銘柄 |
ソフトバンクグループ株式会社第59回無担保社債 |
記名・無記名の別 |
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券面総額又は振替社債の総額(円) |
金550,000,000,000円 |
各社債の金額(円) |
金1,000,000円 |
発行価額の総額(円) |
金550,000,000,000円 |
発行価格(円) |
各社債の金額100円につき金100円 |
利率(%) |
年3.04% |
利払日 |
毎年3月15日及び9月15日 |
利息支払の方法 |
1 利息支払の方法及び期限 |
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(1)本社債の利息は、払込期日の翌日から償還すべき日(以下、「償還期日」という。)までこれをつけ、2024年9月15日を第1回の利息支払期日としてその日までの分を支払い、その後毎年3月15日及び9月15日の2回に各々その日までの前半か年分を支払う。 |
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(2)利息を支払うべき日が銀行休業日にあたるときは、その支払はその前銀行営業日にこれを繰り上げる。 |
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(3)半か年に満たない期間につき利息を計算するときは、その半か年の日割りをもってこれを計算する。 |
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(4)償還期日後は利息をつけない。 |
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2 利息の支払場所 |
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別記「(注)15 元利金の支払」記載のとおり。 |
償還期限 |
2031年3月14日 |
償還の方法 |
1 償還金額 |
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各社債の金額100円につき金100円 |
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2 償還の方法及び期限 |
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(1)本社債の元金は、2031年3月14日にその総額を償還する。 |
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(2)償還期日が銀行休業日にあたるときは、その支払はその前銀行営業日にこれを繰り上げる。 |
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(3)本社債の買入消却は、払込期日の翌日以降、別記「振替機関」欄記載の振替機関が別途定める場合を除き、いつでもこれを行うことができる。 |
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3 償還元金の支払場所 |
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別記「(注)15 元利金の支払」記載のとおり。 |
募集の方法 |
一般募集 |
申込証拠金(円) |
各社債の金額100円につき金100円とし、払込期日に払込金に振替充当する。申込証拠金には利息をつけない。 |
申込期間 |
2024年3月4日から2024年3月14日まで |
申込取扱場所 |
別項引受金融商品取引業者の本店及び国内各支店 |
払込期日 |
2024年3月15日 |
振替機関 |
株式会社証券保管振替機構 |
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東京都中央区日本橋兜町7番1号 |
担保 |
本社債には担保及び保証は付されておらず、また本社債のために特に留保されている資産はない。 |
財務上の特約(担保提供制限) |
1 担保提供制限 |
(1)当社は、本社債の未償還残高が存する限り、本社債発行後、当社が国内で既に発行した、又は当社が国内で今後発行する他の社債のために、担保提供(当社の所有する資産に担保権を設定する場合、当社の所有する特定の資産につき担保権設定の予約をする場合及び当社の特定の資産につき特定の債務以外の債務の担保に供しない旨を約する場合をいう。以下、「担保提供」という。)を行う場合には、本社債のために担保付社債信託法に基づき、同順位の担保権を設定する。 |
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(2)前号に基づき設定した担保権が本社債を担保するに十分でない場合、当社は本社債のために担保付社債信託法に基づき、社債管理者が適当と認める担保権を設定する。 |
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(3)当社が、合併、会社分割、株式交換又は株式移転により担保権の設定されている他社の社債を承継する場合には、本項第(1)号は適用されない。 |
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2 担保提供制限に係る特約の解除 |
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当社が、本欄第1項もしくは別記「財務上の特約(その他の条項)」欄第1項第(1)号により本社債のために担保権を設定した場合、又は、当社が別記「(注)4 特定物件の留保」により本社債のために留保資産を留保した場合で社債管理者が承認したときは、以後、本欄第1項、別記「(注)6 社債管理者に対する定期報告」(4)及び別記「(注)7 社債管理者に対する通知」(3)は適用されない。 |
財務上の特約(その他の条項) |
1 担保付社債への切換 |
(1)当社は、社債管理者と協議のうえ、いつでも本社債のために担保付社債信託法に基づき、担保権を設定することができる。 |
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(2)当社が、別記「財務上の特約(担保提供制限)」欄第1項又は前号により本社債のために担保権を設定する場合には、当社はただちに登記その他必要な手続を完了し、かつ、その旨を担保付社債信託法第41条第4項の規定に準じて公告する。 |
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2 純資産額の維持 |
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(1)当社は、本社債の未償還残高が存する限り、当社の事業年度の末日における貸借対照表(財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則により作成され、かつ監査済であるものをいう。以下同じ。)に示される純資産の部の金額を3,698億円以上に維持しなければならない。 |
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(2)前号に定める金額を下回る場合は、その貸借対照表の基準とした事業年度の末日より4か月を経過したときに前号の違背が生じたものとみなす。 |
(注)1 信用格付業者から提供され、もしくは閲覧に供された信用格付
本社債について、当社は株式会社日本格付研究所(以下、「JCR」という。)からA-の信用格付を2024年3月1日付で取得している。
JCRの信用格付は、格付対象となる債務について約定通り履行される確実性の程度を等級をもって示すものである。
JCRの信用格付は、債務履行の確実性の程度に関してのJCRの現時点での総合的な意見の表明であり、当該確実性の程度を完全に表示しているものではない。また、JCRの信用格付は、デフォルト率や損失の程度を予想するものではない。JCRの信用格付の評価の対象には、価格変動リスクや市場流動性リスクなど、債務履行の確実性の程度以外の事項は含まれない。
JCRの信用格付は、格付対象の発行体の業績、規制などを含む業界環境などの変化に伴い見直され、変動する。また、JCRの信用格付の付与にあたり利用した情報は、JCRが格付対象の発行体及び正確で信頼すべき情報源から入手したものであるが、当該情報には、人為的、機械的又はその他の理由により誤りが存在する可能性がある。
本社債の申込期間中に本社債に関してJCRが公表する情報へのリンク先は、JCRのホームページ(https://www.jcr.co.jp/)の「ニュースリリース」右端「一覧を見る」をクリックして表示される「ニュースリリース」(https://www.jcr.co.jp/release/)に掲載されている。なお、システム障害等何らかの事情により情報を入手することができない可能性がある。その場合の連絡先は以下のとおり。
JCR:電話番号03-3544-7013
2 社債、株式等の振替に関する法律の規定の適用
本社債は、その全部について社債、株式等の振替に関する法律(以下、「社債等振替法」という。)の規定の適用を受けるものとし、社債等振替法第67条第2項に定める場合を除き、社債券を発行しない。
3 期限の利益喪失に関する特約
当社は、次の各場合には、本社債総額について直ちに期限の利益を喪失する。この場合、当社は本(注)12に定める方法により社債権者に通知する。ただし、別記「財務上の特約(担保提供制限)」欄第1項又は別記「財務上の特約(その他の条項)」欄第1項第(1)号により当社が本社債のために担保付社債信託法に基づき社債管理者が適当と認める担保権を設定した場合は、本(注)3(2)又は(3)に該当しても期限の利益を喪失しない。
(1)当社が別記「利息支払の方法」欄第1項又は別記「償還の方法」欄第2項の規定に違背し、別記「償還の方法」欄第2項の規定に違背した場合は2銀行営業日を、また、別記「利息支払の方法」欄第1項の規定に違背した場合は5銀行営業日を、それぞれ経過してもこれを治癒又は補正できないとき。
(2)当社が別記「財務上の特約(担保提供制限)」欄第1項の規定に違背したとき。
(3)別記「財務上の特約(その他の条項)」欄第2項第(2)号に基づき同項第(1)号の違背が生じたものとみなされたとき。
(4)当社が本(注)6、本(注)7(2)及び(3)、本(注)8又は本(注)12に定める規定に違背し、社債管理者の指定する期間内(ただし、当該期間が30日を下回る場合には、30日以内とする。)にその治癒又は補正をしないとき。
(5)当社が本社債以外の社債(海外で発行されたものを含み、また会社法の適用を受ける社債に限られない。)について期限の利益を喪失し、又は償還期日が到来しても当該社債の要項に定める一定の期間内に弁済をすることができず期限が到来したとき。
(6)当社が社債を除く借入金債務について期限の利益を喪失したとき、又は当社以外の社債もしくはその他の借入金債務に対して当社が行った保証債務について履行義務が発生したにもかかわらず、その履行をすることができないとき。ただし、当該債務の合計額(邦貨換算後)が50億円を超えない場合は、この限りではない。
