第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 1. 経営方針・経営戦略等

当社グループは、国際貨物輸送事業において、相互扶助の精神とお客様第一主義を貫き、より質の高いサービスを提供し、安全で確実な輸送を世界に提供することを経営理念とし日々努力しております。

このような経営理念のもと、当社グループは、創立以来、国際海上混載輸送を主軸として成長を遂げてまいりましたが、近年、製造設備の海外への移転が進み、海外生産、海外販売の流れが一気に加速するなど、わが国の産業構造の大きな変化に対して、その対応を迫られてきました。

そして、これらの状況の変化を背景として、当社グループは現在、総合物流業へと事業領域を拡大し、国際総合フレイトフォワーダーへの変革を遂げようと努力しております。

事業領域拡大の具体的な戦略として、特に航空輸送、倉庫、通関等の各事業に注力した結果、当連結会計年度におけるこれらの売上高の比重も徐々に大きくなっており、その重要性が増しております。

また、一方では、アジアを中心にさらにきめ細かなネットワークを構築するなど海外事業展開を推し進めております。

 

 2. 目標とする経営指標

当社グループは売上と利益の拡大による企業価値の向上をめざして2023年に第5次中期経営計画(2023年~2027年)を策定し、最終年度2027年に、売上高700億円、親会社株主に帰属する当期純利益50億円を主要な指標として取組んでおります。

 

 3. 経営環境及び対処すべき課題

(1)経営環境

当社グループを取巻く経営環境につきましては、ウクライナ情勢や中東紛争による世界情勢の不安定化やインフレに伴う物価の高止まり等の影響を受け、不確実性の高い状況が続いております。

2023年度のわが国貿易におきましても、輸出は2022年度と比べて物価高や円安の影響等により金額では増加したものの、数量では減少しており、また、輸入は金額、数量ともに減少しました。この輸送需要の低下基調は今後も当面続くと想定され、さらに、国内では2024年問題などの人手不足を背景とした輸送コストの高騰がますます利益を圧迫すると思われます。

 

(2)対処すべき課題

当社グループとしましては、昨年から取組んでおります組織編制による効率的な営業体制が徐々に実を結びつつあり、主力である単体の混載貨物の取扱数量は増加すると見込んでおります。また、第二の本業として位置付けているフォワーディング事業につきましては、大阪本社にある専門部署を中心に取引が拡大するとともに、株式会社ユーシーアイエアフレイトジャパンとフライングフィッシュ株式会社の両社も、2024年度はさらにフォワーディング取引を拡大させ、当社グループ業績に寄与するものと思われます。

海外におきましても、昨年、韓国の子会社である内外釜山物流センターが物流倉庫を取得しており、倉庫事業を含むグループ間の連携をさらに深めて活性化させることにより、当社グループ業績は2024年下半期以降、再び成長へと向かうことができると見込んでおります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

当社グループは、事業を通じて世界の人々のより良い暮らしを支え、社会の持続的な発展に貢献します。そのために、従業員、顧客、取引先、株主、地域社会などすべてのステークホルダーを尊重し、より良い未来を協創していきます。また、気候変動などの地球環境問題に対しては、環境負荷低減とカーボンニュートラルに向けた取組みや、生物多様性への配慮を行うことによってリスクの抑制を行い、持続可能な社会発展に向けて貢献します。

 

(1)サステナビリティに関するガバナンス及びリスク管理

① ガバナンス

当社グループでは、代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ委員会」を定期的に開催しています。サステナビリティ委員会では、事業に係るサステナビリティをめぐる課題への対応やリスク管理等を行い、重要な案件は審議し、また適宜、取締役会へ報告することで経営の実効性を確保しています。

 

② リスク管理

当社グループでは、持続的な企業価値の向上のために、サステナビリティ項目を含めた全社横断的に対応が必要となるリスクへの対応を行っています。特に当社が最重要課題と捉えているマテリアリティを中心にリスクの特定・評価を行い、リスクマネジメントの強化に取組んでいます。

