文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。
(1) 会社の経営方針
当社グループは引き続き「Payment to the People, Power to the People.」のミッションのもと、個人及びスモールチーム、スタートアップ企業をエンパワーメントすることは変わらず、すべての人が活躍できる社会基盤を提供してまいります。
当社グループは、対象顧客の拡大及びグループ独自の付加価値を向上させることにより、グループの価値創造の最大化を図ってまいります。
この価値創造を推進していくにあたり、中長期の経営方針として、既存プロダクトの成長戦略と、二つのグループ横断の拡大戦略を策定いたしました。
既存プロダクトの成長戦略といたしましては、既存プロダクトの付加価値向上とそれに伴うプライシングの適正化に加え、マーケティング施策の改善等を通じ、既存プロダクト強化によるGMV成長と収益性向上を両立してまいります。
グループ横断の拡大戦略の一つ目といたしましては、「BASE」のショップを対象に提供していた既存プロダクトの「PAY.JP」の加盟店への横展開等により、既存プロダクト間でのシナジーを創出し、成長を加速させていきます。二つ目といたしましては、対象顧客の拡大及び既存プロダクトの付加価値向上等を目的としたM&A及び提携等により、グループ全体の非連続な成長を目指してまいります。
<既存プロダクトの成長戦略>
① BASE事業が提供する「BASE」
これまで通り、個人やスモールチームのエンパワーメントに注力する方針に変更はありません。
その上で、既存プロダクトの成長戦略にのっとり、プロダクトの付加価値向上とそれに伴う料金体系の適正化に加え、マーケティング施策の改善に継続的に取組むことにより、引き続きGMV成長とテイクレート向上の両立に注力します。
A) プロダクトの付加価値向上
販路拡大やマーケティング支援等、ショップの売上成長をより直接的にサポートする拡張機能を提供してまいります。具体的には、越境ECや、リスクなく広告出稿が可能な機能に加え、商品を「作る」ことが得意なショップと「売る」ことが得意なショップをマッチングさせる機能等を予定しています。
B) 料金体系の適正化
2024年1月には月額有料プラン(グロースプラン)の月額費用を値上げすることに加え、一部の拡張機能を有料にてご提供することや、国内のストアフロント事業者として唯一保有している購入者アセット「Pay ID」の収益化等にも取り組み、料金体系を適正化してまいります。
C) マーケティング施策の改善
成長性と収益性を考慮した規律ある投資方針を維持し、幅広い売上規模のショップに対象を拡大することを目的としたリブランディング及びマーケティング施策を、引き続き実施してまいります。
② PAY.JP事業が提供する「PAY.JP」
これまで通り、開発者が使いやすい競争力のあるプロダクトを追求し、プロダクトの付加価値向上を図ると同時に、料金体系の適正化や原価率の改善に加え、セールス&マーケティング等の強化により、引き続き力強いGMV成長と売上総利益率向上の両立に注力いたします。
A) プロダクトの付加価値向上
開発者が使いやすいプロダクトの追求の一環として、管理画面等の改善に取り組むほか、営業代理店制度である「PAY.JPパートナー」やマーケットプレイスを運営する事業者向けの「PAY.JP Platform」の拡充等、既存の決済領域の課題解決に取り組んでまいります。
B) 料金体系及び原価率の改善
プロダクト強化による付加価値の向上に伴い料金体系の最適化を図ると同時に、GMV成長に伴うプラットフォームの拡大を踏まえ、原価率の改善にも取り組んでまいります。
C) セールス&マーケティング等の強化
これまでは自然流入及び「PAY.JP パートナー」の営業代理店制度による新規加盟店獲得により大きな成長を実現してきましたが、今後はその他の新規加盟店獲得経路の強化も目指します。また、現在も高い継続率を維持していますが、引き続き既存加盟店の継続利用を促すことを目的に、大型加盟店を中心に関係構築に努めます。
③ BASE事業が提供する「Pay ID」
「Pay ID」は、ID決済の提供により、購入者のショッピング体験をサポートするショッピングサービスで、登録者数は2023年12月現在、1,300万人を突破しております。今後は、BASEグループのショップ及び加盟店と、購入者双方に対するサービス及び機能の拡充により、「Pay ID」の収益化を目指してまいります。
A) ID決済機能の強化
ID決済機能には、2023年4月から提供を開始したBNPL「あと払い(Pay ID)」に加え、「BASE」で開設された全てのショップで利用可能なID決済機能等がございます。「あと払い(Pay ID)」でのお支払いをより柔軟にすることに加え、独自の自社決済ネットワークの構築に向け、将来的な収益性改善を見据えたスキームの検討を進めてまいります。
B) ショッピングアプリ機能の強化
ショッピングアプリ機能には、お気に入りのショップの新商品や入荷情報をプッシュ通知で受け取ることができるフォロー機能に加え、ショップの検索やレコメンド機能等がございます。購入者に対するレコメンド機能等を改善することで、新たなショップとの出会いを創出することに加え、「BASE」のショップがアプリを活用してマーケティングやCRM等を強化できるよう拡充し、アプリ経由のGMV成長及びアプリの収益化を目指してまいります。
④ その他事業が提供する「YELL BANK」
資金調達サービス「YELL BANK」は、BASEがショップの売上実績をもとに将来の売上を予測し、将来の売上債権を買い取ることで資金提供するサービスです。ショップは、商品が売れたときに支払い率に応じた売上金額を自動的にBASEに支払います。
このように、「BASE」のショップのキャッシュフローを早期化することにより、成長を支援してきた「YELL BANK」等の金融領域は、「YELL BANK」での資金調達金額や手数料の支払い方法等をより柔軟にすることで、更なる付加価値向上を図ってまいります。
<グループ横断の拡大戦略>
① 既存プロダクト間のシナジー創出による成長加速
従来「BASE」のショップを対象に提供してきた既存プロダクトを、「PAY.JP」の加盟店に横展開すること等により、既存プロダクト間でのシナジー創出による成長加速を目指します。なお、「BASE」と「PAY.JP」では、売上規模や運営体制等の加盟店属性が大きく異なっているため、慎重な検証を経て本リリースをする予定です。
② M&A及び提携等によるグループ全体の非連続な成長
個人やスモールチームのエンパワーメントに寄与する取組みであることを前提に、対象顧客の拡大及び新旧顧客双方を対象とした提供価値の拡大を目的としたM&A及び提携等により、グループ全体の非連続な成長を目指してまいります。
2023年12月期には、CEO直下の経営戦略室とCFOを中心に、機動的な実行体制を構築いたしました。
当社グループでは、売上総利益(売上高から流通総額に応じて決済会社へ支払う決済手数料を控除した金額)の成長を重視した経営を行っております。
当社グループの主な収益は、BASE事業においては、BASEショップの流通総額に対して発生する決済手数料及びサービス利用料であり、PAY.JP事業においては、PAY.JP加盟店の流通総額に対して発生する決済手数料であります。そのため収益の源泉である流通総額の最大化と、さらに提供するサービスの高付加価値化及び売上原価の低減により実現される売上総利益の最大化を目指しております。
