文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、「リアルなITコミュニケーションで豊かな社会形成に貢献する」ことを経営理念とし、一部の先進企業だけでなく、全ての企業にすぐれたITのメリットを提供することを目指しております。この経営理念を実践するため具体的には以下の三つを行動指針としております。
①柔軟な思考と発想で、次世代のニーズをつかむ
②ゼロから何かを生み出す喜びをお客様とともに
③一人ひとりがパイオニア精神を持ち続けること
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、技術革新のスピードが速く、常に革新的な製品・サービスが求められるIT業界に属しております。そのような状況の中、当社は研究開発や難易度の高い開発を受託することで社内に技術を蓄積し、技術的優位性を維持しながら、市場ニーズに応じた革新的な製品・サービスを適切な時期に市場に投入することで、販売価格がリーズナブルながらも高い利益率を確保することを目標としてまいりました。当連結会計年度において、当社とは利益構造の異なる株式会社Pro-SPIREを子会社化したことにより、従来と比較して当社グループ全体として利益率が低下することとなりますが、中長期的に当社グループ内でのシナジーを追求し利益率の改善に努めてまいります。
具体的な経営指標としては、売上高成長率及び売上高経常利益率の向上に努めてまいります。当連結会計年度の売上高経常利益率は19.1%(前事業年度(単体)20.6%)となっております。なお、売上高成長率の実績値につきましては、当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため記載しておりません。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
2030年までに国内グループウェアのトップブランドとしてのポジションと評価を確立し、シェアNo.1、累計1000万ユーザーを目指してまいります(2020年1月末時点の販売累計ユーザー数:415万ユーザー)。当社グループの強みである信頼のある高い技術力、先進的なITの実用化に対するいち早い取り組みをさらに強化・挑戦し続けてまいります。
事業構造としましては、ソフトウェア事業においてクラウドサービス、サポートサービスの安定したストック型ビジネスに、当社が得意とするエンタープライズ向け製品・サービスのシェアを伸ばすことで、安定的な収益モデルを堅実に成長させるとともに、システム開発サービス事業とのシナジーの追求や海外子会社による新たな収益事業の立ち上げや海外販売にもチャレンジしてまいります。
(4) 経営環境及び対処すべき課題
インターネット関連技術や拡大するIoT技術は技術革新のスピードが速く、また、それに応じて業界標準及び利用者ニーズが急速に変化するなど当社の事業環境は日々変化しております。このような事業環境の中、当社グループが継続的に事業規模を拡大させていくためには、下記の課題への対応が必要であると考えております。
① 人材の確保と育成
当業界において優秀な人材を確保することは、企業の発展、成長に欠かせない要件となっております。当社グループにおいては、継続的に新卒採用を行い、その後の技術者等育成に注力してまいりました。今後も新卒採用を中心に人材採用を行い、優秀な人材へと育成していくという基本方針は変わりませんが、我が国は少子高齢化が進み、若い人材の不足は今後一層深刻となり、新卒採用による人材、特に技術者の確保が困難になっていくことが見込まれることから、採用活動の充実、強化に加え、中途採用や第二新卒、外国人をターゲットとした採用枠の拡大による技術者の確保・拡大にも努めてまいります。
また、人材の育成にも力を入れてまいります。特に技術者の育成については、環境の整備をはじめ、具体的な育成プログラムを整備し、短期間で高い水準の技術者育成を目指してまいります。
② 新たな顧客を創造する新製品・新サービスの開発・提供
スマートフォンやタブレットの普及拡大やクラウドコンピューティング市場の発展、AIやIoT技術の発展に伴い、それらの変化に対応した新製品・新サービス提供の重要性が高まっております。付加価値機能の追加などによる既存製品・サービスの強化充実、顧客ニーズを満たす新製品・新サービスの開発をさらに推し進めるとともに、新製品・新サービスの認知度の向上、販売チャネルの拡大に取り組んでまいります。
③ クラウドサービスの安定提供
ソフトウェア事業で展開しているクラウドサービスは、中期的に最も安定的な継続成長を見込んでおりますが、利用者の増加に対応してサービスを安定的かつ継続的に提供するためには、計画的なサービス基盤拡大と、しっかりした保守・運用体制の拡大と整備が必要となります。運用技術者の増強、チームの増強を図る他、データセンターとの連携を一層強化し、必要な体制を十分に整備するとともに、今後のサービス提供について、根本的なサービス基盤設計や運用設計に取り組んでまいります。
④グループシナジーの追求
当社グループは従来、ソフトウェア事業を展開しておりましたが、2019年8月に株式会社Pro-SPIREを子会社化したことに伴い、新たにシステム開発サービス事業が当社グループの事業に加わっております。今後は、当社グループのもつ経営資源を効率的に活用し、シナジー効果の実現に努め、当社グループの継続的な成長を目指してまいります。
⑤ 新規事業へのチャレンジ
