第一部 【企業情報】

 

第1 【企業の概況】

 

1 【主要な経営指標等の推移】

(1) 連結経営指標等

 

回次

第7期

第8期

第9期

第10期

第11期

決算年月

2019年12月

2020年12月

2021年12月

2022年12月

2023年12月

売上高

(百万円)

3,849

8,288

9,931

9,739

11,680

経常利益又は経常損失(△)

(百万円)

455

747

960

1,495

409

親会社株主に帰属する当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純損失(△)

(百万円)

459

584

1,194

1,732

606

包括利益

(百万円)

459

583

1,189

1,729

608

純資産額

(百万円)

3,158

16,217

15,105

13,501

13,000

総資産額

(百万円)

10,458

28,505

31,991

31,278

37,297

1株当たり純資産額

(円)

30.94

147.84

135.48

118.81

112.87

1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失(△)

(円)

7.75

5.64

10.80

15.46

5.31

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益

(円)

5.20

自己資本比率

(%)

30.2

56.9

47.2

43.2

34.9

自己資本利益率

(%)

6.0

株価収益率

(倍)

346.3

営業活動による
キャッシュ・フロー

(百万円)

870

3,128

1,782

1,706

80

投資活動による
キャッシュ・フロー

(百万円)

51

471

21

28

53

財務活動による
キャッシュ・フロー

(百万円)

1,879

12,419

21

26

16

現金及び現金同等物
の期末残高

(百万円)

7,195

22,271

24,053

22,344

22,227

従業員数

(名)

136

162

211

266

274

 

(注) 1.第7期、第9期、第10期及び第11期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、1株当たり当期純損失であるため、記載しておりません。

2.自己資本利益率については、第7期、第9期、第10期及び第11期は親会社株主に帰属する当期純損失が計上されているため記載しておりません。

3.第7期、第9期、第10期及び第11期の株価収益率は親会社株主に帰属する当期純損失であるため記載しておりません。

4.従業員数は、就業人員数であり、臨時雇用者数は、従業員数の100分の10未満であるため、記載を省略しております。

5.当社は2019年8月31日付で普通株式1株につき400株、2021年4月1日付で普通株式1株につき5株の割合で株式分割を行っておりますが、第7期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額、1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失(△)及び潜在株式調整後1株当たり当期純利益を算定しております。

6.第9期より、金額の表示単位を千円単位から百万円単位に変更しております。なお、比較を容易にするため、第8期以前についても百万円単位で表示しております。

7.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第10期の期首から適用しており、第10期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

 

(2) 提出会社の経営指標等

 

回次

第7期

第8期

第9期

第10期

第11期

決算年月

2019年12月

2020年12月

2021年12月

2022年12月

2023年12月

売上高

(百万円)

3,198

7,321

8,420

7,635

8,073

経常利益又は経常損失(△)

(百万円)

272

887

860

1,446

322

当期純利益又は当期純損失(△)

(百万円)

276

380

1,147

1,779

520

資本金

(百万円)

2,275

8,513

8,552

8,614

8,669

発行済株式総数

(株)

20,413,800

21,939,400

111,500,749

113,631,964

115,197,823

純資産額

(百万円)

3,361

16,217

15,152

13,501

13,087

総資産額

(百万円)

7,670

25,945

28,390

25,819

27,026

1株当たり純資産額

(円)

32.94

147.84

135.90

118.81

113.63

1株当たり配当額
(1株当たり中間配当額)

(円)

(―)

(―)

(-)

(-)

(-)

1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失(△)

(円)

4.65

3.67

10.37

15.88

4.55

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益

(円)

3.39

自己資本比率

(%)

43.8

62.5

53.4

52.3

48.4

自己資本利益率

(%)

3.9

株価収益率

(倍)

531.6

配当性向

(%)

従業員数

(名)

115

140

186

250

252

株主総利回り

(%)

556.1

175.5

67.2

69.5

(比較指標:配当込みTOPIX) 

(-)

(107.4)

(121.1)

(118.1)

(151.5)

最高株価

(円)

1,967

17,240

2,309

(14,500)

648

386

最低株価

(円)

