第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

 当第3四半期連結累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載
した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。

(1) 経営成績に関する説明

再生可能エネルギー市場では、米政権の「パリ協定」*1への復帰や主要各国におけるカーボンニュートラル*2宣言など、世界的に脱炭素化の動きが活発化しております。2021年11月開催の第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)の成果文書「グラスゴー気候合意」*1においても、地球環境温暖化への危機感が改めて確認されました。気候変動対策への意識の高まりから、持続可能な開発目標(SDGs)*3との両輪でRE100を目指す企業や自己託送方式による安価な再エネ調達を模索する企業など、温室効果ガスを排出しないエネルギーの導入に前向きな企業が増えております。金融市場でも、投資先企業の環境・社会課題に関する要素を考慮するESG投資の拡大や、気候変動対応へのインセンティブを高めるグリーンファイナンス等が普及し、気候変動課題に取り組む企業が投融資の面で評価されると共に、投融資先の企業活動を評価するために必要となる非財務情報の開示要請が国際的に高まっております。

国内市場では、2050年カーボンニュートラル*2宣言に続き、2030年度の温暖化ガス排出を2013年度比で46%削減し、さらに50%削減を目指す政府目標のもと、「第6次エネルギー基本計画」では主力電源としての再エネ導入に最優先で取り組む方針が示されております。2050年カーボンニュートラル*2は、「改正地球温暖化対策推進法」(2022年4月施行)の基本理念とされ、各自治体にて地域の再エネを活用した脱炭素化の目標設定や促進地域の選定が今後進む予定となっております。さらに、「クリーンエネルギー戦略」では技術革新や研究開発によるグリーントランスフォーメーション(GX)を始め、インフラ面で欧州に遅れを取る次世代型送電網の整備やカーボンプライシングの導入等、炭素中立型社会の実現に向け、今後も再エネ導入を巡る投資が継続する見通しです。

このような社会・経済環境のもとで、当第3四半期連結累計期間においては、ベトナム法人のVSUN社が営む太陽光パネル製造事業、WWB株式会社、株式会社バローズが担うグリーンエネルギー事業が引き続き、連結業績を牽引いたしました。2022年1月31日付にて、業績予想の修正を発表しており、各段階損益は今後のコロナ禍の影響等を保守的に考慮して、従前発表予想の各数値を据置きとしましたが、VSUN社において、欧米市場を中心とする旺盛な太陽光パネルの受注状況を踏まえて、2022年6月期業績予想の通期連結売上高を385億円へ上方修正しております。さらに、当第3四半期においても、欧米市場等からの受注が想定を超えて推移したことから、VSUN社の業績拡大を踏まえ、2022年5月16日付にて、通期連結売上高を700億円とする上方修正を発表しております。

製造用部材価格の値上がりや世界的なコンテナ不足等を背景とした海上輸送費が高騰化し、ウクライナ問題に伴って依然、不透明な状況がありつつも、部材調達価格の交渉や調達先の見直し、更なる生産効率化等によるコスト改善、客先への価格転嫁交渉等を継続した結果、第2四半期に続き、当第3四半期においても利益改善が力強く進展いたしました。年初には、中国の春節、ベトナムのテトの祝日に伴う工場操業度の低下が懸念されましたが、サプライヤー協力や事前の生産スケジュール調整等により、連結業績への大きな影響は発生しておりません。なお、VSUN社につきましては、更なる成長資金の獲得を企図し、ベトナム「UPCoM店頭市場」への株式上場に向けて鋭意準備中であり、当期中には上場の前提となるベトナム証券取引法における公開会社制度への登録の完了を予定しており、引き続き、早期実現に尽力してまいります。

グリーンエネルギー事業においては、太陽光発電所及び太陽光発電設備に係る物品販売を継続したほか、太陽光発電所の自社保有化についてスピード感を持って更にこれを進めるため、M&Aを積極的に実行しております。太陽光発電所の自社保有化は順調に進捗しており、売電収入を安定収益源とするストック型のビジネスモデルを引き続き推進しております。なお、過年度における太陽光発電所工事請負契約に関して、工事受注者との合意に基づく収受金10億2千万円を特別利益に計上しております。

