当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、「人と自然と未来をつなぐ」を企業活動の本質と定め、世界中の自然環境と、共に歩む全ての人々の美しい未来の実現に向け、小型屋外作業機械、農業用管理機械並びに一般産業用機械の3事業の発展に取り組み、企業価値の最大化を目指し、高い倫理観のもとに企業活動を通じて社会に貢献したいと考えております。
(2) 経営環境
①企業構造と市場の状況
当社グループは、生産や販売等の機能別の各事業会社で構成され、各事業会社は当社グループが展開する3事業である小型屋外作業機械、農業用管理機械並びに一般産業用機械に関連しています。
主力事業である小型屋外作業機械は、動力源の小型エンジンを鋳造、加工から組立、検査までの工程を一貫して行うことにより、高効率かつ需要に応じた柔軟な生産体制を実現しています。各事業会社の事業内容については、「第一部(企業情報) 第1(企業の概況) 3(事業の内容)」に記載しております。
なお、当社グループを取り巻く市場状況としては、国内の農業市場において、農業従事者の更なる減少と高齢化により、小型屋外作業機械と農業用管理機械の市場規模の縮小が懸念されます。一方で、林業市場は地球温暖化の抑制という社会的要求の高まりにより森林整備に関する市場拡大が予想されます。海外の小型屋外作業機械は、持続的成長を続ける北米の緑地管理市場の旺盛な消費・サービス需要に支えられ、米欧を中心に安定的な成長が期待されます。また、一般産業用機械は、北米市場のインフラ案件の活況に伴い、発電機の需要増加が継続する見通しです。
②競合他社との競争優位性
当社グループが展開する3事業には、それぞれに競合他社が存在します。その中でも主力事業である小型屋外作業機械事業においては、製品の主要構成部品である小型エンジンを自社開発しており、素材の配合研究から自社で行うことで、軽量化・高出力化を実現するとともに、世界各国で厳しさを増す排出ガス規制にも適合してきました。また、電動製品においても、エンジン製品の開発を通じて培った技術力やノウハウを活かし、高出力かつ制御技術に優れた製品を開発しており、高い環境性能と作業性を両立させ、市場ニーズを満たす製品を提供できる点が当社の強みとなっております。更には、グローバルに販売ネットワークを展開しており、製品の販売だけでなく代理店などを対象としてサービススクールを実施するなど、お客様へのアフターサービスが充実している点も当社ブランドが市場での信頼を獲得し、競争力の向上に寄与しております。
(3) 優先的に対処すべき事業上および財務上の課題
当社グループでは、2023年を初年度とする「中期経営計画2025」に取り組んでおり、国際社会の脱炭素への移行が大きな事業環境の変化である一方で、更なる成長に向けた機会と捉えています。これまで培ってきた環境技術により社会のGX(グリーン・トランスフォーメーション)に貢献するとともに、市場が抱える社会課題の解決策を提案し続けることで持続的な成長を実現してまいります。
「中期経営計画2025」基本方針
・持続的な成長を遂げるための「変革期」と位置付け、前中計から着手した「変革」の取り組みを更に加速させ「スピード実行」で推進します。
・既存事業領域における着実な成長と収益性の改善を実現するとともに、未来につながる事業を創出し新たな柱となる事業領域の確立に取り組みます。
・ESG経営の実践、やまびこDX戦略の実行により中長期的な企業価値の向上に努めます。
事業戦略
当社グループは、企業理念と経営目標の実現に向けて以下の事業戦略に基づく諸施策に取り組みます。
①既存事業領域の事業規模拡大
既存事業領域において、当社の強みである環境対応技術を活かしプロユーザー市場向けに注力した事業活動を継続するとともに、他社とのアライアンスを積極的に推進し、市場が抱える課題の解決に寄与する製品・サービスを提供してまいります。
<海外OPE事業>(海外 小型屋外作業機械)
・着実な成長が期待できる欧米市場と成長著しいアジア市場におけるプロユーザー市場に向けて高い作業効率と耐久性を有し、環境規制に適合したエンジン製品やバッテリー製品のラインナップの拡充を進めます。
・欧米市場の一般ユーザー市場においては、エンジン製品からバッテリー製品への移行が進行しているため、市場ニーズに合ったバッテリー製品のラインナップ拡充を加速させ一般ユーザー市場での販売を拡大します。
<農林事業>(国内 小型屋外作業機械・国内 農業用管理機械・海外 農業用管理機械)
・農林水産省が策定した「みどりの食料システム戦略」に賛同し、国内農業市場における高い安全性と省人・省力化、環境技術を備えた製品の開発スピードの向上を図ります。
・チェンソーの国内トップシェアメーカーとして、森林整備の社会的要求の高まりに呼応した製品を迅速に市場導入するため他社との協業を積極的に推進することに加え、伐木事業体など異業種との業務提携も視野に入れ日本の林業再興に向けた取り組みに着手します。
<産機事業>(国内 一般産業用機械・海外 一般産業用機械)
・環境負荷低減と作業効率の向上を目指し、電動化・ハイブリッド化、並びに再生可能エネルギーを取り入れた環境配慮型システムの開発を進めます。
・現場管理や関連サービスの作業効率向上に貢献する遠隔監視のシステム開発を推進します。
・北米市場では広域レンタル会社向けにサービス力を強化するとともに、大型ディーゼル発電機の現地生産を2025年に開始する予定です。
②収益性の改善
「稼ぐ力」を高めて、持続的な成長を確かにします。
<海外OPE事業><農林事業>
・2023年に中国子会社の解散に着手し2024年に清算結了を見込んでいます。引き続きコストダウンを進めるとともに、生産拠点の戦略的再配置を行うなど生産効率の改善に取り組みます。
・DXを活用し米国市場における販売商流の変革に着手し収益性の向上に取り組みます。
<産機事業>
・生産拠点の戦略的配置により生産能力を増強し需要拡大に対応します。
③新規事業創造への取り組み
社会のGXを成長の機会と捉え、発電・蓄電システム、CNエネルギー、DX & IoT、ロボットといった新規開発テーマに取り組んでおります。更に、異業種を含むパートナー企業との共同開発案件も新たな収益の柱とするべく開発を行っています。
④ESG経営の実践
事業戦略に加えて、ESG経営を実践し中長期的な企業価値向上に邁進します。事業活動を通じて環境問題や作業現場での就労人口不足などの社会課題の解決に貢献するとともに、ガバナンス体制の深化と情報発信の充実に継続して取り組みます。
詳細は当社ホームページ内「サステナビリティ」をご覧ください。
URL:https://www.yamabiko-corp.co.jp/sustainability/
<E:環境対応>
・グループ気候変動対応方針を定め、気候変動対応を経営の最重要課題として取り組みます。
・環境情報の開示に加え、GHG排出量の削減目標を定め、削減策を着実に実行します。
・当社はTCFD提言に基づいた開示を行うなど、環境情報開示に取り組むほか、ESG評価機関から提供される評価を踏まえ、更なる改善に努めてまいります。
<S:社会>
