当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は有価証券報告書提出日(2024年3月22日)現在における、当社グループの将来に関する見通し及び計画等に基づいた将来予測です。これらの将来予測には、リスクや不確定な要素などの要因が含まれており、実際の成果や業績などは記載の見通しと異なる可能性があります。
(1) 企業理念及び目指す企業像
当社は、変化し続ける時代において、世の中から広く求められ社会の基盤となるような事業の創造を目指しております。
Mission 存在意義 社会と人々に豊かさを
Vision 将来の姿 No.1/Only1を創造し続ける事業グループ
Value 行動指針 時代のニーズを掴み、一歩先を考える
生活を豊かにする商品/サービスを追求する
成長性と革新性を尊重し、チャレンジを応援する
当社グループは、コア事業を「ものづくり(部品・材料)」「ものづくり(音響機器関連)」と定め、「No.1/Only1を創造し続ける事業グループ」という事業ビジョンに基づき、収益力を高め成長分野へ適切な投資を行い、以下の基本戦略に沿って中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。
[グループ経営の基本戦略]
・コア事業である「ものづくり」事業のシェアと収益力の向上
・非連続的成長に向けたデジタル技術の事業領域横断的な活用
・成長投資財務体質強化を両立させるリスクコントロール
[ものづくり分野の事業における課題]
・素材開発技術を用いたペン先部材・コスメ部材・金属部材等の収益力拡大の継続
・音楽・エンターテイメント向け音響機器事業の収益力拡大
・研究開発やアライアンスによる保有技術の新分野への展開
[中期経営計画 FY25の重要施策と進捗]
① グループ事業の既存分野の強化及び成長分野への投資育成により、成長性と革新性の高い事業グループへ
2023年12月期に「中期経営計画 FY25」における数値目標を達成したことにより、2024年2月に目標を上方修正いたしました。それに伴い、各事業子会社グループの中期重要施策の目標数値を更新しております(更新箇所は太字で示しております)。
各社「中期経営計画 FY25」進捗状況は、以下のとおりです。
(テイボー)
(AlphaTheta)
(JLab)
② ROE8%に向けた財務戦略の推進
ROE8%以上に向けて、キャッシュ・フロー創出力を高めます。
成長投資はしながらも、財務健全性を維持し、継続的かつ安定的な株主還元を実施いたします。
ROE8%の達成には、総資産回転率が低いため、資本効率の引き上げが課題であります。
余剰資金を成長投資に振り向け、既存事業の拡大や新領域の発展により、資本効率を引き上げることにより、ROEを改善してまいります。
「中期経営計画 FY25」の数値目標の上方修正を受け、キャピタルアロケーションについて、見直しを行いました。
その概要は以下のとおりです。
営業CFと資産売却によるキャッシュインにより、成長投資には740億円振り向けることができます。
FY25までに見込める成長投資に加えて、10年後を見据えた中長期での既存事業の強化、新規事業やM&A、サステナビリティ推進などの成長投資に振り向けてまいります。
③ サステナビリティやガバナンス経営の推進
2023年度は、各目標達成に向けた活動を推進し、統合報告書の発行をいたしました。2024年度についても、課題に対する対応計画を適宜見直し、持続可能な社会の実現に向けた活動を積極的に展開してまいります。
世界水準の技術や品質を持ったものづくり企業をグループの主軸に、No.1/Only1を創造し続ける集団として事業活動を通じて、より良い社会へ貢献します。詳細は、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しております。
(2) 経営環境
当社グループはポートフォリオ経営を実施しているため、経営環境は事業セグメントにより異なります。セグメントごとの経営環境は以下のとおりです。
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻の長期化に加え、新たに勃発した中東での紛争等により、原油をはじめとする資源価格高騰の長期化、米国での金融引き締めの長期化など、先行き不透明な状況が継続しております。
このような状況下、ものづくり(部品・材料)分野においては、ペン先は、筆記、コスメともに上半期は停滞が続くも、下半期から回復し、通期では成長する見込みです。MIMは、上半期は前年同期並みの水準で推移するも、下半期にかけて徐々に新規開拓が進み通期で成長すると見込んでおります。
ものづくり(音響機器関連)分野においては、AlphaThetaについては、欧米においては、通年で堅調な需要が続き、停滞が続いていた中国については、上半期で前年同期並みまで回復し、通期では成長を見込んでおります。一方、商品開発や人員拡充の成長投資を実行予定であり、一時的に収益の伸びは鈍化すると見ております。またJLabについては、米国において、引き続き市場の落ち込みが続くものの、シェア拡大により成長する見込みであります。米国以外へのアプローチについては、新たな地域及び国への展開が進み、継続して成長できる見通しであります。
(3) 経営目標
「中期経営計画 FY25」の数値目標を2023年度に達成したことを受け、数値目標について上方修正いたしました。
(事業EBITDA=営業利益±その他の収益・費用+減価償却費及び償却費(使用権資産の減価償却費を除く))
売上収益、事業EBITDA、営業利益の推移は以下のとおりです。
主要3社グループ事業への投資を通じて、収益性を向上させながら成長を実現してまいります。
配当の状況は以下のとおりです。
2023年12月期の配当は115円
2024年12月期の配当予想は116円
