第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

 当社グループは、「リアルなITコミュニケーションで豊かな社会形成に貢献する」ことを経営理念とし、一部の先進企業だけでなく、全ての企業にすぐれたITのメリットを提供することを目指しております。この経営理念を実践するため具体的には以下の三つを行動指針としております。

①柔軟な思考と発想で、次世代のニーズをつかむ
②ゼロから何かを生み出す喜びをお客様とともに
③一人ひとりがパイオニア精神を持ち続けること
 

(2) 目標とする経営指標

 当社グループは、技術革新のスピードが速く、常に革新的な製品・サービスが求められるIT業界に属しております。そのような状況の中、当社は研究開発や難易度の高い開発を受託することで社内に技術を蓄積し、技術的優位性を維持しながら、市場ニーズに応じた革新的な製品・サービスを適切な時期に市場に投入することで、販売価格がリーズナブルながらも高い利益率を確保することを目標としてまいりました。前連結会計年度第3四半期会計期間より、当社とは利益構造の異なる株式会社Pro-SPIREを子会社化したことにより、従来と比較して当社グループ全体として利益率は低下しておりますが、中長期的に当社グループ内でのシナジーを追求し利益率の改善に努めてまいります。
 具体的な経営指標としては、売上高成長率及び売上高経常利益率の向上に努めてまいります。当連結会計年度の売上高成長率は42.3%、売上高経常利益率は17.8%(前連結会計年度19.1%)となっております。なお、前連結会計年度においては、子会社化した株式会社Pro-SPIREの損益計算書が4か月分のみ連結されております。また、売上高成長率の前期実績値につきましては、前連結会計年度より連結財務諸表の作成を開始したため記載しておりません。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

 2030年までに国内グループウェアのトップブランドとしてのポジションと評価を確立し、シェアNo.1、累計1000万ユーザーを目指してまいります(2021年1月末時点の販売累計ユーザー数:438万ユーザー)。当社グループの強みである信頼のある高い技術力、先進的なITの実用化に対するいち早い取り組みをさらに強化・挑戦し続けてまいります。

 事業構造としましては、ソフトウェア事業においてクラウドサービス、サポートサービスの安定したストック型ビジネスに、当社が得意とするエンタープライズ向け製品・サービスのシェアを伸ばすことで、安定的な収益モデルを堅実に成長させるとともに、システム開発サービス事業とのシナジーの追求や海外子会社による新たな収益事業の立ち上げや海外販売にもチャレンジしてまいります。

 

(4) 経営環境及び対処すべき課題

 インターネット関連技術は、技術の進歩が著しく、それに応じて業界標準及び利用者ニーズが急速に変化するなど当社の事業環境は日々変化しております。ソフトウェア事業においては、多様なユーザーニーズに応えるためクラウドサービスおよびライセンス(オンプレミス)の双方で販売を行っておりますが、クラウドサービスの利用が一般的に拡大していることから、今後もクラウドサービスの売上は安定的に成長すると想定しております。この結果、ソフトウェア事業の売上に占めるクラウドサービスの割合は今後も増加していくものと考えております。ライセンスについては、クラウドサービスの利用が広がっているものの、大規模ユーザーにおいては、運用環境が整備されていることや価格面からライセンスを選択する傾向が当面継続すると想定しております。このような中、当社製品は、大規模ユーザーで使用した場合の性能と価格面で特に競争力を有すると考えており、大規模ユーザー向けのライセンス販売は今後も安定的に推移すると見込んでおります。

 

 高性能でありながら低価格な製品・サービスの開発を可能とすることができるのは、社内に蓄積された高い技術力に起因するものであると認識しております。そのため、今後も技術力を維持し、さらに高めていくためには優秀な技術者の採用・育成が重要でありますが、優秀な技術者の採用競争は激化しております。

