第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

 THKグループは、機械の直線運動部分を“軽く”“正確に”動かすため、“すべり”を“ころがり”化する重要な機械要素部品を世界へ供給しています。「世にない新しいものを提案し、世に新しい風を吹き込み、豊かな社会作りに貢献する」という経営理念のもと、1971年の創業以来、創造開発型企業として「LMガイド(Linear Motion Guide:直線運動案内)」をはじめとする機械要素部品を供給し、工作機械、半導体製造装置など様々な機械装置の高精度化、高剛性化、高速化、省エネルギー化を実現し、必要不可欠な部品として産業の発展に貢献してまいりました。

 当社グループは、LMガイドを開発して以降、世界のトップメーカーとして、お客様の多様なニーズにお応えする中で蓄積してきたノウハウによる高品質な製品や幅広い提案力により、お客様から高い信頼を獲得しています。近年では産業分野のみならず、自動車、医療機器、航空機、サービスロボットなど消費財に近い分野に加え、免震・制震装置、再生可能エネルギー関連など自然災害や気候変動のリスクを低減する分野へと当社グループの製品の採用が広がっています。このように、世界中で多くのお客様より供給が求められる中、エッセンシャルビジネスとして本業を通じた社会貢献を実現しながらも、気候変動など地球環境が変化する中で持続可能な社会の実現に向けた取り組みを進め、企業価値の向上を図ってまいります。

 

(2) 中長期的な会社の経営戦略

 当社グループは、地理的な領域拡大を目指した「グローバル展開」、用途的な領域拡大を目指した「新規分野への展開」、AI、IoT、ロボットをはじめとするテクノロジーを徹底活用する「ビジネススタイルの変革」を成長戦略の柱として掲げ、事業領域の拡大を図っております。

 グローバル展開では、日本・米州・欧州・アジアの4極において、現地で生産して販売するという「需要地における製販一体体制」を構築しています。日本国内における当社グループのLMガイドをはじめとする直動製品の認知度は高く、市場シェアも高水準で推移する一方、海外では普及率が日本国内に比べて低いことから、まだ多くの潜在需要が存在すると考えております。近年は、とりわけ中長期的に需要の拡大が見込まれる中国やその他の新興国において、販売網の拡充ならびに生産体制の強化を図っています。加えて、先進国においてもユーザーの裾野が広がる中で着実に需要を取り込むべく販売網を拡充し、さらなる成長へと繋げています。

 新規分野への展開では、LMガイドを中心とする製品群の現在の主な顧客は資本財メーカーですが、自動車、医療機器、航空機、サービスロボットなど消費財に近い分野に加え、免震・制震装置、再生可能エネルギー関連など自然災害や気候変動のリスクを低減する分野へと当社グループの製品の採用が広がっています。このように産業分野のみならず我々の身の回りにも膨大な需要が存在すると考えており、これらの需要を取り込むべく、これまで培ってきた直動システムのコア技術を応用した新製品を投入し、新規分野への展開を加速しています。

 ビジネススタイルの変革では、デジタルテクノロジーが急速な進展を見せる中、AI、IoT、ロボットをはじめとする新たなテクノロジーを販売、生産、開発などのあらゆる面で徹底的に活用することにより、ビジネスの進め方や仕組みの変革を図っています。お客様向けコミュニケーションプラットフォーム「Omni THK」、OEE(設備総合効率)最大化プラットフォーム「OMNIedge」、そしてDX の推進など、あらゆる取り組みにより新たな顧客体験価値を創造し、ビジネスのさらなる拡大を図っています。

 そして、これらの取り組みを推し進める中、単にものづくりだけではなく、ビフォーサービスからアフターサービスまでの一連の工程をビジネスとし、お客様との接点を広げ、真にお客様に貢献していく「ものづくりサービス業」をビジョンにかかげ、その姿を鮮明にしていきます。今後もこれらの取り組みの前提となる、サステナビリティ、ESGの取り組みを強化していくとともに、収益性の向上や財務体質の強化を強力に推進し、企業価値の向上を図ってまいります。

 

(3) 経営環境

当社グループの需要環境においては、デジタルテクノロジーの急速な進展や、地球環境保護機運の高まり、そして先進国における人手不足や長寿命化などのマクロ動態の変化がメガトレンドを形成する中、「5G」「AI・IoT」「CASE」「インダストリー4.0」「自動化・省人化・省エネ化」といった変化のキーワードが表れています。そして、これらのキーワードから、半導体製造装置・FA関連向け製品、サービスロボット関連製品、医療機器向け製品、電動アクチュエータ、次世代自動車部品、Omni THK、OMNIedgeなどの当社グループが提供する製品やサービスが求められており、その成長ポテンシャルは中長期かつ飛躍的なものになると考えられます。したがって、これらの需要を顕在化させるとともに着実に取り込むべく、成長戦略を推し進めてまいります。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社の企業価値向上に向けては、ROEの向上が最も重要であるとの考えのもと、そのマイルストーンとして2026年度の経営目標において、連結売上収益5,000億円、営業利益1,000億円とともに、ROEの目標値として17%を設定しています。その達成のためには当社の産業機器事業、輸送機器事業それぞれにおけるROIC(投下資本利益率)、とりわけ、その分子であるリターン(利益水準)を高めることが重要であると考えています。リターンを向上させるために、産業機器事業においては、引き続き、高い市場成長率を社内で検証していく中で、膨大に成長する需要を着実に取り込むトップライングロースが最も大きなドライバーと考えています。輸送機器事業においては、これまで進めている収益性改善の取り組みに加え、様々な新製品投入によって収益性を改善させることが大きなポイントとなります。これらの取り組みを加速させるために、資金については設備投資、研究開発、人的投資などの将来の成長投資に充当していき、人的投資については、インセンティブにつながる昇給や株式報酬制度の拡大を検討していきます。これらの資金需要を勘案すると配当性向は現時点では30%を維持することが妥当だと考えていますが、この考えで進める中で余剰資金が生じた場合には、積極的に自社株買いも検討してまいります。

 

(5) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、2026年度を最終年度とする経営目標として連結売上収益5,000億円、営業利益1,000億円、EPS(基本的1株当たり当期利益)590円、ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率)17%を掲げています。事業別には、産業機器事業は、売上収益は3,650億円、営業利益は920億円を目標値とし、市場成長率は年率平均約7%を想定しています。成長の主な牽引役としては半導体関連の需要の拡大、自動化・ロボット化の進展、そしてEV等の環境関連の投資の拡大であり、これらに関連する投資は中長期的に拡大・継続していくものと考えています。さらに、シェア拡大、DXの推進、新規分野へ向けた新製品の開発・投入などにより、この想定成長率を上回る成長を成し遂げてまいります。輸送機器事業は、売上収益は1,350億円、営業利益は80億円を目標値とし、世界の自動車生産の年率成長率を平均約5%と想定しています。自動車業界におけるCASEが進展する中、これらに対応した次世代自動車新製品を開発・投入し、グローバルに供給を拡大させていくとともに、既存製品についても自動車のEV化が加速する中、小型軽量化に寄与する部品を拡大させることなどにより、自動車生産を上回る成長を前提とした目標値としています。なお、喫緊の課題である輸送機器事業の収益性改善の取り組みについても強化してまいります。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) サステナビリティ共通

