(1) 経営方針
当社グループは、新たなステージへの飛躍を目指し、2030年を見据えた長期ビジョン「Challenge 1000」を策定、2020年度よりこれに沿った積極経営を推進しております。
変わらぬ企業理念「独創力」のもと、2030年にありたい姿として、「独創力で、“一歩先行く提案”型企業へ」を掲げ、独創的なアイデアで社会課題を解決し、世界をリードする企業となることを目指しております。
さらに、良き企業市民として、顧客、従業員、株主、そして社会に貢献していくこととした「四方よし」を企業の活動方針としています。お客様には「一歩先の価値」を、従業員には「挑戦と成長」を、株主の皆様にはより一層の「利益還元」を、そして、社会には「より良い明日」を届けることにより、ステークホルダーの皆様に貢献してまいります。また、自主的なレスポンシブル・ケア*活動に取り組み、社会の持続的な発展に貢献するとともに、さらなる社会課題の解決に向け、国連で採択された持続可能な開発目標(SDGs)の達成にも貢献してまいります。
*レスポンシブル・ケア:化学物質等を製造または取り扱う事業者が、製品の開発、製造、物流、使用、最終消費、廃棄、リサイクルの全ライフサイクルにわたって環境、安全、健康を守る自主管理活動のことです。
(2) 経営戦略等
「Challenge 1000」の実行にあたっては、6つの全社変革方針の実行による事業基盤の強化を推し進めるとともに、事業変革方針として、これまでの「お客様のご要望起点」のスタイルから、「四国化成からの提案起点」のスタイルへの変革を掲げ、各事業が持つ強みをさらに高め、世界中のお客様や社会の課題解決のために、いかに先回りした提案ができるのかを追求し、実行しております。
全社変革方針
①価値づくり「ブランド価値の向上と新しい事業への挑戦」
②余力づくり「変革リソース確保に向けた効率化実現」
③拠点づくり「世界への足場づくりと世界展開の加速」
④組織づくり「ビジョン実現に向けたグループガバナンス体制の確立」
⑤風土づくり「多様性を認め、挑戦を後押しする風土の醸成」
⑥人財づくり「個人の挑戦を促し、公正に評価する仕組みの構築」
事業変革方針
「お客様のご要望起点」のスタイルから、「四国化成からの提案起点」 のスタイルへの変革
2030年に目指す事業のありたい姿
化学品事業「世界の進歩のために、進化と深化を続ける事業」
無機化成品事業
「取り扱いが難しい素材を循環的に活用し、世界の技術革新や環境保全に貢献する事業」
有機化成品事業
「環境・衛生を守り、世界中の人にキレイを届ける事業」
ファインケミカル事業
「独自技術による高機能な製品を提供し、技術の発展に貢献する事業」
「新技術で世界のスタンダードを創出する事業」
建材事業「未来のくらしをデザインし、笑顔でくらせる世界の街づくりに貢献」
「Challenge 1000」の遂行にあたっては、全社変革方針及び事業変革方針を着実に実行し目標を達成するために、積極的に成長投資を行っていく計画としております。
このうち設備投資といたしましては、徳島工場北島事業所の塩素化イソシアヌル酸の新プラント(NEO2022)が、2022年4月に竣工し、7月に稼動を開始しました。投資額は約50億円です。また、丸亀工場でも不溶性硫黄新プラントの建設工事を開始しており、2024年10月末完成予定です。投資額は約45億円です。
当社グループは、さらなる持続的な成長を目指して、「全員参加型」による「積極経営」を進め、世界の持続可能な発展に貢献する企業集団となることを目指しております。
なお、当社グループはグループ長期ビジョン「Challenge 1000」の達成に向け、2023年1月1日から持株会社体制へ移行しました。
持株会社体制への移行により分社化される各事業会社に対して大胆に権限移譲することで、意思決定を迅速化するとともに、生産・販売・開発の機能別組織を垂直的に統合し、組織をさらに一体化・緊密化し、一貫性を持った戦略の遂行を実現します。また、ガバナンス体制、本社部門の役割を再定義することで、企業統治構造のより一層の明確化や業務の効率化を図ってまいります。さらに、持続的な経営力強化に向けて自律性を持った事業会社の運営の中で、将来の経営人材育成を推進します。
これらの取り組みにより、経営のさらなる強化を図るとともに、変化の速い事業環境への対応、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた脱炭素化への取り組みなど、山積する経営課題を着実に解決してまいります。
(3) 経営環境
① 全般
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・賃金の増加を背景に個人消費の増加基調が維持されるなど、内需主導で緩やかな持ち直しが続いています。
海外経済は、米国では個人消費が予想外に底堅く推移していますが、今後は累積的利上げの遅効的影響による減速が見込まれ、景気後退を回避できるか否か、予断を許しません。
② 化学品事業
無機化成品事業における不溶性硫黄は、中長期的には世界のタイヤ市場は成長基調にあると予想され、不溶性硫黄の需要は堅調であるとみております。有機化成品事業では、コロナ禍を受けた消費者の行動や意識の変化により衛生管理に対する関心や需要はさらに高まってくると考えられ、塩素化イソシアヌル酸を中心とする殺菌・消毒剤事業は様々な方面で事業拡大の機会があります。ファインケミカルの事業領域である先端技術分野においても、例えば自動運転技術のさらなる進化や、5G(第5世代移動通信システム)の商用サービス本格化により、半導体をはじめとする電子部品などには更なる高機能化が求められております。そうした進化の一翼を担うものとして、当社の有機合成技術や低金属管理技術が生み出す新しい機能材料、電子化学材料及び表面化学材料の評価や採用はさらに活発となるものと予想しております。
