当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループでは、2020年度におけるマネジメント体制の刷新を機に「DNE WAY 長期経営計画2030」を策定し、「すべてのステークホルダーから信頼され、期待され、愛される企業集団を目指し、技術とアイデアで社会に貢献する」という企業理念の実現に向け、新たな一歩をスタートしました。
この「DNE WAY 長期経営計画2030」に基づく、次の3ヵ年に向けた「中期経営計画 Phase2(2024-2026)」を策定いたしました。本計画においては、資本コストを意識した「収益性の向上」と「投下資本効率の改善」に資する施策を展開してまいります。加えて、ESG・人的資本・IR手法の多様化等、サステナビリティ経営を推進し、中長期的な企業価値向上に取り組んでまいります。
(2)経営環境
当社グループの主たる事業は、車載機器、医療機器、産業機器(半導体製造装置)、オフィス機器、社会生活機器、その他機器に使用するプリント配線基板への電子部品実装部門と、実装したプリント配線基板も含めた機構組立部門(最終製品に組み込まれるユニット)を有するEMS(エレクトロニクス・マニュファクチャリング・サービス)であり、EMS業界は次々に新しい電子機器が誕生し続けていること、また、大手セットメーカーにおける開発設計部門への特化傾向等により需要は年々増加しており、市場規模は今後も拡大が見込まれております。
一方、経営環境は、中国の景気停滞が長期化する兆しであること、ウクライナ・パレスチナ情勢等の地政学リスクが長期化していることに伴いあらゆるコストが増加していること等、世界経済全体の不確実性は引き続き高い状況が見込まれます。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
(前期の振り返り)
「DNE WAY 長期経営計画2030」に基づく「中期経営計画Phase1(2021-2023)」の最終年として①経営基盤の強化、②経営基盤の拡充、③人材育成に対する取組強化を優先的に対処すべき課題として取り組んでまいりました。
①経営基盤の強化
・2022年11月に子会社化した中国・無錫栄志電子と無錫子会社との連携・協業体制を継続
・社内横断的組織による在庫削減プロジェクト展開(2023年1月)
・大日光グループ「カーボンニュートラル宣言」を公表(2023年3月)
<2023年実績と目標> (t-CO2/年)
2021年 |
2023年(実績) |
2030年(目標) |
2040年(目標) |
2045年(目標) |
20,152.0 |
16,101.2 |
12,534.5 |
4,070.7 |
0.0 |
基準年 |
20.1% |
37.8% |
79.8% |
100.0% |
・2022年4月に生産を終了した中国・深圳子会社の譲渡手続き完了(2023年9月)
・外部コンサルタントを交えた生産改善活動(継続実施)
②経営基盤の拡充
・医療系製品組み立ての新たな拠点として那須工場を新設(2023年1月)
・クリーンエネルギー利用促進に繋がる蓄電技術の向上を図るため「佐茂股份有限公司(台湾、高雄市)」と包括的業務提携を締結(2023年8月)
・中国内需等の受注拡大に向け中国子会社にて中国系・欧米系車載メーカーからの受注を拡大(通期)
・地域振興型ビジネスとして自社所有地および耕作放棄地を有効活用したアグリ事業に参入
③人材育成に対する取組強化
・現場力向上、カイゼン分野を網羅した人材育成コンテンツ(eラーニング)導入(2023年7月試行開始)
・人事マネジメント再構築に向けタレントマネジメントシステム導入(2023年10月試行開始)
(優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)
新たな「中期経営計画Phase2(2024-2026)」においては、ROICに着目したKPIを設定するとともに責任部署の明確化と目標のブレイクダウンを実施、中期経営計画の諸施策を着実に実行することにより経営目標の実現を目指してまいります。加えて、ESG・人的資本・IR手法の多様化等、サステナビリティ経営を推進し中長期的な企業価値向上に取り組んでまいります。
①事業戦略
基本方針 |
◆既存領域の収益性改善 ◆外部リスクに強いセグメントポートフォリオの構築(事業領域多層化) ◆開発・設計力強化による高付加価値案件の獲得 |
主な施策 |
◆客先別・受注案件毎の採算モニタリング ◆「東南アジア」ならびに「医療分野」「半導体分野」の売上比率を拡大 ◆「航空宇宙関連」への更なる挑戦 ◆「バッテリ・バッテリ周辺機器」受注拡大 |
主なKPI |
<2026年目標> ◇東南アジア売上比率の拡大 <売上比率:20%> ◇医療分野の新規顧客開拓・売上拡大 <売上比率:20%> ◇半導体分野(産業機器)の新規顧客開拓・売上拡大 <売上比率:20%> ◇非日系売上比率(海外拠点)の拡大 <売上比率:21.5%> ◇航空宇宙・バッテリー等、開発設計案件売上高の拡大 <売上高:20億円> |
