文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、「人々の健全な住環境の維持と生活文化の発展に貢献し、豊かな社会を実現する」という企業理念に基づき、賃貸不動産市場における新しい価値創造を目指しております。お客様のご期待を常に上回るサービスを提供し、家賃債務保証を含めた新しいサービスを展開してまいります。
(2) 経営環境、経営戦略及び優先的に対処すべき課題
① 管理会社市場の拡大
当社グループの既存マーケットである管理会社市場においては、単身世帯の増加等の影響により、家賃債務保証サービスに対する需要の高まりが継続しております。
当社は、営業人員の確保や新規出店の強化によってカバーエリアを拡大し、代理店ごとのニーズに合わせた付加価値サービスの提供により差別化を図ることで、代理店数、新規契約件数及び保有契約件数の増加を目指しております。
大規模な管理会社に対しては、手数料競争の激化を受け、信用情報の活用により未回収リスクを抑制し内部コストを削減することで、手数料率の高い保証商品の提供を行っております。
小規模な管理会社に対しては、契約管理システムの提供や他社管理ソフトとの申込連動による業務効率改善の提案を行っております。
これらの施策により、当社は管理会社市場においてより強固な地位を築くことを目指しております。
② 自主管理市場の開拓
不動産賃貸市場において売上を拡大するためには、管理会社市場だけでなく、自主管理市場へも進出することが必要です。
賃貸経営に課題を抱える大家の方々に対して、当社グループは自主管理を効率的に運営するためのテクノロジーサービスを提供し、入居者募集から家賃管理、入居者トラブル対応、退去時手続きまでをサポートします。これにより、賃貸物件の収益最大化に貢献することで、自主管理市場におけるシェア拡大を目指します。
③ 事業領域の拡大
当社グループが安定的な成長を維持するためには、家賃債務保証事業に加えて新たな収益基盤を構築する必要があります。既存事業領域の拡大やシナジー効果を生むM&A、ビッグデータを活用したデータビジネスなど、新規事業の立ち上げに積極的に取り組んでまいります。
また、2023年4月に「こども家庭庁」が設立され、こどもの貧困対策やひとり親家庭の支援に向けた環境整備が進んでいる中、当社グループでは養育費保証事業の認知度向上に取り組んでおります。
④ 人材の確保と育成
当社グループが上記の課題に対処するためには、営業力の強化が必要不可欠です。営業職を中心に採用を強化するとともに、既存社員の教育・研修制度の充実や、柔軟な配置転換を行うことで、必要な人材を確保・育成し、組織の市場競争力の向上を目指します。
また、営業部門のノウハウの共有や営業プロセスの改善を行うことで、営業戦略の策定と実行においても一層の高度化を図ります。
⑤ システム開発の推進
当社グループは、入居者や代理店、家主をつなぐプラットフォームや、管理会社及び自主管理オーナーへ提供するサービスシステムの開発により、商品力の強化を行い、顧客満足度向上に取り組んでおります。
また、基幹システムの刷新による業務の効率化、AIを活用した与信審査による滞納発生率及び貸倒引当金の抑制に伴う内部コストの圧縮、セキュリティ対策やシステムの安定稼働の構築にも注力してまいります。
⑥ コーポレート・ガバナンスの強化
当社グループがステークホルダーからの信頼を確保し、安定した経営基盤を構築するためには、コーポレート・ガバナンスをさらに強化する必要があります。
経営陣や従業員に対する研修等を通じた内部統制の強化や法令遵守の徹底を図るとともに、経営に関わる意思決定の透明性・公正性を確保した体制を構築いたします。
(3) 目標とする経営指標
当社グループは、経営成績の推移を把握するために、以下の算式により算出された調整後親会社株主に帰属する当期純利益を重要な財務指標として位置づけております。調整後親会社株主に帰属する当期純利益の推移は以下のとおりであります。
(単位:千円)
回次 |
第6期 |
第7期 |
第8期 |
第9期 |
第10期 |
決算年月 |
2019年1月 |
2020年1月 |
2021年1月 |
2022年1月 |
2023年1月 |
経常利益 |
1,391,015 |
1,577,200 |
1,090,065 |
1,145,809 |
895,186 |
+のれん償却額 |
261,900 |
261,900 |
261,900 |
268,434 |
274,967 |
調整後経常利益(注)1 |
1,652,916 |
1,839,101 |
1,351,966 |
1,414,243 |
1,170,153 |
当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純利益 |
840,402 |
927,258 |
611,066 |
647,479 |
254,738 |
+のれん償却額 |
261,900 |
261,900 |
261,900 |
268,434 |
274,967 |
調整後当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純利益(注)2 |
1,102,303 |
1,189,159 |
872,967 |
915,913 |
529,705 |
(注)1.調整後経常利益=経常利益+のれん償却額
2.調整後当期純利益=当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純利益+のれん償却額
3.第7期より連結財務諸表を作成しております。第6期は個別財務諸表に基づく数値を、第7期以降は
連結財務諸表に基づく数値を記載しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 景気、賃貸市場の動向等の外部環境による影響
