第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。

(1)中長期的な経営方針、経営環境及び優先的に対処すべき課題

①中期経営計画2026(5ヵ年計画)について

 当社グループは、2021年12月に策定した「中期経営計画2026(5ヵ年計画)」の達成に向けて、「インターネットマーケティングを通じて豊かな世界を実現する」という経営理念のもと、ポイント経済圏とブロックチェーンからなる「トークンエコノミー(代用通貨経済圏)」を創造し、社会経済活動の活性化をはかるプラットフォームとなることを中長期的な経営方針としております。具体的には、モッピーを主軸としてアフィリエイトプログラムやD2Cと連携したポイント経済圏を確立すること、登録済暗号資産交換業者であるマーキュリー及びビットバンクを中核としてWeb3.0時代におけるブロックチェーン領域でのNo.1企業となることを重点戦略として位置付けております。

 この達成に向けた各セグメントにおける戦略は以下の通りです。

 モバイルサービス事業では、モッピーにおいて国内最大級ポイントサイトの地位を盤石なものとするため、会員数と掲載広告数の増加に向けて各種施策に取り組んでまいります。また、当連結会計年度において大幅な増収増益となったD2Cについては、蓄積したプロモーションノウハウの活用に加えて、機動的な新商品投入や商品のライフサイクル長期化によるブランドバリュー確立を目指してまいります。DXにおいては、強みであるエンジニア採用を活かせる営業体制の強化を図り、さらなる受注拡大に向けて積極的なアプローチを行うことで、成長と利益のバランスを重視した経営を行ってまいります。

 フィナンシャルサービス事業では、ブロックチェーンにおいて自社のメディア力を活かし暗号資産販売所の収益基盤を早期に確立するとともに、投資育成事業の投資先ベンチャー企業と連携し、新たなブロックチェーンビジネスのイノベーションと事業発展を目指します。

 当社の得意分野を強化するとともに、新分野・新領域で新たなビジネスを創出し変革を起こすことで、社会的、経済的な価値を生み出し、企業価値の向上と持続的な成長に取り組んでまいります。

 

②ESG、SDGsへの取り組み

 当社は、これまで「インターネットマーケティングを通じて豊かな世界を実現する」という経営理念のもと、持続可能な社会の実現を目指し、2009年から中国内蒙古で植林活動を行うなど、環境対策への貢献を推進してまいりました。

 2021年1月からは、さらに脱炭素社会の実現に向け、電力使用に伴う排出CO2を100%オフセット(カーボンニュートラル)することとし「日本気候リーダーズ・パートナーシップ」と「再エネ100宣言RE Action」にも加盟しています。また2021年11月にはSDGs寄付プラットフォーム「モッピー×SDGs」を開設し、モッピー会員によるSDGsの17個の目標ごと22団体への寄付を可能としております。2022年9月には、これまで取り組んできたSDGsの戦略を一層強化し、より横断的かつ機動的なサステナビリティ推進体制の構築を図ることを目的として、「サステナビリティ推進委員会」を設置いたしました。今後も持続可能な社会の実現に貢献する企業であり続けるため、SDGs の推進に積極的に取り組んでまいります。

 また、当社は、取締役会の監査・監督機能をさらに強化し、当社グループの持続的な企業価値向上に向けてコーポレート・ガバナンス体制をより一層充実することを目的として、2021年3月に監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へと移行しております。本移行により、取締役の3分の1以上が独立社外取締役となっておりますが、今後もより実効性の高いガバナンス機能を有する経営体制の構築を目指してまいります。

 

(2)目標とする経営指標

 「中期経営計画2026(5ヵ年計画)」では、計画最終年度である2026年度の数値目標を以下の通り設定しております。

連結経営目標

2021年度(2021年12月期)実績

2022年度(2022年12月期)実績

2023年度(2023年12月期)実績

2026年度(2026年12月期)目標

売上高

17,846百万円

20,536百万円

24,070百万円

40,000百万円

経常利益

3,499百万円

679百万円

1,217百万円

10,000百万円

(注)1.2022年12月期の期首より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)等を適用しております。

 2.2021年度の売上高は当該会計基準等を適用したと仮定した数値を記載しているため、当該年度における売上高23,402百万円と異なっております。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティに関する考え方

 当社グループは、創業当初から「インターネットマーケティングを通じて豊かな世界を実現する」を経営理念に掲げており、2021年12月公開の中期経営計画では、ポイント経済圏とブロックチェーンからなる「トークンエコノミー(代用通貨経済圏)」の創造をもとに、社会経済活動の活性化を図るプラットフォームの構築を目指しております。

 これらビジョンの中長期的な実現には、地球環境問題や多様なバックグラウンドを持つ従業員のパフォーマンスを最大化する職場環境の整備など、様々な社会課題への貢献や持続可能な社会の実現が重要であると考えます。

 そこで当社グループは、各方面のステークホルダーと連携し、これまで取り組んできたESG戦略を一層強化し、より横断的かつ機動的にサステナビリティの取組を推進しております。

 

