回次 |
第15期 |
第16期 |
第17期 |
第18期 |
第19期 |
|
決算年月 |
2019年9月 |
2020年9月 |
2021年12月 |
2022年12月 |
2023年12月 |
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売上高 |
(百万円) |
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経常損失 |
(百万円) |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
親会社株主に帰属する当期純損失 |
(百万円) |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
包括利益 |
(百万円) |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
純資産額 |
(百万円) |
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総資産額 |
(百万円) |
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1株当たり純資産額 |
(円) |
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1株当たり当期純損失 |
(円) |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
潜在株式調整後1株当たり当期純利益 |
(円) |
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自己資本比率 |
(%) |
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自己資本利益率 |
(%) |
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株価収益率 |
(倍) |
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営業活動によるキャッシュ・フロー |
(百万円) |
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△ |
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投資活動によるキャッシュ・フロー |
(百万円) |
△ |
△ |
△ |
|
△ |
財務活動によるキャッシュ・フロー |
(百万円) |
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△ |
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現金及び現金同等物の期末残高 |
(百万円) |
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従業員数 |
(人) |
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(外、平均臨時雇用者数) |
( |
( |
( |
( |
( |
(注)1.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。
2.自己資本利益率・株価収益率については、親会社株主に帰属する当期純損失であるため記載しておりません。
3.第17期は、決算期変更により2020年10月1日から2021年12月31日までの15ヶ月間となっております。
4.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)及び「収益認識に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第30号 2021年3月26日)を第18期の期首から適用しております。なお、累積的影響額を期首の利益剰余金に反映する方法を採用し、比較情報は修正再表示しておりません。
5.第18期より、金額の表示単位を千円単位から百万円単位に変更しております。なお、比較を容易にするため、第15期から第17期についても、表示単位を千円単位から百万円単位に変更しております。
回次 |
第15期 |
第16期 |
第17期 |
第18期 |
第19期 |
|
決算年月 |
2019年9月 |
2020年9月 |
2021年12月 |
2022年12月 |
2023年12月 |
|
売上高 |
(百万円) |
|
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経常損失 |
(百万円) |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