 

(2)気候変動への対応方針

当社グループでは、気候変動への対応を経営上の重要課題の一つとして捉えており、「物流による脱炭素社会実現への貢献」を経営戦略の一部としています。2050年カーボンニュートラルの実現をめざすことで、内外トランスライングループの持続的な成長と価値向上のための新たなビジネスチャンスの創出を推進してまいります。

① ガバナンス

サステナビリティ委員会では、経営戦略、事業計画に関連する気候変動への対応を最重要課題の一つとして取組んでいます。2050年カーボンニュートラルに向けたリスクや機会について定期的に検討・審議し、また必要に応じて取締役会へ報告しています。

 

② 戦略

当社グループの事業活動における気候変動への影響とリスクと機会をTCFDの提言に沿って特定した結果、Scope3カテゴリー1の輸送サービスにおける温室効果ガスの排出が最も影響があることを認識しました。この結果を踏まえて、取引先とも協働して、より環境に配慮した物流サービスの構築を推進してまいります。

 

③ リスク管理

当社グループでは、経営に関わるすべてのリスク管理を行い、取締役会の監督のもと、対策を協議・決定しています。気候変動に関してはサステナビリティ委員会を責任部署として、必要なデータの収集及び分析を行い、特定したリスクへの対策を策定・実施しています。

 

④ 指標と目標

当社グループでは、2050年カーボンニュートラルの実現を目標にしています。そのため、気候変動のリスクと機会を特定・評価していますが、今後カーボンニュートラルに向けた取組みを推進していくために温室効果ガス削減の中期目標を設定して取組んでまいります。

 

 

(3)人的資本に関する記載

① 戦略

当社グループは、すべての従業員の活躍と自律的な成長、それによる企業価値の向上と新たな価値創造の実現に向けた人材教育と、多様な人材が働きやすい企業風土の醸成並びに社内環境の整備を推進してまいります。

 

・人材育成方針

従業員が自律的に成長し、一人ひとりが持つ強みや専門性を活かしてお客様をはじめ、社会の発展に貢献できる人材の育成を行います。

 

・社内環境整備方針

年齢、性別、性的指向や性自認、国籍、障害の有無等をはじめ、キャリア採用者にとっても働きやすい職場環境と、公正な処遇・制度を構築します。

 

② 指標と目標

当社グループでは上記「①戦略」にて記載した、人材育成方針及び社内環境整備方針に係る指標について、関連するデータ管理等、具体的に取組んでいるものの、連結グループに属するすべての会社では実施していないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため次の指標に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。

当社では多様な一人ひとりの人材が個々の能力を最大限に発揮し、自律的なキャリア形成を推進できるよう人事制度改革や階層別研修などを実践しています。今後さらなる職場環境や社内制度の向上を推進し、公正で働きやすい職場環境作りをめざします。

 

指標

目標

実績(当事業年度)

女性管理職比率

2027年度末までに30%

20.9%

 

 

 

3 【事業等のリスク】

 

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 競合リスク

当社グループは、フレイトフォワーダー事業の積極的な開発と良質なサービスの提供により競争力の強化に努めております。しかしながら、国内外からの新規参入の増加や競合会社の革新的なサービスによる厳しい販売価格競争等により競争力が低下した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

② 仕入に関するリスク

当社グループの事業は多くのサプライヤー(船会社、倉庫会社、運送会社等)に業務委託を行っております。仮に、船会社の海上運賃の高騰が生じた場合や、さらには倉庫会社、運送会社等への業務委託価格が上昇し、大幅な仕入コストの上昇を販売価格への転嫁により解決することができなかった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。更には、業務委託先での慢性的な人材不足や高齢化により、恒常的に受託貨物の取扱いに支障をきたす事態が生じた場合にも、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