②財務戦略
基本方針 |
◆資本コストを意識した財務戦略 ◆投下資本利益率(ROIC)向上 |
主な施策 |
◆在庫・有利子負債の圧縮(BSの改善) ◆為替エクスポージャーの最適化 |
主なKPI |
<2026年目標> ◇棚卸資産回転期間 <1.9ヵ月> ◇ROIC <4.5%> |
③経営基盤の強化
基本方針 |
◆人事マネジメント再構築と人材育成 ◆DX推進による生産性向上と管理業務の効率改善 ◆サステナビリティの推進 |
主な施策 |
◆新たな研修プログラムの構築と人材ポートフォリオの有効活用に向けた取組み ◆新基幹システムの導入 ◆ESG推進 |
主なKPI |
◇「タレントマネジメントシステム(本格展開)」と「新たな社内研修制度の構築」 <2024年度導入> ◇連結決算システムの導入<2025年度導入> ◇新基幹システムの導入 <2026年度導入> |
④ESG/SDGsへの取組み
|
基本方針 |
主な施策 |
E 環境 |
◆地域環境の維持 ◆持続可能な社会に貢献できる製品の提供 |
◇「カーボンニュートラル宣言(2023年3月)」に基づく温室効果ガス排出量(Scope1.2)の削減 ◇「リチウムバッテリのリユース事業」ならびに「自然エネルギー活用製品」への取組強化 |
S 社会 |
◆地域経済への貢献 ◆食品ロス削減 ◆多様性の裾野拡大 |
◇アグリ事業参入による地域貢献と効率的な農業の実現 ◇「廃棄農産品の福祉施設・子ども食堂への提供」を継続 ◇管理職・管理職予備軍への女性登用/障がい者雇用 ◇海外拠点におけるマネジメント層へのローカル人材の登用 ◇ノー残業デーの浸透/有給・育休(全体・男性)取得率向上 |
G ガバナンス |
◆コーポレートガバナンス ◆リスクマネジメント・ コンプライアンスの推進 |
◇ガバナンス・コンプライアンスの更なる強化 ◇IR活動(投資家向け決算説明会等)の多様化 |
⑤人的資本への取組
人材の 確保・育成 |
◆階層別、リーダー・プロフェッショナル人材育成に向けた研修プログラムの再構築 ◆社内プロジェクト活用により「自らが考える力」「やる気」意識を醸成 ◆評価制度高度化に向けた考課者研修 |
人材の 最適配置 |
◆キャリアパスを考慮した人材の最適配置 ◆ベテラン人材を活用できる人事制度導入 ◆タレントマネジメントシステム本格運用による個人別キャリア・スキルの見える化 |
働き方改革・健康経営 |
◆ノー残業デー浸透率の向上 ◆有給・育休(全体・男性)取得率向上 |
ダイバーシティー |
◆管理職・管理職予備軍へ女性登用 ◆マネジメント層へローカル人材登用(海外) ◆障がい者雇用の積極展開 |
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
当社グループは、「DNE WAY長期経営計画(2030)」内の企業行動憲章にて「私たちは、企業の社会的責任(CSR)を自覚し、すべての人が永続的に幸せな生活を送るために、環境・社会課題の解決にとどまらず、社会そして地球の持続可能な発展に貢献することを目指します」を掲げております。
2024年からの3ヵ年計画である「中期経営計画Phase2(2024-2026)」において、この企業行動憲章に基づき「ESG/SDGsへの取組み」「人的資本への取組み」を進めるとともに、中長期的な企業価値を向上させるための収益性の向上と投下資本効率の改善に取組んでまいります。
(1)ガバナンス
当社グループは、代表取締役社長が責任者を務める「カーボンニュートラル活動」において、事業活動におけるエネルギー起因の温室効果ガスの排出量極小化に向けた取組みを進めております。主に製造拠点における省エネ活動を積極的に展開しており、半期に1回、代表取締役社長ならびに活動メンバーにて活動の進捗、成果ならびに今後の取組方針等について議論しております。
また、「中期経営計画Phase2(2024-2026)」において、「ESG/SDGsへの取組み」「人的資本への取組み」に関する重要施策とKPI(重要業績評価指標)を設定しております。代表取締役社長が議長を務め月1回開催する経営会議において、重要施策ならびにKPIの進捗状況のモニタリングを実施しております。
(2)戦略
「中期経営計画Phase2(2024-2026)」において、以下の取組を重点方針としてサステナビリティ経営を推進してまいります。
①ESG/SDGsへの取組み
当社グループは、「大日光グループSDGs宣言」において、「地域振興」「環境経営」「ダイバーシティ」「イノベーション」を重点課題としております。以下の取組みを強化し、持続可能な社会の発展に貢献してまいります。
重点課題 |
重点施策 |
地域振興 |
・雇用創出 ・食品ロス削減への貢献 ・アグリ事業 |
環境経営 |
・カーボンニュートラルの推進 ・バッテリーのリユース事業による資源有効活用 |
ダイバーシティー |
・働き方改革の継続展開 ・女性活躍の推進 ・障がい者雇用の積極展開 |
イノベーション |
・DX推進による生産性向上 ・自然エネルギー活用製品への貢献 |