③ 建材事業
国内市場では、人口の減少傾向も相俟って新設住宅着工戸数自体は高度経済成長期のピーク時からはほぼ半減しておりますが、エクステリア事業においては、従来の門扉・フェンス、車庫といった製品に加えて、デッキ、テラスやファサード製品など、新しい住まい方や空間提案による新たな市場創造は絶え間なく続けております。また、台風など近年の自然災害の増加・激甚化を背景に、住宅・景観エクステリアともに建築基準法に対応した高強度製品や安全性を重視した製品の需要が増加しており、今後も市場は堅調とみております。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
このような経営環境の中、当社グループにおきましては、長期ビジョン「Challenge 1000」の達成を目指し、「全員参加型」による「積極経営」を進め、コア・コンピタンスに根ざした新規商品・事業の育成・展開を図るとともに、研究開発及び生産技術の強化、グローバルな市場動向に機敏に反応できるきめ細かで効率的なマーケティングの展開、物流購買機能の向上等、全社変革方針及び事業変革方針で定めた施策の実行に全社を挙げて取り組んでおります。
また、“安全操業”、“環境保全”、“安定品質”の飽くなき追求は事業活動の根幹であると銘肝し、確実に成し遂げてまいります。
市場の成長や変化に対応し、優先して取り組む課題として、化学品事業では、コロナ禍を背景とする衛生意識の高まりに対応し、塩素剤を主成分とする家庭用品や医療介護向け製品の開発・販売など、提案型営業に力を入れております。その取り組みの一つとして、一般消費者向け(BtoC)市場への本格参入として、家庭用洗剤ブランド『WASHMANIA』を立ち上げました。更なる事業領域の拡大を目指してまいります。ICTの発展に伴い、さらなる高機能化が求められている最先端の電子化学材料分野では、本格的な商用サービス段階に入った5G(第5世代移動通信システム)の業界標準を目指す電子化学材料「GliCAP」のグローバルスタンダード獲得に注力するとともに、次世代の技術動向を見据えて研究開発体制の一層の強化を図っております。また、電子部品の性能の向上に貢献する「機能材料製品群」の開発・試作・量産体制の強化に加え、新たな領域として、微細化が進む最先端の半導体プロセス材料などに、近年の研究開発成果をタイムリーに投入するなど、上記方針に沿った「一歩先行く提案」に具体的かつ意欲的に取り組んでおります。
建材事業では、建築基準法に準拠したエクステリア製品の開発に力を入れております。台風の大型化やゲリラ豪雨など、自然災害の頻発や激甚化に対するユーザーからの風雨に強い製品を求める声に応え、従来製品の高強度化や新製品の継続的な投入によりラインアップを充実させております。引き続き、市場ニーズを先取りする独創的な商品をはじめ、高付加価値商品を継続的に投入することで、適正な利益水準の確保を前提とした事業規模の拡大に取り組んでまいります。
(5) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
長期的視点に立った成長戦略の実行による飛躍的な成長を目指し、2030年に達成すべき財務目標として、売上高1,000億円、営業利益150億円、ROE10%以上を掲げ、目標の達成に向けて全社一丸となって取り組んでまいります。
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) サステナビリティ全般
当社グループは変わらぬ企業理念「独創力」のもと、地球環境や社会課題への対応を経営方針の最重要事項の一つとして捉えています。
長期ビジョン「Challenge 1000」で定めた「2030年にありたい姿」、その活動方針である「四方よし」に対する取り組みは、当社グループのサステナビリティそのものです。
環境・社会課題は多様であることから、自社及び社会にとって持続可能な成長につながる重要かつ優先的に対応すべき課題(マテリアリティ)を特定し、課題の解決に資するビジネスの推進及び持続可能な社会の実現に向けて、効率的かつ最大限の貢献を目指します。
また、「Challenge 1000」財務目標の達成は、経営資源の増加につながります。それにより、現在の規模から質・量ともに発展させたマテリアリティ解決活動が可能となり、更なる投資へとつながります。ひいては「四方よし」に掲げる各ステークホルダーに対して、より高いレベルの貢献ができ、当社グループの持続可能性をより一層高めていくことと捉えています。
長期ビジョン「Challenge 1000」達成に向けた取り組みは、各事業・グループ会社が実行しており、その進捗は、各事業会社でレビュー及び進捗管理を実施しています。
また、その内容については、経営企画室が取りまとめ、当社の取締役会/経営会議に定期報告し、環境や社会に与える影響も踏まえた意思決定を行います。
②リスク管理
