第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営方針・コアバリュー・事業コンセプト

当社グループは、2015年3月19日に東京証券取引所マザーズ市場に上場し、2016年12月21日に東京証券取引所市場第一部へ市場変更いたしました。そして、2022年4月には東京証券取引所スタンダード市場に移行いたしました。Webマーケティングの分野においては、独自の特許技術に基づく自社製品を数多くリリースし、多くの素晴らしいお客様とのご縁をいただきました。

そして2019年1月から、「おもてなしテクノロジーで人を幸せに」をコアバリューとし、商号を株式会社ショーケースとして新たなスタートを切りました。また、ステークホルダーの皆様に事業戦略がより伝わりやすいよう、ビジネスコンセプトを「企業と顧客をつなぐDXクラウドサービス」に一新いたしました。

2022年1月には日本テレホン社と資本業務提携を行い、同年2月に連結子会社化いたしました。同年4月には森雅弘が代表取締役会長に就任し、共同代表体制でグループ経営総力の向上を進めております。

Webマーケティング企業としては勿論のこと、多様な人々のニーズに応え課題解決が可能なテクノロジーカンパニーとして、パフォーマンスの高いサービスを開発・提供し、顧客からの信頼を向上させ、収益基盤をより強化してまいります。

 

(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループの経営上の目標達成状況を判断するために、売上高成長率を重要な経営指標として位置付け、各経営課題に取り組んでおります。営業利益及び当期純利益については、経営上の目標達成のための戦略的投資や外部環境変化に応じて経営をコントロールするための指標として位置付けるとともに、中長期的な拡大を目指しております。

 

(3)事業上及び財務上の対処すべき課題

そのために、当社グループは、以下の8点を主な経営の課題として認識しております。

 

① 既存事業の収益の拡大

当社グループは、インターネットを通じてサービスを提供することが主な収益基盤の事業となっておりますが、これらの事業の安定的・継続的な発展が不可欠なものであると考えております。そのためにも継続的なユーザビリティの改善、安定的なサービス提供が必須であります。今後、機能面において継続的な改善、また、保守管理体制の強化により、更に信頼性を高め既存事業の収益基盤の拡大を行ってまいります。

 

② 認知度の向上

当社グループは、収益基盤強化のため、オンライン手続きプラットフォームサービス「おもてなしSuite」、Webマーケティングの最適化サービス「ナビキャストシリーズ」やオンライン本人確認サービス「ProTechシリーズ」、その他サービスの認知度の向上を図ることが必要であり、これらの認知度向上は新規の顧客開拓や優秀な人材の確保に寄与するものと考えております。当社グループとしましては、昨年に引き続き積極的な広報活動やマーケティングを実施することにより認知度向上を目指してまいります。

 

③ 新規事業及び新商品開発による収益基盤の拡大

当社グループは、急激な事業環境の変化に対応し、競合他社に比べて更なる収益の拡大を図るために、事業規模の拡大と新たな収益源の確保が必須であると考えております。そのため、業界の動向を注視しつつ、また、クライアントの潜在需要をいち早く読み取り、商品戦略への取組み強化、出資先企業との協業によって、新規事業及び新商品開発に積極的に取り組むことで、更なる収益基盤の拡大を行ってまいります。

④ M&A等の投資によるシナジー創出

当社グループは、今後の新規事業展開や既存事業拡大を加速させていく上で、M&A戦略による事業シナジーの創出やパートナー企業、スタートアップ企業が保有する技術などへの投資が必要と考えており、今後も投資活動を行っていく方針であります。そして、連結子会社である日本テレホン社とのグループ間連携を強化し、両社の強みを融合した新事業・新サービスの創出を目指してまいります。また、投資活動に関する専門業者からの支援や、投資検討委員会と取締役会を経た検討フローや投資基準の更なる厳格化などを実施し、精度向上にも努めてまいります。

 

⑤ 情報セキュリティ体制の強化

当社グループは、インターネットを通じてサービスを提供することを主な事業としております。強固なセキュリティを確保しつつ安定的なサービス提供を確保するには、サービス提供に係るシステムの安定的な稼働が重要であると認識しております。今後も引き続き、技術的セキュリティ向上のみならず、組織全体のマネジメント体制も含め、情報セキュリティ体制の継続的な改善に努めてまいります。

 

⑥ 技術革新への対応

当社グループは、新たなインターネット端末等の技術革新に対して適時に対応を進めることが、事業展開上重要な要素であると認識しております。業界内の主要ベンダーや技術コミュニティから発せられる最新情報を定期的に入手し、自社製品に迅速に反映することでサービスの先進性や安定性を確保していく方針であります。また、パートナー企業との連携強化や、オープン・イノベーションへの取組みに注力することで、技術革新に対応できる体制強化に取り組んでまいります。

 

⑦ 人材の確保

当社グループが今後更に事業を拡大していくためには、優秀な人材の確保と育成が必要不可欠であると考えております。特に技術者の採用においては、他社との獲得競争が激しさを増し、今後も安定した人材確保には厳しい状況が続くものと思われます。採用市場における認知度向上により、競争力の強化を図るとともに、魅力のある職場環境を構築し、社員の能力やモチベーション向上に資するため、研修制度の強化、福利厚生の充実、人事制度の整備・運用を進めてまいります。