国内の電子商取引(BtoC-EC)市場は、ネット上での販売商品の多様化、市場参加者の増加、物流事業者による配達時間の大幅な短縮化、スマートフォンの普及、SNSによる情報流通量の増加等を背景に引き続き順調な市場拡大が見込まれております。経済産業省発表の「令和4年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)報告書」によると、BtoC-ECの市場規模は2022年時点で約22.5兆円(物販系約13.9兆円、サービス系約6.1兆円、デジタル系約2.5兆円)となっております。当社設立の2012年の市場規模は約9.5兆円であり、2012年からの10年間で市場規模は2倍を超え大きく成長しております。
また、昨今のSNSの普及により、購入者はネットショップで何らかの商品・サービスを購入する際に、その商品・サービスの販売者と直接交流をして商品・サービスの情報を取得したうえで、商品・サービスの「ユニークさ」や、ショップの世界観や販売者のパーソナリティに価値を見出して、購入するようになってきており、今後もSNSを活用した個人やスモールチームによる情報発信と個人同士のダイレクトな交流による商品販売の流れがさらに強まるものと考えております。
当社の「BASE」におきましても、オリジナル商品を販売するネットショップやブランド独自の世界観を有するネットショップに多数ご利用していただいており、今後想定されうる購入者の志向の変化にもタイムリーに対応可能であると考えております。
また、現在、電子決済普及拡大への取り組みは官民で非常に活発化しており、電子決済やキャッシュレス市場にとっては追い風が吹いている状況とも考えております。
2022年12月期においては、リオープニングに伴うオフライン消費の回復により、国内のオンライン消費が当社の想定以上に減速し、短期的には「BASE」にとって逆風の事業環境となっておりましたが、2023年12月期からは回復基調にあります。当社グループでは、こうした事業環境の変化にも機動的に対応し、現在の入手可能な情報に基づき最善の経営戦略を立案することで、企業価値の最大化に努めております。
上記の経営環境の下、当社グループが対処すべき主な課題として考える事項は以下のとおりであります。
① サステナブルな社会の実現
当社グループは「Payment to the People, Power to the People.」をミッションとして掲げ、インターネットテクノロジーによって、多くの方が必要としながらもまだ享受できずにいる決済や金融領域へのアクセシビリティを高め、これにより個人やスモールチームをエンパワーメントすることで、すべての人が活躍できる社会の実現を目指して企業活動を行っております。当社グループは、1日も早いミッションの実現を目指して、社会に開かれた決済・金融を提供するプラットフォーマーとしての責任と役割に向き合い、サステナブルな社会を実現するためにグループ全体を通じてESGに関する取組みを推進することが重要な課題であると考えております。
そのために、サステナビリティ委員会を設置し、当該委員会においてサステナビリティに関する事項の審議、推進施策の遂行状況のモニタリングを行い、定期的に取締役会に報告することで、ESGに関する取組みを推進する体制を確保しており、当連結会計年度はPRIDE指標2023におけるゴールド認定取得やTCFD提言に基づく情報開示等、D&Iや気候変動関連の取組みを実施いたしました。
今後も、2022年に特定した重点課題であるマテリアリティに関する取組みを中心に、ESGに関する取組みを推進してまいります。なお、特定したマテリアリティは以下の通りです。
② 開発力・技術力の強化
当社グループの事業はインターネット業界と深くかかわっており、競争力のあるプロダクトをEC市場へ提供していくためには、その情報技術やサービスをタイムリーに採用し、常に新しいプロダクトを創造し続けていくことが重要な課題であると考えております。
そのために、EC環境の変化や当社グループのサービス利用者の要望を効率よく吸収し、質の高いプロダクトを提供してまいります。
③ 人材の育成
当社グループは、持続的な成長や事業価値の向上を実現していく上で、人材は最も重要な経営資源であると考えております。
従業員が自身の仕事やキャリアに主体性を持ち、挑戦し続けることを支援することが従業員の育成のために重要であると考え、教育体制や人事制度の整備を行っております。具体的には、社内公募制度の設置、各種研修の実施、D&I推進による多様性と公平性のある環境の整備等、人材育成や自律的なキャリア構築支援のための取組みを実施しております。
④ 内部管理体制の強化
当社グループは今後もより一層の事業拡大を目指しており、社会的責任を果たし、持続的な成長と企業価値の向上を図るために、業務運営の効率化やリスク管理のための内部管理体制の強化が重要な課題であると考えております。
そのため、バックオフィス業務の整備を推進し、経営の公正性・透明性を確保するための内部管理体制強化に取り組んでまいります。具体的には、リスクマネジメント及びコンプライアンス委員会を設置の上、業務運営上のリスクの把握及び管理の実施、役職員に対する定期的な研修等による啓蒙活動の実施、定期的な内部監査の実施等によるコンプライアンス体制の強化、監査役監査の実施によるコーポレート・ガバナンス機能の充実等を図っております。
⑤ サービスの安全性・健全性の確保
当社グループは、取引の場や決済サービスを提供する事業者として、あらゆるステークホルダーが安心して取引を行うことができるよう、サービスの安全性・健全性を確保することが重要な課題であると考えております。
そのため、BASE事業においては、365日対応の専門部署を設置することはもちろん、当社が保有する取引データの機械学習の活用等による分析やクレジットカード会社の不正配送先データベースの活用、3Dセキュアの導入等による不正決済や不適切な商品の販売を検知・防止、ネットショップ運営者に対するログイン認証方法の強化等を実施しており、また、PAY.JP事業においては、クレジット業界におけるグローバルセキュリティ基準であるPCI DSSに完全準拠した運用でクレジットカード情報を管理することで、サービスの安全性・健全性の確保を図っております。
⑥ 2025年12月期通期黒字化に向けた財務体質の改善
当連結会計年度においては、サステナブルな事業運営を可能にするため、収益性の改善に注力した経営を行ってまいりました。
今後につきましても、規律ある投資方針のもと売上総利益を更に増加させ、2025年12月期通期黒字化を達成し、グループ全体の価値創造の最大化を目指してまいります。
⑦ 情報管理体制の強化
当社グループが提供するサービスにおいては、サービス利用者の個人情報をはじめとした様々な情報を預かっており、これらの情報を適切に管理するための体制強化が重要な課題であると考えております。
そのため、情報セキュリティ基本規程等の社内規程を制定し、これらに基づいて情報の適切な管理を徹底しております。
また、情報セキュリティ専門部署の設置や、全社員向けの情報セキュリティ研修実施による情報セキュリティ対策の強化を図ることはもちろん、情報セキュリティ委員会を定期開催して情報セキュリティ上のリスクの洗い出し及び議論を実施しております。