当期純損失 |
(百万円) |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
資本金 |
(百万円) |
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発行済株式総数 |
(株) |
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純資産額 |
(百万円) |
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総資産額 |
(百万円) |
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1株当たり純資産額 |
(円) |
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1株当たり配当額 |
(円) |
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(うち1株当たり中間配当額) |
( |
( |
( |
( |
( |
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1株当たり当期純損失 |
(円) |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
潜在株式調整後1株当たり当期純利益 |
(円) |
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自己資本比率 |
(%) |
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自己資本利益率 |
(%) |
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株価収益率 |
(倍) |
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配当性向 |
(%) |
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従業員数 |
(人) |
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|
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(外、平均臨時雇用者数) |
( |
( |
( |
( |
( |
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株主総利回り |
(%) |
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(比較指標:TOPIX) |
(%) |
( |
( |
( |
( |
( |
最高株価 |
(円) |
1,150 |
1,050 |
1,295 |
1,060 |
1,058 |
最低株価 |
(円) |
518 |
498 |
691 |
639 |
664 |
(注)1.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。
2.自己資本利益率・株価収益率については、当期純損失であるため記載しておりません。
3.最高株価及び最低株価は2022年4月4日以降は東京証券取引所(プライム市場)におけるものであり、それ以前は東京証券取引所(市場第一部)におけるものであります。
4.第17期は、決算期変更により2020年10月1日から2021年12月31日までの15ヶ月間となっております。
5.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)及び「収益認識に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第30号 2021年3月26日)を第18期の期首から適用しております。なお、累積的影響額を期首の繰越利益剰余金に反映する方法を採用し、比較情報は修正再表示しておりません。
6.第18期より、金額の表示単位を千円単位から百万円単位に変更しております。なお、比較を容易にするため、第15期から第17期についても、表示単位を千円単位から百万円単位に変更しております。
年月 |
概要 |
2005年8月 |
微細藻類ユーグレナの研究開発、製造、販売を目的として、東京都港区六本木に株式会社ユーグレナを設立 |
2005年12月 |
ユーグレナの食品用途屋外大量培養に成功 |
2006年2月 |
食品の自社製品販売を開始し、ヘルスケア事業(食品)に参入 |
2006年3月 |
本店所在地を東京都港区虎ノ門に移転 |
2006年10月 |
食品のOEM製品の販売を開始 |
2007年4月 |
本店所在地を東京都文京区本郷「東京大学アントレプレナープラザ」に移転、研究所を設置 |
2007年8月 |