資金調達面では、2021年12月、再生可能エネルギー関連事業基盤拡大のため、セカンダリー市場での太陽光発電所の取得資金、及びグループのバーディフュエルセルズ合同会社における次世代エネルギー関連の研究開発のため増資を実行し、総額775百万円を調達しております。同研究開発は、太陽光電力を貯蔵して7日間連続給電を可能とするオプションを2024年に太陽光パネルと同価格で提供することなどをビジョンとするものであります。

また、当社は、産業機械関連事業における製粉製造設備、配合飼料製造設備の製造販売等を営む明治機械株式会社の普通株式を金融商品取引法による公開買付けにより取得すると共に、資本業務提携契約を締結しております。同社は、製粉・飼料設備の製造・販売を通じて営業基盤を確立しているため、双方の営業基盤を活用した事業展開を図ることができ、脱炭素化社会を志向する太陽光発電事業に関しても実績・知見を有していることから、ソーラーシェアリングシステム*4の販売拡大、東南アジア全域を対象とした機械装置の販売拡大、光触媒活用による安全かつ衛生的な養豚・養鶏場の運営に関してシナジーが見込めるとの共通認識に至ったものであります。当社は、明治機械株式会社が今後も持続的な発展により企業価値を向上させていくため、同社の独自の企業文化、経営の自主性を維持することが重要であるとの認識のもと、同社株式の上場を維持し、持分法適用関連会社と位置付けております。現状の上場会社としての自主的な経営を尊重しつつ、双方の連携を深めながら、シナジーの効果的な発現のため、具体的な取り組みにつきましても協議・検討を行ってまいります。

 

以上の結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は55,339百万円(前年同四半期比183.1%増)、営業利益は626百万円(前年同四半期比49.9%減)、経常利益は389百万円(前年同四半期比67.9%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は712百万円(前年同四半期比22.3%増)となりました。

 

セグメント毎の経営成績については、次の通りです。

 

1.太陽光パネル製造事業

世界の太陽光パネル市場においては、中国企業が上位を占めるなかで、グループのVSUN社は日系資本の世界的な太陽光パネルメーカーとして、世界モジュールメーカーランクにおける日系トップクラスに位置しております。グループ内に自動生産ラインを完備した太陽光パネルの製造機能を持つことは、太陽光発電に係るグローバルなサプライチェーンを形成し、垂直統合型のワンストップソリューションを展開するうえで、大きな強みとなっております。

VSUN社は、ベトナムのハノイに自社工場を保有し、ドイツ、中国、米国及び日本に販売支社機能を有する拠点を持ち、再生可能エネルギーの世界的な需要拡大を受けて、主に産業用・家庭用太陽光パネルの欧州向け販売で業績を拡大させてきました。米政権交代の前後から、米国市場へのパネル販売が伸長しており、最近では、南米からの受注が入るようになるなど、新たな販路の開拓にも積極的に取り組んでおります。世界的な再エネ需要の拡大を背景に、欧米市場等からの受注が想定を超えて推移し、第2四半期に続き、当第3四半期の業績が大きく伸長いたしました。

VSUN社のパネル製造能力を更に高めるため、2021年5月には、第3工場の設備投資を実行し(年間生産能力1GW、総投資額12百万米ドル)、稼働後の年間製造能力は2.6GWへ拡大しておりますが、好調な受注状況を見計らいつつ、2024年度を最終年度とする中計期間内においても、更なる設備投資を実行していく予定です。