経営戦略、組織戦略に基づく人材戦略を立案・実践し、従業員一人一人の能力を最大限に引き出すとともに組織の活性化に繋げ中長期的な企業価値向上を図ってまいります。また、新規事業創出への取り組みに対応するため、社内研修や大学等と連携したリスキリング教育を実施しています。さらに、女性をはじめとする多様な人材の活用に加え、人材育成、社内環境整備など人的資本投資を継続します。
<G:コーポレート・ガバナンス>
企業価値を持続的に向上させるべくコーポレートガバナンス・コードに沿った強固なガバナンス体制を運用し深化させてまいります。
詳細は当社ホームページ内「ガバナンスへの取組み」をご覧ください。
URL:https://www.yamabiko-corp.co.jp/sustainability/activities/governance/
⑤やまびこのDX戦略
事業活動全体を通してデジタル技術を活用することで「革新的な生産性の向上」 「既存ビジネスモデルの変革」 「新規ビジネスの創出」を創出します。また、中長期的な企業価値の向上を目指すべく、DX戦略で掲げた具体的施策を着実に実行します。
詳細は当社ホームページ内「DX戦略」をご覧ください。
URL:https://www.yamabiko-corp.co.jp/dx-strategy/
中期経営計画2025の詳細につきましては、当社ホームぺージに掲載しておりますのでそちらをご覧ください。
URL:https://www.yamabiko-corp.co.jp/ir/management/plan/
(4) 目標とする経営指標
中期経営計画2025期間中は、更なる成長に向けて積極的な人材投資や先行開発投資を行うとともに、営業利益率、ROEを経営上の重要指標に設定し、経営効率の向上を推進します。最終年度となる2025年12月期には売上高1,700億円、営業利益率7%を見込んでおり、ROEについては10%以上を数値目標として掲げております。
当社グループは、自然環境や社会環境の課題解決につながる数多くの製品やサービスを世に送り出してまいりました。当社グループの事業領域は農業や林業、緑地管理からまちづくりの現場に至るまで、人々の生活と密接に関わるものであり、事業の拡大・発展そのものがサステナブルな社会の実現につながると確信しております。
2023年度からスタートした中期経営計画2025では、脱炭素社会への移行を更なる成長に向けた機会と捉え、当社グループがこれまで培ってきた環境技術により社会のGX(グリーン・トランスフォーメーション)に貢献するとともに市場が抱える社会課題の解決策を提案し続けることで、持続的な成長を目指してまいります。
当社グループはこれからも「人と自然と未来をつなぐ」という企業理念のもと、世界最高レベルの環境技術と革新的で安全・安心な良く働く機器とサービスで、社会と人々に信頼と感動をもたらし、期待され、豊かな自然と共生する未来創りに貢献し続けてまいります。
なお、文中の将来に関する事項は、2024年3月29日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社グループでは、取締役会がグループの経営方針、経営戦略及びグループ会社の経営指導・監督に関わる重要な意思決定を行っております。また、取締役会の意思決定に当たっては代表取締役社長が議長を務める経営戦略会議において十分な審議を行った上で取締役会に付議することにより、適正な意思決定を確保しております。当社のコーポレート・ガバナンス体制は、「
サステナビリティ課題への取り組みについても、経営戦略会議にて審議し取締役会へ付議・報告する体制を確立しております。また、サステナビリティ課題の中でも特に気候変動を重要課題と位置付け、経営戦略会議が検討を委嘱する委員会としてTCFD委員会を設置し、TCFD委員会にてGHG排出量の削減目標を定めるとともに、施策、立案などを取りまとめ、経営戦略会議にて審議し取締役会への付議・報告を行っております。
(2)リスク管理
当社グループでは、新たな事業分野への進出の成否や新機種開発の成否等、経営上の意思決定に係るリスクは、事業機会関連リスクとして経営戦略会議がリスク管理をしております。また、適正かつ効率的な業務の遂行を阻害すると考えられるリスクについては、事業阻害リスクとしてコンプライアンス・リスク管理委員会がリスク管理をしております。いずれのリスクについても、経営戦略会議にて審議し、取締役会へ付議・報告され取締役会が監督を行う管理体制を構築しております。なお、当社グループが認識している具体的なリスクについては、「
また、当社グループは、サステナビリティに関するリスクは、企業の中長期的な成長に大きく影響を与えることから、経営上の意思決定に係るリスクとして事業機会関連リスクと位置付けております。その中でも気候変動を経営上の重要な外部環境リスクの一つとして位置づけ、適切に管理しております。具体的には、原則的に3ヶ月に1回開催されるTCFD委員会が主管となって部署横断的に課題と対策を取りまとめ、経営戦略会議にて審議し、取締役会へ付議・報告する体制としております。
以上のようなリスク管理体制により、サステナビリティへの対応を強化してまいります。
〈ガバナンス及びリスク管理〉
(3)気候変動への取り組み
当社グループは、気候変動への取り組みを重要な経営課題の一つとして認識しTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明しております。今後もTCFD提言のフレームワークに基づいた積極的な情報開示に努めるとともに、事業の発展を通じて持続可能な社会の実現に貢献してまいります。TCFDに基づく開示の詳細は、当社ホームページをご参照ください。(https://www.yamabiko-corp.co.jp/sustainability/tcfd/)
〈気候変動に関する戦略〉
当社グループは、気候変動がグループに与えるリスク・機会とそのインパクトの把握、短期・中期・長期におけるカーボンニュートラル実現に向けた施策立案のためにシナリオ分析を実施し、以下のとおり特定したリスク・機会を当社の戦略に反映しております。なお、分析にあたり、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表した世界の平均気温が産業革命前との比較で4℃上昇するシナリオと、2℃未満に抑えられるシナリオを参照しております。
〈気候関連リスク〉
リスクの |
気候関連の事象/ |
事業への影響 |
シナリオ影響 (注)1 |
対象 製品 (注)2 |
発現時期 (注)3 |
リスクに対する当社の認識及び対応 |
|||
2℃ |
4℃ |
短期 |
中期 |
長期 |
|||||
移行リスク |
GHG排出量抑制に 関する規制強化 |
物流コスト及びリードタイムの増加 |
中 |
小 |
OPE 農機 産機 |
|
〇 |
|
物流において、GHG排出量の少ない輸送手段への移行が求められる。コスト増に関しては積載率向上への取り組みや、物流手段の見直しを実施することで抑制する。また、リードタイムの増加に関して生産計画・物流計画を見直す。 |
