第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社グループは、企業理念である「価値ある技術創造で社会を豊かにする」を実現するために、医療現場や世の中のニーズに沿う高品質なソリューションを、逸早く開発・提供していくことが不可欠であると考えます。「新しい発想・技術の探求」を基に「モノ創りの喜びを感じられる研究開発」を推進し、「お客様の期待を上回り、社会の発展に貢献する製品」を提供することを、経営の基本方針として定めております。

 

(2)経営環境

医療業界ではデジタル技術の活用が急速に進み、政府主導の医療DXプロジェクトが複数展開されています。

マイナンバーカードの健康保険証利用の開始や電子処方箋の取り組み、クラウド技術を用いたデータ連携が加速していることから、DXソリューションに対する需要は依然として高まっています。また、患者が急性期から回復期を経て自宅に戻るまで、切れ目のない医療を受けることができる環境を構築するための地域医療連携が、医療現場では求められています。一方では、医師の過重労働問題を背景に、2024年4月から施行される改正医療法により、医師の働き方改革が推進されようとしています。このような中で、当社は今後も既存のお客様に対する追加の製品導入とリプレイス導入の獲得を目指すとともに、新しい取り組みを通じて当社製品やサービスを更に多くのお客様にご利用いただけるよう、今後も積極的な製品開発と販売を行ってまいります。

オフィスシステム領域では、当社のターゲットセグメントには競合が少なく、また医療業界以上にDXのニーズが年々高まっています。大小様々な規模の行政組織から当社製品へ関心が寄せられ、導入が順調に決まるなど、ビジネス環境は非常に良好なため、継続して自社製品の拡販を進めてまいります。

ヘルステック領域においては、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の5類への分類引き下げにより、学会や展示会などでの製品発表の機会が増加しております。これに伴い、当社の視線分析型視野計「GAP」に対する認知度も向上し、多くの医療関係者からの引き合いを頂いております。「GAP」と形状が類似するヘッドマウントディスプレイ型の視野計は国内外の企業から販売されておりますが、「GAP」はその中でも独自の検査ロジックを有しており、他の製品とは一線を画しています。現在、「GAP」の検査ロジックを完全に再現した機器が市場に存在しないことが、当社の競争力の源泉となっております。

今後も協業パートナーとともにプロモーション活動をより一層強化し、「GAP」の拡販を目指します。国内外の顧客に、当製品の高い性能と独自性を理解していただくための取り組みを継続してまいります。

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループは、以下の優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に取り組んでまいります。

 

① 製品力・営業力強化のための人材の確保

当社は、競争力の源泉は製品力であり、その製品力は、事業領域全般に関する深い知識と現場のニーズを把握する情報収集力、それらを基に早期に製品化する高い開発力にあると考えております。より多くの従業員の獲得と維持は急務であり、新卒・中途採用を問わず、高いスキルと使命感を持った優秀な人材の確保に努めてまいります。営業サイドにおいても、事業拡大のスピードに合わせた適切な規模での採用が不可欠であるとの認識に立ち、事業領域全般に関する知識やスキルをバランス良く持ち合わせる人材の確保に引き続き取り組んでまいります。

 

② 隣接領域への進出

a.クラウドサービスの開発

当社グループは創業以来、院内情報システムを中心に全国の医療機関へ製品導入を実施し、事業を拡大してまいりましたが、今後は医療に付随する外部サービスとの連携や、医療コミュニティの形成にも注力いたします。医療領域のデジタル化を推進することで環境負荷の軽減に寄与するとともに、クラウドソリューションの提供を通じ、医療機関や患者のみならず薬局や自治体、訪問看護ステーション等、様々なヒト・モノ・サービスを包括的に繋ぎ合わせ、一連の診療サイクルの利便性・効率性の向上を実現いたします。

 

b.医療用ソフトウエアと医療機器の海外展開

当社はこれまで、日本国内の医療機関へのシステム提供を通じて安定的に事業を維持・拡大してまいりました。今後の更なる成長には欠かすことのできない海外展開を本格化するにあたり、2024年度も引き続きインドでの医療用ソフトウエアの提供を実現するためのプロジェクトを推進いたします。また、当社開発の医療機器である視線分析型視野計「GAP」については、欧州・中東・北アフリカ地域への出荷を、当地域における総発売元である株式会社レクザムを通じ2023年12月1日より開始いたしました。これらはレクザムのOEM製品として「FIELDNavigator」の名称で約50ヵ国にて販売される予定です。今後はインド・ASEAN諸国等への販売を目指し、各国薬事承認の取得を図ってまいります。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、一定の前提条件の下で当社グループが判断したものであり、様々な要因で大きく異なる結果となる可能性があります。

 

当社グループは、公益性の高いビジネスに携わる事業体として、社会への責任を果たすことを重視いたします。気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言へ賛同するとともに、国連が提唱するSDGsの実現にも積極的に取り組みます。環境・社会・ガバナンス(ESG)に配慮した事業活動を通じ、豊かな社会の創造を目指します。環境への取り組みにおいては、デジタル化・効率化による紙の削減や、ESG投資枠の設定、CO2排出量の削減やクリーンエネルギーの推進などを通じて環境保護に貢献いたします。また社会への取り組みにおいては、医療現場の業務タスクの削減貢献や医療格差の縮小、従業員エンゲージメントを高める健全な就労環境の構築・維持に取り組んでおります。

 