グローバルサプライチェーン戦略と日本発の品質管理体制のもとで、先進的な自動生産ラインを完備するVSUN社の事業実績が評価され、英国グローバルメディアのAPAC Insiderが授与するAPACビジネスアワードにおいて、「Best International PV Solar Manufacturer-Asia Pacific」賞を受賞しました(2022年1月20日公表)。また、太陽光パネル製造販売を業容とするVSUN社の事業実績が評価され、国内金融機関(香港支店)から短期運転資金として5百万米ドルの資金を調達いたしました。VSUN社の成長をグループとして支援する観点から、今後も国内の金融機関を通じた資金調達について継続的に検討してまいります。

 

ベトナム現地における新型コロナウイルス感染症の拡大による影響については、前記の通り、原油価格や海上輸送費等の高騰化の影響を受けながらも、世界的な再エネ需要を背景とする好調な受注のもとで利益の確保に努めた結果、セグメント売上・利益共に大きく伸長し、当第3四半期連結累計期間の売上高49,575百万円、(前年同四半期比230.0%増)、セグメント利益429百万円(前年同四半期比40.4%減)となりました。

 

2.グリーンエネルギー事業

当社グループでは、低圧発電所を中心とした太陽光発電所の販売、太陽光パネル、PCS、産業用及び住宅用の蓄電池等の太陽光発電設備に係る物品販売をフロー型のビジネスとして実行しつつ、近年では、売電収入を収受する安定収益確保のため、太陽光発電所の完工後も継続して保有するストック型のビジネスモデルを積極的に推進しております。これをさらに前へ推進させるべく、太陽光発電所の自社保有化と物件仕入れ能力の増強を主な目的に、M&Aを積極的に実行しております。具体的には、グループの株式会社バローズは、株式会社カンパニオソーラーが保有する主に九州地方に所在する太陽光発電所を一括取得しております(初年度通期売電収入:約1.6億円見込)。グリーンエネルギー事業の主軸企業であるWWB株式会社は、株式会社ジャパン・ソーラー・パワーの買収を通じて、石川県、島根県に所在する太陽光発電所を取得したのに続き(初年度通期売電収入:約1.2億円見込)、産業用太陽光発電事業の一層の伸長とリソース増強のため、日本ライフサポート株式会社から産業用太陽光発電事業等に係る連系済低圧発電所、仕掛品、人員リソース等を事業譲受しております(初年度通期売上:約17億円見込)。さらに、宮城県内に所在する14発電所の一括取得を目的として、自然エネルギー等による発電事業及び当該管理・運営並びに電気の供給、販売等に関する事業を営む日本未来エナジー株式会社、J.MIRAI株式会社を買収いたしました(初年度通期売上:約5.8億円見込)

稼働案件については、角田市太陽光発電所を始め、福島市大波太陽光発電所、花畑太陽光発電所、湖西市太田ソーラーパーク、宮之浦太陽光発電所、勝間太陽光発電所、高梁太陽光発電所、国東太陽光発電所、及び風力発電所(陸上小型・北海道檜山エリア)のほか、当事業年度から稼働を開始した河口湖太陽光発電所(2021年7月稼働、初年度通期売電収入:約6千万円見込)、長嶺ソーラーパーク(2021年11月以降順次連系、初年度通期売電収入:約1.7億円見込)、那珂市太陽光発電所及び蔵波太陽光発電所(2022年3月稼働、初年度通期売電収入:約1.1億円見込)、神戸市太陽光発電所(買収案件)等から売電収入を収受しております。また、建設工事中で開発過程にある大和町・大衡村太陽光発電所(2022年12月以降連系予定、初年度通期売電収入:約5.3億円見込)などについて、計画的に建設工事を推進しました。

O&M収入も安定収益源として定着し、WWB株式会社の実績に加え、株式会社バローズエンジニアリングにおいて、落雷対策に効果のあるアース線配線、施設内カメラの設置によるセキュリティの確保、RPAシステムを通じた異常点探知等のシステム完備により、本事業を引き続き推進しました。その他、気候変動問題に関する経営戦略・対応の開示(TCFD*5)や脱炭素に向けての目標設定(SBT、RE100)など、企業の脱炭素経営の動きが顕著となり活発化しているため、脱炭素経営に対するソリューションの企画・提案力の強化を図ると共に、NONFIT申請や農業シェアリング案件などの積極的な推進を図っております。

