第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する記載は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社グループは、「顧客が抱えるあらゆるセキュリティへの課題」を包括的に請け負う『総合セキュリティプロバイダ』を目指し、独自の技術力によって製造した「セキュリティの自動化」で社会に貢献することを経営方針としております。

 

(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

当社グループは、既存事業を着実に成長させ、セキュリティの総合プロバイダ企業として事業規模の拡大を中期経営計画の目標としていることから、売上高と営業利益に加え、前年度からの売上高成長率を重要な経営指標と考えております。

また、当社グループのビジネスモデルは、データセキュリティ事業におけるログ管理クラウド利用料やセキュリティサービス利用料、ネットワークセキュリティ事業におけるクラウドネットワークサービス利用料など、毎年継続した収益となるリカーリングモデルが当社グループ事業の成長基盤となることから、年間定期収益を示すARR(Annual Recuring Revenue)についても重要な経営指標と考えております。

 

(3) 経営環境

サイバー攻撃は日々巧妙化し、その脅威はかつてないほどの高まりをみせ、サイバーセキュリティは社会的な重要課題の一つとなっております。また、東京都が2022年12月に実施した都内企業(従業員30人以上)に対するテレワーク実施率調査では、52.4%の企業がテレワークを導入しており、このような働き方改革のための新たなコミュニケーション手段に対しても「サイバーセキュリティ対策」の必要性が一層高まっております。警視庁が発表した「令和4年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」によれば、警視庁が把握するランサムウエア被害件数は、2020年の下半期の21件から、2022年上半期には114件と、1年半で約5.4倍に増加しており、今後においても、高度化を続けるサイバー攻撃の脅威の増加、また、インターネットに接続するデバイスの多様化/数量増加などを背景に、セキュリティビジネスの市場は長期的に伸長することが予測されております。当社グループを取り巻くこのような環境は、安全保障上の観点からも更なる拡大が見込まれます。

 

<データセキュリティ事業>

DX(デジタルトランスフォーメーション)による組織のデジタル化推進により、サイバー攻撃や内部不正への対策としてログ解析を行うSIEM(注1)製品や、働き方改革の促進などの目的で、様々なシステムのログから行動や統計を分析する統合ログ管理製品の市場は今後更に拡大することが予測されており、これらの機能を有する、当社が提供するログ管理製品の需要も更に拡大することが見込まれます。また、このログ管理製品を運用代行した包括的セキュリティ対策サービスも、予算的制約がありセキュリティ人材不足の中堅・中小企業向けに需要が拡大することが見込まれます。

 

<ネットワークセキュリティ事業>

少子化による国内人口の減少に伴い、「ITエンジニアの慢性的な不足」が顕著になっており、企業がエンジニアを自社で雇用できなくなることで、外部業者への委託やクラウドの利用が今後一層必要とされます。このような環境下において、マネージド型(注2)やクラウド型のセキュリティサービスの市場は、高い伸長率で拡大していくことが予測されており、当社グループ「ネットワークセキュリティ事業」が提供するクラウド型サービスの需要も今後更に拡大することが見込まれます。

 

 

[用語解説]

注1 SIEM

Security Information and Event Managementの略称。セキュリティ機器やネットワーク機器、サーバ機器などあらゆる機器から出力されるログやデータを一元的に集約し、それらのログやデータを組み合わせて分析することで、サイバー攻撃やマルウエア感染などのセキュリティ事象を検知し、通知することなどを目的とした仕組みのこと。

注2 マネージド型

利用するサービスだけでなく、そのサービスに必要となる機器やソフトウエアの導入、運用、保守などの業務についても一体的に提供するサービスのこと。

 

(4) 経営戦略等

セグメントごとの経営戦略は、以下のとおりであります。

<データセキュリティ事業>
① 『ALog Cloud』の販売開始

当社のログ管理製品「ALog」がクラウド対応したSaaS版『ALog Cloud』を販売開始しました。今までは、お客様が「ALog」ソフトウエアライセンスと「ALog」を稼働させるサーバを購入し、さらにお客様自身が「ALog」を運用してログ管理を行なっていました。そのため、「ALog」はシステム運用スキルを持つ大手企業が主要な販売領域になっていました。『ALog Cloud』は、インターネット上のSaaSサービスとして提供するため、お客様によるサーバの購入やシステム運用を行う必要がなくなり、導入と運用が飛躍的に簡便化されたことにより、準大手・中堅・中小企業でも導入が可能となります。この『ALog Cloud』を大手企業に比べ圧倒的に企業数が多い、準大手・中堅・中小企業に向けて販売を強化していきます。