リスク管理においては、リスク管理に関する最上位規範である「リスク管理基本規程」を制定のうえ、「リスク管理マニュアル」に従い、各部署長が各々の管掌範囲においてリスク管理を行うことを基本としています。また、リスク管理の最高責任者を代表取締役社長と定めるとともに、グループコンプライアンス担当役員を委員長とする「コンプライアンス・リスク管理委員会」が全社のリスク管理を統括することによりリスク管理を適切に行う体制を構築しています。
③指標及び目標
特定した当社グループにおけるマテリアリティは、以下のとおりです。
(2) 気候変動への取組み
当社グループは、気候変動が長期的に事業活動に与える影響(リスク・機会)を認識しています。また、国際的な枠組みである「パリ協定」や「SDGs(持続可能な開発目標)」でも、気候変動の対応強化が求められていることから、2023年3月にTCFD提言に賛同を表明しました。当社グループは事業活動のあらゆる面において地球環境との調和を図ることで、持続可能な社会の実現に貢献することを目指しています。
※TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures(気候関連財務情報開示タスクフォース)の略。気候変動の影響を個々の企業が財務報告において公表することを求めるもの。
①ガバナンス
当社グループのサステナビリティ活動は取締役会が監督し、経営に反映しています。
また、グループ全体のサステナビリティ活動を強化するために、社長をレスポンシブル・ケア※の最高責任者と位置づけ、その下に原則として役員で構成されるRC推進委員会を設置しています。
RC推進委員会(年2回開催)では、具体的な活動の推進役である委員長を中心に目標の進捗確認や課題の設定を行い、継続的改善を図っています。その結果は取締役会に報告され、取締役会がこれを監督しています。
※レスポンシブル・ケア:化学物質等を製造または取り扱う事業者が、製品の開発、製造、物流、使用、最終消費、廃棄、リサイクルの全ライフサイクルにわたって安全、環境、健康を守る自主管理活動のことです。
②戦略
当社グループでは、気候変動に関する重要な物理的リスク・移行リスクと機会として、下記の通り認識しています。シナリオ分析に基づき、気候変動に対するレジリエンスを高める取り組みを進めてまいります。
③リスク管理
全社的なリスクの洗い出しと特定した重要リスクへの対応方針は、RC推進委員会及びリスクを所管する関連各部門との協議のうえ、年次で見直しを行います。その後、リスクアセスメントの結果は、RC推進委員会から全社的なリスクを統括している取締役会に報告され、全社リスクに気候変動リスクを組み入れています。
④指標と目標
気候変動の評価指標として、GHG排出量を選定しています。また、GHG排出量としてScope1,2についての指標を下記の通り開示しています。
(3) 人的資本
①戦略
長期ビジョン「Challenge 1000」で掲げた「独創力で、“一歩先行く提案”型企業へ」を目指し、多様な働きかたの推進、職場環境の整備に取り組むとともに、求める人財像として「使命感にあふれ、自ら考え挑戦する人財」を掲げ、性別や国籍にかかわらない、様々な能力や実績を有する優秀な人財の確保と育成に力を入れております。
<社内環境整備方針及び人材育成方針>
自社及び社会にとって持続可能な成長につながる重要かつ優先的に対応すべき課題(マテリアリティ)として、「いきいきと活躍できる職場環境づくり」を掲げ、ワークライフバランスの推進、柔軟で多様な働きかたへの取り組み、従業員の心と体の健康増進、多様な人材の登用と活躍、ハラスメント撲滅に向けた実効的な取り組みに取り組んでまいります。
特に事業活動を担う人財の育成にあたっては、中長期的な視野に立って、従業員一人ひとりの強みや持ち味を生かした育成・活用を目指しており、従業員が自ら主体的・継続的に能力開発を実施していけるよう、そのために必要なツールの提供及びサポートに取り組んでおります。
また、経営の中核を担う管理職の登用においても、属性によらない個人の能力・実績に基づく評価、登用が重要であるとの認識のもと、多様性の確保に向けた取組みを推進しております。特に、女性の活躍を促進することは、当社の持続的な企業価値向上のために必要不可欠であると考え、仕事と家庭の両立のための環境整備やキャリアに関する意識の醸成を図ります。
②指標と目標
人材育成方針及び社内環境整備方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績は次のとおりであります。
(注)目標値・実績値の算定における対象範囲は、四国化成ホールディングス株式会社、四国化成工業株式会社、四国化成建材株式会社、四国化成コーポレートサービス株式会社の4社であります。
3 【事業等のリスク】
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のようなものがあります。
これらのリスクが顕在化した場合、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)経営方針、(2)経営戦略等に記載の長期ビジョン「Challenge 1000」の計画的な遂行に影響を及ぼす可能性がありますが、当社グループといたしましては、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応として、代替する事業計画を機動的に策定し、その遂行に努める方針であります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)一般の経済要因