当社グループは、「世にない新しいものを提案し、世に新しい風を吹き込み、豊かな社会作りに貢献する」との当社グループ共通の経営理念等に基づき、本業を通じた企業価値の向上と持続可能で豊かな社会作りへの貢献の両立を目指すことをサステナビリティに関する基本的な考え方としています。

 

① ガバナンス

サステナビリティ推進体制の確立、浸透及び定着を図り、企業価値の向上と持続可能で豊かな社会作りの両立を実現するため、取締役会の諮問機関として社外取締役を含む全ての取締役により構成されるサステナビリティ委員会を設置しています。サステナビリティ委員会では、サステナビリティに関する方針や重要課題(マテリアリティ)について検討、審議しています。

また、サステナビリティ委員会の下部機関として、各業務部門から選出されたメンバーにより構成されるサステナビリティ推進部会を設けています。サステナビリティ推進部会では、マテリアリティに関する取組みの具体化を図っています。

取締役会は、サステナビリティ委員会で検討、審議された事項について、適宜報告、提案を受けるとともに、各業務部門におけるサステナビリティの取組み全般を監督しています。

 

② 戦略

サステナビリティ経営の強化にあたり、最新の社会情勢や内部環境の変化等を踏まえて「豊かな社会作りとイノベーションを通じた社会課題の解決」、「脱炭素・資源循環社会の実現」、「多様で働きがいのある労働環境の実現」、「サステナブルな価値創造基盤の強化」の4テーマとそれに付随する13項目を新たなマテリアリティとして特定しています。

 

マテリアリティは、以下の4つのフェーズを経て特定しました。

フェーズ1 マテリアリティ候補項目リスト作成

ESG評価機関の指標、投資家の指標、その他社会的な指標を参考に、当社グループの既存の方針等も加味しながら、各種指標で重複する項目や類似する項目等を整理することにより、評価、検討対象となるマテリアリティ候補項目リストを作成

フェーズ2 社会軸、事業軸評価

外部専門家が「社会の要請・期待」を縦軸に、また、当社は「事業への影響度」を横軸にし、5段階の評価を実施後、マトリックス図を作成

フェーズ3 マテリアリティ再特定案作成

フェーズ2の評価結果をもとに、サステナビリティ推進部会メンバーによる検討会を実施。長期にわたる価値創造に関連する事業機会とリスクを精査の上、マテリアリティ再特定案を作成

フェーズ4 サステナビリティ委員会(※)承認

サステナビリティ委員会でフェーズ3のマテリアリティ再特定案の承認

※2022年6月の承認時は、サステナビリティ委員会が未設置のため、取締役会にて承認

 

③ リスク管理

全社的なリスク管理については、取締役会の諮問機関であるリスク管理委員会において包括的、網羅的に把握するとともに、リスク管理規程に則りリスクアセスメントを実施し、重要性評価及び対策の優先度を決定しています。

上記に加えて、各種サステナビリティに関する個別のリスクについては、サステナビリティ委員会と下部機関であるサステナビリティ推進部会において必要に応じて識別、評価のうえ対応策等を決定しています。

取締役会は、リスク管理委員会及びサステナビリティ委員会で識別されたリスク及び対応策等を踏まえ、各種サステナビリティに関するリスクが経営に及ぼす影響について取りまとめています。

 

④ 指標と目標

マテリアリティの13項目それぞれに対して、「指標と目標」を設定しています。経営目標の最終年度である2026年度を目標達成年度としています。

 

 

テーマ

項目

指標と目標

対象範囲

豊かな社会作りとイノベーションを通じた社会課題の解決

イノベーションを通じた社会課題の解決

宇宙、自動車、物流、医療分野を始めとする消費財向けの新製品・新サービス(DXを含むソリューション)の開発・提供

THK日本、日本グループ、海外グループ

製品の品質・安全性

ISO9001やIATF16949などの品質マネジメントシステムの適切な運営、対象拠点における認証の維持管理の推進

THK日本

脱炭素・資源循環社会の実現

気候変動

CO2排出量(Scope1、2)2018年比50%削減(2018年実績値:106,514t-CO2、2030年目標値:53,257t-CO2)

[目標達成年度2030年]

THK日本、日本グループ

持続可能な調達

仕入先に対するサステナビリティ調達ガイドライン配付、質問表による調査とインタビューの実施

THK日本

資源循環

ゼロエミッションの維持

THK日本、日本グループ(生産部門)

有害物質管理

グリーン調達ガイドラインの配布と不含有保証書の入手

THK日本、日本グループ、海外グループ

多様で働きがいのある労働環境の実現

人権の尊重・配慮

人権教育のe-learningの受講率100%達成

THK日本

ダイバーシティの推進

営業・管理・技術系部門配属の新卒採用における女性比率20%以上達成

THK日本

労働安全衛生

強度率0.01以下達成・維持、度数率0.50以下達成・維持

THK日本(生産部門)

人財育成

データ活用研修(基礎編)受講率95%以上維持

THK日本

サステナブルな価値創造基盤の強化

コーポレートガバナンス

年1回の取締役会の実効性評価の継続実施

THK日本

コンプライアンス

内部通報窓口・調査担当者の多様性の強化

THK日本

リスクマネジメント

年1回のリスク評価の継続実施

THK日本、日本グループ、海外グループ

(注)1. ゼロエミッション:エミッション率(処分量/廃棄物総排出量)0.50%未満

2. 強度率:1,000延べ実労働時間当たりの労働損失日数、度数率:100万延べ実労働時間当たりの労働災害による死傷者数

 

(2) 気候変動

当社グループは、「気候変動」をマテリアリティの1項目として掲げるとともに、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に対して賛同を表明しています。

 

① 戦略

気候変動に関わるリスク及び機会を踏まえた戦略とそのレジリエンスについて検討するため、IEA(国際エネルギー機関)やIPCC(気候変動に関する政府間パネル)による気候変動シナリオ(1.5℃シナリオ及び4℃シナリオ)を参照し、2050年までの長期的な影響を踏まえ、TCFD提言に沿って当社の産業機器事業及び輸送機器事業(いずれも日本)を中心にシナリオ分析を実施しています。

 

 