 

② サブスク料金体系への移行拡大

今までの料金体系は、ライセンスを販売し、次年度以降は保守料金をいただく売り切りモデルでしたが、『ALog Cloud』の登場により月額でクラウド利用料を継続していただく体系に移行しました。これに加えて、従来売り切りモデルであった、オンプレ版の「ALog」についても月額で利用料を継続していただく体系に移行することで、抜本的な収益構造の転換を図ります。また、『ALog Cloud』ではクラウド上にログが集約されるため、当社がお客様のログを管理代行するマネージドサービスを追加で販売することができ、月額単価の向上に寄与します。このように月額単価を向上させ、さらに次年度以降も同額の収入を得られるサブスクリプション料金体系に移行させ、加速度的に収益性の向上を図っていきます。

 

③ セキュリティサービスの包括代行サービス強化

セキュリティ人材が不足する日本では、優秀なセキュリティエンジニアを確保することは難しく、高い人件費も企業の課題の一つになっています。当社は、自社製品の「ALog」を活用し、当社エンジニアがリモートで代行提供することにより、低料金で包括的なセキュリティサービス「セキュサポ」を開発、提供を開始しました。これによりセキュリティ人材不足や、セキュリティ対策は高額で予算不足という課題を抱える多くの企業に販売促進を行い事業の拡大を図ってまいります。

 

④ セキュリティ教育事業の開始

サイバー攻撃の脅威が高まる一方で、これに対処する人手不足が継続し深刻化する状況を踏まえ、セキュリティ専門人材の高度セキュリティトレーニングや一般社員や役員の階層別トレーニングなど、お客様企業のセキュリティリテラシー強化を支援する教育事業を開始しました。これによりお客様企業が必要とするセキュリティ課題に対し広範囲に対応できることで他社と差別化を図ってまいります。

 

 

<ネットワークセキュリティ事業>
① テレワーク用VPNの販売強化

新型コロナウイルス感染症の発生を皮切りに、総務省のテレワークの普及促進も後押しし、在宅での労働体系が一般化しました。それにより、セキュリティレベルの高いリモートアクセス(テレワーク/モバイル用の遠隔暗号通信ネットワーク)の需要が急速に増え、当社『Verona』サービスの契約数も順調に伸長いたしました。

今後も恒常的なリモートワークの流れは変わらないと予想され、当社も更なるサービスの機能拡張と販売促進を行い、事業の拡張を図ってまいります。

 

② 無線LANサービスの販売強化

我が国において少しずつ浸透し始めていた在宅勤務のスタイルが、新型コロナウイルス感染症をきっかけに急速に広まりました。それに伴い、企業の「オフィスのあり方」も見直しが進み、よりフレキシブルな勤務体系が要求されたことで、有線ケーブルを敷設せずに構築できる「無線LAN」の設備導入が加速しております。当社のクラウド無線LAN『Hypersonix』に対する需要は継続し、ネットワークセキュリティ事業の成長を牽引いたしました。今後も恒常的にニューノーマルオフィス体系が継続すると予想されますので、『Hypersonix』の販売促進を強化します。

 

③ 運用代行サービスの強化

少子化による国内人口の減少と比例する形で、ITエンジニア人材の不足も顕著になっております。経済産業省の推計によると、2030年までに約45万人のIT人材が不足すると言われており、企業は社内エンジニアの不足から、ネットワークセキュリティベンダーによる運用・監視への委託需要が一層強まると思われます。

企業のIT投資が、人材派遣型の労働集約モデルから、社内に人材や資産を持たないクラウドサービスにシフトする可能性は今後も高く、お客様の情報システム業務全般を代行/支援するサービス「Running Supporter」の需要は一層高まると考え、更なるサービス体制の強化、効率化に取り組み、事業を拡大してまいります。

 

④ ゼロトラストネットワーク対応の強化

いままでのネットワークは社内のシステムに一度アクセスをすることで通信の安全を確保していました。そのため、通信の負荷が集中しボトルネックになってしまう問題がありました。ゼロトラストネットワークではオフィスや在宅、外出先など、どこでもインターネットが安全な状態で使えるように、パソコンの中にエージェントを入れ、危険なインターネット通信をさせないようにします。これにより、通信の安全とボトルネックの解消が両立し、安全で安定したネットワーク環境が提供できることを強みに、他社との差別化を図っていきます。