(7)当社が破産手続開始、民事再生手続開始もしくは会社更生手続開始の申立てをし、又は取締役会において解散(合併の場合を除く。)の決議をしたとき。
(8)当社が破産手続開始、民事再生手続開始もしくは会社更生手続開始の決定、又は特別清算開始の命令を受けたとき。
(9)当社がその事業経営に不可欠な資産に対し差押もしくは競売(公売を含む。)の申立てを受け、もしくは滞納処分を受けたとき、又はその他の事由により当社の信用を著しく害損する事実が生じたときで、社債管理者が本社債の存続を不適当であると認めたとき。
4 特定物件の留保
(1)当社は、社債管理者と協議のうえ、いつでも当社の特定の資産(以下、「留保資産」という。)を本社債以外の当社の債務に対し担保提供を行わず、本社債のために留保することができる。この場合、当社は、社債管理者との間に、その旨の特約を締結する。
(2)本(注)4(1)の場合、当社は、社債管理者との間に次の①乃至⑥についても特約する。
① 留保資産のうえには本社債の社債権者の利益を害すべき抵当権、質権その他の権利又はその設定の予約等が存在しないことを当社が保証する旨。
② 当社は、社債管理者の書面による承諾なしに留保資産を他に譲渡もしくは貸与しない旨。
③ 当社は、原因の如何にかかわらず留保資産の価額の総額が著しく減少したときは、ただちに書面により社債管理者に通知する旨。
④ 当社は、社債管理者が必要と認め請求したときは、ただちに社債管理者の指定する資産を留保資産に追加する旨。
⑤ 当社は、本社債の未償還残高の減少又はやむを得ない事情がある場合には、留保資産の一部又は全部につき社債管理者が適当と認める他の資産と交換し、又は、留保資産から除外することができる旨。
⑥ 当社は、社債管理者が本社債権保全のために必要と認め請求したときは、本社債のために留保資産のうえに担保付社債信託法に基づき担保権を設定する旨。
(3)本(注)4(1)の場合、社債管理者は、社債権者保護のために必要と認められる措置をとることを当社に請求することができる。
5 担保提供状況
(1)当社は、2023年12月31日現在において担保提供を行っている国内債務が一切存在しないことを保証する。
(2)当社は、社債管理者が必要があると認め請求したときは、2024年1月1日以降、本社債の払込期日の前日までに国内債務のために担保提供を行った、又は行う予定があるときはその国内債務の現存額及び担保物を書面により社債管理者に通知する。
6 社債管理者に対する定期報告
(1)当社は、随時社債管理者にその事業の概況を報告し、また、毎事業年度の決算及び剰余金の配当(会社法第454条第5項に定める中間配当を含む。)については書面をもって社債管理者にこれを通知する。当社が、会社法第441条第1項に定められた一定の日において臨時決算を行った場合も同様とする。
(2)当社は、金融商品取引法に基づき作成する有価証券報告書及びその添付書類の写しを当該事業年度終了後3か月以内に、半期報告書の写しを当該半期経過後45日以内に、社債管理者に提出する。金融商品取引法第24条の4の2に定める確認書及び金融商品取引法第24条の4の4に定める内部統制報告書についても上記各書類の取扱いに準ずる。また、当社が臨時報告書又は訂正報告書を財務局長等に提出した場合には、当社は遅滞なくこれを社債管理者に提出する。
(3)当社は、本(注)6(2)に定める報告書及び確認書について、金融商品取引法第27条の30の3に基づく電子開示手続を行う場合には、電子開示手続を行った旨を社債管理者へ通知することにより、本(注)6(1)及び(2)に規定する書面の提出を省略することができる。
(4)当社は、本社債発行後、毎事業年度末における本(注)5及び本(注)7(3)に該当した国内債務の現存額、担保物その他必要な事項を社債管理者に報告する。
7 社債管理者に対する通知
(1)当社は、本社債発行後、社債原簿に記載すべき事由が生じたとき又は変更が生じたときは、遅滞なく社債原簿にその旨の記載を行い、書面によりこれを社債管理者に通知する。
(2)当社は、次の各場合には、あらかじめ書面により社債管理者に通知する。
① その事業経営に不可欠な資産を譲渡又は貸与しようとするとき。
② 事業の全部又は重要な事業の一部を休止又は廃止しようとするとき。
③ 資本金又は準備金の額の減少、組織変更、合併、会社分割、株式交換又は株式移転(いずれも会社法において定義され、又は定められるものをいう。)をしようとするとき。
(3)当社は、本社債発行後、他の国内債務のために担保提供を行う場合には、遅滞なく書面によりその旨並びにその債務額及び担保物その他必要な事項を社債管理者に通知する。
8 社債管理者の請求による報告及び調査権限
(1)社債管理者は、社債管理委託契約の定めに従い社債管理者の権限を行使し、又は義務を履行するために必要であると認めたときは、当社並びに当社の連結子会社及び持分法適用会社の事業、経理、帳簿書類等に関する報告書の提出を請求し、又は自らこれらにつき調査することができる。
(2)本(注)8(1)の場合で、社債管理者が当社の連結子会社及び持分法適用会社の調査を行うときは、当社は、これに協力する。
9 債権者の異議手続における社債管理者の権限
会社法第740条第2項本文の定めは、本社債には適用されず、社債管理者は、会社法第740条第1項に掲げる債権者の異議手続において、社債権者集会の決議によらずに社債権者のために異議を述べることはしない。
10 社債管理者の裁判上の権利行使
社債管理者は、社債権者集会の決議によらなければ、本社債の全部についてする訴訟行為又は破産手続、再生手続、更生手続もしくは特別清算に関する手続に属する行為(社債管理委託契約第2条に掲げる行為を除く。)をしない。
11 社債管理者の辞任
(1)社債管理者は、次の各場合その他の正当な事由がある場合には、社債管理者の事務を承継する者を定めて辞任することができる。
① 社債管理者と本社債の社債権者との間で利益が相反する又は利益が相反するおそれがある場合。
② 社債管理者が、社債管理者としての業務の全部又は重要な業務の一部を休止又は廃止しようとする場合。
(2)本(注)11(1)の場合には、当社並びに社債管理者及び社債管理者の事務を承継する者は、遅滞なくかかる変更によって必要となる行為をしなければならない。
12 社債権者に通知する場合の公告の方法
本社債に関して社債権者に通知する場合の公告は、法令又は社債管理委託契約に別段の定めがあるときを除き、当社の定款所定の電子公告(ただし、電子公告の方法によることができない事故その他のやむを得ない事由が生じた場合は、当社の定款所定の新聞紙並びに東京都及び大阪市において発行される各1種以上の新聞紙。重複するものがあるときは、これを省略することができる。)又は社債管理者が認めるその他の方法によりこれを行うものとする。
また、社債管理者が公告を行う場合は、法令所定の方法によるほか、社債管理者が社債権者のために必要と認める場合には、社債管理者の定款所定の電子公告(ただし、電子公告の方法によることができない事故その他のやむを得ない事由が生じた場合は、社債管理者の定款所定の新聞紙並びに東京都及び大阪市において発行される各1種以上の新聞紙。重複するものがあるときは、これを省略することができる。)によりこれを行う。
13 社債権者集会に関する事項
(1)本社債及び本社債と同一の種類(会社法の定めるところによる。)の社債(以下、「本種類の社債」と総称する。)の社債権者集会は、当社又は社債管理者がこれを招集するものとし、社債権者集会の日の3週間前までに社債権者集会を招集する旨及び会社法第719条各号所定の事項を本(注)12に定める方法により公告する。
(2)本種類の社債の社債権者集会は、東京都においてこれを行う。
(3)本種類の社債の総額(償還済みの額を除く。また、当社が有する本種類の社債の金額の合計額は算入しない。)の10分の1以上にあたる本種類の社債を有する社債権者は、社債等振替法第86条第3項に定める書面を社債管理者に提示したうえ、社債権者集会の目的である事項及び招集の理由を記載した書面を当社又は社債管理者に提出して、本種類の社債の社債権者集会の招集を請求することができる。
14 発行代理人及び支払代理人
株式会社あおぞら銀行
15 元利金の支払
本社債に係る元利金は、社債等振替法及び別記「振替機関」欄記載の振替機関の業務規程その他の規則に従って支払われる。
引受人の氏名又は名称 |
住所 |
引受金額 (百万円) |
引受けの条件 |
野村證券株式会社 |
東京都中央区日本橋一丁目13番1号 |
124,000 |
1 引受人は、本社債の全額につき共同して買取引受を行う。 2 本社債の引受手数料は各社債の金額100円につき金1円25銭とする。 |
SMBC日興証券株式会社 |
東京都千代田区丸の内三丁目3番1号 |
110,000 |
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大和証券株式会社 |
東京都千代田区丸の内一丁目9番1号 |
100,000 |
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みずほ証券株式会社 |
東京都千代田区大手町一丁目5番1号 |
95,000 |
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三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社 |
東京都千代田区大手町一丁目9番2号 |
40,000 |
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株式会社SBI証券 |
東京都港区六本木一丁目6番1号 |
40,000 |
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岡三証券株式会社 |
東京都中央区日本橋一丁目17番6号 |
30,000 |
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岩井コスモ証券株式会社 |
大阪府大阪市中央区今橋一丁目8番12号 |
5,000 |
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東海東京証券株式会社 |
愛知県名古屋市中村区名駅四丁目7番1号 |
4,000 |
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水戸証券株式会社 |
東京都文京区小石川一丁目1番1号 |
1,500 |
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西日本シティTT証券株式会社 |
福岡県福岡市中央区天神一丁目10番20号 |
500 |
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計 |
― |
550,000 |
― |
社債管理者の名称 |
住所 |
委託の条件 |
株式会社あおぞら銀行 |
東京都千代田区麹町六丁目1番地1 |
1 社債管理者は、本社債の管理を受託する。 2 本社債の管理手数料については、社債管理者に、期中において年間各社債の金額100円につき金2銭を支払うこととしている。 |
払込金額の総額(百万円) |
発行諸費用の概算額(百万円) |
差引手取概算額(百万円) |
550,000 |
7,263 |
542,737 |