既存事業を成長させ、中期的な収益目標を達成するとともに、AI、IoTといった先進的な情報技術の取り込みによる新しい製品や、インターネット技術を利用した新たなサービスモデルにも目を向け、グループ各社の経営資源を有効に活用することで顧客向けソリューション提供を新たな事業としてチャレンジしてまいります。また、海外への製品やサービスの販売にもチャレンジを続けてまいります。
中期の目標としては、今後の新たな事業の柱となるビジネスモデルを検討してまいります。
⑥ 財務報告に係る内部統制の強化
当社グループが継続的に成長可能な企業体質を確立するため、財務報告に係る内部統制の強化が重要な課題と認識しております。
業務の有効性及び効率性を高めるべく、金融商品取引法に基づく内部統制報告制度への適切な対応を推進してまいります。また、財務報告に係る内部統制が有効かつ適正に行われる体制の運用・評価を継続的に行うことで、経営の公正性・透明性の確保に努めるとともに、当社の業績管理体制を確立し、更なる内部統制の強化に努めてまいります。
以下において、当社グループの事業展開その他に関してリスク要因となり得る主な事項及び投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を記載しております。
なお、文中の将来に関する事項は、本報告書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅したものではありません。
(1) インターネット技術分野における技術革新について
当社グループの製品・サービス群はインターネット技術を基盤にしておりますが、インターネット関連技術は技術革新のスピードが速く、それに応じて業界標準及び利用者ニーズが急速に変化し、関連製品やサービスが逐次生み出されております。当社も技術革新及び顧客ニーズの変化に対応すべく、積極的に最新の情報の収集、技術の蓄積及びそれらの技術を使用した製品・サービスの開発に取り組んでおります。しかしながら、当社の対応力を上回る急激な技術革新が生じた場合、当社グループの製品やサービスの陳腐化や競争力の低下を引き起こし、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(2) システムダウン及び情報セキュリティに係るリスクについて
当社グループがクラウドで提供しているソフトウェアは、サービスの基盤をインターネット通信網に依存しております。従って、自然災害や事故によりインターネット通信網が切断された場合には、クラウドサービスの提供が不可能となります。また、予想外の急激なアクセス増加による一時的な過負荷によるサーバーダウンや、当社グループや取引先のハードウェアやソフトウェアの不具合等により、当社グループのクラウドサービスが停止する可能性があります。このようなシステム障害等が発生し、サービスの安定的な提供が行えないような事態が発生した場合には、当社グループの業績の低下につながる可能性があります。また、コンピューターウィルスの混入や外部からの不正な手段によるサーバー内への侵入による顧客情報等の漏洩、役職員の過誤等による重要なデータの消去等の可能性があり、このような事態が発生した場合には、当社グループに直接的・間接的な損害が発生する可能性があるほか、当社グループのクラウドサービスへの信用が失墜し、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 業績の変動要因について
当社グループで展開するソフトウェア事業においては、競合他社との差別化を図るために、新製品及びバージョンアップ製品等への開発投資を常に行い、開発した製品等を随時市場に投入しております。当社グループは投入した新製品等のソフトウェアに係る減価償却を比較的短期間にて実施する方針をとっておりますので、それらを市場に投入する時期によっては、四半期決算の減価償却費が増加又は減少し、当該四半期の収益が大幅に変動する可能性がありますが、当該四半期決算の経営成績だけをもって、当社グループの当該連結会計年度又は次年度の経営成績を見通すことは困難である点には留意する必要があります。
(4) 特定のデータセンター業者への依存について
当社グループが提供するクラウドサービスのサービス基盤としては、安全性、安定性、価格を総合的に勘案し、エクイニクス・ジャパン株式会社のデータセンターを中心に利用しております。今後、大規模自然災害の発生等の理由によりエクイニクス・ジャパン株式会社がサービスを継続できなくなった場合や、当社へのサービス提供を中止した場合には、他社のサービス基盤も利用できる体制を構築しているものの、当社グループの事業及び業績に悪影響を与える可能性があります。また、特定事業者への依存度を低下させる目的で、他の事業者の利用を拡大する場合、一定期間データセンター利用料が重複で発生することや移行作業費用がかかることから、業績に悪影響を与える可能性があります。
(5) 知的財産権について
当社グループはIT業界に属しており、知的財産権の保護については重要な課題であると認識しております。ただし、製品の開発過程等において意図しない形で、第三者の知的財産権等を侵害する可能性があります。そうした事態が生じた場合、当該第三者より損害賠償の訴訟等が提起され、不測の損害が生じる可能性があります。
(6)特定人物への依存について
代表取締役である社長齋藤晶議(戸籍名:齊藤章浩)は、当社グループの創業以来の最高経営責任者であり、事業の立案や運営、開発活動の遂行等についてリーダーシップを発揮しております。
こうした属人的な経営体制を改めるために、権限の委譲や業務分掌に取り組んだ結果、事業展開における当人への依存度は低下しつつありますが、今後不慮の事故等何らかの理由により当人が当社グループの事業展開に関与することが困難になった場合には、当社グループの事業及び業績に悪影響を与える可能性があります。
