第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当第3四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」について重要な変更があった事項は、以下のとおりです。変更箇所は下線で示しており、変更箇所の前後について記載を一部省略しております。また、以下の見出し及び本文中に付された項目番号は、前事業年度の有価証券報告書における「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3 事業等のリスク」の項目番号に対応したものです。

なお、文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります

 

(前略)

 

(1) 事業戦略・経営計画に関するリスク

(本文略)

 

① 当社の企業風土又は組織文化に関するリスク

募集品質問題に係る事案の事実関係及び原因等の究明に関して、日本郵政株式会社、日本郵便株式会社及び当社のいずれとも利害関係を有しない弁護士3名から構成される「かんぽ生命保険契約問題 特別調査委員会」が2019年12月に公表した調査報告書では、当社グループにおいて、「リスク事象を探知した際の原因追究・解決の先送り」、「問題の矮小化」並びに「部門間の横での連携不足及び上意下達の下での情報伝達の目詰まり」といった企業風土又は組織文化が従前から存在してきたことが指摘されました。当社グループでは、経営陣主導の下、健全な企業風土の醸成に取り組んでおり、中期経営計画においては、社員一人ひとりがやりがい(ES)を感じながら、会社とともに成長できる企業を目指しておりますが、かかる取り組みが奏功しない又は奏功するまでに想定以上の期間を要する場合には、類似の事案が再発するなど、当社グループの社会的信用、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(中略)

 

(3) 募集品質・コンプライアンスに関するリスク

① 保険募集プロセスにおける品質確保に関するリスク

当社グループは、募集品質問題の発生を受け、お客さまからの信頼の早期回復、並びに保険募集プロセスにおける法令遵守及びお客さま本位の意識の徹底による募集品質の確保・向上を図るため、お客さまの不利益の解消に向けたご契約調査等の対応や2020年1月に金融庁へ提出した業務改善計画に基づく再発防止策(健全な組織風土の醸成、適正な営業推進態勢の確立、適正な募集管理態勢の強化及び取締役会等によるガバナンスの強化)に最優先かつ着実に取り組んでまいりました。

今後、これらの取り組みが期待された効果を発揮しない又は効果の発揮までに想定以上の期間を要する場合には、当社グループに対するステークホルダーからの信頼の回復に影響を及ぼす可能性があります。さらに、お客さまのご意向に沿わず不利益となる事例や法令違反又は社内ルール違反となる事例が新たに判明する場合、保険契約に対する苦情や無効申請等のお申し出が発生する場合には、当社グループの社会的信用、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このように、今後、当社グループにおいて遵守すべき法令等の義務に反する行為が発生・発覚する場合、当該違反行為の規模や程度又は当社の取り組み状況によっては、監督当局から再度業務停止命令等の行政処分を受けるなど、当社グループの経営や事業の存続に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(後略)

 

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当第3四半期連結累計期間における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

営業面においては、当第3四半期連結累計期間における新契約年換算保険料は、個人保険が163億円増加659億円(前年同期比32.9%増)、第三分野が34億円増加82億円(同71.0%増)と回復基調が続くものの、保有契約年換算保険料については、個人保険が1,992億円減少3兆184億円(前連結会計年度末比6.2%減)(受再している簡易生命保険契約(保険)を含む)、第三分野が211億円減少5,719億円(同3.6%減)(受再している簡易生命保険契約を含む)といずれも減少となりました。

資産運用面においては、円金利資産と円金利負債のマッチングを図るALMの観点から公社債を中心に運用しております。前年度より引き続き、ヘッジ付外債の残高を縮小している一方で、主に国内株式の時価上昇やオルタナティブ資産への投資を継続した結果、収益追求資産の占率は17.1%となりました。平均予定利率は前年同期比で0.01ポイント下落し1.66%、基礎利益上の運用収支等の利回り(利子利回り)は為替に係るヘッジコストの増加等により前年同期比で0.03ポイント下落し1.80%となり、順ざやは前年同期と比べ77億円減少529億円となりました。キャピタル損益は、有価証券売却損益の改善等により、65億円のキャピタル益となりました。