今後も、グループ全体の教育・研修の実施やシステムの強化・整備を推進し、情報管理体制を強化してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループでは、サステナビリティ基本方針、マテリアリティ、サステナビリティに関連する施策案その他サステナビリティに関する重要事項の審議、調整及びモニタリングを行うとともに、経営会議へ上程すべき重要事項を審議・検討することを目的に、2022年3月からサステナビリティ委員会を設置しております。サステナビリティ委員会を経由して経営会議で審議・決定された事項及び進捗状況については、定期的に取締役会に報告しております。
経営会議において決定した対応方針・施策等は、サステナビリティ委員会委員長である代表取締役CEOを中心として、社内の各部門が主体となって推進しております。
BASEグループは「Payment to the People, Power to the People.」をミッションに掲げ、インターネットテクノロジーによって、多くの方が必要としながらもまだ享受できずにいる決済や金融領域へのアクセシビリティを高め、それにより個人・スモールチームをエンパワーメントすることですべての人が活躍できる社会の実現を目指して企業活動を行っております。
創業当初から、「インターネットによって個人・スモールチームがより強くなったその時に、世界がもっともっとよくなる。」ということを誰よりも信じ続けてプロダクトの企画・開発に取り組んでまいりました。その想いはこれからも変わりません。
Payment to the People, Power to the People.
私たちは1日も早いこのミッションの実現を目指して、社会に開かれた決済・金融を提供するプラットフォーマーとしての責任と役割に向き合い、サステナブルな社会を実現するためにグループ全体を通じてESGの取り組みを推進してまいります。
基本方針に基づき、当社グループのサステナビリティ経営を加速させていくためのマテリアリティ(重要課題)を特定いたしました。今後は、マテリアリティを中心に施策を推進してまいります。
なお、マテリアリティの特定プロセスは以下の通りです。
STEP1 マテリアリティ候補の抽出
GRIスタンダード、SDGs (国連の持続可能な開発目標) 、SASB(サステナビリティ会計基準審議会)といった国際的な指標および、ISOや国際的なESG格付基準を参照し、当社の事業特性などを踏まえ、環境・社会・ガバナンスに係る重要課題候補を抽出いたしました。
STEP2 マテリアリティ候補の絞り込み・評価
社内外の取締役、上級執行役員、監査役および株主・投資家にインタビューを実施いたしました。その結果をもとに、“自社にとって重要な課題”および“ステークホルダーにとって関心度が高い課題”の観点より総合的に判断し、マテリアリティ候補の絞り込み・評価を実施いたしました。
STEP3 マテリアリティの特定
取締役会および経営会議における議論を通じて、当社ビジョンや経営戦略との関連性を評価し、取締役会決議を経て優先的に取り組むべき重要課題を特定いたしました。
特定したマテリアリティは、第2の1(5)①「サステナブルな社会の実現」をご参照ください。
当社は、持続的な成長や事業価値の向上を実現していくうえで、人材は最も重要な経営資源であると考えております。そのためには、従業員が自身の仕事やキャリアに主体性を持ち、挑戦し続けることを支援することが従業員の育成のために重要であると考えております。
■具体的な取り組み
社内公募
弊社では社内公募制度を導入しております。社内公募制度は社外に出している求人に対して、社内の従業員も応募できる制度となっており、これにより社外の人材との競争力を持つことで、従業員のキャリア機会と自己成長を促進しております。社内公募導入後は6名の社内公募での異動実績もあり、従業員も積極的に活用しております。
このように、弊社では全社的な人材育成や自律的なキャリア構築支援のための取り組みを実施しております。
多様性を尊重する企業文化のもと、一人ひとりの個性や能力が最大限に発揮できる制度や職場環境を整備し、ワークライフバランスの推進とD&I環境を醸成し、社員のワークエンゲージメントの向上を実現いたします。
■具体的な取り組み
ワークライフバランスの確保
フレックスタイム制度の導入や在宅勤務制度の導入、育児休暇取得の推進など、ライフステージの変化や多様化する価値観に合わせて、多様な従業員が生産性高く働ける仕組みを提供し、すべての人材が活躍できる環境を整備しております。
エンゲージメントサーベイの実施
定期的に従業員に対してエンゲージメントサーベイを実施し、組織全体で課題の改善を行っております。これにより、従業員のパフォーマンスの向上とともに、事業成長の原動力とすることに取り組んでおります。
DE&Iの推進
BASEグループは、個人・スモールチームをエンパワーメントすることですべての人が活躍できる社会の実現を目指して企業活動を行っております。すべての人が活躍できる社会の実現を目指す企業として、性別・年齢・国籍・宗教・性自認・性的指向・性表現・民族・障害など、多様なバックグラウンドを持つあらゆるメンバーが働きやすい職場環境づくりを推進しております。
具体的には、D&I研修の実施による社内理解度の向上や、社内制度のアップデートを行っております。
女性活躍の推進
当社は女性の労働課題に対して施策を講じ、女性が活躍できる環境づくりを推進しております。
これにより、性別・国籍・障害等の社内人材の多様性を広げ、そこから生まれるさまざまな視点を活かすことで、事業の成長にもつなげていくことを目指しております。
当社では「リスクマネジメント及びコンプライアンス委員会」において、事業活動を行う上で対処すべきリスクを認識・特定し、重点対応の協議を行っています。「リスクマネジメント及びコンプライアンス委員会」は代表取締役CEOを委員長とし、委員長により選任された委員で構成されており、四半期毎に開催され、特に重要と認識されたリスクについては定期的に取締役会へ報告されます。
当社では、決済・金融を提供するプラットフォーマーとして、大規模災害の発生を事業継続に影響をもたらす重要リスクの一つと捉え、従業員およびその家族の安全の確保、事業活動への影響の最小化を最優先事項として速やかな復旧に努められるよう、事前に想定されるリスクを抽出し、リスクの防止や低減等の各種施策を講じております。 2023年6月には、BASEグループとして事業継続計画(BCP)規程の策定を行い、代表取締役CEOを危機対策責任者とする危機管理体制の構築や安否確認システムの導入、各種マニュアル(防災・災害対策マニュアル、重要業務復旧計画書等)を整備する等、緊急事態が発生した場合に迅速な初動対応と事業の継続・早期復旧・正常化を図ることを可能にしております。 また、BCP主管部署にてBCP年間活動計画を策定し、平時から非常事態の発生を想定した安否確認訓練や自衛消防隊訓練を定期的に実施して非常時における各部署の役割と連絡体制が正しくスムーズに機能しているかを確認しており、必要に応じて随時見直しをしております。それらの結果については、四半期に一度開催されるリスクマネジメント及びコンプライアンス委員会に報告され、必要な対応方針の協議および対応状況のモニタリングを行う仕組みを構築しております。
引き続き、事業継続計画(BCP)規程に基づいたPDCAサイクルを回し、リスク管理強化に取り組んでまいります。
