独立監査人の監査報告書

 

2024年3月28日

株式会社荏原製作所

取締役会  御中

 

有限責任監査法人ト ー マ ツ

東京事務所

 

 

指定有限責任社員
業務執行社員

 

公認会計士

北村 嘉章

 

 

 

指定有限責任社員
業務執行社員

 

公認会計士

隅田 拓也

 

 

 

指定有限責任社員
業務執行社員

 

公認会計士

藤春 暁子

 

 

 

<財務諸表監査>

監査意見

当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられている株式会社荏原製作所の2023年1月1日から2023年12月31日までの第159期事業年度の財務諸表、すなわち、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、重要な会計方針、その他の注記及び附属明細表について監査を行った。

当監査法人は、上記の財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、株式会社荏原製作所の2023年12月31日現在の財政状態及び同日をもって終了する事業年度の経営成績を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。

 

監査意見の根拠

当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。

 

監査上の主要な検討事項

監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。

 

長期かつ大型の工事請負契約における収益認識の前提となる原価総額の見積り

【監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由】

 会社は、対面市場を軸にしたセグメントにおいて、それぞれ以下の事業を展開している。

セグメント

主な事業内容

建築・産業

建築設備や産業設備において使用する標準ポンプ、冷熱機械、送風機等の製造、販売及び保守を行っている

エネルギー

石油・ガス、電力、新エネルギーにおいて使用するボイラ給水ポンプ、コンプレッサ、タービン等の販売及び保守を行っている

インフラ

水インフラにおいて使用する農業用ポンプ、排水ポンプ、上下水道ポンプ、トンネル用送風機等の製造、販売、運転及び保守を行っている

環境

固形廃棄物処理において使用する都市ごみ焼却プラント、産業廃棄物焼却プラント等のエンジニアリング、工事、運転及び保守を、子会社を通して展開している

精密・電子

半導体製造において使用する真空ポンプ、CMP装置、めっき装置、排ガス処理装置等の製造及び販売を行っている

 

 

上記セグメントのうち、「建築・産業」、「エネルギー」及び「インフラ」において、会社は顧客と工事請負契約を締結している。

注記事項「(重要な会計方針)4.収益及び費用の計上基準」及び「(重要な会計上の見積り)1.収益認識」に記載されているとおり、上述の工事請負契約については、製品又は役務に対する支配が一定期間にわたり移転するため、一定の期間にわたり履行義務を充足し収益を認識している。履行義務の充足に係る進捗度の見積りの方法は、履行義務の結果を合理的に測定できる場合は、以下の数式(インプット法)で算出している。

進捗度=

実際原価

見積総原価

 

会社の工事請負契約は、案件ごとに業務内容や仕様が異なり、原価総額の見積りは専門的な知識と経験を有するプロジェクト管理責任者による一定の仮定と判断を伴う。特に「インフラ」においては工期が長期となる大型案件があり、仕様変更などの契約内容の変更、施工の遅延、建設資材単価や労務単価の変動等により原価総額の見積りが事後的に変動する場合がある。

会社の工事請負契約におけるこのような性質により、長期かつ大型の工事請負契約における収益認識の前提となる原価総額の見積りは不確実性が高く、経営者による判断を伴うことから、当監査法人は当該事項を監査上の主要な検討事項とした。

【監査上の対応】

長期かつ大型の工事請負契約における収益認識の前提となる原価総額の見積りに係る監査上の対応については、連結財務諸表の監査報告書における「長期かつ大型の工事請負契約における収益認識の前提となる原価総額の見積り」の監査上の対応と実質的に同一の内容である。このため、財務諸表の監査報告書では具体的な記載を省略する。

 

 

 

子会社株式(Vansan Makina Sanayi ve Ticaret A.S.)の評価

【監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由】

会社は、貸借対照表において、関係会社株式110,065百万円を計上しており、そのうち11,920百万円は、Vansan Makina Sanayi ve Ticaret A.S.(以下、Vansan社)の子会社株式(超過収益力及び取得時に識別された無形資産等を加味した価額)である。