上記の差引手取概算額542,737百万円については、47,300百万円を2024年3月8日に償還する社債の償還により一時的に減少する手元資金に充当します。
その他、352,612百万円を2024年3月15日に償還する社債の償還資金に、40,000百万円を2024年6月12日に償還する社債の償還資金に、残額については、2024年6月14日に償還する社債の償還資金の一部に充当する予定です。
該当事項なし
該当事項なし
発行登録追補目論見書に記載しようとしている事項は以下のとおりです。
・表紙に当社の社章 |
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を記載致します。 |
・表紙に本社債の愛称「福岡ソフトバンクホークスボンド」を記載致します。
該当事項なし
該当事項なし
該当事項なし
会社の概況及び事業の概況等金融商品取引法第5条第1項第2号に掲げる事項については、以下に掲げる書類を参照すること。
事業年度 第43期(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) 2023年6月21日関東財務局長に提出
事業年度 第44期第1四半期(自 2023年4月1日 至 2023年6月30日) 2023年8月8日関東財務局長に提出
事業年度 第44期第2四半期(自 2023年7月1日 至 2023年9月30日) 2023年11月10日関東財務局長に提出
事業年度 第44期第3四半期(自 2023年10月1日 至 2023年12月31日) 2024年2月9日関東財務局長に提出
1の有価証券報告書提出後、本発行登録追補書類提出日(2024年3月1日)までに金融商品取引法第24条の5第4項及び企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第9号の2の規定に基づく臨時報告書を2023年6月26日に関東財務局長に提出
1の有価証券報告書提出後、本発行登録追補書類提出日(2024年3月1日)までに金融商品取引法第24条の5第4項及び企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第2号の2の規定に基づく臨時報告書を2023年7月28日に関東財務局長に提出
1の有価証券報告書提出後、本発行登録追補書類提出日(2024年3月1日)までに金融商品取引法第24条の5第4項及び企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第12号の規定に基づく臨時報告書を2024年1月25日に関東財務局長に提出
訂正報告書(上記6の臨時報告書の訂正報告書)を2023年8月29日に関東財務局長に提出
上記に掲げた参照書類としての有価証券報告書の「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」並びに上記に掲げた参照書類としての有価証券報告書の「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3 事業等のリスク」及び上記に掲げた参照書類としての四半期報告書(以下、有価証券報告書と四半期報告書を総称して「有価証券報告書等」という。)の「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1 事業等のリスク」について、当該有価証券報告書等の提出日以後本発行登録追補書類提出日(2024年3月1日)までの間において生じた変更その他の事由を反映し、その全体を一括して以下に記載いたします。
また、当該有価証券報告書等には将来に関する事項が記載されていますが、以下の記載に含まれる事項を除き、本発行登録追補書類提出日(2024年3月1日)現在においてもその判断に変更はなく、新たに記載する将来に関する事項もありません。なお、当該将来に関する事項については、その達成を保証するものではありません。
本発行登録追補書類において、文脈上別異に解される場合または別段の記載がある場合を除き、以下の社名または略称は以下の意味を有します。
社名または略称 |
意味 |
ソフトバンクグループ㈱ |
ソフトバンクグループ㈱(単体) |
当社 |
ソフトバンクグループ㈱および子会社 |
※以下の略称の意味は、それぞれの会社の傘下に子会社がある場合、それらを含みます。 |
|
SB Northstar |
SB Northstar LP |
SVF1 |
SoftBank Vision Fund L.P.および代替の投資ビークル |
SVF2 |
SoftBank Vision Fund Ⅱ-2 L.P. |
ソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンドまたはLatAmファンド |
SBLA Latin America Fund LLC |
ソフトバンク・ビジョン・ファンドまたはSVF |
SVF1、SVF2およびLatAmファンド |
SBIA |
SB Investment Advisers (UK) Limited |
SBGA |
SB Global Advisers Limited |
アーム |
Arm Holdings plcまたはArm Limited(注) |
アリババ |
Alibaba Group Holding Limited |
(注) 2023年8月にArm Limitedの子会社であったArm Holdings LimitedがArm Limitedの発行済普通株式の全てを取得し、同社を完全子会社化する組織再編が行われました。その後、Arm Holdings Limitedは社名をArm Holdings plcに変更し、2023年9月14日に新規株式公開でNasdaq Global Select Marketへ上場しました。
経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
当社の本発行登録追補書類の提出日(2024年3月1日)現在における「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」は以下の通りです。また、将来に関する事項については別段の記載のない限り、本発行登録追補書類の提出日(2024年3月1日)現在において判断したものです。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、「情報革命で人々を幸せに」という経営理念の下、世界の人々が最も必要とするテクノロジーやサービスを提供する企業グループとなることを目指すとともに、企業価値の最大化を図っています。
(2)重視する経営指標
当社は、戦略的投資持株会社であるソフトバンクグループ㈱が、子会社・関連会社(以下本項において「グループ会社」といい、ソフトバンクグループ㈱と併せて「当社グループ」といいます。)および投資先を投資ポートフォリオとして統括するマネジメント体制の下、保有株式価値の増大を通じてNAV(Net Asset Value、保有株式価値-調整後純有利子負債で算出(注1)。)を中長期的に最大化することを目指しています。また、これを支えるための財務方針として、財務の安定性を確保するという観点から、ソフトバンクグループ㈱のLTV(Loan to Value、調整後純有利子負債÷保有株式価値で算出(注1)。保有資産に対する負債の割合。)を金融市場の平時は25%未満、異常時でも35%を上限として管理するとともに、今後2年分の社債償還資金以上の手元流動性を確保しています。
(注1) 保有株式価値および調整後純有利子負債は、いずれもアセットバック・ファイナンスにおける満期決済金額または借入金を除く。また、調整後純有利子負債の算出からは、当社のうち、上場子会社であるソフトバンク㈱(LINEヤフー㈱およびPayPay㈱をはじめとする子会社を含む)、SVF1、SVF2、ソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンドおよびアームなど独立採算で運営される事業体、ならびに資産運用子会社SB Northstarに帰属する有利子負債および現預金等を除く。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社は、情報技術の発展によって社会やライフスタイルが変革する「情報革命」を主要な成長機会として確実に捉え、長きにわたり人々の幸せに貢献していきたいと考えています。そのためには、社会ニーズの変化をいち早く捉え、今後の牽引役となるテクノロジーやビジネスモデルに合わせてグループの構成を最適化しながら自己変革を繰り返していくことが不可欠です。現在、人工知能(AI)がさまざまなビジネスモデルに組み込まれることにより、価値創造の在り方が塗り替えられ、多くの産業が再定義されようとしています。当社は、AIの活用による市場の拡大と新産業の創出という大きな機会を確実に捉えるため、「群戦略」という独自の組織戦略の下、SVFを通じた投資のほか、2016年9月に買収したアームのように、ソフトバンクグループ㈱が直接または子会社を通じて戦略的な大型投資を行っています。
投資活動において当社は、「AI」という投資テーマに基づき、情報革命推進への貢献が見込める企業に投資するとともに、投資後は、当社グループのエコシステムの中で、各投資先が相互に刺激を与え合う中でそれぞれのビジネスモデルの進化を可能にすることで、各投資先の企業価値の向上を図っています。また、グループ全体でグローバルに投資事業を展開するスケールメリットを生かしながら、①テクノロジーやビジネスモデルなどの分析機能、②分業システムや分野別専門チームなどの組織および③投資のエグジットに伴い回収される資金を組み合わせることにより、当社として持続的にリターンを生みだせる投資活動を行うことを目指しています。
「群戦略」とは 「群戦略」は、特定の分野において優れたテクノロジーやビジネスモデルを持つ多様な企業群が、それぞれ自律的に意思決定を行いつつも、資本関係と同志的結合を通じてシナジーを創出しながら共に進化・成長を続けていくことを志向するものです。ソフトバンクグループ㈱は、戦略的投資持株会社として、群を構成する各企業の意思決定に影響を与えつつも、自律性を重んじ、出資比率は過半にこだわらず、ブランドの統一を志向しません。こうした多種多様な企業でグループを構成することにより、柔軟に業容を変化・拡大させ、長期にわたり成長を続けることを目指しています。 |
(4)経営環境および優先的に対処すべき課題
全社
1 安定した財務基盤の構築
当社では、ソフトバンクグループ㈱が投資ポートフォリオを統括する戦略的投資持株会社としての財務運営を行っています。株式市場の動向を含む保有株式価値の変動の影響を受けやすいビジネスモデルにおいて、ソフトバンクグループ㈱は、これらの影響を可能な限り抑えた安定的な財務運営を行うことにより、安全性の確保を目指しています。具体的には、ソフトバンクグループ㈱のLTVを「(2)重視する経営指標」の通り管理しながら、新規投資や投資回収、保有株式価値の状況などに応じて適切に負債をコントロールしています。また、投資資産の売却や資金化を行うとともに、子会社を含む投資先からの配当収入やリミテッド・パートナーとして参画するSVFなどのグループ内の投資ファンドから受け取る分配金などの収入も得ることで、今後2年分の社債償還資金以上の手元流動性を確保し、安全性を維持しています。