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年3月22日)現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、足元十数年で迎えた急速かつ急激な社会の変化に実直に向き合い、世の中から広く求められ、社会の基盤となるような事業の創出に挑戦してまいりました。今後、ますます深刻化していくと考えられる社会課題や地球環境課題に対応し、当社グループのミッションである「社会と人々に豊かさを」を提供し続けていくうえで必要と考える課題を4つのマテリアリティとして設定し、経営と統合したサステナビリティの推進を図ってまいります。
グループの経営資源を活かし、マテリアリティを基礎とした環境・社会・ガバナンス上の課題を解決することで、顧客価値と社会価値の創出に取り組み、持続的成長を目指してまいります。
(1)当社グループのサステナビリティの考え方及び取組
① ガバナンス
当社グループでは、代表取締役CEOを委員長、当社の取締役CFO・執行役員及びグループ会社の社長を委員として構成する「サステナビリティ委員会」を設置しております。詳細は、「
(サステナビリティ推進体制)
|
|
|
② 戦略
当社グループの存在意義は、事業を通じて「社会と人々に豊かさを」を提供し続けることです。これを実現していくために、当社グループが注力すべきサステナビリティ重要課題(マテリアリティ)を特定し、中長期戦略の中に組み込んで具体的な取り組みと目標を設定し、事業を通じて実行しております。
「中期経営計画 FY25」では、事業及びサステナビリティを推進し、社会価値と経済価値の両方を創出することで企業価値の最大化を目指しております。
企業理念の実現に向けて、サステナビリティ経営に関わる重要課題に対して個別に策定した各種方針は以下のとおりです。
・コーポレートガバナンス基本方針
・コンプライアンス基本方針
・品質管理方針
・調達方針
・人権方針
・人材育成方針
・健康経営方針
・情報セキュリティ方針
・腐敗・贈収賄防止方針 ※
・責任ある鉱物調達方針 ※
詳細は、
(https://www.noritsu.co.jp/sustainability/)
※2024年3月27日公開予定
③ リスク管理
当社グループは、サステナビリティに関する課題を把握し評価するため、リスクアセスメントを行っております。特定したリスクはリスク管理統括委員会と相互補完することにより、サステナビリティ推進体制のもと管理・運営しております。グループ会社のリスク管理委員会にて議論された内容は、当社リスク管理統括委員会、コンプライアンス委員会及びサステナビリティ推進委員会にテーマに沿って共有され、案件によって、当社取締役会に報告され、議論されます。企業戦略に影響すると考えられる法令・規制等の変更や世の中の動向等の外部要因の共有や、グループ各社のリスク対応施策の進捗状況などの内部要因を踏まえて、戦略・施策等の検討を行っていきます。
④ 指標及び目標
当社グループは特定した重要施策に取り組むために、年度毎に目標を定めた「マテリアリティ対応計画」を策定し、グループ全体で取り組みを推進しております。対応計画はグループのサステナビリティ推進体制のもとで進捗管理を行っております。
NK:当社、TB:テイボー、AT:AlphaTheta、JL:JLab
(2)気候変動への対応
世界各地で異常気象による大規模な自然災害が多発する中、気候変動は当社グループが取り組むべき重要課題であると捉え、2022年10月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言への賛同を表明以降、株主・投資家などのステークホルダーと当社の気候変動取り組みについてのエンゲージメントを強化するため、TCFDのフレームワークに基づいた情報開示を進めています。TCFD提言は、すべての企業に対し、「①ガバナンス」「②戦略」「③リスク管理」「④指標と目標」の4つの項目に基づいて開示することを推奨しています。当社グループは、TCFD提言の4つの開示項目に沿って、情報開示を進め、持続可能な社会の実現と当社グループの持続的な成長を目指してまいります。
① ガバナンス
気候変動対応を含むサステナビリティに関する重要案件は、当社代表取締役CEOを委員長とするサステナビリティ委員会において年1回以上審議し、取締役会に年1回以上報告や提言を行うことにより、取締役会による適切な監督体制を整えています。取締役会では報告された気候変動による重要なリスク・機会について、審議・決定を行い、対応の指示及びその進捗に対する監督を行います。なお、サステナビリティ委員会の審議に先立ち、当社執行役員が管掌するサステナビリティ推進会議において十分に議論するとともに、事業を通じた気候変動に関わる取り組みの実績や温室効果ガス排出量削減の進捗状況を確認します。
② 戦略
シナリオ分析の前提
気候変動が事業に与えるリスク・機会に対しグループのレジリエンス性の強化や新たな戦略の検討を目的として、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)やIEA(国際エネルギー機関)が公表する「2℃未満シナリオ(一部1.5℃)」と「4℃シナリオ」を用い、シナリオ分析を行いました。また、定量分析では2030年に想定される財務影響を試算しました。2℃未満シナリオでは、脱炭素社会への移行に向けた政策や規制が強化されることにより、対応コストが増加、発生することが想定されます(移行リスク)。4℃シナリオでは、異常気象の激甚化や平均気温の上昇等により対応コストが増加、発生することが想定されます(物理リスク)。
(リスク・機会と対応策)
③ リスク管理
気候変動によるリスク・機会については、サステナビリティ委員会において評価・識別し、グループにとって重要なリスク・機会を特定します。それらに対する取り組み方針や対応策について策定し、取締役会に報告や提言を行います。取締役会ではサステナビリティ委員会からの報告等により、リスク管理の有効性や推進状況の確認・監督を行います。また、グループ全体のリスクを統合的に管理するリスク管理統括委員会においても、当リスクを共有し、必要に応じてさらなる対応策を検討していきます。