(7) 技術者の人材確保と育成について
当社グループは、継続的に技術者の新卒採用を行い技術者の育成に努めております。しかしながら、学生の理系離れや団塊世代の退職による採用需要の高まりにより、新卒採用で優秀な人材を適切に確保することの困難性が高まっております。今後一層、新卒採用に注力してまいりますが、人材の確保及び育成が計画通りに進まなかった場合には、当社グループの事業展開に支障が生じ、当社グループの事業成長及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 法的規制について
現時点において、当社グループの事業展開上の障害となるような法的規制はないと認識しておりますが、「個人情報の保護に関する法律」、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(労働者派遣法)」など当社グループの事業に関連する現行法令の拡大や新法令の制定により、当社グループの事業活動の領域が制約を受ける可能性があり、当社グループの経営成績に悪影響を与える可能性があります。
(9) 海外事業の展開について
海外事業については、当社グループの中長期的な成長機会と位置付けております。当連結会計年度に新設した海外子会社2社(非連結子会社)につきましては、次年度中に事業を本格化することを計画しておりますが、世界的な新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大に伴い、事業の立ち上げが計画通りに進展せず、当初の計画よりも投資の先行期間が長期化し、当社グループの業績に貢献するまでに時間を要することとなる可能性があります。
また、海外事業の拡充に伴って、法律・規制・租税制度の予期しない変更や社会的混乱など、各国における諸事情の変化や為替などの市場動向が、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(10) 有価証券及び投資有価証券の価値変動について
当社グループが、当連結会計年度末において保有している有価証券及び投資有価証券(関係会社株式を除く)は1,236,115千円と総資産の約2割を占めております。このうち、823,914千円は余資運用を目的とした市場価格を有する米ドル建または円建の社債及び外貨建MMFであり、安全性と流動性の高い金融商品と認識しておりますが、金利や為替レートの変動、または発行体の信用リスクの変動により投資価値が大幅に減少した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、純投資として株式(上場株式、非上場株式各1銘柄)等を保有しておりますが、株式市場における大幅な株価下落、為替レートの変動、投資先の事業が計画通り進捗しないことによる財務状況の悪化等により投資価値が大幅に減少した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループは、当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、原則として前連結会計年度との比較・分析は行っておりません。
当連結会計年度におけるわが国の経済は、企業収益や雇用環境の改善が見られ、緩やかな景気回復基調が継続したものの、米中に端を発する通商摩擦や新型感染症の流行など先行きが不透明な状況が継続しております。
当社グループが属するIT業界におきましては、国内経済が緩やかな回復基調にあることに加え、働き方改革や人手不足、東京オリンピックや緊急時対応のためのテレワークへの関心の高まりなどを背景に、業務効率化を目的とした企業のIT投資額も増加することが見込まれております。
このような状況の中、当社グループは「リアルなITコミュニケーションで豊かな社会形成に貢献する」という経営理念を実現すべく、顧客ニーズに応える様々な製品・サービスを開発・提供しており、今後も新製品・新サービスの開発・提供にチャレンジしてまいります。既存製品・サービスを維持したうえで、新製品・新サービスの開発・提供を行うためには、技術者を確保することが重要であると認識しておりますが、近年は技術者の獲得競争が激しくなっており、継続的に技術者を採用し、育成することが重要な課題となっております。
このような課題認識のもと、2019年8月にシステムインテグレーションを主な事業とする株式会社Pro-SPIREを子会社化いたしました。今後、株式会社Pro-SPIREの技術者を活用することを含め、当社グループ全体としての成長を実現してまいります。
一方で、長期的には日本国内は人口減少が見込まれており、それに伴い当社グループが提供する製品・サービスを利用する労働人口も減少していくことが予想されます。このような状況において、中長期的に成長を継続していくためには海外へのチャレンジが不可欠であると認識しております。このような認識のもと、2019年6月には世界市場進出を目的とした、グローバルマーケティングとグローバルアライアンスを推進するため、米国カリフォルニア州に完全子会社を設立いたしました。さらに、2019年12月にはアジアでの新規事業立ち上げのため現地企業とマレーシアに合弁会社を設立いたしました。なお、海外子会社の本格的な稼働開始は2021年1月期中を予定しております。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は3,742,984千円、営業利益は699,063千円、経常利益は717,259千円、親会社株主に帰属する当期純利益は495,039千円となりました。