 

⑧ 内部管理体制の強化

当社グループは、更なる事業拡大、継続的な成長を遂げるためには、コンプライアンス体制の強化と、確固たる内部管理体制構築を通じた業務の標準化と効率化の徹底を図ることが重要であると考えております。内部統制の環境を適正に整備し、コーポレート・ガバナンスを充実させることによって、内部管理体制の強化を図り、企業価値の最大化に努めてまいります。

 

2 【事業等のリスク】

当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項を以下に記載しております。以下の記載のうち将来に関する事項については、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

なお、新型コロナウイルス感染症の拡大、急激な円安の進行及びウクライナ情勢等による当社の事業等への影響は、今後状況の経過により当社グループの財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(1) 関連市場及びサービスに関連するリスクについて

(リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響の内容)

当社グループは、Webマーケティングに関連したSaaS事業、広告・メディア事業、クラウドインテグレーション事業、投資関連事業、情報通信関連事業を展開する企業です。当社グループはインターネット上におけるサービス提供を中核事業としており、事業の拡大においてはインターネット関連市場の更なる拡大が必要であると考えております。しかしながら、インターネット関連市場に対する新たな規制や技術革新等の要因により、市場の拡大が困難となった場合や新規参入企業との競争が激化した場合、知的財産権の侵害等があった場合には、当社グループの収益力等が低下し経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

また、当該リスクの顕在化する可能性は低いものの、自然災害や事故などにより通信ネットワークの遮断又は障害が生じた場合、急激なアクセス増加による負荷の増大によってサーバが停止した場合には、当社グループがサービスを提供することができなくなり、売上高の減少、システムコストの増加、信頼性の低下等の可能性があります。

 

(対応策)

自社で蓄積したノウハウや、サービスの技術的開発力、市場ニーズをいち早く汲み取ること等によって、サービスの優位性を強化しリスク低減に努めております。

また、サービスを安定的に供給するために、クラウドコンピューティングサービスへのサーバの設置、定期的なバックアップ、稼働状況の常時監視及び脆弱性診断等により、システムトラブルの事前防止及び回避に努めております。

さらに、当社グループは積極的な知的財産権の取得に努めており、第三者の知的財産権を侵害することのないよう、顧問弁護士等に事前調査等を委託しております。

 

(2) 技術革新について

(リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響の内容)

当社グループが事業を展開する上での土台となるIT及びインターネット関連業界は、極めて早いスピードで技術革新が続いております。それに応じた業界標準及び利用者ニーズが急速に変化するため、当社グループにおきましては、それらの技術革新による急速な変化に対応すべく、先端技術の知見やノウハウの蓄積、更には優秀な技術者の採用を推進する等、積極的な対応に努めております。

当該リスクは顕在化する可能性は低いものの、技術革新への対応が遅れ、当社グループの技術的優位性やサービス競争力の低下を招いた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(対応策)

当社グループにおいては、先端技術の台頭や動向に十分留意するとともに、継続的なシステム投資及び技術者の能力向上に努めております。

 

(3) 法的規制及びコンプライアンス体制に関するリスクについて

(リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響の内容)

当社グループの事業を規制する主な法規則として、「電気通信事業法」、「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信情報者の開示に関する法律」、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」、「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」等、また個人情報の取扱いなどについては、「個人情報の保護に関する法律」等があります。インターネットの利用や関連するサービス及びインターネット関連事業を営む事業者を規制対象とする新たな法令等の規制や既存法令等の解釈変更がなされた場合には、当社グループの事業が制約を受ける可能性があります。また、情報通信関連事業セグメントについて、主として「電気通信事業法消費者契約法」、「携帯電話不正利用防止法」、「古物営業法」及び関連法令の制限を受けており、電気通信事業者としての届出を行っているため、ユーザーの通信の媒介にかかる通信の秘密の遵守等が義務付けられております。

また、当該リスクは顕在化する可能性は低いものの、コンプライアンス体制の整備の遅れ等によって適切に対応ができず、これらの規制等への違反・抵触が生じ、監督官庁等から処分や指導を受け、当社グループの社会的信用の失墜又は損害賠償請求の発生等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(対応策)

当社グループでは、これらの規制等に従うため、コンプライアンス体制の整備、運用及び改善に努めております。また、プライバシーマーク及び情報セキュリティマネジメントシステム「ISO27001」、「ISO27017」の認証を取得・更新しており、当該公的認証に準拠した規定・マニュアルの整備・運用を行うことで、情報管理体制の強化に努めております。引き続き、細心の注意を払い、関連諸法令遵守に努め、情報漏洩防止に取組み、リスクの低減に努めてまいります。

 

(4) 情報セキュリティについて

(リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響の内容)

当社グループの事業においては、サービス利用において、ユーザー企業等にかかる個人情報や機密情報が含まれており、これら情報にかかるデータ等を取り扱っております。

当社グループは、役職員に対する個人情報取扱いにおける研修の実施、システム上のセキュリティ対策やアクセス権限管理の徹底に加え、プライバシーマーク及び情報セキュリティマネジメントシステム「ISO27001」、「ISO27017」の認証を取得・更新しており、当該公的認証に準拠した規定・マニュアルの整備・運用を行うことで、情報管理体制の強化に努めております。