④ 指標及び目標
気候変動が及ぼす当社グループ事業への影響を評価・管理するために、温室効果ガス排出量(Scope1・2)を指標として、2030年度までに37%削減(2019年度比)することを目標に設定しました。
また、今後Scope3の算定も行い、サプライチェーン全体での温室効果ガス排出量削減に取り組んでいく予定です。
(注)1 Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)
2 Scope2:他社から共有された電気、熱・上記の使用に伴う間接排出地
3 Scope3:Scope1,2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)
4 排出係数見直し及びガソリン使用量を新たに算定対象としたことにより、過年度の排出量を修正
5 海外拠点の2023年度排出係数は未公表のため2022年度排出係数を使用
(2023年度の取り組み)
当社グループは、温室効果ガスの排出量(Scope1・2)を2030年までに2019年比で37%削減するという長期目標を達成するため、2023年度も事業と生産活動における環境負荷の低減に努めてまいりました。テイボーは前期に引き続き、生産性の向上を通じて省資源・省エネルギーを実現する時代の生産体制構築に注力しました。2023年9月には、都田技術センターとMIM開発センターにソーラーパネルを設置し太陽光発電を開始いたしました。AlphaThetaは本社を置く横浜アイマークプレイスが2018年より使用電力を100%グリーン電力に転換しておりますが、2030年目標の達成に向けてモニタリングを継続してまいります。JLabもスマートライト等省エネ機器の導入を通じて、CO2の継続的な排出削減に注力しました。
(3)人的資本に関する取り組み
当社グループは、No.1/Only1を創造し続けることを目指してビジネスを展開しております。持続的な成長と企業価値の拡大を実現するためには、グループすべての従業員が広い視野を持ち、主体的かつ未来志向の姿勢・発想を持って邁進することが重要だと考えます。従業員の多様性を尊重しつつ、公正な評価と処遇を行うことでモチベーションの向上を図るとともに、働きやすい職場環境の構築を通じて活力ある組織風土の醸成に努めております。
① ガバナンス
当社グルプの人的資本マネジメントは、持株会社とテイボー、AlphaTheta、JLabの中核事業会社がそれぞれの役割と機能を果たし、グループ全体の人的資本の拡充を目指しております。持株会社である当社は、グループ共通の人材育成計画と人権やコンプライアンスの取り組み方針を策定し、グループ各社への周知を図っております。計画及び方針の進捗や課題については、当社代表取締役CEOを委員長とするサステナビリティ委員会において年1回以上審議し、取締役会に年1回以上報告や提言を行うことにより、取締役会による適切な監督体制を整えています。取締役会では報告された人的資本に関する管理指標のモニタリング結果等から、重要なリスクや機会について、審議・決定を行い、対応の指示及びその進捗に対する監督を行います。なお、サステナビリティ委員会の審議に先立ち、当社執行役員管掌のサステナビリティ推進会議において管理指標のモニタリング結果や対応施策について議論しております。また、グループ全体のリスクを統合的に管理するリスク管理統括委員会においても、リスクを共有し、必要に応じてさらなる対応策を検討していきます。
② 戦略
2021年10月にサステナビリティに関する4つのマテリアリティ(重要課題)を特定しました。その一つが、人的資本に関する「一人ひとりの多様な価値観を尊重し、すべての人材が未来志向で活躍できる職場基盤の構築」です。「安全で健康な職場環境の整備」「グループをけん引する未来志向で優秀な人材を育てるための環境整備」「多様な価値観の尊重と柔軟な働き方の推進」をマテリアリティ対応計画の具体的な取り組みとし、KPIを設定して進捗をモニタリングし、課題認識・解決にあたります。
③ リスク
キャリアに関する価値観が多様化し、これまで以上に人材の流動化が進んでいます。また、先端技術を保有する人材など、希少なスキルや経験を持つ人材の獲得競争も激化しています。このような環境下において、人材から選ばれる人的資本経営の実行がより重要となってくると考えます。加えて、近年は社会から人的資本の情報開示が求められるようになってまいりました。また、法令遵守の観点からも従業員一人ひとりについても責任のある行動が求められます。これらのリスクに対応するため、マテリアリティ対応計画の中で3つの具体的な取り組みの推進及びグループ行動規範に基づく倫理的な企業文化の醸成を通じて、リスクの適切な管理と低減に努めております。グループ各社のリスク管理委員会及びリスク管理統括委員会にて「人材確保」「人材育成」「コンプライアンス」等の面からモニタリング、課題認識・対応を行い、サステナビリティ委員会やコンプライアンス委員会への情報連携、取締役会での議論を通じ、リスクヘッジに努めております。
④ 指標と目標
人的資本に関するマテリアリティ対応計画の中の3つの具体的な取り組みについて、それぞれ以下の目標・指標を設定して推進しております。
(安全で健康な職場環境の整備)
2022年に策定したグループ方針のもと、2023年は、健康診断受診率の向上、食生活の改善、運動機会の拡大等、幅広い健康経営指標を設定し、指標の達成に向けて各社積極的な活動を行いました。2024年度については、グループ各社がそれぞれに把握している健康経営指標の課題解決のための具体施策を実行してまいります。また、自社製造拠点をもつテイボーについては、労働安全衛生指標のモニタリングも行ってまいります。
(グループをけん引する未来志向で優秀な人材を育てるための環境整備)