1,169

774

592

(7,550)

232

222

 

 

(注) 1.1株当たり配当額及び配当性向については、配当を実施していないため記載しておりません。

2.第7期、第9期、第10期及び第11期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。

3.自己資本利益率については、第7期、第9期、第10期及び第11期は当期純損失が計上されているため、記載しておりません。

4.第7期、第9期、第10期及び第11期の株価収益率は1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。

5.従業員数は、就業人員数であり、臨時雇用者数は、従業員数の100分の10未満であるため、記載を省略しております。

6.株主からの取得請求権の行使を受けたことにより、2019年8月14日付でA種優先株式、B種優先株式、C種優先株式、D種優先株式及びE種優先株式のすべてを自己株式として取得し、対価として普通株式を交付しております。また、当社が取得したA種優先株式、B種優先株式、C種優先株式、D種優先株式及びE種優先株式のすべてについて会社法第178条の規定に基づき、2019年8月15日開催の取締役会決議により消却しております。なお、当社は、2019年8月28日開催の臨時株主総会により、同日付で種類株式を発行する旨の定款の定めを廃止しております。

7.当社は2019年8月31日付で普通株式1株につき400株、2021年4月1日付で普通株式1株につき5株の割合で株式分割を行っておりますが、第7期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額、1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失(△)及び潜在株式調整後1株当たり当期純利益を算定しております。

8.最高・最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所マザーズにおける株価を、2022年4月4日以降は東京証券取引所グロース市場における株価を記載しております。なお、2019年10月25日をもって東京証券取引所マザーズに株式を上場いたしましたので、それ以前の株価については記載しておりません。

9.当社は2021年4月1日付で普通株式1株につき5株の割合で株式分割を行っております。第9期の株価については株式分割後の最高株価及び最低株価を記載しており、( )内に株式分割前の最高株価及び最低株価を記載しております。

10.当社株式は、2019年10月25日をもって東京証券取引所マザーズに株式を上場いたしましたので、株主総利回り及び比較指標の最近5年間の推移は第8期以降を記載しております。

11.第9期より、金額の表示単位を千円単位から百万円単位に変更しております。なお、比較を容易にするため、第8期以前についても百万円単位で表示しております。

12.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第10期の期首から適用しており、第10期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

 

 

2 【沿革】

当社代表取締役CEOであり創業者の鶴岡裕太は、Eコマースの課題となっていた決済機能の導入に係る審査期間を短縮すること、専門的なWebサイト構築やWebデザインの技術を使わずに、誰でも簡単にデザイン性の高いネットショップが作成できる仕組みを提供することを目的として2012年12月にBASE株式会社を設立しました。

当社設立以降の企業集団に係る沿革は、下記のとおりであります。

 

年月

概要

2012年12月

 

東京都港区六本木において、BASE株式会社を設立
ネットショップ作成サービス「BASE(ベイス)」の提供開始

2014年3月

 

 

ネットショップ作成サービス「BASE」にて、独自の決済システム「BASEかんたん決済」の提供開始及び「BASEかんたん決済」にて「クレジットカード決済」の提供開始

本社を東京都渋谷区道玄坂二丁目10番12号に移転

2014年6月

 

ネットショップ作成サービス「BASE」の「BASEかんたん決済」にて、「コンビニ決済・Pay-easy(ペイジー)決済」の提供開始

2014年12月

 

オンライン決済サービス「Pureca(ピュレカ)」を開発するピュレカ株式会社株式を取得し、子会社化(2018年5月に清算)

2015年3月

ネットショップ作成サービス「BASE」の「BASEかんたん決済」にて、「銀行振込決済」の提供開始

2015年6月

本社を東京都渋谷区道玄坂二丁目11番1号に移転

2015年9月

オンライン決済サービス「PAY.JP」の提供開始

2015年12月

ネットショップ作成サービス「BASE」の「BASEかんたん決済」にて、「後払い決済」の提供開始

2016年6月

ID決済サービス「PAY ID」(現:購入者向けショッピングサービス「Pay ID」)の提供開始

2017年9月

ネットショップ作成サービス「BASE」の「BASEかんたん決済」にて、「キャリア決済」の提供開始

2018年1月

 