なお、当社グループでは、2022年7月以降、第三者からの不正アクセス攻撃を受けたことから、不正アクセスを受けたと見られるサーバーシステム及びソースコードに対するセキュリティ対策を講じることで、情報の漏洩防止にかかわる一層の強化を図っております。

しかしながら、このような対策をとっているものの、万が一、外部からの不正アクセス、システム運用における人的過失、その他想定外の事態の発生により情報等が社外に流出した場合、当社グループの社会的信用の失墜又は損害賠償請求の発生等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(対応策)

当社グループでは、様々な事業上の情報セキュリティリスクについて、情報の漏洩防止にかかわる一層の強化を図ってまいります。また、様々な事業上の各種情報の管理・保管等に関して、規定の策定、社内ネットワークの監視、業務従事者に対する教育、役職員からの誓約書の提出、業務委託先企業に対する管理監督、その他情報セキュリティの確保を継続的に行ってまいります。

 

(5) 組織体制及び人材の確保に関するリスクについて

(リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響の内容)

当社の代表取締役社長である永田豊志、代表取締役会長である森雅弘の両氏は、Webマーケティングに関するノウハウや新規事業の立案、業界での情報収集等に関して豊富な知識と経験を有しており、当社グループの事業運営において重要な役割を果たしております。また、当社グループが今後の更なる事業拡大を図るためには、営業、開発、管理をはじめとする各部門において、優秀な人材の確保と育成が必要不可欠であると認識しております。当該リスクは顕在化する可能性があるものと認識しており、何らかの理由により両氏による事業運営が困難となった場合や計画どおりに人材の採用や育成、又は、事業拡大に応じた管理体制の構築が進まなかった場合、想定どおり事業拡大ができない可能性、採用コストの増加の可能性等があります。

(対応策)

当社グループでは、経営体制の整備、権限委譲及び次世代を担う人材の育成強化を進めております。また、積極的な採用活動への注力及び社内教育体制の構築等、優秀な人材の確保と育成を行いリスク低減に努めております。

 

(6) 自然災害・未知の感染症に関するリスク

(リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響の内容)

当社グループでは、新型コロナウイルス感染拡大の影響につきましては、現時点では収束の時期が不透明な状況にあります。当該リスクの顕在化は継続しており、収束までの期間が長期化する場合には国内外経済に更なる悪影響が及び、当社グループの経営成績及び財政状態へも悪影響を及ぼす可能性があります。

その他、大地震等の自然災害及び火災等により、設備の損壊や電力供給の制限等の不測の事態が発生した場合や予期できない経済又は社会活動の行動変容が起こった場合、当社グループの事業継続、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(対応策)

当社グループの新型コロナウイルスの感染リスクへの社内対策として、新型コロナウイルス感染拡大以降、原則在宅でのフルリモートワークの実施、週に1回程度の出社とリモートワークを組み合わせたハイブリッド勤務など、感染の状況に応じた勤務を行っており、従業員の健康を守りつつ、非対面営業体制の確立やデジタルマーケティング等の生産性の向上につなげるための施策を講じております。その結果、2022年には日本テレワーク協会主催「第23回 テレワーク推進賞」のテレワーク実践部門で奨励賞を受賞しました。第1回「TOKYOテレワークアワード」大賞受賞や総務省の令和3年度「テレワーク先駆者百選」に続く受賞となり、引き続き当社グループのリモートワークの取り組みが評価されています。当社グループとしましては、今後もこれまでの常識にとらわれない、新たな働き方を模索し、最適解を見つけ出してまいります。また、災害対策におきましては、BCPに則り災害時の対策フローを確立し、災害時にも事業が可能な限り継続できる対策を講じ、リスクの低減に努めております。

 

(7) M&Aに関するリスク

(リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響の内容)

当社グループは、事業領域及び業容の拡大等を目的としたM&Aを選択肢の一つとしております。その過程で取得した有価証券を保有しておりますが、近時の経済環境、市場環境は不透明な状況となっていることから、業績への影響も懸念され、当該株式価値の下落に伴う評価損の可能性があります。また、買収後の事業環境の変化等により、当初想定した事業計画通りに進まなかった場合、のれんの減損や株式の評価損が発生し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(対応策)

M&Aの実施に際しては、対象会社の財務・法務・事業等について詳細な事前調査を行い、リスクの把握や正常収益を分析したうえでの決定など、リスクの顕在化の可能性の軽減に努めております。

 

(8) 子会社の経営状況に関するリスク

当社は2022年1月に日本テレホン社と資本業務提携を行い、同年2月に連結子会社化いたしました。日本テレホン社において、以下5つのリスクがあると考えております。

 

①日本テレホン社の収益構造について

当連結会計年度における日本テレホン社の事業部門別の売上構成比はリユース関連事業が67.0%、移動体通信関連事業が32.7%、その他の事業が0.3%と、リユース関連事業および移動体通信関連事業の売上構成比が高いものとなっております。

今後につきましては、移動体通信関連事業において、運営店舗の事業譲渡および閉店を実施するため、売上高全体に占める割合は、リユース関連事業が100%に近い構成比となることが想定されます。このため、当該事業への依存度が高いことによって、当該事業の業績が悪化した場合、日本テレホン社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

