第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において、当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

当社グループは、デジタルによるコンテンツの創作から利用・活用に至るまでの諸活動をトータルに支援できる環境の提供を経営理念に掲げ、事業を推進しております。

(2) 目標とする経営指標等

目標とする中長期の経営指標といたしましては、安定した経営を持続していく上で、売上高と営業利益の目標数値を重要な経営指標の一つと考え、その向上に努めてまいります。

(3) 経営戦略等

 中長期的な会社の経営戦略

 当社グループは、中長期の目標を実現するため、以下のとおり施策を推進してまいります。

① 開発力の強化

グループ内における研究開発業務の重複を防ぎ、人的リソース等の効率化を図るため、機動的な開発プロジェクト推進を可能にする組織体制の構築を図ってまいります。また、グループ共通の開発環境を整備し、グループ全体で使用できる共通コアエンジンの開発を推進し、各社のアプリケーションソフトウェアに実装する体制を構築し、自社IP製品の開発体制を強化してまいります。

② セグメント別施策

(イ)コンテンツ制作ソリューション事業

主力製品でありますイラスト・マンガ・Webtoon・アニメーション制作アプリ「CLIP STUDIO PAINT」の更なる研究開発と同時に、インターネットを中心としたサービスの充実を図り、当社グループのソフトウェア群を利用して創作活動を行うクリエイター数を国内外で最大化させることに努めてまいります。

(ロ)コンテンツ流通ソリューション事業

デジタルコンテンツ流通基盤ソリューションであるDC3ソリューションの企画・開発・販売を行っております。DC3ソリューションは、あらゆるデジタルデータを唯一無二の“モノ”として扱うことで、Web3時代の新しいデジタルコンテンツ流通を実現する基盤ソリューションであります。

また、当社から譲り受けた電子書籍配信ソリューションにおいては、顧客サポートの強化等、電子書籍市場における現在のポジションを保持しながら、DC3ソリューションとともに、コンテンツ流通ソリューション事業を推進しております。

 

(4) 優先的に対処すべき課題

 ① 人材の確保及び育成

当社グループは、急速な技術革新への対応と継続的な研究開発等が事業拡大には不可欠であり、このような環境や変化に対応し、適切にニーズにあったサービスを提供することが可能な体制を構築していくことが重要であると認識しております。
 そのために、優秀な人材の確保と育成は事業発展のための根幹と考え、適時必要な戦力となる社員の採用を行い、育成していくことにより、業容拡大への源泉としてまいります。

   ② グループ経営における経営の効率化

当社グループの事業において、生産性・収益性の高いオペレーションを実現していく必要があります。そのために、組織の統廃合やオペレーションの見直し等による効率化を継続して推進してまいります。

また、グループ各社の製品開発部門の集約化を進めることによって、自社製品開発の効率化を図り収益性の改善を実現してまいります。

③ 新規事業による事業ポートフォリオの拡大

当社グループが継続的な成長を実現するための戦略として、既存事業の成長を図る施策のみならず、新規事業である「DC3ソリューション」の開発等へ積極的に投資することにより成長を加速させることが重要であると考えております。

既存事業と異なる事業を組み合わせたポートフォリオ戦略によって、ビジネスモデルを多様化して将来にわたる収益の持続的な成長に繋げてまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは以下となります。なお、記載内容のうち将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものです。

(1) サステナビリティに関する考え方

当社グループは、サステナビリティを巡る課題への対応はリスクの減少のみならず収益機会にもつながる重要な経営課題であると認識しております。中長期的な企業価値の向上の観点から、これらの課題に積極的・能動的に取り組めるよう、以下のサステナビリティ基本方針を定めております。

サステナビリティ基本方針

私たちセルシスグループは、「クリエイションで夢中を広げよう」をMISSION(日々果たすべき使命)とし、「一人ひとりの夢中がつなぐ、もっとカラフルな世界」をVISION(実現したい未来)として企業活動を行っています。創作活動を担うクリエイターの支援に加え、創作されたコンテンツによって世界中の皆様の夢中を広げること、及びそこから生まれる新しいコミュニティ、世代や国境や文化をこえたつながりをつくりだすことを通じて、企業価値の向上を目指すとともに持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

 

 

 

(2)ガバナンス

当社グループでは、中長期的なサステナビリティ戦略について集中的に議論し、取り組みを推進することを目的に、2024年1月、取締役会の下部組織としてサステナビリティ委員会を取締役会決議にて新設しました。サステナビリティ委員会は代表取締役社長を委員長とし、社内取締役及び各部門の責任者等で構成されます。サステナビリティへの対応方針・施策等は、各部門が主体となって推進し、これらの対応の進捗状況等は、必要に応じてサステナビリティ委員会を通して取締役会に報告される体制となっております。

(3)戦略

①サステナビリティ全般

当社グループのVALUE(夢中をつくりだす3つのバリュー)や、目指す姿とその実現に向けたリスクと機会等の分析を踏まえ、当社グループ全体で優先的に取り組むべき重要テーマとしてマテリアリティを特定し、2024年1月開催のサステナビリティ委員会にて承認しております。

なお、「夢中をつくりだす3つのバリュー」は以下のとおりであります。

夢中をつくりだす3つのバリュー

オンリーワンで、ナンバーワン。

ハイスピードで、ハイクオリティ。

ストイックで、フレンドリー。

 

・セルシスグループのVISION実現に向けたマテリアリティと取り組みテーマ


②人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針

当社グループは、従業員の活躍支援に関するマテリアリティ「フラットな組織で働きやすさと成長を支援」を定めているとおり、多様性の確保を含む人材育成と社内環境整備を重要なものと捉えております。

人材育成及び社内環境整備に関する基本方針

人材育成方針

技術が目まぐるしい勢いで進化し更新される今の時代において、従来の常識に縛られず柔軟に思考できるイノベーティブな組織・人材が求められています。そうした中で、自らの強みを活かして挑戦し、やり遂げる成長機会をいかに増やしていくかがセルシスグループの育成の大きなテーマと考えています。一人ひとりが仕事に夢中になって楽しみながら、プロフェッショナルとしての専門性と技術力を高めていきます。

 

社内環境整備方針

私たちは、国内外にサービスを広く展開し、多彩な「クリエイション」を通じて世代や国境や文化を超えたつながりをつくりだすことを目指しています。そのため、職場環境においても、フラットな組織風土を整えることが極めて重要です。各種制度や取り組みでの支援はもとより、社員一人ひとりの互いの強みを活かしあう心を育む組織風土を醸成していきます。

 

 