 

オンライン決済サービス「PAY.JP」、ID決済サービス「PAY ID」の事業部門を分社化し、PAY株式会社(現、連結子会社)を設立

新規事業として金融サービスを行うことを目的に、BASE BANK株式会社を設立

2018年6月

渋谷マルイに、リアル店舗出店スペース「SHIBUYA BASE」をオープン

2018年9月

本社を東京都港区六本木三丁目2番1号に移転

2018年12月

資金調達サービス「YELL BANK」の提供開始

2019年10月

東京証券取引所マザーズに株式を上場

2019年11月

ネットショップ作成サービス「BASE」の「BASEかんたん決済」にて、「PayPal決済」の提供開始

2020年10月

ラフォーレ原宿に、リアル店舗出店スペース「BASE Lab.」をオープン

2021年3月

 

ネットショップ作成サービス「BASE」の「BASEかんたん決済」にて、「Amazon Pay決済」の提供開始

2021年6月

渋谷モディに、リアル店舗出店スペース「SHIBUYA BASE」を移転リニューアルオープン

2022年1月

BASE BANK株式会社を吸収合併

2022年4月

 

東京証券取引所の市場区分の見直しにより、東京証券取引所マザーズ市場からグロース市場に移行

ネットショップ作成サービス「BASE」において、月額有料の「グロースプラン」を提供開始

2023年4月

 

ネットショップ作成サービス「BASE」の「BASEかんたん決済」にて、「あと払い(Pay ID)」の提供開始

 

 

 

3 【事業の内容】

当社グループは「Payment to the People, Power to the People.」をミッションとして掲げ、ネットショップ作成サービス「BASE」及び購入者向けショッピングサービス「Pay ID」を提供するBASE事業、オンライン決済サービス「PAY.JP」を提供するPAY.JP事業を展開しており、これらのサービスを通して、個人及びスモールチームをエンパワーメントすること、スタートアップ企業を支援することに注力しております。なお、当社グループは、当社及び連結子会社であるPAY株式会社で構成されており、当社がBASE事業及びその他事業を、PAY株式会社がPAY.JP事業を展開しております。

なお、当連結会計年度より、セグメントの名称をPAY事業からPAY.JP事業へ変更しております。

 

(1) BASE事業

「BASE」は、ものづくりを行う個人にとどまらず、ビジネスを展開する法人、地方自治体をはじめとする行政機関にもご利用頂いているネットショップ作成サービスと、当該サービスによって開設されたショップの商品が購入できるショッピングアプリ等を提供しています。「BASE」は、専門的なWebサイト構築やWebデザインの技術がない方でも、当社が提供するデザインテンプレートや、ノーコードでショップのカスタマイズが可能なショップデザイン機能を使うことで、誰でも簡単にデザイン性の高いネットショップを作成することができます。また、ネットショップ運営の課題となっていた決済機能の導入に係る時間を短縮する仕組みとして、当社独自の決済システム「BASEかんたん決済」を提供し、ネットショップの開設から決済機能の導入までをワンストップで提供することで、これまでネットショップの作成時間、運営費用、Web技術など様々な理由で、ネットショップを始めることが困難だった方でも、手軽にネットショップの開設・運営を始めることができる仕組みを構築しております。

なお、「BASE」の主な特徴は、以下のとおりであると考えております。

 

A) 全てのショップに最適な料金体系

ネットショップの初期導入費用及び月額運営費用が無料の月額無料プランでは、ネットショップの作成から運営まで無料でできるため、誰でもかんたんにネットショップの開設・運営を始めることができます。さらに、成長意欲が高く、売上規模が大きなショップは、サービス利用料を固定金額で支払う月額有料プランを利用することでランニングコストを抑制することが可能です。

なお、月額無料プランは「スタンダードプラン」、月額有料プランは「グロースプラン」として提供しております。

 

 

月額無料プラン

月額有料プラン

サービス利用料

決済金額に対して3.0%

月額 5,980円 (注2)

決済手数料(注1)