(2)サステナビリティへの取組

①ガバナンス

 当社グループでは、代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ推進委員会が、気候変動を含むサステナビリティ全般におけるリスク及び機会の識別・評価・管理及びマテリアリティについて、原則年1回審議し、内容を委員長から取締役会に報告します。また、すべての事業活動(戦略・予算・事業計画・投資等)の意思決定において、認識したリスク及び機会、特定したマテリアリティとの整合性を確保したうえで実施します。

 なお、当社グループのサステナビリティ推進体制の概要を含むコーポレート・ガバナンス体制の詳細は、「第4提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」をご参照ください。

 

②戦略

a.シナリオ分析とリスク重要度評価

 当社グループでは、リスク・機会について特定の領域に閉じず、多面的な観点から特定/評価されるべきと考えております。そのため、気候変動に関わるリスク・機会についてはサステナビリティ全般に関わるリスク・機会と統合的に特定/評価し、優先順位を判断しております。特定したリスク・機会は、リスク管理委員会と共有し他のリスク・機会と統合的にアセスメントを実施します。

リスク/機会分類

リスク/機会

顕在化期間

想定される影響と対象範囲

事業への影響度

2℃未満

シナリオ

4℃

シナリオ

リスク

移行

リスク

政策及び法規制のリスク

短期~中期

[全社]

カーボン・プライシング施行、低炭素排出型エネルギー利用へのシフトなどによるエネルギー調達コストの上昇

市場リスク

中期~長期

[D2C]

化粧品・健康食品等、当社が製造・販売する製品のサプライチェーン上における気候変動対応が不十分であった場合に、当社製品が選好されにくくなること

評判上の

リスク

中期~長期

[全社]

当社の気候変動対応が不十分であることにより、資金調達や人材確保、顧客及びサプライヤーとの取引継続などが困難になること

物理的リスク

急性リスク

(異常気象事象の激化)

短期~長期

[全社]

災害等によるオフィス、データセンター、製品の製造委託先の工場の損壊により製品・サービスの提供が困難になること

機会

資源の効率

中期~長期

[全社]

エネルギー等の使用効率化や、高効率資本の利用による経費の削減

エネルギー源

中期~長期

[全社]

・再生可能エネルギー発電技術等の普及拡大にともないエネルギー調達コストが低減すること

・エネルギー源の分散により安定的にエネルギーを調達できること

製品及びサービス

短期~中期

[ポイント]

・環境負荷の低い製品・サービスに関わる広告出稿の増加

・環境関連団体への寄付先拡大による当社ポイントメディア「モッピー」の評判向上

[D2C]

環境負荷の小さい製造工程・原材料・包装を採用した化粧品・健康食品等の製品に対する選好の高まり

[ブロックチェーン]

電力消費の比較的少ない暗号資産ステーキングサービスに対する選好の高まり

市場

短期~長期

[全社]

当社コア技術を使用した、新市場参入による投資リターンの享受

回復力

中期~長期

[全社]

オフィス、データセンター、製品の製造委託先の工場の地域分散による製品・サービス提供寸断リスクの低減

※参照したシナリオ:

2℃未満シナリオはRCP2.6(IPCC)とSDS(IEA)を、4℃シナリオはRCP8.5(IPCC)とSTEPS(IEA)を参照し、それぞれ想定される社会を想定したうえでリスク・機会の特定及び影響度の分析を実施しております。

 

※リスク/機会の顕在化期間:

短期:当社中期経営計画の期間である2026年まで、中期:日本の温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指す期限として表明している2030年、長期:日本の温室効果ガスネットゼロを表明している2050年と定義しております。

 

b.セレスの「7つマテリアリティ」

 当社グループは、サステナビリティを巡る課題解決について、より効果的に経営資源を投入するために、特に注力して取り組むテーマとして「7つのマテリアリティ」を設定いたしました。

 

セレスのマテリアリティ

設定の背景

自社サービスを通じた豊かな社会の実現への貢献

・インターネット上から無料で利用できるポイントサイトメディア「モッピー」を通して、人々の豊かな生活の実現に貢献

・寄付専用プラットフォーム「モッピー×SDGs」により、災害支援や社会課題の解決に貢献

オープンイノベーションによる社会課題解決・経済発展への貢献

・積極的な事業成長投資に加え、投資育成事業(CVC)によるベンチャー企業への投資や、子会社ラボルのフリーランス向け資金繰り支援サービス事業等を通じたオープンイノベーションによる社会課題解決・経済発展へ貢献

デジタル広告の公正な運用と業界の健全な発展への貢献

・インターネットマーケティングに携わる企業として、コンプライアンス遵守と広告業界の発展に向けた取組を推進

環境に配慮した製品・サービスの提供

・提供するすべての製品・サービスについて、地球環境に配慮した取組を推進

多様な人材の活躍

・変化に強く競争力の高い組織構築のために、従業員の多様性を包括しうる環境整備への取り組みを推進

情報セキュリティとプライバシー

・500万人超のアクティブユーザーを抱えるメディア「モッピー」や高度なセキュリティ技術が求められる暗号資産販売所「コイントレード」をはじめとする、多くのユーザー様の大切な情報資産をお預かりする企業として、高度な技術を有する人材確保と人材育成の取組や、高度なセキュリティを担保する技術の導入を推進