・組織風土改革

当社グループは、理念に基づくマネジメントが組織を進化させるカルチャーを生み出す土台となると考えており、組織風土改革に取り組んでおります。2023年は、MISSION、VISION、VALUEから構成される理念体系を再整理し、その上で理念に基づくマネジメントを行うためのマネジメントポリシーを策定しております。

 

・独創的な技術者の採用と育成

当社グループは、採用において最も重要なことは、当社グループの理念に共感でき、創作文化への深い理解とリスペクトを持つ人材を採用することと考えております。技術を磨き、成長を支援するため、社内技術勉強会の開催や、成果に対するフィードバックを迅速に実現するための年4回の評価を制度化して運用しております。また、当社グループは採用活動にとどまらず、次世代の人材育成を重視しており、大学との産学連携の取り組みは技術者の採用につながっております。

 

・多様な人材活躍と働き方支援

新たな良い相乗効果を生む人と人との組み合わせを考えて、組織をデザインすることを重視しております。居住地や働き方に関しては柔軟な制度を運用しており、2024年4月からは新たにフレックスタイム制を導入する予定です。

(4)リスク管理

サステナビリティ推進に関するリスクの管理は、サステナビリティ委員会が行います。各部門が、リスク・コンプライアンス委員会と必要に応じて連携の上、個別のリスクの認識及び対応方針の策定を推進し、サステナビリティ委員会に報告します。

当該リスクは必要に応じて、サステナビリティ委員会が取締役会に報告します。

(5)指標と目標

①サステナビリティ全般

(3)戦略に記載のマテリアリティに関するモニタリング指標は以下と認識しています。取り組みを進めるために目標が必要なモニタリング指標については、今後設定を検討してまいります。

マテリアリティ

取り組みテーマ

モニタリング指標

テーマ① 事業開発

クリエイション市場に最高のユーザー体験を届ける

・唯一無二のソリューションの提供による新規顧客獲得

・「こんなことができたら」のいち早い提供

・ 使いたいときに使いやすいサービスの提供

・クリエイター会員数

・サブスクリプション契約数

テーマ② クリエイター&オーディエンスの支援

クリエイションで世界をつなぐ

・クリエイターが自己表現できる創作コミュニティの提供

・クリエイターにとって最適な創作環境の創造

・サポートの充実によるユーザーの信頼獲得

・累計出荷本数

・海外比率

・ARR

テーマ③ 従業員の活躍支援

フラットな組織で働きやすさと成長を支援

・個を活かし合う組織風土づくり

・独創的な技術者の育成と採用

・多様な人材活躍と働き方支援

・女性管理職比率

・エンジニア比率

・外国人従業員比率

テーマ④ 事業を通じた環境負荷低減

創作活動のデジタル支援で

ポジティブな環境インパクトを加速

・自社のネガティブな環境インパクトを最小化

・創作活動でポジティブな環境インパクトを創出

・自社のGHG排出量

・資源使用量

テーマ⑤ 持続可能な経営の実現

MVVを実現する経営の推進

・実効性のあるガバナンス体制

・企業文化によるガバナンス

・取締役会出席率

 

 

②人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備

人的資本に係る多様性の確保については、性別・国籍・年齢等によらない積極的な採用活動を継続し、中途採用を含め、優秀な人材は管理職へ積極的に登用しております。なお、女性及び外国人の管理職については、一定程度確保されていると考えておりますが、中核人材の計画的な育成・登用により各管理職比率を高めていくことが重要であると認識しております。

また、性別や年齢にかかわらず、多様な個性や価値観を持つすべての従業員が働きがいを感じながら、個人のライフスタイルやライフステージに合わせた働き方ができる環境の整備に取り組んでおります。具体的には、在宅勤務の導入、フレックスタイム制の採用や育児休業をはじめとした各種休業制度の導入と取得奨励等に取り組んでおります。

・多様性に関する基本情報

指標

実績

備考(集計対象範囲)

男女別従業員数

男性157名、女性126名

合計283名

連結、臨時従業員及び休職・休業者を含みます。

新卒・中途採用別の従業員の状況

新卒:男性40名、女性13名

中途:男性117名、女性113名

連結

男女間賃金差異

68.1%

連結

平均勤続年数

男性6年11か月、女性5年0か月

全従業員平均6年1か月

連結

女性管理職比率

28.0%

連結

女性役員比率

9.1%

当社単体、執行役員を含みます。

外国人従業員数

33名(全体に占める比率:11.7%)

連結

外国人管理職比率

4.0%

連結

 

※数値は2023年12月31日時点

 

・育児休業・有給休暇に関する基本情報

指標

実値

備考(集計対象範囲)

年次有給休暇の取得率

76.4%

連結

集計期間:2022年4月~2023年3月

女性育休取得率

100%

連結

集計期間:2023年1月~2023年12月

男性育休取得率

100%

連結

集計期間:2023年1月~2023年12月

 

 

(6)気候変動への対応(TCFD提言に沿った情報開示)

①気候変動に関する考え方

当社グループでは、持続可能な社会の実現に向けた貢献と、中長期的な企業価値の向上が重要な経営課題であるとの認識の下、サステナビリティ基本方針に従い積極的・能動的に取り組みを進めております。
 それに伴い、特に気候変動に関連するサステナビリティ課題については、TCFD情報開示のテーマごとに考え方を整理し取り組みを進めております。

②ガバナンス

当社グループでは、気候変動を含むサステナビリティへの取り組みを推進していくためにサステナビリティ委員会を設置いたしました。当委員会は、委員長である代表取締役社長の監督の下、気候変動を含むサステナビリティに関する活動方針を検討し、その進捗状況を必要に応じて取締役会に報告します。

取締役会では、報告された内容を踏まえて審議を行っております。

③戦略

当社グループでは、事業を通じた環境負荷低減に関するマテリアリティとして「創作活動のデジタル支援でポジティブな環境インパクトを加速」を定め、気候変動を含む環境課題への取り組みを重要なものととらえております。 

そこで、当社グループにおいても、気候変動に関連した移行リスク及び物理リスクが自社の事業活動に与える影響を把握し不確実な将来に対応できる事業戦略を検討・立案すべく、TCFD提言に沿ってシナリオ分析を実施しております。

今回実施したシナリオ分析においては、産業革命以前と比較し、気温が4℃上昇する世界観(4℃シナリオ)及び1.5℃を軸として気温上昇を2℃未満に抑える世界観(1.5℃シナリオ)を設定し、2030年時点における気候変動に関連するリスク及び機会について定性的に考察・分析を行いました。今後は、自社事業への影響をさらに可視化すべく、定量的な分析の実施も検討してまいります。

 