当第3四半期連結累計期間における経常利益は、保有契約の減少が続く中、新型コロナウイルス感染症に係る保険金支払の減少により基礎利益が増加したことに加え、キャピタル損益の大幅な改善により、前年同期と比べ466億円増加1,254億円(前年同期比59.2%増)となりました。上記のキャピタル損益等については価格変動準備金により中立化され、親会社株主に帰属する四半期純利益は、651億円と前年同期と比べ110億円の減益(同14.5%減)となりました。

 

(1) 財政状態の状況及び分析・検討

当第3四半期連結会計期間末の総資産額は、保有契約の減少に伴い保険契約準備金が減少したことに対応し、有価証券が減少したこと等から、前連結会計年度末に比べ1兆7,016億円減少し、60兆9,857億円(前連結会計年度末比2.7%減)となりました。

 

① 資産の部

資産の部合計は、前連結会計年度末に比べ1兆7,016億円減少し、60兆9,857億円(前連結会計年度末比2.7%減)となりました。主な資産構成は、有価証券48兆4,998億円(同2.7%減)、金銭の信託5兆5,047億円(同15.3%増)及び貸付金3兆3,044億円(同8.4%減)となっております。

 

② 負債の部

負債の部合計は、前連結会計年度末に比べ2兆1,953億円減少し、58兆1,166億円(前連結会計年度末比3.6%減)となりました。その大部分を占める保険契約準備金は、保有契約の減少により52兆9,610億円(同3.9%減)となりました。

 

 

③ 純資産の部

純資産の部合計は、前連結会計年度末に比べ4,937億円増加し、2兆8,690億円(前連結会計年度末比20.8%増)となりました。純資産の部のうち、その他有価証券評価差額金は、前連結会計年度末に比べ4,727億円増加し、1兆2,706億円(同59.2%増)となりました。

 

なお、当第3四半期連結会計期間末における連結ソルベンシー・マージン比率(大災害や株価の大暴落など、通常の予測を超えて発生するリスクに対応できる「支払余力」を有しているかどうかを判断するための行政監督上の指標の一つ)は、1,035.9%と高い健全性を維持しております。

 

(2) 経営成績の状況及び分析・検討

① 経常収益

経常収益は、前年同期と比べ2,372億円減少し、4兆5,607億円(前年同期比4.9%減)となりました。経常収益の内訳は、保険料等収入1兆5,865億円(同5.0%減)、資産運用収益8,765億円(同2.2%増)、その他経常収益2兆975億円(同7.6%減)となっております。

 

a. 保険料等収入

保険料等収入は、保有契約の減少等により、前年同期に比べ833億円減少し、1兆5,865億円(前年同期比5.0%減)となりました。

b. 資産運用収益

資産運用収益は、総資産残高の減少に伴い利息及び配当金等収入が減少したものの、有価証券売却益や金銭の信託運用益等が増加したことから、前年同期に比べ186億円増加し、8,765億円(前年同期比2.2%増)となりました。

c. その他経常収益

その他経常収益は、責任準備金戻入額の減少等により、前年同期に比べ1,726億円減少し、2兆975億円(前年同期比7.6%減)となりました。

 

② 経常費用

経常費用は、前年同期と比べ2,839億円減少し、4兆4,353億円(前年同期比6.0%減)となりました。経常費用の内訳は、保険金等支払金が3兆8,615億円(同6.8%減)、資産運用費用が1,906億円(同1.9%増)、事業費が3,225億円(同2.1%減)、その他経常費用が604億円(同5.0%増)等となっております。

 

a. 保険金等支払金

保険金等支払金は、保有契約の減少等により、前年同期に比べ2,833億円減少し、3兆8,615億円(前年同期比6.8%減)となりました。

b. 資産運用費用

資産運用費用は、有価証券売却損が減少した一方で、金融派生商品費用が増加したこと等により、前年同期に比べ34億円増加し、1,906億円(前年同期比1.9%増)となりました。

c. 事業費

事業費は、業務委託手数料が減少したこと等から、前年同期に比べ70億円減少し、3,225億円(前年同期比2.1%減)となりました。

d. その他経常費用

その他経常費用は、退職給付引当金繰入額及び減価償却費の増加等により、前年同期に比べ28億円増加し、604億円(前年同期比5.0%増)となりました。

 