移行リスク(政策) |
炭素税の導入 |
部材調達コスト及び省エネ設備導入に関する投資の増加 |
大 |
中 |
OPE 農機 産機 |
|
〇 |
〇 |
炭素税の導入により、低炭素な企業運営が財務面からも求められる。省エネ設備導入にかかる投資額を抑制するために、生産ラインの短縮などに取り組んでいく。また、従来部材の価格が高騰することが予想されるため、部材の調達や設計を見直す。 |
移行リスク(市場) |
石油由来品の忌避 |
販売機会の減少 |
大 |
小 |
OPE 農機 産機 |
|
〇 |
|
製品の電化が加速することにより石油由来品の需要低下が生じる。製品の電化やカーボンニュートラル燃料などを活用した製品開発など、環境配慮製品の開発・販売に取り組む。 |
物理リスク(急性) |
異常気象の激甚化 |
物流や操業の 一時停止 |
中 |
中 |
OPE 農機 産機 |
〇 |
〇 |
〇 |
気候変動に起因して、気象災害がより激甚化することが予想される。そのため、一時的に操業や物流が停止する可能性があるが、BCP対応を行うことによって製品の製造や輸送を滞りなく行えるような体制を構築する。 |
販売機会の減少 |
大 |
大 |
OPE |
〇 |
〇 |
〇 |
気候変動によって干ばつ被害がより増加することが考えられる。それによって刈払機などの製品の販売機会が減少する可能性があるが、非干ばつ発生地域への販路拡大を行うことによって干ばつ発生による売上への影響を抑制する。 |
〈気候変動における機会〉
機会の属性 |
気候関連の事象/ |
事業への影響 |
シナリオ影響 (注)1 |
対象 (注)2 |
発現時期 (注)3 |
機会に対する当社の対応 |
|||
2℃ |
4℃ |
短期 |
中期 |
長期 |
|||||
レジリエンス |
異常気象の激甚化 |
チェンソーなどの管理機器及び発電機などのBCP対応機器の販売機会増加 |
大 |
大 |
OPE 産機 |
〇 |
〇 |
〇 |
適切な時期に在庫を増やすとともに販路の拡大を行い、製品の販売機会の増加と自然災害復旧の促進への貢献に取り組む。 |
製品及び サービス |
環境対応製品の 市場投入活発化 |
環境対応製品の販売機会の増加
|
大 |
中 |
OPE 農機 産機 |
|
〇 |
|
OPE:カーボンニュートラル燃料対応製品の開発、市場投入を行い、電動化製品の拡大を含めてプロモーションすることでエンジン製品におけるシェア拡大に取り組む。 |
市場 |
排ガス規制の強化 |
排ガス規制対応エンジンの販売機会の 増加 |
大 |
中 |
OPE 農機 産機 |
〇 |
〇 |
〇 |
製品開発体制をより強化するとともに、今後排ガス規制が強化されると見られる地域に対して販路を拡大し、売上の拡大を図る。 |
(注)1.当社グループへの事業及び財務への影響を総合的に勘案し、大(影響が非常に大きくなることが想定)、
中(影響がやや大きくなることが想定)、小(影響が軽微であることが想定)の3段階で評価
2.OPE:チェンソー、刈払機、パワーブロワほか、農機:スピードスプレーヤ、乗用管理機、畦草刈機ほか、
産機:発電機、溶接機、投光機ほか
3.短期:5年未満、中期:5年~10年未満、長期:10年以上
〈気候変動における指標と目標〉
当社グループは、気候関連リスク・機会を管理するためサプライチェーンを含むGHG排出量を指標としております。また、2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指しております。中期的な目標として、2030年までにスコープ1、2(注)のGHG排出量50%削減(2020年度比)を掲げており、環境に配慮した生産設備、再生可能エネルギーの導入など全社を挙げてGHG排出量低減活動に取り組んでまいります。
また、当社グループGHG排出量の約86%を占める販売した製品使用による排出につきましては、セグメント別に道筋を定めGHG排出量低減に努めてまいります。GHG排出量の実績値及びセグメント別のカーボンニュートラルに向けた取り組みなどの詳細については当社ホームページをご参照ください。(
(注)スコープ1:化石燃料の使用(直接排出)、スコープ2:購入した電力・熱の使用(間接排出)
GHG排出量 削減目標 |
|
目標年/基準年 |
目標値 |
2030年(中期)/ 2020年度 |
スコープ1、2で50%削減を目指す。 |
2050年(長期)/ 2020年度 |
サプライチェーン全体のGHG排出量実質ゼロを目指す。 |
※上記目標値は、当社及び国内子会社を対象としています。
(4)人的資本の活用に関する取り組み
当社グループは、人的資本の投資こそ今後の中長期的な企業価値向上の鍵を握るものと考え、社員一人ひとりの成長が当社グループの成長であるとの考え方に基づき、様々な取り組みを行っております。
当社の人的資本の活用に関する取り組みは以下のとおりです。なお、戦略、指標及び目標につきましては、当社単体における記載としております。
〈人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略〉
多様な人材の活用に加え、人材育成・社内環境整備など人的資本投資を継続してまいります。経営戦略・組織戦略に基づく人材戦略を立案・実践し、多様性確保のための女性活躍推進、男性育児休業取得促進等の活動を含め、全ての従業員が活き活きと働ける環境整備に取り組み、従業員一人ひとりの能力を最大限に引き出すとともに組織の活性化に繋がる中長期的な人材戦略を図ります。
①女性活躍推進
女性活躍推進法に基づいた行動計画を策定し、女性社員の活躍推進に取り組んでおります。女性が働きやすい職場環境の整備、長期就業を促進するための制度の導入、女性社員向けキャリアマインド醸成研修などの女性のキャリア形成支援を行っております。
(具体的な取り組み)
・女性社員向けキャリアマインド醸成研修による管理職志向の促進
・女性社員の上司に向けたキャリア形成支援研修による意識変革と上司の役割理解促進
・育児を目的とした休暇制度の拡充など柔軟な働き方が可能となる制度整備
・『産休・育児ハンドブック』の作成・配布による関連制度の周知
・ジョブリターン制度の継続活用
・くるみんマーク認定取得(2021年度認定)
・新卒及びキャリア採用において女性採用を積極的に促進
②男性の育児休業取得の促進
当社では、仕事と育児の両立を実現するための支援制度の拡充や職場環境づくりに取り組んでおります。また、男性の育児休業取得促進のため、育児休業制度だけでなく、以下の取り組みを労使一体となり進めております。
(具体的な取り組み)
・育児・介護相談窓口の設置(各地区担当窓口と人事部が連携し、育児に関する休暇活用に向けた情報提供体制
の構築)
・「男性の育休ハンドブック」の作成・配布による関連制度の理解浸透
・子の行事等のため取得することができる育児目的休暇の導入
・1才に満たない子を養育している場合、最大で稼働日連続10日の休暇を取得することができる配偶者の出産
休暇制度の導入
・子の看護のため時間単位で取得することができる子の看護休暇(小学3年生まで延長)の導入