 

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループが対処すべき課題は以下のとおりです。

① 人材採用と育成

当社グループは、事業規模の拡大に伴う業務量の増加に伴い、優秀な人材を確保・育成することが重要な経営課題であると認識しており、積極的に人材の採用活動を行っております。しかしながら、サイバーセキュリティ対策の技術者、セキュリティシステムの開発者やネットワークを担当するシステムエンジニア、及び新規事業の企画者等については、技術革新のスピードが著しく、また、人材市場にAIを担当する技術の経験保有者の絶対数も少ないことから、優秀な人材の確保は容易ではないと認識しております。当社では学生インターンや長期アルバイトからの正社員採用や大学との共同研究による人材交流で、積極的にIT技術者を採用していく方針であります。また、サイバーセキュリティ対策のための知識、AIスキルやプログラム開発の教育制度の受講を促進して高い技術力を獲得させ、その上で透明性・公平性を担保する人事評価制度によって従業員のモチベーションを高める施策を取ってまいります。

 

② 研究開発

毎期事業の発展のために、積極的に研究開発活動に取り組んでおります。本社における開発部門と札幌市に拠点を置く「さっぽろ研究所」において研究開発を行っております。また、国立大学法人北海道大学、長崎県公立大学法人長崎県立大学等と連携し、AIやビックデータ解析、サイバーセキュリティなどの先端技術の共同研究も進めてまいります。各拠点における活動により当社グループの新サービスとして成長させるべく、研究開発に取り組んでまいります。

 

③ 内部管理体制の強化

当社グループの継続的な発展のために業務運営の効率化やリスク管理のための内部管理体制の強化が重要な課題であると認識しております。経営の公正性及び透明性確保のためにコーポレート・ガバナンス体制及び内部管理体制の強化を進めております。

 

④ 情報管理体制の更なる強化

当社は情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)(注1)の国際規格であるISO/IEC 27001:2013(注2)及びISO/IEC 27017:2015(注3)の認証を取得しております。情報セキュリティの管理・運営に関して継続的に充実を図り、お客様に高品質の製品・サービスを安全に、安定的に提供していくことが重要だと考えております。また、内部環境においても情報セキュリティに対して管理体制の強化を進めております。

 

[用語解説]

注1 情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)

個々の問題の技術対策の他に、組織のマネジメントとして、自らのリスクアセスメントにより必要なセキュリティレベルを決め、プランを持ち、資源を配分して、体系的に運用すること。

注2 ISO/IEC 27001:2013

情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)を構築することを目的に、その構築に必要な要求事項や管理策などを記載した国際規格。

注3 ISO/IEC 27017:2015

マネジメントシステム規格であるISO/IEC 27001をベースにクラウドサービス固有の情報管理策及び実施の手引きを追加するガイドライン規格。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループは、「高水準のセキュリティを、すべての人が得られる社会に」をビジョンとし、安全をすべての人が享受できる社会の実現を目指しています。そのために、よりシンプルで使い扱いやすいセキュリティ製品やサービスを提供してまいりました。

ミッションの「高水準のセキュリティを、すべての人が得られる社会に」を実現し、当社グループのセキュリティが何よりも守るべきものは、安全・安心の先にある、すべての人の成功であり、それはSDGs(持続可能な開発目標)の理念である「地球上の誰一人として取り残さない」世界の実現に呼応するものと考えています。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

ガバナンス

当社グループは、取締役及び執行役員で構成される経営会議等において、当社グループのサステナビリティ及びESGに関する様々なリスク及び機会について、他のリスク及び機会と合わせて一元的に俯瞰し、これらの監視及び管理に努めるとともに、新たな想定リスク及び機会の創出、対応方法の協議等を行うこととしております。経営会議等の議論内容のうち、重要事項については取締役会に報告又は取締役会での議論を行うこととしており、これらの監視及び管理体制が適切に機能しているかは取締役会又は監査等委員会において管理・監督する体制となっております。

当社グループのガバナンスに関する詳細は、「4.コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載の通りです。

 

人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略

当社グループは、ビジョンである「高水準のセキュリティを、すべての人が得られる社会に」を実現するために最も重要な資本が人材(人財)だと考えています。従業員やステークホルダーの個の成長が個別の製品やサービスの成長に繋がり、それがミッション達成に繋がる道と考えているからです。

