当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、1887年(明治20年)の創業以来、「最高の品質こそ 最大のサービス」を社是として、「書く、描く」ことにこだわり、品質向上と技術革新に努め、お客様にご満足いただける「もの」づくりに取り組んでまいりました。
当社の事業は、創業者である眞崎仁六が日本にも鉛筆を普及させたいと願い、「はさみ鉛筆」を一本ずつ販売することから始まりました。その後、海外製品にも負けない鉛筆をつくりたいと考え、1958年に最高品質の鉛筆「ユニ」が生まれました。そして現在では、当社の筆記具は、日本だけでなく世界100ヵ国以上のお客様にご愛顧いただいております。また、いつの時代も幅広い年齢層の方々にとって身近な存在であり続け、お客様の日常と生活に寄り添ってまいりました。
しかし、近年当社グループを取り巻く外部環境は、デジタル化の進展に伴う筆記機会の減少や価値観の多様化、社会課題への意識の高まりといった激しい変化の時代を迎えております。そのような中で、当社がこれまでの事業活動のなかでお客様に対してお届けしてきた提供価値を問い直して再定義したうえで、2022年に「ありたい姿2036(長期ビジョン)」を公表するに至りました。当社が筆記具という製品を介してお届けしてきた提供価値とは、「書く、描く」ことによって、お客様一人ひとりが生まれながらに持つ個性や才能をかたちにすることであり、またそういった活動を支えることであると考えております。
そして、創業から積み重ねてきたお客様への提供価値を起点として、筆記するための道具をつくる「筆記具メーカー」から、お客様それぞれが持つユニークを表現する喜びをお届けする「表現革新カンパニー」へと生まれ変わり「生まれながらにすべての人がユニークである」という信念に基づき、「書く、描く」ことを通じて、世界中のあらゆる人々の生まれながらに持つ個性と創造性を解き放つというお客様への提供価値を具現化してまいりたいと考えております。
筆記具には、お客様一人ひとりのユニークを引き出し、高め、彩り、共感しあえるものへと変える力があります。当社は、創業から取り組んできた筆記具事業でお客様にお届けしてきた提供価値と真摯に向き合い、性別、文化、障がいを始めとする一人ひとりが生まれ持った様々な違いを可能性に変えることで、豊かな表現や新たなつながりを生み出すことにより、違いを美しさととらえ、新たな技術で世界を彩ることに尽力してまいります。そういった活動を通じて、より一層のお客様の信頼をいただき、時間を超えてお客様にご愛顧いただける商品をご提供すべく、引き続き努力してまいります。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、お客様お一人おひとりに支えられ、1887年(明治20年)の創業より当社グループの考える「書く、描く」ということを、商品というかたちにしてご提案してまいりました。この永きにわたるお客様からの信頼にお応えするべく、収益性及び安全性に関する経営指標を総合的に勘案し、長期的な企業価値の向上を目標としております。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、創業150年である2036年に向け、お客様への提供価値を見つめ直し、実現したい将来の「ありたい姿2036(長期ビジョン)」、そこへ向かうためのパーパス・事業ドメインを含んだ「コーポレートブランドコンセプト(企業理念)」を策定しております。
グループ全体のありたい姿(長期ビジョン)を「世界一の表現革新カンパニー」とし、「生まれながらにすべての人がユニークである」という信念に基づき、「書く、描く」ことを通じて、世界中あらゆる人々の個性と創造性を解き放ち、表現する喜びをお届けするという価値を提供してまいります。
また、コーポレートブランドコンセプト(企業理念)を「違いが、美しい。」としております。「書く、描く」という行為には、人それぞれのユニークを引き出し、高め、彩り、共感しあえるものへと変える力があります。当社グループは、新たな技術と常に向き合い、性別、文化、障がい、人が生まれ持ったさまざまな違いを可能性に変え、豊かな表現や新しいつながりを生み出していきたいと考えております。さらに、違いを美しさと捉え、これまでも、そしてこれからも、新たな技術で一人ひとりのユニークを輝かせ、世界を彩りたいと考えております。
この長期ビジョンやコーポレートブランドコンセプトを踏まえて、これからの激しい環境の変化にも臆せず新しいことにチャレンジし、更に成長していくために、「uni re-design」を基本方針とした2022年から2024年までの中期経営計画に取り組んでおります。なお、中期経営計画の基本方針に基づいた重点方針と財務目標は以下の通りです。詳細につきましては、2022年2月17日に公表いたしました「『ありたい姿 2036(長期ビジョン)』『中期経営計画 2022-2024』の策定に関するお知らせ」及び2024年2月16日に公表いたしました「『中期経営計画 2022-2024』の数値目標修正に関するお知らせ」をご参照ください。
〔中期経営計画 2022-2024〕
①筆記具事業のグローバル化
これまで日本起点で行ってきた筆記具事業をグローバル発想に転換いたします。ユニークな筆記具をより多くの方にご利用いただき、世界中の人々の”ユニークさ”を表現する事に貢献します。
②新規事業をグロースステージへ