利益面から見た場合においても、リユース関連事業においては、円安や半導体不足等の外部要因による調達価格の高騰や、メーカーや移動体通信事業者による新品価格の値下げ等によりリユースモバイル端末の価格優位性が損なわれる等、利益率が低下する可能性があります。

 

②リユース関連事業の運営上のリスクについて

(i) 同事業の事業モデルについて

当事業は、携帯電話機やスマートフォン等の移動体通信端末機器において、これらの機器が不要となった国内外の法人企業から同端末機器を買い取り、再利用ができるものは、日本テレホン社のモバイルリファビッシュセンターにおいて、商品の査定、データの消去処理や外装のクリーニング等の処理を施した後、リユースモバイル端末として、これを必要とする国内外の法人企業等に販売する事業であります。

同事業においては、個人向けの販売をメインとしたインターネット通販サイト「エコたんプレミアムオンライン(https://www.ecotan-premium.com/)」、「Amazon」・「楽天市場」といったオンラインショッピングモールへの出店、およびフランチャイズ加盟店展開を実施しております。フランチャイズ加盟店に対して、日本テレホン社がブランディングしているリユースモバイル端末「エコたん(注)」の商標利用、リユースモバイル端末の買取価格に関する情報や査定方法等についてのノウハウを提供するにあたり、加入時において加盟店手数料を徴収する他、継続的にフランチャイズ加盟店より月額加盟料を得ることができる仕組みとなっております。また、フランチャイズ加盟店向けの専門サイト「エコたんJP(https://www.ecotan.jp)」を運営しており、インターネット通販にてフランチャイズ加盟店を後方支援する仕組みを有しております。

 

(注)「エコたん」とは、2次利用で環境にやさしい「エコロジー端末(たんまつ)」、安価で経済的な「エコノミー端末(たんまつ)」の意味合いを持った造語であり、日本テレホン社独自の商標であります。

 

(ⅱ) 需要の減少について

リユースモバイル端末の需要は、高機能なスマートフォンの普及や円安に伴って価格が上昇している新品端末機器への買替えを躊躇する顧客層に対してデザインや機能面において遜色のないリユースモバイル端末を低廉な価格で供給することや、低価格帯の通信サービスと組み合わせて2台目としての利用や法人利用を目的とした顧客層に対して低価格で実用的なリユースモバイル端末を提供することで成り立っております。

同事業においては、リユースモバイル端末の流通量に応じて調達価格が影響を受けることから、端末メーカーの生産量や移動体通信事業者の販売量の減少の影響からリユースモバイル端末の流通量が減少し、調達価格が高騰することによってそれが販売価格に転稼され、その結果により販売価格が上昇した場合や、移動体通信事業者や端末メーカーによって新品端末機器の大幅な値下げが実施されることでリユースモバイル端末の価格優位性が著しく損なわれ需要が減退し、同事業の事業モデルにより得られる売上高や収益が減少することにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(ⅲ) リユースモバイル端末の仕入について

リユースモバイル端末の仕入は、国内外のパートナー企業や法人企業からの仕入を実施しております。しかしながら、商品の特性上、安価で安定的かつ継続的に日本テレホン社にリユースモバイル端末が供給されることが保証された環境ではなく、特定のパートナー企業に依存した仕入を実施した場合や、国外からの仕入に依存した場合、パートナー企業の調達状況、為替の状況、資源価格の高騰や半導体不足による仕入価格の高騰等の影響により、合理的な価格でリユースモバイル端末を確保できないことから販売に支障を来すことにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、各移動体通信事業者の販売施策において、次回の買替え時に移動体通信事業者が下取りをすることを前提とした契約の普及等により、リユースモバイル市場への端末機器の流通量が大幅に低下を来す恐れがあり、その場合、顧客の需要に応じたリユースモバイル端末を確保できないことから販売に支障を来すことにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(ⅳ) 主要な販売先について

同事業の主要な販売先は、株式会社インターネットイニシアティブ、エヌ・ティ・ティレゾナント株式会社の2社への売上高が相対的に大きいものとなっております。これら2社ともに、各社が要望する商品と、日本テレホン社の提供可能商品が一致したため、売上が拡大し、売上比率が高まったものであります。

③法的規制等について

日本テレホン社ではリユース関連事業、移動体通信関連事業およびその他の事業を行うにあたって、以下のような法令やガイドライン等の規制を受けており、日本テレホン社はこれらの法的規制等を遵守し企業活動を行っております。

しかし、将来においてこれらの法的規制等が改正された場合、又は日本テレホン社がこれらの法的規制等に抵触した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

関係する事業

法的規制等

リユース関連事業

移動体通信関連事業

その他の事業

電気通信事業法

消費者契約法

携帯電話不正利用防止法

代理店の営業活動に対する倫理要綱(社団法人電気通信事業者協会制定)

電気通信事業における個人情報保護に関するガイドライン(総務省告示)

インターネットを介して商品を提供する場合

特定商取引に関する法律

電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律

リユース品の売買

古物営業法

商標法

事業全般

個人情報の保護に関する法律

 

 

④個人情報の取扱いについて

日本テレホン社では、リユース関連事業においてはリユースモバイル端末の買取り等を行う場合やインターネット通販サイトでの販売を行う場合、移動体通信関連事業においては移動体通信サービスの申込取次を行う場合、その他の事業においてはレンタルサービスの申込みを受ける場合において、顧客の氏名、生年月日、住所等の個人情報を取り扱っております。