従業員の各ステージに対応した、人的資本価値の向上のため、下記のような人財育成制度を設けております。

・高度サイバーセキュリティ教育の社内展開

当社がセキュリティ教育ビジネスとして提供している高度サイバーセキュリティ教育を従業員にも提供し、より高度なスキルアップを推進しています。

・新卒研修制度の公開によるリスキリング

新卒研修で実施している「社会人基礎力」「網屋基礎力」「専門基礎力」の各講座を、誰でも受講できるように社内公開しています。

・自己学習環境の提供

オンラインでの学習環境を提供し、テレワーク等自由な働き方においても自己学習及びリスキリングを推進しています。

・自主ゼミ

執行役員をリーダーとした、技術的な勉強や資格取得を目指したゼミを開催し、自主的な学びを支援しています。

 

リスク管理

当社グループは、事業の安定的・継続的発展を確保するため、リスク管理規程を制定しており、サステナビリティ及びESGにおいて想定されるリスクをその他のリスクと合わせて一元的に俯瞰し、必要な対策を講じることとしております。

当社グループのリスク管理の詳細は「3.事業等のリスク」に記載の通りです。

 

指標及び目標

当社グループでは、上記戦略において記載した、人材の能力向上に関する方針及び社内環境向上に関する方針について以下の指標及び目標を設定しています。

 

人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績、指標及び

目標

 

指標

第28期

目標

従業員女性比率

37.9%

目標については社内で議論中

女性のマネージャー比率

21.1%

目標については社内で議論中

女性の役員比率

16.7%

目標については社内で議論中

女性の育児休暇取得率

100%

今後も100%の継続を目指す

男性の育児休暇取得率

50%

目標については社内で議論中

女性の育児休暇復帰率

100%

今後も100%の継続を目指す

 

 

当社グループ全体の指標及び目標については、今後議論して決定していきます。

 

3 【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 

(1) 事業環境に関するリスク

① 事業環境の変化について

顕在化の可能性:中、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

当社事業のセキュリティソフトウエア製品の開発と販売は、発売から十数年で急速にシェアが拡大いたしましたが、ITソフトウエア販売は、一般的に景気動向の影響を受けやすい傾向があります。当社では、データセキュリティ事業、ネットワークセキュリティ事業の複数事業を有する他、研究開発等を通じて、新たな製品・サービスを開発し、他社との差別化を図り、継続的な事業成長に努めております。しかしながら、国内の経済情勢の変化や景気の悪化等により、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

② 競合について

顕在化の可能性:中、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大

サイバーセキュリティ市場は、成長業界であることから競合他社が多く存在しており、通信メガキャリアなど、巨大企業とも競合しております。この状況下において、当社ではサービスの開発、販売力の拡充、技術力の強化により、他社との差別化を図っておりますが、競争環境の激化により当社の製品またはサービスが他社に劣後する場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

③ 技術革新への対応について

顕在化の可能性:中、顕在化する可能性のある時期:中長期、影響度:大

当社の主力のデータセキュリティ事業及びネットワークセキュリティ事業の事業領域は技術革新が著しい市場であり、当社ではこうした技術革新に対応し、競争力を維持するため、継続的に研究開発を行っております。しかしながら、研究開発の遅れ、あるいは当社想定を上回る速度での技術革新などにより、当社既存製品やサービスの陳腐化を招く可能性があります。この場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

 

(2) 事業内容に関するリスク

① 販売会社の依存について

顕在化の可能性:中、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

当社事業は、半数以上が再販事業者を経由した間接販売による売上です。再販事業者は、大手ITベンダーや大手流通サプライヤであり、多くが信用性の高い取引となります。その一方で、当社はエンドユーザーの購買決定及び購入時期において直接の関与度が低いため、再販事業者との定期的なミーティングを開催し、案件状況や購買確度、購入時期等の情報を収集し、受注予測に反映するとともに、営業同行等、再販事業社のサポートを通じて、予測どおりに受注できるよう努めておりますが、月度の受注予測において、再販事業者の売上計上遅延や想定外の増減等が発生した場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