③ 経常利益

経常利益は、保有契約の減少が続く中で、新型コロナウイルス感染症に係る保険金支払の減少により基礎利益が増加したことに加え、キャピタル損益の大幅な改善により、前年同期に比べ466億円増加し、1,254億円(前年同期比59.2%増)となりました。

 

④ 特別損益

特別損益は、キャピタル損益の改善等により価格変動準備金の戻し入れが減少したこと等により、前年同期に比べ573億円減少し、155億円の利益となりました。

 

⑤ 契約者配当準備金繰入額

契約者配当準備金繰入額は、前年同期に比べ44億円増加し、481億円(前年同期比10.1%増)となりました。

 

⑥ 親会社株主に帰属する四半期純利益

経常利益に特別損益を加減し、契約者配当準備金繰入額及び法人税等合計を差し引いた親会社株主に帰属する四半期純利益は、キャピタル損益等が価格変動準備金により中立化されたこと等から、前年同期に比べ110億円減少し、651億円(前年同期比14.5%減)となりました。

 

なお、当社の当第3四半期累計期間における基礎利益は、1,697億円(前年同期比25.8%増)となりました。

 

 

(3) 対処すべき課題

当第3四半期連結累計期間開始日以降、本第3四半期報告書提出日までにおいて、前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営戦略及び対処すべき課題」について重要な変更があった事項は、以下のとおりです。変更箇所は下線で示しており、変更箇所の前後について記載を一部省略しております。また、以下の見出し及び本文中に付された項目番号は、前事業年度の有価証券報告書における「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4) 経営戦略及び対処すべき課題」の項目番号に対応したものです。

なお、文中の将来に関する事項は、本第3四半期報告書提出日現在において判断したものであります。

 

(当社における募集品質に係る諸問題について)

当社は、2019年度において発生した当社及び当社代理店の募集品質に係る諸問題に関し、2019年12月27日に金融庁から、保険業法第132条第1項に基づく業務停止命令(2020年1月1日から3月31日まで)及び業務改善命令を受け、2020年1月31日に業務改善計画を金融庁に提出し、その後定期的に進捗状況を報告してまいりました。

当社は、2023年12月26日付で、金融庁から、業務改善命令に基づく報告については、以後、提出を要しないこととし、改善状況の進捗については通常の監督・モニタリングにおいて継続的に確認していくこととする旨の通知を受けたことから、業務改善計画に係る報告及び公表を終了しております。

 

(後略)

 

(4) 研究開発活動

該当事項はありません。

 

(5) 主要な設備

当第3四半期累計期間において、新たに確定した主要な設備の取得の計画は次のとおりであります。

会社名

事業所名
(所在地)

セグメント

の名称

設備の内容

投資予定額

資金

調達方法

着手年月

完了予定

年月

投資総額
 (百万円)

既支払額
 (百万円)

提出会社

本社
(東京都品川区)

大崎ブライトタワー

(注1)

44,807

4,580

自己資金

2023年
 11月

2024年
3月

 

() 1.当該ビルの一部を自社所有とするものであります。なお、当社の本社機能の一部は、賃借により当該ビルに入居済みです。

2.当社グループは単一セグメントであるため、セグメント名称については記載を省略しております。

 

 

(参考1) 当社の保険引受の状況

(個人保険及び個人年金保険は、当社が独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構から受再している簡易生命保険契約を含みません。)

 

(1) 保有契約高明細表

(単位:千件、百万円)

区分

前事業年度末

(2023年3月31日)

当第3四半期会計期間末

(2023年12月31日)

件数

金額

件数

金額

個人保険

13,722

38,950,900

13,136

36,954,962

個人年金保険

686

972,944

567

804,872

 