東京都渋谷区桜丘町に本社機能を移転 |
2008年12月 |
化粧品のOEM製品の販売を開始し、ヘルスケア事業(化粧品)に参入 |
2011年11月 |
株式取得により、八重山殖産株式会社を関連会社化 |
2012年4月 |
東京都文京区後楽に本社機能を移転 |
2012年4月 |
食品を中心としたブランド「ユーグレナ・ファーム」のインターネット販売を開始 |
2012年10月 |
沖縄県石垣市白保に生産技術研究所を設置 |
2012年12月 |
東京証券取引所マザーズに上場 |
2013年3月 |
八重山殖産株式会社の株式取得(現・連結子会社) |
2013年10月 |
バングラデシュ人民共和国ダッカに事務所を開設 |
2014年4月 |
本店を東京都文京区後楽に移転し、中央研究所を神奈川県横浜市鶴見区に移転 |
2014年12月 |
東京証券取引所市場第一部に上場 |
2015年3月 |
本店所在地を東京都港区芝に移転 |
2015年3月 |
Grameen euglena(バングラデシュ人民共和国ダッカ市、旧社名Grameen Yukiguni Maitake.Ltd)の株式取得(現・連結子会社) |
2015年9月 |
株式会社エポラの株式取得(現・連結子会社) |
2015年9月 |
ユーグレナ竹富エビ養殖株式会社(旧社名竹富エビ養殖株式会社)の株式取得(現・連結子会社) |
2017年10月 |
株式会社ジーンクエストの株式取得(現・連結子会社) |
2018年10月 |
神奈川県横浜市鶴見区でバイオジェット・ディーゼル燃料製造実証プラント竣工 |
2019年6月 |
株式会社MEJの株式取得(現・連結子会社) |
2020年8月 |
創業15周年を機にCIを刷新、ユーグレナ・フィロソフィー「Sustainability First」を制定 |
2021年3月 |
株式会社LIGUNAの株式取得(現・連結子会社) |
2021年5月 |
キューサイ株式会社の連結子会社化 |
2021年6月 |
国土交通省が保有する飛行検査機にて、当社バイオジェット燃料による初フライト成功 |
2021年8月 |
定款上の事業目的についてSDGsを反映したものに全面改訂 |
2021年12月 |
大協肥糧株式会社の株式取得(現・連結子会社) |
2022年3月 |
マレーシア国クアラルンプール市にEuglena Malaysia SDN.BHD.を設立(現・連結子会社) |
2022年4月 |
東京証券取引所プライム市場への市場区分変更 |
2022年7月 |
株式会社はこの株式取得(現・連結子会社) |
当社グループは、当社(株式会社ユーグレナ)、子会社16社及び関連会社3社により構成されており、微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の食品用途屋外大量培養技術をコア技術とし、ユーグレナをはじめとする微細藻類に関する多様な研究開発活動を行うとともに、その研究開発成果を起点としてヘルスケア事業(ユーグレナ、クロレラ等を活用した健康食品及び化粧品の開発、製造、販売等)、バイオ燃料事業(ユーグレナを中心とした微細藻類等や産業廃棄油等のバイオマス資源を活用したバイオ燃料の開発、製造、販売等)、その他事業(サステナブルアグリテック、バイオインフォマティクス、ソーシャルビジネス等の新規領域における事業開発や研究開発)といった事業を展開しております。
子会社である八重山殖産株式会社は微細藻類の大量培養設備を有し、ユーグレナ、クロレラ等の微細藻類の大量培養、乾燥粉末の製造等を行っております。
(1) 微細藻類ユーグレナをはじめとする当社独自素材の概要および当社の技術
①ユーグレナという生物
ユーグレナは、5億年以上前に原始の地球で誕生した、体長約30μm~50μm、幅約10μm程度の微細藻類であり、世界中の様々な環境で生息しております。また、植物と動物の形質を兼ね備えている生物で、植物のように種々のビタミンを産生するとともに、動物のように自ら動き回ることができ、栄養学的に植物と動物の両方の栄養素を併せ持っております。
②ユーグレナの培養方法
ユーグレナは、植物のようにエネルギーを光から得て、炭素源としてCO2を用いる「独立栄養培養」(いわゆる光合成)、および動物のように有機物を炭素源として利用する「従属栄養培養」、そして両培養方法の特徴を組み合わせた「光従属栄養培養」による培養が可能です。
「独立栄養培養」は、光合成によりCO2を吸収し、クロロフィル、ビタミン、フィトケミカル等、野菜寄りの栄養素が豊富に生成される特徴を有する一方、採光効率等の点から高密度化による生産性向上には限界があり、また、他の生物の混入もしやすいため、特に食品用途で求められる品質の安全性を確保しながら培養の安定化・大規模化・低コスト化を実現する難易度が高いという側面があります。「従属栄養培養」は、高密度培養や希少成分パラミロンの高含有化が可能であり、他の生物の混入も抑えやすく、新品種などの環境への拡散リスクを低減した培養も可能である一方、栄養素の多様性が低下する側面があります。「光従属栄養培養」は、食品用途の観点から重視される豊富な栄養素と高密度培養を両立させた培養方法となります。各培養方法それぞれに異なる特徴があり、全ての培養技術を有する当社は、事業目的に応じて各培養方法を使い分けております。