2023年3月期においては、アリババ株式を中心に資産の継続的な資金化を進めるとともに、SVFの投資を大幅に縮小した結果、2022年3月期末からLTVが大幅に改善し、手元流動性も大幅に増加しました。2024年3月期以降も、財務方針を遵守した上で戦略的投資持株会社としての事業運営に努めていきます。
2 流動性・多様性を備えた投資ポートフォリオの構築
戦略的投資持株会社として保有株式価値を持続的に増大させていくためには、投資ポートフォリオの流動性および多様性を確保することが不可欠です。流動性については、ソフトバンクグループ㈱およびSVFなどにおける投資事業においては、事業の成長率の高いテクノロジー分野の中で、ビジネスモデルや競争優位性を確立し、近い将来での株式上場の蓋然性が高いと見込まれる未上場のレイトステージ企業に投資を行っており、これらの投資先の上場が進むにつれ、流動性の向上が期待できます。また、後述の通り、子会社であるアームが新規株式公開に向けて準備を進めており、実現の暁には流動性の大幅な向上を見込んでいます(注2)。
多様性については、2023年3月期末現在の当社の保有株式価値においてアリババ株式の割合は5%(注3)にまで低下しており、すでに投資ポートフォリオの分散が進んでいます。また、当社が投資ファンドを通じて投資している企業は、AI技術を活用するという共通点を持ちながらも、コンシューマー、交通、医療、不動産またはフィンテックなどさまざまな産業に分散している上、米国、欧州、中国を含むアジアおよびラテンアメリカなど、地理的にも分散しています。さらにSVF2では投資の小口分散も図られています。こうした分散効果により、一部の産業・地域における変調が当社の投資ポートフォリオ全体に与える影響は抑えられています。
(注2) アームは2023年9月14日にNasdaq Global Select Marketへ上場しました。
(注3) 2023年12月31日現在、当社の保有株式価値に占めるアリババ株式の割合は0.02%です。
3 サステナビリティの推進
当社は、社会の持続的な発展と当社グループの中長期的な成長の両立を実現するために、企業活動においてサステナビリティを考慮することの重要性を認識し、環境・社会・ガバナンス(ESG)に関わるリスクに対処するとともに、ESGに関わる課題への対応が新たな企業価値創出の契機になると考えています。
ソフトバンクグループ㈱は、当社グループがサステナビリティに関する活動を適切に推進するための指針として、「ソフトバンクグループサステナビリティ基本方針」を制定し、本方針においてサステナビリティビジョンおよび活動テーマを定めています。また、特に優先して対処すべき重要課題を特定し、サステナビリティの取り組みを進めています。
ソフトバンクグループ㈱は、サステナビリティに関するガバナンス体制として、取締役会で任命するチーフ・サステナビリティ・オフィサー(CSusO)を委員長とするサステナビリティ委員会を設置し、サステナビリティに関する重要な課題や今後の対応方針などについて議論を行い、その内容について取締役会に報告して監督を受けています。また、サステナビリティに関するリスク管理として、財務と非財務の両面からリスクを網羅的に把握し、その対応および対応状況のモニタリングを行っています。
重要な事業別
当社の経営陣は、投資ファンド(SVF1およびSVF2ならびにソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンド)、アームおよびソフトバンク㈱グループを、当社による投資金額の規模および当社連結収益への影響が極めて大きい、最重要事業と認識しています。各事業における、優先的に対処すべき経営上の課題は以下の通りです。
1 投資ファンドの成功
SVF1およびSVF2ならびにソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンドは、いずれもデータとAIを活用した成長可能性の大きなテクノロジー企業に対し投資を行い、中長期的視点から投資成果を最大化することを目指しています。SVF1は2017年、SVF2およびソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンドはいずれも2019年に、それぞれ投資活動を開始しました。
ソフトバンクグループ㈱は各投資ファンドにリミテッド・パートナーとして出資を行っており、また、各投資ファンドを運営する当社100%子会社(SVF1を運営するSBIAおよびSVF2とソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンドを運営するSBGA、以下総称して「ファンド運営子会社」)は、各投資ファンドの事業活動に応じてSVF1から管理報酬および成功報酬、SVF2から管理報酬および業績連動型管理報酬、ソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンドから管理報酬、業績連動型管理報酬および成功報酬を受け取ります。
ソフトバンクグループ㈱が戦略的投資持株会社としてのビジネスモデルを遂行する上で、これらの投資ファンドの成功は極めて重要です。ファンド運営子会社は、以下の取り組みを通じて各投資ファンドの利益を中長期的に最大化していくことを目指しています。ただし、2023年3月期末現在では欧米各国を中心とした歴史的な高インフレとそれに対応した金融引き締めの長期化の影響で、世界的に景気減速への懸念が和らぐことはなく、市場は不安定な状況が続いています。このため、2023年3月期は「守り」を徹底し、新規投資を大幅に抑制しました。
a.大型資金を中長期的に運用
SVF1およびSVF2ならびにソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンドはいずれも、多額の出資コミットメントに加え、存続期間が設立から10年超の長期にわたる私募ファンドという特色を有しています。2023年3月31日現在、各投資ファンドの出資コミットメント総額は、SVF1が986億米ドル、SVF2が560億米ドル(注4)、ソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンドが76億米ドルです。こうした特色を生かし、これらの投資ファンドは、投資時点で企業価値が10億米ドルを超えると試算される未上場企業(いわゆる「ユニコーン」)またはユニコーンとなる可能性があると判断される企業を中心に構成される、ユニークな投資ポートフォリオを有しています。多種多様な市場およびテクノロジー分野においてプレゼンスを確立した企業に対して中長期的に投資を行うとともに地理的・戦略的な多様性を一定程度保つことにより、短期的な市場の変動による影響を抑え、中長期的なリターンの最大化を目指しています。
(注4) 2023年12月31日現在、SVF2の出資コミットメント総額は598億米ドル、ソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンド出資コミットメント総額は78億米ドルです。
b.投資先価値向上の追求
ファンド運営子会社は、慎重に投資先を選定し、幅広い支援やネットワークを通じて投資先の持続的な成長を促すことにより、各投資ファンドの保有株式価値の最大化を追求しています。具体的には、当社グループおよびその投資先、取引先までを含めたエコシステムを通じてパートナーシップや協力関係を築くことにより、収益性と成長性を高める機会を捉え、実行することを目指しています。また、投資先企業の経営陣が成長を模索する中、各分野に精通したグローバルな専門チームによるサポートを提供するとともに、必要に応じて外部からの助言が受けられるよう計らっています。また、収益性およびガバナンス体制のモニタリングを行うなど、投資先の健全な成長を支援しています。
c.最適な出口戦略による投資回収
活動開始時期の違いから、各投資ファンドの投資サイクルはそれぞれ異なるフェーズにあります。SVF1は2019年9月に投資期間を終了したことから、近時では、投資収益の実現による投資資金の回収に主眼を置いています。SVF2およびソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンドは、厳しい市場環境を踏まえて2023年3月期の新規投資を大幅に抑制したものの、引き続き投資フェーズにあります。投資収益の実現においては、ファンドのリターン、ひいてはソフトバンクグループ㈱を含むリミテッド・パートナーへの分配を最大化するために適時・適切な保有資産のエグジットを行うことが重要です。エグジット手段としては、M&Aによる第三者への売却を行うこともあるものの、主軸は投資先企業の上場です。投資先企業の上場後は、競争環境や株価の動向を見つつ、計画的に売却する仕組みを設定しています。また、上場株式を担保とした資金調達の選択的な活用により、リミテッド・パートナーへの分配を先行させつつ、最適と考えるタイミングで売却を判断することも可能です。
2023年3月期においては、各投資ファンドの投資先企業合計4社が上場しました。地政学的リスクの高まりや米国をはじめとする主要中央銀行の金融政策への懸念を背景として、株式市場のボラティリティが高まっています。各投資ファンドは、設立から10年超の存続期間を持つ長期ファンドであり、最適なエグジットの手段・時期について見極め、短期的な市場の変動による影響を抑えながら、中長期的な視点から収益を最大化することを目指しています。
d.適切な運用体制の構築
投資の成功の再現性を高め、持続的にリターンを生み出すためには、それを可能にする組織体制を構築すること、特に優秀な人材の確保および維持が不可欠です。ファンド運営子会社は、投資銀行やベンチャー・キャピタル、テクノロジー企業など多様な経歴を持つシニア・リーダーたちが運営に当たっています。これまでに、運用資産およびグローバル展開におけるニーズと規模に相応しい投資・運用・資金調達・管理の各機能およびマネジメント陣を備えた組織を築いており、こうした専門家集団によるチームアプローチを取ることにより、組織的に知見の蓄積・共有を図り各投資ファンドの持続的な成長を目指しています。
2 アームの新規株式公開および長期戦略の遂行
アームは、半導体技術が世界で最も重要な資源の一つとなった現在、半導体技術開発のグローバル・リーダーとしてこれからのコンピューティングの在り方を左右する存在となりつつあります。アームのプロセッサー・テクノロジーは、高機能プロセッサーとしては世界で最も広くライセンス供与・採用されており、スマートフォンではほぼ全て、タブレットとデジタルテレビのほとんどで使用されているほか、組み込みプロセッサー用チップでも高い割合で搭載されています。2016年の当社による買収以降、アームは長期成長の実現に向け、研究開発への投資を増やし、製品の種類および対象市場を拡大してきました。そして、2023年3月期末現在、アームは新規株式公開に向けて準備を進めており、米国証券取引委員会に対して、同社の普通株式を対象とした米国預託株式(ADS)の新規公開計画(以下「本新規株式公開」)に関するForm F-1の登録届出書ドラフトを非公開で提出したことを2023年4月に公表しました。本新規株式公開は、市場およびその他の状況、ならびにSECによる審査プロセスの完了を条件としています。なお、当社は、本新規株式公開の完了後もアームが引き続き当社連結子会社であることを想定しています。また、本新規株式公開は当社の連結業績または財政状態に重要な影響を及ぼすことはない見込みです(注5)。