●ガバナンス

当社グループは、従業員を含む全てのステークホルダーからの期待に沿う公正・適正な事業活動、気候変動をはじめとした地球規模の環境問題への配慮、人権の尊重など、社会や企業のサステナビリティを巡る課題解決を事業機会と捉え、これらに向けた取り組みを推進するため「サステナビリティ委員会」を設置しています。当委員会は、代表取締役・管理部長・執行役員を委員として構成し、サステナビリティ課題の現状確認、課題解決に向けた協議・対策として、当委員会で年2回施策を検討・策定・評価する場を設けております。当委員会では、当社のサステナビリティ課題への対応について共有・監督を行い、報告された関連リスク及びそれに対する対応方針について討議し最終決定がなされます。討議決定された対応方針はサステナビリティ委員会からサステナビリティ事務局を通じて各部署の事業活動に反映され、対応状況がモニタリングされます。

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●リスク管理

当社グループは、持続可能な成長と企業価値の長期的な向上を目指し、企業活動に伴う様々なリスクを識別、評価、監視し、それらに効果的に対処することに重点を置いております。ESGに関連するリスクを、市場動向、法規制の変化、技術革新、社会的要求の変化など、外部環境から広範囲に分析し、内部からのフィードバックや従業員の意見もリスク評価に組み込んでおります。

リスク管理の進捗状況と効果は、サステナビリティ委員会にて定期的に監視され、経営層および関係者に報告されます。気候変動に関するリスク管理は、「①気候変動に対する考え方と取り組み」、その他のリスクに関する詳細は、「3.事業等のリスク」に記載のとおりです。

 

① 気候変動に対する考え方と取り組み

当社グループはプライム市場のコーポレートガバナンスコードに則り、TCFDの提言に基づいた気候変動が事業に及ぼすリスクと機会に対するシナリオ分析を実施し、関連する情報を開示しました。今後は分析範囲を拡大するとともに、経営戦略への反映を進め、財務的な影響について情報開示の充足に努めます。ソフトウェア業界は操業による温室効果ガスの排出量が少ない産業ではありますが、当社は、気候変動問題に対し適切な体制の下で事業リスクや機会を把握・監視し、課題へ対応することは、持続可能な社会の形成を目指すにあたり、非常に重要な取り組みであると考えます。また、カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト(CDP)の開示システムへの回答を実施しております。引き続き脱炭素社会形成に貢献すべく、TCFD提言への賛同を契機に、より一層の気候変動対策を推進してまいります。

 

●ガバナンス

強固なガバナンス体制の下、最重要テーマのひとつである気候変動対策については、取り組み状況についてステークホルダーに向けて積極的な情報開示を行うとともに、継続的に改善を行いながら環境マネジメントシステム等の仕組みを通じて管理し、その結果についてマネジメントレビューを行っております。

 

●戦略

当社グループは、気候変動のリスクと機会を適切に把握するため、2つのシナリオを設定し、「気候変動対策が進まず成行きのまま気温が上昇し、それによる物理的リスク・機会が発生するシナリオ」を4℃シナリオとして「急性」「慢性」について分析を行いました。一方「温暖化防止に向けて様々な活動が実施され、脱炭素社会への移行に伴うリスク・機会が発生するシナリオ」を2℃シナリオとして「政策・規制」「市場」「評判」について分析を行いました。

 

〈シナリオの設定〉

気候関連リスク・機会の分析においては国際的に認められた複数の気候変動シナリオを参照しています。

2℃

シナリオ

脱炭素社会の実現へ向けた政策・規制が実施され、世界全体の産業革命前からの気温上昇幅を2℃未満に抑えられるシナリオ。移行リスクは高いが、物理リスクは4℃シナリオと比較すると低く抑えられる。

■IPCC

Shared Socio-economic Pathways(SSP 1.9)

Shared Socio-economic Pathways(SSP 2.6)

■IEA

Net Zero Emissions by 2050 Scenario(NZE)

4℃

シナリオ

パリ協定における国別目標など、公表済み目標が達成されることを前提としたシナリオ。新たな政策・規制は導入されず、世界のエネルギー起源CO2排出量は継続的に増加する。移行リスクは低いが、物理リスクは高くなる。

■IPCC

Shared Socio-economic Pathways(SSP 8.5)

■IEA

World Energy Outlook

 

〈シナリオ分析手順〉

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〈シナリオ分析結果〉

シナリオ分析においては、当社の主要事業に対して具体的な検討を行い、2030年時点における主要なリスク及び機会による定性的な分析を行いました。

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※影響度 大:1億円~ 中:1,000万円~1億円 小:~1,000万円

 

 

●リスク管理

[気候関連リスクの識別・評価プロセス]

〈リスク識別プロセス〉

気候関連リスクについては、代表取締役を委員長とするサステナビリティ委員会において、年2回各部署から集約された情報を元に洗い出しを行い、「頻度」と「当社の事業に及ぼす影響度」の2軸で評価し重要度を決定します。

〈リスク対応の優先順位付けプロセス〉

影響度と頻度を掛け合わせ、「重要度」と「対応難易度」の2軸にて対応の優先順位をつけたうえで、特定された重要なリスクに対しては対応方針を策定しております。

下図は、今回のシナリオ分析におけるリスク分析の結果です。

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[気候関連リスクの管理プロセス]

サステナビリティ委員会において識別・評価された気候関連リスク及びそれに対応する方針は、少なくとも年2回以上、必要に応じて取締役会に報告されます。

取締役会は、報告された気候関連リスク及びそれに対する対応方針について討議し、最終決定をします。取締役会において討議決定された対応方針は、サステナビリティ委員会からサステナビリティ事務局を通じて各部署の事業活動に反映され、対応状況がモニタリングされます。

 

 