当社グループの営業収入のうち、重要な部分を占める化学品の需要は、当社グループが製品を販売している日本又は海外各国の経済状況の影響を受け、プール用殺菌剤等一部の製品は天候の影響を受けます。また、同じく重要な部分を占める建材の需要は、日本の経済状況の影響を受けます。従いまして、日本をはじめとする当社グループの主要市場における景気後退、及びそれに伴う需要の縮小は、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの事業は、競合他社が製造を行う地域の経済状況から間接的に影響を受ける場合があります。例えば、競合他社が海外において低廉な人件費の労働力を雇用して生産した場合、当社グループと同様の製品をより低価格で提供できることになり、その結果、当社グループの売上が悪影響を受ける可能性があります。さらに、原材料を製造する地域の現地通貨が下落した場合、当社グループのみならず他のメーカーでも製造原価が下がる可能性があります。このような傾向により輸出競争や価格競争が熾烈化し、いずれも当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性が生じることになります。
さらには、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済活動への影響は回復傾向をたどってきましたが、高インフレと金融引き締めにより回復のペースが鈍化しております。高インフレや金融引き締めにより、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
ウクライナ・ロシア情勢及びイスラエル・パレスチナ情勢については原材料・物流費の高騰が当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2)為替レートの変動
当社グループの事業には、海外各国における製品の販売及び海外各国からの原材料や商品の調達が含まれております。各国における売上を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表作成のために円換算されております。換算時の為替レートにより、これらの項目は元の現地通貨における価値が変わらなかったとしても円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。一般に他の通貨に対する円高(特に当社グループの輸出の重要部分を占める米ドル及びユーロに対する円高)は当社グループの事業に悪影響を及ぼし、円安は当社グループの事業に好影響をもたらします。
また、当社グループが輸入で調達する原材料や商品については、調達先地域の通貨価値上昇は、それらの地域における製造と調達コストを押し上げる可能性があります。コストの増加は、当社グループの利益率と価格競争力を低下させ、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、為替予約等によるリスクヘッジを行い、米ドル、ユーロ及び円を含む主要通貨間の為替レートの短期的な変動による悪影響を最小限に止める努力をしておりますが、中長期的な為替レート変動により、計画された調達、流通及び販売活動を確実に実行できない場合があります。
(3)新製品開発力
当社グループ収入のかなりの部分は、独自の製品及び技術開発に基づく製品の売上に拠っております。将来の成長は主に革新的かつ長期にわたり当社グループに安定的に利益をもたらす新製品の開発に依存すると予想しております。
しかしながら、新製品の開発と販売のプロセスは、その性質から複雑かつ不確実なものであり、以下をはじめとする様々なリスクが含まれます。
①新製品や新技術の開発に必要な経営資源を今後充分に充当できる保証はありません。
②長期的な投資と大量の資源投入が成功する新製品又は新技術の創造につながる保証はありません。
③当社グループが市場からの支持を獲得できる新製品又は新技術を正確に予想できるとは限らず、またこれらの製品の販売が成功する保証はありません。
④新たに開発した製品又は技術が独自の知的財産権として保護される保証はありません。
⑤化学品事業の製品の多くは、顧客が生産する製品の中間原料として販売されるものであり、当社グループによる長期的な研究・開発活動の上に特定顧客の品質承認が得られた後に事業として成立するものであります。従って、研究・開発の初期投資が結果的に利益を計上できない可能性を含んでおります。
⑥建材事業の製品については、住宅等を取得する消費者の嗜好の変化により、当社グループ製品が時代遅れになる可能性があります。また、基本技術における競合他社との差別化が図りにくい製品を含んでおり、開発投資と比較してライフサイクルが短くなる可能性を含んでおります。
上記のリスクをはじめとして、当社グループが業界と市場の変化を十分に予測できず、魅力ある新製品を開発できない場合は、将来の収益性を低下させ、業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4)価格競争
当社グループが属している各製品市場はそれぞれ競合状況があり、多くの原因により今後価格競争が熾烈化する可能性が予測されます。
