に沿って、事業再構築のための各施策に引き続き取り組んでまいります。
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は1,786百万円であり、この他に日常的な改良に伴って発生した研究開発関連の費用は3,113百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
前連結会計年度末において計画中であった主要な設備の新設、休止、大規模改修、除却、売却等について、当第3四半期連結累計期間に著しい変更があったものは、次のとおりであります。
(重要な設備の除却等)
当社は2023年10月20日開催の取締役会において、米国子会社であるAkebono Brake Corporationの事業を縮小し、米国2工場のうち、Akebono Brake, Elizabethtown Plant(米国ケンタッキー州)の生産を終了・閉鎖することを決議いたしました。閉鎖予定は2025年12月です。
当第3四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。