第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、「持続的な企業価値の向上」を重要な経営課題の1つとして位置付けております。

「企業価値の向上」は、株主及び投資家の皆様による当社への期待収益を反映した資本コストを上回るROEを実現することであるという考えのもと、ROEを「企業価値の向上」を示す目標指標とし、資本効率を重視した経営を実践してまいります。

 

(2)目標とする経営指標

当社グループは、「企業価値の向上」を示す目標指標をROE20%以上にすると共に、財務の健全性を確保しつつ必要な成長投資を行うための適切な負債水準を維持するためデットエクイティレシオ1.0倍を上限とする方針とし、資本効率を重視した経営を実践すると共に、財務の健全性を確保しながら収益性、成長性のバランスを重視し、企業価値の最大化を図ってまいります。

 

(3)経営環境及び会社の対処すべき課題

<経営環境>

当社グループが主として事業を展開している人材サービス業界を取り巻く環境においては、新規求人倍率及び有効求人倍率が横ばい圏内でありながらも高水準で推移していること、就業率の改善が続いていること等、雇用情勢は改善の動きが見られます。先行きに関しましては、改善の動きが続くことが期待されます

当社連結の売上高及び営業利益は、当社グループの主力セグメントである短期業務支援事業の売上高及び営業利益の構成比率が高く、約9割を占めております。短期業務支援事業セグメントでは、紹介、BPO、派遣、請負の4つのサービスを展開し、顧客企業の業務量の増減に合わせタイムリーに短期系人材サービスを提供しておりますが、昨今の日本の労働力人口の減少を背景に、短期業務支援事業は、従来の顧客企業における繁忙期と閑散期の差異に対し必要な人的リソースを提供する領域から、顧客企業が最低限必要な人員として直接雇用するパート・アルバイトの採用領域に入り込めていると認識しております。今後は、一段階変化させた短期人材サービスの提供により、日本の人手不足の解消に貢献することを目指してまいります。

 

<会社の対処すべき課題>

「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(1)及び(2)」に記載の経営方針及び経営指標を実現していく上で、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下のとおりです。

 

①持続的な企業価値の向上

当社グループは、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)会社の経営の基本方針」に記載したとおり、「持続的な企業価値の向上」を重要な経営課題の1つとして位置付け、当社グループの主力事業である短期業務支援事業における「紹介(注1)」及び「BPO(注2)」サービスの更なる収益拡大を実現すると共に、株主還元を継続して行うことで適正な株主資本の額を維持し、資本効率性を重視した経営の実践に取り組んでまいります。

また、引き続きコンプライアンス最優先の経営を推進し、その維持・向上に努めると共に、全てのステークホ
ルダーからの信頼構築を最優先事項として事業に取り組んでまいります。

(注)1.主力サービスである「アルバイト紹介」サービスに加えて、㈱ヘイフィールドの不動産業界特化型の人材紹介サービス及びApp X㈱グループの求人検索アプリサービスを「紹介」と呼称しております。

2.主力サービスである「アルバイト給与管理代行」サービスに加えて、「マイナンバー管理代行」サービス等その他の人事労務系BPOサービス及び㈱BODグループのバックオフィス系BPOサービスを「BPO」と呼称しております。

 

②2024年12月期目標

当社グループは、「アフターコロナにおけるリオープニング需要及び労働力人口減少下における人手不足需要に今まで以上に対応するための事業基盤の一層の強化を図る並びに異業種の参入も確実視されるスポットワーク市場において、競争激化が見込まれる事業環境への対応を図る」を2024年12月期の目標とし、以下の施策に取り組んでまいります。

■戦略的投資の実施

今年度に限定した集中した資本投下により、早急、且つ、一層の事業基盤の整備及び需要の早期獲得を実現させる。

・営業強化

- 営業人員増員及びWEB広告の活用

・ブランド強化及び認知度向上を目的としたデジタルメディア展開を含むメディアプロモーション

・採用強化

- 求人広告、SNS等への出稿強化

・システム増強及び運営の強化

- クライアント向け登録手続き及び、契約書、各種帳票類WEB化並びに顧客導入の推進

- WEB人材発注システム及びマッチングシステム改善

- 登録スタッフ専用サイト「キャストポータル」及びアプリのUI改善、アップデート並びに利用規則改定、給与支払フローの改定

総額 計2,000百万円

■新規連結子会社(グロービート・ジャパン㈱、㈱インプリ等)に対するPMI推進

■グループ子会社間の連携推進

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) サステナビリティ全般に関する開示

①ガバナンス

a)「フルキャストグループ・サステナビリティ基本方針」

フルキャストグループは、企業理念である、「すべての人をいちばん輝ける場所へ。」を掲げ、持続的な企業価値の向上を実現していくことで、社会課題の解決に貢献すること、そして我々の事業に関わる全てのステークホルダーの皆様の信頼を勝ち取ることをサステナビリティに係る基本方針としています。なお、以下のサステナビリティ活動を推進してまいります。

1. 短期的な人材サービスを主として営んでいるため、気候変動問題が当社グループの事業に大きな影響を及ぼすことは想定しづらい状況にありますが、地球環境の持続的な発展のため、当社グループが貢献し得る環境負荷の低減や資源の効率的な運用を推進します。

2. 企業活動の人権への影響やリスクに適切に対応し、人権侵害の未然防止に努めます。

3. 従業員の成長が持続的な企業価値向上の源泉であることを自覚し、人種・国籍・性別・年齢等に拘らない採用や育成に努めるとともに、ワーク・ライフ・バランスに配慮した就業環境の改善に努めます。