 

海外事業では、ベトナム、カンボジア、インドネシア、スリランカ、台湾等の東南アジアにおける旺盛な電力需要に対して、現地企業・総合商社との合弁等による事業参画のほか、環境省実施の2019 年度「二国間クレジット制度(Joint Crediting Mechanism:JCM)資金支援事業のうち設備補助事業」*6の公募案件の採択を受けて、カンボジア国内において日本政府の協力のもと、WWB株式会社は本案件を推進してまいります。その他、再エネ投資やモジュール生産を中心に積極的な提案を行い、パキスタン政府の再エネ普及に対しても事業を通じた貢献を行ってまいります。

ファイナンス面については、脱炭素化への取り組みとこれまでの事業実績が評価され、当第3四半期に、再生可能エネルギー発電設備の発電容量を KPI(評価指標)とし、サステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット(SPTs)への達成度に応じて金利スプレッドが調整されるSDGs*3リーダーズローン契約締結により、WWB株式会社は運転資金5億円を調達しております。

 

以上の結果、太陽光発電所の販売及び部材に係る物販3,839百万円、売電及びO&M収入1,632百万円、その他105百万円を計上し、売上高5,576百万円(前年同四半期比36.2%増)、セグメント利益675百万円(前年同四半期比16.7%減)となりました。

 

3.IT事業

企業によるDX投資、5Gサービス、クラウドを活用したSaaSがIT市場で注目されており、IoTの浸透によって収集したビッグデータをAIで解析のうえ、業務効率・予測精度を向上させ、単純作業の効率化や人間への提案に転化するなど、新たな事業機会が創出されております。このような市場環境のなか、グループのAbit株式会社では、ナレッジ(情報・知識・経験)の共有や業務プロセスの再構築による労働生産性の向上を目的とした自社製品「KnowledgeMarket®」、Microsoft パートナーとしてMicrosoft 365を活用したDX支援サービス、その他RPA製品を活用した効率化・省力化サービス等のほか、IoTを駆使したデータ計測から最適解を導出する支援等を実施しました。また、グリーンエネルギーの供給やRE100の推進等に関連して、SDGs*3を志向する企業・自治体等のニーズについては、グリーンエネルギー事業、及びヘルスケア関連の各事業との連携を図り事業を推進しました。

また、Abit株式会社は、2022年3月、IT事業の拡大を図るため、国内で電子認証技術に強みを持ち、システム開発や企業のデジタル化支援等を営む株式会社デジサインの発行済株式の全株式を取得し、同社を買収いたしました。今後は、電子認証技術を活用した新サービスの開発・提供のほか、相互のバリューチェーンを拡充していく方針です。ナレッジの共有に基づく相互連携を図り、グループ全体のDX活動についても推進してまいります。

 

以上の結果、売上高40百万円(前年同四半期比2.4%増)、セグメント利益5百万円(前年同四半期比65.4%減)となりました。

 

4.光触媒事業

グループの日本光触媒センター株式会社は、ISO認証を取得した光触媒製造の自社工場(佐賀県武雄市)を有しており、光触媒の働きにより菌・ウイルス成分を分解・除去し、消臭、大気浄化のほか花粉にも作用して付着物近くの空間浄化等の光触媒効果が長く持続する光触媒剤とその関連製品を製造販売しております。同社は、近年、大手不動産、総合商社、ホテル、大型イベント会場、病院・介護施設等を対象に、温室効果ガスを排出しない“未来の街づくり”や、皆様の生活を支える感染症対策としての「光触媒LIFE」事業を推進しております。本事業は、新規加盟店への研修・サポート体制完備のもとで、フランチャイズ・代理店制度を採用し、加盟店はこれまでに100社を超過しております。