シナリオ

要因

変化

リスク

/機会

評価

当社への影響

当社の対策

1.5℃

炭素税の導入

調達コスト増加

リスク

炭素税導入により、原材料への価格転嫁が進み、調達コストが増加

・原材料投入量の削減

・炭素税の低い原材料への切替

操業コスト増加

リスク

炭素税導入により、国内のScope1、2の排出量に応じて炭素税の支払コストが増加

・省エネ生産技術の開発

・低炭素、非化石エネルギーへの転換

再エネへの切替

エネルギー調達コスト増加

リスク

再エネへの切替により、エネルギー調達コストが増加

・太陽光発電設備の設置による、再エネの内部調達

省エネニーズの高まり

環境対応技術ソリューションの需要増加

機会

エネルギー効率の向上を目的とした自動化及び効率化のための設備設計、製作、改造、製品需要が増加

・省エネ化に寄与する当社製品(LMガイド、電動アクチュエータ、ユニット品等)の供給強化

半導体ビジネス機会拡大

機会

省エネ化のコアとなるパワー半導体を中心に、半導体製造装置部品の製造をはじめとした、ビジネス機会が拡大

・柔軟かつ迅速に対応する開発、生産、営業の体制整備

故障診断・予兆検知サービスの需要増加

機会

生産性向上に貢献し、エネルギーロスの削減を実現する、IoT技術を駆使した故障診断・予兆検知サービスの需要が増加

・生産性向上に貢献するIoTサービスの拡充並びに営業及びソリューションの強化

EV化の進展

EV車関連部品の需要増加

機会

EV化に伴い新たな製品が求められるようになり、当社製品の需要が拡大

・柔軟かつ迅速に対応する開発、生産、営業の体制整備

・新規ビジネスの企画

環境貢献ビジネスの拡大

ESG投資増加

機会

環境に貢献するビジネスを拡大することで、投資家の関心、評価が高まり、ESG投資が増加

・柔軟かつ迅速に対応する開発、生産、営業の体制整備

・積極的な情報開示、ステークホルダーとのコミュニケーション強化

4℃

気象災害の激甚化

サプライチェーン寸断

リスク

原材料調達先の被災による、原材料供給の停止

・原材料調達先の分散化

・代替調達先の確保

気温上昇対応コスト増加

リスク

気温上昇による、工場、物流拠点、オフィス等の空調コスト増加

・建屋の断熱性能向上

 

② 指標と目標

当社グループは、地球温暖化の抑制に向けて、CO2排出量(Scope1、2)削減の「中期目標」及び「長期目標」を策定しています。

 

「中期目標」 2030年CO2排出量 基準年2018年 50%削減

対象範囲:THK日本、日本グループ

「長期目標」 2050年CO2排出量 実質ゼロにする

対象範囲:THKグループ全体

 

CO2排出量(Scope1、2)の実績と目標は以下のとおりです。

(単位:t-CO2)

 

2018年実績

(基準年)

2021年実績

2022年実績

2023年実績

2030年目標

CO2排出量

(Scope1、2)

106,514

98,216

102,558

85,036

53,257

削減率

8%

4%

20%

50%

(注)1.対象範囲はTHK日本、日本グループとなります。

2.2023年実績は2024年3月18日時点における暫定値です。

 

 

(3) 人的資本

① 戦略

当社は、独自の技術を活用して独創的な製品開発を行う創造開発型企業として成長してきました。この成長を担ってきたのは、経営理念の体現を目指す従業員一人ひとりであると考えており、「人材」を「人財」と表しているように、当社が持続的に成長し価値を創造する上でかけがえのない財産として捉えています。

上記の考え方に基づき、人財が互いの強みや個性を尊重し、安全かついきいきと働くことができる環境作りを目指し、「多様で働きがいのある労働環境の実現」をマテリアリティのテーマの一つに掲げ、「人財育成」、「ダイバーシティの推進」、「労働安全衛生」、「人権の尊重」の取組みを進めてきました。

今後も、当社成長戦略の「グローバル展開」、「新規分野への展開」、「ビジネススタイルの変革」の達成と、その先の経営理念の実現を目指し、マテリアリティ項目に加えて『サクセッションプラン』、『採用』、『精神的健康』、『身体的健康』、『育児休業』※の観点から取組みを推進し、人的資本経営に取り組んでいきます。

※内閣官房の「人的資本可視化指針」に記載されている19項目から重要性を勘案し選定

 

(イ)人材(人財)育成方針

1.グローバル人財の育成

社内人財の語学水準向上を目的として、スピーキングテストやe-learningの導入など、英会話学習の支援を行っています。また、グローバル人財の早期育成のため、20代後半からの若手を中心に海外グループの各拠点へ約1年間派遣する海外トレーニー制度を導入しています。

 

2.デジタル人財の育成

最新のテクノロジーを利活用することでビジネスの進め方や仕組みを変革させ、お客様の満足度向上や社内業務の効率化、その先にある循環型社会の実現や人財不足解消等の社会課題の解決に向けてイノベーションによる価値を提供できるよう、DX活動に力を入れています。

上記の一環として、各現場が自律的にデータを利活用できる姿を目指し、全従業員を対象としたデータ活用研修を実施しています。基礎と初級研修については全従業員が受講する活動を進め、既に9割以上が完了しています。今後は 中級・上級研修をより全社的に広げていくことで、さらに高度なデータ活用(機械学習を使った需要予測や画像認識等)の実践を目指していきます。

また従業員のデータサイエンスに関する自発的な取組みを促すために、研究成果を発表し切磋琢磨する場として社内コンペティションを開催しています。

 

3.従業員全体の育成施策の拡充

従業員全体の育成施策についても充実を図ります。具体的には、技術研修やe-learningコンテンツ等の研修の充実に加えて、スキル研鑽やノウハウ共有を目的としたフォーラムの実施等、従業員全体のレベルアップを図っています。

また、創造開発型企業としての当社の強みを生み出す人財の成長やキャリア形成を促進するため、保有する専門性をもとに処遇する制度を導入しました。今後は、対象となる専門性の更なる拡大等を検討する予定です。

 

4.後継者及び次世代人財の育成

企業の中長期的な発展を見据え、計画的なサクセッションが必要とされる重要職位(キーポジション)を選定し、候補人財の育成状況を議論するレビュー会議の開催やマネジメント研修、適性アセスメント等を実施することで、経営人財の円滑なサクセッションを図っています。また、候補人財の中長期的な育成を目的として、より若年層への展開を検討していきます。

 

5.ダイバーシティの推進

中長期的な企業価値の創造に向けては、多様な価値観を受容し活かすことのできる環境が重要であり、ダイバーシティの推進が重要と考えています。その第一歩として、女性の活躍推進を目指します。

具体的な取組みとして、女性向けのキャリア研修や育児社員座談会、管理職層向けのアンコンシャスバイアス研修等の実施に向けた検討を行っています。

 