4. 人材サービス業を営む上で重要な取引先となる、就業希望者及び顧客企業との信頼確立、公正・適正な取引に努めます。

 

b)コーポレート・ガバナンス体制

当社グループは、事業の持続性を強化・推進するため、サステナビリティ課題に関する対応方針や重要事項については、取締役会で決議・報告する体制を整備しております。

取締役会は、「フルキャストグループ・サステナビリティ基本方針」に基づき、サステナビリティ課題に関して報告を受け、監督しております。

サステナビリティに関する専門的な委員会は設置しておりませんが、法務部が主体となり、グループ会社を含め、人的資本及び気候変動問題を始めとしたサステナビリティ課題を抽出・議論し、適時報告する体制を構築しております。また、当社グループでは、組織におけるリスクを適切に管理するため、リスク管理最高責任者として代表取締役社長CEO、リスク管理実務責任者として法務部長を置き体制を整えております。法務部長は、代表取締役社長CEOの指示に従い、監査等委員会を始めとする当社機関と連携を図り、代表取締役社長CEOの任務遂行を補佐しております。

これらの体制により十分にコーポレート・ガバナンスが機能していると考えております。

 

②リスク管理

a)サステナビリティ全般に関するに関するリスクの特定・評価プロセス

サステナビリティ全般に関するリスク及び機会は、当社グループの取締役会において、識別・評価されております。まず、法務部が各部局から情報収集を行い、リスク及び機会の現状把握に努めます。取締役会では、法務部が取りまとめた内容を踏まえ、リスクと機会を識別いたします。また、当該リスクと機会の評価にあたっては、識別したリスクと機会が当社グループの事業活動や収益等に与える財務的影響を分析し、その影響度を評価します。そして、この評価結果に基づき、リスクを低減し機会を最大化するための目標や具体策を盛り込んだ活動計画を、取締役会にて協議・決定しております。取締役会で協議・決定された内容は法務部を通し、各部局に伝達され、実行されます。

 

b)サステナビリティ全般に関するリスクの管理プロセス及びグループ管理リスクとの統合状況

当社グループは、「リスク管理基本規程」に基づき、当社グループにおけるリスク管理体制に関する基本的事項を定め、人的資本及び気候変動に関するリスクを含め、リスク管理の効率的且つ確実な運用を図り、リスク管理体制の基に統合されております。

また、リスク管理実務責任者は法務部長とし、法務部長は、リスク管理最高責任者である代表取締役社長CEOの指示に従い、監査等委員会を始めとする当社機関と連携を図り、代表取締役社長CEOの任務遂行を補佐することとしております。

加えて、代表取締役社長CEOは、リスク管理体制のための取り組みや業務プロセス整備の状況につき、定期的に取締役会に報告すると共に、重大な事案等が発生した場合には直ちに取締役会に報告する体制を整えております。

 

③戦略

a)サステナビリティ全般に関するに関するリスクの特定・評価プロセス

当社グループは、以下のフローに則り、マテリアリティを特定しております。

1. SDGsを理解。

2. 企業理念、ビジョン及び戦略とSDGsとの整合を図る。

3. 自社の戦略を踏まえて、課題を特定。

4. 重要課題(マテリアリティ)を特定。

 

b)SDGsへの取り組み

当社は、SDGsの17の目標に対して賛同します。

また、当社の企業理念である、「すべての人をいちばん輝ける場所へ。」を実現していくことで、以下のSDGsの各目標に貢献することを当社の重要課題(マテリアリティ)ととらえております。

8.働きがいも経済成長も

当社グループは、短期間のマッチング機会を就業希望者、雇用希望企業双方に提供し続けることにより、 就業希望者における就業機会及び雇用希望企業における労働力を提供し続けます。 このことにより、就業希望者における働きがいと雇用希望企業における経済成長に貢献してまいります。

5.ジェンダー平等を実現しよう

年齢、性別、属性にとらわれない就業機会を就業希望者に提供することで、ジェンダー平等の実現に貢献してまいります。

10.人や国の不平等をなくそう

国内全域の、かつ、国籍にとらわれない、就業機会を就業希望者に提供することで、 人や国の不平等をなくすことに貢献してまいります。

9.産業と技術革新の基盤をつくろう

労働力人口が減少していく国内の労働環境に対して、当社が、短期間のマッチングサービスを、成長ないしは革新を目指す企業に提供し、必要な労働力を充足させることにより、産業の成長と技術革新の基盤づくりに貢献してまいります。

 

c)サステナビリティについての取り組み

当社グループは、持続的な企業価値の向上を実現していくことで、サステナビリティ課題の解決に貢献すること、そして我々の事業に関わる全てのステークホルダーの皆様の信頼を勝ち取ることをサステナビリティに係る基本方針としており、以下のサステナビリティについての取組みを実践してまいります。

・当社グループは、短期間のマッチング機会を就業希望者、雇用希望企業双方に提供し続けることにより、就業希望者における就業機会及び雇用希望企業における労働力を提供し続けます。このことにより、就業希望者における働きがいと雇用希望企業における経済成長に貢献してまいります。特に、労働力人口が減少する、国内の労働環境において、若者、女性、高齢者、外国人といった労働参加余地のある層であり、且つ、短期でしか働けない、短期で働きたい層を中心に短期間のマッチング機会を就業希望者、雇用希望企業双方に提供し続けることに加えて、当社グループが成長することを通じて、双方の機会を拡充させます。

・年齢、性別、属性にとらわれない就業機会を就業希望者に提供することで、ジェンダー平等の実現に貢献してまいります。特に、当社グループの主たるセグメントである短期業務支援事業における紹介、派遣等の稼働者のうち、女性の割合は50.4%(2023年12月期)を占めており、当社グループが成長することを通じて、女性の就業希望者に対する就業機会の拡充に貢献してまいります。また、高齢者に特化した人材サービスを提供する子会社である株式会社フルキャストシニアワークスを通じて高齢者層の就業機会の拡充に貢献してまいります。