② システムトラブルについて

顕在化の可能性:小、顕在化する可能性のある時期:短期、影響度:中

当社のネットワークセキュリティ事業は、インターネットを介してサービス提供を行うクラウドモデルの事業であり、また、データセキュリティ事業では、ログ管理のクラウドサービスを展開しており、これらクラウドサービスの提供において、地震等の自然災害、火災等の地域災害、コンピュータウイルス、電力供給の停止、通信障害、通信事業者に起因するサービスの中断や停止等、予測不可能な事由によりシステムがダウンした場合には、お客様へのサービスの提供が困難となることがあります。また、アクセス数の増加等の一時的な過剰負荷によって当社あるいはクラウドサービス事業者のサーバが作動不能となった場合や、誤作動が発生した場合等には、システムが停止する可能性があります。さらに、外部からの不正な手段によるコンピュータ内への侵入等の犯罪や役職員の過誤等によって、サービスの改竄や、重要なデータの消失又は流出が発生する恐れがあります。

当社は、このような事態の発生を事前に防ぐべく、セキュリティを重視したシステム構成、ネットワークの負荷分散、サービスの異なるクラウドサービス事業者への冗長化等、安全性を重視した体制作りに取り組んでおります。このような対応にも拘らず大規模なシステムトラブルが発生した場合には、当社に直接的な損害が生じる他、当社システム自体への信頼性の低下等が想定され、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

③ 情報等の漏洩について

顕在化の可能性:中、顕在化する可能性のある時期:中長期、影響度:大

当社は事業活動を通じ、取引先の重要情報や個人情報に接する機会を有しており、継続した情報資産の適切な管理は、セキュリティ事業を展開する当社の重要課題と認識しております。当社ではこのような顧客情報資産の漏洩、紛失、破壊のリスクに対処するために、国際規格であるISO/IEC 27001:2013及び、ISO/IEC 27017:2015の認証取得に加えて、管理者で構成する情報セキュリティ委員会と各部門担当者で構成する事務局を設置し、従業員教育及び各種の情報セキュリティ対策を講じております。しかしながら、当社からお客様の重要情報等が漏洩するような事態が生じた場合、社会的信用の失墜により、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

④ 外注先の確保について

顕在化の可能性:小、顕在化する可能性のある時期:中長期、影響度:中

当社の事業では、必要に応じて、システムインテグレーション、サポートセンター等について協力会社に外注しております。現状では、有力な協力会社と長期的かつ安定的な取引関係を保っておりますが、適切な技術者、外注先が確保できない場合及び外注コストが高騰した場合、サービスの円滑な提供及び積極的な受注活動が阻害され、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

 

⑤ 海外での事業展開について

顕在化の可能性:中、顕在化する可能性のある時期:中長期、影響度:小

当社では、日本のほか、台湾を始めとした東南アジアに対してセキュリティ製品の販売を展開しておりますが、輸出入に関する規制、関連法令等に基づく勧告や手続の執行、または行政による命令や指導を受けた結果、当該事業の遂行が制約された場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

⑥ 新規事業について

顕在化の可能性:中、顕在化する可能性のある時期:中長期、影響度:中

当社は、データセキュリティ、ネットワークセキュリティを主たる事業としておりますが、事業規模の拡大及び収益源の多様化を実現するために、当社のリスクを慎重に検討し、新規事業に取り組んでいく方針であります。しかしながら、新規事業の開発が、人員不足その他の要因により計画どおりに進捗しなかった場合及び新規事業の収益化が想定どおりに進まなかった場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(3) 事業運営体制に関するリスク

① 内部管理体制について

顕在化の可能性:小、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大

当社は、内部関係者の不正行為等が発生しないよう、法令遵守に係る規程等を制定し、国内外の法令・ルール等の遵守を徹底しております。また、代表取締役社長直轄の独立した組織として経営企画部配下に内部監査部門を設置し、法令・ルール等の遵守状況の確認等を行い、内部管理体制の充実に努めております。しかしながら、法令等に抵触する事態や内部関係者による不正行為等、不測の事態が発生した場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

② 人材の確保・育成について

顕在化の可能性:小、顕在化する可能性のある時期:短期、影響度:中

当社は、事業規模の拡大に伴う業務量の増加に伴い、優秀な人材を確保・育成することは重要な経営課題であると認識しており、積極的に人材の採用活動を行っております。しかしながら、セキュリティシステムの開発者やネットワークを担当するシステムエンジニア等については、人材市場に経験保有者の絶対数も少ないことから、優秀な人材の確保は容易ではないと認識しております。当社では、優秀な人材の確保を継続していく方針ですが、今後適時適切な人材確保及び人材配置が奏功しない場合、又は人材が流出した場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