個人情報の記載された書類としては申込書等があり、また社内のサーバ内や委託先のクラウド環境、各通信事業者から貸与されている端末には個人情報がデータとして保存されておりますが、日本テレホン社では個人情報が記載された書類等について必要時以外はキャビネットの中に入れて施錠をする、また電子データについてはパスワード管理を行う等、厳重に管理を行うよう努めております。また日本テレホン社においては、プライバシーマークおよび情報セキュリティマネジメントISO27001認証(モバイルリファビッシュセンター)取得をしており、セキュリティの強化に努めております。

しかしながら、書類が盗難等される場合や第三者がネットワークへ不正侵入する等により、個人情報の記載された書類や電子データ等が社外に流出し、個人情報が漏洩する可能性については否定できません。

その場合、顧客から損害賠償訴訟の提起や賠償金の請求、また既存顧客の信用や社会的な信用の失墜により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤海外の事業展開について

日本テレホン社は、企業として一層の成長を図るため、国内だけではなく、海外での商品の販売と調達の拡大へ積極的に取り組む方針であります。

しかしながら、取引先相手国における政情、経済、法規制等のカントリーリスクや現地企業に対する信用リスク、為替の影響等、これらのリスクの発生により日本テレホン社の方針が奏功せず、係るリスクが顕在化した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が残る中で、各種政策の効果等により景気の持ち直しが期待されるものの、ウクライナ情勢等により国内外において経済活動への影響が懸念され、先行き不透明な状況が続いております。

当社グループでは、「おもてなしテクノロジーで人を幸せに」をコアバリューに据え、「企業と顧客をつなぐDXクラウドサービス」をコンセプトに事業を推進しています。

昨今の新型コロナウイルス感染拡大により、リモートワーク等の働き方改革、デジタルトランスフォーメーション(以下、「DX」という)・SaaSビジネスへの関心の高まり、不正口座利用問題によるオンライン本人確認(eKYC等)や多要素認証(MFA:Multi-Factor Authentication)ニーズ等を受け、非対面取引に関する市場が急拡大しております。

当社グループが事業展開する主要マーケットの1つである、国内デジタルマーケティング市場は、2020〜2025年にCAGR(年平均成長率)7.2%の6,102億円(※1)と高い成長率が見込まれます。また、国内DX市場規模は、2030年には5兆1,957億円に拡大する見通しです。(※2)

今後も、これらの成長市場に対して、当社グループの培ったユーザビリティの高い技術を活用し、社会の「不」を解消する価値の高いサービスを積極的に提供してまいります。

 

なお、連結子会社は投資関連事業を行う株式会社Showcase Capitalと情報通信関連事業を行う日本テレホン社の2社となります。

 

※1:IDC 国内デジタルマーケティング関連サービス市場 セグメント別/産業分野別予測、2020~2025年より

※2:富士キメラ総研『2022 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望 市場編、ベンダー戦略編』より

 

この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

(a)財政状態

当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,318,567千円増加し、4,002,856千円となりました。当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ1,223,173千円増加し、1,727,177千円となりました。当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ95,393千円増加し、2,275,678千円となりました。

 

(b)経営成績

当連結会計年度における売上高は4,631,643千円(前年同期比190.5%増)、営業損失は530,602千円(前年同期は営業利益12,844千円)、経常損失は541,085千円(前年同期は経常利益77,809千円)、親会社株主に帰属する当期純損失は526,332千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益59,756千円)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

なお、当連結会計年度より、報告セグメントの変更を行っております。変更の詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等) セグメント情報」の「1.報告セグメントの概要 (3) 報告セグメントの変更等に関する事項」をご参照ください。

 

<SaaS事業>

2021年11月にリリースした戦略商品「おもてなしSuite」は、順調に販売を拡大しております。2022年7月には、株式会社ALBERT(東京都新宿区)から譲り受けた「AI・高性能チャットボット スグレス」 をサービスラインナップに加え、機能を拡充いたしました。これにより、今まで以上に様々なニーズへの対応が可能となり、より幅広いお客様へとご提供できるようになりました。実際に、新たに自治体や大手製造業などの企業にご利用いただいております。

また、販売拡大戦略として、2022年6月にはテレビCM、7月からはタクシーCM広告を開始しており、10月に開催された日本最大規模のIT展示会「Japan IT Week」では、会場最寄駅に広告を掲げるなどの施策を行いました。引き続きサービスの認知度向上に努めてまいります。

そして、「おもてなしSuite」は、サイボウズ株式会社(東証プライム:4776)が提供する「kintone(キントーン)」との連携実績が認められ、サイボウズオフィシャルパートナー(プロダクト)に認定されました。「おもてなしSuite」と「kintone」の連携により、専門的な知識がなくてもWebフォームの準備からデータ管理まで、オンライン上で簡単に手続きできる環境が実現します。今後も当社が培ってきたEFOやeKYC等の技術を活用し、さらに利用者の利便性向上に努めてまいります。

「ナビキャストシリーズ」では、入力フォームの最適化サービス「フォームアシスト」も堅調に推移しております。当社のコンサルタントによるきめ細やかな提案もあり、期末時点の解約率は当社が目標としている1%未満の水準に収めることができました。