決済金額に対して3.6%~

+

1回あたり40円

決済金額に対して2.9%~

 

(注1)Amazon Pay決済及びPayPal決済を利用された場合は、追加でシステム手数料相当額1%を受領しています。

(注2)2024年1月16日より、月額19,980円に変更いたします。決済手数料に変更はございません。

(注3)ショップの売上代金を引き出す際に、別途引出申請手数料を受領しています。

 

B) 「BASEかんたん決済」

当社独自の決済システム「BASEかんたん決済」は、あと払い(Pay ID)、クレジットカード決済、コンビニ決済・Pay-easy決済、銀行振込決済、キャリア決済、PayPal決済、Amazon Pay決済の7つの決済方法を、最短翌営業日からという短い時間で、「BASE」により開設したネットショップに導入することができます。一般的に、ネットショップを始める際には、ネットショップの開設の他に決済機能の導入も併せて行う必要があり、ショップオーナーは、決済会社との間で、別途個別契約の締結や銀行口座の用意が必要など、ネットショップの運営開始までの間に煩雑な手続きを行わなければなりません。「BASE」を用いてネットショップ開設をしたショップオーナーは、これらの煩雑な手続きを行うことなく、「BASEかんたん決済」の利用申請を行うだけで、決済機能を導入することができます。なお、「BASEかんたん決済」は、エスクロー決済(注)であり、「BASE」を利用しているショップとそのショップで買い物をされる購入者とが安心して取引できるよう、当社が仲介することで取引の安全性を確保しております。

(注) エスクロー決済とは、取引の安全性を確保するための仲介サービスです。

 

C) 誰でもかんたんに使える機能

「BASE」では、はじめての方でもかんたんに使えるシンプルな標準機能に加え、多様なニーズに合わせてショップをかんたんに拡充できる拡張機能「BASE Apps」等を提供しております。ネットショップ運営に必要な基本機能は、標準機能としてすべてのショップに対して提供しており、はじめてネットショップを作成される方でもかんたんに操作することができます。また、「BASE Apps」は「BASE」をより便利にご利用頂くための拡張機能であり、目的や必要に応じてネットショップの機能をかんたんに拡充できるシステムです。「BASE Apps」をご利用頂くことによって、ショップの成長に伴うニーズの多様化に対応することが可能になります。主な拡張機能は以下のとおりであります。

 

機能名称

内容

区分

Instagram販売

BASEの商品とInstagramを連携することで、Instagramの投稿に商品をタグづけして、BASEの商品販売ページへ直接リンクさせることができます。

無料

Instagram広告

BASEの商品をInstagram広告として配信し、BASEの商品販売ページへ直接リンクさせることができます。

無料

Google商品連携・広告

Googleの商品管理サービスであるGoogle Merchant Centerのアカウントを作成し、BASEのショップや商品の情報を連携できます。また、Google広告をかんたんに配信することができます。

無料

TikTok商品連携・広告

ネットショップとTikTokクリエイティブツールを連携することで、ショップの商品画像を基にした動画広告を自動で作成し、TikTok上で掲載することができます。

無料

かんたん発送
(ヤマト運輸連携)

伝票作成不要で簡単に商品を発送することができます。

無料

スタッフ権限管理

ショップの運営情報へのアクセス範囲を指定した上で、複数のアカウントを発行できるため、スタッフを増員しても安全にショップを運営することができます。

無料

再入荷自動通知

商品の再入荷に関するショップオーナーの問い合わせ対応の負担を軽減できます。

無料

BASEロゴ非表示

BASEのロゴを非表示にすることができます。

有料

独自ドメイン

ショップのURLをオリジナルのURLに変更することができます。

無料

予約販売

入荷前の商品を先行販売し、予約注文を受けることができます。

無料

メンバーシップ

ショップ独自の会員制度を作成し、ポイントの付与や特典との交換プログラムを設定することができます。

無料

抽選販売

抽選で、当選者にのみ商品を販売することができます。落選者を選択することができるので、人気商品の買い占め防止に役立てることが可能です。

無料

 

 