化学品事業においては、低廉な労働力を背景に海外で生産される製品が国内市場で流通することにより市場価格が低下する可能性があります。また、海外廉価製品の品質向上により当社グループの製品の競争力が相対的に低下する可能性があります。当社グループの製品は当該廉価品と比較して高付加価値品としての品質的な優位を保ち続けるべく努力はしておりますが、価格面での圧力又は有効に競争できないことによる顧客離れは、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
一方、建材事業のエクステリア製品においては、アルミサッシ系メーカーを中心とする大手競合企業が多額の開発投資・物流投資等を投下することにより競合製品をより低価格で市場に投入し、競合がさらに熾烈化する可能性があります。当社グループでは壁材を含む建材製品の機能やデザインまた顧客に対する提案力において比較優位に立つべく継続的に新製品を投入しておりますが、将来においても有効に競争できるという保証はなく、価格面での競争に陥った場合は、同じく当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5)市場環境、業界環境
当社グループが販売する化学製品の多くは、顧客が生産する製品の中間原料として消費されるものでありますが、顧客が生産する製品の必須原料であるとは限りません。価格競争以外の要因として、顧客又は顧客が属する業界における新技術の台頭により当社製品が他の製品に代替された場合には将来の収益性を低下させ、業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
一方、建材事業の住宅用壁材、住宅用エクステリア製品の需要動向は新設住宅着工戸数を、また景観エクステリア製品の販売は公共投資額や民間の設備投資額をそれぞれ先行指数として増減する傾向があります。これらの指数は政策や景気動向等により影響を受けるものであり、その動向いかんによっては業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6)原材料調達
当社グループが販売する化学製品、建材製品ともに、原材料調達に当たってはいわゆる複数購買を原則としておりますが、一部には汎用製品ではなくサプライヤーが限られるものを使用しており、サプライヤー側の事故等により調達が困難になる可能性があります。
また、原材料及びエネルギー価格高騰による製造原価上昇を販売価格に転嫁できなかった、もしくは価格転嫁が遅延した場合は当該製品の収益性が悪化し、業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7)知的財産権について
当社グループは他社製品と差別化できる技術とノウハウを蓄積してまいりましたが、当社グループ独自の技術とノウハウの一部は、海外の全ての国において知的財産権を確立しているわけではありません。そのため、第三者が当社グループの知的財産を使って類似した製品を製造するのを効果的に防止できない可能性があります。また、他社が類似する、もしくは当社グループより優れている技術を開発することや、当社グループの特許や企業秘密を模倣、又は解析調査することを防止できない可能性があります。さらに当社グループの将来の製品又は技術は、将来的に他社の知的財産権を侵害しているとされる可能性があります。
(8)在庫リスク
当社グループの製品には、プール用殺菌剤等需要量に季節要因があるものが含まれます。また、建材製品ではタイムリーな納入を確保し販売機会を逸しないために、見込み生産を行っているものがあります。このため、急激な市場環境の変化等により販売動向が事前の需要予測と大きく乖離した場合、棚卸資産が増え、キャッシュ・フローに悪影響を与える可能性があります。
また、建材製品は流行や顧客の嗜好の変化により販売動向が左右されるものがあり、その意匠や機能が陳腐化して滞留在庫となり、キャッシュ・フロー及び損益に悪影響を与える可能性があります。
(9)法的規制等
当社グループが事業活動を行っている国及び地域では、各種の法令・規則(租税法規、環境法規、労働・安全衛生法規、独占禁止法・アンチダンピング法等の経済法規、貿易・為替法規、証券取引所の上場規程等)が施行されています。当社グループは、これらの法令・規則を遵守し公正な企業活動に努めておりますが、万一法令・規則違反を理由とする訴訟や法的手続きにおいて、当社グループにとって不利益な結果が生じた場合、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、これらの法令・規則が変更された場合や、予想できない新たな法令・規則が設けられた場合、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、前事業年度より事業年度の末日を3月31日から12月31日に変更しており、また全ての連結子会社が3月決算から12月決算に変更しております。このため各セグメントにおける前期比較にあたっては、2022年1月から2022年12月までの12カ月間を「前年同一期間」として算出した参考数値と比較しております。
また、当社は当連結会計年度より、「第5章 経理の状況 1(1)連結財務諸表 注記事項 セグメント情報等」に記載のとおり、セグメント利益の測定方法の変更を行っております。以下の前年同一期間との比較については、前年同一期間の数値を変更後の数値に組み替えて計算しております。
当連結会計年度におけるわが国経済は、緩やかな回復を続けていますが、人件費や物流コストの増加に伴う物価高や人手不足による供給制約等のマイナス影響が懸念材料となっています。海外経済は、米国では個人消費を中心に堅調な動きが続いていますが、中国では回復の動きがやや停滞しており、また長期化するウクライナ紛争や中東情勢の緊迫化など、地政学リスクは高まりを見せています。