オンライン本人確認/eKYCサービス「ProTech ID Checker(プロテック アイディー チェッカー)」は、導入企業数が順調に増加しております。2022年は金融機関をはじめ、司法書士事務所、レンタルサイト運営会社、不動産クラウドファンディング会社など、多種多様な企業にご導入いただきました。引き続き、導入企業の増加と売上拡大を目指してまいります。

これらの取り組みにより、SaaS事業の最重要指標の一つであるMRR(Monthly Recurring Revenue、月次経常収益)は順調に成長しております。

 

以上の結果、SaaS事業全体における売上高は971,163千円(前年同期比3.2%増)、セグメント利益(営業利益)は291,352千円(前年同期比51.5%減)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高及びセグメント利益(営業利益)に与える影響はありません。

 

<広告・メディア事業>

(広告関連サービス)

広告関連サービスについては、従来から提供してきた運用広告関連サービスに加え、顧客のニーズに合わせたSNS広告運用サービス等の提供により、安定的に売上貢献をしております。

 

(オウンドメディア)

主力となるスマートフォン関連ニュース系メディア「bitWave」・「スマホのススメ」、新メディアであるプログラミングスクール紹介メディア「cody」が業績に大きく貢献しております。さらに、新メディアとして、仮想通貨関連メディア「Money Pitch」など、複数のメディアを開設いたしました。また、2022年5月より日本テレホン社との共同事業の第一弾として、光回線・格安SIM・Wi-Fi・ホームルーターの総合メディア「ひかりチョイス」をスタートしております。

今期の注力事項としてメディア数の増加を掲げており、計画通りに進行しました。さらに、2022年9月の新型iPhone発売での送客も順調で、今年も国内最大級の送客数を達成することができました。メディア数増加による送客力の強化は今後も継続予定であり、さらなる売上成長を目指してまいります。

 

以上の結果、広告・メディア事業全体における売上高は441,933千円(前年同期比3.0%減)、セグメント利益(営業利益)は69,441千円(前年同期比1.1%増)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は26,075千円減少しております。セグメント利益(営業利益)に与える影響はありません。

 

<クラウドインテグレーション事業>

各業界の企業が持つ専門的な知識と、当社の持つSaaSプロダクト開発ノウハウを掛け合わせて、業界特化型DX支援開発を行っております。このスキームを用いて様々な業界への横展開が実現できております。株式会社プラップジャパン(東証スタンダード:2449)との合弁会社であるプラップノード株式会社が有する広報・PR支援SaaS「PRオートメーション」は安定的な追加開発により業績に貢献しております。

この度、防災をDXするサービスとして、株式会社WAVE1(東京都杉並区)と共同で新たなVertical SaaSの開発を開始いたしました。消防設備点検報告書をデジタル化し、データベース化するクラウドシステムを構築いたします。これらのデータを分析することで、火災リスクの判定や設備の不具合発生予測などを行います。株式会社WAVE1が得意とする消防設備業界の知見を活かし、ビルメンテナンスという切り口から業界のDXを支援してまいります。

 

以上の結果、クラウドインテグレーション事業全体における売上高は198,337千円(前年同期比11.5%増)、セグメント利益(営業利益)は50,887千円(前年同期比5.5%減)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は624千円減少しております。セグメント利益(営業利益)に与える影響はありません。

 

<投資関連事業>

投資関連事業を手掛ける「株式会社Showcase Capital」は、スタートアップと事業会社やVC・CVCをオンラインでマッチングするプラットフォーム「SmartPitch(スマートピッチ)」等を通じて、スタートアップ・エコシステムの形成の一助となる活動に取り組んでおります。本有価証券報告書提出日現在、登録数はスタートアップ企業側が440社超、事業会社等の投資家側も170社を超えました。このSmartPitchに登録するスタートアップの中から、先述の株式会社WAVE1と資本業務提携を行いました。クラウドインテグレーション事業において、当社の持つSaaS開発ノウハウと、業界知識を融合したサービスの提供に努めてまいります。

 

以上の結果、投資関連事業全体における売上高は73,362千円(前年同期比267.9%増)、セグメント損失(営業損失)は19,295千円(前年同期はセグメント損失(営業損失)9,226千円)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高及びセグメント損失(営業損失)に与える影響はありません。

 

<情報通信関連事業>

情報通信連事業を手掛ける日本テレホン社におきましては、中古スマートフォンの販売を中心としたリユース関連事業、キャリアショップを中心とした移動体通信関連事業の2事業を展開しております。

 

リユース関連事業は、新型コロナウイルス感染症の影響による世界的な半導体不足が続き、また急激な円安の影響等も受けたことにより、主力商品である高品質なリユースモバイル端末の調達環境が不安定な状況が継続いたしました。移動体通信関連事業は、低価格の新料金プランが普及する中、新規顧客獲得に向けた営業活動を継続実施し、移動体通信事業者が求める店舗の評価向上に努めました。

当社と日本テレホン社の共同事業の進捗としまして、2022年12月に第二弾となるリユースモバイルのオンライン買取サービスを発表いたしました。当社の強みである入力しやすいWebフォームと、本人確認に当社のeKYCサービス「Protech ID Checker」を活用することで、端末のチェック・仮査定・オンライン本人確認をすべてブラウザ上で完結する仕組みを構築しました。サービスは2023年1月より提供開始しております。