D) ショッピングサービス「Pay ID」

「Pay ID」は「BASE」で開設されたすべてのショップで使える、購入者向けのショッピングサービスです。オンラインでの購入をかんたんに行えるID決済機能と、ショップと購入者の持続的なリレーション構築をサポートするモバイルアプリによって、決済からアフターショッピングまで包括的にショッピング体験を向上し、ショップと購入者双方への付加価値向上に注力しております。

 

E) リアル店舗出店スペース

「BASE」のショップに対し、リアル店舗を出店し商品販売をする機会を提供しております。リアル店舗出店スペースでは、ショップに対して、百貨店等と連携して販売や接客ノウハウをサポートし、ブランドの認知度の向上や、新規顧客の獲得など、ネットショップに限らずブランドの商機を拡大する支援を実施しております。リアル店舗で商品やショップオーナーの魅力を伝えることで、インターネット上では出会えなかった新たなお客様との出会いの機会を創出し、ショップの魅力を広めることが可能となります。2023年12月末現在、東京都渋谷区の渋谷モディにおける「SHIBUYA BASE」及びラフォーレ原宿における「BASE Lab.」の提供により、「BASE」の出店ショップがリアル店舗を開設し、商品を販売しております。

 

「BASE」を利用しているショップオーナーの特徴は以下のとおりであります。なお、本特徴は、当社が2023年11月に実施したアンケート調査に基づいております(有効回答数2,484ショップ)。

 

A) 少人数でのショップ運営
  ネットショップの運営人数は、「1名」が75.3%、「2名~4名」は23.8%であり、全体の9割以上が4名以下の少人数でネットショップを運営しております。
 

B) 個人でのショップ運営
  個人と法人の利用割合では、個人でネットショップを運営しているショップオーナーが71.7%、法人が28.3%であります。この結果について、当社では、法人はもちろんのこと、初期費用や月額費用が無料であり、商品が売れない時期からコストが先行するリスクなくネットショップ運営に挑戦できる環境が、個人やスモールチームの利用しやすさに繋がっていると考えております。

 

C)  オリジナル商品の販売が多い
 「BASE」で販売されている商品のうち、オリジナル商品を展開しているショップは76.1%であり、大半のショップがショップ独自の商品を販売しております。
 

<BASE事業のビジネスの流れ>

① ネットショップを作成しようとする個人・事業者は、「BASE」を使用してネットショップを作成します。

② 購入者(「BASE」を使用するショップで商品を購入する者)は、顧客(ショップ)が出品する商品の購入決済を行います。決済が行われると、業務提携先の決済代行会社を経由して決済情報が「BASE」に送信されます。ショップは「BASE」を通じて「購入情報」を受領します。

③ 決済代行会社は、購入者から代金を回収し、決済手数料控除後、回収した代金を当社へ支払います。

④ 当社は、決済手数料及びサービス利用料控除後の代金をショップへ支払います。(注)

(注)月額有料プランの場合は決済手数料のみを控除し、サービス利用料月額5,980円は別途顧客(ショップ)に請求いたします。なお、グロースプランのサービス利用料は2024年1月16日より月額19,980円に変更しております。

 

<事業系統図(BASE事業)>


 

 

<ビジネスモデル上の特徴-ストック性の高いビジネスモデル>

BASE事業の主な収益は、「BASE」のショップの売上に対して発生する、決済手数料及びサービス利用料であります。そのため、ネットショップを開設後、継続的に「BASE」を利用することで、「BASE」の流通総額が増大し、当社売上の継続的な成長に寄与いたします。「BASE」におけるショップ開設年別の四半期流通総額(注)は、2023年12月期においては、月額有料プランの提供等により、売上規模の大きなショップの継続率が向上し、流通総額は長期的には着実に積上げられております。これらストック性の高い顧客基盤が「BASE」の特徴です。

                                      (単位:百万円)


(注) 四半期流通総額は、「BASE」での四半期ごとの流通総額(注文ベース)を記載しております。

 

 

なお、「BASE」の各種指標の推移は、以下のとおりであります。

 

年月

四半期流通総額

(注)1

(百万円)

月間平均流通総額

(注)2

(百万円)