同社が製造する光触媒は、可視光を吸収して接触する有害物質等を分解する可視光応答型の光触媒で、水と酸化チタンを主成分とする安全性と光触媒効果の持続性に大きな特長があります。可視光応答型光触媒に関しては、新型コロナウイルスの不活化が確認されたとの報道や、抗菌ニーズの高まりから、日常生活においても光触媒の利活用を目にする機会が増えております。同社では、コロナ禍の早い段階から抗菌・抗ウイルス製品「blocKIN」を自社開発したのに続き、後継のハイライン製品として、銀イオン配合の「blocKINハイパー」を市場投入しております。また、都市SDGs *3への貢献として、周辺の浄化機能、美観維持等の光触媒効果が持続する点を応用し、建設現場において使用されている「囲い板」の有機系シート素材に光触媒コーティングを可能とする技術を共同で特許化しております。

さらに、2022年3月には、アネスト岩田株式会社及び同子会社の株式会社A&Cサービスとの業務提携を行い、スプレーガン等の施工用機材の活用、光触媒の抗菌効果等が持続する高い触媒性能と共に、確立された施工方法の提供による、“3つの品質”を強みに、皆様の安心・安全を支える事業の推進により、持続可能な社会の実現に今後も一層貢献してまいります。

 

以上の結果、売上高71百万円(前年同四半期比29.3%減)、セグメント損失1百万円(前年同四半期はセグメント利益2百万円)となりました。

 

(文中注釈)

*1 「パリ協定」(2015年、COP21)とは、京都議定書(1997年、COP3)に代わる地球温暖化対策の国際ルールをいう。産業革命前からの気温上昇を2度より十分低く保つと共に、1.5度以内の努力目標を掲げる。「グラスゴー気候合意」(2021年、COP26)においては、温暖化被害の多い2度よりも1.5度を重視して排出削減に向けた取り組みを進めることを確認した。

 

*2  カーボンニュートラルとは、地球全体の温室効果ガスの排出量と、地球全体の森林等による吸収等の量をイコールとすることによって、さらなる地球温暖化を防止していくことをいう。世界各国でカーボンニュートラルが宣言されるなか、日本政府は2020年10月、積極的な温暖化対策が産業構造や経済社会の変革をもたらし、大きな成長に繋がるとして、2050年カーボンニュートラルを宣言した。

*3 SDGs とは、2015 年国連にて全会一致で採択された「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」であり、2030年を目標年度とする国際的な共通目標をいう。持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットから構成される。

*4 ソーラーシェアリングシステムとは、ソーラーシェアリングを前提とした太陽光発電設備のことをいう。ソーラーシェアリングとは営農型太陽光発電をいい、農地に支柱を立てて上部空間に太陽光発電設備を設置し、太陽光を農業生産と発電とで共有する取り組みをいう。

*5 気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD: Task Force on Climate-related Financial Disclosures)は、G20の要請を受けて、金融安定理事会(FSB)により、気候関連の情報開示及び金融機関の対応をどのように行うかを検討するため設立された組織をいう。TCFDは企業等に対して、気候変動関連リスク、及び機会に関する特定の項目について開示することを推奨している。

*6 「二国間クレジット制度(Joint Crediting Mechanism: JCM)資金支援事業のうち設備補助事業」とは、優れた低炭素技術等を活用し、途上国における温室効果ガス排出量を削減する事業を実施し、測定・報告・検証(MRV)を行う事業をいう。途上国における温室効果ガスの削減と共に、JCMを通じて我が国及びパートナー国の温室効果ガスの排出削減目標の達成を目的に優れた低炭素技術等の初期投資費用の2分の1を上限として補助される。

 

(中期経営計画の策定について)