6.海外人財の採用強化

海外の理系人財をインターンシップ生として受け入れ、当社の技術を活用したソリューションを発表してもらうプロジェクトを行っています。また、海外現地大学におけるジョブフェアにも積極的に参加しています。

上記の取組みを通じて、既にアジアの複数の国から学生を受け入れ、当社に入社をした従業員もいます。

 

(ロ)社内環境整備方針

1.労働安全衛生の向上

労働安全衛生は企業経営の基盤をなすものと考えており、「安全で働きやすい快適な職場」を生産本部の最重要課題の一つとして掲げ、負傷及び疾病につながる有害な作業環境を排除しています。具体的な取組み事項は以下のとおりです。

労働に関係する負傷及び疾病の防止

 

・リスクアセスメントの実施

・職場での安全衛生教育の実施

・KYT(Kiken Yochi Training)やヒヤリハット活動を実施

労働安全衛生のパフォーマンスの継続的な改善

・最新の関連法令の管理と周知(化学物質のリスクアセスメント実施)

・安全衛生委員会の活動推進

・内部監査やマネジメントレビュー実施

・交通安全活動の実施

・職場内安全パトロールの実施

 

2.健康経営の推進

人財育成の基盤となる、健康的にいきいきと働くことができる職場を提供することを目標に、メンタル・フィジカルの両面から取組みを行っています。また、ワークライフバランス(仕事と生活との調和)向上の一環として、育児・介護の両立支援のための施策を推進しています。

メンタルヘルス対策

・全従業員を対象にストレスチェックを実施

産業医の指導及び疾病予防活動の実施

・産業医による職場巡視と安全衛生委員会での指導

定期・特殊健康診断の実施

・定期健康診断及び各生産拠点で該当者を対象とした特殊健康診断を実施

長時間労働(残業過多)の管理

・各拠点で管理するとともに本社部門で監視

育児・介護の両立支援

・育児・介護のための両立支援ハンドブックの策定

 

② 指標と目標

人材(人財)育成方針及び社内環境整備方針に対して、以下のとおり「指標と目標」を設定しています。

指標

実績(2023年)

目標(2026年)

営業・管理・技術系部門配属の新卒採用における女性比率

23.2%

20.0%以上(2025年3月末時点)

男性の育児休業取得率

66%

50%以上

育児休業取得後の復職率

100%

100%

強度率

0.00

0.01

度数率

1.22

0.50

(注)1. 対象範囲はTHK日本となります。

 

3【事業等のリスク】

当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクや不確定な要因は以下のものがありますが、これらのリスクは必ずしも全てのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見できないリスクや重要度が低いと考えられるリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。

なお、本項に含まれる将来に関する事項につきましては、当連結会計年度末において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 当社のリスク管理体制

当社は、当社グループの事業活動に関わるあらゆるリスクを的確に把握し、経営陣による適切なリスクテイクを支えるため、社長を委員長とするリスク管理委員会を設置し、リスク管理規程に基づく全社的なリスク管理体制を構築しています。リスク管理委員会では、当社グループの事業活動に関して抽出されたリスクとその対応策を策定するとともに、リスク管理体制が有効に機能しているかどうかの検証を行っております。

また、当社は、リスクを組織の収益や損失に影響を与える「不確実性」と捉え、マイナスの側面とプラスの側面の両面があると考えており、マイナス面のリスクに対して適切にリスクヘッジしつつ、プラス面のリスクに対して積極的なリスクテイクを行うことができれば、今後の持続的成長につながると考えています。

 

(2) リスクの特定方法

当社は、リスク管理規程に則り、当社グループ全体を対象にリスクアセスメントを毎年実施しています。国内外のグループ会社および当社の各部門から報告を受けたリスクアセスメントの結果を基に「発生可能性」、「影響度」の2つの評価軸でマッピングを行うことで、リスクの重要度を評価し、リスク対策の優先度を決定しています。リスクの発生頻度、影響度はそれぞれ5段階で評価し、数字が高いほど、またリスクとして抽出した会社・部門が多いほど、リスクが高くなります。

 

(3) 事業等のリスク

<特に重要なリスク>

① 災害・地政学的問題・テロ・戦争・感染症等について

当社グループは、日本国内はもとより、米州、欧州、アジア他に製造・販売拠点を有していますが、これらの事業拠点及び取引先の事業拠点において、地震・火災等の災害やテロ攻撃・戦争による政情不安または感染症蔓延等による被害を受けた場合には、生産活動をはじめとする企業活動全般に重大な影響を与える可能性があります。当社グループでは、事業継続計画(BCP)を策定し、危機発生時において被害を最小化するための事前対策や事業を継続、早期復旧するための対策を講じるとともに、地震や大雨等の自然災害発生時に、自社への影響を速やかに把握できる危機管理サービスを導入し、被害地域にある事業所及び取引先の把握と被害による部品供給状況を速やかに把握できる体制を整えておりますが、リスクを完全に回避することは困難であり、想定を超える被害が発生した場合には、結果として当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受けるおそれがあります。

なお、ロシア・ウクライナ問題を始めとする国際関係の変化に起因する各地域での政治・経済の混乱の影響は、世界的な物価の高騰、部品・原材料の供給不足等として顕在化しております。

ロシア・ウクライナ問題の紛争当事国における当社グループの事業活動の規模は比較的小さく、当社グループの事業への直接的な影響は僅少でありますが、先行き不透明な状況にあり、ロシア・ウクライナ問題が更に長期化した場合、または他の地域で国際紛争が発生した場合には、エネルギーや原材料価格の高騰や原材料の調達遅延、事業活動の中断等、グローバルに事業展開する当社グループの事業活動への影響が懸念されます。

 

また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応として、当社グループでは、2020年2月より新型コロナウイルス対策会議を原則として毎日開催し、製品やサービスの提供に支障が生じないよう、生産・物流を含めたサプライチェーン網の維持等にも最大限の努力を続けてきましたが、新型コロナウイルス感染症が2023年5月8日に「5類感染症」に変更されたことを踏まえ、季節性インフルエンザ等と同等の対応に移行しております。

現在、新型コロナウイルス感染症に収束の兆しが見え始めている状況ではあるものの、今後、新たな変異株や感染症が出現し、事態が深刻化、長期化した場合、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受けるおそれがあります。

 

② 海外事業展開について

当社グループは、米州、欧州、アジア他に製造・販売拠点を有しておりますが、中国をはじめとする新興国製品の台頭により、特に価格面における競争環境はグローバル規模で厳しさを増しています。