コーポレート・ガバナンスの強化

・上場企業として持続可能な成長と長期的視野に立った企業価値の最大化の実現に向けた取組を推進

 

c.リスク管理プロセス

 当社グループでは、サステナビリティに関わるグローバルなフレームワークを参照して当社事業活動と関連の深い社会課題を抽出、それらを「当社及び当社事業活動に与える影響度」と「当社及び当社事業活動の貢献可能性」の基準で評価・マッピングし、マテリアリティを特定いたしました。

 各社会課題のステークホルダーからの関心度はすべて同程度に高いという前提のもと、マッピングした社会課題のうち、当社の資源を用いて効果的に貢献できる領域に含まれるものをテーマごとに分類しマテリアリティとして設定しております。その中でも当社及び当社事業への影響度が高い領域に含まれるものは、特に注力して取り組むべきテーマとして認識しております。

 当社では原則年1回、サステナビリティ推進委員会が社会課題の抽出とそれによるリスク・機会の評価、マテリアリティの設定・見直し、具体的な施策の検討、活動実績のレビューを実施します。特定したリスク・機会は、リスク管理委員会と共有し他のリスク・機会と統合的にアセスメントを実施します。

 

d.指標と目標

 当社グループは、日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)に加盟し、また使用電力を100%再生可能エネルギーに転換する意思と行動を示し、再エネ100%利用を促進する枠組みである再エネ100宣言 RE Actionに参加しております。セレスの運営するポイントサイト「モッピー」をはじめ、Webサービスで使用されるサーバーの電力、及びオフィスで使用される電力を、2021年度から100%再生可能エネルギー由来の電力に変更していくことにより排出CO2の100%削減に取り組んでおります。なお、当社グループでは、GHG(温室効果ガス)プロトコルにより、スコープ1、スコープ2における排出量を測定し、指標としております。

 スコープ1、及びスコープ2については、2021年度より排出量ゼロを達成しており、引き続きCO2の100%削減に向けて取り組んでまいります。なお、スコープ3についても排出量の測定及び目標の設定に取り組んでおります。

 

③人的資本に関する考えと取組

 当社グループは、変化の激しいインターネット業界の中で事業展開するにあたり、次世代における社会インフラの基盤技術となる可能性を持つブロックチェーン技術を重要戦略に位置付け、常に変化に強く、競争力の高い組織の構築を目指しております。

 そのために当社グループでは、ジェンダーや性別、国籍、人種、言語、思想などという枠を包括した様々なバックグラウンドを持つ人材が共存している状態を「多様性」と定義し、多様性確保に向けた人材育成と従業員一人ひとりのパフォーマンスの最大化に向けた社内環境整備を推進しております。

 

a.人的資本の取組

(a)多様性確保に向けた人材育成の取組

 当社では多様なバックグラウンドの共存を大切にしておりますが、個々の能力を発揮させそれを組織の成果としていくためには、組織マネジメントの重要性と難易度が高まると考えております。そのためリーダーやリーダー候補者に向けた組織マネジメントの教育・研修を充実させております。

 また、高度な技術を有するプロフェッショナル人材の育成にも重点を置いており、社員が得意分野で成長できるプロフェッショナル職のキャリアパス制度や自律的に専門性を高めるスキルアップ支援制度を整備しております。これにより、マネジメント職、プロフェッショナル職の両輪から持続可能なあらゆる変化に対応できる盤石な組織体制構築の実現に向けて、多面的な取組を推進しております。

 当社の評価制度の仕組み作りでは、目標管理制度(MBO)を導入しております。これは、半期に一度、個々で自主的に目標を設定することで、コミットメントを高め、自ら主体的に業務に取り組むことで、社員一人ひとりの自律的な成長を促しております。

 スキルアップ支援制度として、職種や専門領域、役職などに応じた社内研修の開催や社外研修受講費用を会社が負担するほか、資格取得祝い金制度などメンバーの学びを支援する制度を複数用意しております。

 新卒社員の採用には、学生の夏休みシーズンを利用し、第一線で活躍するリーダーからCTOクラスの社員をアサインしたWebマーケティング向けインターンシップや、エンジニア向けハッカソンを開催し、優秀な学生の獲得に努めております。

 入社後においては、自社の経営資源を活用し、新規事業立案プログラムを取り入れた実践的な新入社員研修を実施し、立案した事業が採用されれば実際に事業が立ち上げられその責任者として推進していくこともできます。配属後には、業務上の課題をサポートするメンター制度、社会人生活や精神面をサポートするエルダー制度など、バックアップ体制を充実させております。新卒社員を将来的な幹部候補と見据え、一人の取りこぼしもないよう新人育成に取り組んでおります。

 中途入社社員においても、専門性のある優秀な人材の確保とあわせて、積極的にポテンシャル採用を実施しており、入社後の活躍を見据えた研修体制及びバックアップ体制を整備しております。

 連結子会社の株式会社ゆめみでは、「チャレンジ取締役制度」をはじめとしたユニークな人事制度を複数用意しており、CxOや執行役員、取締役等の役職に全ての社員が挑戦できる制度で、実際に新卒1年目から会社法上の取締役に就任したメンバーも出ております。

 

(b)多様性確保に向けた社内環境整備の取組

 多様なバックグラウンドを持つ人材が個々の能力を発揮していくためには、それぞれのアイデアをアウトプットする「しかけ」作りが必要と考えております。それにより、身体的、精神的な健康を前提とした、自由闊達で創造性のある社内風土の醸成や様々な働き方に対応した制度の整備に取り組んでおります。