また、2022年12月27日には中期経営計画「Next Beyond22-24」を見直し、リユース関連事業に経営資源を集中するため、キャリアショップ運営からの撤退を決定いたしました。

今後は2022年8月に行ったオフィス統合により、さらなるコミュニケーション創出を図ってまいります。

以上の結果、情報通信関連事業全体における売上高は2,953,698千円、セグメント損失(営業損失)は193,115千円となりました。なお、前年同期は日本テレホン社が連結対象でなかったため、情報通信関連事業における前年同期との比較は行っておりません。また、収益認識会計基準等の適用により、売上高及びセグメント損失(営業損失)に与える影響はありません。

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の期末残高は、1,635,450千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況及び主な変動要因は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果使用した資金は、806,471千円(前年同期は92,098千円の獲得)となりました。主な増加要因は、減価償却費115,606千円、のれん償却額64,002千円であります。主な減少要因は、税金等調整前当期純損失664,676千円、棚卸資産の増加額263,448千円であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果得られた資金は、249,882千円(前年同期は65,487千円の使用)となりました。事業譲受による支出304,494千円、無形固定資産の取得による支出121,821千円等により資金を使用した一方で、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入673,699千円等により資金を獲得したことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果得られた資金は、311,974千円(前年同期は349,254千円の使用)となりました。長期借入金の返済による支出351,701千円、短期借入金の返済による支出341,662千円、配当金の支払額55,683千円等により資金を使用した一方で、長期借入れによる収入800,000千円、短期借入金の純増加額300,000千円等により資金を獲得したことによるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の状況

(1) 生産実績

当社グループは、生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

(2) 受注実績

当社グループのサービスは、受注から納品までの期間がきわめて短いため、記載を省略しております。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

SaaS事業

970,243

103.1

広告・メディア事業

437,016

95.9

クラウドインテグレーション事業

198,337

111.5

投資関連事業

73,282

367.5

情報通信関連事業

2,951,883

その他 (注)1

880

178.2

合計

4,631,643

290.5

 

(注)1.「その他」の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、経営管理業務受託事業等であります。

2.セグメント間取引については、相殺消去しております。

3.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。なお、最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績のうち、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満の相手先については、記載を省略しております。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

バリューコマース株式会社

179,563

11.3

兼松コミュニケーションズ株式会社

511,094

11.0

エヌ・ティ・ティレゾナント株式会社

487,990

10.5

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

なお、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う会計上の見積りに与える影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(a)財政状態の分析

当連結会計年度において、日本テレホン株式会社を連結の範囲に含めたことにより、新規連結時の影響として、のれんを除く資産合計が2,345,765千円、のれんが272,755千円、負債合計が962,501千円、非支配株主持分が826,730千円増加しております。以下では、当該影響を含めて記載しております。

 

(資産)

当連結会計年度末における資産合計は、4,002,856千円(前連結会計年度末比1,318,567千円の増加)となりました。これは主に、現金及び預金が240,640千円減少した一方で、商品が464,586千円、売上債権及び契約資産が415,553千円、のれんが439,648千円増加したことによるものであります。

 

(負債)

当連結会計年度末における負債合計は、1,727,177千円(前連結会計年度末比1,223,173千円の増加)となりました。これは主に、短期借入金が258,338千円、買掛金が128,069千円、長期借入金(1年内返済予定含む)が651,632千円増加したことによるものであります。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産合計は、2,275,678千円(前連結会計年度末比95,393千円の増加)となりました。これは主に、剰余金の配当55,683千円及び親会社株主に帰属する当期純損失526,332千円の計上により、利益剰余金が582,015千円減少した一方で、非支配株主持分が676,958千円増加したことによるものであります。

この結果、自己資本比率は39.9%(前連結会計年度末は81.2%)となりました。

 

(b)経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度の売上高は、中核事業であるSaaS事業のストック売上の向上、既存顧客へのコンサルタントによる追加提案売上、オンライン本人確認/eKYCサービス「ProTech ID Checker」や企業と顧客をつなぐプラットフォーム「おもてなしSuite」の販売数増加、「bitWave」「スマホのススメ」等の販売送客アフィリエイト収益、DX支援開発による受託開発案件の納品、リユースモバイルの販売・レンタル等により4,631,643千円(前年同期比190.5%増)となりました。

 

(営業利益)

売上原価は、2,936,086千円(前年同期比664.5%増)、販売費及び一般管理費は2,226,158千円(前年同期比85.9%増)となりました。売上原価及び販売費及び一般管理費の主な増加要因は、日本テレホン株式会社の新規連結によるものであります。この結果、営業損失は530,602千円(前年同期は営業利益12,844千円)となりました。

 

(経常利益)

投資事業組合運用益11,464千円、貸倒引当金戻入額10,899千円、支払手数料25,978千円等が発生したことにより、経常損失は541,085千円(前年同期は経常利益77,809千円)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

受取保険金30,000千円、主要株主株式短期売買利益返還益18,459千円、情報セキュリティ対策費75,081千円、減損損失43,056千円、支払手数料34,570千円等が発生したことにより、親会社株主に帰属する当期純損失は526,332千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益59,756千円)となりました。