月間平均売店数

(注)3

(ショップ)

1ショップあたりの

月間平均流通総額

(注)4

(円)

四半期流通総額

(決済ベース)

(注)5

(百万円)

2019年3月

9,007

3,002

24,770

121,218

7,792

6月

10,480

3,493

26,071

134,001

9,217

9月

11,263

3,754

27,811

135,000

10,049

12月

12,211

4,070

28,537

142,638

11,000

2020年3月

12,532

4,177

30,658

136,261

10,983

6月

31,071

10,357

49,715

208,328

27,582

9月

25,390

8,463

50,553

167,417

24,661

12月

26,302

8,767

51,558

170,051

24,488

2021年3月

25,739

8,579

54,742

156,734

23,956

6月

28,132

9,377

58,833

159,392

26,308

9月

28,175

9,391

60,856

154,329

26,476

12月

31,725

10,575

62,049

170,431

29,865

2022年3月

28,199

9,399

60,672

154,927

26,563

6月

27,898

9,299

61,455

151,322

26,496

9月

28,491

9,497

61,883

153,468

27,199

12月

34,343

11,447

65,516

174,736

32,187

2023年3月

30,929

10,309

63,226

163,064

29,523

6月

32,821

10,940

64,820

168,785

31,374

9月

33,487

11,162

64,948

171,871

31,541

12月

38,752

12,917

68,115

189,641

36,617

 

(注) 1.四半期流通総額は、「BASE」での四半期ごとの流通総額(注文ベース)を記載しております。

   2.月間平均流通総額は、当該四半期における「BASE」での月間流通総額(注文ベース)の平均値を記載しております。

3.月間平均売店数は、当該四半期における月間売店数の平均値を記載しております。月間売店数とは、1ヶ月間に売上が計上されたショップの数をいいます。

4.1ショップあたりの月間平均流通総額は、月間平均流通総額を月間平均売店数で除した数値を記載しております。

5.四半期流通総額(決済ベース)は、「BASE」での四半期ごとの流通総額(決済ベース)を記載しております。決済ベースの流通総額は、注文ベースの流通総額のうち、決済まで至った取引金額の総額であり、決済日が属する月に計上しております。注文から決済までタイムラグがあり、注文日と決済日がずれることによる月ずれの発生及びキャンセルの発生により決済まで至らない取引があることから、注文ベースの流通総額と決済ベースの流通総額の金額は差異が生じます。

 

 

(2) PAY.JP事業

 「PAY.JP」は、Webサービスやネットショップ(「BASE」により作成されたネットショップを除く)にクレジットカード決済を簡単に導入できるオンライン決済サービスです。

「支払いのすべてをシンプルに」というコンセプトのもと、個人・法人を問わずあらゆる開発者が導入しやすいシステム設計としており、「申請に時間がかかる」、「高い」、「使いにくい」という従来の複雑なオンライン決済サービスの問題を解決し、導入を圧倒的に簡単にすることで、オンライン決済の可能性を拡げ、人々のインターネットを通じた経済活動がこれまで以上に活発になるよう支援しております。

なお、「PAY.JP」の主な特徴は、以下のとおりであります。

A) シンプルな料金体系

料金体系は、以下の5つであります。

 

プラン

ベーシックプラン(注)1

プロプラン

(注)2

PAY.JP
Seed

(注)3

PAY.JP
NPO

(注)4

PAY.JP
Travel

(注)5

月額費用

0円

10,000円

0円

0円

0円

決済手数料

(注)6

3.0%又は3.6%

2.59%又は3.3%

2.59%又は3.3%

1.5%又は3.6%

1.5%又は3.3%

支払いサイクル

15日及び月末締め半月後払い

 

(注) 1.「ベーシックプラン」とは、月額費用なしのオーソドックスなプランです。

2.「プロプラン」とは、月間流通総額が数百万円以上の事業者向けのプランです。「ベーシックプラン」に比べて決済手数料率が安く、入金サイクルが早くなる月額課金のプランとなっております。

3.「PAY.JP Seed」とは、PAY.JP指定のベンチャーキャピタルや事業会社から投資を受けた方、または紹介を受けた方のみがご利用いただける、スタートアップ支援プログラムです。