2023年は、人材育成に関わる定量目標として、グループ全従業員の1人あたり年間研修時間を平均22.4時間と定めました。2022年の実績はグループ平均12.4時間であり、大幅な向上に向けて各社ごとに必要な研修メニューの充実や、支援体制の整備を進めてまいりました。その結果、2023年度のグループ全体の平均は1人あたり18時間、80%の達成率となりました。2024年度は、1人あたり教育時間という定量目標に加え、グループ各社に必要とされる人材育成のために質的アプローチも検討してまいります。
(多様な価値観の尊重と柔軟な働き方の推進)
2022年に多様な働き方モニタリンググループ共通指標を設定いたしました。
具体的な項目と2023年度の実績は以下のとおりです。2024年度も、これらの指標のモニタリングを継続し、従業員一人ひとりが責任をもって自律的に業務に取り組むことができる開かれた職場環境を目指してまいります。また、人権研修を通じて多様な価値観が尊重される企業文化の醸成を進めてまいります。
有給休暇取得率 |
52.8% |
テレワーク実施率 |
88.8% |
育児休業取得率 |
37.5%/100%/62.5%(男性/女性/全従業員) |
育休平均取得日数 |
28.8日/175.1日/122.4日(男性/女性/全従業員) |
介護休業取得率 |
0.2% |
障がい者雇用率 |
テイボー 2.3% AlphaTheta 1.85% |
定年再雇用率 |
100% |
(注) 障がい者雇用率は内国法人で「障害者の雇用の促進に関する法律」の雇用義務のある会社を対象とし、算定は同法に基づき算出したものであります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、特段記載のないものは有価証券報告書提出日(2024年3月22日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 当社グループの事業について
当社グループは、「ものづくり」分野において、事業機会創出・拡大と収益力の強化に取り組んでいます。事業計画策定及び投資にあたっては慎重かつ精緻に調査を行っておりますが、予期せぬ事態により計画どおり進捗しなかった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 為替の影響について(発生可能性:大 影響度:中)
当社グループの連結売上収益に占める海外売上収益の割合は、2022年12月期88.6%、2023年12月期90.0%となっております。そのため、為替の変動が当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクについては非常に多種多様なファンダメンタルズに影響を受けるため、顕在化する時期について予想が困難であります。現時点では主として本邦通貨建を中心に取引を行うこと及び債権債務の通貨の組み合わせによるナチュラルヘッジを用い、当該リスクについて対策しております。リスク分析については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 5.金融商品 (2) 財務上のリスク管理方針 ① 為替リスク管理」をご参照ください。
(3) カントリーリスクについて(発生可能性:中 影響度:中)
当社グループの事業は、世界に販路を拡大しております。当社グループが事業活動をしている様々な市場における景気後退やそれに伴う需要の縮小、あるいは海外各国における予期せぬ事故、法規制等の変更により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。なお、海外売上規模については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.事業セグメント (5) 地域ごとの情報」をご参照ください。各事業体が日常的に取引先とコミュニケーションを行うことにより、業務フローを通じて当該リスク管理を行っております。
(4) 取引先の与信リスクについて(発生可能性:小 影響度:中)
当社グループは、新たな成長分野における事業機会を模索する中、各業域における新たな取引先の開拓を積極的に行っております。すべてのセグメントにおいて、取引先の個別与信の判断及び各業域の取引慣行等の事業ノウハウを習得しておりますが、景気後退等による不測の取引先の倒産等が発生することで、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクが顕在化する時期については個別事情によるところがあり予想が困難でありますが、すべての営業債権についてグループ方針に則り予想信用損失を引き当てております。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 5.金融商品 (2) 財務上のリスク管理方針 ④ 信用リスク管理」をご参照ください。
(5) 生産活動について(発生可能性:中 影響度:大)
当社グループで生産している製品の多くは、国内の工場及びアジア拠点の委託先において生産を行っております。そのため、天災や人災等により工場設備に著しい被害が生じた場合、又は、甚大かつ広域的に発生した大震災の影響で電力需給問題等が生じた場合、生産活動に支障を来す、又は、生産活動ができなくなる可能性があることを認識しております。これらの工場における生産活動の停滞や本社工場の復旧費用等は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクについては発生の時期の予想は困難でありますが、災害時には各社の事業継続計画書に基づき適切な対応が行えるよう体制を整備しております。設備への影響の程度については、「第3 設備の状況」をご参照ください。
(6) サイバーリスクについて(発生可能性:小 影響度:大)