③ユーグレナの培養等に関する当社技術
ユーグレナは研究対象生物として50年以上の歴史があり、その独自性や産業化への可能性は多くの論文などにより記述されておりましたが、長年、食品として流通させることが可能なレベルでの大量培養は実現されておりませんでした。その最大の理由は、ユーグレナが食物連鎖における最下層に位置しており、動物プランクトンに捕食される対象となっていること、またユーグレナを培養する培養液に細菌類などが繁殖しやすく、商業的にユーグレナのみを大量に培養することが困難であったことがあげられます。
当社は創業メンバーによる東京大学農学部における研究成果を中心に、他の藻類研究を実施する様々な大学の研究成果を活用し、2005年12月に世界で初めて、屋外培養プールを用いてユーグレナの食品用途大量培養に成功しました。その後、培養の安定化、大規模化、低コスト化に向けた技術改良を進め、現在は上部から採光可能な屋外培養タンクを用いた光従属栄養培養により食品用途ユーグレナの大量培養を行っております。
また当社は、バイオ燃料の原料用途でのユーグレナの大量培養に向けて、独立栄養培養に関する技術開発を進めており、近年は従属栄養培養に関する技術開発も並行して進めております。
以下が当社グループの主たる技術です。
A.ユーグレナの大量培養技術
B.ユーグレナの食品加工、化粧品加工及び用途開発の技術
C.培養方法のコントロールによるユーグレナの組成を調整する技術
D.ユーグレナのゲノム編集技術
④ユーグレナのヘルスケア素材としてのポテンシャル
当社が生産する食品用途ユーグレナには、以下の特徴があります。
A.植物性栄養素と動物性栄養素の両方を含む59種類の栄養素を持つ
植物と動物の両方の形質を兼ね備えているユーグレナは、植物のように種々のビタミンやクロロフィルを産生するとともに、動物のようにバランスの良いアミノ酸組成を持ち、植物と動物の両方の栄養素を併せ持っております。
当社は、毎年、第三者分析機関である一般財団法人日本食品分析センターに当社ユーグレナ粉末の栄養素分析を委託しております。その結果、ユーグレナには成人の必須アミノ酸(※1)9種類、ビタミン、ミネラル、不飽和脂肪酸などを含む59種類の栄養素が含有されていることを確認しております。
図 当社ユーグレナ粉末の59種類の栄養素
B.細胞壁がない
野菜等の植物は細胞壁があり細胞内の栄養素を人間が消化することを妨げますが、ユーグレナは動物細胞と同様に細胞壁を持たないため、栄養成分の消化率が植物細胞に比べ高いという特徴を持っております。
図 ユーグレナ、植物細胞のイメージ図
C.希少成分パラミロンを持つ
植物がデンプンに代表されるエネルギー貯蔵物質を産生するのと同様に、ユーグレナもパラミロンという独自の貯蔵物質を作ります。独自の方法で産生されるパラミロンは、直鎖(※2)のβ-1,3-グルカン(※3)によって構成される多糖(※4)の粒子であり、ユーグレナがエネルギーを効率よく貯蔵するために役立っていると考えられております。
パラミロンは難消化性であり、食物繊維に分類される生物由来の希少成分で、機能性に関して様々な研究成果が報告されています。当社は、希少成分パラミロンを55%以上含有するユーグレナの製造方法を確立、規格化し、ユーグレナグラシリスEX55として当社商品やOEM供給等を通じて活用しています。
図 パラミロンの粒子構造と構造 |
|
▲パラミロンの粒子構造 |
▲パラミロンの構造 |
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撮影:青山学院大学 福岡伸一教授 |
|
⑤ユーグレナのバイオ燃料原料としてのポテンシャル
ユーグレナにはバイオ燃料原料として、以下の特徴があります。
A.食糧生産との競合を回避
独立栄養培養の場合は耕作不適地を活用することで、また、従属栄養培養の場合は食糧生産に伴う残渣・廃棄物を原料として活用することで、バイオ燃料の生産量拡大に際して懸念されている食糧生産との競合を回避することが可能です。
B.複数の培養方法にチャレンジ可能
ユーグレナは、異なる特徴を持つ独立栄養培養と従属栄養培養の両方法により培養することが出来るため、大規模化と低コスト化の両立という難易度が高いバイオ燃料原料用途での商業生産に向けて、技術開発の成功確率を高めることが可能です。
C.細胞壁がない
他の微細藻類は通常の植物と同じように細胞壁があり細胞内の脂質を抽出するためには細胞壁の破砕、溶解等の処理が必要となりますが、ユーグレナは動物細胞と同様に細胞壁を持たないため、他の微細藻類と比べて低コスト、低エネルギーで脂質抽出が可能です。
D.バイオジェット燃料(SAF)製造に適した脂質の生成
ユーグレナが生成する脂質(ワックスエステル)は、一般的な植物油脂(トリグリセリド)と比べて、分子構造上の酸素原子や二重結合が少なく、炭素鎖の長さもジェット燃料と同程度の12-16個のため、低エネルギー、低水素使用量でSAF製造が可能です。