4.「PAY.JP NPO」は、特定非営利活動法人(NPO法人)による寄付のクレジットカード決済のための特別プランです。

5.「PAY.JP Travel」は、旅行業・旅行代理店業を運営される企業様専用特別プランです。

6.決済手数料はクレジットカード会社により異なります。

 

B) 簡単な組込み

シンプルなAPI(注1)と豊富なライブラリ(注2)で、スムーズに決済機能を組み込むことができます。「PAY.JP」を使えば、最短で翌営業日からWebサービスやネットショップで決済機能を利用することができるようになります。その結果、ECサイト運営者にとって決済機能を導入する上で大きな負担となっていた、煩雑な手続きや審査時間を大幅に緩和することが可能です。

(注) 1.Application Programming Interfaceの略語で、あるシステムで管理するデータや機能等を、外部のシステムから呼び出して利用するための手順やデータ形式などを定めた規約のことです。

2.今あるWebサイトなどに簡単に組み込める状態で提供される便利なツールのことです。

 

C) 強固なセキュリティ

JCB・American Express・Discover・MasterCard・VISAの国際クレジットカードブランド5社が共同で策定した、クレジット業界におけるグローバルセキュリティ基準であるPCI-DSS Version 4.0に完全準拠した運用を行っており、公正で高いセキュリティレベルが認められております。また、実在性の疑わしい取引やチャージバック(注1)のリスクを軽減するためにリアルタイムですべての決済を監視しております。さらに、「PAY.JP」のクライアントライブラリを使えばカード情報はトークン化(注2)され、「PAY.JP」へ直接送信されるため事業者のサーバーでは、カード情報に触れることなく安全な決済をすることができます。

(注) 1.チャージバックとは、購入者(クレジットカード保有者)が利用代金の支払いを不服とし、クレジットカード会社に注文取消(返金)を要求することを指します。

2.事業者がクレジットカード情報を扱わなくてもいいように、入力されたカード情報をトークンに置き換えて管理ができる仕組みです。

 

 

<「PAY.JP」サービスのビジネスの流れ>

① 顧客(加盟店)がオンライン決済システムとして「PAY.JP」を導入します。
② 「PAY.JP」が導入されているECサイトで商品を購入する者が、クレジットカードを使用して決済を行います。決済が行われると、業務提携先の決済代行会社を経由して決済情報が「PAY.JP」に送信されます。加盟店は「PAY.JP」を通じて「購入情報」を受領します。
③ 決済代行会社は、購入者から代金を回収し、決済手数料控除後、回収した代金をPAY株式会社へ支払います。
④ PAY株式会社は、決済手数料控除後の代金を加盟店へ支払います。

 

<事業系統図(「PAY.JP」)>

 


 

 

なお、「PAY.JP」の各種指標の推移は、以下のとおりであります。

 

年月

四半期流通総額(注)

(百万円)

2019年3月

4,430

6月

6,244

9月

6,324

12月

6,926

2020年3月

7,018

6月

7,820

9月

9,422

12月

11,808

2021年3月

10,837

6月

13,446

9月

14,693

12月

16,293

2022年3月

16,849

6月

18,444

9月

21,624

12月

23,844

2023年3月

27,096

6月

32,821

9月

39,351

12月

41,858

 

(注) 四半期流通総額は、「PAY.JP」での四半期ごとの流通総額(決済ベース)を記載しております。

 

 

 

それぞれの事業における流通総額、売上高、売上総利益の推移は以下のとおりです。

(単位:百万円)

 

2019年12月

2020年12月

2021年12月

2022年12月

2023年12月

BASE事業

 

 

 

 

 

流通総額(注)1

38,059

87,717

106,607

112,446

129,056

 売上高

3,198

7,321

8,420

7,494

7,765

 売上総利益

2,156

4,872

5,417

4,405

4,434

PAY.JP事業

 

 

 

 

 

流通総額(注)2

23,925

36,069

55,271

80,762

141,127

 売上高

644

939

1,448

2,103

3,606

 売上総利益

67

92

144

219

324

 