当社グループでは、顧客の心で考え、行動し、検証する「顧客志向」の立場で日々営業活動を行うとともに、LMガイドの故障及び潤滑診断、予兆検知等のネットワーク機能を備えた「OMNIedge」、当社と顧客を繋ぐコミュニケーションプラットフォームである「Omni THK」等、ITを活用して顧客や市場のニーズを的確に捉える仕組みを導入し、高性能で付加価値の高い製品の開発、提供を継続して進めていますが、顧客や市場のニーズを十分に予測できず、魅力ある新製品を開発できない場合や新製品の市場への投入が遅れた場合、他社が画期的な新製品を開発することによって、当社製品が機械要素部品及び輸送用機器要素部品に占める地位を失うに至った場合には、将来の成長と収益性を低下させるおそれがあります。

また、グローバルで政治・経済情勢や法規制、関税や安全保障貿易管理に基づく輸出規制等に関する最新の状況をモニタリングし、取引形態やサプライチェーンの見直し等の対策を講じ、事業への影響の低減を図っていますが、当社グループの製品を製造・販売している国や地域の政治情勢や経済状況の変動、あるいは予期せぬ法規制等の変更により、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受けるおそれがあります。

 

③ 人財について

当社グループは、競争力を維持するため、優秀な人財を国内外で継続的に採用し、“個力の強化”を目標に、従業員の成長支援に取り組んでいます。また、新卒のみならずキャリア採用を強化するとともに、女性・高齢者・障がい者の活躍支援、自己申告制度による従業員の希望の確認等、体制面や従業員エンゲージメントの向上に努めています。

しかしながら、少子高齢化を背景として各分野における人財の確保競争が激しさを増すなか、特定分野のスキルを持った人財に対する世界的な需要の高まりが競争に拍車をかけており、当社グループが計画どおりに適切な人財を採用できなかった場合やその育成に齟齬が生じた場合、技術・技能の承継にも支障をきたし、当社グループの事業の遂行に制約が生じる可能性があります。

また、当社グループでは安定した労使関係の構築に努めていますが、海外においては労使慣行の相違が存在し、法制度や経済環境、社会環境の変化等予期せぬ事象を起因とする労使関係の悪化や労働争議の発生、また新興国を中心として従業員の賃金が急上昇した場合には、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を受けるおそれがあります。

 

④ 特定産業界における需要動向の変化による影響について

当社グループは、産業機器事業と輸送機器事業を展開しています。産業機器事業はLMガイドやボールねじ等の機械要素部品、輸送機器事業はリンクボールやサスペンションボールジョイント等の輸送用機器要素部品を製造・販売しており、それぞれ工作機械や一般機械、半導体製造装置をはじめとする産業用機械メーカー、輸送機器事業は自動車関連企業等の輸送用機器メーカーが主要顧客です。当社グループでは、「グローバル展開」、「新規分野への展開」及び「ビジネススタイルの変革」の三つの戦略軸によるビジネス領域の拡大を進め、特定の顧客・製品に依存しないようリスクの分散に努めていますが、現状においては、当社グループの業績は主要顧客である工作機械、一般機械、半導体製造装置、輸送用機器等の産業界における需要動向に影響を受けており、特に輸送機器事業は自動車業界の動向の影響を強く受ける傾向があります。

従って、将来において特定の産業界における急激な需要動向の変化等により、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受けるおそれがあります。

 

⑤ 原材料や部品の調達について

当社グループは、製品の製造に使用する原材料及び部品を、国内に限らず広く世界中の複数の供給元から調達しています。これらの供給元を“共に成長するための重要なパートナー”と位置付け、新技術・新工法・新素材等の情報を出し合う場を設けるなど協調体制を組み、安定かつ継続的な供給の維持を図るとともに、徹底したコスト管理に努めています。さらに、紛争鉱物への対応や環境への配慮等、サプライチェーンを通じて、社会からESG観点での高度な対応が求められていることから、供給元の事業者に「CSR調達ガイドライン」を配布し、CSR調達の徹底を図っています。

ロシア・ウクライナ問題は世界的な物価の高騰を引き起こしており、ロシア・ウクライナ問題が更に長期化した場合、または他の地域で国際紛争が発生した場合、さらには供給元の生産能力不足や品質不良、倒産、コンプライアンス違反あるいは火災や地震等の自然災害等に加え、感染症の発生等を契機として供給元の所在する国や地域でロックダウン(都市封鎖)等が行われ、サプライチェーン寸断による原材料および部品の不足が生じた場合や原油高の影響、原材料供給国の社会情勢、新興国における需要の高まり等を背景として原材料価格が予期せぬ高騰を示した場合、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受けるおそれがあります。

<重要なリスク>

① 製品の品質問題について

当社グループの製品は、工作機械、産業用ロボット、半導体製造装置等の産業用機械から、自動車、免震・制震装置、医療機器、アミューズメント機器、航空機等の民生品分野にも採用が拡がっています。

そのような中、当社グループは、国内外の各生産拠点において品質マネジメントシステムであるISO9001を認証取得し、それに従った各種製品・サービスの開発や製造を行うことで、産業機器事業の品質保証体制の整備を図るとともに、自動車産業をはじめとする輸送機器事業、また航空宇宙産業等の新たな分野に適応する各種品質セクター規格を認証取得し、あらゆる市場に適合する高い品質保証体制の構築に努めています。

しかしながら、製品に欠陥が生じるリスクをゼロに低減することは不可能であり、万が一大規模なリコールや製造物賠償責任につながるような予期せぬ製品の不具合が発生した場合、多大な費用の発生や社会的信用の低下、取引停止等により、経営成績及び財政状態が影響を受けるおそれがあります。

また、当社グループはグローバルな製造物責任保険等に加入しておりますが、損害賠償等の損失についてその全てを担保するという保証はありません。

 

② 為替レートの変動について

当社グループは、輸出入等を中心とした外貨建取引について、為替予約等により為替リスクをヘッジしておりますが、為替レートに大幅な変動が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受けるおそれがあります。

また、連結財務諸表を作成するにあたって在外子会社の財務諸表を円換算しておりますが、現地における通貨金額が変わらない場合においても、換算時の為替レートにより円換算後の連結財務諸表上の金額が影響を受けるおそれがあります。

 

③ 金利の変動について

当社グループは、金融機関からの借入、社債及びコマーシャルペーパーの発行等の方法によって資金調達を行っており、資金需要に対してその内容や財政状態および金融環境を考慮し、調達の金額・期間・方法等を判断しています。金利が上昇した場合にはこれらの調達コストが増加します。この影響を軽減するため、当社グループでは金利スワップ契約等のデリバティブ取引を利用しています。

当社グループでは投資した資産について、現在価値の算出に市場金利を基準とする割引率を用いており、金利が大きく上昇した場合、使用価値の計算に用いる割引率が大きく上昇することにより回収可能価額が減少し、対象資産の評価額に影響を及ぼす可能性があります。