・ 多角的に事業を経営する当社では、従業員同士の交流を深めてもらうことを目的に、異なる事業部の社員間の親睦会費用や、業務後の交流の場として部活動の活動費補助制度を設け、事業部間を横断した円滑な業務遂行に役立てております。

・ 多様な職種やワークスタイルを持つ社員のパフォーマンスを最大化するために、フレックスタイム制度やオフィスとリモートを組みあわせたハイブリッドなリモートワーク制度を整備しております。また、連結子会社の株式会社ゆめみでは、エンジニア中心の会社のため原則フルリモート勤務で開発に集中できる体制を整備しております。

・ 男女の性別に関係なく子育て支援制度の充実に努め、子育て支援金の支給や特別休暇、ベビーシッター割引や時短勤務など、子供を持つ社員が働きやすい環境整備に努めております。

・ 単身世帯の社員には、通勤による身体的、精神的、時間的な負担軽減を目的に、要件を充たした賃貸契約の住宅を対象として家賃40%を補助する家賃補助制度を整備するなど、生活の質と業務効率の向上をサポートしております。

・ 勤続3年の社員には、有給休暇や5日間の夏季休暇とは別に、連続取得が義務付けられた5日間のリフレッシュ休暇が付与されます。また、従業員の健康維持のために積極的に休暇取得を奨励しております。

・ 女性社員においては、女性特有の健康課題に対応するため、低用量ピルの費用を全額補助する福利厚生制度をスタートさせました。これにより、女性社員の月経に伴うパフォーマンスの低下を軽減するとともに、社員自らが体調変化を把握し、自律的に働き方に反映できるような環境作りの浸透に努めております。

・ 健康面においては、全従業員を対象にストレスチェックを実施し、定期的に社員の体調を把握するなど身体面、精神面からサポート可能な健康経営体制を推進しております。

・ 社員個々の成果には、半期に一度、報奨金を支給する表彰制度を設け、組織への貢献を促すとともに、社員が自律的に継続的に成長する仕組み作りに取り組んでおります。

 また当社では、全社員を対象にエンゲージメント・サーベイを実施し、「職務」、「自己成長」、「環境」、「支援」、「組織風土」、「承認」を重要項目と位置付け、月1回の定点調査を行っております。これにより、組織状態を可視化し、タイムリーな課題把握の仕組み作りに取り組んでおります。社員一人ひとりの個のパフォーマンスを最大化するワークエンゲージメント向上を図り、継続的な会社全体の成長と組織風土の改善につなげてまいります。

 

b.人材の育成及び社内環境整備の方針に関する指標の実績及び目標

 2024年12月期においても、当社グループの多様性を包括する人的資本経営、健康経営に対し継続的に投資を推し進め、2023年12月期を超える水準を目指してまいります。

 なお、各種女性比率、育児休暇取得率、男女間賃金格差等を含む人的資本経営にかかる各種指標の実績については、「第1 企業の概況 5 従業員の状況(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育休取得率及び労働者の男女の賃金の差異」をご参照ください。

 

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、次のとおりであります。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)インターネット広告市場について

2023年の国内インターネット広告市場は、進展する社会のデジタル化を背景として引き続き伸長した結果、3兆3,330億円(前年比107.8%)と過去最高を更新し、2021年に初めて上回ったマスコミ4媒体広告費との差も1兆円以上へと大きく広がっております。(株式会社電通「2023年の日本の広告費」より)。

しかしながら、インターネット広告市場は変化のスピードが早く、景気動向や広告主の広告出稿戦略にも大きな影響を受ける構造となっております。また、各種法規制や広告主の費用対効果に対する要求も厳しくなってきております。当社グループがそのような事業環境の変化に適切に対応できなかった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)技術革新等について

当社グループが事業展開しているインターネット関連市場では、技術革新や顧客ニーズの変化のスピードが非常に早く、インターネット関連事業の運営者はその変化に柔軟に対応する必要があります。当社グループにおいても、最新の技術動向や環境変化を常に把握できる体制を構築するだけではなく、優秀な人材の確保及び教育等により技術革新や顧客ニーズの変化に迅速に対応できるよう努めております。

しかしながら、当社グループが技術革新や顧客ニーズの変化に適時に対応できない場合、また、変化への対応のためにシステム投資や人件費等多くの費用を要する場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)メディア運営ノウハウの流出について

当社グループはインターネット広告市場を主たる事業領域としておりますが、当該分野においては多くの企業が事業展開をしております。中でもポイントサイトは参入障壁が低く、競合が激しい状況にあります。そのような環境下で、「モッピー」に蓄積されている広告の掲載順位やメディア内での表示位置、インセンティブとして付与するポイントの売上に対する付与率等をどのようにコントロールするかといったメディア運営に関するノウハウが競合他社との差別化要因となっております。また、当社グループの事業の成否は、メディア運営、システム開発、webデザイン、管理等の各分野に精通した人材とインターネットビジネスに最適化された組織体制に大きく依存しております。