これまで筆記具という製品や技術を中心にとらえてきた事業を、新たに「書く、描く」というお客様への提供価値を起点にとらえ直し、これらの提供価値を具現化することのできる新規事業の創造を目指します。そして、筆記具事業と新規事業を組み合わせることにより、「書く、描く」ことを通じた様々な表現体験そのものを創造し、これまでにない顧客体験を提供いたします。
③サステナブルな体制構築
企業の成長のみならず、自然環境・社会との共生を図り、持続的な成長を目指します。これからも、表現を楽しみ続けられる自由でボーダーレスな社会の実現に貢献します。
なお、2022年2月17日の公表時点から為替環境が大きく変化したため、売上高及び営業利益の財務目標を修正しております。
(2024年財務目標)
売上高 :780億円
営業利益 :125億円
営業利益率:16.0%
(4)経営環境
当社グループを取り巻く筆記具の市場環境は、人口減少と少子高齢化に伴う需要の縮小という構造的問題を抱える国内市場に加え、欧米諸国はすでに成熟した市場となりつつあります。一方、アジアを始めとする新興諸国においては、経済発展に伴う中間所得層の増加を背景に、高品質かつ高機能な筆記具への需要が高まりを見せております。
テクノロジーの飛躍的な進化によって、急速にグローバル化が推し進められるとともに、筆記具に代替する製品やサービスが次々に出てきております。また、環境をはじめとするサステナビリティへの関心の高まりにより、お客様の消費における価値観を大きく変えつつあります。加えてインターネットを通じた流通やSNSをはじめとする情報媒体のさらなる普及は、お客様の購買行動を変容させており、こうした市場環境の変化に迅速に対応していくことが求められています。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、1887年(明治20年)の創業以来、「最高の品質こそ 最大のサービス」という社是のもと、「書く、描く」ということを筆記具という商品を通じてお届けし、より多くのお客様に喜んでいただくことを使命と考え、活動してまいりました。
当社グループを取り巻く市場環境に目を向けると、テクノロジーの飛躍的な進化は、ボーダーレス化を加速度的に推し進めていることに加え、デジタルツールをはじめとする表現手段の選択肢を大幅に拡張しています。また、インターネットを通じた流通やSNSといった情報媒体の普及は、お客様の購買行動を大きく変容させています。さらに、環境問題を始めとするサステナビリティという課題への関心の高まりは、お客様の消費に対する価値観を大きく変えつつあります。
このような市場環境のなか、当社グループが、今後さらなる発展を遂げるためには、「生まれながらにすべての人がユニークである」という信念に基づき、「書く、描く」ことを通じて、お客様一人ひとりが持つ個性や才能を解き放つこと、そしてこういった“表現体験そのもの”を創造していくことが不可欠であると考えております。これらの提供価値を起点として、グローバルな事業展開による新たな市場の開拓と、体制基盤の強化を踏まえたさらなる価値の創出を通じ、売上と利益を伴うシェア拡大が必要と考えております。また、筆記具事業と新規事業を組み合わせることによって、お客様への提供価値をさらに高めることが重要であると考えております。そのためには、企業の成長のみならず、自然環境や社会との共生を前提としたサステナブルな体制を構築していかなければならないと考えております。
これらの取り組みを通じて、当社グループに関係される多くのステークホルダーの方々との間で信頼関係を築き、持続した成長を実現できる当社グループを目指してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティに関する基本的な考え方及び取組み
当社は、「違いが、美しい。」というコーポレートブランドコンセプト(企業理念)のもと、ESG(環境・社会・ガバナンス)の視点から持続可能な社会の実現に向けて取組みを行い、多様性あふれる豊かな自然、世界中の多様な個性や文化が混ざり合う美しい世界で、だれもが自由に表現をたのしみ続けられる未来を目指します。
また、2022年より取り組んでいる「中期経営計画2022-2024」において、サステナブルな体制構築を重点方針と定め、取組みを推進しております。
(2)ガバナンス
当社は、取締役会の監督に基づき、サステナビリティ担当役員を議長とするサステナビリティ推進委員会を設置しております。サステナビリティ推進委員会は、グループ全体のサステナビリティ活動の方針策定と、各取組みのモニタリング等を行っています。また、サステナビリティ推進委員会下に部会を設置し、部門横断的な重要性の高いテーマについて活動方針の策定や各専門分野のモニタリングを行っております。
サステナビリティ担当役員は、取締役会に対して、年1回定期報告を行うほか、必要に応じてサステナビリティ活動の状況等について報告を行っております。
<サステナビリティ推進体制>
(3)リスク管理
当社では、リスク管理委員会を設置し、外部環境の変化等を踏まえてリスクを特定、分析、評価及び重要性の高いリスクの抽出を行ったうえで、リスクへの対応方針を定め、企業価値の毀損を回避するよう努めております。