金利動向によっては、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受けるおそれがあります。

 

④ 情報セキュリティについて

当社グループは、事業活動を通して、個人情報を入手することがあり、また、営業上・技術上の機密情報を保有しています。

当社グループでは、社長を委員長とする「情報セキュリティ委員会」を設置・運用しており、当委員会には、外部の専門家もオブザーバーとして参加し、情報セキュリティに関する管理体制やルールの整備・強化を図るとともに、国内外の個人情報保護を始めとする法規制強化への都度対応、情報リテラシーを高めるための社員教育の実施等、情報の厳格な管理に努めています。

また、当社グループは、事業全般において様々なコンピューターシステム及びITネットワークを活用しており、これらシステムには十分な安全対策を施しています。

近年、サイバー攻撃の手口の高度化・巧妙化、クラウドサービスの利用の増加等、情報セキュリティに関するリスクが高まっていることから、適宜セキュリティの強化に努めていますが、サイバー攻撃、コンピューターウイルスの感染、不正アクセス、インフラ障害、情報システムの不具合等により情報が流出した場合や重要データの破壊、改ざん、システム停止等不測の事態が生じた場合には、当社グループに対する社会的信用の低下や事業活動の中断、対策費用の発生、多額の課徴金の支払い、取引の停止等により、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受けるおそれがあります。

 

⑤ 環境問題について

当社グループは、地球環境を健全な状態で次世代に引き継いでいくことは企業の社会的責務であるとの認識に立ち、THKグループ環境基本方針を制定し、省エネルギー製品の開発、環境負荷の継続的な低減と自然環境の維持・改善等に努めています。また、当社グループは、各生産拠点において環境マネジメントシステムの国際規格であるISO14001の認証を取得するとともに、国内外の環境関連法令の遵守はもちろんのこと、EUの有害物質規制法RoHS指令及びREACH規則や中国の電子情報製品生産汚染防止管理弁法に代表される様々な規制に対しても、国内・海外の生産拠点に対して「グリーン調達ガイドライン」を適用し対応しており、これまで重大な環境問題が発生したことはありません。

しかしながら、不測の事態により将来において環境問題が発生した場合には、損害賠償や対策費用の発生、罰金等の行政処分、社会的信用の低下、生産活動の停止等により、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受けるおそれがあります。

また、環境に関する規制がさらに厳格化し、追加の義務や費用負担が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受けるおそれがあります。

 

⑥ コンプライアンスについて

当社グループは、グローバルな事業展開を行っており、様々な国の法令・規則の適用を受けています。

当社グループでは、コンプライアンス意識の徹底と不正を許さない職場環境の醸成のため、社長を委員長とする「コンプライアンス委員会」を設置・運用しており、当委員会には、外部の専門家もオブザーバーとして参加し、法令・社内規範・倫理規範の遵守を目的とした体制を整備し、公正な企業活動に努めています。また、当社グループの役職員が共有・遵守すべき「THKグループ行動憲章」を制定し、当社グループの全役職員に周知するとともに、必要な社内教育を実施するなど、コンプライアンス意識の向上を図っています。

また、内部通報制度を整備し、担当部署、監査等委員会、顧問弁護士と社内外に3つの通報窓口を設け、法令や社内規範等に違反する行為、またはそのおそれのある行為について、通報を受け付け、コンプライアンスリスクの未然防止に努めています。

しかしながら、グローバルに事業を展開するなか、コンプライアンスリスクを完全に回避することは困難であり、法令違反等が生じた場合には、当社グループが刑事上、民事上、行政上の責任を負い、また社会的信用の低下等により、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受けるおそれがあります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及び

キャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

当連結会計年度においては、各地域におけるコロナ禍からの経済活動の正常化への流れが継続する一方、ウクライナや中東情勢をはじめとする地政学的リスクの高まりや、インフレの進行、米国の一部の金融機関の破綻に端を発した金融不安、そして不動産不況などに揺れる中国経済の低迷など懸念材料がある中で、世界経済は先行きが不透明な状況が続きました。

当社グループでは、「LMガイド(直線運動案内:Linear Motion Guide)」をはじめとする当社製品の市場を拡大すべく「グローバル展開」、「新規分野への展開」および「ビジネススタイルの変革」を成長戦略の柱として掲げています。グローバル展開では、中国やその他の新興国においてFA(Factory Automation)の進展などを背景としてマーケットは成長し、先進国でもユーザーの裾野が広がる中、これらの需要を取り込むべくグローバルで生産・販売体制の拡充に努めています。新規分野への展開では、自動車、医療機器、航空機、ロボットなど消費財に近い分野に加え、免震・制震装置、再生可能エネルギー関連など自然災害や気候変動のリスクを低減する分野においても当社グループ製品の採用が広がる中、従来品のみならず新規開発品の売上収益の拡大を図っています。さらに、これらの戦略を推し進めるべく、様々な面でAI、IoT、ロボットをはじめとするテクノロジーを徹底的に活用することで、ビジネススタイルの変革を図り、ビジネス領域のさらなる拡大を図っています。

そのような中、産業機器事業においては、全般的に需要が低位に推移する中、前半は高水準の受注残を売上収益へと繋げましたが、後半に入っても需要の回復は見られませんでした。一方、輸送機器事業においては、コロナ禍の収束と部品供給不足の緩和などにより、自動車の生産と販売が回復する中、売上収益は前期に比べて回復の方向へ向かいました。これらの結果、連結売上収益は前期に比べて、417億4千7百万円(△10.6%)減少し3,519億3千9百万円となりました。

コスト面では、生産性向上に向けた各種改善活動を引き続き推進しましたが、売上収益の減少幅が大きかったことなどにより、売上原価率は前期に比べて3.5ポイント上昇し、76.8%となりました。

販売費及び一般管理費は、前期に比べて3千2百万円(△0.1%)減少し589億5千8百万円となりました。売上収益に対する比率は、各種業務の効率化に努めましたが、前期に比べて1.8ポイント上昇し、16.8%となりました。

これらの結果、営業利益は前期に比べて107億5千2百万円(△31.2%)減少し237億7百万円となり、売上収益営業利益率は2.1ポイント低下し、6.7%となりました。

金融収益は24億4千6百万円、金融費用は8億6千4百万円となりました。

これらの結果、税引前利益は前期に比べて103億7百万円(△29.0%)減少し252億8千9百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は前期に比べて27億9千9百万円(△13.2%)減少し183億9千8百万円となりました。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 

(日本)

日本では、産業機器事業において、前半に高水準の受注残を売上収益へと繋げましたが、全般的に需要が低位に推移したことなどにより、売上収益は前期に比べて288億3千2百万円(△20.0%)減少し、1,153億5千7百万円となりました。セグメント利益(営業利益)は、売上収益の減少などにより、前期に比べて63億9千4百万円(△37.6%)減少し、106億1千9百万円となりました。