しかしながら、人材需要が急増するインターネット関連分野において人材獲得競争が激化し、在職している従業員が流出した場合には、メディア運営ノウハウの流出や組織体制のバランスが崩れ効率的な運営ができないこと等が想定され、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)外部委託業者の活用について

モバイルサービス事業のD2Cにおける製商品の製造、物流及びコールセンター業務については、それぞれ外部業者へ委託しております。当社グループは各委託先と良好な関係を維持しており、安定的な製商品及びサービスの供給を受けておりますが、今後委託先の経営状況の変化や財政状態の悪化、契約内容の変更、自然災害等不測の事態が生じた場合には、委託先から安定的な製商品及びサービスの供給が受けられなくなる可能性があります。

当社グループはこのようなリスクを踏まえ、複数の委託先への分散や一部業務の内製化など、特定の外部委託業者への依存度を下げる施策を検討してまいりますが、委託先から安定的な製商品及びサービスの供給が滞った場合には当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)投資育成事業について

当社グループが出資対象とするベンチャー企業等は、市場環境変化への対応力並びに開発能力及び経営管理能力の不足等、その将来性において不確定要素を多数抱えております。当該投資を行う際には、専門知識を有するメンバーで構成する会議体にて慎重に検討し、極力リスクを回避するよう努めておりますが、投資先が期待した成果を上げることができず業績が悪化した場合には、営業投資有価証券の減損処理等により、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

また、当社グループでは、投資事業組合等(ファンド)への出資も実施しておりますが、ファンドが出資する未公開企業についても同様の不確定要素を抱えていることから、出資先の業績が悪化した場合には、これらの投資が回収できず、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

なお、有価証券の評価については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)(1)営業投資有価証券の評価」をご参照ください。

 

(6)ブロックチェーン関連について

当社グループは、フィナンシャルサービス事業のブロックチェーン関連として100%子会社である株式会社マーキュリーにおいて暗号資産交換業を営んでおり、また国内最大規模の暗号資産取引所を営むビットバンク株式会社を重要な関連会社としております。これらの会社は中長期的には安定的に当社グループの業績に寄与するものと考えておりますが、短期的には経済環境や暗号資産の相場環境等の影響により、業績が大きく変動する可能性があります。特に国内最大規模の暗号資産取引所を営むビットバンク株式会社の業績は、持分法による投資損益を通じて当社グループの業績に大きな影響を与えることから、当該外部要因等により同社の当期純損益が大きく変動した場合には、当社グループの営業外損益も大きく変動することとなります。

なお、ビットバンク株式会社の業績については、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (関連当事者情報)2.親会社又は重要な関連会社に関する注記 (2)重要な関連会社の要約財務情報」をご参照下さい。

 

(7)システムの安定性について

当社グループの運営する各種メディアや暗号資産販売所及び暗号資産取引所は、システム負荷の高いサービスとなっていることから、システムの安定的な稼動が当社グループの業務遂行上必要不可欠な事項となっております。そのため、当社グループでは継続的な設備投資を実施するだけではなく、サービスで使用するサーバー設備やネットワークを常時監視し、障害の兆候が見られた場合には担当の役職員に対し自動でメールが送信される等、システム障害の発生を未然に防ぐことに努めております。

しかしながら、アクセスの急増、ソフトウエアの不備、コンピューターウィルスや人的な破壊行為、役職員の過誤、自然災害等、想定していない事象の発生によるサービスの停止により収益機会の喪失を招く恐れがあります。このような事態が発生した場合には、当社グループが社会的信用を失うこと等が想定され、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)不正アクセスについて

当社グループの主力事業であるポイントサイト「モッピー」において現金や電子マネーに交換可能なポイントを発行していることから、当該ポイントを不正に取得することを目的とした悪意の第三者によるシステムへの不正アクセス等を受ける可能性があります。また、ブロックチェーン関連においても保有する暗号資産(顧客からの預り資産を含む)を対象とする同様のリスクを認識しております。当社グループでは、サービスを提供するシステムや社内情報システム等に対して適切なセキュリティ対策を実施したうえで監視体制を強化しております。また、適宜、外部のシステム評価会社を活用し、システムの安全性を確認しております。

しかしながら、不正アクセスによるシステムへの侵入が発生し、サービス利用者の個人情報、ポイントや保有する暗号資産に関する重要なデータが消去または不正に入手される可能性は否定できません。このような事態が発生した場合には損害賠償請求を受ける可能性や社会的信用を失うこと等が想定され、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)法的規制について

①モバイルサービス事業

当社グループが運営しているモバイルサービス事業は「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」、「不当景品類及び不当表示防止法」、「消費者契約法」、「特定商取引に関する法律」、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」等の法規制を受けております。当社グループは、事業運営にあたってはこれら法令に抵触することが無いよう、一般社団法人日本インタラクティブ広告協会の定める広告ガイドライン等に準拠した広告掲載基準を設け、それに従った審査を実施するだけではなく、従業員教育等を徹底するとともに法令遵守体制の構築と強化を図っております。しかしながら、これら法令の改正や新たな法令の制定、想定外の事態の発生等により当社グループの展開する事業が法令に抵触した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