 また、当社は、職場におけるコミュニケーション、情報共有を円滑にすることに資するよう製品・サービスの開発を行ってまいりましたが、コロナ禍を契機して、リモートワークの拡大による職場という概念自体の変化、働き方に対する意識の変化、デジタルトランスフォーメーション(DX)の急速な進展などの変化に対応した製品・サービスを継続的に開発していくとともに、既存製品・サービスの認知度を高めていくことが重要であると認識しております。

 システム開発サービス事業においては、顧客企業のIT投資動向の影響を受けるものの、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進など競争力を確保するためのIT投資は当面底堅く推移するものと想定しております。このような中、システム開発サービス事業の売上は当面安定的に推移すると想定しておりますが、人員等の制約によりボリュームを大きく増加させることは現実的ではなく、また、将来的にはビジネススピードを重視し内製化が進むことも想定されるため、デジタルトランスフォーメーション(DX)の実現に求められる技術力を蓄積し、より付加価値の高いサービスの提供にシフトしていくことが重要であると認識しております。

 このような事業環境の中、当社グループが継続的に事業規模を拡大させていくためには、下記の課題への対応が必要であると考えております。

 

① クラウドサービスの安定提供

 ソフトウェア事業で展開しているクラウドサービスは、ソフトウェア事業の売上の約6割を占める規模に成長しており、今後も中期的に安定的な継続成長を見込んでおりますが、利用者の増加に対応してサービスを安定的にかつ継続的に提供するためには、計画的なサービス基盤拡大と、しっかりした保守・運用体制の拡大と整備が必要となります。運用技術者の増強、チームの増強を図る他、データセンターとの連携を一層強化し、必要な体制を十分に整備するとともに、今後のサービス提供について、サービス基盤設計や運用設計に取り組んでまいります。

 

人材の確保・育成

 当社グループが属する業界において優秀な人材を確保することは、企業の発展、成長に欠かせない要件となっております。当社グループにおいては、継続的に新卒採用を行い、その後の技術者等育成に注力してまいりました。今後も新卒採用を中心に人材採用を行い、優秀な人材へと育成していくという基本方針は変わりませんが、我が国は少子高齢化が進み、若い人材の不足は今後一層深刻となり、新卒採用による人材、特に技術者の確保が困難になっていくことが見込まれることから、採用活動の充実、強化に加え、即戦力としての中途採用による技術者の確保・拡大にも努めてまいります。

 また、多様化し急速に変化していく事業環境の中で、当社グループの継続的な成長を達成するため、外部研修の活用等により新たな技術・知識の学習機会の提供に努めてまいります。

 

新たな顧客を創造する新製品・新サービスの開発・提供

 スマートフォンやタブレットの普及拡大やクラウドコンピューティング市場の発展、AIやIoT技術の発展に伴い、それらの変化に対応した新製品・新サービス提供の重要性が高まっております。付加価値機能の追加などによる既存製品・サービスの強化充実、顧客ニーズを満たす新製品・新サービスの開発に取り組んでまいります。

 

④ 当社グループ及び製品・サービスの認知度向上

 当社の主力製品・サービスであるdesknet's NEOは、株式会社日経BP発行の「日経コンピュータ」誌による顧客満足度調査2020-2021のグループウエア/ビジネスチャット部門で6年連続で1位を獲得するなど、当社製品・サービスを御利用頂いているユーザーからは高い評価を獲得しております。しかしながら、当社グループ及び製品・サービス、特にdesknet's NEO以外の製品・サービスの認知度は十分ではないと認識しております。

 新型コロナウイルス感染症の影響も考慮のうえ、より効果的な訴求方法を検討し、当社グループ及び製品・サービスの認知度の向上に努めてまいります。

 

 

⑤ 新規事業へのチャレンジ

 既存事業を成長させ、中期的な収益目標を達成するとともに、AI、IoTといった先進的な情報技術の取り込みによる新しい製品や、インターネット技術を利用した新たなサービスモデルにも目を向け、グループ各社の経営資源を有効に活用することで顧客向けソリューション提供を新たな事業としてチャレンジしてまいります。また、海外への製品やサービスの販売にもチャレンジを続けてまいります。
 中期の目標としては、今後の新たな事業の柱となるビジネスモデルを検討してまいります。