 

(米州)

米州では、産業機器事業においては、エレクトロニクス関連を中心に需要が減少する中でも、前半に高水準の受注残を売上収益へと繋げました。輸送機器事業においては、売上収益は前期に比べて回復の方向へ向かいました。これらに加え、為替が前期に比べて円安で推移したことなどにより、売上収益は前期に比べて83億7千万円(10.4%)増加し、892億2千5百万円となりました。セグメント利益(営業利益)は、売上収益の増加などにより、前期に比べて45億7千1百万円増加し、22億1千9百万円(前期は23億5千1百万円の損失)となりました。

 

(欧州)

欧州では、産業機器事業においては、全般的に需要が減少する中でも、前半に高水準の受注残を売上収益へと繋げました。輸送機器事業においては、売上収益は前期に比べて回復の方向へ向かいました。これらに加え、為替が前期に比べて円安で推移したことなどにより、売上収益は前期に比べて78億3千2百万円(12.5%)増加し、705億4千8百万円となりました。セグメント利益(営業利益)は、売上収益の増加などにより、前期に比べて113億6千5百万円増加し、16億8千万円(前期は96億8千4百万円の損失)となりました。

 

(中国)

中国では、産業機器事業において、全般的に需要が減少する中、売上収益は前期に比べて239億1百万円(△28.7%)減少し、594億1千万円となりました。セグメント利益(営業利益)は、売上収益の減少などにより、前期に比べて62億8千6百万円(△45.6%)減少し、74億8千6百万円となりました。

 

(その他)

その他では、インド・ASEANをはじめとして当社グループ製品への需要の裾野が着実に広がる中、販売網の拡充に加え、新規顧客を開拓すべく積極的な営業活動を展開しました。しかしながら、一部地域で中国における需要の減少の影響を受けたことなどにより、売上収益は前期に比べて52億1千6百万円(△23.1%)減少し、173億9千7百万円となりました。セグメント利益(営業利益)は、売上収益の減少などにより、前期に比べて18億7千9百万円(△65.7%)減少し、9億8千1百万円となりました。

 

② 財政状態の概況

資産は、棚卸資産が48億2千9百万円、有形固定資産が142億1千4百万円増加しましたが、現金及び現金同等物が73億4千8百万円、営業債権及びその他の債権が180億4千3百万円減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べ39億5千2百万円減少の5,563億5千1百万円となりました。

負債は、営業債務及びその他の債務が107億5千万円、未払法人所得税が63億1千9百万円、社債及び借入金が121億1千5百万円減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べ295億7千万円減少の1,934億5千3百万円となりました。

資本は、利益剰余金が74億9千9百万円、その他の資本の構成要素が178億3千8百万円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ256億1千7百万円増加の3,628億9千8百万円となりました。

 

③ キャッシュ・フローの概況

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

 

営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前利益252億8千9百万円、減価償却費及び償却費218億3百万円、営業債権及びその他の債権の増減額220億3千5百万円などのキャッシュ・インに対し、棚卸資産の増減額10億4千9百万円、営業債務及びその他の債務の増減額138億8百万円、法人所得税の支払額145億9千9百万円などのキャッシュ・アウトが発生したことにより、393億3千2百万円のキャッシュ・イン(前連結会計年度は375億6千1百万円のキャッシュ・イン)となりました。

 

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出270億4千5百万円などのキャッシュ・アウトにより、270億9千4百万円のキャッシュ・アウト(前連結会計年度は300億8千1百万円のキャッシュ・アウト)となりました。

 

財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の発行による収入100億円のキャッシュ・インに対し、長期借入金の返済による支出21億8千5百万円、社債の償還による支出200億円、配当金の支払額97億9千5百万円などのキャッシュ・アウトが発生したことにより、242億6千6百万円のキャッシュ・アウト(前連結会計年度は36億4千9百万円のキャッシュ・アウト)となりました。

 

これらの結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べて、73億4千8百万円減少し、1,564億8千6百万円となりました。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多く、連結ベースにおいてはセグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。

このため、生産、受注及び販売の状況については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に関連付けて記載しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 経営成績の分析

連結売上収益は3,519億3千9百万円、営業利益は237億7百万円、税引前利益は252億8千9百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は183億9千8百万円となり、それぞれ前期に比べて減少し、EPS(基本的1株当たり当期利益)は150.08円、ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率)は5.3%となりました。

事業別の状況を見ると、産業機器事業においては、全般的に需要が低位に推移する中、前半は受注残を売上収益へと繋げましたが、後半に入っても需要は回復せず、減収となりました。一方、輸送機器事業においては、コロナ禍の収束と部品供給不足の緩和などにより、自動車生産と販売が回復へと向かったことなどにより増収となりました。

地域別の状況を見ると日本では、産業機器事業において、前半に高水準の受注残を売上収益へと繋げましたが、全般的に需要は低位に推移したことなどにより、減収となりました。米州では、産業機器事業においてエレクトロニクス関連を中心に需要は減少しましたが、輸送機器事業において売上収益が回復へと向かったことに加え、為替が前期に比べて円安で推移したことなどにより増収となりました。欧州では産業機器事業において全般的に需要は減少しましたが、輸送機器事業において売上収益が回復へと向かったことに加え、為替が前期に比べて円安で推移したことなどにより増収となりました。中国では産業機器事業において、全般的に需要が減少したことなどにより、減収となりました。アジア他地域では産業機器事業において、全般的に需要が減少したことなどにより、減収となりました。

コスト面では、産業機器事業における需要が減少する中、コストコントロールを強化するとともに生産性向上に向けた各種改善活動を推進しましたが、産業機器事業における売上収益の減少幅が大きかったことなどにより、営業利益、税引前利益、親会社の所有者に帰属する当期利益は前期に比べて減少しました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.財務戦略の基本的な考え方

当社グループは、企業価値向上に向けた資金を適切に調達、配分しております。加えて、パンデミック、自然災害、不測の事態の発生時においても事業を継続し、当社製品の供給責任を果たすべく、強固な財務基盤を堅持することを財務戦略の基本としております。財務基盤の堅持に関しては、安定的な資金調達を可能とするため、格付機関である格付投資情報センターおよび日本格付研究所からともに取得している「A+(シングルAプラス)」の維持向上を目指しております。主要な金融機関とは良好な取引関係を維持しており、加えて強固な財務基盤を有していることから、当社グループの事業の維持拡大、運営に必要な運転資金、投資資金は調達可能であると認識しております。

 

b.資金の調達と流動性

当社グループの資金の源泉は、主として営業活動からのキャッシュ・フローとコマーシャルペーパー、社債の発行及び金融機関からの借入などの財務活動による資金調達になります。当期の営業活動によるキャッ