●指標と目標

 当社は、2030年までにScope1、2の排出量をSBT1.5度目標に準じ、前年度比でGHG排出量4.2%削減を、Scope3のGHG排出量については売上原単位目標ベースで50%の削減を目指しております。これらの進捗を定期的に管理するとともに、脱炭素社会の実現に向けた貢献をより確かなものにするために、取り組みを推進しております。

 

 Scope1、Scope2及びScope3におけるGHG排出量の算定結果(2022年度)

Scope1

13 tCO2

Scope2

209 tCO2

Scope3

4,093 tCo2

合計

4,315 tCO2

 

② 人的資本に対する考え方と取り組み

近年の企業経営において、多様性を尊重した組織構築は急務とされております。その範疇は従来の女性活躍推進のみに留まらず、国籍や宗教、性的マイノリティへの対応等多岐にわたります。当社グループはこのような新しい時代の課題にも真摯に取り組み、多様性に配慮した職場環境の構築・維持や、インクルーシブな採用を推進してまいります。

 

●戦略

〈人材育成方針〉

人材登用においては、当社は性別・国籍・年齢を問わず、本人のこれまでの成果や希望に応じて、社員を積極的に要職へ登用しております。また、権限委譲も活発に行われ、新規事業の検討や新規領域の開拓など、チャレンジの機会を多く創出しております。当社の役員、管理職のうち、約98%は中途採用者です。今後は、生え抜き社員の管理職への登用により、管理職に占める中途採用者の比率は低下していく可能性はありますが、依然として高い水準での推移が見込まれることから、中途採用者の管理職登用について、自主的かつ測定可能な目標は設定してはおりません。外国人の管理職への登用については、今後、当社のビジネス展開を踏まえ、必要に応じて外国人を採用するとともに、管理職へ登用すること並びに自主的かつ測定可能な目標を設定することは、今後の課題だと認識しております。女性活躍推進法に基づく当社の行動計画では、2026年までに管理職に占める女性の割合を9%に、2030年までに18%へ引き上げる目標を設定しております(2023年12月末:8.6%)。管理職への登用を希望する女性社員を対象に研修やe-ラーニングの機会提供を行うなど、具体的な施策を進めながら、2023年3月より毎年効果測定を行い、目標の達成を図ってまいります。

以下に、人材育成方針に関する施策を記載いたします。

- 内部教育体制の充実と、流動的な人材配置

- 社員本人の希望するキャリアパスに沿った配置転換を基本に、成長可能性を最大化

- 多様性に配慮した採用や人材登用を推進し、外部環境の変化に耐え得る組織風土を醸成

 

〈社内環境整備方針〉

当社グループでは、従業員が快適に働ける環境の整備を重要な経営課題と捉えています。良好な職場環境は、従業員の満足度を高め、生産性の向上に直結します。これにより従業員の健康と幸福を支えるとともに、長期的な企業成長に寄与することを目指しております。

以下に、社内環境整備方針に関する施策を記載いたします。

- 従業員エンゲージメントの高い、健全な職場環境の構築と維持

- 地方・海外拠点を効率的に増やし就労可能性を広げる

- 柔軟なワークスタイルの確立

- 社内施策を通じ、従業員本人の意向に沿ったスキルアップを支援し、昇進の為の環境整備を充実させる

- サバティカル休暇の取得を通じたリスキリングの奨励

 

●指標と目標

当社では、従業員の可能性を最大限に引き出し、持続可能な成長を達成するために、人的資本に関する指標と目標を設定しています。以下に、具体的な施策を記載いたします。

- 2030年までに管理職に占める女性労働者の割合を18%へ引き上げる

- 職種変更を含めたジョブ型人材マネージメントを2023年から開始

- 2025年までに、社内インターン制度で他部署経験を深めるキャリアアップ支援を社員の20%に実施

- 健康経営優良企業認定取得に向けた取り組み

 

 

2022年実績

2023年実績

2025年の目標

従業員サーベイ回答率(%)

96.0%

96.0%

96.0%

従業員エンゲージメント

-

3.2

3.5以上

ストレスチェック回答率(%)

88.0%

86.0%

100%

離職率(%)*2

6.5%

9.7%

4.0%

短時間勤務制度の利用者数(人)

19人

8人

25人

外国籍雇用比率(%)*1

0.3%

0.98%

1.5%

独立社外取締役構成比率(%)

33.3%

37.5%

44.4%

資格取得奨励金申請数(件)*2

-

18件

24件

有給休暇取得年間平均日数(日)*2

-

18.8日

21.0日

月間平均残業時間(時間)

-

17.5時間

16.5時間

管理職に占める女性労働者の割合(%)*2

3.8%

8.6%

9.0%

*1 当社グループの数字です。

*2 単体・正社員の数字です。

上記以外の数値は、単体・全社員(パートタイム・有期労働者含む)です。

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)情報セキュリティに関する事件・事故について

当社は、病院の患者情報や行政の公文書情報など、高いセキュリティレベルにて適切に管理されるべき情報を多く取り扱っております。一切の情報を損失、誤用や改変、そして破損から保護するために、物理的、技術的、管理的セキュリティ対策を継続して実施しております。2012年には、大規模病院へ向けた医療情報システムメンテナンス業務について、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の認証を取得しました。その後は順次認証対象を拡大し、現在では全ての情報システムメンテナンス業務に対してISMS認証を取得しています。また2021年8月には、メンテナンス業務についてISMSクラウドセキュリティ認証も取得しました。日本産業規格である個人情報保護マネジメントシステム‐要求事項(JIS Q 15001)に準拠した個人情報保護マネジメントシステムを構築し社内体制の強化を図り、従業員への教育や啓蒙も随時行っております。