 

⑥ 財務報告に係る内部統制の強化

 当社グループは、ASEAN地域を中心として海外事業の展開を開始するなど事業活動範囲を拡大しております。このような中、当社グループが継続的に成長可能な企業体質を確立するため、財務報告に係る内部統制の強化が重要な課題と認識しております。

 業務の有効性及び効率性を高めるべく、金融商品取引法に基づく内部統制報告制度への適切な対応を推進してまいります。また、財務報告に係る内部統制が有効かつ適正に行われる体制の運用・評価を継続的に行うことで、経営の公正性・透明性の確保に努めるとともに、当社の業績管理体制を確立し、更なる内部統制の強化に努めてまいります。

 

 

2 【事業等のリスク】

 以下において、当社グループの事業展開その他に関してリスク要因となり得る主な事項及び投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を記載しております。

 なお、文中の将来に関する事項は、本報告書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅したものではありません。

 

(1) システムダウン及び情報セキュリティに係るリスクについて

  当社グループがクラウドで提供しているソフトウェアは、サービスの基盤をインターネット通信網に依存しております。従って、自然災害や事故によりインターネット通信網が切断された場合には、クラウドサービスの提供が不可能となります。また、予想外の急激なアクセス増加による一時的な過負荷によるサーバーダウンや、データセンターにおける障害等により、当社グループのクラウドサービスが停止する可能性があります。このようなシステム障害等が発生し、サービスの安定的な提供が行えないような事態が発生した場合には、当社グループの業績の低下につながる可能性があります。また、コンピューターウィルスの混入や外部からの不正な手段によるサーバー内への侵入による顧客情報等の漏洩、役職員の過誤等による重要なデータの消去等の可能性があり、このような事態が発生した場合には、当社グループに直接的・間接的な損害が発生する可能性があるほか、当社グループのクラウドサービスへの信用が失墜し、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、上記のリスクに対し、自然災害や停電や火災等の災害に対する耐性やセキュリティ面を慎重に検討した上で、サービス基盤として使用するデータセンターを選定するとともに、複数のデータセンターを利用してリスクの分散を図っております。また、定期的にバックアップ・データを確保して、非常時において当該データを復元し、できる限り速やかにサービスを再開できる体制を整備することで、非常時におけるリスクの軽減を図っております。

 

(2) 技術者の人材確保と育成について

 当社グループは、継続的に技術者の新卒採用を行い技術者の育成に努めております。しかしながら、学生の理系離れや団塊世代の退職による採用需要の高まりにより、新卒採用で優秀な人材を適切に確保することの困難性が高まっております。人材の確保及び育成が計画通りに進まなかった場合には、当社グループの事業展開に支障が生じ、当社グループの事業成長及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、上記のリスクに対して、新卒採用方法の見直しを図るとともに、ダイレクトリクルーティング・リファーラル採用の活用、インターンシップへの取組み等により採用を強化しております。また、在籍者については、社内研修内容の改良・改善を図るとともに、外部研修等の活用により人材育成に努めることでリスクの軽減を図っております。

 

(3) 特定人物への依存について

 代表取締役である社長齋藤晶議(戸籍名:齊藤章浩)は、当社グループの創業以来の最高経営責任者であり、事業の立案や運営、開発活動の遂行等についてリーダーシップを発揮しており、不慮の事故等何らかの理由により当人が当社グループの事業展開に関与することが困難になった場合には、当社グループの事業及び業績に悪影響を与える可能性があります。
 当社グループでは、上記のリスクに対し、属人的な経営体制を改めるために、役員及び幹部社員の情報共有や権限の委譲、業務分掌に取り組んでおり、同氏に過度に依存しない経営体制の整備をすすめることでリスクの軽減を図っております。

 

 