リスク管理委員会は、代表取締役を委員長として、経営企画、財務、法務、総務、サステナビリティをはじめとする各分野を担当する執行役員等により構成しており、毎年1回以上、リスクマネジメント会議を開催し、リスクの見直しを行うとともに、活動報告や新規の活動テーマの策定などを行うことを通じて、当社グループ全体のリスク管理を行っております。詳細につきましては、
(4)気候変動に関する取組み
当社グループでは、気候変動を環境に関する重要課題のひとつととらえ、気候変動対策に積極的に取り組んでおります。事業活動に気候変動が及ぼすリスクと機会を把握するために、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言の枠組みに基づき分析を行いました。結果の概要は以下の通りです。
①ガバナンスとリスク管理
当社は、取締役会の下にサステナビリティ推進委員会を設置しており、気候変動に関するリスクと機会の管理を含む、当社グループ全体のサステナビリティ活動の方針策定及び各取組みのモニタリングを行っております。また、サステナビリティ担当役員は、取締役会年1回以上活動内容について報告を行っております。
②戦略・シナリオ分析
将来の気候変動が事業活動にもたらす影響について、下記の前提条件に基づいて、シナリオ分析を実施いたしました。前提条件およびシナリオ分析の結果は、以下の通りです。
<前提条件>
・ 時間軸 :2030年、2050年
・ 事業対象 :筆記具事業
・ 想定シナリオ:「+4℃(SSP3-7.0)」と「+2℃(SSP1-2.6)」を用いております。
<シナリオ分析結果>
a.「+2℃」のシナリオ分析結果
社会の方向性 |
リスク |
機会 |
||||
内容 |
程度 (注1) |
対応策 |
内容 |
程度 (注2) |
対応策 |
|
気候変動対応の重視 |
炭素税等によるコスト増 |
中 |
省エネ活動の さらなる推進 |
低炭素型製品の需要拡大 |
大 |
低炭素型製品の開発強化 |
循環型社会の 形成推進 |
再生プラ利用へのシフト |
中 |
再生材利用技術の確立 |
再生プラ製品の需要拡大 |
中 |
再生プラ製品の開発強化 |
プラスチック使用量削減への 取組み不足 |
中 |
プラスチックの削減と代替 (包装材等) |
プラスチック削減製品の需要拡大 |
中 |
プラスチック削減製品の開発強化(包装材等) |
|
生物多様性の 維持・保全 |
森林保全の 厳格化 |
中 |
森林認証財の 利用増大 |
森林認証材使用製品の需要拡大 |
中 |
森林認証材使用製品の開発強化 |
環境規制の 厳格化 |
化学物質等の規制強化 |
小 |
現在の環境管理体制の維持強化 |
環境規制対応製品の需要拡大 |
小 |
環境規制対応製品の開発強化 |
b.「+4℃」のシナリオ分析結果
社会の方向性 |
リスク |
機会 |
||||
内容 |
程度 (注1) |
対応策 |
内容 |
程度 (注2) |
対応策 |
|
気象災害の 激甚化 |
災害被害による工場稼働停止 |
中 |
気候変動を想定したBCP整備 |
- |
- |
- |
平均・最高 気温の上昇 |
従業員の健康への悪影響 |
小 |
適切な 労働環境の整備 |
- |
- |
- |
(注)1.リスクにおける程度の判断は、以下の基準に基づき行っております。
・大:ビジネスへの影響があり、何らかの対応を早急に検討する必要があると想定される
・中:ビジネスへの影響があり、何らかの対応の検討が必要と想定される
・小:ビジネスへの影響はあり得るものの、かなり影響が低いと想定される
2.機会における程度の判断は、以下の基準に基づき行っております。
・大:新規の、もしくは更なるビジネス展開の早期・具体的な可能性が想定される
・中:新規の、もしくは更なるビジネス展開の可能性が想定される
・小:ビジネス展開の可能性はあるものの、さほどの影響はないと想定される
シナリオ分析の結果、いずれのシナリオにおいても、気候変動の影響による財務リスクはあるものの、大きな影響を及ぼすと考えられるリスクについては、対応策を講じることで事業が継続できることが確認できております。また、当社グループの目指す社会は、気候変動の緩和と事業成長の両立が実現可能な「+2℃」のシナリオであることも確認できました。
また、当該分析を踏まえ、「気候変動への対応」、「サステナブルな資源利用」、「環境汚染の抑制」、「生物多様性の保全」の4つを環境重要課題として環境方針を策定するとともに、以下の通り活動方針を策定しております。
<活動方針>
・二酸化炭素(CO2)排出削減とエネルギーの効率的な利用を推進し、気候変動の緩和に貢献する
・省資源、及びリサイクルの推進に努め、資源循環社会の実現に貢献する
・製品及び製造過程で使用する化学物質を的確に管理し、環境負荷の少ない社会づくりに貢献する
・事業活動を通じ、生物多様性及び生態系の保護に貢献する
・環境保護を推進する社内体制の整備を図り、社員の意識と行動の徹底に努める
③指標及び目標
当社グループは、上記のシナリオ分析を踏まえて、気候変動を緩和するための目標を定めております。
<気候変動を緩和するための目標>
|
2030年 |
2050年 |
CO2排出量 |
50%削減 |
100%削減 |
エネルギーの効率的な利用(エネルギー使用量) |
15%削減 |
35%削減 |
再生可能エネルギー |
50%導入 |
100%導入 |
(5)人的資本への考え方及び取組み