③ 特定経営者への依存について

顕在化の可能性:小、顕在化する可能性のある時期:短期、影響度:中

当社代表取締役社長の石田晃太は、当社の経営方針及び経営戦略全般の決定、事業運営において極めて重要な役割を果たしております。現在当社では同氏に依存しないよう経営体制の整備及び人材育成を進め、安定的な経営体制の構築に努めておりますが、同氏が何らかの理由により業務執行が困難となった場合は、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

 

(4) 法的規制及び知的財産権に関するリスク

① 法的規制について

顕在化の可能性:小、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

当社は事業運営を行う上で、下請代金支払遅延等防止法、製造物責任法、労働基準法等の一般的な法規制を受けております。当社は法令を遵守し事業運営を行っておりますが、今後既存法令等の改正や新たに当社事業を規制する法的規制が適用された場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社が事業活動を行うに際し以下に記載の許認可を得ており、現在、許認可が取消となる事由は発生しておりません。しかしながら、将来何らかの理由により、法令違反の事象が発生し、監督官庁より業務停止や免許の取り消し等の処分を受けた場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

許認可等の名称

所管官庁等

許認可(登録)番号

有効期間

主な取消事由

一般建設業許可

(電気通信工事業)

東京都

(般-4)

第127807号

2022年4月20日から

2027年4月19日まで

建設業法第29条

古物商許可

東京都

公安委員会

第301051605291号

古物営業法第6条

労働者派遣事業許可

厚生労働省

派13-302,679

2020年5月1日から

2025年4月30日まで

労働者派遣法第6条

 

 

② 知的財産権について

顕在化の可能性:中、顕在化する可能性のある時期:中長期、影響度:大

当社は、知的財産権の保護や管理についてその重要性を認識しており、各事業の運営にあたっては、第三者の知的財産権を侵害しないよう細心の注意を払っております。しかしながら、手続き上の何らかの不備や役職員の過失等により第三者の知的財産権を侵害した場合、損害賠償や使用差し止めの請求を受け、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

一方で、当社が提供するサービスやコンテンツに関する知的財産権が第三者から侵害されないよう、その適切な保護に努めておりますが、何らか事情により当社の知的財産権が侵害された場合、競争優位性の低下等により、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(5) その他のリスク

① 自然災害について

顕在化の可能性:中、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大

当社では、従業員の安全に配慮するとともに、安否確認のための環境が整備されております。また、テレワークを推進し、在宅にて業務遂行できる環境も整備されております。システムについては、バックアップや冗長化、DRサイトの構築により可用性を高めております。しかしながら、地震、火災等の自然災害や、戦争、テロ、感染症の流行等により、当社において人的被害または物的被害が生じた場合、または外部通信インフラ、コンピュータネットワークに障害が生じた場合等の事由によって当社業務の遂行に支障が生じた場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

② 配当政策について

顕在化の可能性:中、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

当社は、設立以来配当を実施した実績はありませんが、株主に対する利益還元を重要な経営課題として認識しております。しかしながら、当社は成長過程にあると考えており、内部留保の充実を図り、将来の事業展開及び経営体質の強化のための投資等に充当し、一層の事業拡大を目指すことが、株主に対する最大の利益還元につながると考えております。将来的には、各期の財政状態及び経営成績を勘案しながら株主への利益還元を検討してまいりますが、現時点において配当の実施及びその実施時期等については未定であります。

 

 

③ 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

顕在化の可能性:大、顕在化する可能性のある時期:短期、影響度:中

当社は、当社の役員及び従業員に対するインセンティブを目的として、新株予約権を付与しており、発行済株式総数に対する潜在株式数の割合は4.20%となっております。これらの新株予約権が行使された場合には、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権行使割合が希薄化する可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当社グループは、当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前連結会計年度との比較・分析の記載はしておりません。

 

(1) 経営成績等の状況の概要

当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況
a 経営成績

当連結会計年度における日本経済は、物価上昇、世界的な金融引き締めによる金利や為替変動の影響は注視する必要があるものの、賃上げや雇用の拡大、大幅な設備投資など企業では前向きな支出が増加傾向にあり、緩やかな景気回復が続いております。

 

そのような景気動向の中、サイバー攻撃の多様化・巧妙化に伴い経済産業省は5年ぶりに「サイバーセキュリティ経営ガイドライン」を改訂し、サプライチェーン全体のセキュリティ対策の必要性を強調しました。安定した企業経営のためにサイバーセキュリティ対策への投資は大手のみならず、全ての企業において急務となっており当社事業に対する社会的な期待や必要性は益々高まっていくものと見込まれます。