E.脱脂藻体の多様な用途
ユーグレナは豊富な栄養素を含有するため、脂質抽出後の脱脂藻体を、飼料や肥料等の有価物として販売することで、バイオ燃料原料に配賦される製造コストの低減が可能です。
⑥ユーグレナの多様な産業素材としてのポテンシャル
ユーグレナには、食品やバイオ燃料原料以外の用途として、以下の特徴があります。
A.化粧品原料としての可能性
ユーグレナは化粧品原料として活用することが可能であり、既にユーグレナエキス、ユーグレナエキスEX、ユーグレナ発酵オイル、ミドリ麹エキスを化粧品原料として規格化し、当社の化粧品に活用しています。
B.パラミロンの素材としての可能性
ユーグレナが含有する希少成分パラミロンは、食品以外にも活用することが可能で、パラミロンを使った新しいバイオマスプラスチックであるパラレジン、創傷治癒促進効果が期待されるパラミロンフィルムの他、セルロース由来の再生繊維であるレーヨンに練込むことで水膨潤性(吸水性)、染着度(色の染まりやすさ)、細菌に対する増殖阻害作用を高めたパラミロンレーヨン等の開発を進めております。
C.微生物や発酵との組み合わせの可能性
ユーグレナは、様々な微生物や発酵プロセスを活性化し、付加価値を高める可能性を有しております。当社は、麹の製造工程にユーグレナを加えることで、酵素力価や抗酸化成分であるエルゴチオネイン含有率が高まった「ミドリ麹」を開発しました。また、ユーグレナエキスが乳酸菌の動きを活性化すること、ユーグレナの摂取が腸内で酪酸産生菌の割合を増やすことを確認しており、プレバイオティクスとしてのポテンシャルも期待されます。さらに、ユーグレナを堆肥や培養土に加えることで微生物が活性化し、植物の生育に有用な成果を確認した他、ユーグレナと海藻カギケノリの混合飼料の給餌により、反芻動物(牛など)からのメタン排出量軽減に寄与する成果を確認しており、肥料や飼料としてのポテンシャルも期待されます。
⑦その他の当社独自素材のポテンシャル
当社はユーグレナ以外にも、以下のような独自素材を展開しております。
A.ヤエヤマクロレラ
クロレラは世界中で食品素材や着色料として流通している微細藻類であり、当社の子会社である八重山殖産株式会社は、石垣島で約50年にわたる培養実績を誇り、国産素材ヤエヤマクロレラとして国内外に展開しています。植物性プロテインを中心とする豊富な栄養素、CGF(クロレラ・グロース・ファクター)やオートファジー活性因子であるスペルミジン等の特徴的な成分を含有している他、毒素を吸着して排出するデトックス効果等の様々な可能性を秘めております。
B.オーランチオキトリウム
オーランチオキトリウムは、ラビリンチュラ類に属し、葉緑体を持たないながらも微細藻類と呼ばれる生物です。不飽和脂肪酸の一種であるDHAを豊富に含有しており、環境保全の観点からプラントベースのシーフード代替素材としての活用が期待されております。また、発毛・育毛、血中脂質の低下、肥満予防等の機能性が報告されている希少成分「アシルステリルグルコシド」も含有しており、当社で物質特許を保有しております。
C.カラハリスイカ
アフリカのカラハリ砂漠に自生する野生種スイカの一種で、過酷な環境下で生育するために、保水性に優れており、活性酸素の消去能力に優れた抗ストレス因子を蓄積するといった特徴から、当社のヘルスケア商品素材として活用しております。
D.ミドリ麹
当社は、麹の製造工程にユーグレナを加えることで、酵素力価や抗酸化成分であるエルゴチオネイン含有率が高まった「ミドリ麹」を開発し、当社の健康食品に活用しております。
[用語解説]
※1.必須アミノ酸
必須アミノ酸とは、タンパク質を形成している20種類のアミノ酸のうち、体内で合成することができない9種類のアミノ酸のことをいいます。ヒトにおいて、具体的には、トリプトファン、スレオニン、リジン、バリン、メチオニン、ロイシン、フェニルアラニン、イソロイシン、ヒスチジンを指し、ユーグレナには全種類の必須アミノ酸が含まれております。
※2.直鎖
炭化水素やその誘導体を作っている炭素原子が、環状構造や枝分かれ構造をなさずに、一本の鎖状に結合していることをいいます。
※3.β-1,3-グルカン
β-1,3- グルコシド結合にて連なったグルコースを構成糖とする多糖のことです。
※4.多糖
単糖分子がグリコシド結合により多数重合し、単糖が二桁以上結合したものを多糖といいます
(2) ヘルスケア事業
当事業では、健康食品や飲料等の開発・販売及び化粧品の開発・販売を行っております。食品及び化粧品に活用されているユーグレナ粉末やクロレラ粉末は石垣島の自社グループ拠点で製造し、食品及び化粧品の最終製品の製造は主に外注先に製造委託しているほか、自社グループ会社工場にて一部製品の製造も行っております。販売については、自社グループ商品の直販に加え、流通チャネルでの卸売、取引先向けのOEM製品の供給や原料粉末の卸売等を行っております。