・男性の育休体験レポートの社内報等への掲載によるPRと取得奨励
③人事・評価制度の継続的改善
当社では、個人の役割と責任の大きさ、その遂行度合、成果の達成度合いに応じた適正な評価と処遇を実現することを目的に2022年度に人事制度を職能資格制度から役割等級制度へ改定しております。
また、人事制度改定後も定期的に評価者研修や労使協議会による労使間の意見交換を行い、個々の従業員がモチベーションを高く保ち仕事に向かい、仕事にやりがいと誇りを持って臨む状態の実現を目指しております。
④エンゲージメント向上
労働安全衛生法に基づき例年実施しているストレスチェックに加え、2023年度よりエンゲージメントサーベイを同時に実施しております。ストレスチェックとエンゲージメントサーベイを同時に実施することにより、ストレス反応と仕事に対する熱意のそれぞれの状態からみた個人の総合的なこころのマネジメント状態とその要因を把握し、また、組織におけるエンゲージメントの状態及び生産性の状態を測定することができ、組織改善へと繋げております。なお、サーベイ結果については、職場ごとの要因分析を行い、フィードバック研修を行うことで継続的なフォローを行っております。
さらに、当社では、以下の各種施策に取り組み、エンゲージメントの更なる向上を図っております。
(具体的な取り組み)
・企業理念浸透を目的とした経営者との座談会やタウンミーティングの開催
・納涼祭や収穫祭など従業員親睦行事の開催による一体感の醸成
・独身寮、社員食堂のリフォームをはじめとした福利厚生施設やオフィスのリニューアルによる職場環境の整備
・技術報奨、永年勤続表彰など表彰制度の積極的な運用による自己効力感の向上
・安全衛生活動の全社展開による安全・安心な職場環境の実現
・人事評価の納得性(年2回の評価者訓練を実行)
⑤人材教育体系(リスキリング・学び直し教育計画、個人のキャリア形成支援)
社員の能力を最大限に引き出すための環境を整えており、社員一人ひとりのキャリア自律を支援し、新入社員から管理職まで体系的に教育研修や自己啓発支援を行い、充実した会社生活を目指して努力する人を応援しております。また、新規事業創出への取り組みに対応するため、社内研修や大学等と連携したリスキリング教育を実施しております。
さらに、DX戦略に基づきデジタルリテラシー教育を全社で展開し、2023年度は約840名が受講を終了しております。
なお、当社の教育体系は以下のとおりであります。
階層別教育 |
次世代リーダー育成教育 |
デジタル人材教育 |
・新入社員研修 ・キャリア採用研修 ・新入社員フォローアップ研修 ・キャリアマネジメント研修 ・女性社員向けキャリアマインド 醸成研修 ・新任管理職研修 ・評価者研修 ・自己啓発通信教育 ・技能検定(国家資格) ・退職金・年金セミナー ・安全衛生教育 |
・エグゼクティブガバナンスプログ ラム ・ビジネス経営塾 ・コーチングプログラム |
・デジタルリテラシー教育 ・デジタルアカデミー(注)
|
選抜型教育 |
語学教育 |
|
・リーダーシップ研修 ・QIA教育訓練 ・リスキリング教育 |
・語学通信教育 ・海外赴任前研修 ・語学スクール補助 ・TOEIC社内検定 |
(注)当社のDXを推進するため、一定期間情報システム部に社内出向し、研修を行うことでデジタル人材の育成を図ります。
〈人的資本における指標と目標〉
①女性活躍推進
中期経営計画2025においては、本社の管理職に占める女性比率を2025年度に9%以上を目標として設定し、また、定期・キャリア採用者における女性の割合を20%以上として目標を設定し、取り組んでおります。
|
2021年12月期 |
2022年12月期 |
2023年12月期 |
目標 2025年12月期 |
女性管理職割合(本社) |
5.4% |
7.1% |
7.5% |
9.0%以上 |
(注)「第1 企業の概況 5従業員の状況 (4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載の数値とは定義が異なり、ここでは本社に限定し、管理職待遇の従業員を対象に集計したものであります。
|
2021年12月期 |
2022年12月期 |
2023年12月期 |
目標 2025年12月期 |
新卒・キャリア採用に おける女性採用比率 |
21.2% |
33.3% |
11.4% |
20.0%以上 |
(注)当社の2023年12月期の採用においては、技術系職種の求人が増加したため、女性の採用が出来ず採用比率が低下しております。
②男性の育児休業取得の促進
中期経営計画2025において育児休業を2週間以上取得する男性社員の割合を60%以上とすることを目標として設定し、男性の育児休業取得の促進の取り組みを進めております。
|
2021年12月期 |
2022年12月期 |
2023年12月期 |
目標 2025年12月期 |
男性育児休業取得率 |
50.0% |
50.0% |
65.5% |
- |
2週間以上取得/対象者 |
10.5% |
37.5% |
51.7% |
60.0%以上 |
当社グループの財務状況および経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクは次のとおりであります。これらは当社グループの全てのリスクを網羅したものではなく、記載された事項以外の予見できないリスクも存在します。そのようなリスクが顕在化した場合には、当社グループの業績および財政状態に影響を与える可能性があります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 社会情勢等
当社グループは、全世界において事業を展開しておりますが、国内外の各地域の政治、経済、社会情勢や政策の変化、紛争、テロ等による社会的混乱、投資規制、収益の本国への送金規制、輸出入規制、外国為替規制、税制等を含む各種規制の動向が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。特に、主要市場である日本、米国、欧州における経済状況は事業に大きな影響をもたらします。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期について、合理的に判断することは困難ですが、リスクが顕在化した際にはいち早く対応できるよう引き続き注視してまいります。
(2) 市場環境
当社グループの主要市場である日本および海外各国のグリーンメンテナンス市場、および農・林業や建設・土木・鉄工業に関わり、農業政策や公共投資などの政策や産業構造および民間設備投資動向、その他の需給動向などが大きく変化することにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期について、合理的に判断することは困難ですが、リスクが顕在化した際にはいち早く対応できるよう引き続き注視してまいります。
(3) 他社との競合