(注) 個人年金保険の金額は、年金支払開始前契約の年金支払開始時における年金原資と年金支払開始後契約の責任準備金額を合計したものであります。

 

(2) 新契約高明細表

(単位:千件、百万円)

区分

前第3四半期累計期間

(自 2022年4月1日

至 2022年12月31日)

当第3四半期累計期間

(自 2023年4月1日

至 2023年12月31日)

件数

金額

新契約

転換による純増加

件数

金額

新契約

転換による純増加

個人保険

236

628,483

628,471

12

375

925,424

925,416

8

個人年金保険

0

357

357

0

1,655

1,655

 

(注) 1.件数は、新契約件数に転換後契約件数を加えた数値であります。なお、転換後契約とは、既契約の転換によって成立した契約であります。

2.個人年金保険の金額は、年金支払開始時における年金原資であります。

 

(3) 保有契約年換算保険料明細表

(単位:百万円)

区分

前事業年度末

(2023年3月31日)

当第3四半期会計期間末

(2023年12月31日)

個人保険

2,353,983

2,211,579

個人年金保険

244,689

203,157

合計

2,598,672

2,414,736

 

うち医療保障・
生前給付保障等

322,178

312,165

 

(注) 1.年換算保険料とは、1回あたりの保険料について保険料の支払方法に応じた係数を乗じ、1年あたりの保険料に換算した金額であります(一時払契約等は、保険料を保険期間等で除した金額)。

2.医療保障・生前給付保障等には、医療保障給付(入院給付、手術給付等)、生前給付保障給付(特定疾病給付、介護給付等)、保険料払込免除給付(障がいを事由とするものは除きます。特定疾病罹患、介護等を事由とするものを含みます。)等に該当する部分の年換算保険料を計上しております。

 

 

(4) 新契約年換算保険料明細表

(単位:百万円)

区分

前第3四半期累計期間

(自 2022年4月1日

至 2022年12月31日)

当第3四半期累計期間

(自 2023年4月1日

至 2023年12月31日)

個人保険

49,668

65,986

個人年金保険

29

140

合計

49,698

66,127

 

うち医療保障・
生前給付保障等

4,839

8,274

 

(注) 1.年換算保険料とは、1回あたりの保険料について保険料の支払方法に応じた係数を乗じ、1年あたりの保険料に換算した金額であります(一時払契約等は、保険料を保険期間等で除した金額)。

2.医療保障・生前給付保障等には、医療保障給付(入院給付、手術給付等)、生前給付保障給付(特定疾病給付、介護給付等)、保険料払込免除給付(障がいを事由とするものは除きます。特定疾病罹患、介護等を事由とするものを含みます。)等に該当する部分の年換算保険料を計上しております。

3.新契約年換算保険料は、新契約に係る年換算保険料に、既契約の転換による転換前後の年換算保険料の純増加分を加えた数値であります。

 

(参考2) 当社が独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構から受再している簡易生命保険契約の状況

(1) 保有契約高

(単位:千件、百万円)

区分

前事業年度末

(2023年3月31日)

当第3四半期会計期間末

(2023年12月31日)

件数

保険金額・年金額

件数

保険金額・年金額

保険

7,265

19,212,527

6,777

17,939,139

年金保険

1,240

407,337

1,184

386,299

 

(注) 計数は、独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構における公表基準によるものであります。

 

(2) 保有契約年換算保険料

(単位:百万円)

区分

前事業年度末

(2023年3月31日)

当第3四半期会計期間末

(2023年12月31日)

保険

863,712

806,873

年金保険

408,686

389,931

合計

1,272,398

1,196,805

 

うち医療保障・
生前給付保障等

270,889

259,768

 

(注) 当社が独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構から受再している簡易生命保険契約について、上記「(参考1) 当社の保険引受の状況 (3) 保有契約年換算保険料明細表」に記載しております個人保険及び個人年金保険の保有契約年換算保険料と同様の計算方法により、当社が算出した金額であります。

 

3 【経営上の重要な契約等】

当第3四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。