さらに研究開発分野においても、ユーグレナ生産にかかる継続的な技術開発を進めているほか、ユーグレナ粉末やユーグレナ特有の含有成分でβグルカンの一種であるパラミロンのヘルスケア分野における活用可能性等をテーマとする研究を行っております。また、近年、新規開発・探索・商品化された素材として、食品素材(オーランチオキトリウム、エルゴチオネイン等)、化粧品素材(ユーグレナエキスEX、ユーグレナ発酵オイル等)があります。
A.直販
自社グループの健康食品や化粧品等を、自社ECサイトや電話などで直接消費者に販売する形態です。当社では、健康食品ではユーグレナを配合した食品ブランド「からだにユーグレナ」等を、化粧品ではスキンケア化粧品ブランドとして「one」「NEcCO」「CONC」等を展開しております。また、株式会社エポラ、株式会社MEJ、株式会社LIGUNA、キューサイ株式会社等の自社グループ会社においても、健康食品や化粧品等を展開しております。
また、投資効率をブランドと媒体毎にグループ横断で比較分析し、高効率ブランドと媒体へ機動的に広告投資を配分しております。オンラインとオフライン広告のバランスについても、市場トレンドや投資効率に応じて柔軟な広告運用を行っております。
B.流通チャネルでの卸売
自社グループの健康食品や化粧品等を、様々な小売店舗に直接または食品商社や美容商社等を通じて卸売りする形態です。スーパーマーケットやドラッグストア等の大手流通店舗、美容院や接骨院等の専門店舗、並びにその他の全国の取扱店舗向けに、「からだにユーグレナ」等の自社グループの様々な食品ブランドや化粧品ブランドを展開しており、開発した商品の特性等に合わせて最適な販売形態を選択しております。
C.OEM供給
取引先と共同で製品仕様を決定し、取引先からの注文に基づき当社グループにて製品製造を行い、取引先へ販売するビジネスモデルです。代表例はアリナミン製薬株式会社向けに供給しているユーグレナ配合サプリメント「緑の習慣」であり、これらOEM製品は、取引先の製品ブランドとして消費者に販売されております。
D.原料販売
製薬会社、食品メーカー等にユーグレナ粉末やクロレラ粉末等を提供するビジネスモデルです。
E.海外展開
日本国外でのユーグレナ市場創出に向けて、東アジアを中心に事業展開を進めております。また、クロレラについても、OEM供給や原料供給を通じてグローバル市場での販売を展開しております。
(3) バイオ燃料事業
当事業では、ユーグレナ等の微細藻類やその他バイオマス資源のバイオ燃料原料としての利活用や、バイオマス資源を活用したバイオ燃料の開発・製造・販売の商業展開に向けて、各種研究開発やパートナーシップ構築を行っております。
A.バイオ燃料原料用のユーグレナ生産実用化に向けた研究開発
前述の通り、ユーグレナは、バイオ燃料原料生産の生産で求められる大規模化、低コスト化の観点から様々な優位性を有しております。また、ユーグレナは、独立栄養培養であれば大気中のCO2を直接固定することで、従属栄養培養であれば植物が固定したCO2を間接的に用いることで、カーボンニュートラルに貢献する可能性があります。これらのユーグレナのポテンシャルに着目し、当社グループは、バイオ燃料原料用のユーグレナの商業生産に向けた研究開発を進めております。
急拡大が見込まれるバイオ燃料市場において、バイオ燃料原料用のユーグレナ生産の実用化に向けて、独立/従属栄養培養の両アプローチにより大規模・低コスト培養技術を確立し、原料サプライヤーとしての競争優位性の確保を目指しております。
B.バイオ燃料の実証製造・供給体制の構築
当社グループは、2015年12月に、横浜市、千代田化工建設株式会社、伊藤忠エネクス株式会社、いすゞ自動車株式会社、全日本空輸株式会社の協力のもと、2020年までに国産バイオジェット・ディーゼル燃料の実用化を目指す「国産バイオ燃料計画」を発表し、その実現に向けた取り組みを進めてきました。具体的には、2017年6月に神奈川県横浜市鶴見区においてバイオジェット・ディーゼル燃料製造実証プラント(以下「実証プラント」)の建設を着工し、運転開始に向けた体制の整備を進め、2018年10月31日に実証プラントは竣工に至りました。実証プラントは2020年3月に本格稼働を迎え、次世代バイオディーゼル燃料の供給先をバス・トラック・鉄道・船舶など様々な移動体を対象として拡大するとともに、バイオジェット燃料も2021年6月に初フライトを実現し、2022年9月には国内空港のハイドラントシステムへの導入を実現するなど、当社のバイオ燃料の導入実績は「陸・海・空」の全ての領域をカバーしながら2023年末で累計93件に達しました。
これらの成果により建設時点の目的を全て成功裏に達成できたことを踏まえ、実証プラントは2024年1月末をもって稼働を終了しました。今後は、商業化フェーズに向けた取り組みを推進します。
C.バイオ燃料の商業化
商業プラントの建設については、2022年12月にグローバル大手統合エネルギー企業であるPetroliam Nasional Berhad及びEni S.p.A.と共同で、マレーシアにおいて商業規模のバイオ燃料製造プラント(以下「本商業プラント」といいます。)の建設及び運転プロジェクトを検討しており、本商業プラント建設に係る技術的・経済的な実現可能性評価を進めていることを発表しました。本商業プラントの原料処理能力は年間約65万トン、バイオ燃料の製造能力は最大で日産1万2,500バレル(年産約72.5万KL相当)となる見通しで、3社間で最終投資決定に向けた協議、検討を継続しております。