(4) 知的財産権について

 当社グループはIT業界に属しており、知的財産権の保護については重要な課題であると認識しております。当社グループは、製品・サービスの開発にあたりオープンソースソフトウェアを積極的に活用しておりますが、オープンソースソフトウェアについては、ライセンス条件等が不明確なことがあることなどから、製品・サービスの開発過程等において意図しない形で、第三者の知的財産権等を侵害する可能性があります。そうした事態が生じた場合、当該第三者より損害賠償の訴訟等が提起され、不測の損害が生じる可能性があります。

 当社グループでは、上記のリスクについて、社内担当部門で慎重に調査を行うとともに、必要に応じて専門家と連携と取り調査可能な範囲で対応を行うことでリスクの軽減を図っております。

 

(5) 法的規制について

 現時点において、当社グループの事業展開上の障害となるような法的規制はないと認識しておりますが、「個人情報の保護に関する法律」、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(労働者派遣法)」など当社グループの事業に関連する現行法令の拡大や新法令の制定により、当社グループの事業活動の領域が制約を受ける可能性があり、当社グループの経営成績に悪影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、上記のリスクについて、法令改正の動向などの情報収集を適宜行い、適時に対応できるようにすることによりリスクの軽減を図っております。

 

(6) 海外事業の展開について

 当社グループでは、海外事業を当社グループの中長期的な成長機会と位置付けております。前連結会計年度に新設した海外子会社2社(連結子会社1社、非連結子会社1社)につきましては、世界的な新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大の影響による渡航制限・移動制限などに伴い当初の計画よりも事業の立ち上げが遅れております。今後、事業の立ち上げが計画通りに進展しない場合には、収益化が遅延し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、海外事業の拡充に伴って、法律・規制・租税制度の予期しない変更や社会的混乱など、各国における諸事情の変化や為替などの市場動向が、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、上記のリスクについて、海外子会社の経営陣となっている当社従業員等を中心に経営状況及び事業環境を適時に把握し、必要に応じて当社取締役会等において検討してモニタリングすることで、リスクの低減に努めております。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

① 経営成績

 当連結会計年度における国内外の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により依然として厳しい状況にあり、経済活動が段階的に再開するなど持ち直しの動きは見られるものの、依然として不透明な状況が継続しております。

 当社グループが属するIT業界におきましては、新型コロナウイルス感染症の感染者数増加に伴う新しい生活様式の一環として、多くの企業で在宅勤務等のリモートワークが実施されており、離れた場所でも業務を効率的に支障なく遂行することを可能とするためのIT投資に対する関心は引き続き高い水準で推移していくものと考えております。

 このような状況の中、当社では2020年2月に主力製品であるグループウェア「desknet's NEO」においてスケジュールやアンケートなどの基本機能の使い勝手を向上したことに加え、大塚製薬株式会社との協業により働く人の健康管理を支援するための機能として健康サポート機能を搭載したバージョンアップを実施いたしました。さらに2020年12月にはスマートフォン専用のアプリ提供、ワークフローのAppSuiteとの連携機能の追加などのバージョンアップを実施いたしました。

 この他、ビジネスチャット「ChatLuck」に関しては、2020年8月にアプリのUI及びUXを向上させたアップデート版の提供開始、2020年10月のアンケート機能及び運用管理機能を強化したバージョンアップ、2021年1月のdesknet's NEOとの連携強化等のバージョンアップと製品・サービスの利便性を高める取り組みを継続しております。

 また、2020年8月に「日経コンピュータ 顧客満足度調査 2020-2021」グループウエア/ビジネスチャット部門で6年連続1位を獲得し、2020年9月に「日経BPガバメントテクノロジー 自治体ITシステム満足度調査 2020-2021」グループウエア/ビジネスチャット部門で3年連続1位を獲得、及び2021年1月にIT 製品比較・レビューサイト「ITreview」が主催する「ITreview Grid Award 2021 Winter」において、「desknet's NEO」がグループウエア部門とワークフロー部門で「Leader」に選出され、8期連続でアワードを受賞いたしました。