・国内全域の、且つ、国籍にとらわれない、就業機会を就業希望者に提供することで、人や国の不平等をなくすことに貢献してまいります。特に、国内に在留資格のある外国人に特化した人材サービスを提供する子会社である株式会社フルキャストグローバル及び特定技能資格を有する外国人に特化した人材サービスを提供する子会社である株式会社Fullcast Internationalを通じて外国人の就業機会の拡充に貢献してまいります。

・労働力人口が減少していく、国内の労働環境に対して、当社が、マッチングサービスを、成長ないしは革新を目指す企業に提供し、必要な労働力を充足させることにより、産業の成長と技術革新の基盤づくりに貢献してまいります。特にマッチングサービス・機会を提供する上で、人材マッチングに係る基幹システムの利便性・効率性の向上は必要不可欠であり、継続的な向上に努め、マッチング機会を拡充させます。また、DXを実装できる機会が増えつつあり、積極的に実践してまいります。

 

④指標及び目標

当社グループは、「フルキャストグループ・サステナビリティ基本方針」に基づいた活動を推進しておりますが、現在は具体的な指標及び目標を設定しておりません。今後、企業価値向上に向けたサステナビリティに関する指標及び目標について検討を進めてまいります

 

(2) 人的資本、多様性に関する開示

①戦略

・人的資本への投資等

人的資本への投資については、当社グループが持続的な企業価値の向上を実現していくうえで、人員の増強は必要不可欠であり、継続的、かつ、年々増加する新卒や中途採用を実現するための必要な投資を実施しているほか、当社グループの臨時従業員や当社グループを通じて派遣・紹介しているスタッフに対して、正社員への転用機会を定期的に設けるなどして、人員の増強を実現してまいります。また、新卒・中途入社社員の入社後速やかな戦力化も、持続的な企業価値向上を実現していく上で必須であり、入社3年目までを対象にした実務中心の研修メニューを充実させています。また、研修メニューの精度、機会の拡充、段階的な上位職各層に対するメニューの拡充等を含めた研修メニューの見直しを毎期実施しております。加えて、役職員に対するサステナビリティに対する意識向上を目的とした研修制度の確立に向けて、研修メニューの策定等の準備を進めております。

・多様性の確保についての考え方

当社グループでは、性別・国籍・年齢・職歴等の属性によらない多様性の確保を、中核人材に留まらず、正社員、臨時従業員、当社グループを通じて派遣・紹介により勤務する就業希望者含めて推進してまいります。当社グループで勤務する正社員及び臨時従業員を含めた女性比率は、2023年12月末時点で61.5%であり、最低限の比率を50.0%とし、これを維持してまいります。当社グループにおける女性管理職比率は、2023年12月末時点で14.1%です。さらに、人事制度及び研修の拡充を推進し、2025年12月末まで女性管理職比率15.0%の実現及び向上に努めてまいります。外国人、中途採用者は、管理職として登用する上で国籍や採用時期による差異は想定していないため、現時点では管理職登用の目標策定・開示は行っておりません。

 
②指標及び目標

当社グループは、上記「①戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。

指標

目標

目標年

実績(当連結会計年度)

正社員及び臨時従業員を含めた女性比率

50%(維持)

2025年

61.5%

女性管理職比率

15%以上(維持)

2025年

14.1%

短期業務支援事業における紹介、派遣等の稼働者に占める女性比率

50%維持

2025年

50.4%

 

 

(3) 気候変動に関する開示

当社グループは、企業理念である、「すべての人をいちばん輝ける場所へ。」を掲げ、持続的な企業価値の向上を実現していくことで、社会課題の解決に貢献すること、そして我々の事業に関わる全てのステークホルダーの皆様の信頼を勝ち取ることをサステナビリティに係る基本方針としております。

当社グループは、地球温暖化による気候変動がもたらす問題が事業および財務に及ぼす影響を考慮し、気候関連リスクを特定しております。また、リスクマネジメントの観点から既に特定しているリスクへの取り組みに加え、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)が提唱するフレームワークに則り、気候変動に関するリスクと機会についてシナリオ分析を行いました。今後は気候変動が当社グループの事業に及ぼす影響を把握し、適切に対応を進めるとともに、関連する情報開示の充実化を進めてまいります。

尚、2023年12月期よりTCFDが推奨する「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標及び目標」に関する情報を開示しております。当社グループのTCFDが提唱するフレームワークに基づく気候関連情報の内容につきましては、「統合報告書2024」をご参照ください。

(ご参考)   

統合報告書2024

https://www.fullcastholdings.co.jp/assets/upload/2024/03/integratedreport_20240325.pdf

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下の通りであります。また、投資者に対する積極的な情報開示の観点から、事業上のリスクに必ずしも該当しないと考えられる事項であっても投資者が投資判断をするうえで、あるいは当社グループの事業活動を理解するうえで重要であると考えられる事項を含めて記載しております。

なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。

当社グループは、リスク発生の可能性の認識及び発生の回避並びに発生した場合における対応に最大限の努力を払う所存であります。下記事項には、将来に係るリスク要因が含まれておりますが、これらの事項は当有価証券報告書の提出日現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) グループの事業展開方針について

当社グループは、コーポレート・ガバナンスを強化すると共に、経営戦略の決定及び戦術実行の迅速化を図ることで企業競争力の強化に努めておりますが、これらの決定及び実行に予想以上の時間を要した場合や、収益への貢献が計画どおり進まなかった場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

短期業務支援事業においては、2012年10月1日に施行された労働者派遣法改正法に対応した、「紹介」及び「BPO」等を展開しております。加えて、㈱BODグループの「バックオフィス系BPOサービス」や、ミニメイド・サービス㈱の「家事代行サービス」、㈱ヘイフィールドの「不動産業界特化型人材紹介サービス」、App X㈱グループの「求人検索アプリサービス」を提供しておりますが、これらの事業収益が見込みどおりに推移しない場合には、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

