第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

 当第2四半期連結累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載
した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。

(1) 経営成績に関する説明

当第2四半期連結累計期間におけるわが国経済は、個人消費の持ち直しや雇用情勢の改善を背景に、景気は緩やかな回復基調となりました。一方、資源価格の高騰や円安による物価上昇、世界的な金融引き締め政策の継続、中国の景気回復遅れに加えて、ウクライナ及び中東情勢の地政学リスクによる影響が懸念されるなど、依然として先行き不透明な状況が続いています。

再生可能エネルギー市場の事業環境については、国内では、日本政府による2050年カーボンニュートラル宣言の下、2030年度に温室効果ガスを2013年度比46%削減するとの目標が設定されています。国際的には、昨年開催された国連気候変動枠組条約(COP28)及び米国のインフレ抑制法による気候変動対応などにより、脱炭素化社会の構築への取り組みは、一層進展することが見込まれています。

このような経営環境の下、当社グループは、「再生可能エネルギーの中核的グローバル企業」(2030年グループが目指す姿)の実現に向けて、「Abalanceグループ中期経営計画(2024-26)」を加速期間と位置づけ、太陽光発電パネル事業とグリーンエネルギー事業を成長エンジンとして、中長期的な企業価値の向上に取り組んでいます。

 

以上の結果、当第2四半期連結累計期間の売上高は108,543百万円(前年同四半期比2.7%減)、営業利益は10,057百万円(前年同四半期比104.9%増)、経常利益は10,507百万円(前年同四半期比87.6%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は3,635百万円(前年同四半期比69.2%増)となりました。

 

ベトナムのVietnam Sunergy Joint Stock Company(以下「VSUN社」という。)の太陽光パネル製造事業においては、不確実性のある外部環境の中、サプライチェーンの強化及び堅調な米国向けのパネル販売が連結業績に貢献しました。

グリーンエネルギー事業は、太陽光発電所及び関連設備の物品販売(フロー型ビジネス)を継続するとともに、太陽光発電所の自社保有化(ストック型ビジネス)を展開することにより、事業基盤の充実に取り組んでいます。

 
セグメント毎の経営成績については、次の通りです。

 

1.太陽光パネル製造事業

当第2四半期連結累計期間においては、売上高104,259百万円(前年同四半期比3.0%減)、セグメント利益10,062百万円(前年同四半期比118.2%増)となりました。

VSUN社は、日本の生産・品質管理の手法・体制を採用し、欧米向けの産業用及び家庭用太陽光パネル販売により事業基盤を拡大させてきました。長期優良顧客との取引は順調であるものの、グローバルな供給過剰に起因してパネル市場価格が下落したことにより、売上高は前年同四半期比減少となりました。一方、太陽光パネルの主要部品であるセル(N型TOPCon)については、2023年10月に自社生産体制の構築によりサプライチェーンの安定化及び利益率の向上を図るべく、セル工場を竣工させました。同工場の量産体制への移行、仕入価格の低減、生産体制や運営の効率化を推進したことから、セグメント利益は前年同四半期比増加しました。今後セルの外販を計画しており、引き続き優良顧客との安定取引を継続するとともに、事業運営の効率化を推進することにより事業競争力の向上に努めていきます。

 

2.グリーンエネルギー事業

当第2四半期連結累計期間においては、太陽光発電所の販売及び部材に係る物販1,810百万円、売電及びO&M収入2,136百万円を計上し、売上高3,947百万円(前年同四半期比1.0%増)、セグメント利益636百万円(前年同四半期比5.6%減)となりました。

当社グループでは、WWB株式会社、株式会社バローズを主体に、太陽光発電所の販売のほか、太陽光パネル、PCS、産業用及び住宅用蓄電池等の太陽光発電設備に係る物品販売をフロー型のビジネスとして行いつつ、重点施策として、売電収入を原資とする安定収入体制の構築のため、完工後も発電所を継続して保有するストック型ビジネスを推進しています。ストック型ビジネス体制を加速するため、太陽光発電所の一括的な取得を目的とするM&Aを積極的に推進しております。加えて、北海道地区において、電力需要の高い時間帯や停電時などに備えて、安定的な電力供給を可能とする系統蓄電池事業に参入しました。

 

3.IT事業

当第2四半期連結累計期間においては、売上高301百万円(前年同四半期比8.1%減)、セグメント利益20百万円(前年同四半期比88.4%増)となりました。

当社グループでは、株式会社デジサインを主体に、様々な業界のビジネス課題へのコンサルティング・DX支援から、電子認証・セキュリティ技術など自社の強味を活かした業務系システム開発~保守まで、幅広いニーズに対応する技術ソリューション提供を推進しております。

また、ナレッジ共有~業務プロセス再構築を通じて生産性向上・組織力強化を実現するAbit株式会社製品「KnowledgeMarket」、インボイス制度・電子帳簿保存法等に対応して取引文書配信~ライフサイクル管理を行う株式会社FORTHINK製品「e-Digi DataSharing」、契約書作成~締結~管理まで契約業務のワンストップ電子契約サービス「e-Digi Sign」、Microsoft 365など、パッケージ製品を活用したQCDバランスの高いソリューション提供も併せて推進しています。

 

4.光触媒事業

当第2四半期連結累計期間においては売上高19百万円(前年同四半期比4.2%増)、セグメント損失10百万円(前年同四半期は、セグメント損失23百万円)となりました。