4℃シナリオ

1.5℃シナリオ

世界観

・2100年までに世界の平均気温が産業革命以 

 前と比較して約4℃上昇する世界
・政府が実施する気候変動に対する政策・規

 制は現状維持
・慢性的な気象変化や異常気象がもたらす災

 害による物理的影響が拡大

・2100年までに世界の平均気温が産業革命以前

 と比較して約1.5℃の上昇に抑えられる世界
・政府は脱炭素社会への移行に向け、気候変動

 に対する政策・規制を積極的に実施

参考
シナリオ

IEA WEO 2023/2019 STEPS
 IPCC 第5次報告書 RCP8.5

IEA WEO 2023/2019 NZE/SDS
 IPCC 第5次報告書 RCP2.6

 

〇4℃シナリオ分析

4℃シナリオにおける分析では、異常気象の激甚化・頻発化に伴い拠点の被災リスクが高まる可能性があると特定しております。拠点が被災した場合には、営業停止や資産の被害による損失が発生することが見込まれるため、今後定量的な分析を検討してまいります。

 

〇1.5℃シナリオ分析

1.5℃シナリオにおける分析では、脱炭素社会への移行に伴い、炭素税の課税や再生可能エネルギーの需要増加による電力価格の上昇、再生可能エネルギーや省エネルギーに関する各種政策規制などが当社の操業に大きな影響を及ぼす可能性があると特定しております。これらのリスクが、将来当社に与える影響について、今後定量的な分析を検討してまいります。

一方で、脱炭素社会への取り組みが進んだ場合、省エネルギー・省資源商材の需要が増加する可能性があると見込んでおり、そのような需要に応えられる製品の提供などは、当社の機会になると特定しております。 今後、自社事業を通して、「ポジティブな環境インパクトを加速」すべく、環境負荷低減のための取り組みを推進してまいります。

リスク項目

顕在化

時期

財務影響度

(定性)

4℃

1.5℃

移行

炭素価格(炭素税)

事業活動で排出するScope1,2のCO2排出量に対して炭素税が課税され、ランニングコストが増加する。

中期

長期

炭素排出目標/政策

データセンターのゼロエミッション化・レジリエンス強化促進事業に伴い投資コストが利用料金に転嫁されコストが増加する。

短期

長期

再生可能エネルギーに関する政策

再生可能エネルギーに関する政策強化に伴い、テナントに再生可能エネルギーの設備導入があった場合に、投資コストがテナントの賃料に上乗せされコストが増加する。

中期

長期

エネルギーコストの変化

再生可能エネルギーの需要の増加や設備投資コストが価格に転嫁され、電力価格が上昇しランニングコストが増加する。

中期

長期

投資家の評判変化

環境情報開示が不十分な場合、気候変動に対するレジリエンス性への懸念等から投資が控えられ、資金調達が難しくなる。

中期

長期

物理

異常気象の激甚化

(台風、豪雨、土砂、高潮等)

激甚化する気象災害により、自社拠点の被災やサプライチェーンの寸断が生じ、営業停止や販売減少による損失が発生する。

中期

長期

災害が多くなり火災保険料が値上げされコストが増加する。

短期

長期

機会

炭素排出目標/政策

使用時のエネルギー消費の少ないアプリ、ソフトの需要が高まる。

中期

長期

森林保護に関する政策

CO2を固定する森林資源の保護の観点から、ペーパーレス化が進むことで、マンガ、イラスト等の制作現場でもソフトの需要がより高まる。また、デジタルコンテンツの需要も高まり、利用もより普及する。

短期

長期

再生可能エネルギー・省エネルギー技術の普及

より省エネルギーなデバイスが普及する際に、搭載するアプリのライセンスの売上も増加する。

中期

長期

顧客行動変化

市場において製品ライフサイクルでのGHG排出削減が求められ、ライフサイクルでのGHG排出の少ない無形商材の売り上げが増加する。

中期

長期

 

顕在化時期の定義:「短期」0~3年、「中期」4~10年、「長期」11年~30年

財務影響度の定義:「大」事業に大幅な影響がある

「中」事業の一部に影響がある

「小」ほとんど影響を受けない

「―」影響なし

 

④リスク管理

当社グループでは、サステナビリティ委員会において気候関連のリスクの特定・評価を行っております。特定したリスク・機会に関係する各部門は、リスク・機会に対応するための施策を実施・推進します。サステナビリティ委員会ではその進捗状況等のモニタリングを行い、気候関連のリスクの管理を行います。当該リスクに係る事項については、必要に応じてサステナビリティ委員会から取締役会に報告してまいります。

また、サステナビリティ委員会にて特定・評価された気候関連のリスクについては、リスク・コンプライアンス委員会と連携し、他リスクとの統合をしてまいります。


⑤指標と目標

当社グループでは、当社グループの事業活動によるGHG排出量の算定を行い、結果は下記の通りとなります。

 

2023年

GHG排出量
 [tCO2]

Scope1

 

3.3

Scope2

ロケーション基準

124.2

Scope2

マーケット基準

85.4

Scope1,2合計※1

88.7

 

※1:Scope1+Scope2 (マーケット基準)

 

今後は、持続可能な社会の実現に向けScope1,2の排出量削減目標やScope3の算定及び削減目標について検討を進めてまいります。

 

 

3 【事業等のリスク】

当連結会計年度において、当有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。

なお、記載内容のうち将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものです。

(1) 業績の変動について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:常時、影響度:中)

当社グループの業績は、新しいソフトウェア製品の発売時期に大きな売上計上となりますので、これらの影響により当社グループの業績も変動するという事業構造となっております。したがって、経営方針や製品の開発スケジュール等に影響を受けるため、当社グループの業績も四半期毎に変動する可能性があります。

(リスクへの対応策)

当社のSaaSサービスのビジネスモデルは、サブスクリプション型のリカーリングモデルであることから、新規顧客の獲得、既存顧客の維持及び単価向上により、当社の継続的な成長及び収益の平準化を図ってまいります。

(2) 技術革新について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期、影響度:中)

当社グループが主に事業展開しているソフトウェア業界は、技術革新の速度及びその変化が著しい業界であり、新技術、新サービスが次々と生み出されております。当社グループとしましては、当該技術革新に対応するよう研究開発を続けております。しかしながら、当社グループが新しい技術に対応できなかった場合、当社グループが想定していない新技術、新サービスが普及した場合又は競合他社が機能的、価格的に優位な製品で参入し、当社グループの市場シェアの維持が困難になった場合、当社グループの提供するソフトウェア、サービス等が陳腐化し、当社グループの業績と財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

(リスクへの対応策)