このような状況下、当連結会計年度の当社グループの売上高は631億17百万円(前年同一期間比2.7%の増収)、営業利益は80億19百万円(前年同一期間比7.9%の減益)、経常利益は92億80百万円(前年同一期間比5.7%の減益)、親会社株主に帰属する当期純利益は78億53百万円(前年同一期間比10.9%の増益)となりました。化学品事業、建材事業ともに販売価格の改定や為替レートの円安影響等で増収を確保し、過去最高を更新しましたが、原材料費や新規設備投資の償却負担等の製造コスト上昇により営業利益及び経常利益は減益となりました。一方、特別利益において投資有価証券売却益を計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は増益、過去最高を更新しました。
セグメントの経営成績は次のとおりであります。
(無機化成品)
ラジアルタイヤ向け原料である不溶性硫黄は、中国市場等で需給の緩みが続いていますが、為替レートの円安等を受けた販売戦略の見直しにより、足元では販売は持ち直しつつあります。レーヨン・セロハン向けの二硫化炭素は海外新規顧客への拡販等により、前年を上回りました。浴用剤・合成洗剤向けの無水芒硝は、国内販売において、為替レートの円安による仕入価格高騰の影響を価格転嫁し、収益性が回復しました。
(有機化成品)
殺菌消毒剤塩素化イソシアヌル酸は、国内市場では値上げの浸透や、アフターコロナでプール・風呂需要が堅調に推移したことで、前年を上回りました。米国市場は、下期以降顧客の在庫調整やインフレ下の買い控えが長引いており、わずかに前年を下回りました。
(ファインケミカル)
プリント配線板向けの水溶性防錆剤タフエースを中心とする電子化学材料は、上期は低調に推移しましたが、下期以降、半導体・エレクトロニクス市場の底打ちや顧客の在庫調整が進んだ結果、足元の荷動きは回復しつつあります。機能材料は、エポキシ樹脂硬化剤(イミダゾール類)は、エレクトロニクス市況の回復により前年を上回り、樹脂改質剤(グリコールウリル誘導体等)は最終製品の需要減等で停滞しましたが、半導体プロセス材料は顧客評価の進捗や新規試作需要の獲得などで前年を上回りました。
この結果、化学品事業の売上高は433億32百万円(前年同一期間比3.5%の増収)と前年を上回りましたが、セグメント利益は為替レート円安の影響や輸出物流コストの低下等の追い風があったものの、原材料費の高騰や、稼働開始した塩素化イソシアヌル酸の新プラント(NEO2022)の償却負担、収益性の高いファインケミカル製品の販売減等により、セグメント利益は63億81百万円(前年同一期間比7.0%の減益)と前年を下回りました。
新設住宅着工戸数は、建設コストの高騰などの影響で持家を中心に減少傾向が続いており、壁材、エクステリアともに需要は低調に推移しています。当期1月より価格改定を実施し、原材料費の上昇に係る価格転嫁に努めた結果、増収を確保しましたが、原材料費の高騰やコロナ後の対面営業活動の再開等で販売費が増加し、減益となりました。
この結果、建材事業の売上高は187億12百万円(前年同一期間比0.9%の増収)、セグメント利益は15億8百万円(前年同一期間比10.4%の減益)となりました。
財政状態は、総資産は、前連結会計年度末比138億70百万円増加し、1,310億46百万円となりました。
負債は、前連結会計年度末比88億8百万円増加し、441億78百万円となりました。
純資産は、前連結会計年度末比50億61百万円増加し、868億67百万円となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、435億97百万円(前連結会計年度末比69億14百万円の増加)となりました。
当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
営業活動によって得られたキャッシュ・フローは、129億50百万円(前連結会計年度比100億31百万円の増加)となりました。投資活動に使用されたキャッシュ・フローは、35億59百万円(前連結会計年度比1億10百万円の減少)となりました。財務活動に使用されたキャッシュ・フローは、28億10百万円(前連結会計年度は14億23百万円の収入)となりました。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 生産金額は主に生産量に平均販売価格を乗じて算出しております。
2 生産実績は自家消費(無機・有機化成品及びファインケミカル)を一部含んでおります。
3 報告セグメント以外のその他については生産活動になじまないため記載しておりません。
4 当社は、前事業年度より事業年度の末日を3月31日から12月31日に変更し、また全ての連結子会社が12月決算に変更しております。従いまして、経過期間である前連結会計年度は、2022年4月1日から2022年12月31日までの9カ月間を連結対象期間とした変則決算となっております。このため、前年同期比については記載しておりません。
当社グループは見込生産を行っているため、該当事項はありません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