光触媒事業については、商品の知名度や商品特性・品質は評価されており、WWB株式会社、日本光触媒センター株式会社と明治機械株式会社との間で業務提携契約の締結を契機に、各社の強みを発揮できるシナジーの創出・連携営業の拡大、食と衛生に関わる顧客に対して、付加価値の高い提案を行った結果、新たに明治機械株式会社を通じて全農(JA)グループ会社へのプロッキン販売を実現しました。また、足元では、大手食品スーパーに対して除カビ・防カビ施工を請負う光触媒事業を確立するなど、事業の多角化に取り組んでいます。引き続き、事業基盤の構築及び収益の安定化に努めていきます。

 

英文開示の拡充・強化)

当社グループは、株主及び海外投資家などのステークホルダーに開示する経営情報が建設的な対話環境の重要な基盤であると認識し、ディスクロージャー拡充のため、合理的な範囲において、英語によるIR情報の開示を進めてまいります。
 

(社会・環境課題に関する近年の取り組み)

当社グループは、企業が長期的に成長するためには、全ての利害関係者に対し、社会的責任を果たすことが、企業価値の向上に繋がると考え、透明性の高い健全な企業統治の体制を構築しています。

また、当社グループでは、持続可能で豊かな社会の実現を目指す「ESG経営」の実践を通じて、持続可能な社会の実現(SDGs)に取り組んでいます。

社会・環境課題に関する主な取り組みは、以下の通りです。

〈CO2・地球温暖化防止〉

  ・グリーンエネルギー事業の推進による温室効果ガスの排出削減

  ・次世代エネルギーである水素を活用したエネルギー貯蔵システムの開発

  ・太陽光パネル廃棄問題に対応したリサイクル・リユース事業に着手

  ・EV港湾荷役機械等の供給による脱炭素化の取り組みに貢献

〈東南アジア及び被災地域への支援〉

  ・福島第一原発事故の発生時、大型コンクリートポンプ車(大キリン)の寄贈

  ・災害地支援に貢献できる折り畳み式ポータブルバッテリー「楽でんくん」の開発、寄贈

  ・ベトナムの貧困地域にある小学校の再建及び開校の資金を寄付

〈光触媒事業〉

  ・殺菌及び防虫効果のある、発電するビニールハウス「Max EneZone」等の開発

〈グリーンエネルギー教育〉

  ・中学生及び高校生へのSDGs研修の実施

  ・社会及び環境活動イベントへの支援及び技術協賛

〈その他〉

  ・社外取締役にSDGsの専門家を登用

  ・気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への賛同を表明

  ・SDGs関連団体への加盟を通じた活動

 

 

 (2) 財政状態の分析

(資産)

当第2四半期連結会計期間末における流動資産は92,584百万円となり、前連結会計年度末に比べ7,464百万円減少いたしました。これは主に現金及び預金が8,044百万円増加、商品及び製品が15,881百万円減少したこと等によるものであります。固定資産は56,345百万円となり、前連結会計年度末に比べ12,744百万円増加いたしました。これは機械装置及び運搬具が12,034百万円増加したこと等によるものであります。

この結果、総資産は、148,993百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,301百万円増加いたしました。

(負債)

当第2四半期連結会計期間末における流動負債は94,184百万円となり、前連結会計年度末に比べ6,172百万円減少いたしました。これは主に買掛金が3,234百万円減少、短期借入金が3,797百万円減少したこと等によるものであります。固定負債は24,786百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,222百万円増加いたしました。これは主に長期割賦未払金が4,295百万円増加したこと等によるものであります。

この結果、負債合計は、118,970百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,949百万円減少いたしました。

(純資産)

当第2四半期連結会計期間末における純資産合計は30,022百万円となり、前連結会計年度末に比べ7,251百万円増加いたしました。これは親会社株主に帰属する四半期純利益3,635百万円によるもの等であります。

この結果、自己資本比率は10.6%(前連結会計年度末は8.8%)となりました。

 

 (3) キャッシュ・フローの状況

当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は28,064百万円となり、前連結会計年度末に比べ8,557百万円増加しました。

当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの分析は、次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により得られた資金は、16,727百万円であります(前年同四半期は13,127百万円の収入)。主な内容として、税金等調整前四半期純利益10,456百万円、減価償却費1,602百万円を計上したほか、運転資金項目として、前渡金の減少により7,239百万円、棚卸資産の減少により13,938百万円それぞれ資金が増加する一方、売上債権の増加により2,983百万円、仕入債務の減少により2,525百万円それぞれ資金が減少しました。また、利息の支払により1,064百万円、法人税等の支払いにより419百万円、それぞれ資金が減少しております。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動に使用した資金は、8,667百万円であります(前年同四半期は7,337百万円の支出)。主な内容は、太陽光発電所の開発・保有やVSUN等での設備投資に伴う有形固定資産の取得による支出3,311百万円、預け金の預入による支出6,014百万円であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により得られた資金は、2,437百万円であります(前年同四半期は9,550百万円の収入)。主な内容は、短期借入金の返済による支出41,675百万円、長期借入金の返済による支出4,035百万円等があった一方、短期借入れによる収入42,476百万円、長期借入れによる収入1,746百万円があったことによるものです。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当第2四半期連結累計期間において、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。

 

(5) 研究開発活動

     当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費の金額は256百万円であります。

 

(6) 経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通し

再生可能エネルギー業界においては、固定価格買取制度(FIT)の見直しが続いていますが、国内エネルギー供給の一翼を担う長期安定的な主力電源としての役割が期待され、脱炭素化への取り組みを強化する国の方向性が示されていることから、事業分野として今度も拡大していくものと考えられます。当社グループが推進するグリーンエネルギー事業は、ESG投資への関心の高まりや世界的潮流となっているSDGsの趣旨に沿った事業であります。今後も、自社保有に基づく安定収益を確保する収益構造の転換を進め、上場企業としての持続的成長を図っていく方針です。

 

3 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。