また、昨今はサイバー攻撃の頻度が高まると同時にその手口も巧妙化し、組織運営に大きな影響を与える事件も頻発しています。医療機関や行政組織のサイバーセキュリティやリスクコンサルティングサービスに対する需要が高まる中で、当社は最適なセキュリティ対策を顧客へ提供し、サイバーレジリエンスの向上をサポートしております。

しかしながら、不測の事態により情報セキュリティ事故等が発生した場合、当社グループの信用が失墜し、企業イメージの低下を招き、ISMS認証取消の可能性があると同時に、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(2)個人情報に関する事件・事故について

当社は、医療機関への医療システムの導入サービスを行う際に、当該医療機関の保管する個人情報を一時的に預かることがあります。当社は個人情報の取り扱いに関する重要性及びリスクを十分に認識し、個人情報を適切に管理するため、個人情報保護規程を整備しております。当社のホームページにて個人情報保護方針を公開し、これら規程及び方針に準拠した行動指針やガイドラインを制定するとともに、教育、研修を通じて管理を徹底しております。なお、当社は2008年1月にプライバシーマークの認証を受けております。

しかしながら、情報管理の過程等において、不測の事態により個人情報の漏洩等が発生した場合、当社への多額の損害賠償請求やプライバシーマークの認証取消処分又は罰金等が課せられる可能性があるとともに、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(3)訴訟等の発生について

現在係争中の案件はありませんが、以下に記載する①・②等、何らかの理由により訴訟等が発生し、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります 。(ただし、対象の損害賠償保険への加入により、当社のIT事業に係る賠償損害や費用損害のリスクへ備えております。)

 

① 当社グループの製品において、当社グループの過失によって生じた不具合等により、ユーザーに損害が発生した場合、金銭的賠償や信頼喪失により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 当社では、医療機関に製品の導入を行う際、データ移行作業のために患者の個人情報を含む医療機関情報を預かることがあります。万が一、内部情報管理体制の瑕疵等によって外部に情報が流出した場合、金銭的賠償や社会的信用の失墜により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)製品・サービス等の陳腐化について

当社グループは、開発部門において、既存製品の改良と新製品等の研究開発に取り組んでおりますが、万一、当社グループが想定していない新技術及び新サービスが普及等した場合には、当社グループの製品が陳腐化し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、マーケット内の競争激化による製品価格の引き下げは、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)特定役員への依存及び人材の確保、育成について

① 特定役員への依存について

当社代表取締役社長である相原輝夫は、当社経営の最高責任者であり、営業活動、開発活動に深く関与しておりますが、現在は業務分掌や職務権限の委譲が進み、同氏への依存度は低下しております。しかしながら、今後何らかの理由で同氏が当社での業務を継続することが困難になったとき、当社の経営成績に影響を与える可能性があります。

 

 

② 人材の確保、育成について

当社グループの従業員には、医療とITに関する高度な知識と提案力が要求されます。今後も継続的な採用活動と教育育成プログラムにより人員拡充に努めてまいりますが、計画的な採用、育成ができなかった場合、事業拡大及び将来性に影響を与える可能性があります。

 

(6)販売パートナーとの関係について

当社グループは、研究開発型企業として製品を供給し、パートナーを通じ販売を拡充する方針をとっております。当社グループは、販売パートナーとの間に良好な関係を維持しておりますが、今後、販売パートナーの経営戦略の変更や他社製品への取り扱いの変更、その他何らかの理由で良好な関係が維持されず、代理店契約等が解除された場合には、当社グループの営業拠点から離れた地域のユーザーへのサポート等に係る金銭的又は時間的な負担が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)特許権等の知的財産権について

当社グループは、国内外において特許権等の知的財産権を取得することにより、独自に開発したロジックや製品等の保護に努めております。しかし、第三者から異議申し立てを受け、無効になる、又は回避される可能性があり、これらの特許権等により競争上の優位性が保証されるものではありません。

当社グループは、現時点において、当社グループの特許に対する無効申し立てや、当社グループの事業活動に影響を与えるような特許権、商標権、著作権等その他の知的財産権が他組織により取得されているという事実は確認しておりません。しかしながら、ソフトウエアに関する技術革新の顕著な進展により、当社グループのソフトウエアが第三者の知的財産権に不時に抵触する場合や、当社が認識していない特許権が成立している場合、当該第三者が知的財産権の侵害を主張し、損害賠償及び使用差し止め等の訴えを提起される可能性並びに当該訴訟に対する金銭的な負担を余儀なくされる可能性があり、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(8)感染症流行の影響について

感染症の流行は、当社の主要顧客である医療機関の操業へ大きな影響をもたらします。万が一その影響が深刻化する様相となった場合には、医療機関へのシステム導入の長期化や延期等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)当期の経営成績の概況

当社グループが主に事業を展開する国内の医療業界においては、診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス等報酬の改定を指す「トリプル改定」が2024年4月に予定され、現場の業務改善や情報管理の在り方を見直す動きが活発になっています。また、政府から打ち出された「医療DX令和ビジョン2030」の推進へ向けて、「全国医療情報プラットフォームの創設」、「電子カルテ情報の標準化」、「診療報酬改定DX」に関する議論も盛んです。

 

新型コロナウイルス感染症の流行は、当社を取り巻くビジネス環境を大きく変え、医療業界におけるシステム投資の考え方にも影響を及ぼしました。大規模医療機関においては院内の業務効率化は勿論、他の医療機関や薬局、介護施設との連携など、地域ぐるみで医療サービスのアクセシビリティと質の向上を実現するためにも、DX対応は避けられないものとなりつつあります。同時に、医師や医療従事者の働き方を改善するためのソリューションや、患者と直接電子的にコミュニケーションを取ることができるプラットフォームなど、より高度な運用を可能にする診療支援システムへの投資意欲が高まっています。