②フィナンシャルサービス事業

フィナンシャルサービス事業では100%子会社である株式会社マーキュリー及び持分法適用関連会社であるビットバンク株式会社において、関東財務局より「資金決済に関する法律」第63条の2に基づく暗号資産交換業者として登録を受け、同法及び関係法令等による各種規制の下で暗号資産交換業を営んでおります。また、両社は自主規制機関である一般社団法人暗号資産取引業協会に加入しており、当該団体の諸規則にも服しております。

当社グループは関連法令や諸規則等を遵守し、利用者保護に努めてまいる所存ですが、万が一、両社がこれらの法令や諸規則等に違反し、登録の取消し等の行政処分を受けた場合には当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、両社は「犯罪による収益の移転防止に関する法律」に定める特定事業者として、テロ資金や犯罪収益の追跡のための情報確保とテロ資金供与及びマネー・ロンダリング等の利用防止を目的とした顧客の取引時確認及び確認記録の保存等を義務付けられております。当社グループは同法の定めに基づき取引時確認を実施するとともに、確認記録及び取引記録を保存しておりますが、何らかの事由により同法に適合しない事態が発生した場合には、監督官庁による行政処分や刑事罰等を受けることがあり、その場合は当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)知的財産権について

当社グループは複数の事業において商標権等の知的財産権を所有しており、法令の定めに則って権利の保全に努めていますが、第三者からの権利侵害を把握しきれない、もしくは適切な対応ができない場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループによる第三者の知的財産権侵害の可能性については、専門家と連携を取り調査可能な範囲で対応を行っておりますが、当社の事業領域に関する第三者の知的財産権の完全な把握は困難であり、当社グループが認識せずに他社の知的財産権を侵害してしまう可能性は否定できません。この場合、損害賠償請求や使用差止請求等により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)個人情報保護について

当社グループでは、「モッピー」において会員に付与したポイントを現金と交換する際に預金口座情報等の個人情報を取得しております。また、ブロックチェーン関連、オンラインファクタリングサービス及びD2Cにおいても利用者及び購入者の住所、氏名等の個人情報を取得しております。そのため、個人情報の保護に関する法律が定める個人情報取扱事業者としての義務を課せられております。

個人情報の取得の際には利用目的を明示し、その範囲内でのみ利用するとともに、個人情報の管理につきましても、社内でのアクセス権限の設定、アクセスログの保存、外部データセンターでの情報管理、個人情報管理に関する規程の整備を行っております。さらに、役員及び従業員を対象とした社内研修等を通じて関連ルールの存在を周知徹底し、意識の向上を図ることで関連ルールの順守に努めております。

なお、体制構築の一環として2009年3月に一般財団法人日本情報経済社会推進協会よりプライバシーマークの付与認定を受けており、現在まで継続して更新しております。

しかしながら、外部からの不正アクセス、社内管理体制の瑕疵、その他想定外の事態の発生により個人情報が社外に流出した場合、損害賠償請求を受ける可能性や当社グループの社会的信用を失うこと等が想定され、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)内部管理体制について

当社グループは、当社(株式会社セレス)、連結子会社8社(株式会社ゆめみ、株式会社マーキュリー、株式会社バッカス、株式会社ディアナ、studio15株式会社、株式会社ラボル、株式会社サルース、株式会社アポロ・キャピタル)及び持分法適用関連会社1社(ビットバンク株式会社)によって構成されております。当社グループの持続的な成長のためには、当社の内部管理体制をより一層強化することはもちろん、関係会社を含めたグループガバナンス体制の強化が必要であると認識しております。今後、事業規模の拡大に合わせ、内部管理体制も充実・強化させていく方針でありますが、事業規模に適した内部管理体制の構築に遅れが生じた場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)新規事業立ち上げに伴うリスクについて

当社グループは事業規模の拡大と収益源の多様化を図るため、積極的に新規事業の立ち上げに取り組んでいく方針であります。

しかしながら、新規事業においては、採算性に不透明な点が多く結果的に当初予想した収益が得られず、初期コストが回収できない可能性があること、安定した収益を生み出すまでにある程度の時間を要する可能性があること等が予想され、新規事業に取り組んだ結果、利益率の低下等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)固定資産の減損について

当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。割引前将来キャッシュ・フローは事業計画を基礎とし、将来の不確実性を考慮して見積っておりますが、将来の不確実な経済条件の変動等により見積りの見直しが必要となった場合、減損損失が発生する可能性があります。

 なお、当連結会計年度においては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結損益計算書関係) ※3 減損損失」に記載のとおり、減損損失(343百万円)を計上しております。

 また、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り) (2) のれんの評価」に記載のとおり、当社グループは当連結会計年度末現在において1,537百万円ののれんを計上しております。

 

なお、上記以外にも様々なリスクがあり、ここに記載されたものが当社グループのすべてのリスクではありません。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

① 財政状態及び経営成績の状況

a.経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの感染症法上の分類が5類へ移行され、社会・経済活動の正常化が進み、インバウンド需要の回復などから、緩やかな回復傾向にあります。一方で、ウクライナ情勢の長期化による資源価格の上昇や世界的な金融引締めによる為替変動による物価上昇などにより、依然として先行きは不透明な状況となっております。