当社グループの各事業分野においては、新製品の開発、低価格化、アフターサービスの充実などをめぐる他社との競争が激化しており、当社グループが品質、取引条件などで他社に劣位する場合には、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期について、合理的に判断することは困難ですが、当社グループでは各事業分野において継続的に顧客のニーズを汲み取り付加価値の高い新製品開発を行っております。価格競争については、高付加価値製品を供給することで売価を下げることなく顧客満足を獲得してまいります。
(4) 為替相場・金融市場の変動
当社グループの売上の半分以上が米ドルを中心とする外国通貨によるものであるため、外国為替相場の動向、また、金利上昇による支払利息の増加などにより、当社グループの業績へ影響が及ぶ可能性があります。通常は他の通貨に対して円高になれば当社グループの業績にマイナスの影響を及ぼし、円安になればプラスの影響を及ぼします。また、外国為替相場の変動は同一市場において当社グループと外国企業が販売する製品の相対的な価格や、製品の製造に使用する材料のコストに影響を与える可能性があります。これに対し当社グループでは、グローバルに生産拠点を配置して生産を行うなど、このリスクの軽減に努めています。また、当社グループは短期の為替変動の影響を最小にするためヘッジ取引も行っておりますが、為替レート水準の予期せぬ変動は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(5) 原材料・部品調達
当社グループでは安定した原材料・部品の供給確保に努めておりますが、原材料価格が高騰した場合、利益を圧迫し当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、原材料の供給が不安定になった場合、製品の生産が困難になることによる販売機会の逸失などにより当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期について、合理的に判断することは困難ですが、当社グループでは部品の共通化等によるボリュームディスカウントに加え、仕入れ先の財務面を含めた供給能力に注視し原材料を安定して調達できる環境を整備しております。
(6) 各国の安全・環境規制・気候変動関連等
当社グループの主力製品である小型ガソリンエンジンの排ガス規制を始め、当社グループが製造、販売する製品の安全や環境に関する世界各国の法規制の強化や新たな規制の適用、気候変動の要因とされる温室効果ガスの削減の取組みの強化が実施される場合には、これらの規制等に適合するための開発費用や設備投資などにより相当の費用が増加するほか、当社グループがこれらの規制等を遵守できない場合には当該市場での製品販売ができなくなるなど、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。しかしながら、一般的に法規制等の新規・改訂には事前のアナウンスがなされるほか、規制導入に際しても経過・段階措置が取られることから、当該リスクの顕在化に対しても十分対応が可能であると認識しております。当社グループではいち早くそれらの法規制等に対応するべく、世界各国の動向を注視するとともに、先を見越した計画的な環境対応技術の研究開発に取り組んでおります。また、TCFD提言に即した活動を推進することにより、迅速に対応できる事業体制を構築しております。
(7) 製造物責任
当社グループでは、製品開発、生産にあたっては安全・安心なものづくりを第一として取り組んでおりますが、製品における欠陥および使用時において予測困難な事象が発生した場合には、企業ブランド価値の毀損や販売量の減少が起こるなど、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期について、合理的に判断することは困難ですが、当社グループでは、常に安全性を第一とした組織風土を醸成しており、製品検査体制の充実、ユーザーによる製品使用時において誤った使用方法をしない様、製品に警告表示をするなどの対応を行っており、問題が発生した際には速やかに市場対応が行われる体制を整備しております。また、万一に備えて製造物責任保険に加入しております。
(8) コンプライアンス
当社グループでは、グループ横断的なコンプライアンス体制を整備しており、コンプライアンス・リスク管理委員会の設置、やまびこコンプライアンスプログラムを策定するなど、法令遵守体制の充実に努めておりますが、法令、社会倫理違反行為の発生など、コンプライアンス上の問題が発生した場合には、監督官庁による処分や、訴訟の発生、社会的信頼の失墜などにより、当社グループの業績に重大な影響が及ぶ可能性があります。
(9) 人材確保
当社グループの継続的な成長には優秀な人材の確保が不可欠ですが、著しい採用環境の悪化や人材流出の増加が継続した場合は、当社グループの人材確保が計画通りに進まず、将来の成長に影響が及び、中・長期的に当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。国内では少子化が進展しており、将来的に人材の確保が困難になることが予想されるため、当社グループでは新卒採用だけでなく、専門性の高い人材の中途採用の強化を進めています。また、結婚や育児、介護等の理由により退職した人材を再度雇用する「ジョブ・リターン制度」の採用など多様な働き方に対応できる仕組みの整備にも努めております。さらに、役割・成果をベースとした人事制度への転換を図るべく人事制度を改定し、人・組織の活性化に資する人事制度の構築を進めております。
(10) 気象・自然災害・感染症等
冷害、台風、洪水等々の気象の影響により国内農作物に大規模な被害がもたらされた場合は、国内農家の収入の減少により農家の購買力が減衰することがあり、また、国内、海外とも、干ばつなどにより植物の生長が著しく妨げられた場合は、当社グループの主力製品である刈払機などの需要低下につながるなど、異常気象により当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。
また、当社グループの生産拠点が自然災害・感染症の流行などにより直接損害を被った場合や当社グループが直接の損害を受けなくとも、交通網や情報網、電力供給やサプライチェーンの生産などが長期に遮断される場合には、当社グループの生産活動などが停滞し、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期について、合理的に判断することは困難ですが、当社グループでは、災害発生時の直接的な被害を最小限に抑えるため、定期的に設備点検や避難訓練を実施しております。また、BCP(事業継続計画)を作成し、被災・感染症発生時にも重要な事業が継続できる体制整備に努めております。
(11) 情報セキュリティ・知的財産等
当社グループでは事業活動において、顧客情報・個人情報等に接することがあり、また営業上・技術上の機密情報を保有しています。これら各種情報の取り扱い、機密保持には細心の注意を払っており、不正なアクセス、改ざん、破壊、漏洩、紛失等から守るため、管理体制を構築すると共に、合理的な技術的対策を実施するなど、適切な安全措置を講じていますが、近年、手口が高度化・巧妙化しているサイバー攻撃等により情報漏洩等の事故が発生した場合には、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。