当社グループでは、採用しているビジネスモデルや技術について、最新の動向を分析するとともに、新たなビジネスモデルや、新規サービスの提供による事業展開を検討しております。また、採用の強化や人材の育成によるサービス価値の向上を図っており、より付加価値の高いサービスの提供を可能にするための体制の整備を図っております。

(3) 法的規制について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:常時、影響度:中)

現在、当社グループの主な事業を推進するうえで、直接的規制を受けるような法的規制はありませんが、当社グループは顧客の個人情報を保有・管理しており、「個人情報の保護に関する法律」に規定される個人情報取扱事業者に該当します。完全に外部からの不正アクセスを防止する保障はなく、また、人的ミス等社内管理上の問題により、個人情報が漏洩する可能性は常に存在するため、個人情報の管理コストが増加する等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。万一、個人情報が外部に漏洩するような事態になった場合には、社会的信用の失墜、損害賠償の請求等により、当社グループの業績と財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

(リスクへの対応策)

当社グループでは、社内教育等により法令遵守に努めているほか、コーポレート・ガバナンス及びコンプライアンス推進体制の強化を実施しております。また、外部の脆弱性診断を実施し、脆弱性が発見された場合には対策を講じる等、不正アクセスを防ぐ対策に務めております。なお、顧問弁護士等の外部専門家とコミュニケーションを取り必要に応じて相談を行い、適時に情報を入手する体制の整備を図っております。更に、リスク・コンプライアンス委員会及び内部監査等において、法令遵守状況のモニタリングを行っております。

(4) 知的財産権について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:常時、影響度:中)

当社グループは、第三者の知的財産権に関して、これを侵害することのないよう留意し、製品開発、販売を行っております。また、コンテンツ等の受託制作においては、第三者の知的財産権に関する許諾を取得していること等を取引先委託企業に確認するよう努めております。しかしながら、当社グループの事業分野における知的財産権の現況を全て把握することは非常に困難であり、当社グループが把握できていないところで第三者の知的財産権を侵害している可能性は否定できません。万一、当社グループが第三者の知的財産権を侵害した場合には、当該第三者より損害賠償請求又は使用差止請求等の訴えを起こされる可能性があります。こうした場合、当社グループの業績と財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループは研究開発型の企業グループであり、新製品の開発、販売を行っております。当社グループでは、特許権、商標権等の出願を行い、知的財産権の保全を図っておりますが、これらの出願が認められない可能性や取得済の特許権等が第三者により侵害される可能性があります。このような場合には、解決するまでに多くの費用や時間を費やすことが予想され、当社グループの業績と財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

(リスクへの対応策)

当社グループが有する知的財産権の侵害について顧問弁護士及び弁理士といった外部専門家に定期的な相談を行うことにより、知的財産権に関する管理を行う体制の整備を行っております。また、新規サービス開始時には、外部専門家に調査を依頼する等、他社の知的財産権を侵害しないための体制の整備を行っております。

(5) 人材の確保及び育成について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期、影響度:中)

当社グループの事業は、その大半がヒューマンリソースに依存しており、事業拡大にあたっては、急速な技術革新への対応、継続的な研究開発等が不可欠であり、これらに対応する優秀な人材を適切な時期に採用し、育成することが必要不可欠であると考えております。そのため、当社グループでは人材確保に注力しておりますが、必要とする能力のある人材を計画どおりに採用又は育成できなかった場合には、当社グループの業績と財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

(リスクへの対応策)

当社グループは、優秀な人材を獲得すべく、新卒採用向けのインターンシップの機会を設けるほか、キャリア採用にも力を入れております。加えて、適切な育成計画に基づく人材の育成、育児休暇やリモートワークの推奨、有給休暇の取得推奨等働きやすい環境づくりに力を入れて取り組んでおります。

(6) 出資等による業務提携について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期、影響度:中)

当社グループでは、当連結会計年度末において、投資有価証券32,050千円を保有しております。当社グループは事業シナジーが見込める国内外のソフトウェア関連企業に対して出資をしております。

また、研究開発型である当社グループは技術獲得のためにもM&A及び提携戦略は重要であり、必要に応じてこれらを検討していく方針であります。これらの出資先は今後の当社グループの事業推進に貢献するものと考えておりますが、出資先の経営環境や経済環境の急変等、何らかの事象により出資・投資の採算が期待どおりにならない可能性を完全に否定できません。このような場合、出資先の株式の減損処理等により当社グループの業績と財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

(リスクへの対応策)

当社グループは、出資を行う際には、事業内容、法務及び財務等に関して十分に調査し、既存事業とのシナジー等について十分な検討を行っております。その上で、取締役会における承認等の社内手続を経て意思決定を行うこととする等、リスクを十分に検討するための体制の整備を行っております。

(7) システムトラブルによるリスクについて(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:常時、影響度:大)

当社グループの事業は、コンピューターシステムを結ぶネットワークに依存しており、インターネットを利用したサービスを提供するにあたっては、バックアップ体制の構築等の様々なトラブル対策を施しております。しかしながら、自然災害や不慮の事故等によって、これらのネットワークが正常に機能しなくなった場合には、サービス提供等の当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。

(リスクへの対応策)

当社グループでは、十分な検証やテストを実施した上でサービス提供を行っております。また、定期的なアップデートやモニタリングの実施により、安定的なサービスの提供を行うことが可能であり、不具合が発生した場合でも迅速な対応をとることができる体制の整備を行っております。

(8) 新規ソフトウェア開発投資について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期、影響度:中)

当社グループが事業を展開するソフトウェア及びインターネットサービスの業界においては技術革新の速度が非常に速いことから、常に魅力ある製品・サービスを提供して競争力を維持する継続的な研究開発及び製品開発を行っております。しかしながら、業界動向の変化等により投資を回収できるだけの収益が得られなかった場合、当社グループの業績と財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

(リスクへの対応策)

当社グループは、最先端の開発環境と、優秀な開発人材の活用により、常に新技術を活用した開発に注力しております。

(9) 海外展開について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:常時、影響度:中)

当社グループは、グローバルな事業展開を行っておりますが、所在地の法令、制度、政治、経済、商慣習の違い、為替等の様々な潜在的リスクが存在しております。当社グループは、当該リスクを最小限にするために十分な対策を講じてまいりますが、それらのリスクに対処できないこと等により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

(リスクへの対応策)

当社グループでは、各国・地域の法律や規制に係る動向には常に十分な注意を払い、情報の収集に努めております。また、現地の弁護士等と情報共有することにより、適時に必要な情報を収集するための体制の整備を行っております。

(10) 為替相場変動による影響について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:常時、影響度:小)