③ 貨物輸送中並びに保管中の事故による損害賠償リスク

当社グループの貨物輸送サービスにおいて、輸送中並びに保管中の事故が発生した際には、損害賠償責任が生じる場合や社会的信用の低下により売上が減少し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

④ 自然災害リスク

大地震、津波、高潮、洪水、台風、集中豪雨等の自然災害により港湾施設や倉庫、道路等が損壊し、事業活動に支障をきたした場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 情報システムの障害及び情報セキュリティに関するリスク

当社グループは、営業、業務、経理から人事管理に至るすべての経営活動を情報システムに依存しており、仮に外部からの予測不可能な不正アクセスや事象により個人情報が流出、もしくはシステム障害が発生した場合には、業務に支障をきたし、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑥ 人材の安定確保

当社グループは国際物流に必要な高い知識と経験を備えた優秀な人材を多数必要としております。仮にこれら人材の安定確保が不十分な場合には、組織活動力の低下を招き事業推進が停滞し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑦ 企業内部情報の管理について

当社グループにおいて、情報の漏洩や社内蓄積データの喪失等が発生した場合には、信用力の低下等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑧ 金融資産等に関するリスク

当社グループの保有する株式、債券等の金融資産の価格が、株式市場、債券市場の変動等により下落した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑨ 国際関係における重要事件、事態の発生及びカントリーリスク

当社グループが取扱う貨物輸送サービスは、国際関係の緊張や国家間の重要事件または事態の発生により物流が停滞し、業績に影響を及ぼす可能性があります。更に、当社グループの海外拠点所在国の政府による法律規制、行政指導や過度の介入等の政治・経済・社会状況の急激な変化、テロ・戦争・伝染病の発生等、いわゆるカントリーリスクが顕在化する事態に至った場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループの海外拠点あるいは海外取引先国における企業活動をめぐって、当該国の競争法違反による摘発を受けた場合、巨額な罰金や制裁金が課されたり、当社の役員・従業員が刑罰を科されたりする事態の発生する可能性があります。仮にこれらの事態に至った場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑩ 重要な事業活動の前提となる事項について(法規制等による営業活動への影響)

当社グループの主要な事業活動である国際海上貨物輸送事業は、船舶を所有せず、船会社の船腹を借りて利用することによって、取引先(荷主)の貨物輸送を行い、荷主に対して輸送責任を負うものであり、貨物利用運送事業者として「貨物利用運送事業法」の規制を受けております。

当社グループでは「貨物利用運送事業法」に基づき、国土交通大臣より「第一種貨物利用運送事業」の認可及び「第二種貨物利用運送事業」の許可を受けております。当該認可及び許可には期限の定めはありませんが、不正な行為等、登録事項からの逸脱及び業務改善命令違反等の事由により、事業の全部もしくは一部の停止、あるいは、認可及び許可が取り消される可能性があります。

また、当社グループでは貨物輸送に附帯する業務として通関業を行っており、所轄地税関長より「通関業法」に基づく通関業の許可を受けております。当該許可についても期限の定めはありませんが、関税法や通関業法などに違反した場合や、有資格者不在となった場合には、許可が取り消される可能性があります。

一方、当社グループでは海外においても国内同様の事業を行っており、それぞれの子会社所在国において、重要な事業に対して許認可を受けております。

海外子会社を含め、当社グループの主要な許認可は下記のとおりでありますが、いずれの国においても不正な行為等の法令違反があった場合には、業務の一時停止もしくは許認可が取り消される可能性があります。

本書提出日現在、当社グループには国内、海外ともこれらの登録・許可の取消し事由に該当する事実はないものと認識しておりますが、将来何らかの事由により、登録・許可の取消し等の事態が発生した場合、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