 この他、前期において設立し、本年度から活動を本格化する予定であったNEOREKA ASIA Sdn.Bhd.(マレーシア子会社)については、現地における新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、現地での活動が制約される等の影響がありましたが、重要性が増したため、第3四半期連結会計期間より連結対象といたしました。これに伴い、新たにセグメントとして「海外事業」を追加し、NEOREKA ASIA Sdn.Bhd.を含めております。

 なお、前期において設立した米国子会社については、新型コロナウイルス感染症の影響等により、ビザの取得等が遅延しておりましたが、現地で活動を開始する目処が立ったため、現地における新型コロナウイルス感染症の状況を勘案のうえ、次期より本格的に活動を開始する予定であります。

 以上の結果、当連結会計年度における売上高5,325,021千円(前年同期比42.3%増)、営業利益は920,649千円(前年同期比31.7%増)、経常利益は948,630千円(前年同期比32.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は677,106千円(前年同期比36.8%増)となりました。

 当連結会計年度におけるセグメント別の経営成績は以下のとおりであります。なお、システム開発サービス事業につきましては、前連結会計年度において4か月分の損益計算書が連結されていたこと、海外事業につきましては、第3四半期連結会計期間より連結対象となったことにより、前年対比の記載は行っておりません。

 

(ソフトウェア事業)

 

 

売上区分

前連結会計年度

(自 2019年2月1日

  至 2020年1月31日)

当連結会計年度

(自 2020年2月1日

  至 2021年1月31日)

売上高
(千円)

構成比
(%)

売上高
(千円)

構成比
(%)

増減率
(%)

 

クラウドサービス

1,767,767

57.4

2,095,249

60.5

18.5

 

プロダクト

1,236,288

40.1

1,301,964

37.6

5.3

 

技術開発

77,870

2.5

65,093

1.9

△16.4

 

合計

3,081,926

100.0

3,462,307

100.0

12.3

 

 

 

① クラウドサービス

 クラウドにて提供する、desknet's NEOクラウド版の利用ユーザー数が順調に推移したことにより、desknet's NEOクラウド版の売上高は前年同期比299,284千円増加し、1,715,439千円(前年同期比21.1%増)となりました。また、AppSuiteクラウド版はクラウドサービス全体に占める売上の割合はいまだ小さいものの、前年同期と比較して20,931千円増加し、52,646千円(前年同期比66.0%増)と順調に利用ユーザー数が拡大しております。

 新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、クラウドサービスに付随する役務作業は減少したものの、ASP事業者向けのカスタマイズ売上が19,814千円発生したことにより、役務作業全体としては17,474千円増加し、59,589千円(前年同期比41.5%増)となりました。

 以上の結果、クラウドサービス全体での売上高は前年同期比327,482千円増加し、2,095,249千円(前年同期比18.5%増)となりました。

 

② プロダクト

 中小規模ユーザー向けのdesknet's NEOスモールライセンスにつきましては、クラウドサービスでの利用を希望されるお客様が増加していることもあり、売上高は前年同期比7,435千円減少し、59,966千円(前年同期比11.0%減)となりました。desknet's NEOスモールライセンスにつきましては、クラウドサービスの利用が一般化してきているため長期的には減少傾向にあると認識しております。また、大規模ユーザー向けのdesknet's NEOエンタープライズライセンスにつきましては、単価の大きいユーザー数無制限ライセンスの販売本数が減少したことを主な要因として、売上高は前年同期比35,940千円減少し、162,990千円(前年同期比18.1%減)となりました。

 AppSuiteライセンスにつきましては、大型案件の増加により、売上高は前年同期比18,625千円増加し、65,506千円(前年同期比39.7%増)となりました。

 desknet's NEO(旧製品を含む)のサポートサービスの売上高につきましては、前年同期比39,425千円増加し、611,703千円(前年同期比6.9%増)となりました。役務作業につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響で案件数が減少したことにより、売上高は前年同期比9,074千円減少し、97,046千円(前年同期比8.6%減)となりました。また、当社製品との連携製品であるID統合管理ソフトウェアなどの転売売上が前年同期比6,491千円減少し、49,932千円(前年同期比11.5%減)となりました。