当社グループの売上高に対する海外売上高の比率は年々上昇しており、急激な為替変動が生じた場合等において、当社グループの業績と財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

(リスクへの対応策)

当社では、CLIP STUDIO PAINTの多言語化を進めております。併せて各国・地域の様々な通貨での決済が可能な仕組みを構築しており、為替変動リスクを軽減しております。

(11) CLIP STUDIO PAINTへの依存(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:中期、影響度:中)

当社グループの売上高は、主力事業であるコンテンツ制作ソリューション事業における「CLIP STUDIO PAINT」の販売への依存が大きくなっております。国内外においてユーザー数の増加やサービスの拡充等により、今後もコンテンツ制作ソリューション事業は拡大していくものと考えておりますが、「CLIP STUDIO PAINT」の利用者の減少や市場規模の縮小等の要因によりコンテンツ制作ソリューション事業の売上高が減少した場合には、当社グループの業績と財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

(リスクへの対応策)

当社グループは、主力製品の売上安定化を図るとともに継続的に新たなシステム開発により新製品・新サービスを生み出し、特定の製品による依存リスクの分散することに注力しております。

(12) CLIP STUDIO PAINT の成長余地(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:中期、影響度:大)

当社は、コンテンツ制作ソリューション事業において、「CLIP STUDIO PAINT」を提供しております。当事業が関連する市場は大きく広がっていることが想定され、また、「CLIP STUDIO PAINT」の多言語化対応等により今後の成長余地も大きいものと考えております。

また、「CLIP STUDIO PAINT」のユーザー獲得に向けた取り組みを継続的に実施・強化しております。その一方で、今後の政治情勢や政府・当局の政策・規制の動向、あるいは競合会社との競争状況によっては、当社の売上に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(リスクへの対応策)

当社グループ、ユーザーの潜在的なニーズを汲み取った新たなサービスの開発ならびに既存サービスの改善を行うほか、当社のノウハウを生かした新たなサービスの創出により、競合他社との更なる差別化を図り、優位性の保持することに注力しております。

(13) インターネット等による風評被害について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:常時、影響度:中)

SNSの普及に伴い、インターネット上の書き込みや、それを発端とするマスコミの報道による風評被害が発生・拡散された場合において、当社グループ業態の価値が棄損され、当社グループの業績と財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

(リスクへの対応策)

当社グループは、引き続き高品質の製品提供に努め、顧客等と良好な関係を構築してまいりますが、当該リスクが顕在化した場合には、速やかに削除要請等を行うとともに、顧問弁護士等と連携して警察への通報等も含めたしかるべき措置をとり、被害の回復へ向けた対応を行うこととしております。

(14) ユーザーの嗜好変化について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:中期、影響度:中)

当社グループはイラスト・マンガ・アニメーションの制作ソフトと趣味性の高い商品を取り扱っているため、消費者の嗜好の変化に対応できず、適切な製品政策が実施できない場合には、当社グループの業績と財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

(リスクへの対応策)

当社グループは、マーケティング、技術開発、教育への投資及び製品の機能強化といった総合的な施策を継続して行っております。

(15) 事業領域の拡大について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期、影響度:中)

当社は、新しい事業やサービスを創出し、新たな事業領域にスピード感をもって参入することにより事業成長を続けております。一方でこのような事業展開を実現するためには、その事業固有のリスク要因が加わることとなり、当社のリスク要因となる可能性があります。そして、新規事業の参入のため、新たな人材の採用、システムの購入や開発、営業体制の強化等追加的な投資が必要とされ、新規事業が安定的な収益を生み出すには長期的な時間が必要とされることがあります。

また、新規事業の拡大スピードや成長規模によっては、当初想定していた成果を挙げることができないことがあり、事業の停止、撤退等を余儀なくされ、当該事業用資産の処分や償却により損失が生じる可能性があり、このような場合には、当社グループの業績と財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

(リスクへの対応策)

当社グループは、検討に際しては、当社グループの事業計画に照らし合わせ、市場、新規技術の動向や顧客ニーズ等のリスク分析を行ったうえで判断しております。また事業の状況等について定期的な検証を行い、戦略の見直しを実施しております。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(経営成績等の状況の概要)

(1)財政状態及び経営成績の状況

当社は、グループのセグメントを構成するUI/UX事業について、加賀FEI株式会社と2023年8月1日を効力発生日として、2023年7月31日付で株式譲渡契約を締結しております。今回の事業譲渡により、当社グループは、コンテンツ領域に注力し、業容の拡大を目指せる環境が整いました。

また、当連結会計年度から、従来のクリエイターサポート事業を、イラスト・マンガ・Webtoon・アニメーション制作アプリ「CLIP STUDIO PAINT」の開発・提供を中心とした「コンテンツ制作ソリューション事業」とDC3ソリューション及び電子書籍配信ソリューションの開発・提供を中心とした「コンテンツ流通ソリューション事業」の2つのセグメントに区分しております。

当社グループは、デジタルによるコンテンツの創作から利用・活用に至るまでの諸活動をトータルに支援できる環境の提供を経営理念に掲げ、事業を推進しております。

当連結会計年度におきましても、ソフトウェアIPを核とした経営に重点を置き、戦略的な開発投資を継続して行い、企業価値の向上に注力しております。その結果、当社グループの当連結会計年度の売上高は8,091,099千円(前期比7.3%増)、営業利益は1,352,788千円(同7.7%減)となりました。

また、経常利益につきましては、営業外収益として為替差益111,677千円を計上したこと、営業外費用として自己株式取得に係る支払手数料52,559千円及び子会社の増資に伴う新株発行費6,259千円を計上したこと等により1,404,526千円(同12.5%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、前述のUI/UX事業譲渡に係る特別損失を主として特別損失914,589千円及び法人税等調整額△170,789千円(△は益)を計上したこと等により626,428千円(同40.2%減)となりました。

当社は、資本効率の一層の向上と経営環境に応じた機動的な資本政策の遂行及び株主還元の更なる充実を目的として、2022年8月からの2年間で総額30億円を目途に自己株式の取得を予定し、前連結会計年度に約10億円分の自己株式を取得いたしました。引き続き、第3四半期連結累計期間において1,499,960千円、1,884,600株(発行済株式総数(自己株式を除く)に対する割合 5.40%)の取得を実施し、さらに2023年11月2日に開示しました「自己株式取得に係る事項の決定に関するお知らせ」のとおり、追加で第4四半期連結会計期間に499,975千円、619,600株(発行済株式総数(自己株式を除く)に対する割合 1.87%)の自己株式を取得いたしました。併せて、同日開示しました「配当予想の修正に関するお知らせ」のとおり、2023年12月期の配当金予想を従来の1株当たり9円から、1株当たり3円増配し、12円とすることといたしております。なお、2024年12月期も株主還元を強化してまいります。2024年3月1日から1年間で20億円分の自己株式の取得を予定しており、2024年12月期の配当金につきましては、中間配当10円、期末配当10円の合計20円(8円増配)を予想しております。