営業支援事業においては、通信商材等の営業支援、コールセンター業務などを展開しておりますが、同事業の事業収益が見込みどおりに推移しない場合、多額の資金投入を要する場合、販売商品の商品力が低下した場合等には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

飲食事業においては、飲食チェーン事業を営んでおりますが、同事業の事業収益が見込みどおりに推移しない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

警備・その他事業においては、主に公共施設や一般企業などに対する警備業務等を展開しておりますが、同事業の事業収益が見込みどおりに推移しない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

今後、当社グループは、既存事業の強化に加えて、新会社の設立や、M&A、業務提携等の手法により、新たな事業を開始する可能性がありますが、新規事業には不確定要因が多く、当該新規事業に係る法的規制や当社グループを取り巻く環境の変化等により、当初期待したシナジー効果が得られず、事業収益が見込みどおりに推移しない場合には、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

また、海外企業の買収によって、当社グループには為替リスク、買収先企業の事業に適用される現地規制に係るリスク及びカントリーリスクが生じます。これらのリスクが具現化した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

なお、当社グループは事業シナジーが見込まれない関係会社株式及び投資有価証券は売却する方針でありますが、株式保有先の業績悪化による時価又は実質価額の著しい下落などにより、関係会社株式及び投資有価証券並びにのれんに係る減損処理を行うこととなった場合には、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 法的規制について

① 法的規制の変更について

当社グループが行う事業に適用される労働者派遣法、労働基準法、職業安定法、労働者災害補償保険法、健康保険法及び厚生年金保険法、行政手続における特定個人を識別するための番号の利用等に関する法律(マイナンバー法)、出入国管理及び難民認定法(入管法)、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(働き方改革関連法)、その他の関係法令について、労働市場を取り巻く社会情勢の変化などに伴って、施行及び改正ないしは解釈の変更などが実施される場合、その内容によっては、当社グループが行う事業に重大な影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、当該リスクへの対応策として、当社グループが行う事業に適用される各法令の改正ないしは解釈の変更に関して適時に情報を収集し、適切に対処し、当社グループの経営成績、財政状態に与える影響を早期に把握するよう努めております。

 

人材紹介事業について

当社グループでは、職業安定法に基づき、厚生労働大臣の許可を受け有料職業紹介事業を行っております。許可の有効期間は5年であり、更新が必要となった際に第31条の許可の基準に適合せず非継続となった場合、また第32条に定められた許可の欠格事由に該当した場合や許可の取り消し事由に該当した場合には、許可の取消、事業廃止命令または事業停止命令を受けることがあります。当社グループでは、当該リスクへの対応策として、企業コンプライアンス及びリスクマネジメントの強化を図り法令違反を未然に防止するよう努めておりますが、将来何らかの理由により許可の取消等があった場合には、サービスの提供を継続することができなくなることから、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 派遣事業について

当社グループでは、労働者派遣法に基づき、厚生労働大臣の許可を受け労働者派遣事業を行っております。許可の有効期間は5年であり、更新が必要となった際に第7条の許可の基準に適合せず非継続となった場合、また、関係法令違反や、第6条に定められた許可の欠格事由に該当した場合及び第14条に定められた許可の取り消し事由に該当した場合には、許可の取消、事業廃止命令または事業停止命令を受けることがあります。

当社グループでは、当該リスクへの対応策として、企業コンプライアンス及びリスクマネジメントの強化を図り法令違反を未然に防止するよう努めておりますが、将来何らかの理由により許可の取消等があった場合には、サービスの提供を継続することができなくなることから、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

④ アルバイト給与管理代行等各種事務代行事業について

当社グループにおいては、業務委託契約に基づき、当該契約の顧客企業から独立して委託を受けた業務を行っておりますが、委託業務の未完了や報告遅延により損害賠償債務を負う可能性があります。当該リスクが顕在化した際には、事業効率化などの内部努力によるコスト削減などにより吸収するよう取り組む所存でありますが、損害賠償金額によっては、これらの取り組みによって吸収できない場合、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 請負事業について

当社グループにおいては、請負契約に基づく請負事業者として、当該契約の顧客企業から独立して請け負った業務を完遂しております。その業務の遂行にあたっては、労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(昭和61年労働省告示第37号)その他の関係法令に従っております。

請負事業の特性上、生産性のリスクや不良品発生リスクを負っております。当社グループでは、当該リスクへの対応策として、当該リスクが顕在化した際には、事業効率化などの内部努力によるコスト削減などに取り組む所存でありますが、これらの取り組みによって影響額を吸収できない場合、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 社会保険料負担について

今後、法改正により社会保険及び雇用保険の適用範囲が拡大された場合や、顧客企業における人材不足が恒常化し、短期的な人材ニーズがより長期化することで、派遣事業及び請負事業が拡大した結果、社会保険被保険者が増加した場合には、社会保険料負担額が増加することとなります。また、取得・喪失手続きの処理対象件数自体が増加し、事務処理費用が増加する可能性があります。当社グループでは、当該リスクへの対応策として、法令の改正に関して適時に情報を収集し、当社グループの経営成績、財政状態に与える影響を早期に把握するよう努めると共に、当該リスクが顕在化した際には、顧客に対する請求金額への転嫁や業務効率化などの内部努力によるコスト削減などに取り組む所存でありますが、これらの取り組みによって費用の増加を吸収できない場合には、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 景気の動向について

当社グループの短期業務支援事業を軸とした事業構成は、構造的な要因により働き手不足が継続する現環境下において、景気動向の影響は受けにくくなってきてはいますが、当社グループの想定を上回る景気の悪化等があった場合、当社グループの経営成績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、当該リスクへの対応策として、定期的に景気動向及び市場動向のモニタリングを行うとともに、エリア及び顧客業種特性に応じた営業戦略の推進、営業力の強化に加えて、生産性の向上による利益率の改善に継続的に取り組むことで、当該リスクの低減化を図ってまいります。