当社は「家賃債務保証事業」を行っているため、家賃の動向、住宅の建設動向、不動産に係る法律・税制の改正及び人口減少等を背景とした賃貸市場の縮小が生じることにより、当社グループの業績や財務状況に影響を与える可能性があります。
(2) 各種法規制及び制度等の変更に伴うリスク
家賃債務保証事業については、直接的に規制する法令等は存在していませんが、2017年10月より国土交通省により任意の家賃債務保証業者登録制度が発足されております。今後、この登録制度が条件化され、または、新たな法的規制の導入や現行の法的規制の改正が行われた場合並びに不動産賃貸業界全般に大きな影響を及ぼすような法的規制が設けられた場合には、当社グループの事業展開や当社グループの業績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(3) レピュテーションリスク
当社グループは、「人々の健全な住環境の維持」を企業理念としており、入居者の生活環境や収入状況の変化がおきた場合には、約定通りの支払いができるように支払い方法や収入に応じた分割返済の相談にも対応しております。
しかしながら、当社グループや家賃債務保証業界に対して、コンプライアンス遵守を懸念する否定的な内容の報道や風評が生じた場合、それが正確な事実であるか否かにかかわらず、当社グループのレピュテーションに影響を及ぼし、事業活動に支障が生じることによって、当社グループの業績や財務状況に影響を与える可能性があります。
(4) 自然災害等について
① 大規模な自然災害によるリスク
当社は全国的に事業を展開しておりますが、主要な営業拠点及びオペレーション部門等の本社機能を東京都に有しており、また、家賃債務保証サービスの対象となる賃貸物件は首都圏が多い状況となっております。このため、東京都を中心とする首都圏において地震その他の大規模災害が発生した場合は、オペレーション業務の停止、システムトラブル等の本社機能に甚大な被害が及ぶ可能性があり、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
② 新型コロナウイルス感染拡大によるリスク
新型コロナウイルス感染症による当社グループへの影響は、入居者の経済状況に影響を及ぼすことで、家賃の滞納や貸倒れが増加するおそれが高まり、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 信用リスク
① 代位弁済について
当社は、保証委託契約を締結した賃借人の家賃の滞納が発生した際に賃貸人に対して代位弁済を行いますが、代位弁済額を抑制するため、蓄積してきた賃借人の属性、家賃支払状況等に係る顧客データベースを活用した属性分析による独自の与信管理体制を構築し、滞納発生を抑えるようにコントロールしております。
しかしながら、国内外の経済環境や雇用環境等が著しく悪化し賃借人の家賃支払いに影響した場合、代位弁済が増加することにより、当社グループの業績や財務状況に影響を与える可能性があります。
② 貸倒引当金について
当社は、求償債権、売掛金に対し貸倒引当金を計上しております。求償債権及び売掛金に係る貸倒引当金については貸倒実績率に基づき回収不能見込額を計上しております。
しかしながら、実際の貸倒れが貸倒引当金額を大幅に上回り、貸倒引当金以上の損失が計上される場合及び貸倒引当金の計上基準を見直す必要が生じた場合は、当社グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(6) のれんに関するリスク
当連結会計年度末(2023年1月31日)における、当社グループの総資産額は13,225,345千円であり、そのうち、旧㈱Casaを吸収合併したことにより発生したのれんが2,793,610千円を占めており、また、のれんの効果が発現する期間を合理的に見積り、当該期間にわたり均等償却しております。当該無形固定資産について減損が生じていると判断される場合、当社グループは減損損失を計上する必要があり、当該減損損失の計上は当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(7) システムリスク
当社グループは業務をシステム化しており、システムの安定運用に依拠して審査、保証契約等の管理、債権管理、その他各種運用及びお客様の個人情報の記録・保存・管理等を行っております。コンピュータ及びネットワーク機器・回線障害または誤作動、システムプログラムの障害等により、正常な業務運営が妨げられることがないように、バックアッププランを含めた緊急時の体制を整えております。また、システム全般に適切なセキュリティ対策を講じております。
しかしながら、事故、火災、自然災害、停電、人為的ミス、ソフトウエアの不具合及び外部からの不正アクセス等により、システムの安定的な運用が困難となった場合、当社グループの事業活動に支障が生じることによって、当社グループの業績や財務状況に影響を与える可能性があります。
(8) 情報漏洩に関するリスク
当社グループは、個人情報を含む数多くのお客様情報を保有しております。当社グループは個人情報管理システム構築の為、「プライバシーマーク」を取得し、個人情報漏洩の発生を防ぐために、個人情報保護関連の規程・細則を整備し、従業員に対する教育によりお客様情報管理の徹底に努めております。
しかしながら、万が一、個人情報の紛失・漏洩・不正利用及び外部からの不正アクセス等により重大な情報漏洩等が発生した場合、当社グループの事業活動に支障が生じることによって、当社グループの業績や財務状況に影響を与える可能性があります。
(9) 事務リスク