 

このような業界のトレンド・現場のニーズに応えるべく、当社グループは既存製品の展開に加え、クラウドを利用した新しいサービスの開発・拡充に積極的に取り組んでおります。

 

また、当社グループはサステナビリティに関する取り組みを強化しております。気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への賛同や気候変動イニシアティブ(JCI)への参加に加え、カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト(CDP)の質問書への回答など、気候変動に関する国内外のイニシアティブへの対応を積極的に行っております。また、女性管理職比率の向上を実現するために、女性活躍推進法に基づき策定した当社の行動計画に従い、キャリアパスのヒアリングや研修の導入など様々な施策を取り入れております。2023年4月からは所定労働時間を短縮し、国内遠隔地・海外居住者を対象としたフルリモート勤務制度を設定するなど職場環境の整備を行い、従業員のQOL向上を図っております。他方、法務省が提唱する「Myじんけん宣言」の公表や、東京都「心のバリアフリー サポート企業」への登録など、サステナブルな経営を推進するための多角的な取り組みを実施しております。世の中に求められる画期的なシステムで新しい社会インフラの構築を担い、医療や人々の健康を支える企業として、社会的責任を果たしてまいります。

 

2023年の連結業績は、以下のとおりです。

(単位:千円)

 

2022年12月期

2023年12月期

増減額

増減率

通期業績予想

達成率

売上高

4,541,242

5,191,735

650,493

14.3%

102.5%

営業利益

1,028,522

1,496,570

468,047

45.5%

114.0%

経常利益

1,055,708

1,527,453

471,745

44.7%

114.8%

親会社株主に帰属する当期純利益

722,779

1,059,140

336,361

46.5%

114.7%

 

当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高5,191,735千円(前年同期比14.3%増)、営業利益1,496,570千円(同45.5%増)、経常利益1,527,453千円(同44.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,059,140千円(同46.5%増)となりました。医療ビジネスセグメントの好調を主因に売上・利益ともに前年同期の業績を上回りました。

 

2023年12月期のセグメント別(連結)の経営成績は、以下のとおりです。

なお、当連結会計年度より報告セグメントを再編し、医療ビジネス、公共ビジネス、ヘルステックビジネスの3セグメントといたしました。以下セグメント別の経営成績では、2022年12月期の実績を新セグメントに置き換えて記載しております。

 

 

≪医療ビジネス≫

(単位:千円)

 

2022年12月期

2023年12月期

増減額

増減率

売上高

4,352,187

4,935,926

583,738

13.4%

営業利益

1,267,070

1,625,997

358,927

28.3%

 

医療ビジネスセグメントの主力製品には、画像ファイリングシステム「Claio」や診療記事記載システム「C-Note」、文書作成システム「DocuMaker」などがあります。これらに代表される当社製品は、高度な医療を提供する大規模病院において高い評価と安定したシェアを維持し、病院情報システムの中核として診療に欠かせない重要な役割を担っております。2023年11月には「Claio」のユーザー数が1,500施設を突破するなど、今日に至るまで導入数は順調に増加しております。

 

当セグメントの2023年12月期の経営成績は、売上高4,935,926千円(前年同期比13.4%増)、営業利益1,625,997千円(同28.3%増)となりました。大型導入案件が順調に進んでいるほか、パッケージ製品の販売も堅調に推移しています。また2023年1月に創設したコンサルティング部が大規模な継続案件を受注し、順調に立ち上がっていることは特筆されます。

 

当連結会計年度において病院案件45件、診療所案件109件の新規導入・追加導入及びシステム更新を実施いたしました。2023年11月には専門病院・クリニックを対象に、診療情報のバックアップデータや、施設で保管したい資料等のデータをより安全なクラウドストレージに保存し、運用するサービス「クラウドバックアップサービス」の提供を開始しました。インドにおけるClaioの販売については、現地での販売を統括する予定の豊田通商株式会社(以下「豊田通商」、本社:愛知県)と、販売価格や開始時期の詳細を協議しております。

 

クラウドソリューションと医療AI技術の提供を主業とする子会社のフィッティングクラウド株式会社は、2023年10月に京都大学医学部附属病院と、生成AIを活用した診療現場における文書作成タスクの省力化に関する共同研究をスタートしました。今後、得られた成果のファインデックス製品への組み込みを進めてまいります。また、2024年4月から施行される改正医療法により、医師の働き方改革が推進されようとしています。2023年11月に開催された医療情報学連合大会において、医師の働き方改革に合わせた各種製品の紹介も行いました。

 

≪公共ビジネス≫

(単位:千円)

 

2022年12月期

2023年12月期

増減額

増減率

売上高

121,286

187,405

66,119

54.5%

営業利益又は損失(△)

△33,258

41,364

74,623

 

公共ビジネスセグメントは、当連結会計年度より新設されました。

当セグメントでは、公文書管理・電子決裁システム「DocuMaker Office」を中心に、当該製品の強みを生かすことができる省庁・自治体・公社及び医療機関をメインターゲットとして製品販売に取り組んでおります。DX推進により電子決裁や公文書管理システムの導入が加速していることから、省庁・自治体向けパッケージ、医療機関向けパッケージともに問い合わせや商談件数が増加しております。

 

当セグメントの2023年12月期の経営成績は、売上高187,405千円(前年同期比54.5%増)、営業利益41,364千円

(前年同期は営業損失33,258千円)となりました。

 