当社グループは、外部環境が大きく変化するなかで、当社の持続的な成長を実現するためには、「違いが、美しい。」というコーポレートブランドコンセプトのもと、新たな技術に向き合い、性別、文化、障がい等の様々な違いを可能性に変えることで、従業員一人ひとりが自分の創造性を解き放ち、自律して仕事に取組み、企業とともに成長できる環境づくりを推進することが必要と考えております。
①戦略
当社グループは、持続的な成長のための6つのキーコンセプト(多様性、長期視点、自律、創新(挑戦)、スピード、共創・利他)を設定し、ありたい姿2036の実現に向け、人材像(期待役割)を定義し、階層別に求められる行動、スキル等を明確化しております。
②人材の育成に関する方針及びその取り組み
当社グループでは、「違いが、美しい。」というコーポレートブランドコンセプトに基づき、従業員一人ひとりの能力、スキル、専門性を最大限発揮することを人材の育成方針としており、これらを通じて企業価値を向上することを目指しています。従業員が自律的に学び、また前向きにチャレンジする姿勢を持つことに加えて、従業員の多様な個性を活かしながら相互に支援し合い、また適切に権限移譲することを通じて、お客様への提供価値を高め、ひいては企業価値の向上に繋げていくこととしています。
総合的なキャリア形成を支援するために、知性・社会性・人間性に関する教育を開発するとともに、環境を提供することで、自己決定感のある人事制度・労働環境を整備し、自律型人材の育成に努めています。また、従業員をはじめとするステークホルダーの多種多様な考えを共有することを通じて、大きな成果を生み出す仕組みづくりを行っております。また、人材育成方針をさらに推し進める目的で、新人社員研修や階層別の研修などに加え、自己啓発の手段としてビジネススクール(通信教育)を実施しています。
③社内環境整備に関する方針及びその取組み
当社グループは、「ありたい姿2036」の実現にあたっては、多様な人材が活躍することが不可欠と考えており、年齢、性別、国籍にとらわれることなく、従業員一人ひとりの能力を最大限に活かすことができる職場環境の整備に努めています。具体的な取組みは、以下の通りです。
・ 人権方針の策定
当社グループは、人権尊重の考え方や責任を明確化する目的で人権方針を策定しております。
当社グループは、「違いが、美しい。」というコーポレートブランドコンセプトとともに、すべての人々の尊厳が守られる社会における企業としての責任を自覚し、すべてのステークホルダー方々の人権を尊重するとともに、負の影響が生じた場合は適切に対応することで企業としての責任を果たすことに努め、「安心して使える、安全な道具をすべての人々にお届けする」ことを目指しております。また、安全で健康な職場環境の維持・促進に取り組むとともに、強制労働や児童労働の禁止及び雇用慣行におけるあらゆる差別の禁止、並びに非人道的な扱いの抑止に努め、サプライヤーを含む当社グループのお取引先の皆様にもこれらの考え方の遵守を求めております。また、事業活動が地域社会に影響を与える可能性があることを認識し、地域社会に対して調和を図るよう努めております。
・ 女性活躍推進
女性が活躍できる環境づくりとして、女性が出産や子育てのためキャリアの中断や退社することはなく、育児支援ハンドブック、育休前面談、育休復帰セミナーによる育児支援に取り組んでおります。また、複数企業が合同で開催した「異業種ビジネスリーダーシップ塾2023~しなやかに一歩前に~」に女性中堅社員が参加し、キャリアの考え方及びリーダーシップなどをテーマとして、他社の参加者とディスカッションを行う機会を設定しております。
・ 障がいのある社員の活躍推進
当社グループで勤務する障がいのある社員が長く安心して勤務を可能にするため、ステップアップの仕組みの整備、障がい者の所属する部門のみならず、会社全体で障がい者及び周辺の社員を支える仕組みの2つを整備しています。
具体的には、障がいのある社員においても期待役割を明確化し、本人の意向と会社の判断を踏まえて正社員へ転換できる制度を整備しています。また、期待役割に応じた評価に基づき、自立した生活環境を確保できる賃金制度を設計しています。
・ エンゲージメント
経営戦略に基づき、事業の成長と当社グループの従業員の成長のベクトルを合わせることを目的として、職務に対する納得感や達成感を意識し、共に働く従業員としてエンゲージメントを重要視しています。
具体的には、職場における相互の理解を高めることで信頼関係を強化することに加えて、従業員一人ひとりの成長のための内省をうながす目的で1on1の実施しております。
④多様性の確保に向けた指標及び目標
当社は、「ありたい姿2036」の実現に向け、多様な人材が活躍することが重要と考え、多様性の確保に向けた指標及び目標として、以下の通り設定しております。
・管理職における女性の割合は、2023年12月31日時点で4.8%であり、2030年までに管理職に期待される役割を担うことができる女性の割合を15%程度に引き上げていくことを目指しています。
・管理職における外国人の割合は、2023年12月31日時点で1.0%であり、この割合を維持しつつ、今後の事業展開を踏まえながら、必要に応じて外国人の登用を進めてまいります。なお、海外の子会社においては、役員及び管理職等の中核的な立場に外国人を登用しており、今後も積極的に登用してまいります。
・管理職における中途採用者の割合は、2023年12月31日時点で11.4%であり、この割合を維持しつつ、今後の事業展開を踏まえながら、必要に応じて中途採用者の登用を進めてまいります。