 以上の結果、プロダクト全体での売上高は前年同期比65,676千円増加し、1,301,964千円(前年同期比5.3%増)となりました。

 

③ 技術開発

 技術開発につきましては、積極的に受託開発を行う方針ではありません。当期においては、過年度に受託した開発案件の継続案件を受注いたしましたが、金額の大きな案件がなかったことにより、売上高は前年同期比12,777千円減少し、65,093千円(前年同期比16.4%減)となりました。

 

 以上の結果、ソフトウェア事業の売上高(セグメント間の内部売上高を含む)3,462,307千円(前年同期比12.3%増)、セグメント利益は771,108千円(前年同期比20.6%増)となりました。

 

(システム開発サービス事業)

 システム開発サービス事業は、子会社である株式会社Pro-SPIREが展開する事業で構成されており、同社が長年培ってきたクラウドインテグレーション、システムインテグレーションのノウハウを基礎に技術者の育成を図り、先端技術を活用し新たな顧客ニーズを満たすシステムエンジニアリングサービスを主に提供しております。

 システム開発サービス事業においては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、お客様先での作業から在宅勤務での対応に変化が求められる等、環境の変化があったものの、従来からのシステム・インテグレーションサービスの維持・規模の拡大に加え、主要顧客である生損保業界のシステム構築において、基幹系(SoR)と情報系(SoE)のノウハウを両輪で持つことを強みとしての提案、受注活動を実施し、収益力・生産性を高める取り組みを実施いたしました。

 

 

売上高については、継続案件の規模・終了時期等の見込み差により、当初の計画を下回りましたが、一方で、協力会社への外注費が減少したことに加え、新型コロナウイルス感染症の影響で会議費や旅費交通費などの発生が減少したことにより、利益面では当初の計画を上回る結果となりました。

 以上の結果、システム開発サービス事業の売上高(セグメント間の内部売上高を含む)は1,884,420千円、セグメント利益は161,957千円となりました。

 

(海外事業)

 海外事業は、子会社であるNEOREKA ASIA Sdn.Bhd.が展開する事業で構成されております。同社は企業向け DaaS クラウドサービスの提供、サービスの運営を主な事業内容とする予定でおりましたが、第4四半期連結会計期間より当社のdesknet's NEO、AppSuite等の製品・サービスを現地で販売することを主な事業内容として行っていく方針といたしました。当連結会計年度においては、主に現地日系企業向けにdesknet's NEOのライセンスなどを販売いたしました。なお、海外事業につきましては、当面投資が先行する見込みであります。

 以上の結果、海外事業の売上高(セグメント間の内部売上高を含む)4,859千円、セグメント損失は12,328千円となりました。

 

② 財政状態

(資産)

 当連結会計年度末における資産合計は前連結会計年度末より954,679千円増加し、6,742,964千円となりました。これは主に、新たに債券(社債)を取得した一方で保有株式の一部売却及び評価損を計上したことを主な要因として有価証券が138,168千円、投資有価証券が120,321千円増加したことに加え、現金及び預金が388,754千円増加したこと、及び売掛金が184,772千円増加したことによるものであります。

 

(負債)

 当連結会計年度末における負債合計は前連結会計年度末より379,985千円増加し、2,311,857千円となりました。これは主に、広告宣伝費の未払金等により未払金が169,213千円増加したことに加え、未払法人税等が37,204千円、賞与引当金が36,997千円、前受収益が36,613千円増加したことによるものであります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は前連結会計年度末より574,693千円増加し、4,431,107千円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益が677,106千円計上された一方で、111,374千円の剰余金の配当を実施したことにより、利益剰余金が564,433千円増加したことによるものであります。

 