2022年8月19日に開示いたしました「東京証券取引所プライム市場への市場区分変更申請に向けた準備に関するお知らせ」のとおり、現在、東京証券取引所プライム市場への市場区分変更申請に向けた準備を進めており、東京証券取引所が定めるプライム市場への上場審査における主な形式要件には2023年12月31日現在で適合しております。

引き続きコーポレート・ガバナンス強化を目的に2023年12月25日に開示いたしました「(開示事項の経過)資本業務提携契約の締結及び第三者割当による新株式発行に関するお知らせ」のとおり、2021年12月にWEBTOON Entertainmentと締結した資本業務提携契約に基づき、LINE Digital Frontier株式会社より社外取締役1名を選任いたしました。

また、2024年1月19日に開示いたしました「指名・報酬委員会の設置に関するお知らせ」及び「サステナビリティ委員会の設置に関するお知らせ」のとおり、指名・報酬委員会及びサステナビリティ委員会を設置いたしました。

なお、2024年2月9日に開示いたしました「資本金及び資本準備金の額の減少に関するお知らせ」につきましては、3月28日開催の第12回定時株主総会で決議され、今後の機動的かつ柔軟な資本政策に備えるため資本金及び資本準備金の額を減少する予定です。

セグメント別の経営成績は、次のとおりです。

<コンテンツ制作ソリューション事業>

当連結会計年度では、これまで継続してきましたイラスト・マンガ・Webtoon・アニメーション制作アプリ「CLIP STUDIO PAINT」の機能向上を目的とした開発投資の成果として、2023年3月14日に「CLIP STUDIO PAINT」のバージョン2.0をリリースし提供を開始いたしました。「CLIP STUDIO PAINT」は、これまで、一括でまとまった金額のライセンス料を徴収するWindows / macOS版の買い切り(無期限)モデルのみにおいて、提供開始より10年間にわたり、無償の機能アップデートの実施を継続してまいりました。バージョン2.0は、「CLIP STUDIO PAINT」の初めてのメジャーバージョンアップであり、最新の機能を利用するためには、買い切りモデルのユーザーもサブスクリプション契約をしていただく、または、新バージョンを優待購入いただく形態に変更いたしました。これにより、サブスクリプション契約の増加や、これまで獲得できなかった既存の買い切りモデルユーザーからの新バージョン購入による収益改善が見込まれ、より安定的、かつ継続的なサービス提供の実現が可能となりました。

また、バージョン2.0が2023年3月14日のリリース以来ご好評をいただいていることに加え、新規ユーザーの獲得を目的とした全世界に向けた販売促進キャンペーンを実施したこと等により第4四半期連結会計期間における「CLIP STUDIO PAINT」の出荷本数は過去最高の増加数となりました。今回のメジャーバージョンアップでは、マーケットにおける認知度の向上効果により、売上高及び利用者数の底上げが実現できたことから、今後も、定期的なメジャーバージョンアップを実施する予定で、2024年12月期も3月にメジャーバージョンアップを実施する予定です。

また、従来の日本語版・英語版・中国語(繁体字)版・韓国語版・フランス語版・スペイン語版・ドイツ語版の7言語に加え、新たに2022年12月より追加した中国語(簡体字)版、2023年3月14日リリースのバージョン2.0ではポルトガル語版・タイ語版・インドネシア語版の合計4言語を追加し、全11言語での提供を開始したことにより、海外ユーザーの増加が期待できます。特に中国本土については、各種プロモーションの効果もあり、サブスクリプション契約数が順調に増加傾向で推移しておりAppStoreにおける国別売上高構成比では上位10位以内となる等今後大きな成長が見込まれます。

この他、海外利用ユーザー及びサブスクリプション契約の増加を目的とした、全世界に向けたプロモーション活動を継続的に実施しております。

「CLIP STUDIO PAINT」は、2023年11月に累計出荷本数が3,500万本を超え、2023年12月には3,649万本(前年同月比42.4%増)となりました。また、日本語以外の海外に向けた出荷が約80%と増加傾向で推移しております。なお、「CLIP STUDIO PAINT」サブスクリプションモデルによるSaaSサービス提供のARRは、毎月開示しております「月次事業進捗レポート」をご参照ください。

また、「CLIP STUDIO PAINT」の2023年12月におけるチャーンレートは9.5%となっております。2023年5月にセキュリティ強化を目的とした、Windows及びmacOS環境のサブスクリプション契約の決済に用いていた決済システムの変更を行い、チャーンレートが一時的に上昇しましたが、新規契約数は引き続き順調に推移し、2023年7月以降は10%程度で推移しております。また、2023年12月のサブスクリプション契約数は上記決済システムの変更により一時的に減少したものの、再び増加に転じ94.5万契約(同30.9%増)となり、イラスト、マンガ、Webtoon、アニメーション分野のクリエイターをサポートする創作活動応援サイト「CLIP STUDIO」のクリエイターの会員数は全世界で824万人(同20.6%増)となりました。チャーンレートの推移につきましては、毎月開示しております「月次事業進捗レポート」をご参照ください。

当社が注力しているサブスクリプションモデルでのライセンス提供は、廉価で利用開始の敷居を下げる反面、一括でまとまった金額のライセンス料を徴収する買い切りモデルに比べ、短期的には収益効果が低くなります。しかしながら、継続してご利用頂くことで中・長期においては安定した収益が期待できるため、引き続きサブスクリプションモデル契約の増加を目指してまいります。

2023年11月には収益性の向上と継続的なサービス提供を実現することを目的に、「CLIP STUDIO PAINT」のSaaS提供であるサブスクリプション契約価格を改定いたしました。今後も、サービスの価値向上に応じた価格改定を行ってまいります。

当社は、10年以上前からAI技術の可能性に着目し、研究開発に取り組んで参りました。2023年9月には、AI領域への開発投資を強化しさらに深化させることを目的に、AI技術の実用化領域で業界をリードするax株式会社への資本参加及び戦略的パートナーシップを締結し、開発能力を拡充いたしました。