当社グループの経営成績、財政状態に大きな影響を及ぼす可能性のあるリスクには次のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
(1)為替等のリスク
当社グループの当連結会計年度の売上高に占める米国、アジア、欧州、中近東、オセアニアなど海外市場に対する売上高は53.5%であります。これらの国々との取引におきましては大部分が外貨建ての決済を行っており、外貨建て取引は為替の変動リスクを負っております。これらの取引では先物為替予約などによるヘッジ策を講じておりますが、それにより完全に為替リスクが回避される保証はありません。同様に、樹脂材や板材といった当社製品に使用する輸入部材は日本円以外の通貨で決済しております。そのため、今後当社の予測を超える範囲で為替が変動した場合などは、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(2)カントリーリスク
当社グループは、米国、アジア、欧州、中近東、オセアニアなど世界各国において販売事業を、アジアにおいて製造事業を展開しております。当社グループでは、これらの国のカントリーリスクを事前に調査、察知して対処するよう努力しておりますが、予測できない急激な政治的・経済的変動、あるいは租税制度、法律、規制などの大幅な改定、テロ・戦争の勃発、感染症などによる社会混乱は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(3)新製品開発
当社グループの主たる事業である筆記具の市場におきましては、新製品の開発、発売が当社グループの将来の成長を支える大きな要因であると考えており、付加価値の高い魅力的な新製品を継続的に開発する体制を整えております。しかしながら、今後ますます市場のニーズは多様化し、商品サイクルが短縮化することが予想され、市場ニーズにあった魅力的な新製品をタイムリーに開発、発売することができない場合には、将来の成長性と収益性に影響を与える可能性があります。
(4)資産の減損
当社グループでは筆記具等の生産のための設備を保有しておりますが、急激な売上げの減少などで生産数量が大幅に減少した場合にはこれらの有形固定資産の収益性が悪化いたします。また、当社グループでは市場価格のない株式等以外の有価証券を保有しておりますが、株式相場が大幅に下落した場合には、明らかに回復見込みがある場合を除いて減損処理を行います。これら資産の減損処理は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(5)情報システム
当社グループは、重要な情報の紛失、誤用改ざん等を防止するため、情報システムに対して適切なセキュリティを実施しております。しかしながら、停電、災害、ソフトウェアや情報機器の欠陥、停止、一時的な混乱、内部情報の紛失、改ざんなどのリスクがあります。このような事象が事業活動に支障をきたした場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(6)棚卸資産
当社グループでは、「棚卸資産の評価に関する会計基準」を適用しており、販売目的の棚卸資産の収益性を期末において評価し、収益性が低下していると判断される場合には評価損を計上することになります。このため、当社グループの棚卸資産について、市場環境の急激な変化や消費者ニーズの変化により収益性が低下していると判断し評価損を計上する場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(7)原材料等の調達や費用の高騰
当社グループは、主な原材料として原油価格の影響を強く受ける樹脂材、需給バランスに加えて原産地国の資源政策、環境政策の影響を受ける金属材や板材を使用しております。これらの原材料が予期せぬ経済的あるいは政治的な事情により、予定していた単価で安定的に調達できなくなった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。現在の原油価格や物流費の高騰が更に長期化する場合は当社グループの総利益や営業利益に影響を与える可能性があります。
(8)法規制
当社グループが行っている事業は、国内外の関連法規制を受け、その規制内容には保安安全に係るもの、環境や化学物質に係るもの、その他事業活動に関するものなど様々なものがあります。当社グループは、これらの法規制を遵守し、種々の事業活動を行っておりますが、将来的に法規制の大幅な変更や規制強化が行われた場合は、当社グループの活動の制限やコストの増加につながり、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(9)自然災害
当社グループは、東京に本社機能を持ち、神奈川県、群馬県、山形県及び栃木県に生産及び研究拠点があります。また、中国やベトナムにも生産拠点を有しております。当該地域において地震、洪水、台風、津波を始めとする大規模自然災害や感染症などによるパンデミック等が発生した場合、本社機能の麻痺や生産及び研究活動が停止する可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。