当社は、不正確な事務処理あるいは事故及び不正等によるオペレーション品質の低下を防止するために、各種規程や業務マニュアルに基づいた事務処理を徹底し、また、各業務をシステム化することにより、人為的ミスの少ない効率的な事務処理体制の構築に努めております。
しかしながら、事務手続き上の故意または重過失により、事業活動に支障が生じることによって、当社グループの業績や財務状況に影響を与える可能性があります。
(10)投資リスク
当社グループは、競争力強化および事業拡大のための投資活動として株式を保有しております。これら投資先の事業の展開が計画どおりに進まず、実質価額が著しく下落し、かつ、回復可能性が認められないと判断した場合には、評価損の計上が必要となるため、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす場合があります。
(11)代理店との関係
当社は、主に代理店を通じて家賃債務保証事業を展開しております。代理店である不動産管理会社等の紹介を通じて入居者と締結した契約に基づく売上を計上しているため、不動産管理会社等からの新規賃借人の紹介が何らかの事情で減少した場合、当社グループの業績や財務状況に影響を与える可能性があります。
(12)新規事業について
当社グループは、事業規模の拡大と収益源の多様化を実現するために、新規事業への取り組みを進めていく方針であります。新規事業が安定して収益を生み出すまでには一定の期間を要することが予想され、全体の利益率を低下させる可能性があります。また、将来の事業環境の変化等により、新規事業が当初の計画どおりに推移せず、新規事業への投資に対し十分な回収を行うことができなかった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(13)特定人物への依存リスク
当社グループ事業開始以来の事業推進者である代表取締役社長宮地正剛は、当社グループ事業に関する豊富な知識と経験を有しており、経営方針や事業戦略の決定など、当社グループの事業活動全般において極めて重要な役割を果たしております。
当社グループでは過度に同氏に依存しないよう、経営幹部の育成及び権限委譲による体制を構築し、経営組織の強化に努めております。しかしながら、何らかの理由により同氏の業務遂行が困難となった場合、当社グループの業績や財務状況に影響を与える可能性があります。
(14)新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社グループは、事業発展のために必要なマネジメント力、コンプライアンスに精通した人材等の確保及び定着を目的として、取締役及び執行役員に対して新株予約権を付与しております。当連結会計年度末現在、新株予約権による潜在株式数は1,661,000株であり、潜在株式を含む株式総数12,961,100株に対し、12.8%にあたります。発行された新株予約権の行使により発行される新株式は、将来、当社グループの株式価値の希薄化や株式売買の需給への影響をもたらし、当社グループ株価の形成に影響を及ぼす可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限が徐々に緩和され、社会経済活動に回復の兆しが見え始めました。一方、昨年より世界的な原材料価格の高騰や急激な円安を背景に、電力やガスなどの価格の高騰が物価全体を押し上げる状況が続いております。
当社グループの関連する市場である賃貸不動産市場におきましては、景気の回復に連動して、賃貸物件への転居需要が増加傾向にあり、高齢者世帯や単身世帯の増加に伴い家賃債務保証サービスに対する需要の高まりは継続しております。具体的には、持家の新設住宅着工件数が前年度比(2022年2月~2023年1月)11.5%減少する一方、貸家の着工件数は前年度比(2022年2月~2023年1月)6.6%増加していることから、このような傾向が確認されております。
このような事業環境を背景に、当社グループにおいては「人々の健全な住環境の維持と生活文化の発展に貢献し、豊かな社会を実現する」という企業理念のもと顧客の状況に応じたサポートに努めました。
新規契約件数は、前年同期比10.0%増の117,182件となりました。そのうち、大手・中規模管理会社向け保証サービス「ダイレクトS」の新規契約件数は前年同期比306.5%増の8,423件、主に小規模管理会社を対象とした保証サービス「家主ダイレクト」の新規契約件数は前年同期比22.3%増の39,689件となりました。また、事業用物件向けの保証サービスは、保証内容を拡充して販売に注力した結果、新規契約件数は前年同期比11.6%増の7,421件となりました。保有契約件数は前連結会計年度末に比べて20,277件増加し、既存契約からの継続保証料は前年同期を上回りました。しかしながら、売上高を期間按分しているため減収となっております。
求償債権残高は、保証引受審査及び債権管理体制の強化を進めた結果、家賃の滞納発生率は想定内で推移しており、回収率の改善が図られたため、適切な水準が保たれており、保証残高に占める割合は縮小いたしました。
自主管理家主に対しては、賃貸経営支援ツール「Owner WEB」のプロモーション活動などを行い、利用する家主数は前年同期比47.2%増の5,776人となりました。
養育費保証事業においては、各自治体に対し養育費の未払い防止に向けた取り組みの提案を行っており、2023年2月時点で216自治体が養育費保証の利用者に対し、何等かの補助制度を導入しております。さらに、2023年4月に「こども家庭庁」が発足し、こども政策の強化も進められる予定です。今後も引き続き、自治体へのアプローチやメディアの活用、セミナーの実施による認知拡大に努めて参ります。