今後はサステナビリティに関する事項を所管する部門にて、社内の関係部門の協力の下、特定・評価した気候変動に関するリスクと機会を「サステナビリティ委員会」に報告・提言し、全社的な気候変動への対応を推進してまいります。また、「サステナビリティ委員会」で挙がった気候変動に関わる重要な環境リスクや気候変動問題を含む社会課題については、「リスクマネジメント及びコンプライアンス委員会」と連携し、全社リスクに統合してまいります。
女性管理職比率、男性の育児休業取得率、男女間賃金格差に関する指標については、
当社では、人材の育成及び社内環境整備に関する方針に基づき、以下の指標及び目標を定めております。なお、2030年までに下記を達成することを目標としております。
女性役員比率30%以上
女性管理職比率30%以上
当社グループでは、気候変動問題を事業に影響をもたらす重要課題のーつと捉え、マテリアリティ(重要改題)の一つとしてグループ全体で気候変動対策に取り組んでおり、2023 年 3 月には、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への賛同を表明しました。TCFD 提言にある「ガバナンス」、「戦略」、「リスク管理」、「指標と目標」の開示推奨項目に沿って、 気候関連情報を開示いたします。
当社グループでは、気候変動がもたらすリスク及び機会につき、TCFD が提唱するフレームワークに基づいて当社グループ事業の特性を踏まえたシナリオ分析を行った結果、現時点においては以下のとおり認識しております。
当社グループでは、気候変動に関する評価指標として GHG(※1)排出量を算定しております。直近 2 か年における GHG 排出量(※1)の実績は下表の通りです。Scope1+2 については、2025 年度末までに 2022 年比で 100%削減を目指し、目標達成に向けたアクションの検討および実行を進めてまいります。なお、Scope3 については、当社事業の特性を踏まえた形で、算出可能な範囲についての検討および議論を進めてまいります。
(※1)Green House Gas(温室効果ガス)の略称
(※2)マーケット基準で算定
なお、当社は、2023 年 9 月より、本社オフィスの使用電力を全て再生可能エネルギー由来の電力に切り替えております。さらに、今後は、都内の商業施設のスペースで展開している BASE ポップアップストア(加盟ショップ商品を直接販売可能なスペース)で使用している電力についても、再生可能エネルギー(電力)由来のクレジットを購入することによるカーボンオフセットを実施し、2 年後の2025 年度末までに、当社グループにおけるGHG排出量(※1)実質ゼロを目指してまいります。
当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、リスク要因となる可能性があると考えられる主な事項及びその他投資者の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる事項を以下のとおり記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上重要であると考えられる事項については積極的に開示することとしております。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を十分に認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に取り組む方針ではありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の記載事項を慎重に検討したうえで行われる必要があると考えております。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
経済産業省発表の「令和4年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)報告書」によると、BtoC-ECの市場規模は2022年時点で約22.5兆円(物販系約13.9兆円、サービス系約6.1兆円、デジタル系約2.5兆円)となっております。当社設立の2012年の市場規模は約9.5兆円であり、2012年からの10年間で市場規模は2倍を超え大きく成長しております。
また、株式会社野村総合研究所発表の「2026年度までのICT・メディア市場の規模とトレンドを展望」によると、電子マネーや各種カードにより支払いをキャッシュレスで行うスマートペイメント(企業と個人間での商取引における電子的な決済手段)の市場の取扱高は2026年において147.8兆円に達する見通しです。
しかしながら、契約当事者の顔が見えず相手方の特定や責任追及が困難なこと等から悪質商法が行われやすい環境であり、電子商取引やオンライン決済サービスをめぐる新たな法的規制や個人消費の減退等により電子商取引やオンライン決済サービス自体が消費者に受け入れられない場合、電子商取引やオンライン決済サービスの普及の低迷や電子商取引やオンライン決済サービス市場の停滞が懸念されます。この場合、電子商取引やオンライン決済サービス市場規模と密接な関係にある当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、リオープニングに伴うオフライン消費の回復が、国内のオンライン消費にマイナスの影響を与える状況が、政府の政策等により当社グループの想定を超えて継続する可能性や、想定よりも大きな影響を与える可能性があります。
当社グループの事業が属する電子商取引市場においては、ネットショップ作成サービスやショッピングアプリの開発・提供、及び決済代行サービス等のいずれの分野でも現在複数の競合会社が存在しており、相互に競争関係にあり、機能競争、価格競争が活発化しております。当社グループは引き続き、創業以来培ってきたノウハウを活かし、サービスの機能強化等に取り組んでいくほか、大手企業にはないサービスの開発に注力することで、差別化を図ってまいります。
しかしながら、当社グループと同様のサービスを提供する事業者の参入増加や、資本力、ブランド力、技術力を持つ大手企業の参入、競合他社の価格競争力、サービス開発力、又は全く新しいビジネスモデルや技術によるサービスを提供する事業者の参入等により、当社グループのサービス内容や価格等に優位性がなくなった場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
同様に、オンライン決済サービス市場においても、複数の競合他社が存在しております。当社グループでは引き続き一歩先を行くスピーディーな事業展開と、プロダクト開発体制の強化を進めていくことで、他者との差別化を図ってまいります。
しかしながら、今後競合他社が当社グループのサービスを模倣・追随し、これまでの当社グループの特徴が標準的なものとなり差別化が難しくなること、これまでにない全く新しい技術を活用した画期的なサービス展開をする競合他社が出現することなどの事態が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
インターネット・情報セキュリティの技術革新は著しく、EC市場においても決済手段の多様化やスマートフォン利用の拡大等常に進化しております。当社グループでは、安心で便利なEC環境を創造するため、より堅牢なセキュリティの整ったサービスの追求・新たなサービスの開発を行い、競争力を維持するため技術革新への対応を進めております。