また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2023年1月1日から2023年12月31日まで)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限が解除となったことで、ペントアップ需要や訪日外国人の増加等により、緩やかな景気回復傾向が見られました。他方、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や中東情勢悪化といった地政学リスクの顕在化に伴う緊張感の高まり、原材料費・エネルギーコストなどの高騰に加えて、世界的なインフレの急拡大とそれに伴う金融引き締め等を背景とした世界経済の下振れ懸念など、依然として先行き不透明な状況が続いております。
当社グループを取り巻く外部環境といたしましては、国内市場においては少子高齢化、人口減少に伴う需要の低迷という構造的な問題を抱えていることに加えて、国内外を問わず、デジタル化の進展によって事務用品としての筆記具のニーズは縮小傾向にあります。さらに、環境問題をはじめとするサステナビリティという共通課題への関心の高まりは、お客様の消費に対する価値観を変容させつつあります。こういった市場環境の変化に迅速に対応し、お客様の求める価値を具現化し続けていくことが一層求められております。
このような経営環境のなか、当社グループは、「書く、描く」を通じた“表現体験そのもの”を創造することで、すべての人が生まれながらにして持つ個性や才能といった「ユニーク」を表現する機会を創り出すことが、お客様への提供価値ととらえ、「違いが、美しい。」というコーポレートブランドコンセプト(企業理念)に基づき、活動してまいりました。近年の取り組みのひとつとして、これまで積み重ねてきた技術や品質といった機能的価値に加えて、商品を通じて情緒的な価値を提供することに注力してまいりました。具体的な活動として、「uni MATERIAL JOURNEY 旅する素材。」というテーマで、役目を終えたあとに廃棄されるものや使用価値の高い循環可能な「素材」に着目し、筆記具として生まれ変わらせて価値をつなぐという試みとして、国内生産の木製家具メーカーのカリモク家具とコラボレーションし、木製家具を作るときに生まれる端材を使用した「JETSTREAM karimoku 4&1」を発売しました。また、子供たちの学習環境がタブレットの普及によって変化するなか、ノートに書いた文字をタブレットで撮影して電子黒板などへ投影したりする“タブレット授業”において、濃くはっきりと書けて描線の反射が少なく視認性の高い画像を撮影することができる鉛筆「uni タブレット授業えんぴつ」を発売し、子供たちの学習をサポートしております。加えて、“「書く」にのめり込む”をテーマに、書き始めから書き終わりまでノックすることなく書き続けられる世界初の機能が搭載されたキャップ式シャープペンシル「KURUTOGA DIVE」の新色としてオーロラパープルを発売いたしました。
これらの活動の結果、当連結会計年度における売上高は74,801百万円(対前年同期比8.4%増)、営業利益は11,851百万円(対前年同期比28.2%増)、経常利益は12,889百万円(対前年同期比27.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は10,166百万円(対前年同期比46.3%増)となりました。また、中期経営計画の進捗につきましては、海外売上高の構成比が50%を超えるなど、筆記具事業のグローバル化は着実に進展し、新規事業分野においては主に化粧品が好調に推移しております。
セグメント別の業績を概観いたしますと、筆記具及び筆記具周辺商品事業におきましては、海外市場を中心としてサインペンの販売が好調、さらに為替の影響も加わり売上高は伸長しました。それにより、外部顧客への売上高は72,516百万円(対前年同期比8.7%増)となりました。粘着テープ事業、手工芸品事業といったその他の事業におきましては、事業を取り巻く市場環境は依然として厳しいものの、外部顧客への売上高は2,285百万円(対前年同期比0.4%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べて8,757百万円増加し、55,856百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、主に税金等調整前当期純利益14,296百万円、減価償却費2,614百万円に対し、法人税等の支払額2,620百万円、固定資産売却損益1,475百万円により、合計で11,763百万円(前年同期比4,481百万円の収入の増加)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は、主に固定資産の取得による支出1,848百万円、定期預金の預入による支出1,261百万円に対し、固定資産の売却による収入2,779百万円により、合計で71百万円(前年同期比1,573百万円の支出の減少)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は、主に配当金の支払額1,979百万円、自己株式の取得による支出925百万円により、合計で3,722百万円(前年同期比172百万円の支出の減少)となりました。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) |
前年同期比(%) |
|
筆記具及び筆記具周辺商品事業 |
(百万円) |
47,657 |
105.7 |