 このような環境の中、当連結会計年度においては、売上面ではモバイルサービス事業のポイントにおいて、インターネット広告市況の悪化等の影響を受けてモッピー以外の事業が苦戦したことにより、僅かな減収となりました。一方、化粧品・ヘルスケア商品等を取り扱っているD2Cはヒット商品の牽引により、大幅増収となり、取引先企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)支援を行う連結子会社ゆめみも継続的に取り組んできた新規案件開拓の成果により引き続き受注が好調に推移し、増収となりました。また、フィナンシャルサービス事業においては、ブロックチェーン関連事業を行う連結子会社マーキュリーやオンラインファクタリングサービスを提供している連結子会社ラボルの順調な成長に加えて、投資育成事業において営業投資有価証券の売却があったことにより増収となりました。

 利益面では、D2Cの大幅増益があったものの、ポイントの減収やDXの積極的な人材投資等により、モバイルサービス事業において減益となりました。一方、フィナンシャルサービス事業においては、各事業が好調に推移したことによる大幅増収により、損失幅が縮小しております。また、暗号資産市場では復調の兆しが見え、持分法適用関連会社であるビットバンクについては持分法による投資利益を計上しております。また、マーキュリーにおいては将来の事業環境を保守的に見積もった結果、ブロックチェーン関連事業のソフトウェアにかかる減損損失を計上いたしました。

 この結果、当連結会計年度における売上高は24,070百万円(前年同期比17.2%増)、営業利益は1,118百万円(同10.3%減)、経常利益は1,217百万円(同79.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は451百万円(同868.0%増)となりました。

 また、当社グループの経営指標として重視しているEBITDAは1,707百万円(前年同期比48.8%増)となりました。なお、当社グループのEBITDAは税金等調整前当期純利益+支払利息+減価償却費+のれん償却費(持分法による投資損益に含まれるのれん償却に相当する額も加算)+減損損失で算出しております。

 

 セグメントの業績は、次のとおりであります。

 

 (モバイルサービス事業)

 モバイルサービス事業は、日本最大級のポイントサイトであるモッピーや自社アフィリエイトプログラムAD.TRACK等から構成される「ポイント」、化粧品・健康食品等の企画・製造・販売を行う「D2C」、及び連結子会社ゆめみが手掛ける企業のDX化支援サービス「DX」で構成されております。

 「ポイント」においては、引き続きサイトやアプリの継続的な改良等を行うとともに、各種キャンペーン等の施策を実施してまいりましたが、市況感の悪化を受けてAD.TRACK等の事業が大きく減収となった結果、減収減益となりました。なお、主力事業であるモッピーは前期並みの売上高を維持した上で粗利率が改善しております。また、モッピーの会員数は堅調に推移し、当連結会計年度末の会員数は521万人(前年同期比19.5%増)となり、アプリの累計ダウンロード数も434万件(同49.1%増)に達しております。

 「D2C」においては、機能性インソール「ピットソール」の販売好調により、大幅な増収増益となりました。商品戦略とマーケティング戦略両面での当社グループの強みを活かし、順調な成長軌道となっております。

 「DX」においては、前期から取り組んできた新規案件開拓が好調に推移し増収となった一方で、採用教育費等の積極的な人材投資により減益となりました。

 この結果、当連結会計年度におけるモバイルサービス事業の売上高は23,476百万円(前年同期比14.8%増)、セグメント利益は3,187百万円(同3.1%減)となりました。

 

 (フィナンシャルサービス事業)

 フィナンシャルサービス事業は、ブロックチェーン関連、オンラインファクタリングサービス、投資リターンを得ることを目的とした投資育成事業を行っております。

 ブロックチェーン関連事業においては、マーキュリーが運営するステーキングサービス「CoinTradeStake(コイントレードステーク)」において、ステーキングの取扱い銘柄数は前期末の5銘柄から10銘柄に倍増しており、預り資産残高も順調に推移しております。また、オンラインファクタリングサービスにおいては、フリーランス向けAIファクタリングサービス「labol(ラボル)」の取扱高がほぼ計画通りに増加し、新サービスであるカード決済サービス「labol(ラボル)カード払い」も順調な立ち上がりとなりました。さらに投資育成事業では、将来の投資回収に向けて、社内の経営資源を活用し投資先支援を積極的に行なっております。

 この結果、当連結会計年度におけるフィナンシャルサービス事業の売上高は611百万円(前年同期比113.1%増)、セグメント損失は897百万円(前年同期は940百万円のセグメント損失)となりました。

 

 

b.財政状態の状況

(資産)

 当連結会計年度末における総資産の額は、前連結会計年度末に比べ3,318百万円増加し、25,915百万円となりました。これは主に現金及び預金が1,565百万円増加したこと、繰延税金資産が324百万円増加したこと、営業投資有価証券が231百万円増加したこと等によるものであります。

 

(負債)