②人的資本への取組み
「DNE WAY長期経営計画(2030)」にて『主役は働いている従業員:従業員が「安心」して価値創造活動に取組むことができ、「夢」と「誇り」をもって活躍できる環境を整備する』を基本方針の1つとしております。従業員の多様性と人格・個性を尊重する処遇を実践するとともに、一人一人がやりがいと幸せを感じ続けてもらえる、安全で働きやすい環境の確保を目指してまいります。
a.人材育成方針
人材の確保・育成 |
・階層別、リーダー、プロフェッショナル人材育成に向けた研修プログラムの再構築 ・社内プロジェクト活用による「自らが考える力」「やる気」意識を醸成 |
人材の最適配置 |
・キャリアパスを考慮した人材の最適配置 ・ベテラン人材を活用できる人事制度導入 ・タレントマネジメントシステムの本格運用による個人別キャリア・スキルの見える化 |
b.社内環境整備方針
働き方改革・健康経営 |
・ノー残業デー浸透率の向上 ・有給・育休(全体・男性)取得率の向上 |
ダイバーシティー |
・管理職&管理職予備軍へ女性登用 ・障がい者雇用の積極展開 ・マネジメント層へのローカル人材登用(海外拠点) |
(3)リスク管理
当社グループは、全社的なリスク管理を代表取締役社長が委員長を務めるコンプライアンス・リスク管理委員会において行っております。取組むべきサステナビリティ重点施策やKPIについては「中期経営計画Phase2(2024-2026)」内に明記しており、その進捗状況、課題ならびに対応策については経営会議にて報告、議論されており、その内容についてはコンプライアンス・リスク管理委員会と情報の共有を図っております。
(4)指標及び目標
①温室効果ガスの削減
当社グループは、「温室効果ガス排出量(Scope1,2)」を指標として2030年までに37.8%削減(2021年比)することを中期的な目標にしています。
削減目標の進捗
|
2021年 |
2023年(実績) |
2030年(目標) |
Scoup1+2(t-CO2/年) |
20,152.0 |
16,101.2 |
12,534.5 |
|
基準年 |
20.1% |
37.8% |
②女性管理職比率
当社および国内連結子会社では、女性社員の管理職ならびに管理職予備軍への登用を目指し以下の目標を設定しております。
2023年12月末時点 |
2026年12月末時点 |
4.3% |
8.4% |
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状況、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)電子部品供給網の影響
EMS事業における電子部品の購買・在庫管理は最重要課題の一つであります。半導体や樹脂材料等の供給不足や納期遅延等は概ね解消した一方、一部電子部品において納期が遅延する事態が継続しております。最も基本的な顧客要求であるQCD(品質、コスト、納期)に対応するため、一定の部品在庫を持たざるを得ない状況となり、財政状況や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、今後も電子部品メーカーからの納期遅延が続いた場合、当社グループの生産に影響が及ぶ可能性もあります。
(2)特定販売先への高い売上依存度
当社グループは、設立当初よりキヤノングループを主要販売先として業容を拡大してきた結果、当社グループ全体のキヤノングループへの売上依存度は低下傾向にあるものの(2022年度 36%/2023年度 29%)依然高くなっております。このため、キヤノングループの製造計画の縮小・延期・中止、最終製品の販売状況によっては、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社グループは経営の安定化を図るため、キヤノングループへの売上規模を維持拡大しつつも、新規取引先への販路拡大にも注力しており、その結果としてキヤノングループへの売上依存度を相対的に低下させる考えであります。
(3)海外での事業展開
当社グループでは、主要販売先による生産拠点の海外移転や海外における需要拡大などに対応するため、国内のほか中国等アジア地域に事業拠点を有しており、このため、中国等アジア地域の政治・経済情勢、法規制、税制等が変化した場合、現地での紛争、災害、感染症等が発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは為替変動リスクを回避するため、社内規程に基づいて為替予約を行っております。しかしながら為替変動を完全に回避することは出来ないため、急激な為替変動が発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)有利子負債依存度と財務体質
当社グループは、設備資金及び運転資金を主に金融機関からの借入金によって調達しているため、連結ベースの有利子負債残高が連結総資産に占める比率である有利子負債依存度は、2022年12月期末で43.8%、2023年12月期末で43.6%と高く、当社グループの業績は金利変動の影響を受けやすい状況にあります。