当連結会計年度におけるセグメント別の状況は以下のとおりであります。なお、当社グループの報告セグメントは、従来「ソフトウェア事業」の単一セグメントでありましたが、株式会社Pro-SPIREが連結子会社となったことに伴い、当連結会計年度より「システム開発サービス事業」を報告セグメントに追加しております。
(ソフトウェア事業)
ソフトウェア事業は当社の個別の業績で構成されるため、当社の前事業年度実績との比較を行っております。
(a) クラウドサービス
クラウドにて提供する、desknet's NEOクラウド版の利用ユーザー数が順調に推移したことにより、同サービスの売上高は前年同期比246,364千円増加し、1,416,155千円(前年同期比21.1%増)となりました。また、ChatLuckクラウド版はクラウドサービス全体に占める売上の割合はいまだ小さいものの、前年同期と比較して19,605千円増加し、48,597千円(前年同期比67.6%増)と順調に利用ユーザー数が拡大しております。この他、ASP事業者向けの売上高は、おおむね前年同期と同水準で推移し126,548千円(前年同期比2.5%増)となりました。
以上の結果、クラウドサービス全体での売上高は前年同期比270,089千円増加し、1,767,767千円(前年同期比18.0%増)となりました。
(b) プロダクト
中小規模ユーザー向けのdesknet's NEOスモールライセンスにつきましては、クラウドサービスでの利用を希望されるお客様が増加していることもあり、売上高は前年同期比7,875千円減少し、67,401千円(前年同期比10.5%減)となりました。desknet's NEOスモールライセンスにつきましては、クラウドサービスの利用が一般化してきているため長期的には減少傾向にあると認識しております。また、大規模ユーザー向けのdesknet's NEOエンタープライズライセンスにつきましては、堅調に推移し売上高は前年同期比3,619千円増加し、198,931千円(前年同期比1.9%増)となりました。desknet's NEOエンタープライズライセンスにつきましては、大規模ユーザーの企業様等では運用人員を含めた環境が整っていることが多く、クラウド版での利用よりも大規模ユーザーになるほどユーザ単価面でのメリットが大きいことから、当面、desknet's NEOエンタープライズライセンスの需要が大きく減少することは想定しておりません。
AppSuiteライセンスにつきましても堅調に推移しており、売上高は前年同期比7,882千円増加し、46,881千円(前年同期比20.2%増)となりました。
カスタマイズにつきましては、例年と比較して規模の大きい案件を受注したことにより、売上高は前年同期比44,190千円増加し、106,510千円(前年同期比70.9%増)となりました。また、desknet's NEO(旧製品を含む)のサポートサービスの売上高につきましては、前年同期比31,630千円増加し、572,278千円(前年同期比5.9%増)となりました。この他、当社製品との連携製品であるID統合管理ソフトウェアなどの転売売上が前年同期比33,854千円増加し、56,424千円(前年同期比150.0%増)と大きく増加しましたが、一過性の要因によるものと考えております。
以上の結果、プロダクト全体での売上高は前年同期比181,737千円増加し、1,236,288千円(前年同期比17.2%増)となりました。
(c) 技術開発
技術開発につきましては、積極的に受託開発を行う方針ではないため、ECサイト関連の継続案件や過年度に受託したシステムの保守により、売上高は77,870千円(前年同期比29.0%減)となりました。
以上の結果、ソフトウェア事業の売上高は3,081,926千円(前年同期比15.8%増)、セグメント利益は639,381千円(前年同期比21.0%増)となりました。
(システム開発サービス事業)
システム開発サービス事業は、当連結会計年度に子会社となった株式会社Pro-SPIREが展開する事業で構成されており、同社が長年培ってきたクラウドインテグレーション、システムインテグレーションのノウハウを基礎に技術者の育成を図り、先端技術を活用し新たな顧客ニーズを満たすシステムエンジニアリングサービスを主に提供しております。
なお、2019年9月30日をみなし取得日として同社を子会社化し、同社の決算日を6月30日から1月31日に変更しております。この変更に伴い、システム開発サービス事業の業績につきましては2019年10月1日から2020年1月31日までの4か月分となっております。
システム開発サービス事業においては、従来からのシステム・インテグレーションサービスの維持・規模の拡大に加え、主要顧客である生損保業界のシステム構築において、基幹系(SoR)と情報系(SoE)のノウハウを両輪で持つことを強みとしての提案、受注活動を実施し、収益力・生産性を高める取り組みを実施いたしました。
以上の結果、システム開発サービス事業の売上高は661,857千円、セグメント利益は59,681千円となりました。
② 財政状態