その他の事業 |
(百万円) |
821 |
110.0 |
合計 |
(百万円) |
48,479 |
105.7 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額は、販売価格によっております。
b.受注実績
当社グループ(当社及び連結子会社。以下同じ)は見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) |
前年同期比(%) |
|
筆記具及び筆記具周辺商品事業 |
(百万円) |
72,516 |
108.7 |
その他の事業 |
(百万円) |
2,285 |
100.4 |
合計 |
(百万円) |
74,801 |
108.4 |
(注)セグメント間取引については、相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
・ 売上高
国内市場ではジェットストリーム、KURUTOGAの販売が堅調に推移したことに加え、イベント向けのノベルティ需要も回復の傾向がみられました。また、海外市場ではサインペンの販売が好調、さらに為替の押し上げ影響もあり売上高は大きく伸長しました。その結果、売上高は前連結会計年度に比べて5,803百万円増加し74,801百万円(前年同期比8.4%増)となりました。
・ 営業利益
資源価格、原材料価格、物流費の高騰など利益を押し下げる要因はありましたが、売上高の増加に伴い販売差益額が増加したことにより、営業利益は前連結会計年度に比べて2,607百万円増加し11,851百万円(前年同期比28.2%増)となりました。
・ 経常利益
営業利益の増加に加え、主に受取利息や受取配当金、為替差益の増加により、経常利益は前連結会計年度に比べて2,760百万円増加し12,889百万円(前年同期比27.3%増)となりました。
・ 税金等調整前当期純利益
工場再編損失の増加があったものの、経常利益の増加に加え、固定資産売却益の増加により、税金等調整前当期純利益は前連結会計年度に比べて4,116百万円増加し14,296百万円(前年同期比40.4%増)となりました。
・ 親会社株主に帰属する当期純利益
税金等調整前当期純利益が前連結会計年度に比べて4,116百万円増加し、非支配株主に帰属する当期純利益が131百万円増加したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度から3,215百万円増加し10,166百万円(前年同期比46.3%増)となりました。
・ 資産、負債及び純資産の状況
当連結会計年度末の資産、負債、純資産の状況は次のとおりであります。
資産は、主に現金及び預金、受取手形及び売掛金や投資有価証券が増加したことにより、前連結会計年度末に比べて14,671百万円増加し145,472百万円となりました。
負債は、主に支払手形及び買掛金、繰延税金負債が増加したことにより、前連結会計年度末に比べて3,183百万円増加し28,982百万円となりました。
純資産は、主に利益剰余金やその他有価証券評価差額金、為替換算調整勘定が増加したことにより、前連結会計年度末に比べて11,487百万円増加し116,489百万円となりました。
・ キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、第2[事業の状況]4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析]②キャッシュ・フローの状況に記載のとおりであります。
③資本の財源及び資金の流動性に係る分析
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料の購入費用、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に筆記具及び筆記具周辺商品事業に係る設備投資、余剰資金運用の為の有価証券購入等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金及び金融機関等からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関等からの長期借入を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は3,469百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は55,856百万円となっております。
(固定資産の譲渡と取得)
当社は、2023年10月26日開催の取締役会において、固定資産の譲渡と取得を行うことについて決議し、2023年10月31日付で不動産売買契約を締結いたしました。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。
(持分取得の連結子会社化)
当社は、2024年2月28日開催の取締役会において、C. Josef Lamy GmbH社の全持分を取得し、連結子会社化することについて決議いたしました。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。
当社グループの研究開発活動は、「最高の品質こそ 最大のサービス」の社是のもと、筆記具及びその周辺商品等における新製品の開発と品質向上、安全性の確保、環境問題への対応を目的としております。また筆記具以外の分野にもこれらの成果を広く応用展開することも積極的に進めております。