 

(4) 顧客企業及びスタッフのデータベース管理について

当社グループは、顧客企業のニーズに合った最適任者の迅速なマッチングを行い、スタッフ配置の効率化を図るため、スタッフの勤務態度や職種ごとの経験並びに顧客企業に関する情報などをデータベース化し管理しております。

データベース化した情報は、サーバーの故障などに備えバックアップを行っており、またサーバー自体は万が一のトラブルに陥った場合に備え複数台での冗長化された構成にて運用しておりますが、地震などの災害、サイバー攻撃、人為的なミスやその他の原因によりサーバーが同時に停止するなどのトラブルが発生し、システムが停止する事態に陥った場合、業務に支障をきたす結果となり、当社グループの事業に重大な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、当該リスクへの対応策として、今後とも必要に応じて情報化投資を進め、コストやサービス面での差別化を図っていく計画でありますが、これらの投資が必ずしも今後の売上増加に結びつくとは限らず、投資効率が悪化する可能性があります。

また、個人情報を含むデータの管理につきましては、明確な取扱基準を定めるとともに、システムに対するアクセス権限の厳格化や内部監査の強化などを通じて、個人情報への不正アクセス、または個人情報の紛失、改ざん、漏洩等の予防に努めておりますが、何らかの原因により情報が漏洩する事態が発生した場合、当社グループに対する社会的信用が失墜し、売上高の減少や損害賠償の請求などをもたらす結果となり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) スタッフに係る業務上の災害及び取引上のトラブルについて

人材紹介事業について

求人に応募したスタッフの選定において、当社の過失により顧客先企業の求人条件を逸脱したスタッフを選定し、紹介した場合に、顧客先企業より契約違反により訴訟の提起またはその他の請求を受ける可能性があります。当社グループでは、当該リスクへの対応策として、法務担当者を配して法的危機管理に対処する体制を整えておりますが、訴訟の内容及び金額によっては当社グループの事業に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

② 派遣事業について

スタッフが派遣先での業務遂行に際して、または派遣先での業務に起因して、死亡、負傷した場合、または疾病にかかった場合には、労働基準法及び労働者災害補償保険法その他の関係法令上、使用者である当社グループに災害補償義務が課せられます(なお、顧客企業にあたる派遣先事業主には、労働安全衛生法上の使用者責任があり、スタッフに対して民事上の安全配慮義務があります。)。

当社グループでは、当該リスクへの対応策として、スタッフに対する安全衛生教育を徹底するとともに、怪我や病気を未然に防ぐため、作業に関する注意事項の掲示及び配布を実施することで、安全に対するスタッフの意識向上を促しております。また、労働者保護の観点から、労災上積保険として、事業総合賠償責任保険などに加入しておりますが、これらの保険がカバーする範囲を超える災害が万が一発生した場合、労働契約上の安全配慮義務違反や不法行為責任などを理由に、当社グループが損害賠償責務を負う可能性があります。

また、スタッフによる派遣先での業務遂行に際して、スタッフの過失による事故や顧客企業との契約違反またはスタッフの不法行為により訴訟の提起またはその他の請求を受ける可能性があります。当社グループでは、当該リスクへの対応策として、法務担当者を配して法的危機管理に対処する体制を整えておりますが、訴訟の内容及び金額によっては当社グループの事業に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 従業員確保と定着について

当社グループでは、従業員の定着を図るため、従業員研修の充実化や、従業員のモチベーションを向上させるための施策などに取り組んでおりますが、今後、当社グループの人材が必要以上に流出するような場合には、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 為替リスクについて

当社グループでは、海外事業者との営業取引や海外関係会社からの受取配当金の受取等の外貨建て取引において、現地通貨により取引を行っているため、日本円に換算する際の為替変動リスクを負っています。また、海外関係会社の財務諸表は原則として現地通貨で作成後、連結財務諸表作成のため円換算されております。したがって、決算時の為替レートにより、現地通貨における価値が変わらなかったとしても、円換算後の価値が当社グループの経営成績及び財務諸表に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、当該リスクへの対応策として、為替動向を考慮しながら、必要に応じて為替予約等によるリスクの軽減化を図っております。

 

(8) 会計制度、税制等の変更について

当社グループが予期しない会計基準や税制の新たな導入、変更により、当社グループの経営成績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、当該リスクへの対応策として、会計基準や税制の新たな導入、変更に関して適時に情報を収集することで、当社グループの経営成績、財政状態に与える影響を早期に把握するよう努めております。

 

(9) 大規模な自然災害及び感染症について

当社グループは有事に備えた危機管理体制の整備に努め対策を講じておりますが、台風、地震、津波等の自然災害が想定を上回る規模で発生した場合、また、感染症等が想定を大きく上回る規模で発生及び流行した場合、当社グループ又は当社グループの取引先の事業活動に影響を及ぼし、当社グループの経営成績、財政状態に影響を与える可能性がございます。当社グループでは、当該リスクへの対応策として、BCP(事業継続計画)を策定し、適宜見直しを図ることで、有事の際でも重要な事業を継続または早期復旧ができるよう準備しております。

 

(10) 気候変動について

気候変動に起因する自然災害の激甚化により、事業所やサプライチェーンが被災した場合には、事業活動の停止による機会損失等により、当社グループの経営成績、財政状態に影響を与える可能性がございます。また、気候変動対策への取組みに関する社会的要請が高まる中、当該取組みが不十分であった場合やステークホルダーからの理解が十分に得られなかった場合には、社会的信用の低下等により、当社グループの経営成績、財政状態に影響を与える可能性がございます。加えて、気候変動対策に関連する新たな法令や規制の導入がなされた場合には、対応費用の増加により、当社グループの経営成績、財政状態に影響を与える可能性がございます。