主な相手先別の販売実績のうち、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満の相手先につきましては記載を省略しております。
3 当社は、前事業年度より事業年度の末日を3月31日から12月31日に変更し、また全ての連結子会社が12月決算に変更しております。従いまして、経過期間である前連結会計年度は、2022年4月1日から2022年12月31日までの9カ月間を連結対象期間とした変則決算となっております。このため、前年同期比については記載しておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高は631億17百万円(前年同一期間比2.7%の増収)となりました。国内売上高は405億23百万円(前年同一期間比4.3%の増収)となりました。海外売上高は225億94百万円(前年同一期間比0.2%の減収)となりました。売上高に占める海外売上高の割合は1.0ポイント低下し、35.8%となりました。
売上原価は394億74百万円(前年同一期間比8.5%の増加)、売上高に対する比率は3.4ポイント上昇し、62.5%となりました。
販売費及び一般管理費は156億23百万円(前年同一期間比4.7%の減少)となりました。運送費及び保管費並びに役員退職慰労引当金繰入額が減少したことなどによるものであります。
以上の結果、営業利益は80億19百万円(前年同一期間比7.9%の減益)となり、売上高営業利益率は12.7%となりました。
営業外損益は、前年同一期間の11億36百万円の利益(純額)から、12億60百万円の利益(純額)となりました。為替差益の発生が主な要因です。
この結果、経常利益は92億80百万円(前年同一期間比5.7%の減益)となり、売上高経常利益率は14.7%となりました。
特別損益は、前年同一期間の13百万円の損失(純額)から、20億89百万円の利益(純額)となりました。これは、投資有価証券売却益の増加が主な要因です。
この結果、税金等調整前当期純利益は113億69百万円(前年同一期間比15.7%の増益)となりました。
法人税等は、前年同一期間の27億22百万円から、当連結会計年度は34億85百万円となりました。これにより、税効果会計適用後の法人税等の負担率は、前年同一期間の27.7%から30.7%となりました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は78億53百万円(前年同一期間比10.9%の増益)となり、1株当たり当期純利益は前年同一期間に比べ19円99銭増加し、152円12銭となりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、為替変動があります。この影響により、前年同一期間に比べ、売上高が17億82百万円増加したものと試算されます。(ただし、為替の影響の試算は前連結会計年度の平均レートと当連結会計年度の平均レートの差によって算定しており、販売価格の変動に伴う影響は考慮されておりません。)
財政状態は、総資産は、前連結会計年度末比138億70百万円増加し、1,310億46百万円となりました。主な増加は、現金及び預金66億64百万円、建設仮勘定27億58百万円であります。
負債は、前連結会計年度末比88億8百万円増加し、441億78百万円となりました。主な増加は、1年内返済予定長期借入金27億円、未払法人税等25億円35百万円であります。
純資産は、前連結会計年度末比50億61百万円増加し、868億67百万円となりました。主な増加は、利益剰余金32億68百万円であります。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の69.4%から65.7%となりました。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
営業活動によって得られたキャッシュ・フローは、129億50百万円(前連結会計年度比100億31百万円の増加)となりました。主な収入項目は、税金等調整前当期純利益113億69百万円、減価償却費33億44百万円、一方で主な支出項目は法人税等の支払額11億71百万円であります。
投資活動に使用されたキャッシュ・フローは、35億59百万円(前連結会計年度比1億10百万円の減少)となりました。主な支出項目は、有形固定資産の取得による支出49億87百万円であります。
財務活動に使用されたキャッシュ・フローは、28億10百万円(前連結会計年度は14億23百万円の収入)となりました。主な収入項目は、長期借入れによる収入41億円、一方で主な支出項目は、長期借入金の返済による支出32億44百万円、自己株式の取得による支出32億19百万円であります。
以上の結果、現金及び現金同等物は、435億97百万円(前連結会計年度末比69億14百万円の増加)となりました。
当社グループの資金の財源及び流動性については、事業活動にかかる短期運転資金は営業キャッシュ・フローを主な財源としておりますが、その他取引金融機関に有する当座貸越等の融資枠からの短期借入金も利用し、経営環境の急激な変化にも対応できる十分な流動性を保持しております。