また、特別損失として投資有価証券評価損及びAlong with株式会社にかかるのれん等の減損損失を計上しております。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は10,286,065千円(前年同期比0.5%減)、営業利益は785,606千円(前年同期比24.3%減)、経常利益は895,186千円(前年同期比21.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は254,738千円(前年同期比60.7%減)となりました。
なお、のれん償却額274,967千円を販売費及び一般管理費に計上しております。
※ 当社グループの報告セグメントは家賃債務保証事業のみであり、他の事業セグメントの重要性が乏しいため、セグメントごとに記載しておりません。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ473,153千円増加し、2,889,327千円となりました。各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、1,165,250千円の収入(前年同期は728,763千円の収入)となりました。これは主に、未収入金の増加額114,338千円、法人税等の支払額293,063千円等の減少要因があった一方で、税金等調整前当期純利益596,381千円、減損損失125,542千円、のれん償却額274,967千円、投資有価証券評価損173,318千円、前受金の増加額284,642千円等の増加要因があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、300,710千円の支出(前年同期は1,009,728千円の支出)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出201,150千円、投資有価証券の取得による支出90,700千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、391,386千円の支出(前年同期は480,392千円の支出)となりました。これは主に、自己株式の取得による支出100,218千円、配当金の支払額301,112千円等によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.受注実績
受注活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。なお、当社グループの報告セグメントは家賃債務保証事業のみであり、他の事業セグメントの重要性が乏しいため、売上科目別に記載しております。
売上科目 |
当連結会計年度 (自 2022年2月1日 至 2023年1月31日) |
前年同期比(%) |
初回保証料(千円) |
4,996,338 |
94.4 |
継続保証料(千円) |
5,237,749 |
104.8 |
その他売上(千円) |
51,977 |
99.0 |
合計 (千円) |
10,286,065 |
99.5 |
(注)1.その他売上は、主に業務受託売上であります。
2.最近2連結会計年度の主要な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上の相手先がないため、記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、資産・負債の残高及び収益・費用の金額に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績や現在の状況並びに現在入手可能な情報を総合的に勘案し、その時点で最も合理的と考えられる見積りを採用しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。また、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、新規代理店の獲得、商品内容のカスタマイズ、そして管理会社の業務負荷を減らす付加価値サービスの提供により、10,286,065千円(前年同期比0.5%減)となりました。
(売上原価及び売上総利益)
当連結会計年度の売上原価は、4,439,413千円(前年同期比2.4%増)となりました。これは主に貸倒引当金繰入額が110,291千円減少した一方で、支払手数料が231,603千円増加したことによるものであります。
この結果、当連結会計年度の売上総利益は、5,846,652千円(前年同期比2.7%減)となりました。
(販売費及び一般管理費並びに営業利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、5,061,045千円(前年同期比1.8%増)となりました。これは主に賞与引当金繰入額が46,608千円減少した一方で、業務委託費が81,971千円増加したことによるものであります。
この結果、当連結会計年度の営業利益は、785,606千円(前年同期比24.3%減)となりました。
(営業外損益及び経常利益)
当連結会計年度の営業外収益は、償却債権取立益が17,369千円増加し、120,269千円となりました。また、営業外費用は、株式報酬費用消滅損7,512千円が発生し、10,689千円となりました。
以上の結果、当連結会計年度の経常利益は、895,186千円(前年同期比21.9%減)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、596,381千円(前年同期比46.5%減)となり、法人税等合計341,643千円を計上した結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、254,738千円(前年同期比60.7%減)となりました。