自治体向けパッケージについては、サービス開始以来のパッケージの稼働数は累計26件となりました。また2024年度上期に検収予定の大規模自治体や独立行政法人、国立大学法人への導入が5件進行中です。今後の営業展開を見据えた実績作りとして、数よりも規模を重視した営業活動に注力し、着実に成果を上げております。既に2024年度下期以降の稼働案件の商談も複数進行しており、2024年の第1四半期以降にプロポーザルなどが実施される見込みです。「高いコンサル力」と「ユーザー目線に立った使いやすいシステム」が評価され、業界における認知度も高まっていることから、今後多くの自治体、地方公共団体で採用いただけるものと考えております。また、今後は他システムとの連携にも積極的に取り組むことで、既存案件での追加受注も可能になると考えております。当サービスは月額利用のストック型ビジネスを採用しており、ユーザー数の増加に伴い、利用料での積み上げによる利益成長が予測されます。

 

医療機関のバックオフィス業務に特化した医療機関向けパッケージについては、2022年度より当社の既存ユーザーである大規模・中規模病院をメインターゲットに販売拡充が進みました。サービス開始以来の導入数は累計で6件、2023年の新規受注実績は5件にのぼり、2024年の春までに3件の稼働開始が確定しております。また、当製品は2023年12月に電子帳簿ソフト法的要件認証制度であるJIIMA認証を取得いたしました。これにより、従来の病院機能評価を支援する機能のみならず、電子帳簿保存法に対応する用途としても販売拡充が進むと期待されます。

 

≪ヘルステックビジネス≫

(単位:千円)

 

2022年12月期

2023年12月期

増減額

増減率

売上高

69,253

68,403

△849

△1.2%

営業損失(△)

△205,288

△170,791

34,496

 

ヘルステックビジネスセグメントでは、視線分析型視野計「GAP」(注1)の国内外での販売を順次進めております。「GAP」は、元来の検査手法とは全く異なるアプローチを用いて視野を測定することで可用性を高めた、画期的なウェアラブルデバイスです。本製品はこれまで検査の際に必須であった暗所の確保を不要とし、検査時間の短縮や患者の負担軽減を実現しました。本製品での手軽な検査により、自覚症状に乏しい初期の緑内障など網膜疾患の早期発見率の向上へ貢献します。更に、人間ドックや健診施設での利用を通じて網膜疾患初期の視野データを取得・分析し、国内外の研究開発機関と共有することで、製薬や生命保険領域など様々な分野での技術・サービス革新への寄与が期待されます。

 

当セグメントの2023年12月期の経営成績は、売上高68,403千円(前年同期比1.2%減)、営業損失170,791千円(前年同期は営業損失205,288千円)となりました。前年同期と比べ、EMC Healthcare株式会社(本社:東京都)が連結範囲から除外された影響で売上高は僅かに減少しましたが、同様の理由により経費負担が減少し、損失額も縮小しました。

 

当連結会計年度においては、引き続き国内医療機関へのデモンストレーションや販売を行うとともに、健診施設へ向けては豊田通商との協業で「GAP-screener」(注2)の販売を進めており、これら製品の2023年度中の国内出荷台数は14台となりました。2023年10月には、「日本臨床眼科学会」へ機器を出展のうえセミナーを共催し、多くの医療関係者の方々から関心をお寄せいただきました。また、2023年11月には「GAP」に関する解説が眼科専門誌へ掲載されるなど、広報活動も進捗しました。

 

海外展開に向けた取り組みでは、販売代理店である株式会社レクザム(以下「レクザム」、本社:大阪府)を通じて2023年12月1日よりEU・中東、北アフリカ一部地域へ、初期ロットとして46台の出荷を開始いたしました。今後はレクザムのOEM製品として「FIELDNavigator」の名称で、約50ヵ国にて販売されます。なお、インドやインドネシアでの薬事承認取得への準備も、段階的に進めております。

 

加えて、本製品が視野異常のみならずMCI(注3)の発見にも有用であることから、AMEDの令和3年度 医工連携・人工知能実装研究事業において「視点反応・眼球運動のデジタルフェノタイプを活用した軽度認知機能異常スクリーニングプログラムの研究開発」が採択されました。現在は京都大学と研究開発を実施しており、今後数年をかけ新たな医療機器として医療現場へ投入される予定です。

 

(注1) GAP:ゲイズ・アナライジング・ペリメーター、医療機器製造販売届出番号 38B2X10003000002

(注2) GAP-screener:ゲイズ・アナライジング・ペリメーター、医療機器製造販売届出番号 38B2X10003000003

(注3) MCI:Mild Cognitive Impairmentの略。健常者と認知症の中間の症状であり、認知症までは進行していない段階。軽度認知障害ともいう。

 

(2)財政状態

(単位:千円)

 

2022年12月期

2023年12月期

増減額

資産合計

4,980,780

5,934,285

953,505

負債合計

937,842

1,088,925

151,082

純資産合計

4,042,937

4,845,360

802,422

 

(資産)

当連結会計年度末における資産の残高は5,934,285千円となり、前連結会計年度末より953,505千円増加しました。

① 流動資産

流動資産は、現金及び預金の増加279,413千円、受取手形の増加88,453千円、及び契約資産の増加460,145千円を主たる要因とし、当連結会計年度末残高5,006,955千円(前連結会計年度末比878,652千円増)となりました。

 

② 固定資産

固定資産は、有形固定資産の減少14,032千円に対し、無形固定資産の増加39,044千円及び投資その他の資産の増加49,840千円を主たる要因とし、当連結会計年度末残高927,330千円(前連結会計年度末比74,852千円増)となりました。