このような環境のもと、当社ではデータセキュリティ事業・ネットワークセキュリティ事業ともに企業のセキュリティに関するあらゆるニーズに応えるべく新たにリリースしたサービスが各々好調を維持し、当連結会計年度の売上高は3,559,238千円、営業利益は363,568千円、経常利益は425,416千円となり、以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は325,660千円となりました。

 

セグメント別の経営成績は次のとおりであります。

 

データセキュリティ事業

主力製品であるログ分析プラットフォーム「ALog」が、円安によって価格が高騰した海外製品と比べて安価で買いやすくなり、サイバーセキュリティ強化の政策後押しもあって、順調にパイプラインを進捗させることができました。同じく、当連結会計年度より新事業として提供を開始した「サイバー攻撃監視代行サービス」や「サイバーセキュリティエンジニア養成サービス」についてもサブスクの継続契約が増加し、当連結会計年度における売上高は1,291,236千円、セグメント利益は575,384千円となりました。

 

ネットワークセキュリティ事業

IT人材の慢性的な不足を背景に、人手を介さずにクラウドで企業ネットワークを構築できる「Network All Cloud」サービスが好調で、CAGR20%を超える販売となりました。従来は、全国に多くの拠点・店舗をもつ外食・小売り系の事業者様への販売が主でしたが、フリーアドレス化を促進する都心オフィスにもニーズが拡大した影響で、顧客数は4,000社を超えました。当連結会計年度における売上高は2,268,001千円、セグメント利益は532,251千円となりました。

 

 

b 財政状態

(資産)

当連結会計年度末における流動資産の合計は3,109,046千円となりました。この主な内訳は、現金及び預金が1,909,790千円、売掛金が394,972千円、原材料及び貯蔵品が516,288千円であります。

当連結会計年度末における固定資産の残高は667,824千円となりました。内訳は、有形固定資産が135,013千円、無形固定資産が181,768千円、投資その他の資産が351,042千円であります。

 

(負債)

当連結会計年度末における負債の合計は1,990,633千円となりました。この主な内訳は、契約負債が1,022,473千円、長期借入金が210,988千円であります。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産の合計は1,786,237千円となりました。この主な内訳は、資本金60,912千円、資本剰余金736,409千円、利益剰余金1,179,784千円であります。

 

セグメント別の財政状態は、取締役会が経営の意思決定上、当該情報をセグメントに配分していないことから記載しておりません。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、1,897,766千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の営業活動におけるキャッシュ・フローは528,635千円の収入となりました。

これは、主に税引前当期純利益425,140千円の計上による収入、契約負債の増加145,950千円があった一方で、役員退職慰労引当金の減少140,800千円があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の投資活動におけるキャッシュ・フローは266,569千円の支出となりました。

これは、主に有形固定資産の取得による支出123,358千円、投資有価証券の取得による支出150,855千円があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の財務活動におけるキャッシュ・フローは264,363千円の収入となりました。

これは、主に短期借入金による収入100,000千円、長期借入金による収入131,327千円があったことによるものであります。

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績

当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

b.受注実績

概ね受注から役務提供の開始までの期間が短いため、受注実績に関する記載を省略しております。

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

データセキュリティ事業(千円)

1,291,236

ネットワークセキュリティ事業(千円)

2,268,001

合計(千円)

3,559,238

 

(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績の10%以上の相手先がないため、記載を省略しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。連結財務諸表の作成に当たり、資産及び負債または損益の状況に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績等の連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

連結財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。

会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、特に重要なものは次のとおりであります。

 

(市場販売目的のソフトウエアの減価償却費方法)

当社グループは、市場販売目的のソフトウエアについて、見込販売収益及び販売可能な見込有効期間に基づき、残存有効期間(3年以内)に基づく均等配分額を減価償却費として計上しております。

見込販売収益は売上成長率及び受注金額等を基礎として見積り、見込有効期間は製品の販売予定期間を踏まえ上限を3年として決定しております。見込販売収益及び見込有効期間は将来の経済状況等によって影響を受ける可能性があり、翌連結会計年度の市場販売目的のソフトウエアの減価償却費の金額に重要な影響を与える可能性があります。

 

 