なお、当社グループの重要な事業活動にかかる主な許認可は以下のとおりであります。

許認可等の名称

所轄官庁等

許認可等の内容

有効期限

第一種貨物利用運送事業

国土交通大臣

事業経営の許可

期限の定め無し

第二種貨物利用運送事業

国土交通大臣

事業経営の許可

期限の定め無し

第二種貨物利用運送事業

国土交通大臣

鉄道貨物運送の認可

期限の定め無し

第二種貨物利用運送事業

国土交通大臣

内航海運の認可

期限の定め無し

通関業

所轄地税関長

事業経営の許可

期限の定め無し

AEO認定通関業者

東京税関長

AEO認定通関業

期限の定め無し

酒類販売業

日本橋税務長

酒類販売の免許

期限の定め無し

国際複合輸送業務利用運送事業

タイ 
The Office Of the Maritime Promotion Commission

サービス提供許可及び賠償責任範囲設定

2027年6月

IZIN USAHA TETAP
恒久的操業許可書

インドネシア投資調整庁

政令に基づく操業認可

期限の定め無し

Ocean Transport Intermediary (NVOCC)

米国Federal Maritime Commission

NVOCC・フォワーダー認可

財務担保保証がある限り有効

国際物流周旋業登録証

韓国 ソウル特別市

事業経営の認可

2026年5月

複合輸送業者登録

インド

Office of Commissioner of Customs

船荷証券発行の認可

2025年3月

自由貿易業体管理符号

韓国 関税庁釜山税関

自由貿易地域への入居可能
資格

期限の定め無し

 

⑪ 事業投資に係るリスク

当社グループは、国内及び海外において積極的な事業展開を計画しておりますが、仮にこれらの事業戦略が当初計画した経営計画、利益計画、及び設備投資計画の通りに進捗せず、投入された資本の回収計画が低下、停滞、又は計画の中断に至った場合には、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

⑫ 経済環境の変化及び為替変動に伴うリスク

当社グループの営業活動は日本を中心に広く海外にも展開しており、海外依存率は全社売上高の約31%を占めています。このため、仮に国際社会において、経済的、政治的要因により経済環境が変化し、二国間あるいは多国間に亘る通商貿易条約・協定や、為替に係る協定等が結ばれ、当社グループの営業活動にマイナス要因となった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループの取引における海上運賃は約半数が米ドル建てであり、更には、連結財務諸表作成時には、海外の連結子会社の為替変動により連結財務諸表に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑬ 税務リスク

当社グループは、アジア及びアメリカの9つの国及び地域に営業拠点を有しておりますが、近年、国際間の移転価格について、諸外国の法令執行における強化や整備が図られており、これに伴い税務リスクが高まり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑭ 売掛債権等の回収遅延及び貸倒れのリスク

当社グループは、国内外の取引先との商取引においてその大部分は現金決済による取引をしておりますが、近時、事業領域の拡大や海外における取引の比重の高まりに伴い、売掛金、立替金等の信用供与が増しております。これに備えて単体においては、売上債権管理規程を整備強化し、長期未回収債権の未然防止に努めておりますが、海外における売掛金回収期間は比較的長く、現地子会社のキャッシュ・フローに悪影響を与える可能性や取引先の予期せぬ財政状態の悪化等により回収遅延や貸倒れ等が発生する可能性があります。

これらの損失負担については、会計上、一定の見積りによる引当金の設定を行っておりますが、結果として回収不能となった場合には損失が発生し当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑮ 事業用倉庫等の所有不動産に係るリスク

当社グループは、事業の拡大に伴い、主として海外グループ会社において倉庫事業を営んでおりますが、自然災害や事故等により不測の事態が生じた場合に、建物、機械設備及び各種装備品等の不動産、動産の被災損失及び受託貨物の被害に対する損害賠償責任等が発生し当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑯ 感染症の流行等による企業活動の混乱リスク

新型コロナウイルス等の感染症が想定以上に流行した場合、各国での感染者の蔓延や感染症防止のための規制によりサプライチェーンが分断されて物流が遅延・停滞し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑰ 気候変動の対応に関するリスク