アームは、長期的な収益成長を実現するために、モバイルアプリケーション向けプロセッサーをはじめ、クラウドコンピューティング、ネットワーク機器、自動車、コンシューマー・エレクトロニクスなどの市場におけるシェアの拡大・維持、アームのテクノロジーを使用するチップのロイヤルティー単価の増加、ならびに新商流の導入によるアームのテクノロジーの利用の促進に引き続き取り組んでいます。
(注5) アームは2023年9月14日にNasdaq Global Select Marketへ上場しました。
市場の動向とその影響
アームの業績は半導体市場の動向にプラスにもマイナスにも大きく影響を受けることがあります。アームが関連する半導体市場は、2020年から2021年の約2年にわたり好調な成長を示しましたが、2023年3月期は自動車向けチップの販売が引き続き増加した一方で、スマートフォンなどのコンシューマー・エレクトロニクス機器の販売が減少したことにより、2022年3月期比3.2%減とマイナス成長(注6)となりました。
こうした環境下においても、2023年3月期におけるアームの売上高は過去最高(米ドルベース)となりました(注7)。アームのテクノロジー・ロイヤルティー収入は、同社のテクノロジーを採用したネットワーク機器の5G基地局への導入進展や、ハイエンド5Gスマートフォンの好調な出荷に加えて、アームの顧客が自動車やIoT、サーバーなど多様な市場でシェアを拡大したことなどにより、2022年3月期比16.1%増加(米ドルベース)しました。また、非ロイヤルティー収入(ライセンス収入およびソフトウエア・サービス収入)は、アーム史上最高の売上を記録した2022年3月期に比べれば8.5%減(米ドルベース)となったものの、引き続きアームテクノロジーへの需要は強く2022年3月期に次ぐ高水準の売上となりました。
業界アナリストは、半導体バリューチェーン全体で在庫水準が高止まりしており、これが低下するまでの期間は市場全体の収益が短期的に弱含む可能性を示唆しています。しかしながら、より多くの製品やサービスがより多くの組み込みインテリジェンスを必要とするようになる長期的なトレンドは変わらず、半導体市場は成長軌道に回帰するとアームは予想しています。
(注6) World Semiconductor Trade Statistics(WSTS)、2023年5月時点。同データはWSTS Inc.のヒアリングに協力をした半導体企業からの情報を元に作成されています。アームが関連する市場の数値は、プロセッサー技術を含まないメモリーおよびアナログチップを除きます。
(注7) 2023年12月31日に終了した9カ月間においては、半導体市場全体の売上高が回復していることに加えて、アームの最新世代テクノロジーでありより高いロイヤルティー単価を見込める「Armv9」の普及が進んだことや顧客のテクノロジー企業によるAI投資の増加を背景に、9カ月累計としてアーム史上最高の売上高(米ドルベース)となりました。
3 ソフトバンク㈱グループの継続的な企業価値の向上
2020年からの新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響を受け、日本国内においても生活やビジネスのあらゆる場面でデジタル化が進展しています。同年3月に商用サービスが開始された5Gをはじめ、AI、IoT、ビッグデータ、ブロックチェーンなどの最先端テクノロジーにより今後も社会のデジタル化は一層進展し、産業そのものの構造が変わるデジタルトランスフォーメーション(DX)が一段と加速していくとみられています。
こうした中、当社グループで国内事業を担うソフトバンク㈱グループは、成長戦略「Beyond Carrier」の下、コアビジネスである通信事業の持続的な成長を図りながら、通信キャリアの枠を超え、情報・テクノロジー領域のさまざまな分野で積極的にグループの事業を拡大することで、企業価値の最大化を目指しています。具体的には、①通信事業のさらなる成長、②法人事業におけるDX/ソリューションビジネスの拡大、③ヤフー・LINE事業の成長、④金融事業の成長、および⑤新規事業の創出・拡大に加え、⑥コスト効率化に取り組んでいます。
財務戦略としては、ソフトバンク㈱グループは、調整後フリー・キャッシュ・フロー(注8)を重要な経営指標と考えており、高い株主還元を維持しながら、成長への投資を実施していくため、今後も同フリー・キャッシュ・フローの安定的な創出を目指しています。また、健全な財務体質を維持しつつ、適切な財務レバレッジを伴った資本効率の高い経営を行っていきます。
(注8) 調整後フリー・キャッシュ・フロー=フリー・キャッシュ・フロー+(割賦債権の流動化による調達額―同返済額)
事業等のリスク
本発行登録追補書類の提出日現在(2024年3月1日)において、投資家の投資判断に重要な影響を及ぼす可能性がある主要なリスクは、以下の通りです。これらのリスクが顕在化した場合には、
・NAV(Net Asset Value、保有株式価値-調整後純有利子負債で算出(注1)。)
・LTV(Loan to Value、調整後純有利子負債÷保有株式価値で算出(注1)。保有資産に対する負債の割合。)
・財政状態および経営成績
・ソフトバンクグループ㈱の分配可能額
に悪影響を及ぼす可能性があります。これらのリスクは、当社における全てのリスクを網羅しているものではなく、加えて、その対応策が十分に奏功する保障もありません。なお、将来に関する事項については別段の記載のない限り、本発行登録追補書類の提出日現在(2024年3月1日)において判断したものです。
(注1) 保有株式価値および調整後純有利子負債は、いずれもアセットバック・ファイナンスにおける満期決済金額または借入金を除く。また、調整後純有利子負債の算出からは、当社のうち、上場子会社であるソフトバンク㈱(LINEヤフー㈱およびPayPay㈱をはじめとする子会社を含む)、SVF1、SVF2、ソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンドおよびアームなど独立採算で運営される事業体、ならびに資産運用子会社SB Northstarに帰属する有利子負債および現預金等を除く。
(1)グループ全体
当社は、戦略的投資持株会社であるソフトバンクグループ㈱が、子会社・関連会社および投資先を投資ポートフォリオとして統括するマネジメント体制の下、幅広く投資活動を展開しています。当社の事業遂行における主要なリスクは、以下a~cに記載する通りです。
加えて、ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業、ソフトバンク事業、アーム事業における主要なリスクについては、それぞれ「(2)ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業」と「(3)ソフトバンク事業」「(4)アーム事業」をご参照ください。
(注2) アームは2023年9月14日にNasdaq Global Select Marketへ上場しました。アームは上場後も引き続き連結子会社であり、上場後の株価の変動は財政状態および経営成績に影響を及ぼすことはありませんが、アーム株式は当社の保有株式価値に占める割合が高く、その株価の変動は当社の保有株式価値やNAV、LTVに影響を与えます。
a.投資活動全般
(a)市場環境
当社は、独自の組織戦略「群戦略」(上記「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等、(3)中長期的な会社の経営戦略」を参照)の下、投資ファンド(SVF1およびSVF2ならびにソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンド)を通じた投資のほか、ソフトバンクグループ㈱による直接または子会社を通じた投資などによって、人工知能(AI)という投資テーマに基づき、情報革命推進への貢献が見込める企業に投資しています。AIに関連した情報・テクノロジー企業に対する評価は、技術進歩や市場規模の成長見通しによって大きく変動することがあります。したがって、当社の保有株式価値も、マクロ経済や金融政策の全般的な動向に加え、こうしたセクター特有の要因によっても大きく影響を受ける可能性があります。
加えて、当社の投資先は非上場企業が中心となっており、投資先の企業価値評価や資金化の成否は、非上場の成長企業を対象としたベンチャー・キャピタル市場や、株式公開市場の動向にも大きな影響を受けます。
このほか、当社の外貨建て資産・負債の保有に伴い、為替変動の影響を受ける可能性があります。
なお、当社は、市場変動の影響に備えるべく、安定的な財務運営を目指しています。詳細は、上記「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等、(4)経営環境および優先的に対処すべき課題 全社 1 安定した財務基盤の構築」をご参照ください。
(b)国際情勢や規制の動向
当社は、日本だけでなく、米国、中国、インド、欧州・中南米諸国などの海外の国・地域に展開する企業等に投資しているため、これらの国・地域における政治・軍事・社会情勢の変化および法令・規制・制度など(以下「法令等」)の新設・強化(解釈や運用の変更を含みます。)により、当社の投資活動や投資先の事業活動が期待通りに展開できない可能性があります。法令等には、投資に関するもの以外に、AI、通信サービス、インターネット広告、イーコマース、自動運転、ロボット、ロジスティクス、金融・決済などの事業やその他の企業活動に関するもの(事業許認可、経済安全保障、輸出入、個人情報・プライバシー保護、環境、製造物責任、公正な競争、消費者保護、贈賄禁止、労務、知的財産権、マネー・ロンダリング防止、租税、為替に関するものを含みますが、これらに限りません。)が含まれ、当社の投資活動や投資先の事業活動は、これらの法令等の影響を直接または間接的に受けます。昨今、ロシア・ウクライナ情勢や米中対立の激化などを背景に、世界各国において経済安全保障の観点からの規制強化の動きも見られます。例えば、特定の国・企業に対する投資を制限する法令等の導入により、当社の投資活動が制約される可能性があるほか、投資回収の遅滞、投資回収における条件の悪化などが起こる可能性があります。また、地政学リスクの高まりによりサプライチェーンの分断が起こった場合や、貿易規制の強化によりテクノロジーを用いた製品等の輸出入が制限された場合、投資先の事業や業績が悪影響を受ける可能性があります。
加えて、当社の投資活動に関係各国の規制当局からの承認等が必要となる場合や、投資先への関与に制約が加えられる場合があります。必要な承認等が得られないなど制約を回避できない場合には、当社の期待通りに投資や売却を実行できない可能性があります。
なお、当社は、外部のアドバイザーからの助言を受けながら、これらの外部環境の変化に関する情報収集を行い投資活動に及ぼす影響を検討するとともに、それぞれの規制に対応するよう努めています。また、投資ポートフォリオにおける特定の国・地域、業種への集中度を継続的に監視することなどにより、リスクを把握し経営判断に反映しています。
(c)投資先の事業展開
当社は、AIを活用した成長可能性の大きなテクノロジー企業に対し投資を行い、中長期的視点から投資成果を最大化することを目指していますが、テクノロジーやビジネスモデルが想定通りの成果を上げられないこと、投資先のテクノロジーやビジネスモデルの陳腐化、競争環境の激化などにより、投資決定時に想定した通りに投資先が事業を展開できず、業績が大幅に悪化したり、事業計画の大幅な見直しを迫られたりする可能性があります。また、投資先が想定通りに事業を展開できない場合、当社は、投資先の株式価値の向上に必要と判断すれば、投資先に対し融資や債務保証、追加出資などを行うことがあり、その場合には、当該投資先に対するエクスポージャーが増加することになります。ただし、当社は投資ファンドの投資先への救済のみを目的とした投資等は行わないことを基本方針としています。