シュ・フローは、393億3千2百万円であります。財務活動においては、普通社債の発行により100億円を調達しております。なお、主要な金融機関において、コミットメントライン300億円を設定しており、緊急時の資金調達手段を確保しております。

また、当社グループでは、日本国内、米州、欧州及び中国の各地域において、グループ各社が保有する資金をグループ内で効率的に活用するキャッシュ・マネジメントシステムを構築し運用しております。日本国内においては当社、米州及び欧州においては当社の金融子会社、中国においては持株統括会社が資金集中管理を行うことにより資金の偏在をならし、資金の効率化、流動性の確保を図っております。

 

c.資金需要

当社グループの主な資金需要は、製品製造のための原材料及び部品の購入費、製造経費、販売費および一般管理費等の運転資金に加え、生産効率及び品質向上、生産能力増強を目的とした設備投資や技術革新に対応した研究開発のための資金ならびに配当金支払いなどを見込んでおります。

当連結会計年度の設備投資額は、前連結会計年度の320億9千5百万円に比べ19億4千1百万円(△6.1%)減少し、301億5千3百万円となりました。研究開発費は、前連結会計年度の63億3千8百万円に比べ1億7千6百万円(△2.8%)減少し、61億6千1百万円となりました。配当金支払額は、97億9千5百万円となりました。

これらの設備投資、研究開発のための資金や、配当金の支払などの原資については、主に自己資金で賄っております。

 

d.経営資源の配分に関する考え方

当社グループは、将来の収益の獲得を目的とする設備投資や研究開発投資を実施すること、安定的な配当の継続を基本とするとともに業績に応じた積極的な利益配分を実施すること、そして内部留保を充実させて強固な財務基盤を堅持することが重要であると考えております。

利益配分につきましては、期間損益に対して連結配当性向30%を基本としておりますが、1株当たり配当金の下限を年間15円(中間・期末各7.5円)と設定しております。内部留保金につきましては、事業機会を的確に捉えるために必要となる水準を保持することを基本とし、当社グループの成長戦略の柱である「グローバル展開」、「新規分野への展開」、「ビジネススタイルの変革」の取り組みなどに有効活用してまいります。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下「連結財務諸表規則」という。)第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。

なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要性がある会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針、4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

当社グループは、本社およびテクノセンター(東京都)を研究開発拠点として、基幹の直動システムをはじめ、精密XYステージやリニアモータアクチュエータなどのメカトロ機器、さらに自動車、免震・制震装置、医療機器、航空機、再生可能エネルギー、ロボットなどの消費財に近い分野において、直動システムのコア技術とノウハウを活かした製品開発に努めています。

海外では、中国に研究開発拠点としてR&Dセンター、ドイツにはTHK RHYTHM AUTOMOTIVEの研究開発部門を構え、世界各地のお客様のニーズにより的確にお応えできるよう、米州、欧州、アジアを視野に入れた最適地開発体制の構築を進めています。

産業機器関連事業では、ボンダー用ミニチュアガイド「AHR形」を開発しました。半導体製造装置の高性能化要求に貢献していきます。ラック&ピニオンによるケージずれ防止機構を有した「VRG形」のラインナップを拡充し、センターレールタイプの「VRG-W形」を市場投入しました。軽くなめらかな動作が必要な箇所に提案していきます。幅広い市場で使用しやすい互換性LMガイド「HDR形」では6方向からグリースの補充を可能とした形番をラインナップに追加しました。また、自由な経路設計を可能としたホイールガイド「CWG形」を開発しました。直線と曲線の組み合わせによりお客様の要求にマッチした経路を実現する搬送システムを提案していきます。

当社では初となる減速機「AMG形」を開発しました。この減速機は歳差運動式を採用することで、コンパクトでありながら高負荷容量を実現しています。クロスローラーリングでは、Dpw・N値30万を実現し工作機械などの高速化に応えた高速ローラーリング「RT形」を市場投入しました。その他に民生分野に最適な製品としてユーティリティスライド「AWG形」を開発しました。物流、鉄道などの新規分野への市場開拓を図っていきます。

ロボット関連では、新しい誘導方式の搬送ロボット「SIGNAS」に既存の2倍の牽引能力を持つパワーアップ版「SG-BM1T形」を追加しました。さらに電子部品のPick & Place工程に特化した「PPR形」においては、位置制御専用モデル「PPR-LR3-LF1形」をラインナップに追加しました。

免震関連では、文化財展示ケース用「VIT形」を開発しました。展示用ガラスケースの真下に設置することで、歴史的に貴重な文化財を地震の被害から守ります。

IoT関連では、お客様の設備の予兆検知の実現に向けた製造業向けIoTサービス「OMNIedge」において、LMガイドやボールねじなどの直動製品の予兆検知に加え、2022年2月にはポンプやファンなどの回転部品向けもラインナップに追加しました。さらに、第3弾として、同年11月には、工作機械の工具欠損検知ができる「工具監視AIソリューション」もラインナップに追加しました。

輸送機器事業では、自動車の電動化に伴い、軽量化ニーズへの対応と拡販に向け、新工法を採用したアルミ製品の市場投入を開始するだけでなく、北米ではアルミ鍛造技術を内製化し、米国のお客様のみならず、現地調達化ニーズのある日系メーカーのお客様にもご採用いただいています。

また、L&S(リンケージ アンド サスペンション)事業だけでなく、第2の柱として「CASE」関連の自動車用ボールねじ製品を開発、量産しています。自動ブレーキ要素部品としてだけでなく、次世代サスペンション用途へも展開しています。

さらに、eアクスル、新たなブレーキシステム向けのボールねじ等、新たな分野へ拡販を図っていきます。

そのような中、ジャパンモビリティショー2023では実走行可能なEVプロトタイプ「LSR-05」を世界で初めて展示しました。搭載されたEV向け先進技術は、シート座面内部とフロア接合部にLMガイドを配置したステルスシートスライドシステム「SLES形」、インナーロータータイプの可変磁束型インホイールモーター「enemo形」、路面の凹凸に対応した車高調整と姿勢制御が可能なアクティブサスペンション「ALCS形」、サスペンションの減衰力を電子制御で可変させ振動を吸収することが可能なMR流体減衰力可変ダンパー「MRDT形」、非接触給電システム「CLPS形」、バイワイヤー(電気制御)で4輪独立ブレーキを司る電動ブレーキ「ESB形」の6アイテムを開発しました。

引き続きお客様がまだ気づかれていない、5年先、10年先のニーズを見据えた真のマーケットインを目指した次世代製品の開発を推進するとともに、現在のお客様のニーズにお応えした製品ラインナップの拡充に努めていきます。

当連結会計年度における研究開発費の総額は6,161百万円であります。