また、知的財産権については、第三者による不正利用等による侵害あるいは訴追等が発生した場合には、法的責任や賠償責任、訴訟などによる支払い義務の発生のほか、企業ブランド価値の毀損により当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。当社グループでは、秘密保護のための管理体制の構築に加え、従業員に対しても情報セキュリティ教育を定期的に実施してリスクの未然防止に努めております。
(1)経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における当社グループを取り巻く市場環境につきましては、米国経済は良好な雇用環境に支えられ個人消費が堅調に推移したものの、長期化するウクライナ紛争や金融引き締めにより、世界経済の減速が懸念されるなど、先行き不透明な状況が継続しました。
このような環境の下、当社グループの主力である海外小型屋外作業機械(OPE: Outdoor Power Equipment)は、 新型コロナによる巣籠需要の反動減や春から夏の需要期における北米や欧州の一部地域での天候不順の影響に加 え、金利上昇により代理店・販売店が在庫圧縮を進めた影響を受けましたが、足元では徐々にその解消が進みまし た。加えて、一般産業用機械は北米での旺盛な建設、エンターテイメント需要を背景に発電機の販売が好調に推移 しました。
国内は、農林事業において肥料・燃料価格の高騰が続き農業従事者の購買意欲が奮わず、当社の販売にも影響を及ぼしました。一方、草刈作業の負担を軽減する遠隔操作可能な新型草刈機は好調な販売となりました。
以上の結果、当連結会計年度における当社グループ連結業績は、次のとおりとなりました。
ア.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ66億36百万円減少し、1,345億62百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ169億51百万円減少し、468億74百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ103億14百万円増加し、876億87百万円となりました。
イ.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高1,514億円(前期比3.0%減)、営業利益142億30百万円(同63.8%増)、経常利益140億66百万円(同52.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は90億97百万円(同44.4%増)となりました。
セグメント別の状況につきましては次のとおりであります。
小型屋外作業機械の売上高は、1,079億78百万円(同5.2%減)となりました。
農業用管理機械の売上高は、238億78百万円(同0.0%増)となりました。
一般産業用機械の売上高は、172億96百万円(同6.4%増)となりました。
その他の売上高は、22億46百万円(同8.1%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動によるキャッシュ・フローが192億55百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローが36億46百万円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローが179億58百万円の支出となりました。その結果、当連結会計年度末の資金残高は121億87百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益133億73百万円、減価償却費45億7百万円、売上債権の減少額14億23百万円、仕入債務の減少額37億51百万円、棚卸資産の減少額74億31百万円、法人税等の支払額43億92百万円等により192億55百万円の収入(前連結会計年度は51億50百万円の支出)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、有形及び無形固定資産の取得による支出39億88百万円等により36億46百万円の支出(前連結会計年度は37億53百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の純減少額146億64百万円、配当金の支払額21億62百万円等により179億58百万円の支出(前連結会計年度は105億46百万円の収入)となりました。
③生産、受注及び販売の実績
ア.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) (百万円) |
前年同期比(%) |
小型屋外作業機械 |
99,043 |
88.7 |
農業用管理機械 |
13,063 |
91.3 |
一般産業用機械 |
11,501 |
107.8 |
報告セグメント計 |
123,608 |
90.5 |
その他 |
554 |
124.5 |
合計 |
124,162 |
90.6 |
(注)金額は標準販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
イ.受注実績
当社及び連結子会社は見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
ウ.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) (百万円) |
前年同期比(%) |
小型屋外作業機械 |
107,978 |
94.8 |
農業用管理機械 |
23,878 |
100.0 |
一般産業用機械 |
17,296 |
106.4 |
報告セグメント計 |
149,154 |
96.8 |
その他 |
2,246 |
108.1 |
合計 |
151,400 |
97.0 |
(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2022年1月1日 至 2022年12月31日) |
当連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) |
||
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
THE HOME DEPOT INCORPORATED |
30,046 |
19.2 |
28,489 |
18.8 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は1,345億62百万円となり、前連結会計年度末に比べて66億36百万円減少しました。その主な要因は、原材料及び貯蔵品の減少27億39百万円、現金及び預金の減少20億3百万円、仕掛品の減少13億72百万円等によるものであります。