当社グループは、様々な事業活動を通じて、顧客や取引先の個人情報あるいは機密情報を入手することがあります。当該リスクについては発生時期の予想は困難でありますが、当社グループでは情報セキュリティポリシーを制定し、安全性及び信頼性に万全の対策を講じるとともに、特に関連性の高い傘下のグループ会社では「プライバシーマーク」を取得する等個人情報保護に努めております。しかし、予測しない不正アクセス等により、顧客情報や当社グループの機密情報が漏洩し、また、その漏洩した情報が悪用された場合、顧客の経済的・精神的損害に対する損害賠償等が発生する可能性があります。さらに顧客情報の漏洩等が当社グループの信用低下や企業イメージの悪化につながることで、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 特許及びその他の知的財産について(発生可能性:小 影響度:大)
当社グループが研究開発及び生産活動を行う中で様々な知的財産権にかかわる技術を使用しており、それらの知的財産権は当社グループが所有しているもの、あるいは適法に使用許諾を受けたもの等であると認識しておりますが、当社グループの認識の範囲外で第三者から知的財産権を侵害したと主張され、係争等が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 企業買収について(発生可能性:中 影響度:中)
当社グループは、成長戦略実現のため、今後も積極的に企業買収を実施する予定です。企業買収にあたり、対象となる企業の資産内容や事業状況についてデューディリジェンス(適正価値精査)を実施し、事前にリスクを把握しております。しかしながら、事業環境や競合状況の変化等に伴って当社グループが期待する利益成長やシナジー効果が目論見どおりに実現できない可能性があり、また今後予期しない債務又は追加投入資金等が発生する可能性があり、これらが顕在化した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクにつきましては発生時期の予想は困難でありますが、定期的なモニタリングを通じ、最重要会議体にて適宜報告・議論を行う体制をとり、リスクに備えております。また、発生の兆候が認識された際は、適切な測定手続きを通じて、適正に財務諸表に反映する体制をとっております。業務執行と監督の体制は「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」を、リスクが顕在化したときの影響額については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 10.のれん及び無形資産」をご参照ください。
(9) のれんについて(発生可能性:中 影響度:中)
当社グループは、企業買収に伴い発生した相当額ののれんを計上しております。当社グループは、当該のれんにつきまして、それぞれの事業価値及び事業統合による将来のシナジー効果が発揮された結果得られる将来の収益力を適切に反映したものと考えておりますが、事業環境や競合状況の変化等により期待する成果が得られない場合、減損損失が発生し、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。リスクの発生時期、対策、規模等については上記「(8) 企業買収について」をご参照ください。
(10) サプライチェーンに関するリスク(発生可能性:中 影響度:大)
当社グループは生産に使用する様々な原材料・部品等を国内外の調達先から購入しております。当社が調達先から購入する原材料や仕入商品の価格やリードタイムは、世界的な需給動向や輸送環境の動向による影響を受けており、これらの要因が長期にわたる混乱に及んだ場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクの発生時期を見積ることは困難ですが、当社グループは、代替部品の検討、製品設計や調達先の多角化、また製品への適正な価格転嫁などにより、需給動向や輸送環境の動向の変動リスクの低減に取り組んでおります。また、サステナビリティの観点に対する社会的要請により、サプライチェーン上の人権状況のチェックや、環境への配慮について、より高度な対応が求められており、調達先に対応の不備があれば、原材料や仕入商品の調達停止による当社グループの財政状態及び経営成績への影響だけでなく、社会的評価が悪影響を受ける可能性もあります。当該不備によるリスクが顕在化する時期を見積ることは困難ですが、当社グループはサステナビリティの取り組みの中で、サプライチェーン管理体制の構築を通じリスクの低減に向けた活動を推進しております。
(11) 気候変動に関するリスク
当社グループは気候変動への対策を重要課題(マテリアリティ)の1つとして掲げ、2022年10月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明しました。TCFD提言に沿って、事業に与えるリスク・機会を把握し経営戦略へ反映させるとともに、情報開示を進め、持続可能な社会の実現と当社グループの持続的な成長を目指してまいります。気候変動が事業に与えるリスク・機会に対し当社グループのレジリエンス性の強化や新たな戦略の検討を目的として、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)やIEA(国際エネルギー機関)が公表する「2℃未満シナリオ(一部1.5℃)」と「4℃シナリオ」を用い、シナリオ分析を行いました。また、定量分析では2030年に想定される財務影響を試算しました。
2℃未満シナリオでは、脱炭素社会への移行に向けた政策や規制が強化されることにより、対応コストが増加、発生することが想定されます。
4℃シナリオでは、異常気象の激甚化や平均気温の上昇等により対応コストが増加、発生することが想定されます。
詳細は、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載のとおりであります。
