第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、

本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社は、「デジタルを簡単に、社会を便利に」というミッションを掲げ、アプリ開発技術がなくてもノーコード(プログラミング不要)でネイティブアプリを開発、運用できるクラウド型のアプリ運営プラットフォーム「Yappli」、およびノーコードで顧客管理ができるシステム「Yappli CRM」を提供しております。ノーコードプラットフォームの歴史は長く、2000年代にはWebサイトをノーコードで開発するプラットフォームが出現、その後台頭し、昨今ではECサイトをノーコードで開発できるプラットフォームが躍進しております。当社は、世界的にも珍しいスマートフォンアプリを開発するプラットフォームを提供しており、その分野においてリーディングカンパニーであると考えております。当社は、このYappliとYappli CRMを通じて、全ての企業に対して誰でも簡単に使えるテクノロジーを開放してまいりたいと考えております。

 

(2)経営戦略等

 当社は以下の事項を中長期的な経営戦略の方針としております。

 

① コア製品Yappliのシェア拡大

 当社のコア製品であるYappliについては、開発支援サービスの拡大を通して、売上高の成長を目指します。当社が提供するYappli for Marketingは、顧客企業の販売促進や消費者のロイヤリティ向上、ECにおける効果的なモバイルインターフェイスの提供や実店舗とオンラインショップのハブとなることで、売上高を成長させるという明確なメリットを顧客企業に提供しております。また、Yappli for Businessは取引先などビジネスユーザー向けの情報配信ポータルとなっており、自社の商品・商材の紙カタログなどをアプリ上で配信するなどの目的で、DX(デジタル・トランスフォーメーション)(*1)を推進する様々な企業に業界横断的に導入が進んでおります。今後、さらなる機能開発を通じて、既に顧客ニーズが顕在化しているYappli for MarketingとYappli for Businessのシェア拡大を目指します。同時にサービスの機能を横展開や応用しながら、アプリの新しい用途を模索することで、新サービスの提供と未開拓の市場におけるターゲット業界の拡大を志向しております。

 

② 成長製品 Yappli CRMの強化

 当社は2021年10月にノーコードの顧客管理システムYappli CRMをローンチし、ユーザーとのタッチポイントであるアプリに加え、バックエンドのデータ領域へと当社のドメインを拡大いたしました。Yappli CRMは開発不要でアプリと連携することができ、ポイントカードや電子マネーの発行・管理などCRMならではの機能を実装することが可能です。提供価格は初期費用100万円、月額10万円からとなっております。2022年度以降はこのYappli CRMのプロダクト及びビジネスにおいて基礎の構築を行い、本格的に事業展開を進めてまいりました。2024年度については、Yappli及びYappli CRMの両方を兼ねたYappli UNITEのサービスの成長を通じてYappli CRMの更なる拡大を目指します。

 

③ 新規事業の模索

 新製品や新サービスを開拓することで、顧客の課題解決の幅をさらに広げることを目指します。M&Aについては、既存プロダクト拡張もしくは顧客基盤の拡充に繋がる案件を中心に検討をします。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社が顧客を獲得して売上を計上するまでのプロセスは以下に記載のとおりとなります。当社では、アプリ運営プラットフォーム事業において、売上高の継続的かつ累積的な増加を実現するため、各プロセスに関連する重要な経営指標は、契約アプリ数、アプリ当たりの平均月額利用料、月次解約率(直近12カ月平均)であると考えております。

(顧客獲得~売上計上のプロセス)

 リード獲得(*2)・・当社マーケティング部門のマーケティング施策による潜在顧客リードの獲得

 商談獲得・・・・・・・当社インサイドセールス(*3)による潜在顧客への啓蒙活動や架電による商談の獲得

 契約受注獲得・・・・・当社フィールドセールス(*4)の商談の実施による契約受注の獲得

 アプリ制作、申請・・・当社ディレクター(*5)、デザイナーによるアプリの制作、アプリストア申請

 アップセル、解約防止・当社カスタマーサクセス(*6)による、顧客のアプリ運用の成功支援

 