負債合計は468億74百万円となり、前連結会計年度末に比べて169億51百万円減少しました。その主な要因は、借入金の減少136億42百万円、電子記録債務の減少19億90百万円、未払法人税等の減少10億19百万円等によるものであります。
純資産額は876億87百万円となり、前連結会計年度末に比べて103億14百万円増加しました。その主な要因は、利益剰余金の増加69億29百万円、為替換算調整勘定の増加25億95百万円等によるものであります。
b.経営成績
|
2022年12月期 |
2023年12月期 |
増減額 |
増減率 |
||
|
百万円 |
百万円 |
百万円 |
% |
||
売上高 |
|
|
156,159 |
151,400 |
△4,759 |
△3.0 |
|
国内 |
42,845 |
41,029 |
△1,815 |
△4.2 |
|
|
海外 |
113,314 |
110,370 |
△2,943 |
△2.6 |
|
|
|
米州 |
93,310 |
90,500 |
△2,810 |
△3.0 |
|
|
その他海外 |
20,003 |
19,870 |
△133 |
△0.7 |
営業利益 |
8,688 |
14,230 |
5,541 |
63.8 |
||
経常利益 |
9,217 |
14,066 |
4,848 |
52.6 |
||
親会社株主に帰属する当期純利益 |
6,299 |
9,097 |
2,798 |
44.4 |
[売上高]
国内:農林事業が肥料・燃料価格の高騰により農業従事者の購買意欲が奮わず、販売が減少しました。一般産業用機械は、好調な建設工事需要を背景に発電機の販売が堅調に推移した一方で、新製品の導入の遅れにより減収となりました。その結果、国内売上高は前年対比4.2%減収の410億円となりました。
海外:北米市場の一般産業用機械が旺盛な建設、エンターテイメント需要に支えられ、発電機の販売が好調に推移したものの、小型屋外作業機械において新型コロナによる巣籠需要の反動減や需要期の春から夏にかけて北米や欧州の一部地域で干ばつなどの天候不順の影響を受けたことに加え、米国で続いた金利上昇に伴い代理店・販売店が在庫圧縮を行ったことで販売が減少しました。その結果、海外売上高は前年対比2.6%減収の1,103億円となりました。
[損 益]
中国子会社の解散および清算による追加費用が発生したものの、継続的なコストダウンに加え、前期に実施した国内外での価格改定効果や海上運賃が大幅に低下したこと、為替が円安に推移したことなどが収益改善に寄与し、営業利益は前年同期比63.8%増の142億円、経常利益は52.6%増の140億円、親会社株主に帰属する当期純利益は44.4%増の90億円となり、いずれも過去最高益となりました。
また、中期経営計画2025で掲げた営業利益率7%、ROE 10%の目標に対して、営業利益率9.4%、ROE 11.0%とい ずれも上回る結果となりました。
[セグメント別]
① 小型屋外作業機械
|
2022年12月期 |
2023年12月期 |
増減額 |
増減率 |
|
|
百万円 |
百万円 |
百万円 |
% |
|
売上高 |
113,946 |
107,978 |
△5,967 |
△5.2 |
|
|
国内 |
14,628 |
13,942 |
△686 |
△4.7 |
|
海外 |
99,318 |
94,036 |
△5,281 |
△5.3 |
国内:肥料・燃料価格の高騰に伴い農業従事者の購買意欲が奮わなかったことが影響し減収となりました。
海外:新型コロナによる巣籠需要の反動減や春から夏の需要期における北米や欧州の一部地域で干ばつなどの天候不順の影響に加え、金融引き締めの継続により代理店・販売店が在庫圧縮に動いたことで販売が減少し減収となりました。
② 農業用管理機械
|
2022年12月期 |
2023年12月期 |
増減額 |
増減率 |
|
|
百万円 |
百万円 |
百万円 |
% |
|
売上高 |
23,877 |
23,878 |
1 |
0.0 |
|
|
国内 |
15,698 |
14,989 |
△709 |
△4.5 |
|
海外 |
8,178 |
8,888 |
710 |
8.7 |
国内:遠隔操作可能な新型草刈機が売上拡大に貢献したものの、農業従事者の購買意欲が奮わなかった影響に加え、スピードスプレーヤにおいて安全性向上のための改良に取り組むべく一時的に販売を停止したことが影響し減収となりました。
海外:北米市場は、部品調達の遅延により一部製品で一時的に販売が停滞したものの、ポテト関連製品などの販売が好調に推移し増収となりました。
③ 一般産業用機械
|
2022年12月期 |
2023年12月期 |
増減額 |
増減率 |
|
|
百万円 |
百万円 |
百万円 |
% |
|
売上高 |
16,257 |
17,296 |
1,038 |
6.4 |
|
|
国内 |
10,442 |
9,851 |
△590 |
△5.7 |
|
海外 |
5,815 |
7,445 |
1,629 |
28.0 |
国内:好調な建設工事需要を背景に発電機の販売が堅調に推移したものの、新製品販売の遅れなどにより減収となりました。
海外:北米市場での旺盛な建設、エンターテイメント需要を背景に発電機の販売が好調に推移したことにより大幅な増収となりました。
④ その他
|
2022年12月期 |
2023年12月期 |
増減額 |
増減率 |
|
百万円 |
百万円 |
百万円 |
% |
売上高 |
2,077 |
2,246 |
168 |
8.1 |
主要3事業以外の売上高は、主要セグメントに含まれない生産子会社の売上高や商品等で構成されています。
なお、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
ア.キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
イ.キャッシュ・フローの関連指標
|
2022年12月期 |
2023年12月期 |
自己資本比率(%) |
54.8 |
65.2 |
時価ベースの自己資本比率(%) |
32.4 |
46.0 |
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(倍) |
- |
0.8 |
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
- |
29.4 |
(注)自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
※ 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値によって算出しております。
※ 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