なお、当社は、投資実行後も、投資先の財務・経営情報や重要な経営指標、投資決定時の事業計画と実際の進捗の差異、コーポレート・ガバナンスの状況など、主なリスク要因を継続的に監視し、必要な対応策を実施する体制を整えています。例えば、投資先の経営改善のための助言や、役員の派遣などを必要に応じて行っています。
(d)投資判断
当社は、投資の意思決定において、対象企業のテクノロジー、ビジネスモデル、競争環境、財務内容、法令遵守、ガバナンスまたは重要な影響力を持つ創業者や経営者の資質などに関するリスクを見誤ったまま投資判断を下す可能性があります。特に当社の主要投資先である非上場企業においては、当社が投資判断の基礎とした情報の透明性、正確性、完全性が十分ではない可能性が相対的に高くなります。
当社は投資判断プロセスにおいて、社内関係部門による調査・検討に加えて、必要に応じて外部の財務・法務・税務アドバイザーなどの協力を得て、対象企業の重要項目についてデュー・デリジェンスを実施し、投資に係るリスクを把握するように努めています。それらの検討結果を踏まえて、ソフトバンクグループ㈱の取締役会または取締役会から権限を委譲された投融資委員会、またはファンド運営子会社の投資委員会で投資判断を下しています。
b.資金調達
当社は、金融機関からの借入や社債のほか、保有資産を活用した資金調達(アセットバック・ファイナンス)、保有資産の売却などの多様な調達手段を活用しています。
金融機関からの借入や社債については、金利変動や信用格付けの変更などにより調達環境が悪化した場合、資金調達を予定した時期・規模・条件で行えない可能性があります。また、これらの債務には、各種コベナンツが付されていることがあり、抵触した場合、当該債務について期限の利益を喪失する可能性があります。さらに、それに伴い、その他の債務についても一括返済を求められる可能性があります。
上場および非上場株式を活用したアセットバック・ファイナンス(株式先渡売買契約を除きます。)については、対象となる保有株式の価値が下落した場合に、追加で現金担保の差し入れが必要となる可能性や期限前の返済義務が発生する可能性があることに加えて、新たな資金調達やリファイナンスに支障が生じる可能性があります。
保有資産の売却による資金調達については、予定していたIPOの遅延や市場流動性の低迷、契約上の売却制限などにより、必要な時期に想定した価格で売却できない可能性があります。
資金調達に係るリスクをコントロールするために、ソフトバンクグループ㈱の財務部門は、市場環境を注視した上で適切と考える時期での資金調達を実施し、調達手段や時期、期間などの分散化を図っています。また、金融機関からの借入、社債のコベナンツやアセットバック・ファイナンスについて、様々なシナリオを想定した事前の検討・対応を行うことで各資金調達の安定性を高めています。こうした対応により、財務規律に基づき十分な手元流動性を維持することに努めています。
c.経営陣
当社の主要な子会社や投資ファンドは、それぞれのCEOなどの下で自律的に運営を行っていますが、当社の経営において中心的な役割を担っている代表取締役 会長兼社長執行役員 孫正義に不測の事態が生じた場合には、当社の活動全般に支障が生じる可能性があります。
このような不測の事態が発生した場合における意思決定プロセスへの影響を最小限に留めるため、コンティンジェンシープランを策定しています。また、指名報酬委員会において、中長期の方針やサクセッションプランについても定期的に議論しています。
(2)ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業
ソフトバンクグループ㈱は、SVF1およびSVF2ならびにソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンドなどを通じてAIを活用した成長可能性が大きいと考えるテクノロジー企業に対し投資を行っています。ソフトバンクグループ㈱は、各投資ファンドにリミテッド・パートナーとして出資を行っており、また、各投資ファンドを運営する当社100%子会社(SVF1を運営するSBIAおよびSVF2とソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンドを運営するSBGA、以下総称して「ファンド運営子会社」)は、各投資ファンドの事業活動に応じて管理報酬ならびに業績連動型管理報酬および成功報酬を受け取ります。
投資ファンドを通じた投資やその運営における主要なリスクは、以下のa~eに記載する通りです。なお、本(2)において、「投資先」は投資ファンドの投資先を意味します。
a.投資先の事業展開
多くの投資先は、AIやビッグデータなどの新技術を活用し、従来にはない新たなビジネスモデルの実現を目指しています。このような企業が、計画通りに事業を展開し、利益の獲得や強固な事業基盤の確立を果たすには様々なリスクを伴います。
例えば、技術の開発やビジネスモデルの実現を想定通りに進められず顧客ニーズや市場慣行に合致する商品・サービスを提供できないリスク、スケールメリットを享受するまでの規模に至らず事業基盤の維持や技術開発に必要な費用を十分に確保できないリスク、最新の技術を持つ他の新規参入企業や経営基盤の強固な既存企業との競争に敗れるリスク、事業・地域の多角化への対応や経済・事業環境の変化への対応ができないリスク、広告宣伝活動や営業人員の確保などの顧客獲得費用が計画を大幅に上回り利益を確保できないリスクなどがあります。
また、国家安全保障における先端技術の戦略的重要性は近年高まっており、米中関係の悪化などを背景として、各国における規制が強化される可能性があり、その結果投資先の事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。
さらに、事業展開に必要な資金を確保するに当たり、資金調達環境などが悪化した場合には、想定通りの条件での調達ができず、事業の成長を損なう大幅なコスト削減を迫られたり、当社持ち分の希薄化を伴う資金調達を余儀なくされたりする可能性があります。
ファンド運営子会社では、投資承認プロセスや投資後の継続的なモニタリングを通じて、投資リスク部門が中心となり、これらのリスクの早期の把握と軽減に努めています。
b.投資のエグジット機会の不足
投資ファンドの保有株式等の大半は流動性が低く、経済、法規制、政治などの要因による影響も受けるため、当初の計画通りに資金化できない可能性があります。さらに、契約またはその他の制約により、投資ファンドは特定の株式等の売却を一定期間禁止される可能性があり、有利な市場価格で売却する機会を逸する可能性があります。
なお、エグジット戦略の承認はファンド運営子会社の投資委員会の重要な検討事項となっています。エグジット戦略は、投資部門が定期的に見直し、更新するとともに、投資リスク部門がそれに対し様々な市場環境を想定したストレステストを実施しています。投資ファンドは長期投資を目的としており、複数の景気後退の可能性や、エグジットまでに時間を要する投資がありうることも考慮されています。
c.保有する上場会社株式等
投資ファンドの投資ポートフォリオには上場株式等が含まれます。これらの資産の保有には、投資先に関する情報の開示義務の増加、当該株式等の処分における投資ファンドの裁量への制限、投資先の役員および取締役(ファンド運営子会社の従業員である場合を含みます。)に対する投資先株主からの訴訟提起およびインサイダー取引の告発の可能性の増加のリスクを伴います。また、これらのリスクの対応のための費用が増加する可能性があります。
なお、ファンド運営子会社は、保有株式等の売却に当たり、市場への影響を最小限に抑えつつ、売却額の最大化を図るべく、計画的に売却する仕組みを確保しています。また、米ドルに対する為替レートが不安定な通貨建ての株式等の為替リスクをヘッジする必要性について検証しています。
さらに、投資ファンドが上場株式等を管理する上で発生する業務運営上のリスクやコンプライアンスリスクは、ファンド運営子会社のオペレーション、コンプライアンス、リスク管理の各部門が関与するコントロール・フレームワークを通じて管理されており、これにはポリシー、社員研修、社内通報制度、取引相手の確認などの取引承認プロセス、および取引後のモニタリングが含まれます。
d.特定の分野への投資の集中
投資ファンドは、特定の事業領域における複数の企業へ投資を行っており、当該事業領域に対する投資の集中度が高くなる場合があります。特定の事業領域における需要の減退や市場競争の激化(投資先間の競合を含みます。)などにより、事業環境が悪化した場合には、収益性の低下、事業計画の未達、市場評価の低迷などにより、投資先の業績や公正価値に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、投資の集中度については、ファンド運営子会社の投資リスク部門が集計を行い、投資委員会および取締役会のメンバーが検討を行います。ファンド運営子会社の投資委員会によるレビューなどの投資プロセスの中で、投資を分散させるか、またはリスクを許容するかが決定されます。
e.人材の確保・維持
ファンド運営子会社は、投資ファンドの保有株式価値の最大化を目的として、投資先を慎重に選定することに加え、投資後の成長を促す様々な支援を行います。このような取り組みの成功には、テクノロジーや金融市場に関する幅広い知見や投資事業の運営における専門的スキルを保有する有能な人材の確保・維持が不可欠です。有能な人材を十分に確保・維持することができない場合は、運営する投資ファンドの投資規模の維持・拡大や将来の投資成果に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、ファンド運営子会社は、投資・運用に必要な多様なノウハウを維持すべく、定期的な人事評価や組織の見直しに加え、研修や能力開発、スタッフが潜在能力を最大限に発揮できるよう行われる社内異動に至るまで、様々な人材サポートプログラムを提供しています。
(3)ソフトバンク事業
主に通信事業、インターネット関連事業、キャッシュレス決済を含む金融事業を営むソフトバンク㈱およびその子会社(本(3)において併せて「ソフトバンク㈱」)における主要なリスクは、以下のa~eに記載する通りです。
a.市場環境の変化、他社との競合
移動体通信市場は、競争促進政策の強化や異業種からの新規参入などによって経営環境が大きく変化し、利用者からはより低廉で多様なサービスを求める動きが高まっています。これらの市場環境に対応するため、ソフトバンク㈱は消費者の志向に合ったサービス・商品・販売方法を導入していますが、料金プランや通話・データ通信の品質等の面で消費者の期待に沿えない場合やソフトバンク㈱が提供するサービス・商品に重大な瑕疵が存在した場合、既存の契約者数を維持できる保証はありません。また、法令・規制・制度などの制定、改正または解釈・適用の変更等により、ソフトバンク㈱が顧客に提供できるサービス・商品・販売方法および料金プラン等が実質的な制約を受け、収入の減少や金銭的負担の発生・増加が起きる可能性があります。