また、商業生産開始後を見据えて、バイオ燃料の供給体制を拡大し、継続的な供給配送を可能とすべく、国内外パートナーと連携しながらサプライチェーン構築に向けた更なる取り組みを進めていきます。
(4)その他事業
A.サステナブルアグリテック領域
肥料・飼料領域で微細藻類を活用した様々な研究開発を実施しております。また、藻類のみならず未利用資源も活用した研究を展開しております。第3の事業の柱として、飼料・肥料領域の展開を本格化していきます。
肥料領域では有機肥料メーカーである大協肥糧株式会社を2021年に完全子会社化し、ユーグレナグループの有機肥料の製造・販売事業展開を推進しております。同社は多種多様な原料を使いこなす現場力、作物や気候に応じたオーダーメイドでの肥料開発に強みがあり、当社の研究開発部門と連携しながら新たな原料の活用事例創出や商品開発を推進していきます。
飼料領域では、これまでの研究成果を踏まえ、既存代替飼料、環境負担低減飼料、機能性飼料の3テーマを中心に、微細藻類を活用した水産・畜産の商品開発を推進してまいります。
B.バイオインフォマティクス領域
2017年にゲノム関連の研究や一般消費者向けの遺伝子解析サービスを手掛ける株式会社ジーンクエストを完全子会社化し、バイオインフォマティクス領域における事業展開を開始しました。当社で遺伝子解析サービス「ユーグレナ・マイヘルス」を展開するとともに、同社は遺伝子解析サービス「Genequest」や研究開発を主軸に事業を展開しつつ、2022年には遺伝子解析結果を医療機関、フィットネス等に連携できるサービス「GeneLink」の提供を開始しました。
C.ソーシャルビジネス領域
バングラデシュにおいて、2015年に子会社化したGrameen euglenaを中心に、緑豆栽培等の農業事業や、子どもたちへユーグレナ入りクッキーを届ける「ユーグレナGENKIプログラム」等を推進し、国際連合世界食糧計画(WFP)等の国際機関とも連携しながら、事業成長が社会課題解決に直結するビジネスモデルの構築に取り組んでおります。
[事業系統図]
主な事業の状況の概要図及び主要な会社名は次のとおりです。
①ヘルスケア事業
②バイオ燃料事業
③その他事業
その他事業の主要な会社としては、肥料の製造卸売販売を行う大協肥糧株式会社、遺伝子解析サービスを行う株式会社ジーンクエスト、バングラデシュ人民共和国でソーシャルビジネスを行うGrameen euglenaがあります。
名称 |
住所 |
資本金 (百万円) |
主要な事業の内容 (注1) |
議決権の所有割合又は被所有割合(%) |
関係内容 |
(連結子会社)
八重山殖産株式会社
|
沖縄県石垣市 |
9 |
ヘルスケア事業 |
所有 100 |
ユーグレナ粉末等の生産委託先 ユーグレナ等の培養技術に関する共同研究 資金援助あり 借入債務の保証 |
Grameen euglena |
バングラデシュ人民共和国 ダッカ市 |
259 |
その他事業 |
所有 50 |
緑豆の購入 借入債務の保証 |
上海悠緑那生物科技有限公司 |
中華人民共和国上海市 |
120 |
ヘルスケア事業 |
所有 70 |
ユーグレナ原料の販売 |
株式会社エポラ |
愛媛県松山市 |
10 |
ヘルスケア事業 |
所有 100 |
ユーグレナ製品の販売 ユーグレナ粉末等の販売 当社グループ会社の製品の製造委託 役員の兼任あり |
ユーグレナ竹富エビ養殖株式会社 |
沖縄県八重山郡 |
84 |
その他事業 |
所有 100 |
資金援助あり |
株式会社ジーンクエスト |
東京都港区 |
55 |
その他事業 |
所有 100 |
遺伝子解析の業務委託 資金援助あり |
株式会社MEJ |
東京都港区 |
43 |
ヘルスケア事業 |
所有 100 |
役員の兼任あり |
株式会社LIGUNA |
東京都小金井市 |
3 |
ヘルスケア事業 |
所有 100 |
役員の兼任あり |
株式会社Q-Partners (注2、3) |
東京都港区 |
11,684 |
ヘルスケア事業 |
間接所有 49 |
役員の兼任あり |
株式会社Q-Partners (注2、3) |
福岡県福岡市中央区 |
100 |
ヘルスケア事業 |
所有 49 |
役員の兼任あり |
キューサイ株式会社 (注2、3) |
福岡県福岡市中央区 |
349 |
ヘルスケア事業 |
間接所有 49 |
当社グループ会社の製品製造委託 役員の兼任あり |
大協肥糧株式会社 |
大阪府藤井寺市 |
32 |
その他事業 |
所有 100 |
役員の兼任あり |
Euglena Malaysia SDN. BHD. |
マレーシア クアラルンプール市 |
34 |
バイオ燃料事業 |
所有 100 |
役員の兼任あり |
株式会社はこ |
東京都中央区 |
1 |
ヘルスケア事業 |