 

(4)経営環境※

※以下に記載の統計データは、過去のデータ及び一時点における予測値であり、将来の結果を示唆または保証するものではありません。統計データに関する予測は、高い不確実性を伴うものであり、大きく変動する可能性があります。また、出典元の予測機関は、予測値の達成を保証するものではありません。

 

 近年の情報通信技術の進化によって、インターネットの利用は社会全体に浸透し、DX(デジタル・トランスフォーメーション)が進みつつあります。企業においてもDXを後押しする傾向にあり、㈱富士キメラ総研公表の「2023 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望」(2023年3月)によれば、この市場規模は2030年度には6.5兆円に到達すると予測されております。

 

 一方、日本は他国と比較すると人口に対するIT技術者の割合が1.98%(世界37位)と低く(ヒューマンリソシア株式会社「2022版:データで見る世界のITエンジニアレポートvol.5」(2022年12月)より)、このようなデジタル化を下支えするIT人材の供給は年々不足が拡大していく(経済産業省「平成30年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(IT人材等育成支援のための調査分析事業)- IT人材需給に関する調査 –」(みずほ情報総研委託)(2019年3月)より)と予測されております。さらに日本では、欧米と比較すると、IT企業に就職するIT人材の割合が高く(経済産業省「ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開」(2018年9月)より)、非IT企業は益々エンジニアリソースの不足を強いられる傾向にあると推察されます。

 

 上記の背景の中、エンジニアを必要とせずクラウド上からソフトウェアを利用することができるSaaSの国内市場は2027年度では2022年度比74.0%増の2兆990億円(株式会社富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場2023年版」(2023年8月)より)に拡大することが見込まれております。また、総務省公表の「我が国のICT現状に関する調査研究(2018年3月)」によると、2017年の日本のSaaS導入率は41%に対して米国の導入率は79%であり、国内のSaaS市場は米国と比較するとまだまだ拡大する余地があることが推察されます。

 

 当社の事業ドメインである、スマートフォンアプリの市場環境に関しては以下のとおりとなります。

 総務省公表の「令和3年版 情報通信白書」(2021年7月)によれば、携帯通信端末は従来型のフィーチャーフォンからスマートフォンに変化しており、スマートフォンの普及は2007年に米国でiPhoneが初めて発売されてから、わずか10年足らずで、加速的に普及してまいりました。2020年の世界のスマートフォン市場規模は3,389億ドル、出荷台数は12.9億台に対し、2023年には市場規模4,038億ドル、出荷台数は15.3億台にまで拡大すると推計されております。

 

 我が国におけるスマートフォン個人保有率についても、2011年は14.6%であったものの、2022年では77.3%まで上昇しており、特に20~50代では90%を超える高い利用率であります(総務省「令和4年通信利用動向調査の結果」(2023年5月)より)。スマートフォンが普及したことによって、日常の様々な場面でアプリが使われるようになり、アプリのダウンロード数は2017年に1,781億ダウンロード(data.ai「アプリ市場予測2017-2022年版」(2018年5月)より)であったものの、2023年には2,570億ダウンロードへと増加いたしました(data.ai「モバイル市場年鑑2024」(2024年1月)より)。

 

 また、経済産業省公表の「令和4年度 産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」(2023年8月)によれば、物販のBtoC-EC市場規模は2022年で13兆9,997億円であり、このうちスマートフォン経由の市場規模は7兆8,375億円であります。市場規模に占めるスマートフォン経由の割合は56.0%で、2015年の27.4%と比較すると28.6ポイントの増加となり、今後もBtoC-EC市場規模及びスマートフォン経由比率ともに増加することが見込まれております。

 

 さらに、ニールセンデジタル株式会社「ニールセンモバイルネットビュー2020」(2020年3月)によると、2019年の国内のスマートフォン経由でのオンライン滞在時間の内訳は全体の92%がアプリ経由で行われている事が発表されております。

