当社は、2024年2月15日付の取締役会で、米国カリフォルニア州に本社を置くソフトウェア企業であり、豪州証券取引所に上場するAltium Limited(以下「Altium社」)の発行済普通株式の全てを取得し、同社を当社の完全子会社とすること(以下「本件買収」)を決議しましたので、金融商品取引法第24条の5第4項ならびに企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第3号および第8号の2の規定に基づき、本臨時報告書を提出するものであります。
なお、本件買収にあたっては、豪州上場会社の株式を100%取得する方法の一つである豪州会社法に基づくScheme of Arrangement(以下「SOA」)の手続により、Altium社の全株式を現金にて取得する予定であり、同日付で、Altium社との間で、本件買収に関する合意内容を定めたScheme Implementation Agreement(以下「SIA」)を締結しました。
今後、Altium社株主、豪州裁判所および必要な規制当局の承認に加え、その他一般的な取引条件の充足を経たうえで、2024年下半期中に本件買収を完了する予定です。
(1)子会社取得の決定(企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第8号の2に基づく報告内容)
① 取得対象子会社に関する事項
(a) 商号、本店の所在地、代表者の氏名、資本金の額、純資産の額、総資産の額および事業内容
(b) 最近3年間に終了した各事業年度の売上高等
(カッコ内は、1米ドル151円換算)
(c) 提出会社との間の資本関係、人的関係および取引関係
② 取得対象子会社に関する子会社取得の目的
(a) 当社は、そのパーパスである「To Make Our Lives Easier」のもと、組み込み半導体ソリューションでのグローバルリーダーを企図し、組み込みプロセッサ(マイコン/SoC)、アナログ、パワー、コネクティビティと多岐に及ぶ製品ポートフォリオの拡充を進めてきました。さらに、より使いやすいユーザエクスペリエンス(UX)を実現し、クラウドベースの開発を可能とするためのデジタライゼーション戦略を推進しています。
Altium社は、世界初のPCB(プリント基板)設計ツールプロバイダーとして、1985年に豪州で創業し、現在世界で最も使用されているPCBソフトウェアツールを擁する電子機器設計のグローバルリーダーとしての地位を確立しています。
本件買収により、業界をリードする2社が一体となり、コンポーネント、サブシステム、システムレベル設計間のコラボレーションを可能にする、統合されたオープンな「電子機器設計・ライフサイクルマネジメントプラットフォーム(Electronics system design and lifecycle management platform)」を構築します。本件買収は、電子機器設計者にシステムレベルでのユーザエクスペリエンス(使いやすさ)の向上とイノベーションをもたらすことができ、当社のデジタライゼーション戦略を推進する上で、最初の重要な施策となります。
技術の進歩に伴い、電子機器やシステムの設計と統合はますます複雑化しています。現在の電子機器やシステムの設計フローは、部品の選択と評価、シミュレーションからプリント基板(PCB)の物理設計まで、複数の設計ステップに多くの関係者が携わる複雑で反復的なプロセスとなっています。設計者は、機能的であるだけでなく、効率的で費用対効果に優れたシステムを、短い開発サイクルで設計することが求められています。
当社とAltium社は、共通のビジョンのもと、統合されたオープンな電子機器設計・ライフサイクルマネジメントプラットフォームを共に構築し、上記の複雑な設計ステップの全てを、システムレベルで一元化させることを目指します。本件買収により、高性能プロセッサ、アナログ、パワー、コネクティビティからなる、当社の強力な組込みソリューションのポートフォリオとAltium社の洗練されたクラウドプラットフォームが統合されます。また、両社が一体となることで、エコシステム全体でサードパーティ・ベンダーなどとの設計の共有とコラボレーションも含めた電子設計プロセスをクラウド上でシームレスに実行できるようになります。当社とAltium社が目指す電子機器設計・ライフサイクルマネジメントプラットフォームは、様々な電子設計データと機能の統合・標準化を実現するとともに、電子機器設計に関する一連のライフサイクルマネジメントの強化を単一のプラットフォームで行うことが可能となります。同時に、プラットフォーム上でデジタルを活用した設計プロセスのイテレーション(設計サイクルの反復)を行うことができるため、全体的に生産性を向上できます。これにより、大幅に開発リソースを削減して効率化を進められることとなり、イノベーションが加速され、設計者の参入障壁が低下します。
さらに、本件買収により、当社の財務基盤は強化され、当社が推進するデジタライゼーション戦略が加速することで、大きな株主価値が創出されます。
本件買収は、シナジー効果の発現を待たずに直ちに収益に貢献します。さらに、本件買収の完了後に、売上増およびコスト削減のシナジー効果の発現を見込んでいます。
Altium社は、2億6,329万米ドル(1米ドル151円換算で約396億円)の収益、36.5%のEBITDAマージンを当社にもたらし、収益のうち、77%は継続的な収益発生が見込める経常収益に相当します。本記載のAltium社の数値は、2023年6月期の業績値です。
(b) 本件買収は、豪州会社法に基づくSOAにより実施されます。本件買収に係る提案に対するAltium社の株主総会における承認(投票議決権ベースで75%以上かつ出席投票株主の頭数の過半数による承認)、豪州裁判所における承認および関連する各国において必要となる当局の承認取得ならびにその他一般的な取引条件を満たすことにより、当社(または、当社完全子会社)は、同社の全株式を取得することができます。
本件買収においては、Altium社株式を1株あたり68.50豪ドル(総額約91億豪ドル、1豪ドル97円換算で約8,879億円)で取得する予定です。買収資金については主要取引銀行から新たに調達する予定の借入金および手許現金で充当することを想定しています。
③ 取得対象子会社に関する子会社取得の対価の額
取得対価 約91億豪ドル(1豪ドル97円換算で約8,879億円)
アドバイザリー費用等(概算額) 19百万豪ドル(同換算で約18億円)
(2)特定子会社の異動について(企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第3号に基づく報告内容)
① 当該異動に係る特定子会社の名称、住所、代表者の氏名、資本金または出資の額および事業の内容
上述(1)①(a)記載のとおり。
② 当該異動の前後における当社の所有に係る当該特定子会社の議決権の数および当該特定子会社の総株主等の議決権に関する割合
(注) 本日現在の完全希薄化ベースの株式数を基準としております(本件買収に伴う株式関連報酬の精算による希薄化等を反映)。小数点以下については四捨五入。
③ 異動の理由およびその年月日
(a) 異動の理由
上述(1)記載のとおり、当社は、Altium社を買収し、当社の完全子会社とすることを決議しました。同社は、その資本金または出資の額が当社の資本金の額の100分の10以上に相当するため、同社が当社の子会社となった場合、当社の特定子会社に該当することになります。
なお、本件買収に伴い、同社の子会社であるAltium LLC、Altium IP Co. Pty Ltd.およびAltium IP Hold Co. Pty.の3社も当社の子会社となります。これら3社の資本金または出資の額もそれぞれ当社の資本金の額の100分の10以上に相当するため、これら3社は、当社の特定子会社となる予定です。各社の情報については、分かり次第お知らせします。
(b) 異動予定の年月日
2024年下半期