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は前連結会計年度と比較し613,643千円増加3,418,613千円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は989,864千円(前連結会計年度は764,320千円の収入)となりました。収入の主な内容は税金等調整前当期純利益969,828千円、減価償却費136,104千円、投資有価証券評価損105,917千円、未払金の増加162,720千円により資金が増加した一方で、法人税等の支払324,457千円、投資有価証券売却益127,676千円、売上債権の増加184,771千円により資金が減少したことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動により支出した資金は227,700千円(前連結会計年度は464,683千円の支出)となりました。収入の主な内容は、株式等の売却による投資有価証券の売却による収入295,490千円、社債の償還に伴う投資有価証券の償還による収入106,530千円であります。一方で、支出の主な内容は、主に余資運用を目的とした社債の購入による投資有価証券の取得による支出420,167千円、販売目的ソフトウェアの制作による無形固定資産の取得による支出182,802千円であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動により支出した資金は142,615千円(前連結会計年度は101,632千円の支出)となりました。これは主に、配当金の支払111,240千円、長期借入金の返済による支出53,319千円によるものであります。

 

(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

2020年1月期

2021年1月期

自己資本比率(%)

66.6

65.6

時価ベースの自己資本比率(%)

301.2

407.0

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

0.2

0.1

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

3,497.6

1,567.0

 

(注)1.各指標の計算方法は、次のとおりであります。

自己資本比率=自己資本÷総資産

時価ベースの自己資本比率=株式時価総額÷総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率=有利子負債÷営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ=営業キャッシュ・フロー÷利払い

2.各指標はいずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

3.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

4.営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書におけるキャッシュ・フローを使用しております。

5.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っているすべての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

④ 生産、受注及び販売の状況

(a) 生産実績

 当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

(b) 受注実績

当社グループは受注開発を行っておりますが、受注高及び受注残高の金額に重要性はありません。

 

(c) 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示しますと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

ソフトウェア事業

3,460,789

112.3

システム開発サービス事業

1,861,163

281.5

海外事業

3,068

合計

5,325,021

142.3

 

(注) 1.セグメント間の取引は相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

(自 2019年2月1日

  至 2020年1月31日)

当連結会計年度

(自 2020年2月1日

  至 2021年1月31日)

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

ダイワボウ情報システム(株)

492,536

13.2

602,217

11.3

 

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

4.システム開発サービス事業は、前連結会計年度に株式会社Pro-SPIREを連結子会社化したことより追加されたセグメントであり、前連結会計年度は同社の4か月分の損益計算書を連結しております。

5.海外事業は、NEOREKA ASIA Sdn.Bhd.を連結の範囲に含めたことにより当連結会計年度より発生した事業であるため、前年同期比の記載は行っておりません。

 

(2) 経営者の視点による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績や現状を勘案し合理的に判断しておりますが、実績の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

  なお、新型コロナウイルスの感染拡大の影響に関する会計上の見積りにつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(追加情報)」に記載しております。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(a) 経営成績の分析

(売上高)

 当連結会計年度における売上高は前年同期比1,582,037千円増加し、5,325,021千円(前年同期比42.3%増)となりました。これは主に、前連結会計年度に連結子会社化した株式会社Pro-SPIREの損益について、前連結会計年度は4か月分を連結していたのに対し、当連結会計年度は1年分を連結したことにより、システム開発サービス事業の売上高が前年同期比1,200,105千円増加し、1,861,163千円となったことによるものであります。

また、ソフトウェア事業の売上高は前年同期比378,863千円増加し3,460,789千円(前年同期比12.3%増)となりました。これは主に、クラウドサービスの売上高(セグメント間の内部売上高を含む)327,482千円(前年同期比18.5%増)、プロダクトの売上高(セグメント間の内部売上高を含む)65,676千円(前年同期比5.3%増)増加したことによるものであります。クラウドサービスの売上高増加は、当社の中核クラウドサービスであるdesknet's NEOクラウド版のユーザー数が順調に拡大したことを主な要因とするものであり、プロダクトの売上高増加は、主にカスタマイズ及びサポートサービスの売上高の増加によるものであります。

この他、第3四半期連結会計期間より連結対象となったNEOREKA ASIA Sdn.Bhd.が展開する海外事業の売上高は3,068千円となりました。

 