当社グループとしては、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言に基づき、気候変動に係るリスクと機会の事業への影響について、継続的に分析を行い、積極的な情報開示に努めてまいります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益が総じてみれば改善していること、企業の業況判断は緩やかに改善していること、個人消費は持ち直しの動きが続いていること等、景気は緩やかに回復しております。景気の先行きに関しましては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあり、緩やかな回復が続くことが期待されるものの、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念等、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっていることに加えて、物価の上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等による影響に十分注意する必要があること等から、依然として先行きが不透明な状況が続いております

人材サービス業界を取り巻く環境においては、新規求人倍率及び有効求人倍率が横ばい圏内でありながらも高水準で推移していること、就業率の改善が続いていること等、雇用情勢は改善の動きが見られます。先行きに関しましては、改善の動きが続くことが期待されます

このような環境のもと、当社グループでは、当連結会計年度において、「事業環境の変化に柔軟に適応できるグループ体制構築と、DXを含めた更なるサービス改善に基づく顧客満足度向上による事業拡大を目指す」を目標としたグループ経営を行い、特に主力サービスである「紹介」、「BPO」を中心にフルキャストグループ全体の収益を伸長させることを主眼とした営業活動を行ってまいりました。加えて、継続してグループ全体の業務効率化を推し進め、生産性を高めることで、利益の最大化を図りつつ、更なる事業拡大に取り組んでまいりました

 

a.経営成績

連結売上高は、コロナ禍以降のリオープニングに係る人材需要を取り込み、短期業務支援事業における主力サービスである「紹介」及び「BPO」を伸ばせたこと及び飲食事業の損益を取り込んだこと等により68,974百万円(前期比6.7%増)となりました

利益面では、増収したことに対し、社会保険の適用拡大に伴い社会保険料の会社負担分が増加したこと及び高粗利のコロナ禍特需が想定以上に剥落したことを主因として、連結営業利益は8,658百万円(前期比11.9%減)、連結経常利益は8,686百万円(前期比12.1%減)となりました

親会社株主に帰属する当期純利益は、第2四半期連結会計期間において、保有する投資有価証券の売却に伴う投資有価証券売却益346百万円を特別利益に計上したこと等により5,889百万円(前期比11.1%減)となりました

当社グループは、「持続的な企業価値の向上」を重要な経営課題の1つとして位置付けております。「企業価値の向上」は、株主及び投資家の皆様による当社への期待収益を反映した資本コストを上回るROEを実現することであるという考えのもと、ROEを「企業価値向上」を示す目標指標とし、資本効率を重視した経営の実践に取り組んでおります。なお、当社グループは、ROE20%以上を目標指標としております。

当連結会計年度末時点におけるROEは24.0%となり、前連結会計年度末時点の30.6%に比べ6.6ポイント低下したものの、20%以上を維持しております

当社グループは、2023年6月23日付でグロービート㈱の株式を取得し、同社及び同社の子会社であるグロービート・ホールディングス㈱並びに同社の孫会社であるグロービート・ジャパン㈱を第2四半期連結会計期間より連結の範囲に含めております。なお、2023年10月1日付で、グロービート・ジャパン㈱を存続会社、グロービート㈱及びグロービート・ホールディングス㈱を消滅会社とする吸収合併を行っております。当連結会計年度では、上記3社の損益は2023年4~11月の8か月分を取り込んでおります。また、2023年10月27日付でApp X㈱の株式を取得し、同社及び同社の子会社である㈱インプリ並びに同社の孫会社である㈱リリースベースを連結子会社としております。加えて、2023年10月31日付で㈱BPCの株式を取得し、同社を連結子会社としております

 

事業別の状況

セグメント別の業績は次のとおりです。

なお、第2四半期連結会計期間においてグロービート㈱の株式を取得し、同社及び同社の子会社であるグロービート・ホールディングス㈱並びに同社の孫会社であるグロービート・ジャパン㈱を新たに連結の範囲に含めたことに伴い、報告セグメントとして「飲食事業」セグメントを新設しております。

 

i)短期業務支援事業

コロナ禍以降のリオープニングに係る人材需要を取り込むことで、短期業務支援事業における主力サービスである「紹介」及び「BPO」を伸ばせたものの、コロナ禍特需が想定以上に剥落したこと等により、短期業務支援事業の売上高は59,019百万円(前期比0.7%減)となりました

利益面では、減収したことに加えて、社会保険の適用拡大に伴い社会保険料の会社負担分が増加したこと及び高粗利のコロナ禍特需が想定以上に剥落したことを主因として、セグメント利益(営業利益)は9,318百万円(前期比11.5%減)となりました

 

ⅱ)営業支援事業

期を通じて、主たる事業内容であるインターネット回線販売事業における通信商材の販売動向が継続して昨年を上回って推移したことにより、営業支援事業の売上高は3,111百万円(前期比7.9%増)となりました

利益面では、増収したことに加えて、販管費を抑制したことに伴い、セグメント利益(営業利益)は134百万円(前期比50.7%増)となりました

 

ⅲ)飲食事業

国内事業における需要が回復したことにより、飲食事業の売上高は4,475百万円、販管費削減効果によりセグメント利益(営業利益)は188百万円となりました

なお、飲食事業は、第2四半期連結会計期間より新たな報告セグメントとして追加したため、前期比増減を記載しておりません

 

ⅳ)警備・その他事業

コロナ禍リスクの低減化に伴い、主として、臨時警備案件の獲得数を伸ばせたことにより、警備・その他事業の売上高は2,369百万円(前期比1.9%増)となりました

利益面では、増収したものの、比較的高粗利であるコロナ関連業務が減少したこと及び社会保険の適用範囲の拡大に伴い警備スタッフに係る社会保険料の会社負担分が増加したこと等により、セグメント利益(営業利益)は229百万円(前期比12.9%減)となりました