当社グループは、世界的な関心となっている気候変動の問題を対応すべき重要なテーマと捉えて、温室効果ガスの排出量算定や削減計画を策定し、実行に取組んでいきたいと考えておりますが、これらの取組みが遅れる、もしくは対応を誤った場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、経営成績等)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。

 

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に対する行動制限の緩和を背景に経済活動は回復しましたが、資源価格の高騰や急激な為替変動等のため、消費者マインドは低下しており、先行きは依然として不透明な状況となっております。

海上輸送の現状につきましては、世界的な景気後退等により低調な荷動きが続き、海上運賃は需給バランスの正常化を受け下落しているため、経営環境としては厳しい状況が続いております。

このような状況の下、当社グループは当連結会計年度が初年度となります第5次中期経営計画(2023年1月~2027年12月)の基本方針を踏まえ、「国際物流における最高のソリューションプロバイダーでありたい」を合言葉に、国際総合フレイトフォワーダーとしてさらなる成長をめざす取組みを強化しております。

しかしながら、中国経済の失速を始めとする世界的な貿易縮小の影響は大きく、当社グループの実績は、運賃の下落や取扱数量の減少により、前年の業績を下回る水準で推移いたしました。

 

この結果、当連結会計年度の売上高は32,280百万円(前連結会計年度比31.8%減)、営業利益は4,203百万円同37.1%減)、経常利益は4,446百万円同35.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は3,041百万円同34.6%減)と前年比において減収減益となりました。

 

 

セグメントごとの業績は次のとおりであります。

(日 本)

日本における国際貨物輸送事業につきましては、輸出混載貨物を主力としております。当連結会計年度における売上高は、単体につきましては、2022年頃までの港湾の混乱が収束し、運賃がコロナ前の水準にまで下落した影響と、ここ数年フルコンテナ貨物から流れていた混載貨物が再びフルコンテナ貨物に戻ったこと等により、混載貨物の取扱数量が大きく落ち込んだため、減収減益となりました。

国内子会社につきましては、株式会社ユーシーアイエアフレイトジャパンは、主力とする航空輸送における運賃の下落が要因となり、減収減益となりました。また、フライングフィッシュ株式会社は、運賃の下落等により減収となりましたが、利益の確保に努めた結果、売上総利益では前年比で増益となりました。しかし、新システムの投資等により販管費が膨らみ、営業利益は前年比で減益となりました。

この結果、日本セグメントにおける売上高は、22,381百万円と前年と比べ13,103百万円36.9%)減少し、セグメント利益(営業利益)も2,946百万円と前年と比べ1,765百万円37.5%)減少しました。

(海 外)

当社グループはアジア地域及び米国に連結子会社11社を有しております。これらの海外子会社では近年、日本発着以外のサービスを強化、推進しておりますが、当連結会計年度におきましては、運賃の下落及び海外子会社の取扱の大半を占める日本からの混載貨物の減少の影響を受け、減収減益となりました。

この結果、海外セグメントにおける売上高は、9,898百万円と前年と比べ1,936百万円16.4%)減少し、セグメント利益(営業利益)も1,259百万円と前年と比べ711百万円36.1%)減少しました。

 

① 財政状態の状況

総資産は前連結会計年度末に比べ1,229百万円増加し23,362百万円となりました。変動の主な理由は、売掛金が787百万円減少した一方、韓国での倉庫取得等により建物及び構築物が2,080百万円増加したこと等によるものであります。

負債合計は前連結会計年度末に比べ1,642百万円減少し2,981百万円となりました。変動の主な理由は、未払法人税等1,186百万円、買掛金が287百万円減少したこと等によるものであります。