しかしながら、今後当社グループが新たな技術やサービスへの対応が遅れた場合、当社グループのショップオーナーや購入者に対するサービスが陳腐化し、その結果競合他社に対する競争力が低下する恐れがあり、そのような場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが運営する「BASE」、「Pay ID」、「PAY.JP」及び「YELL BANK」では、加盟店及び購入者の決済を円滑化するサービス、加盟店のキャッシュ・フロー改善に資する早期入金サービス、将来債権の買い取りによる資金調達サービス等を提供しており、これらのサービスは「個人情報の保護に関する法律」、「割賦販売法」、「不当景品類及び不当表示防止法」、「特定商取引に関する法律」、「資金決済に関する法律」等の適用を受けております。
当社グループでは、社内の管理体制の構築等によりこれらの法令を遵守する体制を整備するとともに、当社グループのサービスを利用するショップに対しても、これらの法令遵守を促すよう利用規約に明記しております。また、規制当局の動向及び既存の法規制の改正動向等を踏まえ、適切に対応しておりますが、かかる動向を全て正確に把握することは困難な場合もあり、当社グループがこれに適時適切に対応できない場合や、当社グループが事業を展開するEC業界やオンライン決済サービス業界に関する規制等の新たな制定又は改定が行われた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
地震・雷・台風・津波・悪天候その他の自然災害、長時間の停電、火災、疫病・感染症の蔓延、放射能汚染、その他の予期せぬ自然災害が発生した場合、当社グループの事業の運営又は継続に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、感染症が拡大した場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、政変、戦争、テロリズム、クーデター、外国軍隊からの一方的な攻撃又は占領、政府等による当社グループ設備の接収、第三者による当社グループ設備の不法占拠その他の事故によっても、当社グループの事業の運営に重大な影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、あらゆる事態を想定して事業継続のための計画策定等を進めておりますが、これらのリスクの発現による人的、物的損害が甚大な場合は当社グループの事業の継続自体が不可能となる可能性があります。
当社グループでは、あらゆる事態を想定して事業継続計画(BCP)の策定を行い、危機対策事務局にて、平時から非常事態の発生を想定した安否確認訓練や自衛消防隊訓練を定期的に実施して非常時における各部署の役割と連絡体制が正しくスムーズに機能しているかを確認しており、必要に応じて随時見直しをしておりますが、これらのリスクの発現による人的、物的損害が甚大な場合は当社グループの事業の継続自体が不可能となる可能性があります。
⑥ 物価高騰
ウクライナ情勢の長期化、円安等に起因して物価が上昇しており、家計に与える影響が危惧される状況となっております。物価高騰により急激に消費行動が変化した場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
当社グループの運営するサービスにおいては、ショップオーナーや購入者等のサービス利用者による法令により禁止されている物品の取引、詐欺等の違法行為、他人の所有権、知的財産権、プライバシー権等の権利侵害行為、法令や公序良俗に反するコンテンツの設置その他不適切な行為が行われる危険性が存在しております。かかる事態が生じることを防止すべく、当社グループのカスタマーサポートが随時、利用状況の監視や、利用規約に基づく警告・違法情報の削除等を行っております。
しかしながら、万が一、かかる事態が生じることを事前に防止することができなかった場合には、当社グループの運営するサービスの信用及びブランドイメージが低下し、ユーザー離脱等が発生する可能性があります。また、問題となる行為を行った当事者だけでなく、当社グループにおいても取引の場を提供する者として責任追及がなされるおそれがあり、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは、加盟店に対して簡単にクレジットカード決済を導入できる決済手段を提供しております。当社グループでは、ショップオーナーの債務不履行、購入者が第三者のクレジットカードを不正に利用する不正決済を防止するために、365日対応の社内の担当部署により取引状況の監視を行うとともに、システムによる不正決済の検知を行っております。
また、当社グループでは、クレジットカード情報や住所等の購入者情報等を登録することで、都度クレジットカード番号や住所を登録することなく、IDとパスワードでログインするだけでスムーズに決済を行うことができる購入者向けショッピングサービス「Pay ID」を提供しております。「Pay ID」にログインする際に二段階認証を要求する等の対応を行うことにより、第三者による不正ログインや、それに伴う不正決済が行われることを防止しております。
しかしながら、万が一、これらの事態を事前に防止できなかった場合、クレジットカード売上の取消しによる決済代行会社への売上金の返金、被害者から当社グループへの損害賠償請求、当社グループの信用の下落等による損害が発生し、業績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。
当社グループは、第三者による当社グループのサーバー等への侵入に対して、ファイヤーウォール等の情報システム対策を施すほか、専門のチームを設置することにより組織的な情報セキュリティ強化を推進しております。
しかしながら、悪意をもった第三者の攻撃等により顧客情報及び顧客の有する重要な情報を不正に入手されるといった機密性が脅かされる可能性、顧客サイトの改ざん等のデータの完全性が脅かされる可能性、及びいわゆるサービス不能攻撃によってサービス自体が提供できなくなる等のシステム障害の可能性があります。このような事態が生じた場合、当社グループに対する法的責任の追及、企業イメージの悪化等により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの事業は、24時間365日安定したサービスを提供する必要があります。そして、当社グループのサービスを構成しているプログラム及び情報システムは、通信ネットワークに依存しております。そのため、当社グループでは、サービスの情報システムの監視体制やバックアップ等の対応策をとっております。