ソフトバンク㈱の競合他社は、その資本力、サービス・商品、技術開発力、価格競争力、顧客基盤、営業力、ブランド、知名度およびこれらの総合力などにおいて、ソフトバンク㈱より優れている場合があります。競合他社がその優位性を現状以上に活用してサービスや商品の販売に取り組んだ場合、ソフトバンク㈱が価格競争を含む販売競争で劣勢に立たされ、ソフトバンク㈱の期待通りにサービス・商品を提供できない、顧客を維持・獲得できない、またはARPUが低下することも考えられます。
また、通信、インターネット、キャッシュレス決済に係る市場では、設立間もない新興企業や新規参入者によるサービス・商品がユーザーの支持を集め急速に広まることがあります。ソフトバンク㈱では、ユーザーの意見や動向を捉え、ユーザーの支持を集めることができるサービス・商品の提供を追求していきますが、新興企業や新規参入者のサービス・商品がソフトバンク㈱のサービス・商品に対する競合となる可能性や、ソフトバンク㈱が競争優位性を発揮するための新規サービス・商品の開発に費用がかかる可能性があります。
ソフトバンク㈱は、重複する経営資源の効率化、意思決定の迅速化や事業間におけるより大きなシナジーの創出などを目的として、ソフトバンク㈱内部において再編を行う場合があります。しかし、期待した再編の効果を十分に発揮できない場合、展開するサービスの連携の不調・遅れ、戦略やシナジーへの悪影響、再編に伴う混乱などの問題が発生する可能性があります。
b.技術・ビジネスモデルへの対応
ソフトバンク㈱は、技術やビジネスモデルの移り変わりが早い情報産業を主な事業領域としています。例えば、ChatGPTに代表される生成AIの分野は急速な勢いで発展しており、既存のビジネスモデルに大きな影響を与える事も想定されます。ソフトバンク㈱は、常に、最新の技術動向や市場動向の調査、技術的優位性の高いサービスの導入に向けた実証実験、および他社とのアライアンスの検討などの施策を講じています。しかし、新たな技術への対応が想定通りの時間軸に沿って進むこと、想定通りの効果を上げること、共通の基準や仕様が確立すること、および商用性を持つようになることについては、何らの保証もなく、また、これらの施策を行ったとしても、新たな技術やビジネスモデルの出現を含む市場環境の変化にソフトバンク㈱が適時かつ適切に対応できず、または迅速かつ効率的に設備を配備できないことにより、市場変化に適した優れたサービス、技術やビジネスモデルを創出または導入できない場合、ソフトバンク㈱のサービスが市場での競争力を失い、ソフトバンク㈱が維持・獲得できる契約数が抑制される、またはARPUが低下する可能性があります。
c.情報の流出や不適切な取り扱いおよびソフトバンク㈱の提供する商品やサービスの不適切な利用
ソフトバンク㈱は、事業を展開する上で、顧客情報(個人情報を含みます。)やその他の機密情報を取り扱っています。ソフトバンク㈱は、情報セキュリティ管理責任者の設置や役職員へのセキュリティ教育・訓練をはじめ、適切に情報資産を保護・管理するための体制構築を図っていますが、ソフトバンク㈱(役職員や委託先の関係者を含みます。)の故意・過失、または悪意を持った第三者によるサイバー攻撃、ハッキング、コンピューターウイルス感染、その他不正アクセスなどにより、これらの情報の流出や消失などが発生する可能性があります。
また、ソフトバンク㈱の提供する商品やサービスが詐欺等の犯罪等に不正に利用された場合、ソフトバンク㈱の信用および信頼の低下を招く可能性があります。
こうした事態が生じた場合、ソフトバンク㈱の信頼性や企業イメージが低下し顧客の維持・獲得が困難になるほか、競争力の低下や、損害賠償やセキュリティシステム改修のために多額の費用負担が発生する可能性があります。
なお、Zホールディングス㈱については、2023年10月1日付で同社を存続会社とした同社ならびにLINE㈱およびヤフー㈱を中心としたグループ内再編に関する手続きが完了し、LINEヤフー㈱に商号変更されました。LINEヤフー㈱においては、LINEヤフー㈱のグループ会社全体のデータガバナンスが円滑かつ適切に機能するよう体制を整え、その強化に取り組んでいます。
今後もこうした取り組みを継続していきますが、係る対策やガバナンス強化の施策が有効に機能しないことによる当局からソフトバンク㈱への行政処分、ソフトバンク㈱の信用の毀損、ソフトバンク㈱のサービスへの需要の減少、追加の対策の策定・実施、また、データの漏洩などが発生する可能性があります。
d.業務の委託
ソフトバンク㈱は、提供する各種サービス・商品に係る販売、顧客の維持・獲得、通信ネットワークの構築およびメンテナンス、ならびにそれらに付随する業務の全部または一部について、他社に委託しているほか、情報検索サービスにおいて他社の検索エンジンおよび検索連動型広告配信システムを利用しています。ソフトバンク㈱は、サプライチェーン上のリスクの低減に努めていますが、業務委託先(役職員や関係者を含みます。)がソフトバンク㈱の期待通りに業務を行うことができない場合や、ソフトバンク㈱および顧客に関する情報の不正取得または目的外使用等をした場合などの人権侵害等に関連する問題を起こした場合、ソフトバンク㈱の信頼性や企業イメージも低下し、事業展開や顧客の維持・獲得に影響を及ぼす可能性があります。
このほか、当該業務委託先において法令などに違反する行為があった場合、ソフトバンク㈱が監督官庁から警告・指導を受けるなど監督責任を追及される可能性があるほか、ソフトバンク㈱の信頼性や企業イメージが低下し顧客の維持・獲得が困難になる可能性があります。
e.関連システムの障害などによるサービスの中断・品質低下
ソフトバンク㈱が提供する通信ネットワークや顧客向けのシステム、キャッシュレス決済サービス「PayPay」をはじめとする各種サービスにおいて、人為的なミスや設備・システム上の問題(自然災害など予測困難な事情に起因するものも含みます。)、または第三者によるサイバー攻撃、ハッキングその他不正アクセスなどが発生した場合、これに起因して各種サービスを継続的に提供できなくなること、または各種サービスの品質が低下することなどの重大なトラブルが発生する可能性があります。ソフトバンク㈱は、ネットワークを冗長化するとともに、障害やその他事故が発生した場合に備え、復旧手順を明確にしています。また、障害やその他事故が発生した場合、規模に応じて事故対策本部を設置するなど、適切な体制を構築して復旧に当たっています。これらの対策にもかかわらず、サービスの中断や品質低下を回避できない恐れがあり、サービスの中断・品質低下による影響が広範囲にわたり、復旧に相当時間を要した場合、信頼性や企業イメージが低下し、顧客の維持・獲得が困難になる可能性があります。
(4)アーム事業
アームは主に、低消費電力型マイクロプロセッサーおよび関連テクノロジーのデザインなど、半導体のIP(回路の設計情報などの知的財産)のライセンス事業を行っています。ライセンスを供与された半導体企業により設計されるアーム・ベースのチップは、デバイスメーカーによってスマートフォン、デジタルテレビ、自動運転車等の最終製品に組み込まれます。アームの収益は、主に、アームのテクノロジーのライセンス収入およびライセンス先の企業がアームのテクノロジーを含むチップを販売することにより生じるロイヤルティー収入からなります。アームの事業における主要なリスクは、以下のa~jに記載する通りです。
a.業界動向の変化
アームの技術やサービスに対する需要は、変化と競争の激しい半導体およびエレクトロニクス産業の動向に依存しています。アームのライセンス収入は、半導体企業およびデバイスメーカーがアームの新しい製品を採用する頻度に大きく依存しているため、これらの企業の製品に対する需要の影響を受けます。デバイスメーカーによる、アーム・ベースのチップへの需要の減少は、アームのロイヤルティー収入に悪影響を及ぼします。
アームの成功は、その製品およびサービスが、半導体企業やデバイスメーカーに受け入れられるかどうかに大きく依存しています。市場には競合するアーキテクチャーがあり、アームの製品が市場で引き続き受け入れられる保証はありません。
また、半導体およびエレクトロニクス産業はますます複雑化し、設計および製造コストは増加の傾向にあります。そのため、アームの顧客の多くは、設計自動化ツール(EDA)や設計した半導体の製造にサードパーティを利用しています。アームはこれらのサードパーティと緊密に連携し、自社の技術がサードパーティのEDAや製造プロセスと互換性があることを確認しています。しかしながら、そのような互換性が十分に確保できなかった場合、またはEDAや半導体設計に関する情報へのアクセスが妨げられた場合、アームの製品に対する需要が減少する可能性があります。
これらのリスクを軽減するために、アームの経営陣は定期的に戦略と長期の製品開発計画を見直し、将来のニーズを満たす製品の開発に努めています。また、半導体やエレクトロニクス業界の多くのパートナーや企業と連携することで、状況の変化を察知し、適切な対応を図る体制を整えています。
b.競合
アームは、他社との競争に加え、設計および製造技術の進歩、エンドユーザーのニーズや業界標準の変化、頻繁な新製品の導入など、変化の激しい事業環境に晒されています。また、x86のような既存の技術や、RISC-Vのようなオープンソースの技術など、既存および新規の市場参加者との競合が今後も継続すると予想されます。
アームの競合他社は、開発・広告宣伝・販売により多くの経営資源を投入することで、価格、顧客対応、性能、品質の面でより優れた製品・サービスを提供する可能性があります。そのため、アームは競争上の優位性を確保すべく、相当規模の経営資源の投資が必要となる場合があります。これらの競争上の課題を予測または対応することができない場合、アームの優位性が損なわれる可能性があります。
これらのリスクを軽減するために、アームは、主要な半導体企業と密接に協力することに努めています。アームは、アーム・ベースのチップの構築や最適化されたソフトウエアの開発の知識を持つ多くのエンジニアからなるエコシステムを確立しており、それに投資することで、様々なアーム・ベースのチップを開発し維持するコストのさらなる削減に努めています。
c.顧客の集中
アームの収益の大部分は少数の主要顧客に依存しており、これらの主要顧客の事業の動向に影響を受ける可能性があります。
なお、アームは通常、毎年多様なプロセッサーを開発し、特定の顧客がアーム製品の導入を見送った場合の影響の軽減に努めています。
d.世界市場の細分化
アーム製品が属する市場は、地政学的影響を受けることがあります。地政学的要因や政治的対立によって、世界共通のアーキテクチャーの役割が薄れ、一部の国・地域特有の製品への需要が増加し、世界の半導体市場の分断が起きる可能性があります。これは地域ごとの多様な製品をサポートするための費用の増加や、アーム製品を使用しなくなった地域における収益の減少、新規市場における将来のライセンス収入の機会の損失につながる可能性があります。
なお、アームは、規制当局に対する働きかけや、将来の顧客ニーズに即した製品開発を行うために戦略の見直しを行うことで、これらのリスクの軽減に努めています。
e.中国への依存
アームは、収益の一定部分を中国の半導体企業およびOEM、ならびに中国に半導体や最終製品を輸出する半導体企業およびOEMから得ています。アームにおける中国関連市場での収益の維持が困難になる場合、中国における新規および既存の市場へのアクセスが閉ざされる場合、新規事業での成長の遅れや、中国における市場シェアが低下する場合には、アームの業績や競争力に悪影響を与える可能性があります。