 当連結会計年度末における総負債の額は、前連結会計年度末に比べ2,968百万円増加し、15,869百万円となりました。これは主に短期借入金が963百万円増加したこと、ポイント引当金が738百万円増加したこと、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金含む)が568百万円増加したこと、未払金が216百万円増加したこと等によるものであります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産の額は、前連結会計年度末に比べ349百万円増加し、10,045百万円となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により利益剰余金が223百万円増加したこと、非支配株主持分が46百万円増加したこと等によるものであります。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は前連結会計年度末より1,560百万円増加し、8,051百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれぞれの主な要因は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において営業活動により獲得した資金は、1,061百万円(前年同期比942.9%増)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益830百万円、ポイント引当金の純増額738百万円及び減損損失343百万円の計上があった一方、法人税等の支払額811百万円があったこと等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は、738百万円(前年同期比56.2%減)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出269百万円、無形固定資産の取得による支出234百万円、敷金及び保証金の差入による支出179百万円があったこと等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において財務活動の結果獲得した資金は、1,233百万円(前年同期比3.5%増)となりました。主な要因は、長期借入れによる収入2,050百万円、短期借入金の純増額963百万円があった一方、長期借入金の返済による支出1,481百万円、配当金の支払額227百万円があったこと等によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社グループの生産実績は、金額的重要性が乏しいため、記載を省略しております。

 

b.受注実績

 当社グループは受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

モバイルサービス事業

23,476

14.8

フィナンシャルサービス事業

611

113.1

セグメント間取引

△18

合計

24,070

17.2

(注)販売先の販売割合が総販売実績額の10%以上を占める販売先はありません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、資産及び負債または損益の状況に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績等の連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき、合理的に判断して行っておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 また、この連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針及び見積りは、「第5 経理の状況  1 連結財務諸表等  注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」及び「第5 経理の状況  1 連結財務諸表等  注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

② 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績の分析

(売上高)

 当連結会計年度は、売上高24,070百万円(前年同期比17.2%増)となりました。報告セグメントごとの売上高については、モバイルサービス事業は3,029百万円(同14.8%増)増加し23,476百万円、フィナンシャルサービス事業は324百万円(同113.1%増)増加し611百万円となりました。

 

(売上原価・売上総利益)

 売上原価は、13,483百万円となりました。

 売上総利益は、前連結会計年度に比べ2,523百万円(前年同期比31.3%増)増加し10,587百万円となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

 販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ2,651百万円(前年同期比38.9%増)増加し9,468百万円となりました。これは主に、売上拡大に伴う人件費や広告宣伝費の増加等によるものであります。

 この結果、営業利益は前連結会計年度に比べ128百万円(同10.3%減)減少し1,118百万円となりました。

 

(営業外収益及び営業外費用、経常利益)

 営業外収益は、前連結会計年度に比べ133百万円(前年同期比963.3%増)増加し147百万円となりました。これは主に、持分法による投資利益及び還付消費税等を計上したことによるものであります。

 営業外費用は、前連結会計年度に比べ532百万円(同91.7%減)減少し48百万円となりました。これは主に、前連結会計年度に持分法による投資損失が発生していたことによるものであります。

 この結果、経常利益は前連結会計年度に比べ537百万円(同79.1%増)増加し1,217百万円となりました。

 

(特別利益及び特別損失、税金等調整前当期純利益)

 特別利益は、前連結会計年度に比べ43百万円(前年同期比100.0%減)減少しました。これは主に、前連結会計年度に事業譲渡益が発生していたことによるものであります。

 特別損失は、前連結会計年度に比べ386百万円増加し387百万円となりました。これは主に、連結子会社であるマーキュリーにかかる固定資産の減損損失を計上したことによるものであります。

 この結果、税金等調整前当期純利益は前連結会計年度に比べ108百万円(同15.1%増)増加し830百万円となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 税効果会計適用後の法人税等負担額は、前連結会計年度に比べ274百万円(前年同期比45.2%減)減少し332百万円となりました。

 非支配株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ21百万円(同31.6%減)減少し46百万円となりました。

 以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ404百万円(同868.0%増)増加し451百万円となりました。

 

(EBITDA)

 EBITDAは、前連結会計年度に比べ560百万円(前年同期比48.8%増)増加し1,707百万円となりました。これは主に、上記税金等調整前当期純利益の増加及び減損損失の計上等によるものであります。なお、当社グループのEBITDAは税金等調整前当期純利益+支払利息+減価償却費+のれん償却費(持分法による投資損益に含まれるのれん償却に相当する額も加算)+減損損失で算出しております。

 

b.財政状態の分析

 財政状態の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 b.財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、モバイルサービス事業の売上原価、事業の維持拡大のために必要な人件費や広告宣伝費等の販売費及び一般管理費の営業費用であります。また、投資を目的とした資金需要は、設備投資やフィナンシャルサービス事業における投資等であります。

 さらに、当社グループは、企業価値を継続的に拡大し、株主に対する利益還元を行うことを重要な経営課題として認識しております。当社グループの配当政策については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご確認ください。

 当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、これらの資金需要につきましては、自己資金及び金融機関からの借入や社債の発行で資金調達しております。また、エクイティファイナンスについては、市場の状況等を勘案しながら必要に応じて実施を検討していく方針であります。

 なお、当社グループは運転資金の効率的な調達を行うため、取引銀行9行と総額4,850百万円の当座貸越契約及び貸出コミットメント契約を締結しております。当連結会計年度末における当該契約に基づく借入実行残高は3,413百万円であります。

 

④ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)①中期経営計画2026(5ヵ年計画)について」をご参照ください。当社グループでは、「中期経営計画2026(5ヵ年計画)」において、連結売上高、経常利益を経営上の重要な指標として位置付けております。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。