(注) 1.流通総額は「BASEかんたん決済」の決済ベースの流通総額を記載しております。

   2.流通総額は「PAY.JP」の決済ベースの流通総額を記載しております。

 

 

(3) その他事業

 「YELL BANK」サービス

「BASE」を利用するショップオーナーから将来発生する債権を買い取ることにより事業資金を提供する、資金調達サービス「YELL BANK」等のサービスを展開しております。

「YELL BANK」は、「BASE」のショップデータを活用することで、「BASE」のショップの将来の売上を予測し、当該予測に基づき将来債権を買い取ることによりショップオーナーに事業資金を提供する資金調達サービスであり、「BASE」のショップのさらなる成長をサポートいたします。

なお、「YELL BANK」の主な特徴は以下の通りであります。

 

A) 必要な金額がすぐに調達できる

「YELL BANK」が「BASE」のショップの将来債権を割り引いて購入することで、ショップオーナーは必要な事業資金をすぐに調達することができます。手数料率(サービス利用料)は1%から20%となります。

 

B) 支払いは商品が売れた時だけ

「YELL BANK」への支払いは、資金調達後、商品が売れた時だけ、支払率(将来債権のうち当社に譲渡した債権の割合)に応じて行われます。「YELL BANK」が買い取った将来債権が万一発生しない場合や、債権が発生したにもかかわらず回収できない場合、そのリスクを「YELL BANK」が負担するため、ショップオーナーは当該リスク無く「YELL BANK」を利用できます。

 

C) ショップ運営データによる将来債権の予測

「YELL BANK」は、「BASE」のショップデータを活用して将来債権額を予測し、利用可能な条件を満たしたショップオーナーに対し本サービスを提供いたします。このため、既存の金融機関を利用できずにチャレンジに足踏みをしていたショップオーナーも、資金調達のチャンスを得ることが可能になります。

 

 


 

 

4 【関係会社の状況】

 

名称

住所

資本金
(百万円)

主な事業
の内容

議決権の所有または被所有割合(%)

関係内容

(連結子会社)

 

 

 

 

 

PAY株式会社
(注)2、3

東京都港区

100

PAY.JP事業

100.0

役員の兼任 2名
管理業務の業務受託
資金の貸付、債務保証

 

(注) 1.「主な事業の内容」欄には、セグメント情報に記載された名称を記載しております。

2.有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社ではありません。

3.PAY株式会社については、売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く)の連結売上高に占める割合が10%を超えておりますが、セグメント情報においてPAY.JP事業の売上高に占める当該連結子会社の売上高(セグメント間の内部売上高又は振替高を含む)の割合が90%を超えているため、主要な損益情報等の記載を省略しております。

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

2023年12月31日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

BASE事業

155

PAY.JP事業

22

その他事業

26

全社(共通)

71

合計

274

 

(注) 1.従業員数は、他社から当社への出向者1名を除く就業人員数であり、臨時雇用者数は、従業員数の100分の10未満であるため、記載を省略しております。なお、出向者1名はBASE事業に所属しております。

   2.従業員数は、当連結会計年度において8名増加しております。

 

(2) 提出会社の状況

2023年12月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(百万円)

252

34.3

2.8

7

 

 

セグメントの名称

従業員数(名)

BASE事業

155

その他事業

26

全社(共通)

71

合計

252

 

(注) 1.従業員数は、当社から子会社への出向者を除き、他社から当社への出向者1名を除く就業人員数であり、臨時雇用者数は、従業員数の100分の10未満であるため、記載を省略しております。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3.従業員数は、当事業年度において2名増加しております。

 

(3) 労働組合の状況

当社グループでは労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。

 

 

(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

①提出会社

当事業年度

補足説明

管理職に占める女性労働者の

割合(%)(注1)

男性労働者の

育児休業取得率

(%)(注2)

労働者の男女の賃金の差異(%)(注1)

全労働者

正規雇用労働者

パート・

有期労働者

19.35

75.00

72.0

71.6

149.8

 

 

(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

 

②連結子会社

 PAY株式会社については、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しています。