また、純資産は前連結会計年度末に比べ2,871百万円増加20,381百万円となりました。変動の主な理由は、利益剰余金が2,112百万円為替換算調整勘定686百万円増加したこと等によるものであります。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度比408百万円減少し13,885百万円となりました。その概要は以下のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは2,644百万円の増加(前連結会計年度は5,968百万円の増加)となりました。主な収入は税金等調整前当期純利益の4,454百万円、主な支出は法人税等の支払い2,381百万円等であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、2,460百万円の減少(前連結会計年度は118百万円の減少)となりました。主な支出は韓国での倉庫取得等による有形固定資産の取得2,461百万円、主な収入は投資有価証券の売却59百万円等であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、1,164百万円の減少(前連結会計年度は707百万円の減少)となりました。主な支出は配当金の支払928百万円、リース債務の返済147百万円等であります。

 

資本の財源及び資金の流動性について

当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、仕入代金、労務費ほかの販売費及び一般管理費並びに、成長、拡大をはかるための設備投資資金等であります。当社グループは、これらの資金需要に対しては、主に事業活動から生じる自己資金でまかなうことを原則としております。当連結会計年度末の状況は、上記のように、投資活動及び財務活動によるキャッシュ・フローの減少により、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ408百万円減少し13,885百万円となっております。

なお、当連結会計年度末において借入金残高はありませんが、当社グループの事業活動の維持、拡大に必要な資金を安定的かつ効率的に調達するため、取引銀行4行と、当座貸越契約及びコミットメントライン契約31億円を締結しております。

 

③ 生産、受注及び販売の状況

a.生産実績

該当する事項はありません。

 

b.仕入実績

当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日

金額(千円)

前年同期比(%)

日本

14,425,703

△42.0

海外

7,561,937

△23.8

合計

21,987,641

△36.8

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.金額は、仕入価格によっております。

3.仕入内容は、船社運賃及び作業料、倉庫料等の外注費であります。

 

c.受注実績

該当する事項はありません。

 

d.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度
(自 2023年1月1日
    至 2023年12月31日

金額(千円)

前年同期比(%)

日本

22,381,733

△36.9

海外

9,898,945

△16.4

合計

32,280,678

△31.8

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.金額は、販売価格によっております。

3.当連結会計年度において、販売実績の10%以上を占める販売顧客に該当するものはありません。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 

① 重要な会計上の見積り及び見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。また、この連結財務諸表の作成にあたりまして、将来事象の結果に依存するため確定できない金額について、仮定の適切性及び金額の妥当性に留意しながら会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果は、特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。詳細につきましては、第5経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表の注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)をご参照ください。

 

② 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、船社運賃、倉庫作業料、国内輸送コストの高騰等による仕入原価の上昇が挙げられます。本来、仕入原価の変動は売価への転嫁により解消され、一定の利益が確保されるというのが当社グループのビジネスモデルでありましたが、近年、業界の競争激化や商慣習の変化、顧客との年間通期契約の増加等により、売価への転嫁が困難となる状況が生じております。

当社においては、このような状況を背景としながらも、仕入原価の高騰を売価に転嫁すべく、お客様のご理解を得る努力を進めておりますが、転嫁ができない状況が長期間継続することになると、当社グループの経営成績に大きな影響を与える可能性があります。

そのほか、当社グループの事業展開、経営成績及び財務状況等に重要な影響を与えるリスク要因については、「第2 事業の状況] の「3 事業等のリスク」の各項目をご参照ください。

 

③ 達成状況を判断するための客観的指標

当社グループは、売上と利益の拡大による企業価値の向上をめざして、2023年に第5次中期経営計画(2023年1月~2027年12月)を策定しており、下記の指標等を主要な指標として取組んでおります。最終年度の2027年度目標達成をめざし邁進しております。

 

 

2023年12月期実績

2027年12月期目標

売上高

32,280百万円

70,000百万円

親会社株主に帰属する

当期純利益

3,041百万円

5,000百万円

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

特記すべき重要な契約等の決定または締結等はありません。

 

6 【研究開発活動】

当連結会計年度において該当事項はありません。