 

(負債)

当連結会計年度末における負債の残高は1,088,925千円となり、前連結会計年度末より151,082千円増加しました。

① 流動負債

流動負債は、未払法人税等の増加103,712千円を主たる要因とし、当連結会計年度末残高772,846千円(前連結会計年度末比118,843千円増)となりました。

 

② 固定負債

固定負債は、株式給付引当金の増加46,338千円を主たる要因とし、当連結会計年度末残高316,078千円(前連結会計年度末比32,238千円増)となりました。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産の残高は、4,845,360千円となり、前連結会計年度末より802,422千円増加しました。これは主に利益剰余金の増加784,967千円によるものであります。

 

 

(3)キャッシュ・フローの状況

(単位:千円)

 

2022年12月期

2023年12月期

増減額

営業活動によるキャッシュ・フロー

693,848

842,844

148,995

投資活動によるキャッシュ・フロー

△230,160

△296,937

△66,776

財務活動によるキャッシュ・フロー

△142,020

△270,494

△128,473

現金及び現金同等物の増減額

321,668

275,413

△46,255

現金及び現金同等物の期首残高

2,045,974

2,287,747

241,772

連結除外に伴う現金及び

現金同等物の減少額

△79,895

79,895

現金及び現金同等物の期末残高

2,287,747

2,563,160

275,413

 

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、2,563,160千円(前連結会計年度末比12.0%増)となり、前連結会計年度末に比べて275,413千円増加しました。各キャッシュ・フローの状況と増減要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は842,844千円(前連結会計年度比148,995千円増)となりました。これは主として、税金等調整前当期純利益が1,524,453千円に対し、売上債権の増加額562,845千円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は296,937千円(前連結会計年度比66,776千円増)となりました。これは主として、無形固定資産(主に市場販売目的のソフトウエア)の取得による支出254,278千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、配当金の支払いを要因として270,494千円となりました(前連結会計年度の配当金支払いは232,020千円)。なお前連結会計年度では、連結子会社であったEMC Healthcare株式会社において短期借入金100,000千円の調達を行っております。

 

(4)資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

主な資金需要は、研究開発に係る人件費のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。

運転資金は原則として営業活動によるキャッシュ・フローにより賄われておりますが、状況に応じて直接金融並びに間接金融を利用していく方針であります。

① 有利子負債

該当事項はありません。

 

② コミットメントライン

当社は、取引銀行との間でコミットメントラインの設定はしておりません。

 

(5)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

(6)経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、成長性・収益性については売上高経常利益率を、資本効率についてはROE(株主資本利益率)を経営の重点指標としており、これらの改善及び向上を行うことを目標としております。

当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案し、企業価値を最大限に高めるべく努めております。

今後も当社グループでは、「価値ある技術創造で社会を豊かにする」という企業理念のもと、経営の効率性、健全性及び透明性を確保し、事業資本の最大化及び株主の皆様や顧客をはじめ社会から高い信頼と評価を得る会社の実現を目指してまいります。

 

(7)生産、受注及び販売の実績

① 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

医療ビジネス

1,411,824

107.8

公共ビジネス

73,155

114.7

ヘルステックビジネス

150,086

92.1

合計

1,635,066

106.4

(注)金額は当期総製造費用によるものであります。

 

② 受注実績

当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

医療ビジネス

3,814,842

115.2

1,679,265

158.6

公共ビジネス

197,551

204.4

96,224

305.6

ヘルステックビジネス

58,643

48.8

13,918

58.9

合計

4,071,037

115.3

1,789,408

160.7

 

③ 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

医療ビジネス

4,935,926

113.4

公共ビジネス

187,405

154.5

ヘルステックビジネス

68,403

98.8

合計

5,191,735

114.3

 

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

<医療ビジネス>

(1)研究開発活動に関する基本方針

当セグメントでは、病院情報システム・医療ネットワークシステムに特化した研究開発型企業として当社の企業価値を高めるとともに、現場のニーズに迅速かつ的確に対応しながら、次世代の医療情報インフラとなる革新的な技術を研究開発しております。数年先を見越した製品開発の根幹にあるものは、当社が今まで蓄積してきた医療情報技術の知見に加えて、他社には追従の難しい難易度の高い研究です。これを突き詰め、医療を通じて健康で安全な社会を実現する、基盤の一部となる研究を行うことを基本方針としております。

 

(2)研究開発体制及び管理体制

当セグメントでは、当連結会計年度末現在において、担当取締役を管理者に以下76名(従業員比率26.2%)が研究開発に関わっております。医療システム開発においては、医療政策の方向性や医療を取り巻く技術革新から、今後必要とされるであろう製品やサービスを、コンサルティング部を中心として、多くのステークホルダーとともに検討のうえ、研究テーマを策定しております。

研究開発に関するテーマの選定、プロジェクト編成、予算等は取締役会にて討議・決定され、その後の研究開発における進捗状況は案件ごとに取締役会に報告されるとともに、研究開発活動の継続・中止が検討・決定されます。

 

(3)当連結会計年度における研究開発活動

当セグメントでは、病院情報システムのパッケージ製品の機能強化に加え、大規模病院でのシステム運用において、オンプレミス型からクラウド型への切り替えを促進する製品の研究開発を行いました。また医療者の業務負担軽減につながる生成AIを活用した医療文書作成の実装に関する研究にも着手しました。

 