なお、当連結会計年度における研究開発費は
(1)筆記具事業
①「芯が回ってトガり続けるシャープ」の『クルトガ』シリーズより、エンジン改良&グリップ搭載でより筆記に集中できる「クルトガ 新スタンダードモデル」を新発売しました。
「クルトガ 新スタンダードモデル」は、学生の日々の勉強をサポートできるよう、2008年に発売された初代スタンダードモデルからさらに進化した新モデルです。クルトガは筆記動作を回転方向に変換することで芯を回転させる機構を搭載しています。その効果により、芯が均一に摩耗してトガり続けるため、ずっと細い文字を書き続けられ、ノートもスッキリします。本製品は、筆記動作を回転方向に変換させることによるペン先のブレを軽減できるように「クルトガエンジン」を改良し進化させました。筆記時にブレを感じにくいため、より書きやすく、「もっと集中」を実現しました。また、初代スタンダードモデルには無かった長時間筆記に適したグリップを新たに搭載しています。ペン先側に広がっている形状にすることで、指に馴染み、握りやすい最適設計を目指しました。デザインも一新し、シンプルなワントーンデザインが学びに寄り添い、勉強に集中できる1本に仕上げました。
②シャープ替芯「ユニ」から段ボール素材パッケージ(業界初)を新発売しました。シャープ替芯「ユニ」は、こすれにくくノートや手を汚さない密着芯と、シンプルで使いやすいケースデザインが特長のシャープ替芯で、2021年の発売以降学生を中心にご好評いただいております。
シャープ替芯は使い捨てのプラスチック製ケースが現在の主流です。メインユーザーである学生から「まだきれいなケースを捨てるのがもったいない」「0.3mm芯は減りやすいからすぐに空ケースがたまる」「環境にもっと配慮した使い方はないか」などの声が聞かれるようになりました。社会情勢としてもサステナブルなものづくり、消費行動への関心が高まっています。既存ケースの利便性を活かしながら、シャープ替芯における新しいサステナビリティの形を模索するなかで、洗剤等で普及している詰替方式を参考に当商品を開発しました。
段ボール素材のサステナブルな詰替用パッケージは、厚さ4mmのスリムな段ボール板材にシャープ芯を収容し、段ボール素材のナチュラルな風合いを生かしたデザインに仕上げています。芯を封緘するシールも紙素材のため、ご使用後は資源ごみ(古紙・段ボール)としてお出しいただくことで回収・再利用されます。詰替方式だけでなく、パッケージ素材も環境に配慮した商品です。この取組は、レンゴー株式会社との共同開発により実現しました。段ボールはリサイクルの仕組みが確立されており、古紙利用率が90%以上と極めて高く“リサイクルの優等生”と呼ばれています。ライフサイクル全体でのCO2排出量も少なく環境負荷の低い優れた包装資材です。当商品では、段ボール板材の断面の穴に直接シャープ芯を収容し、詰替用パッケージとして活用するアイデアを具現化しました。
③新開発の特殊な芯で、小学校の新しい学習方法(タブレット授業)に対応した、濃く書けてタブレット授業でも見やすい「ユニ タブレット授業えんぴつ」を発売しました。
小学校の新しい学習方法である、タブレット授業は、ノートに書いた文字をタブレットで撮影し、スクリーンや電子黒板へ投影して授業を行います。タブレット授業は増加しており、子供たちの学習をサポートできる鉛筆を開発しました。
「ユニ タブレット授業えんぴつ」の新開発の芯は、同じ2Bの硬度でも従来品より濃くはっきりとした文字をノートに書くことができます。描線は濃くはっきりとしていますが、消しゴムでの消え方は従来鉛筆と同等です。さらに、黒鉛筆芯特有の反射を抑え、明るい照明の下でも視認性が高いことが特徴です。濃くはっきりとした文字は撮影した際に撮影者の影に影響されずしっかりと視認することができます。また反射の少ない文字は、ノートの端の文字まで反射せずにしっかりと写すことができるためタブレットによるカメラ撮影に慣れていないお子様でも簡単に視認性の高い画像を撮影することができます。タブレットを用いた授業内でスピーディーに意見の交換が可能になり、これによって自分の意見や考えがしっかりと他者へ共有できるようになります。
(2)筆記具周辺商品事業
①化粧品事業
筆記具のインク流出機構設計を応用し、お客様の使い勝手の良い化粧品アイテムの開発を行っております。リキッドアイライナー、固形アイライナー、毛染めは、筆記具で培った超微粒子顔料分散技術、インク配合技術、鉛筆製造技術や容器設計技術を応用することにより、国内・海外の化粧品業界から高い評価を受けております。
②産業資材事業
筆記具の開発を通してこれまで培ってきた「分散」、「焼成(カーボン)」、「微細加工」、「容器設計」など当社独自のコア技術を活用し将来成長領域での新規事業開発に取り組んでおります。ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やカーボンナノチューブ(CNT)など機能性材料の分散液や重合性ナノ粒子、音響整合層や電極材料などのカーボン製品及び定量吐出など精密機構を備えた特殊容器などを開発、エレクトロニクス、ウェルネス、モビリティなど様々な分野へ幅広く提案しています。特に最近では電池材料向けのニーズが高まっており、当社技術の筆記具以外の分野への横展開・新規事業開拓を積極的に進めています。