注記事項「(重要な会計方針)1.(1)有価証券の評価基準及び評価方法」に記載されているとおり、会社は子会社株式の評価基準及び評価方法として、総平均法による原価法を採用している。また、注記事項「(重要な会計上の見積り)6.関係会社株式及び関係会社出資金の評価」に記載されているとおり、会社は、市場価格のない関係会社株式は、取得原価と比較して実質価額が50%程度以上低下した場合、当該会社の事業計画に基づき回復可能性が十分な証拠によって裏付けられる場合を除いて評価損の計上を行う方針としている。

会社は、Vansan社株式の評価損処理の要否を検討するに当たり、超過収益力等の毀損による実質価額の著しい低下の有無を検討しており、超過収益力等の毀損の有無は、将来の事業計画の達成可能性や割引率の影響を受ける。

Vansan社においては、トルコにおける不安定な経済状況及びインフレの影響を受け、事業計画の達成可能性及び割引率について不確実性が高いことから、当監査法人は当該事項を監査上の主要な検討事項に該当すると判断した。

【監査上の対応】

当監査法人は、当該子会社株式の評価を検討するにあたり、主として以下の監査手続を実施した。

(1)内部統制の評価

   市場価格のない関係会社株式の実質価額の算定に関連する内部統制の整備状況及び運用状況の有効性を評価した。

(2)子会社株式の評価の合理性の検討

   実質価額の著しい下落の有無を検討するため、Vansan社株式の帳簿価額と無形資産及び超過収益力を反映した実質価額との比較を実施した。

   超過収益力の評価に係る将来キャッシュ・フローの基礎となる事業計画及び割引率についてそれぞれ以下の監査手続を実施した。

項目

実施手続

事業計画

・   経営者によって承認された5か年の将来キャッシュ・フロー予測との整合性を検証した

・   将来キャッシュ・フローの基礎となる事業計画について、経営者等への質問を行うとともに、市場予測等の利用可能な外部情報、又は過去実績と比較した

・   将来キャッシュ・フロー計画の策定に関する経営者による見積りプロセスの有効性を評価するために、過年度において超過収益力の評価の基礎として使用されている将来キャッシュ・フロー計画とその後の実績を比較した

・   将来キャッシュ・フローに加味されているインフレ率について、利用可能な外部情報と比較した

割引率

・   当監査法人のネットワーク・ファームの評価専門家を関与させ、割引率の見積りに使用されたカントリーリスク等のインプット情報と外部情報との整合性について検証した

・   割引率に加味されているインフレ率について、利用可能な外部情報と比較した

 

 

 

 

その他の事項

会社の2022年12月31日をもって終了した前事業年度の財務諸表は、前任監査人によって監査が実施されている。前任監査人は、当該財務諸表に対して2023年3月30日付けで無限定適正意見を表明している。

 

その他の記載内容

その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査委員会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における執行役及び取締役の職務の執行を監視することにある。

当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。

財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。

当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。

その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。

 

財務諸表に対する経営者及び監査委員会の責任

経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。

財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。

監査委員会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における執行役及び取締役の職務の執行を監視することにある。

 

財務諸表監査における監査人の責任

監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。

監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。

・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。

・ 財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。

・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。

・ 経営者が継続企業を前提として財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する財務諸表の注記事項が適切でない場合は、財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。

・ 財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた財務諸表の表示、構成及び内容、並びに財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。

監査人は、監査委員会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。

監査人は、監査委員会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。

監査人は、監査委員会と協議した事項のうち、当事業年度の財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。

 

<報酬関連情報>

報酬関連情報は、連結財務諸表の監査報告書に記載されている。

 

利害関係

会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。

以  上

 

※ 1.上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。

2.XBRLデータは監査の対象には含まれていません。

 

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