 再生可能エネルギーの中核的グローバル企業を目指す2030年グループビジョンのもと、当社グループでは、①保有発電容量1GW、②年間製造目標8GWを成長戦略の柱と位置付けております。「中期経営計画(2022-24)」は、それを達成するための助走期間と位置付け、太陽光パネル製造事業、グリーンエネルギー事業を成長軸に据えつつ、太陽光発電所の自社保有化を図るストック型モデルの推進、セカンダリー市場における発電所取引、カーボンフリー事業、光触媒事業、IT事業、及び自己資本比率の向上等を重点分野としております。

 

(英文開示の拡充・強化)

 当社グループは、自社の株主及び将来の潜在的な海外機関投資家との間で、開示・提供される情報が建設的な対話を行う上での基盤になるとの認識に立ち、ディスクロージャー拡充のため、合理的な範囲において、英語によるIR情報の開示・提供を進めております。その一環として、当第2四半期連結会計期間(中間)において、「(Abalance グループ)2022年6月期 第2四半期決算(中間)、及び今後の見通し」に係る開示・動画公開による決算説明会に続き、英語による開示・動画公開*7を行っております。今後、海外機関投資家との建設的な対話を促進する観点から、英文開示書類・資料の範囲を適切に判断し、その拡充に努めてまいります。

 

*7 Announcement of Financial Results Briefing for the Second Quarter of the Fiscal Year Ending June 30, 2022 (Video with English support)

 

(社会・環境課題をはじめとするサステナビリティに関する取り組み)

 当社グループは、金融安定理事会(FSB)により設置された気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD*5)への賛同を表明すると共に、同提言に賛同する企業や金融機関等から構成されるTCFD*5コンソーシアムに参画しております。気候変動等の地球環境問題等に係るサステナビリティへの対応は非常に重要性の高いテーマであるものと認識し、今後も気候変動への対応に係る情報開示の拡充に努めてまいります。

 

(社会・環境課題に関する近年の取り組み)

持続可能な開発目標(SDGs)との関連では、当社グループは、「安全・安心」でクリーンなエネルギーを提供し続けることを通じて、SDGs7(エネルギーをみんなにそしてクリーンに)、SDGs11(住み続けられるまちづくりを)、SDGs13(気候変動に具体的な対策を)を中心にコミットしております。また、光触媒事業等のヘルスケア関連の事業において、SDGs3(すべての人に健康と福祉を)についても積極的に取り組んでおります。

 

<SDGsに関する近年の取り組み事例>

・再生可能エネルギーに係る事業実績(累計):3,440MW、CO2排出削減量約200万トン(VSUN社の太陽光パネル製造、及びWWB株式会社、株式会社バローズによる発電所の販売・保守管理、開発予定の案件を含む)。

・台風による各地の被災・停電等の発生を受けて、折り畳み式軽量のポータブルバッテリー「楽でんくん」をリリース(WWB株式会社が自社開発、熊本県人吉市、宮崎県えびの市、小林市、宮城県角田市、大衡村等へ寄贈)。

・光触媒の塗布により殺菌・防虫効果のある、発電するビニールハウス「Maxar® EneZone」等の開発による営農と食の安心・安全確保への貢献(WWB株式会社、日本光触媒センター株式会社)。

・次世代エネルギーを担うと期待される水素を活用したエネルギー貯蔵システムの開発(バーディフュエルセルズ合同会社)。

・太陽光パネルの廃棄問題に対する貢献、資源の有効活用のため、リサイクル・リユース事業に着手(PV Repower株式会社)。

 

・福島第一原発事故の発生時に寄贈協力を行った三一重工製、大型コンクリートポンプ車(大キリン)に係る交換部品の無償提供、技術協力を実施。近年では、東南アジアへの日本ODA事業におけるインフラ整備への貢献として、コロナ禍においても海外への建設機械投入及びメンテナンス等を継続(WWB株式会社 建機事業)。

・サステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット(SPTs)への達成度に応じて金利スプレッドが調整されるSDGsリーダーズローン契約締結。金融機関と共同で営む活動として、発行額の一部が地域の学校、医療機関、環境保護団体等へ寄付される仕組みのSDGs私募債、CSR私募債を発行。