以上の結果、売上高は6,007,631千円(前期比11.4%増)、営業利益は2,177,177千円(同9.3%増)となりました。

<コンテンツ流通ソリューション事業>

コンテンツ流通ソリューション事業は、株式会社andDC3(以下「&DC3」という。)を中心に取り組んでおります。

2022年12月に発表した「DC3」ソリューションにおいては、2023年12月にコンテンツ流通基盤ソリューション「DC3」、DC3コンテンツ管理サービス「DC3マイルーム」、SaaS版DC3モジュール及びShopify連携アプリ「DC3fy」等の正式版をリリースいたしました。

さらに、基盤となるプログラム「DC3モジュール」の品質強化、「DC3マイルーム」における3D表現の向上、サービス事業者がDC3上で円滑にビジネスを行うための機能群の強化等、ソリューション品質向上に向けた開発投資を継続して行っております。

併せて、各事業者の「DC3」ソリューション理解に向けた提案営業活動を推進し、DC3ソリューションを利用する予定の複数の事業者との利用契約が進んでおります。電子書籍や動画等デジタルコンテンツの取次販売を強みに持つ兼松グランクス株式会社は、DC3コンテンツを取り扱うマーケットプレイス「mitekore(ミテコレ)」を2023年12月にリリースいたしました。また、虎の穴グループのクリエイターとファンを結ぶ新しい月額制ファンクラブプラットフォーム「クリエイティア」においても、DC3コンテンツの販売機能が2024年1月18日にリリースされております。今後も、DC3ソリューションを利用したサービスが複数オープンする見込みとなっています。引き続き、デジタルコンテンツビジネスの新たな可能性の開拓を推進してまいります。

なお、当連結会計年度において、「DC3」ソリューションは、利用促進を目的に無償での提供を行いました。

電子書籍ソリューションにおいては、電子書籍ビューア「CLIP STUDIO READER」を始めとする、電子書籍オーサリングソフトウェア等、様々なデバイス・プラットフォームに対応した電子書籍の制作・流通・再生にまつわるソリューションの提供を行っております。

当第4四半期連結会計期間において、株式会社モバイルブック・ジェーピーの電子献本システム及びドリコムのWebtoonレーベル「DRE STUDIOS」の公式サイトで電子書籍ビューア「CLIP STUDIO READER」が採用されました。

以上の結果、売上高は1,012,375千円(前期比5.3%増)、営業損失は744,687千円(前期は26,334千円の営業損失)となりました。

<UI/UX事業>

UI/UX事業は、前述のとおり、2023年8月1日付で加賀FEI株式会社への譲渡が完了しました。

当社の連結子会社でありましたCandera GmbHの全株式を加賀FEI株式会社へ譲渡したことにより、同社を連結の範囲から除外しております。

売上高は1,071,092千円(前期比9.8%減)、営業損失は79,701千円(前期は545,628千円の営業損失)となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,183,058千円減少し、5,561,782千円となりました。なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、2,344,617千円(前連結会計年度は1,548,469千円の獲得)となりました。これは主として、売上債権の増加112,502千円等の資金の減少要因があったものの、税金等調整前当期純利益489,937千円の計上や減価償却費の計上781,761千円、関係会社株式譲渡損502,646千円、ソフトウエア評価損386,742千円等の資金の増加要因があったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 投資活動の結果使用した資金は、1,474,161千円(前連結会計年度は1,032,758千円の使用)となりました。これは主として、ソフトウエア等の無形固定資産の取得による支出773,937千円、有形固定資産の取得による支出63,421千円、連結範囲の変更を伴う子会社株式の売却による支出603,210千円等があったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の使用した資金は、2,122,989千円(前連結会計年度は490,542千円の獲得)となりました。これは主として、非支配株主からの払込による収入143,670千円があったものの、配当金の支払額266,603千円や自己株式の取得による支出2,000,055千円があったことによるものであります。この結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、5,561,782千円となりました。

 

  (3) 生産、受注及び販売の状況

① 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

コンテンツ制作ソリューション事業

2,577,527

122.9

コンテンツ流通ソリューション事業

1,452,431

162.2

UI/UX事業

716,667

70.6

合計

4,746,625

118.4

 

(注)1.金額は、当期製造費用によっております。

  2.当連結会計年度から、従来のクリエイターサポート事業をコンテンツ制作ソリューション事業とコンテンツ流通ソリューション事業の2つのセグメントに区分しており、前年同期比はクリエイターサポート事業として、比較しております。

  3.UI/UX事業は、2023年8月1日付で加賀FEI株式会社への譲渡しております。

 

② 仕入実績

当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

仕入高(千円)

前年同期比(%)

コンテンツ制作ソリューション事業

83,568

63.9

コンテンツ流通ソリューション事業

256

97.6

UI/UX事業

合計

83,824

64.0

 

(注)1.金額は、仕入価格によっております。

    2.当連結会計年度から、従来のクリエイターサポート事業をコンテンツ制作ソリューション事業とコンテンツ流通ソリューション事業の2つのセグメントに区分しており、前年同期比はクリエイターサポート事業として、比較しております。

 

③ 受注実績

当連結会計年度における生産業務は、ライセンス販売を目的とした見込生産であり、個別受注生産の占める割合が低いため、受注金額の記載を省略しております。

 

④ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

コンテンツ制作ソリューション事業

6,007,631

111.4

コンテンツ流通ソリューション事業

1,012,375

105.3

UI/UX事業

1,071,092

90.2

合計

8,091,099

107.3

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.当連結会計年度から、従来のクリエイターサポート事業をコンテンツ制作ソリューション事業とコンテンツ流通ソリューション事業の2つのセグメントに区分しており、前年同期比はクリエイターサポート事業として、比較しております

3.UI/UX事業は、2023年8月1日付で加賀FEI株式会社への譲渡しております。

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、有価証券・固定資産の減損、棚卸資産の評価、貸倒引当金の設定、ビューア利用料売上の見積り計上等の重要な会計方針及び見積りに関する判断を行っています。当社の経営陣は、過去の実績や状況等に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行い、それらに対して継続して評価を行っております。また実際の結果は、見積りによる不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。また、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものにつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

(2) 財政状態の分析

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比べて1,605,438千円減少し8,551,524千円となりました。この主な要因は、ソフトウエア仮勘定が68,288千円、繰延税金資産が167,636千円増加したものの、自社株買いの実施等により現金及び預金が1,179,458千円、未収入金が185,576千円、UI/UX事業の譲渡によりソフトウエアが308,032千円、技術資産が127,889千円減少したこと等によるものであります。

当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末と比べて40,760千円減少し1,891,407千円となりました。この主な要因は、前受金が122,851千円、役員退職慰労引当金が42,475千円増加したものの、未払金が46,999千円、未払費用が110,676千円、未払法人税等が32,033千円減少したこと等によるものであります。