しかしながら、災害や事故等の発生により通信ネットワークが切断された場合、急激なアクセス数の増大によりサービス提供のためのサーバーが一時的に作動不能になった場合、又はサーバーハードウェアに不具合が発生した場合には、安定したサービス提供ができなくなる可能性があります。この場合、当社グループの顧客への代金支払等に直接的な障害が生じる可能性があることから、信用低下や企業イメージの悪化等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは、事業を通じて取得した個人情報を保有しており、「個人情報の保護に関する法律」の規定に則って作成したプライバシーポリシーに沿って個人情報を管理し、その遵守に努めております。また、当社ではショップが購入者から取得した個人情報について委託を受けて管理しており、ショップによる個人情報流出を防止するため、管理画面へのログインについて2段階認証を導入しています。PAY株式会社はクレジットカード情報を保有しているため、JCB・American Express・Discover・MasterCard・VISAの国際クレジットカードブランド5社が共同で策定した、クレジット業界におけるグローバルセキュリティ基準であるPCI DSS Version4.0に完全準拠した運用でクレジットカード情報を管理しております。なお、当社ではクレジットカード情報を保有していないものの、必要に応じてPCI DSS Version4.0に準拠しております。
しかしながら、不測の事態により個人情報が漏洩した場合や個人情報の収集過程で問題が生じた場合、クレジットカード情報が漏洩した場合には、当社グループへの損害賠償請求や当社グループの信用の下落等による損害が発生し、業績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。
⑥ 知的財産権について
当社グループは、当社グループのサービスに関する知的財産権の取得に努め、当社グループが使用する商標、技術等についての知的財産権による保護を図っております。また、インターネットビジネス業界における技術革新、知的財産権ビジネスの拡大等に伴い、知的財産権の社内管理体制を強化しております。
しかしながら、契約条件の解釈の齟齬、当社グループが認識し得ない知的財産権の成立等により、当社グループが第三者から知的財産権侵害の訴訟、使用差止請求等を受けた場合、解決まで多額の費用と時間がかかることにより、当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、今後の更なる事業拡大と収益源の多様化を図るため、引き続き、積極的に新サービスや新規事業に取り組んでいく考えであります。これにより人材、情報システム投資や広告宣伝費等の追加投資が発生し、損益が悪化する可能性があります。また、新サービスや新規事業を開始した際には、その新たなサービス固有のリスクが加わり、当初想定とは異なる状況が発生することにより当初の計画通りに進まない場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
⑧ 特定の業務提携先への依存について
当社グループが提供しております、クレジットカード決済を主とする決済代行サービスやオンライン決済サービスは、特定の業務提携先との契約によるものであります。これら業務提携先からの、手数料引き上げ要求、契約打ち切り、取引内容変更等が発生した場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、業務提携先が受領したネットショップ売上金の当社グループへの入金が、何らかの理由で不能又は遅延した場合、当社グループのキャッシュ・フロー及び業績に支障をきたす可能性があります。
当社グループが提供するサービスは、ものづくりを行う個人やビジネスを展開する法人等のためのネットショップの開設・運営の支援やオンライン決済サービス等の提供による決済プラットフォームの構築支援であります。当社グループのビジネスモデルは、これらサービスの認知度向上や顧客拡大のための投資を積極的に行い、当該プラットフォーム上での流通量の拡大に伴う収益の増加により、投資回収を図る形態のため、当社グループのサービスを拡大していくための開発人員の採用や広告宣伝活動等の先行投資が発生いたします。また、継続的な事業成長のためには、機能性や信頼性の面でより優れた決済プラットフォーム基盤の構築や更なる認知度の向上及び顧客拡大に取り組んでいかなければならないと考えております。
当社では設立以来、これらの取り組みを積極的に進め、開発人員を中心とした優秀な人材の採用、TVCMやインターネット広告等による認知度向上や顧客獲得のためのマーケティング活動等の継続的な投資を行ってきたこともあり、新型コロナウイルス(COVID-19)の影響が顕著であった第8期を除き、経営成績は営業赤字を継続しております。また、当社の営業活動によるキャッシュ・フローは、顧客店舗等からの営業未払金及び営業預り金の増減による影響が大きく、当該営業未払金及び営業預り金を除くと営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスが継続している状況であります。
当社グループの各サービスは成長途上にあり、更なる企業価値の向上に向けて、販売費及び一般管理費の抑制に努め、筋肉質な財務体質への転換を図る方針であります。
(注) プロモーション費は、広告宣伝費と販売促進費を合計したものであります。
(第10期連結会計年度)
(単位:百万円)
(第11期連結会計年度)
(単位:百万円)
今後も、「Payment to the People,Power to the People.」というミッションを実現させるため、これまで以上に優秀な人材の採用・育成を行うとともに、知名度と信頼度の向上のための広報・PR活動、顧客獲得のためのマーケティング活動等を効率的に行っていくことで、収益力の更なる強化を図ることと併せて、営業黒字化への早期達成に向けた取り組みを行っていく方針であります。
しかしながら、想定通りに事業展開が進まず、先行投資を上回る収益が十分に創出できない場合や、環境の変化や競合他社の状況を踏まえて当初の想定以上に多額のマーケティング費用や開発費用の投入が必要となった場合は、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社代表取締役CEOである鶴岡裕太は、創業者であり、創業以来代表を務めております。同氏は、EC及びオンライン決済サービスに関する豊富な知識と経験を有しており、経営方針や事業戦略の決定及びその遂行において極めて重要な役割を果たしております。
当社グループは、取締役会における役員の情報共有や経営組織の強化を図り、また、執行役員制度を導入することにより、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めておりますが、何らかの理由により同氏が当社グループの業務を継続することが困難となった場合は、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは、今後の成長戦略上必要なプロダクト開発計画の達成のため、従業員の育成、人材の採用を行うとともに業務執行体制の充実を図っていく方針ではありますが、これらの施策が適時適切に進行しなかった場合は、当社グループの事業展開に影響を与える可能性があります。
当社は、2012年12月に設立し、未だ成長途上にあるため、今後更なる事業拡大に対応するため、内部管理体制について一層の充実を図る必要があると認識しております。
しかしながら、事業規模に適した内部管理体制の構築に遅れが生じた場合、今後の事業運営又は事業拡大に支障をきたし、当社グループの業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。