所有 100 |
当社グループの広告宣伝の業務委託 |
その他2社 |
|
|
|
|
|
(持分法適用関連会社) |
|
|
|
|
|
株式会社Eu&L |
東京都墨田区 |
50 |
その他事業 |
所有 50 |
役員の兼任あり |
合同会社リアルテックジャパン |
東京都墨田区 |
50 |
その他事業 |
所有 42.55 |
役員の兼任あり |
Glocalink Singapore Pte.Ltd. |
シンガポール |
160 |
その他事業 |
所有 31.52 |
|
(注)1. 「主要な事業の内容」欄にはセグメントの名称を記載しております。
2.キューサイ株式会社については、売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く。)の連結売上高に占める割合が10%を超えております。
主要な損益情報等 (1)売上高 25,488百万円
(2)経常利益 1,864百万円
(3)当期純利益 928百万円
(4)純資産額 9,169百万円
(5)総資産額 14,587百万円
3.当社の連結子会社である株式会社Q-Partners(住所:東京都港区、以下、「(現)Q-Partners」という。)は、2023年12月26日付で、同社、キューサイ株式会社(以下、「(現)キューサイ」という。)とその子会社2社を対象とした組織再編を行うため、株式移転を通じて株式会社Q-Partners(住所:福岡県福岡市中央区、以下、「(新)Q-Partners」という。)を新設しました。
なお、2024年1月1日付で以下の組織再編を実施しております。
ⅰ)(現)キューサイがCQベンチャーズ株式会社を吸収合併する。
ⅱ)(現)キューサイの販売・管理機能を吸収分割し、(現)Q-Partnersが継承する。
ⅲ)(現)Q-Partnersは「キューサイ株式会社」に商号変更する。
ⅳ)(現)キューサイ株式会社が「キューサイプロダクツ株式会社」に商号変更する。
(1)連結会社の状況
|
2023年12月31日現在 |
|
セグメントの名称 |
従業員数(人) |
|
ヘルスケア事業 |
|
( |
バイオ燃料事業 |
|
( |
その他事業 |
|
( |
全社(共通) |
|
( |
合計 |
|
( |
(注)1.全社(共通)として記載されている従業員は、管理部門等に所属している者であります。
2.従業員数は、就業人員数であり、臨時雇用者数(アルバイトを含む。)は、( )内に年間の平均人員を外数で記載しております。
(2)提出会社の状況
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|
|
|
|
|
2023年12月31日現在 |
従業員数(人) |
平均年齢 |
平均勤続年数 |
平均年間給与(千円) |
|||
|
( |
|
|
|
|
|
セグメントの名称 |
従業員数(人) |
|
ヘルスケア事業 |
|
( |
バイオ燃料事業 |
|
( |
その他事業 |
|
( |
全社(共通) |
|
( |
合計 |
|
( |
(注)1.従業員数は、就業人員数であり、臨時雇用者数(アルバイトを含む。)は、( )内に年間の平均人員を外数で記載しております。
2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
3.全社(共通)として記載されている従業員は、管理部門等に所属している者であります。
(3)労働組合の状況
当社には労働組合はありませんが、当社子会社の八重山殖産株式会社には八重山殖産労働組合と称する労働組合 があり、2023年12月31日現在における組合員数は14人であります。
なお、労使関係は安定しております。
(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
①提出会社
当事業年度 |
||||
管理職に占める女性 労働者の割合(%) (注)1. |
男性労働者の育児休業 取得率(%) (注)2. |
労働者の男女の賃金の差異(%) (注)3. |
||
全労働者 |
うち 正規雇用 労働者 |
うち パート・ 有期労働者 |
||
17.5 |
85.7 |
- |
- |
- |
(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。
3.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。
②連結子会社
当事業年度 |
|||||
名称 |
管理職に占める女性 労働者の割合(%) (注)1. |
男性労働者の育児休業取得率(%) (注)2. |
労働者の男女の賃金の差異(%) (注)1. |
||
全労働者 |
うち 正規雇用 労働者 |
うち パート・ 有期労働者 |
|||
キューサイ株式会社 |
26.0 |
0.0 |
79.0 |
73.2 |
95.3 |
(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。