・社外役員として、SDGsの専門家を登用(研究論文、教育研修等多数)。

・気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言賛同、及びTCFDコンソーシアムへの参画。

・SDGs関連団体への加盟として、(外務省) JAPAN SDGs Action Platform、(内閣府)地方創生SDGs官民連携プラットフォーム、(JCLP)日本気候リーダーズ・パートナーシップ賛助会員ほか。

・啓蒙活動として、長野県及び神奈川県内の中・高校生、都内私立中学校の生徒へのSDGs研修の実施。社会・環境活動イベントへの支援・技術協賛(Peace On Earth、Earth Day等)。

 

(2) 財政状態に関する説明

(資産)

当第3四半期連結会計期間末における総資産は74,082百万円となり、前連結会計年度末に比べて34,693百万円増加しました。

VSUNをはじめとして事業拡大に伴って現金及び預金、受取手形及び売掛金、商品及び製品など棚卸資産、前渡金の増加が主な要因です。これに伴い流動資産合計は46,960百万円となり、前連結会計年度末対比24,422百万円増加しております。

また固定資産についても、自社保有発電所の増加やM&A実行により機械装置やのれんが増加し、固定資産合計は前連結会計年度末対比で10,274百万円増加27,110百万円となりました。

(負債)

当第3四半期連結会計期間末における負債合計は67,295百万円と、前連結会計年度末に比べて32,684百万円増加しました。

VSUNをはじめ事業拡大に伴う買掛金等の営業債務の増加したほか、投資資金や運転資金の需要に対応した有利子負債の増加によるものです。

(純資産)

当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は6,786百万円となり、前連結会計年度末対比2,008百万円増加しました。

第三者割当増資の実施及び新株予約権の行使により資本金及び資本準備金が計835百万円増加したほか、四半期純利益の計上により利益剰余金と非支配株主持分が増加したことによるものです。

 

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

該当事項はありません。

 

(4) 研究開発活動

当第3四半期連結会計期間におけるグループ全体の研究開発費の金額は58百万円であります。

 

(5) 経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通し

再生可能エネルギー業界においては、固定価格買取制度(FIT)の見直しが続いていますが、国内エネルギー供給の一翼を担う長期安定的な主力電源としての役割が期待され、脱炭素化への取り組みを強化する国の方向性が示されていることから、事業分野として今度も拡大していくものと考えられます。当社グループが推進するグリーンエネルギー事業は、ESG投資への関心の高まりや世界的潮流となっているSDGsの趣旨に沿った事業であります。今後も、自社保有に基づく安定収益を確保する収益構造の転換を進め、上場企業としての持続的成長を図っていく方針です。

 

 

3 【経営上の重要な契約等】

(融資契約の締結)

連結子会社のWWB株式会社は、株式会社千葉銀行との間で「ちばぎん SDGs リーダーズローン」の融資契約を2022年3月に締結しました。本融資契約は、脱炭素化に向けた社会的貢献が認められる企業を対象に、貢献度に応じて金利スプレッドが調整されるサステナビリティ・リンク型のローンであります。

  (1)借入先  株式会社千葉銀行

  (2)借入額  500百万円

  (3)資金使途 運転資金

 

(企業結合等関係)

当社は2022年3月24日の取締役会において、当社子会社のAbit株式会社が株式会社デジサイン及びその子会社である株式会社FORTHINKの株式を取得して子会社化することを決議し、2022年3月24日付で株式譲渡契約を締結しました。

また、2022年3月25日の当社取締役会において、当社子会社のWWB株式会社が、新設SPCである合同会社WWBソーラー03を通じて、日本未来エナジー株式会社、J.MIRAI株式会社の全株式を取得して子会社化することを決議し、2022年3月25日付で株式譲渡契約を締結しました。

詳細につきましては、「第4 経理の状況1.四半期連結財務諸表注記事項(企業結合関係等)」に記載のとおりであります。