 

b.財政状態

i)流動性

資産の部では、流動資産が前連結会計年度末に比べ5,118百万円減少し24,849百万円となりました。これは主に、未収入金が1,510百万円増加し1,579百万円となったことを主因として、流動資産におけるその他が1,587百万円増加し1,943百万円となったことに対し、現金及び預金が6,158百万円減少し14,468百万円となったこと及び受取手形及び売掛金が569百万円減少し8,416百万円となったこと等によるものです

負債の部では、流動負債が前連結会計年度末に比べて133百万円増加し9,793百万円となりました。これは主に、未払消費税等が802百万円減少し1,361百万円となったこと、未払法人税等が460百万円減少し1,250百万円となったこと及び未払金が109百万円減少し1,751百万円となったこと並びに賞与引当金が109百万円減少し177百万円となったことに対し、預り金が1,187百万円増加し1,209百万円となったことを主因として、流動負債におけるその他が1,127百万円増加し1,842百万円となったこと及び支払手形及び買掛金が484百万円増加し537百万円となったこと等によるものです

以上の結果、当連結会計年度末の運転資本(流動資産-流動負債)は前連結会計年度末に比べ5,252百万円減少し15,056百万円、流動比率(流動資産÷流動負債×100)は前連結会計年度末の310.2%から253.8%となりました
 

ⅱ)資本的支出

当連結会計年度において実施した設備投資額は、前期比15百万円増加し299百万円となりました。その主な内訳は、短期業務支援事業における営業拠点及び飲食事業における店舗の新規出店・移転に伴う有形固定資産の取得で116百万円、社内利用目的の各種ソフトウエア等購入に伴う無形固定資産の取得で183百万円であります

2024年12月期の重要な設備投資につきましては、特に予定はございません。 
 

ⅲ)有利子負債

当連結会計年度末の有利子負債の総額は前連結会計年度末同様、1,000百万円となりました。

 

ⅳ)純資産

当連結会計年度末の純資産は前連結会計年度末に比べて1,857百万円増加し26,785百万円となりました。これは主に、当連結会計年度において2022年12月期決算に係る自己株式取得1,217百万円、及び2023年の期中に実施した自己株式取得784百万円、並びに剰余金の配当2,297百万円を実施した一方で、5,889百万円の親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことにより、利益剰余金が3,582百万円増加したことによるものです

 

以上の結果、デット・エクイティ・レシオ(有利子負債÷自己資本(注)×100)は前期末の4.2%から3.9%、自己資本比率(自己資本÷総資産×100)は前期末の66.7%から65.2%となりました
  (注)  自己資本=純資産の部の合計-新株予約権-非支配株主持分
 

v)利益配分に関する基本方針

当社は、総還元性向50%を目標とし、株主への利益還元の充実化を図る方針であります。

今後も、収益力を強化し、経営効率の一層の向上を図ると共に、配当と自己株式取得を合わせた総還元性向50%を目標とした株主還元を実施することにより、ROE20%以上を「企業価値の向上」を示す目標指標とし、その実現を目指してまいります。

当社の剰余金の配当は、中間配当及び期末配当の年2回を基本的な方針としております。配当の決定機関は、中間配当、期末配当共に取締役会であります。

当期の配当につきましては、総還元性向50%の考えに基づき、前期比3円増配、配当予想比2円増配となる1株当たり61円の配当を通期で実施し、期末では1株につき32円の配当(配当予想比2円増配)を実施いたします。なお、2023年11月10日に公表した「自己株式取得に係る事項の決定に関するお知らせ」及び2023年12月25日に公表した「自己株式の取得結果及び取得終了に関するお知らせ」に記載の通り、2023年12月までに総額784百万円の自己株式の取得を実施いたしました。今回の期末配当により、2023年12月期の総還元性向は50%となります

なお、当社は会社法第454条第5項に規定する中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。
 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」と言います。)は、前連結会計年度末に比べて6,158百万円減少し(前期は3,216百万円の増加)、当連結会計年度末現在の残高は14,468百万円となりました

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

税金等調整前当期利益が9,073百万円であったことに対し、法人税等の支払額が4,208百万円、未払消費税等の減少額が857百万円、未収入金の増加額が855百万円であった一方で、営業活動によるキャッシュ・フローにおけるその他が1,062百万円、売上債権の減少額が961百万円であったこと等により、営業活動により得られた資金は5,163百万円(前期は得られた資金が6,796百万円)となりました

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

定期預金の払戻しによる収入が1,158百万円であったことに対し、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が7,511百万円であったこと等により、投資活動により使用した資金は6,366百万円(前期は使用した資金が958百万円)となりました

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

配当金の支払額が2,295百万円、自己株式の取得による支出が2,026百万円、長期借入金の返済による支出が604百万円であったこと等により、財務活動により使用した資金は4,954百万円(前期は使用した資金が2,622百万円)となりました

 

③生産、受注及び販売の状況

a. 生産及び受注実績

当社グループは主として生産活動を行っておらず、また短期業務支援事業は、受注から売上計上までの期間が極めて短いため、受注規模を金額で示すことはしておりません。

 

b. 販売実績

セグメントの名称

当連結会計年度

(自2023年1月1日

 至2023年12月31日)

(百万円)

前年同期比(%)

短期業務支援事業

59,019

△0.71%

営業支援事業

3,111

7.94%

飲食事業

4,475

―%

警備・その他事業

2,369

1.94%

合計

68,974

6.70%

 

(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成には、経営者による会計方針の採用や、資産・負債及び収益・費用の計上及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り項目特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