 

(3) 資本の財源及び資金の流動性

① キャッシュ・フローの状況の分析

キャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

② 資金需要

当社グループの主な運転資金需要は、今後の成長基盤となる開発人員・営業人員に対する投資及び開発に係る業務委託や広告宣伝費などであります。また、主な投資資金需要は、外部リソースを積極的にグループに取り入れるためのM&Aやベンチャーキャピタル投資における新規案件への投資に係るものであります。

 

③ 財務政策

当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保すること、将来の不確実性に備えて比較的厚めのキャッシュポジションとすることを基本方針としております。そのうえで、短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を、投資資金や長期運転資金の調達につきましては金融機関からの長期借入や第三者割当増資による調達を行う方針であります。

 

(4) 経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりでありますが、外部要因と内部要因に大別されます。

外部要因としては、自然災害によるサーバ停止、インターネット関連市場の新たな規制や技術革新、競合他社との競争激化、法的規制の変化等により影響を受ける可能性がありますが、このような環境下において、当社グループの売上は堅調に推移しております。

内部要因としては、システム障害、コア事業であるSaaS事業への依存、特定人物への依存、優秀な人材の確保や育成、情報漏洩による情報セキュリティの管理等の影響を受ける可能性がありますが、組織体制の整備及び内部管理体制の強化により、これらのリスク要因に対応するよう努めてまいります。

 

 

(5) 経営者の問題意識と今後の方針について

経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりでありますが、収益拡大のためには既存事業の拡大及び認知度の向上のための広報活動やマーケティング、新規事業及び新商品の開発や投資事業によるシナジー創出が必要不可欠であると認識しております。そのためには、優秀な人材の確保や組織体制の整備をこれまで以上に強化し、これらの課題に対して企業価値向上を図るべく、当社グループ経営陣は最善の事業戦略を立案するよう努めてまいります。

 

(6) 経営戦略の現状と見通し

当社グループは、企業のWebサイト分析・解析支援を行うSaaS事業を中心に、広告・メディア事業、オンライン本人確認/eKYCやDX支援開発などの新規事業を通じて、企業価値の向上に取り組んでおります。2021年11月には、企業と顧客のオンライン手続きを「見やすく、わかりやすく、安全に」するプラットフォーム構築を目指す「おもてなしSuite」は、順調にMRRの比率を拡大しております。成長エンジンであるオンライン本人確認/eKYCサービスや「おもてなしSuite」の開発と販売への投資を強化してまいります。また、有力パートナー企業とのアライアンスを実現させ、事業成長を加速してまいります。そして、中核事業の拡大を目的とするM&A戦略を進め、中期的な企業価値の向上と株主還元を目指してまいります。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

資本業務提携契約(AI inside株式会社)

契約会社名

相手方の名称

契約期間

契約内容

株式会社

ショーケース

AI inside

株式会社

契約締結日(2020年12月16日)から、両社が合意した日又はAI inside株式会社が株式会社ショーケース株式を保有しなくなった日のいずれか早い日まで

(資本提携)

・AI inside株式会社に対し、株式会社ショーケース普通株式を第三者割当の方法により発行

(業務提携)

・両社の技術・ノウハウ・製品の相互利用、相互販売

・両社の強みを用いた製品やサービスの共同開発の検討

・上記を推進するための人材や技術の交流

(その他)

・AI inside株式会社は株式会社ショーケースの取締役候補者1名を指名する権利を有する。

 

 

資本業務提携契約(日本テレホン株式会社)

当社は、2022年1月26日開催の取締役会において、日本テレホン株式会社(以下、「日本テレホン社」という。)と資本業務提携(以下、「本資本業務提携」という。)および日本テレホン社が実施する第三者割当による新株式(以下、「本新株式」という)を引受けることを決議いたしました。

これにより、同日の2022年1月26日に本資本業務提携契約を締結し、2022年2月14日に本新株式を引受けました。

なお、本新株式の引受けにより、当社が日本テレホン社の議決権の40.24%を取得し、かつ、本資本業務提携によって当社が日本テレホン社の意思決定機関である取締役会を実質的に支配できる事実が存在する状況となったため、日本テレホン社は当社の子会社となりました。

詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)1.取得による企業結合」に記載のとおりであります。

 

事業譲渡契約(株式会社ALBERT)

当社は、2022年5月11日開催の取締役会において、株式会社ALBERT(東証グロース:3906、2022年12月26日上場廃止)が営むAIを用いたチャットボットサービス「スグレス」に関する事業(以下、「対象事業」という。)を譲り受けることを決議し、同日に事業譲渡契約を締結し、2022年7月1日に対象事業を譲り受けました。

詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)2.取得による企業結合(事業譲受)」に記載のとおりであります。

 

 

5 【研究開発活動】

当社グループは、急激な事業環境の変化や、競合他社に比して更なる収益の拡大を図るために、利用者ニーズの急激な変化をいち早く察知し、新たな技術・サービスを提供することが必須であると考えております。そこで、当社グループでは、この急激な変化に柔軟に対応しつつ顧客満足度の向上を目指すため、研究開発活動を行っております。

 

以上の結果、当連結会計年度における研究開発費の総額は758千円となりました。