第11期連結会計年度末時点において、税務上の繰越欠損金が存在しております。当社グループの業績が事業計画に比して順調に推移することにより、繰越欠損金が解消した場合には、通常の税率に基づく法人税、住民税及び事業税が計上されることとなり、当社グループの業績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。
当社グループは、株主に対する利益還元を重要な経営課題として認識しております。
しかしながら、現在は成長途上にあると認識しており、内部留保の充実を図り、収益力強化や事業基盤整備のための投資に充当することにより、なお一層の事業拡大を目指すことが、将来において安定的かつ継続的な利益還元に繋がるとの考えから、創業以来配当を行っておりません。
将来的には各期の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況を勘案したうえで株主に対して利益還元を実施していく方針ではありますが、現時点において配当実施の可能性及びその時期等については未定であります。
当社グループでは、企業価値の向上を意識した経営の推進を図るとともに、役員及び従業員の業績向上に対する意欲や士気を一層高めることを目的として、当社グループの役員及び従業員等に対して新株予約権(インセンティブを目的とした新株予約権(ストック・オプション)を含む)及び譲渡制限付株式を付与しております。また、今後においても当社グループ役員及び従業員の士気向上や優秀な人材の確保を図るため、ストック・オプションの発行や譲渡制限付株式の発行を実施する可能性があります。
2023年12月末日現在において、これらの新株予約権による潜在株式数は2,126,000株であり、発行済株式総数(自己株式を除く)115,177,929株の1.8%に相当します。
今後、これら新株予約権が行使された場合や、譲渡制限付株式を発行した場合には、将来的に既存株主が保有する株式価値の希薄化や需給関係に影響を及ぼす可能性があります。
④ 気候変動について
気候変動問題が世界的に重要なリスクとして広く認識されている中、当社グループの気候変動への対応や開示が不十分と評価された場合には、信用及びブランドイメージの低下により事業運営に支障をきたす可能性があります。また、新たな法令・規制の導入や強化等がなされた場合には、コストの増加により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクを踏まえ、当社グループでは2023年3月にTCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)による提言への賛同を表明、同年10月にはTCFD提言にある「ガバナンス」、「戦略」、「リスク管理」、「指標と目標」の開示推奨項目を特定済みであり、弊社ホームページ上にTCFD提言に基づく情報開示を実施しております。
引き続き、気候変動が事業にもたらすリスクや機会についての分析と対応を強化し、情報開示を進めてまいります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当社グループは「Payment to the People, Power to the People.」をミッションとして掲げ、ネットショップ作成サービス「BASE」を提供するBASE事業、オンライン決済サービス「PAY.JP」を提供するPAY.JP事業を展開しており、これらのサービスを通して、個人及びスモールチームをエンパワーメントすること、スタートアップ企業を支援することに注力しております。当連結会計年度においては、地政学リスクの高まりや物価高騰など、依然として経済の先行きは不透明な状況が続いておりますが、COVID-19の感染拡大及び収束に伴う混乱等が徐々に落ち着き、経済活動が正常化に向かう動きもみられました。このような事業環境においてBASE事業では、幅広い個人及びスモールチームから圧倒的に選ばれるポジションを維持し、中長期にわたる持続的な成長を実現するために、引き続きプロダクトの強化に努めております。PAY.JP事業では、スタートアップ企業やベンチャー企業をターゲットに、よりシンプルで導入や運用が簡単なオンライン決済機能を目指してプロダクトを強化し、既存加盟店の成長及び新規加盟店の拡大に努めております。
以上の結果、当社グループの当連結会計年度の売上高は11,680百万円(前年同期比19.9%増)、営業損失は425百万円(前年同期は営業損失1,508百万円)、経常損失は409百万円(前年同期は経常損失1,495百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は606百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失1,732百万円)となりました。
なお、当連結会計年度より、セグメントの名称をPAY事業からPAY.JP事業へ変更しております。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
当連結会計年度におけるBASE事業の流通総額は、2022年4月より提供を開始した月額有料プランの効果等により、売上規模の大きなショップが成長を牽引し、国内のオンライン消費の成長率を上回って増加しました。当第4四半期連結会計期間においても同様に、流通総額は好調に推移しました。当第4四半期連結会計期間におけるテイクレート(注)は、手数料率の低い月額有料プランの流通総額構成比に変化がなかったため横ばいで推移し、当第4四半期連結会計期間における売上高は流通総額の増加に伴って増加しました。
また、プロダクト開発も期初の想定通りに進捗しました。AIを活用して業務効率化やショップデザイン等を強力にサポートする「BASE AI アシスタント」に加え、CRMをサポートする「メンバーシップ App」等、幅広い売上規模のショップに対し、付加価値を向上させる機能を多数提供しました。
以上の結果、当連結会計年度の流通総額は、注文ベースで135,991百万円、決済ベースで、129,056百万円(前年同期比14.3%増(注文ベース)、14.8%増(決済ベース))、売上高は7,765百万円(前年同期比3.6%増)、セグメント損失は60百万円(前年同期は1,150百万円のセグメント損失)となりました。
(注)テイクレートとは、流通総額(決済ベース)に対する売上高の比率
PAY.JP事業では、オンライン決済サービス「PAY.JP」を提供しております。当連結会計年度における流通総額は、既存及び新規両方の大型加盟店が牽引し、大きく増加しました。
以上の結果、当連結会計年度の流通総額は141,127百万円(前年同期比74.7%増)となりました。売上高は3,606百万円(前年同期比71.4%増)、セグメント損失は84百万円(前年同期は46百万円のセグメント損失)となりました。
その他事業では、「BASE」を利用するショップオーナーに対して事業資金を提供するサービス「YELL BANK」等を提供しており、利用ショップ数及び利用金額は引き続き増加しました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は308百万円(前年同期比118.0%増)、セグメント損失は25百万円(前年同期は31百万円のセグメント損失)となりました。
(資産)