当社グループは、資本市場における財務諸表の国際的な比較可能性の向上及びグループ内での会計処理の統一等を目的とし、2016年3月期から従来の日本基準に替えて国際会計基準(IFRS)を任意適用し、連結財務諸表を作成し開示しております。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
(単位:百万円) |
|
前連結会計年度 (2022年12月31日) |
|
当連結会計年度 (2023年12月31日) |
|
対前連結会計年度 増減率(%) |
資産合計 |
307,257 |
|
279,471 |
|
△9.0 |
流動資産 |
128,539 |
|
114,967 |
|
△10.6 |
非流動資産 |
178,717 |
|
164,504 |
|
△8.0 |
負債合計 |
114,362 |
|
73,626 |
|
△35.6 |
流動負債 |
67,109 |
|
30,752 |
|
△54.2 |
非流動負債 |
47,253 |
|
42,874 |
|
△9.3 |
資本合計 |
192,895 |
|
205,844 |
|
6.7 |
親会社の所有者に帰属する持分 |
192,544 |
|
205,374 |
|
6.7 |
非支配持分 |
350 |
|
469 |
|
33.8 |
(資産、負債及び資本の状況)
当連結会計年度末の資産合計は2,794億71百万円となり、前連結会計年度末と比較して277億86百万円減少いたしました。科目別の詳細は以下のとおりであります。
流動資産は、135億72百万円の減少となりました。これは主に未収還付法人税等が118億37百万円増加し、現金及び現金同等物が262億46百万円減少したことによるものであります。
非流動資産は、142億13百万円の減少となりました。これは主にその他の金融資産が142億68百万円減少したことによるものであります。
負債合計は407億35百万円の減少となりました。これは主に借入金(流動・非流動)が90億37百万円、未払法人所得税が348億82百万円減少したことによるものであります。
資本合計は、129億49百万円の増加となりました。これは主に親会社の所有者に帰属する当期利益101億99百万円、配当金の支払55億27百万円等に伴って利益剰余金が42億71百万円、その他の資本の構成要素が115億77百万円増加したことによるものであります。
資本の財源及び資金の流動性に関しては以下のとおりであります。
2022年1月より開始した「中期経営計画 FY25」において、当社グループでは純有利子負債EBITDA倍率が3倍を超過しない範囲を目安として調達をコントロールしております。
2024年12月期に計画している主な設備投資はものづくり(部品・材料)セグメントにおける生産設備とものづくり(音響機器関連)セグメントにおける基幹系システムのリプレイス等であります。その他、提出日現在、大規模な投資計画については予定しておりません。
なお、予期せぬリスクが顕在化した場合、短期的にも一定の影響を受ける可能性があるため、その対策として、当社グループは手元現預金を一定の水準で保っており、親子間の融資を機動的に実施できる体制にしております。さらに当社及び一部の連結子会社は取引金融機関との間で短期借入枠を設定し、外部からの資金調達も可能な状態としております。当連結会計年度末の現金及び現金同等物のアロケーション及び借入枠の未使用残高は以下のとおりであります。
(国内会社保有分) 62,891百万円
(海外子会社保有分) 7,298
(借入枠の未使用残高) 23,283
当連結会計年度における事業の状況は、以下のとおりであります。
(単位:百万円) |
|
前連結会計年度 (自 2022年1月1日 至 2022年12月31日) |
|
当連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) |
|
前年同期比 |
|
売上収益 |
73,515 |
|
91,552 |
|
18,036 |
(24.5%) |
事業EBITDA(注) |
11,367 |
|
17,875 |
|
6,507 |
(57.2%) |
営業利益 |
1,262 |
|
14,462 |
|
13,199 |
(-%) |
税引前当期利益 |
3,944 |
|
13,747 |
|
9,802 |
(248.5%) |
親会社の所有者に帰属する当期利益 |
101,554 |
|
10,199 |
|
△91,355 |
(△90.0%) |
基本的1株当たり当期利益(円) |
2,848.51 |
|
285.88 |
|
△2,562.63 |
(△90.0%) |
(注) 事業EBITDA=営業利益±その他の収益・費用+減価償却費及び償却費(使用権資産の減価償却費を除く)
(売上収益)
「音響機器関連」事業においては、前連結会計年度は部品の調達難や物流リードタイムの長期化など需要に応じるのが難しい環境でありましたが、それらが相当程度改善し、また当連結会計年度に発売した新製品の高評価も寄与し、引き続き強い需要に支えられました。加えて、為替レートの水準も奏功し、総じて好調に推移いたしました。「部品・材料」事業においては、国内外ともに市場自体の落ち込みや顧客の生産調整等により販売が伸び悩み、減収となりましたが、「音響機器関連」事業のけん引により、売上収益は915億52百万円(前年同期比24.5%増)となりました。
(事業EBITDA)
上記のとおり売上収益は前年同期比24.5%増と好調に推移しました。原材料費等が前年同期に比較し増加傾向にあり、また、研究開発費や設備投資等の先行投資は計画通りに行っておりますが、主として「音響機器関連」事業の売上収益の伸長やコスト構造の見直しの結果収益性が向上し、また「部品・材料」事業は減収であったものの原価低減等の適正なコスト管理活動の結果マージンの悪化は一定程度にとどまり、事業EBITDAは178億75百万円(前年同期比57.2%増)となりました。