過去10年間、中国は半導体産業の収益と成長の重要な源泉となってきました。しかし、近年、新型コロナウイルス感染症の流行、貿易や国家安全保障に関する政策、債務残高の増加などが経済に不確実性を与え、中国経済や半導体産業の成長の先行きが不透明な状況にあり、この状況が長期化する場合には、アームに悪影響を及ぼす可能性があります。
また、アームの中国でのビジネスは、保護貿易政策や国家安全保障政策を含む政治的措置によりすでに一定の制約を受けていますが、今後も制約を受ける可能性があります。
これらのリスクを軽減するために、アームは、米国と中国における政策変更を詳細に把握することに努めています。また、アーム・チャイナ(注3)における収益やライセンス契約の動向を定期的に把握することで、中国市場への影響を注視するとともに、その対応に努めています。
(注3) アーム・チャイナは、当社の子会社と中国投資家による合弁会社です。アームはこの会社を通じて中国市場にアクセスしています。
f.ビジネスモデルの変更
アームは、そのビジネスモデルの変更を今後も行う可能性がありますが、これらの変更が顧客に受け入れられる保証はありません。そのような場合、アームは期待通りに、想定したスケジュールで収益を得られない、または全く収益を得られない可能性があります。
また、ビジネスモデルの変更後において、契約の数や金額の増加が従来と同じようには、または全く実現せず、期待通りのライセンス収入が得られない可能性があります。さらに、新しいビジネスモデルの導入は、顧客にとってアームの製品の魅力を低減させてしまうなど、想定通りの結果を得られない可能性があります。
これらのリスクを軽減するため、アームは新しいビジネスモデルに関して、顧客と十分な議論を行うなど、広範な検討を実施し、リスクの特定と対応に努めています。
g.所有する知的財産権の保護
アームの事業の成功には、その知的財産権の保護が不可欠です。アームは、その保護に当たり、主に特許権、著作権、企業秘密、商標関連の法律や、従業員との機密保持契約、ならびに顧客、パートナーなどの関係者とのライセンス契約に依拠していますが、知的財産権を保護するためのアームの措置が不十分である可能性があります。加えて、アームが希望する特許権を取得できない、または特定の法域においては、アームが保持する知的財産に関する契約上の権利などが制限される可能性があります。アームがこれらに関連する法律や規制に適切に対応できない場合、および関連する法域において知的財産権や契約上の権利を行使できない場合、アームの事業に悪影響が及ぶ可能性があります。
また、特許権およびその他の知的財産権を行使するために、訴訟が必要となる場合があります。そのような訴訟は巨額の費用がかかる可能性があり、また経営陣やエンジニアの通常の業務に支障をきたす可能性があります。
一例として、アームは、Qualcomm, Inc.およびQualcomm Technologies, Inc.(両者を含めて“Qualcomm”)、Nuvia, Inc.との係争中の訴訟に関与しています。このような訴訟の結果や、それによる現在主要顧客であるQualcommとの関係への影響は不透明です。さらに、アームによる訴訟への関与が、業界、Qualcommやその他のパートナーとの関係において風評被害が生じる可能性があります。
なお、アームは、関連法域における特許権、訴訟、係争事案の動向を注意深く監視することにより、これらのリスクの軽減に努めています。
h.知的財産権の侵害
アームは、第三者により知的財産権の侵害、濫用などを主張されたことがあり、今後もそのような主張がなされる可能性があります。アームはその技術が第三者の知的財産権を侵害したとの法的主張を受けた場合、顧客との契約に基づき、顧客に対する補償を行わなければならない場合があります。これらの主張は、費用と時間のかかる訴訟に発展し、アームによるロイヤルティーまたはライセンス契約の締結を余儀なくされ、損害賠償または販売差止命令の対象となり、特許が無効となり、顧客からのライセンス料の返還または将来の支払いの見送りを要求され、さらにはアームの特定の製品の再設計が必要となる場合があります。
なお、アームは、厳密に管理された手順の下、適切なライセンスの権利の恩恵を受ける場合を除き、第三者に帰属する知的財産権を使用せずに製品を設計・実装することで、これらのリスクを軽減しています。
i.ブランドと評判
アームのブランドと評判を維持することは、顧客、従業員、政府、サプライヤー、およびその他のステークホルダーとの関係において不可欠です。アームのブランドと評判は、非倫理的行動や不正行為、製品の品質、安全性、法令または契約違反、内部統制の失敗、コーポレート・ガバナンスの問題、データ侵害、労働環境における安全確保、環境保全問題、違法または不適切な用途への技術の使用、営業手法、サプライヤーの行為、その他の悪評を招く問題などにより影響を受ける可能性があります。これらの危機や脅威に迅速かつ効果的に対応できなかった場合、社会的な批判によりアームのブランドと評判が大きく棄損する可能性があります。また、アーム・チャイナなどの第三者の行為の責任がアームに転嫁された場合も、アームのブランドや評判が損なわれる可能性があります。
アームは、製品の欠陥やバグのリスクを低減するために、厳格な品質保証と検証プロセスを実施しています。加えて、顧客やパートナーからのフィードバックを定期的に収集し、アームの製品や行動に対する認識の変化を把握し、評価の低下に対して早期の対応を図る体制を維持することで、これらのリスクの軽減に努めています。
j.輸出規制と貿易障壁
アームの本社は英国にあり、現時点において、米国、中国、インド、カナダ、南アフリカ、欧州を含む世界中の国や地域で事業を展開しています。これらの国際的な事業活動は、政治・経済・金融情勢や、法律・規制環境の変化に影響を受けます。
各国政府による輸出入規制により、様々な負担や製品のライセンス提供の制限を伴う可能性があります。米国商務省が、他国の製品に対する輸出規制の適用範囲を拡大した場合、より多くのアームの製品が米国の輸出管理の対象となる可能性があります。さらに、米国政府が特定の顧客や取引先を対象としたより広範な経済制裁を導入した場合には、特定の国や組織に対する製品のライセンス提供に制約が生じる可能性があります。
アームが事業上関与する国々の貿易における関係性は近年不安定であり、特に米国政府はアームの一部の取引先へ輸出規制を課しています。これら国々の規制は追加の費用負担や、重要市場での収益減少につながる可能性があります。
なお、アームは、米国、英国、EUの輸出管理当局と強い関係を維持し、政策や規制の動向を監視することで、これらのリスクの軽減に努めています。
(5)その他
a.法令遵守
当社は、各国の法令等の下で投資活動を行っています。当社や投資先(役職員を含みます。)が法令等に違反する行為を行った場合、違反の認識の有無にかかわらず、行政処分や法的措置の対象となる可能性があります。その結果、当社および投資先の信頼性や企業イメージの低下、取引先による契約解除、金銭的負担が発生する可能性があります。また、当社および投資先が活動を行う国・地域において、租税法令またはその解釈・運用が新たに導入・変更された場合や、税務当局との見解の相違により追加の税負担が生じる可能性があります。
なお、当社では、法令の遵守にとどまらず、高い倫理観に基づいた企業活動を行うため、全ての役職員に適用される「ソフトバンクグループ行動規範」を定めるとともに、グループコンプライアンス体制の強化や研修など役職員の知識や意識向上を促す取り組みを行っています。また、法令等の新設・改正に関しては、法務部門が外部のアドバイザーからの助言を受けながら情報収集などを行っています。
b.知的財産権
ソフトバンクグループ㈱が保有する「ソフトバンク」ブランドが第三者により侵害された場合、ソフトバンクグループ㈱および「ソフトバンク」ブランドを使用する子会社の企業イメージや信頼性が低下する可能性があります。また、子会社および投資先が保有する知的財産権が第三者により侵害された場合、同社の事業展開や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。一方、当社または投資先が意図せずに第三者の知的財産権を侵害した場合、権利侵害の差止めや損害賠償、ライセンス使用料の請求などを受ける可能性があります。
なお、事業の持続的成長を支えるソフトバンクグループ㈱のブランドの重要性に鑑み、商標権を国内外で戦略的に確保する取り組みを行うとともに、子会社の知的財産活動・戦略の評価や子会社との知的財産に関する連携等を行い、持株会社としてグループ全体の知的財産保護・活用も目指しています。
c.訴訟
当社は、株主、投資先、取引先、従業員(投資先の現在および過去の株主・従業員を含みます。)を含む第三者の権利・利益を侵害したとして、損害賠償などの訴訟を起こされる可能性があります。その結果、当社の投資活動に支障が生じたり、企業イメージが低下したりする可能性があるほか、金銭的負担が発生する可能性があります。
d.サステナビリティ
当社は環境、社会、ガバナンス(以下「ESG」)に対し、本質的な取り組みを率先して実行することが重要であると考えています。しかし、当社のESGへの取り組みが投資家をはじめとした社内外のステークホルダーの期待から大きく乖離した場合(例えば、ESG要素が当社のガバナンス体制や経営戦略に十分に組み込まれていない、または気候変動や、多様性を含む人的資本への取り組みが不十分である、と投資家に判断された場合など)は、ステークホルダーからの評価が低下し、投資活動および資金調達に悪影響を及ぼす可能性があります。また、投資先のESGに関する機会・リスクを十分に把握できない場合は、当社が想定した通りに投資先が事業を展開できない可能性があります。さらに、投資会社に対するESG関連の規制が強化された場合は、投資スピードの鈍化や対応コストの増加が生じる可能性もあります。
なお、ソフトバンクグループ㈱は、取締役会で任命されたチーフ・サステナビリティ・オフィサー(CSusO)を委員長とするサステナビリティ委員会において、取り組むべきESGの重要課題や対応方針等を継続的に議論するとともに、ESGに関わる対応および情報開示を強化しています。投資活動では、各投資エンティティにおいて、投資先のESGに関する機会・リスクを分析し、総合的な投資評価を行っています。
e.情報セキュリティ
昨今の国際情勢を受け世界中でサイバー攻撃の脅威が高まる中、当社および投資先においてサイバー攻撃、ハッキング、コンピューターウイルス感染、その他不正アクセスや内部不正を完全に防止できなかった場合、情報の漏えい、改ざん、消失またはその他の情報セキュリティ事故が発生する可能性があります。こうした事態が生じた場合、当社および投資先の信頼性や企業イメージが低下したり、事業活動に支障が生じたりする可能性があるほか、金銭的損失やこれらの事象に対応するための追加費用等が発生する可能性があります。
なお、当社は、ソフトバンクグループ㈱の取締役会で任命された最高情報セキュリティ責任者であるチーフ・インフォメーション・セキュリティ・オフィサー(CISO)の下、情報セキュリティを脅かす脆弱性などのリスク要因を特定し、リスクに応じた組織的、物理的、技術的および人的な情報セキュリティ対策を実施することで、情報資産の保護に努めています。
ソフトバンクグループ株式会社 本店
(東京都港区海岸一丁目7番1号)
株式会社東京証券取引所
(東京都中央区日本橋兜町2番1号)
該当事項なし