また、当社グループの連結財務諸表の作成に採用した重要な会計上の見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

i)売上高

連結売上高は、コロナ禍以降のリオープニングに係る人材需要を取り込み、短期業務支援事業における主力サービスである「紹介」及び「BPO」を伸ばせたこと及び飲食事業の損益を取り込んだこと等により68,974百万円(前期比6.7%増)となりました。これをセグメント別に見ますと次のとおりです

 

・短期業務支援事業

コロナ禍以降のリオープニングに係る人材需要を取り込むことで、短期業務支援事業における主力サービスである「紹介」及び「BPO」を伸ばせたものの、コロナ禍特需が想定以上に剥落したこと等により、短期業務支援事業の売上高は59,019百万円(前期比0.7%減)となりました

 

・営業支援事業

期を通じて、主たる事業内容であるインターネット回線販売事業における通信商材の販売動向が継続して昨年を上回って推移したことにより、営業支援事業の売上高は3,111百万円(前期比7.9%増)となりました

 

・飲食事業

国内事業における需要が回復したことにより、飲食事業の売上高は4,475百万円となりました

 

・警備・その他事業

コロナ禍リスクの低減化に伴い、主として、臨時警備案件の獲得数を伸ばせたことにより、警備・その他事業の売上高は2,369百万円(前期比1.9%増)となりました

 

ⅱ)営業費用及び営業利益

売上原価は前連結会計年度に比べ2,777百万円増加し45,961百万円(前期比6.4%増)となり、売上原価率については66.8%から66.6%と、0.2ポイント減少しました。販売費及び一般管理費は前連結会計年度に比べて2,718百万円増加し14,355百万円(前期比23.4%増)となり、その売上高に対する比率は前連結会計年度の18.0%から2.8ポイント増加し20.8%となりました。その結果、営業利益は前連結会計年度に比べ1,165百万円減少し8,658百万円(前期比11.9%減)となりました。これをセグメント別に見ますと次のとおりです

 

・短期業務支援事業

利益面では、減収したことに加えて、社会保険の適用拡大に伴い社会保険料の会社負担分が増加したこと及び高粗利のコロナ禍特需が想定以上に剥落したことを主因として、セグメント利益(営業利益)は9,318百万円(前期比11.5%減)となりました

 

・営業支援事業

利益面では、増収したことに加えて、販管費を抑制したことに伴い、セグメント利益(営業利益)は134百万円(前期比50.7%増)となりました

 

飲食事業

販管費削減効果によりセグメント利益(営業利益)は188百万円となりました

 

・警備事業・その他事業

利益面では、増収したものの、比較的高粗利であるコロナ関連業務が減少したこと及び社会保険の適用範囲の拡大に伴い警備スタッフに係る社会保険料の会社負担分が増加したこと等により、セグメント利益(営業利益)は229百万円(前期比12.9%減)となりました

 

ⅲ)営業外損益及び経常利益

営業外損益は、前連結会計年度の61百万円の収益(純額)から27百万円の収益(純額)となりました。経常利益は、営業利益が減益したことにより、前連結会計年度に比べて1,199百万円減少し、8,686百万円(前期比12.1%減)となりました

 

ⅳ)特別利益及び特別損失並びに税金等調整前当期純利益

特別利益から特別損失を控除した純額は、388百万円の収益となりました。結果、税金等調整前当期純利益は9,073百万円(前期比8.6%減)となりました

 

v)法人税等及び当期純利益

税効果会計適用後の法人税等は前連結会計年度に比べ131百万円減少し3,050百万円となり、当期純利益は6,024百万円(前期比10.6%減)となりました

 

ⅵ)親会社株主に帰属する当期純利益

非支配株主に帰属する当期純利益は134百万円となりました
 以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ733百万円減少し5,889百万円(前期比11.1%減)となりました。1株当たり当期純利益は164円86銭(前連結会計年度は183円11銭)となりました
 

b.経営成績に影響を与える大きな要因

当社グループの経営成績に影響を与える大きな要因は「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

c.資本の財源及び資金の流動性

i)資金需要

当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、事業活動の維持・拡大を図っていくために必要となる運転資金、営業拠点の新規出店・移転に伴う費用及びシステム投資費用等の設備投資資金があるほか、M&A等の一時的な資金需要があります。

 

ⅱ)資本の財源及び資金の流動性

当社グループでは、事業活動を維持するための適切な資金の確保と、適正水準の流動性の維持及び健全な財政状態の維持を財務の基本方針としつつ、多様な資金調達手段の確保に努めております。
 当社グループが事業活動の維持・拡大を図っていくために必要となる運転資金や設備投資資金の調達は、営業活動から得られるキャッシュ・フローと金融機関からの借り入れにより十分可能であると考えております。
 なお、当社グループは運転資金の効率的な調達を行うため、取引先銀行4行と総額16,100百万円を限度とした当座貸越契約を締結しております
 有利子負債の状況については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 b.財政状態 ⅲ)有利子負債」に記載のとおりであります。
 当社グループの資金調達、資金運用等に関する取り組み方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注意事項(金融商品関係)」に記載のとおりであります。
 

d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、「持続的な企業価値の向上」を重要な経営課題の1つとして位置付けております。
 当社グループは、「企業価値の向上」を示す目標指標をROE20%以上にすると共に、財務の健全性を確保しつつ必要な成長投資を行うための適切な負債水準を維持するためデットエクイティレシオ1.0倍を上限とする方針とし、資本効率を重視した経営を実践すると共に、財務の健全性を確保しながら収益性、成長性のバランスを重視し、企業価値の最大化を図ってまいります。加えて、当社は、総還元性向50%を目標とし、株主への利益還元の充実化を図る方針であります。
 「持続的な企業価値の向上」を実現するための指標 : ROE20%以上

「株主還元」に係る指標             : 総還元性向50%

「資本政策の基本方針」を支える指標       : DEレシオ上限1.0倍

以上の指標を達成することにより、「持続的な企業価値向上」を実現いたします。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。