(営業利益)
上述の事業EBITDAの増加に加え、為替レートが有利に推移したこと、また、前連結会計年度にPEAG, LLC dba JLab Audioののれんの減損損失による一過性の費用が計上されていたこと等により、営業利益は144億62百万円(前年同期は12億62百万円)となりました。
(親会社の所有者に帰属する当期利益)
前連結会計年度においては、株式会社JMDCの株式の一部を譲渡したことにより、その売却益や再評価に関連する収益と関連する税金費用を非継続事業からの当期利益に987億52百万円計上しておりました。その一過性の要因以外では、営業利益の増加と昨年実施した借入金の借り換えの効果により支払利息が減少したこと等による増益に、金融債権の為替評価益の減少が加味され、結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は101億99百万円(前年同期比90.0%減)となりました。
セグメント別の経営成績は、以下のとおりであります。
各セグメント別の売上収益は外部顧客への売上収益を記載しており、また、セグメント利益を表す事業EBITDAは営業利益±その他の収益・費用+減価償却費及び償却費(使用権資産の減価償却費を除く)の計算式で算出しております。
(単位:百万円) |
|
前連結会計年度 (自 2022年1月1日 至 2022年12月31日) |
|
当連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) |
|
前年同期比 |
|||||||||||||
売上収益 |
|
事業EBITDA |
|
事業EBITDA マージン (%) |
|
売上収益 |
|
事業EBITDA |
|
事業EBITDA マージン (%) |
|
売上収益 |
|
事業EBITDA |
|
事業EBITDA マージン (pt) |
||
ものづくり |
部品・材料 |
12,717 |
|
3,718 |
|
29.2 |
|
11,781 |
|
3,198 |
|
27.2 |
|
△935 |
|
△520 |
|
△2.1 |
|
音響機器関連 |
59,516 |
|
8,234 |
|
13.8 |
|
78,270 |
|
15,814 |
|
20.2 |
|
18,754 |
|
7,580 |
|
6.4 |
|
合計 |
72,233 |
|
11,953 |
|
16.5 |
|
90,052 |
|
19,013 |
|
21.1 |
|
17,818 |
|
7,060 |
|
4.6 |
その他 |
|
1,282 |
|
272 |
|
21.3 |
|
1,500 |
|
178 |
|
11.9 |
|
218 |
|
△94 |
|
△9.4 |
全社費用 |
|
- |
|
△858 |
|
- |
|
- |
|
△1,316 |
|
- |
|
- |
|
△458 |
|
- |
a.ものづくり(部品・材料)
部品・材料事業の筆記、コスメカテゴリにおいては、国内、欧米を中心とした需要の停滞、MIMカテゴリにおいては、顧客の生産調整による影響を受けました。また、原価低減活動は継続しておりますが、材料や燃料の値上がりを受け一部価格転嫁を試みているものの、効果の顕在化は限定的なものにとどまり、売上収益は117億81百万円(前年同期比7.4%減)、事業EBITDAは31億98百万円(前年同期比14.0%減)と前年同期と比べ5億20百万円の減益となりました。
b.ものづくり(音響機器関連)
音響機器関連事業においては、前連結会計年度における物流リードタイムの長期化や半導体不足の課題が相当程度解消したことと、変わらない強い需要に支えられ増収となりました。新規事業やインフラ整備への投資を計画通り遂行しておりますが、コスト構造の見直し及びトップラインの伸長の結果収益性が向上し、売上収益は782億70百万円(前年同期比31.5%増)、事業EBITDAは158億14百万円(前年同期比92.1%増)と前年同期と比べ75億80百万円の増益となりました。
c.その他
その他の事業は、売上収益は15億円(前年同期比17.0%増)、事業EBITDAは1億78百万円(前年同期比34.7%減)と前年同期と比べ94百万円の減益となりました。
② キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円) |
|
前連結会計年度 (自 2022年1月1日 至 2022年12月31日) |
|
当連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) |
営業活動によるキャッシュ・フロー |
11,738 |
|
△31,588 |
投資活動によるキャッシュ・フロー |
93,391 |
|
23,166 |
財務活動によるキャッシュ・フロー |
△47,586 |
|
△18,892 |
現金及び現金同等物の為替変動による影響額 |
752 |
|
1,068 |
現金及び現金同等物の増減額(△は減少) |
58,295 |
|
△26,246 |
現金及び現金同等物の期末残高 |
96,436 |
|
70,190 |
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ262億46百万円減少し、701億90百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは315億88百万円の資金の減少となりました。
表示科目単位での資金の増加の主な要因は、税引前当期利益137億47百万円、減価償却費及び償却費52億28百万円となっております。資金の減少の主な要因は、法人所得税費用の支払額536億64百万円となっております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは231億66百万円の資金の増加となりました。