※ 営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
※ 2022年12月期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオについては、営業キャッシュ・フローがマイナスのため記載しておりません。
ウ.資本の財源及び資金の流動性
a.財務戦略の基本的な考え方
当社グループは、資本の効率性の向上、バランスシートの健全性の向上を企業価値向上のための財務戦略の基本方針としております。
資本の効率性の向上については、管理会計の発展を通して、収益性及び資産の回転率と効率性の向上を図ることで、中長期的に資本コストを上回るROEの実現を目指します。
また、現在のネットD/Eレシオの水準を維持し、経済環境の変化に備えるための十分な手元流動性の確保を図ることで、バランスシートの健全性の向上を目指します。
b.経営資源の配分に関する考え方
当社グループは、安定的な経営及び不測の事態に対応可能な手元現預金の水準について、常に検証を実施しております。必要な手元現預金水準を超える分については、追加的に配分可能な経営資源と認識し、企業価値向上に資する経営資源の配分に努めます。
追加的に配分可能な経営資源のうち、特に株主還元を重点施策とし、連結業績及び配当性向を勘案した安定的な配当を実施してまいります。
c.資金需要の主な内容
当社グループの資金需要のうち主なものは、製品の製造に係る原材料仕入、人件費、販売費及び一般管理費等の運転資金であります。
戦略的投資を目的とした資金需要は、新製品の開発・製造に係る設備投資、研究開発投資及びM&A投資であります。
d.資金調達
当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的かつ機動的に確保するため、内部資金及び外部資金を有効に活用しております。
金融機関からの資金調達については、運転資金の効率的な調達を行うため、取引銀行9行と当座貸越契約を締結しております。
また、資金効率の向上を図るため、当社及び国内子会社において、キャッシュ・マネジメント・システムを導入しております。
なお、手元流動性を確保することを目的に取引銀行とコミットメントライン契約を締結しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
④経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは「中期経営計画2025」を策定し、最終年度である2025年12月期に売上高1,700億円、営業利益率7%およびROE 10%以上を目標指標としております。中期経営計画の初年度である2023年12月期は、売上高1,514億円、営業利益率9.4%、ROE 11.0%となり、営業利益率、ROEは中期経営計画最終年度の目標指標を超える結果となりました。
指標 |
2023年12月期 実績 |
2025年12月期 目標 |
売上高 |
1,514億円 |
1,700億円 |
営業利益率 |
9.4% |
7% |
ROE |
11.0% |
10% |
該当事項はありません。
当社グループでは、「世界最高の製品とサービスを提供し続けること」を方針として、国内外のお客様のニーズにあった製品の迅速な開発及び提供を目指す体制を構築し、効率的な研究開発を進めております。
当連結会計年度の研究開発費は全体で
当社では、2022年度において研究開発部門のさらなる効率化と一貫した指示命令系統及び役割・責任の明確化を目的とし、開発組織を製品開発本部と技術推進本部の2本部体制へ改編いたしました。製品開発本部は、短期・中期的な製品開発を主導する組織として、また、技術推進本部は、製品開発サポート、中長期的な商品戦略、技術研究開発を実行する組織として活動しております。これら2本部の各組織は互いに連携することに努め、より効果的な研究開発を実施しております。一方、中長期の事業戦略を視野に入れ、新たな事業探索や新たなカテゴリー製品の研究開発を推進するため、2022年7月に未来事業推進室を新設いたしました。2023年10月には、この推進室を商品戦略部内に統合し、「カーボンニュートラル」を目指し、GX(グリーン・トランスフォーメーション)に寄与できる将来製品戦略に活かすことを目指しております。このような取り組みが中長期における成長ドライバーとなり、サステナブル経営への貢献を果たしてまいります。
(1)小型屋外作業機械
小型屋外作業機械では、国内外の排出ガス規制対応を効率的に推進するために、エンジンプラットフォームの統廃合に向けた開発を継続して推進しております。また、対象機種の製品企画から仕様廃止のプロセスを合理的に進めるため、製品ライフサイクルマネジメントを仕組み化いたしました。さらに、お客様に魅力を感じて頂けるような製品力の向上も引き続き実行しております。2023年の新製品開発の実績としては、国内向け、欧州向け、北米向けにそれぞれ電動製品のラインナップをさらに拡充いたしました。また、電動製品だけでなく、エンジン製品においても、出力性能を維持したまま、さらに環境性能の高いエンジン製品を新規開発するなど、対象ユーザーにとって付加価値の高い製品開発を実現してきております。例えば、現在の排ガス規制値を十分な余裕をもって達成する背負いブロワや燃料補正機能付きチェンソーなどを開発し、市場導入しております。
当連結会計年度における研究開発費の金額は、
(2)農業用管理機械
農業用管理機械では、長い傾斜地や高畦、さらには人が入り込めない低い枝下のような安全配慮が必要な場面で活躍できる、最大45度までの傾斜地でも安定した走行と草刈り作業が可能なラジコン草刈機RCM600を2023年に販売開始し好評を得ております。今後もこのような機能面でユーザーの皆様へ訴求できる製品開発と共に、安全・安心な農業用管理機械の提供に向けた取り組みを継続してまいります。さらに、カーボンニュートラルへの貢献を目指すと同時に、お客様の利便性を向上する電動製品、及び農業従事者の減少により、より一層求められるようになる、スマートで効率的な農業用管理機械の開発にも積極的に取り組んでまいります。
当連結会計年度における研究開発費の金額は、
(3)一般産業用機械
一般産業用機械では、IoT促進とカーボンニュートラル対応製品の開発を推進しております。2023年度の実績としては、ディーゼル発電機用遠隔監視装置及びUSBメモリーによる運転記録システムを市場投入いたしました。また、Liバッテリー搭載発電機のシリーズ展開や海外向けディーゼル溶接機にコンプレッサーを搭載した高機能・高効率化製品を市場投入いたしました。さらに、資本業務提携先であるMIRAI-LABO㈱と太陽光パネル、リフィルバッテリー式発電システムと当社の遠隔監視機能付発電機を組み合わせた「ハイブリッド自律型エネルギーシステム」の実証実験を当社屋上で1年間実施し、環境及び使用電力量が変化しても常に安定した電力供給が可能になることが実証できました。今後も引き続き環境配慮型発電システムや、お客様のニーズにあった付加価値の高い製品開発を進めてまいります。
当連結会計年度における研究開発費の金額は、