b.財政状態の分析
(資産の部)
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ318,452千円増加の13,225,345千円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末に比べ726,883千円増加の6,335,366千円となりました。これは主に、現金及び預金が473,153千円、未収入金が113,338千円増加したことによるものであります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ408,430千円減少の6,889,978千円となりました。これは主に、無形固定資産のソフトウエア仮勘定が156,029千円増加した一方で、無形固定資産ののれんが386,032千円、投資その他の資産の投資有価証券が111,520千円減少したことによるものであります。
(負債の部)
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ460,094千円増加の6,383,233千円となりました。これは主に、流動負債の前受金が284,642千円、預り金が158,754千円増加したことによるものであります。
(純資産の部)
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ141,641千円減少の6,842,111千円となりました。これは主に、利益剰余金が親会社株主に帰属する当期純利益の計上により254,738千円増加した一方で、剰余金の配当により301,498千円減少したこと、また、自己株式を99,968千円取得したことによるものであります。
c.資本の財源及び資金の流動性
(キャッシュ・フロー)
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(財務政策)
当社グループが営む家賃債務保証事業における資金需要の主なものは、代位弁済請求に対応する運転資金、販売費及び一般管理費等の営業活動費用及び設備資金があります。
これらの資金需要に対し、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。また、運転資金、営業活動費用及び設備資金は主に自己資金で賄っております。
今後の資本的支出の内容は、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却の計画」に記載のとおりであります。
d.経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)目標とする経営指標」に記載のとおりであります。
e.主要な経営指標の状況
当社グループの経営成績に影響を与える主要な経営指標として代理店社数及び保有契約件数があり、その増加を図ってきた結果、継続保証料が増加しております。それぞれの経営指標に対する当社グループの取組み及び初回保証料・継続保証料を含む経営指標の推移は以下のとおりとなっております。
(新規代理店獲得社数及び代理店社数)
当社グループは連帯保証を求める不動産管理会社等のニーズに応え新規代理店を増やしてまいりました。近年の傾向として、連帯保証を依頼する保証人がいない入居希望者や、連帯保証を第三者に依頼したくない入居希望者、保証人による連帯保証のみでは不安に感じる賃貸人や不動産管理会社等が増加していること、また、2020年4月の民法改正等の影響により、家賃債務保証に対するニーズは高まっていると考えております。こうした状況を踏まえ、当社グループは、新規契約の拡大を図るべく未提携不動産管理会社等に対する代理店契約締結に向けたアプローチを継続しており、最近3年間の新規代理店獲得社数及び代理店社数の推移は以下のとおり推移しております。
|
|
|
(単位:社) |
|
2021年1月期 |
2022年1月期 |
2023年1月期 |
新規代理店獲得社数 |
956 |
940 |
1,008 |
代理店社数合計 |
9,942 |
10,882 |
11,890 |
(新規契約申込件数及び保有契約件数)
当社グループは、代理店社数の増加に取組むとともに既存不動産管理会社等に対する利用促進のための提案等を継続し、賃貸人や不動産管理会社等のニーズに沿った商品・サービスを提供することにより、保有契約件数の増加を図っています。この取組みの結果、新規契約申込件数及び保有契約件数の最近3年間の推移は、以下のとおり推移しております。
|
|
|
(単位:件) |
|
2021年1月期 |
2022年1月期 |
2023年1月期 |
新規契約申込件数 |
186,296 |
148,173 |
165,265 |
保有契約件数 |
562,052 |
566,199 |
586,476 |
(初回保証料及び継続保証料)
当社グループは、初回保証料に加え継続保証料も受領するストック型ビジネスであることを特徴としており、これら初回保証料及び継続保証料を増加させていくため、代理店数の増加、保有契約件数の増加を図っております。その結果、最近3年間の初回保証料及び継続保証料は、以下のとおり推移しております。
(単位:千円)
|
2021年1月期 |
2022年1月期 |
2023年1月期 |
初回保証料 |
5,537,854 |
5,292,199 |
4,996,338 |
継続保証料 |
4,669,501 |
4,996,278 |
5,237,749 |
f.経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因についての詳細につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照ください。