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は5,788,285千円となりました。この主な内訳は、現金及び預金が2,996,478千円、投資有価証券が1,109,062千円、売掛金が538,292千円であります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は1,931,872千円となりました。この主な内訳は、前受収益が533,587千円、退職給付に係る負債が288,110千円、未払法人税等が198,382千円、買掛金が154,106千円であります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は3,856,413千円となりました。この主な内訳は、資本金が291,880千円、資本剰余金が328,164千円、利益剰余金が3,199,020千円であります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は2,804,969千円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは764,320千円の収入となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上714,490千円、減価償却費の計上112,647千円、前受収益の増加63,639千円により資金が増加した一方で、法人税等の支払185,668千円により資金が減少したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは464,683千円の支出となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出189,797千円、米国子会社(非連結子会社)の設立に伴う関係会社株式の取得による支出107,885千円、株式会社Pro-SPIREの子会社化に伴う連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出102,823千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは101,632千円の支出となりました。これは主に、配当金の支払88,775千円、長期借入金の返済による支出18,440千円によるものであります。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
(注)1.各指標の計算方法は、次のとおりであります。
自己資本比率=自己資本÷総資産
時価ベースの自己資本比率=株式時価総額÷総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率=有利子負債÷営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ=営業キャッシュ・フロー÷利払い
2.各指標はいずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
3.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
4.営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書におけるキャッシュ・フローを使用しております。
5.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っているすべての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
当社グループは受注開発を行っておりますが、受注高及び受注残高の金額に重要性はありません。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示しますと、次の通りであります。
(注) 1.セグメント間の取引は相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
4.ソフトウェア事業及び合計額の前年同期比は、当社前事業年度の売上金額との比較によっております。
5.システム開発サービス事業は、株式会社Pro-SPIREを子会社化したことにより当連結会計年度より発生した事業であるため、前年同期比の記載は行っておりません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績や現状を勘案し合理的に判断しておりますが、実績の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a) 経営成績の分析
以下の「経営成績の分析」において、ソフトウェア事業につきましては、当社の事業から構成されるため前事業年度の当社業績との比較・分析を行っております。
(売上高)
当連結会計年度における売上高は3,742,984千円となりました。このうち、661,057千円は当連結会計年度において株式会社Pro-SPIREを連結子会社化したことに伴うシステム開発サービス事業の売上によるものであります。なお、同社の損益につきましては2019年10月1日から2020年1月31日までの4か月を連結しております。ソフトウェア事業の売上高は前事業年度より419,976千円増加し3,081,926千円(前年同期比15.8%増)となりました。これは主にクラウドサービスの売上高が270,089千円(前年同期比18.0%増)、プロダクトの売上高が181,737千円(前年同期比17.2%増)増加したことによるものであります。クラウドサービスの売上高増加は、当社の中核クラウドサービスであるdesknet's NEOクラウド版のユーザー数が順調に拡大したことを主な要因とするものであり、プロダクトの売上高増加は、主にカスタマイズの売上高、サポートサービスの売上高及び転売商品の増加によるものであります。