設備投資、投融資資金などの長期資金についても、自己資金を基本としつつ、資本調達コストの低減や最適な資本構成、資金需要や金利情勢を考慮しながら、金融機関からの長期借入を随時行っております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債残高は、222億30百万円、前連結会計年度末比20億65百万円増加しました。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準等に基づき作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債や収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用している重要な会計方針は、「第5章 経理の状況 1(1)連結財務諸表注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
記載すべき事項はありません。
当社グループの研究・開発活動の大部分は、当社が主に担当しております。当社は、二硫化炭素の新たな製造技術をもって創業し、以来、研究開発や製造技術の独創性を基に無機化成品、有機化成品、ファインケミカル及び建材分野に事業領域を拡げてまいりました。常に独創性を重んじ、これを会社発展の原動力とする至上の価値観「独創力」を企業理念に、全社一丸で新たな価値や市場の創造に取り組んでまいります。
組織の活動としては、R&Dセンターにおいてコア技術に立った既存事業の強化拡充を図るとともに、習得した新技術による独自性を持った製品開発にチャレンジしております。また、各工場の開発部門や建材事業の開発部門においては現技術の深耕による既存商品の再活性化を図りつつ、事業戦略に沿った差別化商品の開発に努めております。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は
①化学品事業
化学品分野における研究開発は、無機化成品、有機化成品、ファインケミカル事業の周辺に特化し、事業拡大に貢献することを目指しております。
無機化成品では、タイヤ関連材料「ミュークロン」の性能向上を目的とする開発に取り組んでいます。
有機化成品では、プール用途で培った塩素化イソシアヌル酸の技術を活かし、サニタリー薬剤の高機能化・高付加価値化に向けた製品開発を行っております。排水処理用としては、浄化槽用薬剤や微生物製剤「ハイポルカ」を中心とした開発体制を整えております。
ファインケミカルにおける電子化学材料分野では、高密度プリント配線板用耐熱型水溶性プレフラックス「タフエース」のさらなる高機能化や、樹脂と銅の密着性付与剤「GliCAP」の開発を進めています。
また、機能材料分野では、これまで培った有機合成技術や低金属管理技術を活かした半導体プロセス材料の開発を進めています。さらに、樹脂改質剤として用いるグリコールウリル誘導体や高耐熱樹脂ベンゾオキサジン誘導体の開発・量産化を進め、幅広い用途展開に取り組んでいます。
なお、当事業に係る研究開発費は
②建材事業
建材分野の開発活動は、「いつもの場所を、価値ある空間に」を基本に、顧客に信頼されるメーカーを目指し、高品質で独自性(デザイン・機能)のある商品開発に注力しています。壁材、住宅・景観エクステリアの各分野で先進性ある商品への取り組みを進め、他社との差別化を明確にしてまいります。
壁材では、より高い意匠性の追求に取り組みました。内装材では、近年のトレンドであるモルタル調仕上げ材として、付着強度が高く什器天板や床面への施工も可能で、住宅インテリアや店舗空間の質を高めるセメント系高強度内装材の「ルミデコールSOLID」を発売しました。また、高意匠石膏系塗料の「クイックウォール」に立体複色化ができる仕様を追加しました。外装材では、ローラー施工による簡単仕上げで住宅基礎コンクリートの耐久性と美観を高める、住宅基礎コンクリート仕上げ材「ベースメイク」を発売しました。舗装材では、芝生保護材「ローンベース/ローンガードナー」と砂利舗装材「ローングラベル」を、施工性を高めた仕様へリニューアルしました。
住宅エクステリアでは、昨今の自然災害増加に対応し「クレディフェンスSG」を耐風圧強度V0=38m/sに高めた仕様へリニューアルしました。また、「クレディフェンスHG」では、耐風圧強度V0=34m/sの高さ1.4mと1.6m仕様を追加し、安全性と意匠性を両立しました。
景観エクステリアでは、建築物や街の環境に調和した商品開発に注力しました。アーチウェイでフラット屋根形状の「ソリッドルーフF」を発売しました。屋根材も含めたオールブラック色を採用し、近年の建築トレンドである黒系建物へ違和感なく施工頂ける仕様としました。また、バリアフリー新法に対応した駐車場の上屋として、「ユニルーフF」を発売しました。すっきりとしたフラット屋根形状で、有効開口3500mmを確保した仕様としています。大型引戸では「ユニットライン」をリニューアルし、建築基準法に対応いたしました。カラーバリエーションの追加として、大型門扉や駐輪場などに重厚かつ落ち着きのあるマットブラウン色を追加、アーチウェイや駐輪場には建築トレンドに合うブラック色を追加しました。また、環境配慮型製品の強化として、太陽光発電パネルを積載した「ソーラーカーポート」の特注物件対応、国産木材を用いた「ウッド・フェンス」の仕様追加、雨水貯留タンク「レインキーパーP1型」に意匠性を高めるデザインパネルを追加しました。更に安心安全に繋がる商品づくりとして、立体駐車場での新基準に対応した「スチールメッシュフェンスS型」を発売しました。
当社は多様化するニーズに、公共建築・施設の設計折込活動で培った対応力を活かし、市場ニーズに対し、タイムリーな開発に取り組んでまいります。
なお、当事業に係る研究開発費は