当連結会計年度末における総資産は37,297百万円となり、前連結会計年度末に比べ6,019百万円増加いたしました。これは主に、未収入金が5,843百万円増加した一方で、現金及び預金が117百万円減少したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債は24,297百万円となり、前連結会計年度末に比べ6,519百万円増加いたしました。これは主に、営業預り金の増加4,830百万円、営業未払金の増加1,443百万円によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は13,000百万円となり、前連結会計年度末に比べ500百万円減少いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純損失の計上により利益剰余金が606百万円減少したことによるものであります。なお、2023年2月16日開催の取締役会決議に基づき行われた、剰余金の処分による欠損填補により、資本剰余金が2,545百万円減少し、利益剰余金が2,545百万円増加しております。
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、22,227百万円となり、前連結会計年度末に比べ117百万円減少いたしました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は80百万円(前年同期は1,706百万円の使用)となりました。主な増加要因は、営業預り金の増加4,830百万円、営業未払金の増加1,443百万円等であり、主な減少要因は、未収入金の増加5,840百万円、税金等調整前当期純損失の計上602百万円等であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は53百万円(前年同期は28百万円の使用)となりました。主な減少要因は、有形固定資産の取得による支出53百万円等であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は16百万円(前年同期は26百万円の獲得)となりました。これは、新株予約権の行使による株式の発行による収入16百万円によるものであります。
当社グループで行う事業は、インターネットを利用したサービスの提供であり、提供するサービスには生産に該当する事項がありませんので、生産実績に関する記載を省略しております。
当社グループでは、概ね受注から役務提供の開始までの期間が短いため、受注実績に関する記載を省略しております。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上の相手先がいないため記載を省略しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用とともに、資産及び負債または損益の状況に影響を与える見積りを用いております。これらの見積りについては、過去の実績や現状等を勘案し、合理的に判断しておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらと異なることがあります。
当社の連結財務諸表を作成するにあたって採用している重要な会計方針及び見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(売上高)
当連結会計年度における売上高は11,680百万円(前年同期比19.9%増)となりました。主に、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載の要因により、BASE事業及びPAY.JP事業において、流通総額が増加したことによるものであります。
(売上原価)
当連結会計年度における売上原価は6,647百万円(前年同期比32.9%増)となりました。主な要因は、流通総額の増加により、決済代行業者等への支払手数料が増加したことによるものであります。
この結果、売上総利益は5,033百万円(前年同期比6.2%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は5,458百万円(前年同期比12.6%減)となりました。主な要因は、オンライン広告及びクーポン等の販促支援のプロモーションの抑制により、広告宣伝費が減少したことによるものであります。
この結果、営業損失は425百万円(前年同期は営業損失1,508百万円)となりました。
(経常利益)
当連結会計年度における営業外収益は21百万円となりました。主な内容は、受取手数料6百万円。受取保険金6百万円であります。また、営業外費用は4百万円となりました。この結果、経常損失は409百万円(前年同期は経常損失1,495百万円)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における特別損失は、減損損失130百万円、投資有価証券評価損63百万円の計上によるものであります。また、法人税等合計は4百万円となりました。
この結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は606百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失1,732百万円)となりました。
当社グループの資金需要のうち主なものは、当社サービスを拡大していくための開発人員の人件費及び認知度拡大や顧客獲得のための広告宣伝費であります。これらの資金需要に対しては、自己資金及び銀行借入により調達することを基本方針としております。
当社グループは、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、市場動向、競合他社、人材確保・育成等様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
そのため、当社グループは常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制を強化し、優秀な人材を確保するとともに、市場のニーズに合ったサービスを展開していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行ってまいります。
当社グループが今後の事業内容を拡大し、より高品質なサービスを継続提供していくためには、経営者は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の様々な課題に対処していく必要があると認識しております。それらの課題に対応するため、経営者は常に市場におけるニーズや事業環境の変化に関する情報の入手及び分析を行い、現在及び将来における事業環境を認識したうえで、当社グループの経営資源を最適に配分し、最適な解決策を実施していく方針であります。
(注) 1.契約締結時における相手先の名称は「株式会社イーコンテクスト」でありましたが、同社グループの組織再編に伴い、「株式会社DGフィナンシャルテクノロジー」に契約上の地位が承継されております。
2.契約締結時における相手先の名称は「ライフカード株式会社」でありましたが、同社グループの組織再編に伴い、「AGミライバライ株式会社」に契約上の地位が承継されております。
該当事項はありません。