(売上原価)
当連結会計年度における売上原価は1,519,175千円となりました。このうち532,632千円は当連結会計年度において株式会社Pro-SPIREを連結子会社化したことに伴うシステム開発サービス事業の売上原価によるものであります。ソフトウェア事業の売上原価は前事業年度より109,783千円増加し986,552千円(前年同期比12.5%増)となりました。これは、技術者の新卒採用やサポート人員の強化等を主な要因として労務費が31,283千円増加したこと、クラウドサービスの売上増加に伴いデータセンタ利用料が53,516千円増加したこと、連携サービスの売上増加等に伴いライセンス料が40,226千円増加したことに加え、転売商品の仕入が46,346千円増加した一方で、販売目的ソフトウェアの減価償却費が減少したことを主要因として減価償却費が41,405千円減少したこと、製品製造を行う技術者による開発活動の増加のため研究開発費への振替額が61,327千円増加したことなどを主な要因とするものであります。
この結果、当連結会計年度の売上総利益は2,223,808千円となりました。
(販売費及び一般管理費)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は1,524,744千円となりました。このうち68,752千円は当連結会計年度において株式会社Pro-SPIREを連結子会社化したことに伴うシステム開発サービス事業の販売費及び一般管理費によるものであります。ソフトウェア事業の販売費及び一般管理費は前事業年度より199,146千円増加し1,455,992千円(前年同期比15.8%増)となりました。これは主に、従業員の増加等による給料及び手当が49,642千円増加したこと、研究開発費が67,341千円増加したこと、及び業務委託費が50,961千円増加したことによるものであります。
この結果、当連結会計年度の営業利益は699,063千円となりました。
(営業外損益)
当連結会計年度における営業外収益は23,213千円となりました。これは主に、余剰資金の運用目的で保有している社債の利息によるものであります。また、営業外費用は主に投資事業組合運用損が4,690千円発生したことにより5,018千円となりました。
この結果、当連結会計年度の経常利益は717,259千円となりました。
(特別損益、当期純利益及び親会社に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における特別利益は車両の買い替えに伴う固定資産売却益870千円によるものであります。また、特別損失は、保有していた非上場株式の評価減を実施したことによる投資有価証券評価損3,638千円によるものであります。また、法人税、住民税及び事業税(法人税等調整額を含む)は219,451千円となりました。
この結果、当連結会計年度の当期純利益、親会社株主に帰属する当期純利益は495,039千円となりました。
(b) キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況の分析については「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(c) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの主な資金需要は、労務費、経費並びに販売費及び一般管理費等の運転資金となります。これらにつきましては、基本的に営業活動によるキャッシュ・フローや自己資金で対応していくこととしております。なお、現在の現金及び現金同等物の残高、営業活動から得る現金及び現金同等物の水準については、当面事業を継続していくうえで十分な流動性を確保しているものと考えております。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループは、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境の変化や組織体制の整備等、さまざまなリスク要因が当社の成長や経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。そのため、当社グループは、常に新技術の動向や市場動向に留意しつつ、内部管理体制を強化し、優秀な人材を確保育成し、顧客ニーズを満たす製品・サービスを開発し提供していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因の低減を図ってまいります。
(株式会社Pro-SPIREの株式取得)
当社は、2019年8月23日開催の取締役会において、株式会社Pro-SPIREの株式を取得して子会社化することを決議し、同日付で同社の既存株主と株式譲渡契約を締結いたしました。また、当該契約に基づき、2019年8月30日付で議決権株式の100%を取得いたしました。
なお、詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載しております。
インターネット関連技術や拡大するIoT技術は技術革新の進捗が早く、またそれに応じて業界標準及び利用者ニーズが急速に変化するため、新技術・新製品・新サービスが相次いで登場しております。そこで当社グループは、これらの新技術の習得に積極的に取り組み、顧客の求める質の高い新製品・新サービスを低価格で提供できるように研究開発に取り組んでおります。
当連結会計年度における研究開発費の総額は