(売上原価)

 当連結会計年度における売上原価は前年同期比1,069,424千円増加し、2,588,600千円(前年同期比70.4%増)となりました。これは主に、前連結会計年度に連結子会社化した株式会社Pro-SPIREの損益について、前連結会計年度は4か月分を連結していたのに対し、当連結会計年度は1年分を連結したことにより、システム開発サービス事業の売上原価が増加したことによるものであります。また、ソフトウェア事業についても、技術者の新卒採用やサポート人員の強化等を主な要因として労務費が増加したこと、クラウドサービスの売上増加に伴いデータセンタ利用料が増加したことなどにより、売上原価が増加しております。
 この結果、当連結会計年度の売上総利益は前年同期比512,613千円増加し、2,736,421千円(前年同期比23.1%増)となりました。

 

(販売費及び一般管理費)

 当連結会計年度における販売費及び一般管理費は前年同期比291,027千円増加し、1,815,772千円(前年同期比19.1%増)となりました。これは主に、前連結会計年度に連結子会社化した株式会社Pro-SPIREの損益について、前連結会計年度は4か月分を連結していたのに対し、当連結会計年度は1年分を連結したことにより、システム開発サービス事業の販売費及び一般管理費が増加したことによるものであります。また、ソフトウェア事業についても、従業員の増加等により給料及び手当が増加したこと、大型イベントの実施により広告宣伝費が増加したことなどにより、販売費及び一般管理費が増加しております。

 この結果、当連結会計年度の営業利益は前年同期比221,585千円増加し、920,649千円(前年同期比31.7%増)となりました。
 

(営業外損益)

 当連結会計年度における営業外収益は前年同期比17,325千円増加し、40,539千円(前年同期比74.6%増)となりました。これは主に、助成金収入が増加したことによるものであります。また、営業外費用は前年同期比7,539千円増加し、12,557千円(前年同期比150.2%増)となりました。これは主に、投資事業組合運用損が増加したことによるものであります。

 この結果、当連結会計年度の経常利益は前年同期比231,371千円増加し、948,630千円(前年同期比32.3%増)となりました。

 

(特別損益、当期純利益及び親会社株主に帰属する当期純利益)

 当連結会計年度における特別利益は投資有価証券売却益127,676千円によるものであります。また、特別損失は、主に投資有価証券評価損105,917千円によるものであります。さらに、法人税、住民税及び事業税(法人税等調整額を含む)は前年同期比77,842千円増加し、297,293千円(前年同期比35.5%増)となりました。
 この結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期比182,067千円増加し、677,106千円(前年同期比36.8%増)となりました。

 

(b) キャッシュ・フローの状況の分析

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況の分析については「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

(c) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社グループの主な資金需要は、中長期的な成長を図るための、従業員等の採用・育成に係る費用、人件費、認知度向上のための広告宣伝費、新製品開発のための研究開発費、その他営業費用などとなります。これらにつきましては、基本的に営業活動によるキャッシュ・フローや自己資金で対応していくこととしております。なお、現在の現金及び現金同等物の残高、営業活動から得る現金及び現金同等物の水準については、当面事業を継続していくうえで十分な流動性を確保しているものと考えております。

 

③ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループは、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境の変化や組織体制の整備等、さまざまなリスク要因が当社の成長や経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。そのため、当社グループは、常に新技術の動向や市場動向に留意しつつ、内部管理体制を強化し、優秀な人材を確保育成し、顧客ニーズを満たす製品・サービスを開発し提供していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因の低減を図ってまいります。

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

 インターネット関連技術は技術革新のスピードが早く、またそれに応じて業界標準及び利用者ニーズが急速に変化するため、新技術・新製品・新サービスが相次いで登場しております。そこで当社グループは、これらの新技術の習得に積極的に取り組み、顧客の求める質の高い新製品・新サービスを低価格で提供できるように研究開発に取り組んでおります。

 当連結会計年度における研究開発費の総額は68,064千円であり、すべてソフトウェア事業に係るものとなっております。