当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べて1,564,677千円減少し6,660,116千円となりました。主な要因は、自社株買いにより自己株式が2,000,055千円増加したこと等によるものであります。なお、自己資本比率は、76.1%となりました。

 

 

(3) 経営成績の分析

当連結会計年度における当社グループの売上計画、営業利益の達成状況は以下のとおりです。

指標

 

計画数値

実績

計画比

連結売上高

期初

8,476,000千円

8,091,099千円

△384,900千円

修正後

8,196,000千円

△104,900千円

連結営業利益

期初

1,573,000千円

1,352,788千円

△220,211千円

修正後

1,330,000千円

22,788千円

 

当連結会計年度における連結売上高は、期初では8,476,000千円、連結営業利益では1,573,000千円の計画を見込んでおりました。2023年5月11日開催の取締役会において、同年8月1日を効力発生日とするUI/UX事業の譲渡について決議したことにより、同日に連結売上高を8,196,000千円、連結営業利益を1,330,000千円へ修正いたしました。修正後計画に対し連結売上高では104,900千円下回り、連結営業利益は22,788千円上回りました。

 その他、営業利益の状況、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要 (1)財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。

 

(4) 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループが主に事業展開しているソフトウェア業界は、技術革新の速度及びその変化度が著しい業界であり、新技術、新サービスが次々と生み出されております。当社としては、担当部門において当該技術革新に対応するよう研究開発に努めております。

しかしながら、当社グループが想定していない新技術、新サービス等が普及した場合には、当社グループの提供するソフトウェア、サービス等が陳腐化し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、継続的に研究開発に注力し、競争力を維持するために魅力ある製品、サービス等を提供していく所存であります。

 

(5) キャッシュ・フローの分析

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析は、「経営成績等の状況の概要 (2) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 

(6) 資本の財源及び資金の流動性

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、ソフトウェア開発に係る人件費のほか、外注費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に設備投資及びM&A等によるものであります。

当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資及びM&A等の資金調達につきましては自己資金及び金融機関からの長期借入を基本とし、場合によっては新株予約権の発行等を行う等、資金調達の多様性を図っております。

なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高はありません。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は5,561,782千円となっております。

 

(7) 経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的指標等

当社グループは、連結営業利益を経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等とし、目標数値を設定しております。

 2024年5月11日に発表した連結会計年度の業績予想、売上高8,196,000千円、営業利益1,330,000千円、経常利益1,306,000千円、親会社株主に帰属する当期純利益202,000千円の達成状況は、下記のとおりです。

  ①   売上高

グループ合計の売上高につきましては、8,091,099千円となりました。セグメント別では、下記のとおりとなっております。

コンテンツ制作ソリューション事業では、3月にリリースしたメジャーバージョンアップにより、従来の日本語版・英語版・中国語(繁体字)版・韓国語版・フランス語版・スペイン語版・ドイツ語版の7言語に加え、新たに2022年12月より追加した中国語(簡体字)版、本件バージョン2.0ではポルトガル語版・タイ語版・インドネシア語版の合計4言語を追加し全11言語での提供を開始したこと、特に中国本土については、各種プロモーションの効果もあり、サブスクリプション契約数が順調に増加傾向で推移しておりAppStoreにおける国別売上高構成比では上位10位以内となる等今後大きな成長が見込まれること、この他、海外利用ユーザー及びサブスクリプション契約の増加を目的とした、全世界に向けたプロモーション活動を継続的に実施し、好評をいただきました。しかしながら、第2四半期においてセキュリティ強化を目的とした、Windows及びmacOS環境のサブスクリプション契約の決済に用いていた決済システムの変更を行い一時的に契約数が減少しました。本件事象は一過性のものであるため、期末に向け再び増加に転じましたが、本件の影響により約318,000千円程度目標未達となりました。

コンテンツ流通ソリューション事業では、2022年12月に発表した「DC3」ソリューションを中心に取組んでおり、2023年12月にコンテンツ流通基盤ソリューション「DC3」、DC3コンテンツ管理サービス「DC3マイルーム」、SaaS版DC3モジュール及びShopify連携アプリ「DC3fy」等の正式版をリリースいたしました。さらに、基盤となるプログラム「DC3モジュール」の品質強化、「DC3マイルーム」における3D表現の向上、サービス事業者がDC3上で円滑にビジネスを行うための機能群の強化等、ソリューション品質向上に向けた開発投資を継続して行っております。電子書籍ソリューションにおいては、電子書籍ビューア「CLIP STUDIO READER」を始めとする、電子書籍オーサリングソフトウェア等、様々なデバイス・プラットフォームに対応した電子書籍の制作・流通・再生にまつわるソリューションの提供を行っております。以上の結果により約27,000千円程度目標未達となりました。

UI/UX事業では、8月1日付で加賀FEI株式会社へ同事業を譲渡し終了しております。事業譲渡までの売上高は、1,071,092千円と、約241,000千円程度上振れました。

   営業利益

上記の「売上高」に記載のとおり、コンテンツ制作ソリューションの第2四半期における売上減少により、原価及び販管費の費用面においてマネージメントに注力しました。外注費等の抑制、広告宣伝費及び販売促進費の抑制に努めた結果、1,352,788千円となりました。

   経常利益

営業外収益として為替差益111,677千円計上したこと、営業外費用として自己株式取得に係る支払手数料52,559千円及び子会社の増資に伴う新株発行費6,259千円を計上したこと等により1,404,526千円となりました。

   親会社株主帰属する当期純利益

 UI/UX事業譲渡に係る特別損失を主として特別損失914,589千円及び法人税等調整額△170,789千円(△は益)を計上したこと等により、626,428千円となりました。

 今後も当指標を目標として経営を行うことにより、当社グループの企業価値の向上を図ってまいります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

   (UI/UX事業の事業譲渡)

当社は、加賀FEI株式会社と2023年8月1日を効力発生日として、2023年7月31日付で株式譲渡契約を締結しております。

なお、詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(企業結合等関係)事業分離(UI/UX事業の譲渡)」に記載のとおりであります。

 

(資本業務提携)

当社は、2024年2月20日開催の取締役会において、株式会社アクセルとの間で資本業務提携(以下「本資本業務提携」という。)を行うことを決議し、本資本業務提携についての契約を締結いたしました。

なお、詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な後発事象)(資本業務提携)」に記載のとおりであります。

 

 

6 【研究開発活動】

 当社グループは、デジタルによるコンテンツの創作から利用・活用に至るまでの諸活動を、トータルに支援する環境の提供を経営理念に掲げ、事業を推進しており、既存サービスの付加価値向上、新サービスの開発活動を行っておりますが、当連結会計年度において研究開発費の計上はありません。