また、自己資本比率は2022年12月期末で17.7%、2023年12月期末で20.4%となっております。当社グループは、内部留保に努め自己資本の積上げに注力いたしておりますが、各種原材料やエネルギー価格の高騰に伴う経費の増加や販売先の値下げ要請による収益力の低下等の要因によって期待した利益を得られない場合、財務体質の改善が遅れる可能性があります。
(5)製品の品質管理
当社グループが生産する製品は、車載機器、医療機器、産業機器、オフィス機器、社会生活機器等の最終製品に組み込まれております。当社グループでは、全生産拠点においてISO9001、ISO14001及びISO13485を取得するなど、国際的な品質管理体制を有しておりますが、予期せぬ事象により当社グループ製品の不具合等に起因した最終製品の品質問題、リコール等が発生した場合、多額の費用負担や当社グループの信用低下によって当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)コンプライアンスに関するリスク
当社グループは、公正且つ高い倫理感をもって業務運営を行う大前提がコンプライアンスであるとの認識に立ち、コンプライアンス・リスク管理委員会が中心となり全てのステークホルダーから信頼されるコンプライアンス推進体制を構築するとともに、役員・社員への啓蒙活動を随時実施し、企業倫理の向上及び法令遵守の強化に努めています。
しかしながら、コンプライアンス上のリスクを完全には回避出来ない可能性があり、法令等に抵触する事態が発生した場合、当社グループの社会的信用や発生した損害に対する賠償金の支払等により、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
経営成績等の状況の概要
(1)財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における当社グループを取り巻く環境を振り返りますと、国内においては、新型コロナウイルス
感染症に対する行動制限の緩和等により経済の正常化が大幅に進み景気は緩やかな回復基調となりました。米国で
は、FRBによる金融引き締めが製造業を中心とした企業の経済活動を制限したものの、良好な雇用環境から個人消費
が伸びたこと等により景気は堅調に推移しました。中国では、ゼロコロナ政策解除後に経済は回復しましたが、そ
の後の個人消費の伸び悩みや不動産市況の悪化等により景気は年末にかけて減速しました。またEMS業界におい
ては、半導体や樹脂材料等の供給不足や納期遅延等は概ね解消した一方、一部の部材については供給不足が続きま
した。
① 経営成績
当連結会計年度の売上高は39,202百万円(前年同期比15.5%増)、営業利益は583百万円(前年同期比10.0%減)、経
常利益は595百万円(前年同期比11.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は349百万円(前年同期比64.9%減)とな
りました。
② 財政状況
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ658百万円減少し、29,197百万円となりました。
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ1,414百万円減少し、22,259百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ756百万円増加し、6,937百万円となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期末比591百万円増加し、
3,523百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果獲得した資金は976百万円となりました。これは主に、仕入債務の減少1,144百万円、法人税等の
支払による支出222百万円があった一方で、減価償却費616百万円、売上債権の減少402百万円、棚卸資産の減少711
百万円、減損損失72百万円があったことによるものであります。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果獲得した資金は152百万円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出425百万円
があった一方で、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入585百万円があったことによるものでありま
す。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果使用した資金は655百万円となりました。これは主に、長期借入による収入1,800百万円があった