表示科目単位での資金の増加の主な要因は、その他の金融資産の売却及び償還による収入272億92百万円となっております。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは188億92百万円の資金の減少となりました。
表示科目単位での資金の減少の主な要因は、短期借入金の返済による支出48億27百万円、長期借入金の返済による支出45億80百万円、配当金の支払額55億27百万円、非支配持分からの子会社新株予約権の取得による支出31億53百万円となっております。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(単位:百万円) |
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) |
前年同期比(%) |
ものづくり(部品・材料) |
11,665 |
△5.0 |
合計 |
11,665 |
△5.0 |
(注)1 金額は標準的販売価格にて算出しております。
2 上記には非継続事業からの実績は含んでおりません。
b.仕入実績
ものづくり(音響機器関連)セグメントにおいては、ファブレス経営を実施しております。
製造委託の仕入実績は、次のとおりであります。
(単位:百万円) |
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) |
前年同期比(%) |
ものづくり(音響機器関連) |
35,072 |
15.5 |
合計 |
35,072 |
15.5 |
c.受注実績
当社グループは、受注生産方式の該当事項はありません。
d.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(単位:百万円) |
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) |
前年同期比(%) |
ものづくり(部品・材料) |
11,781 |
△7.4 |
ものづくり(音響機器関連) |
78,270 |
31.5 |
その他 |
1,500 |
17.0 |
合計 |
91,552 |
24.5 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 総販売実績に対する割合が10%を超える相手先はありません。
3 上記には非継続事業からの実績は含んでおりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは、「No.1/Only1を創造し続ける事業グループ」を目指し、事業活動を行っております。当連結会計年度においても、コア事業である「ものづくり」事業の収益力・組織力の強化に集中的に取り組んでまいりました。具体的には、「部品・材料」セグメントを営むテイボー、「音響機器関連」セグメントを営むAlphaTheta及びJLabそれぞれの基盤事業の収益力・キャッシュ創出力の向上を図ってまいりました。当社グループは収益力・成長分野への投資実効性の指標として、事業EBITDAを重要な管理指標として結果を分析、評価しております。その詳細は「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。当連結会計年度において、「中期経営計画 FY25」の数値目標を2年繰り上げて達成したため、目標を上方修正いたしました。FY25に事業EBITDA200億円を目標に各重要施策を推進してまいります。当連結会計年度の目標に対する進捗状況は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 経営目標」をご参照ください。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、当連結会計年度において一部残存していた株式会社JMDCの株式をさらに一部譲渡し、流動化いたしました。詳細は「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。当該売却によって得た資金を含め、中長期のキャピタルアロケーションと成長投資の内訳を更新いたしました。詳細は「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1) 企業理念及び目指すべき企業像 [中期経営計画 FY25の重要施策と進捗] ② ROE8%に向けた財務戦略の推進」に記載のとおりであります。
資金の流動性については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
引き続き、基盤事業の収益力を高め、成長分野に適切に投資し、中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要性がある会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針」及び「2.作成の基礎 (3) 重要な会計上の見積り及び判断の利用」に記載しております。
(株式取得に関する契約)
当社及び当社の連結子会社であるAlphaTheta株式会社(以下「ATC」という。)は、2023年7月11日開催の取締役会において、ATCがSerato Audio Research Limitedの株式を取得することを決議し、同日株式譲渡契約を締結いたしました。
当社グループの研究開発活動につきましては、多様化するお客様のニーズに対応し、独自のノウハウとアイデアを盛り込んだ魅力ある商品開発を目的として、常に未来を見据え、果敢にチャレンジし、進化しつづける研究開発活動に注力しております。当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額は
なお、研究開発費の総額に受託研究等の金額2百万円を含めております。