<公共ビジネス>

(1)研究開発活動に関する基本方針

当セグメントでは、当連結会計年度末現在において、担当取締役を管理者に以下3名(従業員比率1.03%)が研究開発に関わっております。自治体や公的企業、省庁外郭団体向け公文書管理及び決裁システムの製品機能に関する研究開発を進めております。公的施設で安全かつ安定したサービスを提供するという観点からは医療業界と同様であり、当該研究開発が社会インフラの一部を形成することを念頭に、永続性のある技術を研究開発していくことを基本方針としております。

 

(2)研究開発体制及び管理体制

当セグメントでは、これまで多くの研究開発資源が投入されてきた院内文書管理システムである医療版DocuMakerを骨格とし、新たな技術開発をしております。営業コンサルティングチームが、マーケットのニーズを逸早く吸収し、研究テーマを随時検討しております。

研究開発に関するテーマの選定、プロジェクト編成、予算等は取締役会にて討議・決定され、その後の研究開発における進捗状況は案件ごとに取締役会に報告されるとともに、研究開発活動の継続・中止が検討・決定されます。

 

(3)当連結会計年度における研究開発活動

当セグメントでは、「DocuMaker Office」を公文書管理・電子決裁システムとして大規模な組織にも適用可能な分散構成への対応を進めました。メールを用いた収受機能の拡充や供覧文書への対応を行い、システム内施行や公印申請など効率的な文書管理機能について研究開発を進めました。大規模自治体において、他システムのマスタ、文書、決裁フローなどのデータ解析を行い、「DocuMaker Office」へのシームレスな移行を実現しました。

 

<ヘルステックビジネス>

(1)研究開発活動に関する基本方針

当セグメントでは、当連結会計年度末現在において、担当取締役を管理者に以下14名(従業員比率4.8%)が研究開発に関わっております。メディカルエンジニアリング・人工知能・データ分析技術を活用したヘルスケアサービス企業としての企業価値を高めるとともに、新たな市場を創出し、人々の健康・Quality of Life(QOL)の向上や、企業・組織の生産性向上に資する研究開発活動に注力しております。

海外展開も実現した革新的な製品・サービスとして、市場に提供することができる基礎技術研究を、社内に加え国内外の医療機関や研究機関とともに取り組むことを、基本方針としております。

 

(2)研究開発体制及び管理体制

当セグメントでは、事業戦略室を中心にR&Dチームが構成され、全国の拠点で研究開発に従事し、先鋭的な領域での基礎研究に加え、製品へ実装するためのコア技術の開発を行っております。週1回開催される定期ミーティングでの報告に加え、検討が必要な場合には在宅や拠点間でタイムリーに会議が開催できるよう常時接続型のバーチャルオフィス環境を導入しております。また医療機関等との共同研究は、AMED等との連携の下、実施及び成果管理を行っております。

研究開発に関するテーマの選定やプロジェクト編成、予算等は、取締役会において討議・決定され、その後の研究開発における進捗状況は案件ごとに取締役会に報告されるとともに、研究開発活動の継続・中止が検討・決定されます。

 

(3)当連結会計年度における研究開発活動

当セグメントでは、視線分析型視野計「GAP」の機能強化に取り組むと同時に、早期認知症の診断に関する本機器の応用研究を、AMED予算取得のうえ京都大学と共同で進めております。

 

上記の研究開発活動の結果、当連結会計年度は医療ビジネスにおいて研究開発費32,814千円、公共ビジネスにおいて1,459千円、ヘルステックビジネスにおいて18,624千円、総額52,898千円を計上しております。

 

知的財産権について

 

特許権者

登録番号

出願国

出願日

特許の概要

 

当社

第4390222号

日本

2008年11月28日

タイムスタンプを利用した電子データ認証

 

当社

第5469985号

日本

2009年10月6日

データベース間のデータ受け渡し(光学文字認識)

 

当社

第4917667号

日本

2010年12月7日

スクリプトによるローカルアプリ制御

 

 

当社

第6339312号

9,280,253号

2869195

日本

米国

欧州

2012年6月28日

2012年8月3日

2012年8月3日

アプリケーション連携(起動ランチャー)

 

当社

第6080586号

9,639,970号

第2024127号

430486

11201506275X

MY-173006-A

日本

米国

韓国

インド

シンガポール

マレーシア

2013年2月13日

2013年3月29日

2013年3月29日

2013年3月29日

2013年3月29日

2013年3月29日

画面上文字認識(ドットパターン認識)

 

当社

第6660193号

日本

2016年1月29日

劣化サイン筆跡画像を用いた電子サイン管理システム

 

当社

第7246044号

日本

2019年3月6日

視認判定システム(仮想球)

(注)

当社

特願2020-103472

-

202180040186.1

21825524.8

17/937,780

日本

PCT

中国

欧州

米国

2020年6月16日

2021年4月27日

2022年12月2日

2022年11月17日

2022年10月4日

中心暗点被験者用の視野検査装置

(注)

当社

特願2020-141312

-

21860978.2

202347016224

18/173,724

日本

PCT

欧州

インド

米国

2020年8月25日

2021年7月2日

2023年2月16日

2023年3月10日

2023年2月23日

可視判定システム(視標表示時点で可視であったか否か)

(注)

当社

特願2020-184793

-

21888921.0

202347033652

18/305,325

日本

PCT

欧州

インド

米国

2020年11月5日

2021年9月13日

2023年4月21日

2023年5月12日

2023年4月22日

視線の動きによる特性検査システム

(注)

当社/

国立大学法人愛媛大学

特願2022-007923

日本

2022年1月21日

機械学習を用いた視野検査装置

(注)

当社

特願2021-210070

日本

PCT

2021年12月24日

2022年11月8日

視認フィードバック機能付き視野検査装置

(注)審査中であるため、登録番号の欄に出願番号を記載しております。