一方で、長期借入金の返済による支出1,962百万円及び短期借入金の純減少354百万円があったことによるものであ
ります。
生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
生産高(千円) |
前年同期比(%) |
日本 |
17,166,244 |
107.5 |
アジア |
21,812,420 |
120.0 |
その他 |
303,614 |
525.6 |
合計 |
39,282,279 |
114.8 |
(注)金額は、販売価格によっております。
(2)受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
日本 |
16,760,993 |
100.6 |
4,228,986 |
92.5 |
アジア |
22,824,258 |
129.6 |
5,314,840 |
124.0 |
その他 |
284,629 |
306.0 |
19,576 |
50.8 |
合計 |
39,869,881 |
116.0 |
9,563,403 |
107.5 |
(3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
日本 |
17,103,100 |
107.7 |
アジア |
21,796,238 |
121.0 |
その他 |
303,614 |
525.6 |
合計 |
39,202,953 |
115.5 |
(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先 |
前連結会計年度 自2022年1月1日 至2022年12月31日 |
当連結会計年度 自2023年1月1日 至2023年12月31日 |
||
販売高(千円) |
割合(%) |
販売高(千円) |
割合(%) |
|
NINGBO FUERDA SMARTECH CO., LTD. |
4,216,263 |
12.4 |
3,658,472 |
9.3 |
経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
1.総資産
当連結会計年度末における総資産は、29,197百万円(前期末比658百万円減)となりました。流動資産は、現金及び
預金、商品及び製品が増加した一方、受取手形及び売掛金、電子記録債権、原材料及び貯蔵品が減少したこと等に
より、23,240百万円(前期末比604百万円減)となりました。固定資産は、建物及び構築物、無形固定資産が減少し
たこと等により、5,956百万円(前期末比54百万円減)となりました。
2.負債
当連結会計年度末における負債合計は、22,259百万円(前期末比1,414百万円減)となりました。流動負債は、支払
手形及び買掛金、電子記録債務、短期借入金、1年内返済予定の長期借入金が減少したこと等により、17,086百万
円(前期末比1,736百万円減)となりました。固定負債は、リース債務が減少した一方、長期借入金、退職給付に係る
負債が増加したこと等により、5,173百万円(前期末比321百万円増)となりました。
3.純資産
当連結会計年度末における純資産合計は、6,937百万円(前期末比756百万円増)となりました。これは自己株式、新株予約権が減少した一方、資本金、資本剰余金、利益剰余金、為替換算調整勘定が増加したこと等によるものであります。
4.売上高
日本では、車載機器向けは、九州工場における新たな量産品の受注が増加したこと、また、加工事業子会社の
量産品売上の伸び等により増収となりました。オフィス機器向けは、部品逼迫緩和により受注が伸びた昨年の反動
等により減収となりました。産業機器向けは、受注先における在庫調整の影響が一部顕在化したものの、半導体製
造装置向け売上が伸びたこと等により増収となりました。医療機器向けは新機種を含む大型検査機器向けの受注が
堅調に推移し増収となりました。また、その他セグメントに含まれる主な売上については以下の通りです。社会生
活機器向けは、部材調達環境の改善及び住宅設設備機器向けの受注増加等により増収となりました。遊技機器向け
は、従来の機種に代る次世代遊技機器向け受注が伸び悩んだこと等により減収となりました。業務請負・人材派遣
子会社及び基板製造子会社は、主に遊戯機向けの受注が減少したこと等により減収となりました。上記の通り国内
部門においては、子会社を含めた車載機器向け及び医療機器向け売上が伸びた結果、日本の売上高は17,103百万円
(前年同期比7.7%増)となりました。
アジアでは、車載機器向けが増収となりました。これは、無錫子会社はゼロコロナ解除後に急拡大した新型コロ
ナウイルスの影響で減収となった一方、一昨年12月に子会社となった無錫栄志電子有限公司の通期売上が加算され
たこと、また、タイ及びベトナム子会社の売上が堅調に推移したこと等によるものです。オフィス機器向けは、昨
年に中国深圳子会社の生産を引き継いだ中国恵州子会社が、生産受入に際し受注先を見直した影響等により減収と