② 経営成績の分析
a 売上高

当連結会計年度における売上高は、3,559,238千円となりました。

セグメント別の内訳は次のとおりとなります。

データセキュリティ事業では、長期化する半導体不足の影響によりソフトウエアのライセンス売上が減少したものの、ソフトウエア保守の売上が引き続き堅調に伸長したため、当連結会計年度の売上高は1,291,236千円となりました。

ネットワークセキュリティ事業では、新型コロナウイルス感染症の影響によりリモートワークやWEB会議等新たなビジネススタイルが普及し、それに伴うリモートワーク環境のセキュリティ強化やオフィスのネットワーク環境の整備など引き続きITインフラに対する見直しの需要は継続しました。当社が取り扱うNetwork All Cloud・Ubiquiti製品はネットワークインフラの市場ニーズにマッチし、堅調なインバウンドリードの創出、及び顧客獲得につなげることができました。そのため、ネットワークセキュリティ事業の当連結会計年度の売上高は伸長し、2,268,001千円となりました。

b 売上原価、売上総利益

当連結会計年度における売上原価は、1,843,536千円となりました。これはNetwork All Cloudの売上伸長に伴うアクセスポイントなどの部材費の出庫増加、及び材料高騰化によるものの他、労務費の増加によるもの等になります。この結果、売上総利益は1,715,701千円となりました。

c 販売費及び一般管理費、営業利益

当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、1,352,132千円となりました。これは主に、従業員の増員による人件費の増加のほか、「ALog Cloud」の研究開発費が増加したことによるものです。この結果、営業利益は363,568千円となりました。

d 営業外損益、経常利益

当連結会計年度における営業外損益は、急激な為替変動に備えた外貨預金の為替差益等により営業外収益が63,601千円となりました。また営業外費用は、自己株式の買付手数料の計上等により1,753千円となりました。この結果、経常利益は425,416千円となりました。

e 特別損益、当期純利益

当連結会計年度における特別損益は、特別損失が276千円となりました。これは有形固定資産除却損276千円を計上したことによるものであります。また法人税等は99,480千円となりました。この結果、当期純利益は325,660千円となりました。

 

③ 財政状態の分析

当連結会計年度の財政状態の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況 b 財政状態」に記載の通りであります。

 

④ キャッシュ・フローの分析

前述の「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

⑤ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、製造・開発活動に係る人件費及び外注費、販売費及び一般管理費の広告宣伝費用等による運転資金であります。これらの資金につきましては、営業活動によって得られる資金でまかなうことを基本として、必要に応じて金融機関から調達を実施する方針であります。

また、資金の流動性については、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、1,909,790千円あり、事業運営上、必要な資金は確保されていますが、今後も十分な流動性を維持していく考えであります。

 

 

⑥ 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

⑦ 経営者の問題意識と今後の方針について

経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載のとおりであります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当連結会計年度における研究開発活動は、最先端技術の探求と新しいビジネス展開を推進するため、新製品を開発することを主目的として推進してまいりました。当社の研究開発体制は、主に開発部とマーケティング部が担当しております。技術力の更なる強化と高収益を伴った成長を実現するため、お客様のご要望を注視し、顧客満足度を継続的に向上させるべく、研究開発に取り組んでおります。

 

当連結会計年度における研究開発費の総額は、127,527千円となりました。セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。なお、研究開発費の総額には特定のセグメントに関連付けられない事業横断的な研究開発に係る費用58,452千円が含まれております。

 

<データセキュリティ事業>

ALog製品において、SaaS提供している「ALog Cloud」の「パッケージソフトウェア化(オンプレ版)」並びに、AI技術による「ログの相関分析」や「異常検知精度の向上」等の研究開発を行いました。また、セキュリティ分野だけでなく、働き方改革やサイバー攻撃対策など、AIの適用範囲拡大のための調査研究を実施しました。これにより当連結会計年度の研究開発費の総額は、65,778千円となりました。

 

<ネットワークセキュリティ事業>

Veronaサービスにおいて、ゼロトラスト実現のための「新サービス」や「認証」技術の研究開発を行いました。ゼロトラストについては、現在、PCやタブレット、スマートフォンなどのデバイスが主な対象となっておりますが、今後、情報セキュリティ対策のために、IoTデバイスにもゼロトラストが必要となる可能性が高く、当社の事業規模の拡大が期待できます。これにより当連結会計年度の研究開発費の総額は、3,296千円となりました。