なりました。産業機器向けは、一部製品の製造が中国より日本に移管となったこと、およびロシア・ウクライナ戦
争の影響により欧州向け輸出が減少したこと等により、主に無錫子会社が減収となりました。また、医療機器向け
については、ベトナム子会社にて量産品の出荷がスタートしました。この結果、アジアの売上高は21,796百万円
(前年同期比21.0%増)となりました。
以上の結果、連結売上高は39,202百万円(前年同期比15.5%増)となりました。
5.営業利益
営業利益は、日本では親会社が売上製品構成の変化及び製造コストアップ等により減益となりました。加工事業子会社は、付加価値の高い金型製品の売上が伸びたこと等により増益となり、オフィス・ビジネス機器販売子会社は、粗利益率の高い売上の割合が増加したこと等により増益となりました。また、業務請負・人材派遣子会社及び基板製造子会社は減収により減益となりました。
アジアでは、香港子会社が当社グループ外への部品売上増加により増益となり、また、無錫栄志電子有限公司の利益が加算されました。一方で無錫子会社は減収により減益となり、タイ及びベトナム子会社はドル高の影響を受け部員仕入コストが増加したこと等により減益となりました。
以上より連結営業利益は583百万円(前年同期比10.0%減)となりました。
6.経常利益
営業外損益では、受取利息、消耗品等売却益、受取配当金等が増益要因となった一方、海外における金利上昇及び国内における金融機関借入の増加等により支払利息が増加したこと、また、タイの持分法適用会社に対する投資損失が減益要因となり、連結経常利益は595百万円(前年同期比11.0%増)となりました。
7.親会社株主に帰属する当期純利益
固定資産売却益、新株予約権戻入益、固定資産除却損、減損損失及び法人税、非支配株主に帰属する当期純利益等を加減した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は349百万円(前年同期比64.9%減)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
1.キャッシュ・フロー
2023年12月期の各キャッシュ・フローの状況とその増減については「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 経営成績等の状況の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
2.資金需要と財政政策
当社グループの資金需要は、当社グループの生産に関わる人件費、外注費、新規設備導入に伴う購入費用・リース
料、工場増設に係る取得費用、並びに営業・管理に係る人件費等と、生産のための部材購入費用とに大別され、国内及び海外各子会社は所在する国・地域の通貨及び外国通貨で支払を実施しております。
なお、これらに必要な資金については銀行借入等にて充当しておりますが、2023年12月期末での連結自己資本比率は20.4%であることにより、今後は海外子会社も含めて安定的に利益を確保する体制を再構築するとともに、製品・仕掛品・原材料の適正在庫水準維持に注力することによって、銀行借入残高の低減に努めてまいります。
(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成してお
ります。経営者は、この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告に影響を及ぼす見
積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(繰延税金資産の回収可能性)
当社グループは、繰延税金資産について、将来減算一時差異の解消時期をスケジューリングし、繰延税金資産を計上しておりますが、繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
当社グループは、主な販売先として以下の会社と契約いたしております。
契約相手先 |
契約締結日 |
契約内容 |
契約期間 |
キヤノン(株) |
2003年7月16日 |
契約当事者間の取引契約に関する基本的な事項を定めた契約 |
契約締結日より1年間とし、その後1年毎の自動更新 |
キヤノン電子(株) |
2003年10月1日 |
契約当事者間の取引契約に関する基本的な事項を定めた契約 |
契約締結日より1年間とし、その後1年毎の自動更新 |
Kojima Auto Technology (THAILAND) CO.,Ltd. |
2021年1月1日 |
契約当事者間の取引契約に関する基本的な事項を定めた契約 |
契約締結日より1年間とし、その後1年毎の自動更新 |
日本では、前連結会計年度に引き続き、当社の独自回路設計:モジュール開発を行っており、製品化に繋げるため、電源用試作基板を作成しております。
アジアでは、無錫栄志電子有限公司がハイテク企業を申請しており、継続した新規試作をしております。
このため、一般管理費として