 

 上記のとおり、国内のDXが加速する一方、IT人材の不足は拡大することが予見される背景のもと、国内のSaaS市場は益々拡大し、あわせてスマートフォンアプリの必要性も継続的に拡大することが予見されております。このような市場環境の中、ノーコードでネイティブなアプリを簡単に開発、運用できる当社のYappliの重要性は益々高まっていくと考えております。

 

(5)市場規模

 当社はYappliを通じてコアサービスのYappli for Marketingを中心に約3,300億円規模の国内Marketing Tech市場でのシェアを引き続き拡大してまいります。その上で、YappliとYappli CRMを活用する成長サービスのYappli UNITEを中心に約3,300億円規模のHR Tech市場も狙っていきます。また、アプリ開発支援サービスのほか、アプリの成長やマネタイズを支援するアプリマーケティング事業にも注力していくため、約1兆3,800億円規模のCXコンサルサービス市場のシェアの獲得も狙って参ります。

 

(6)競合環境

 当社はYappliの開発に創業前から累計10年以上の歳月を注ぎ、サービスの機能拡充、UI/UX(*7)の向上、顧客満足度向上、特許取得などに努め、日本を代表する企業との契約や低い解約率を維持するなどYappliの優位性を確保してまいりました。昨今、スマートフォンアプリの市場拡大により、複数の企業が類似するサービスを提供しておりますが、主に中小企業向けの機能に留まっており、中~大企業に向けて提供する企業は業界にも当社のみであると考えております。従って、当社の主な競合は、スクラッチでネイティブアプリの開発を行うシステムインテグレーターとなります。システムインテグレーターとは提供するサービスの特性上、明確な差別化(プログラミング不要で開発・運用・分析を一手に担えるプラットフォーム、個別のカスタマイズは行わない代わりにYappli上で活用できる機能を継続的に拡充、サクセス支援、自動OSアップデート、毎月継続型の料金体系など)を実現しており、市場においてユニークな立ち位置を築いていると考えております。

 またYappli CRMにおいても中~大企業向けに従業員エンゲージメントを高めるノーコードツールとしてユニークな存在であると認識しております。

 

(7)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社が属するソフトウェア業界での国内外の競争が激化する中にあって、安定した収益を確保し続けるために、対処すべき課題として以下の点に取り組んでおります。

 

① サービス、プロダクトの強化

 当社は、Yappli、Yappli CRMシステム及びYappli UNITEサービスについて、技術開発が競争力の根幹であるという認識の下、システムの自動化・安定性・拡張性等の強化に取り組んでまいります。そのためには、優秀な人材の確保と人材の継続的な育成、付加価値の高い企業との提携、M&Aの実施などに取り組み、サービスの強化に努めてまいりたいと考えております。

 

② 利益及びキャッシュ・フローの創出

 当社は、当事業年度に上場来初の営業利益の黒字化を達成しましたが、今後も売上高と利益の成長を両立するバランス型の成長を目指す為、成長投資及びその他の費用に関しては意味のある改善に取り組み、収益性の向上に努めてまいります。

 

(*1)DX(デジタル・トランスフォーメーション)とは、「デジタルの変革」を指し、ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させることを言います。

(*2)リードとは、マーケティング施策により獲得した潜在顧客の連絡先のことを言います。

(*3)インサイドセールスとは、SaaS業界において潜在顧客へのサービスの啓蒙活動や商談設定に従事する部隊を言います。

(*4)フィールドセールスとは、SaaS業界において潜在顧客との商談を実施して契約の受注を獲得する部隊を言います。

(*5)ディレクターとは、当社においては、アプリの制作や申請について顧客と協議し要件の定義をおこない、アプリストア申請が完了するまでのディレクションを行う部隊を言います。

(*6)カスタマーサクセスとは、SaaS業界において契約後の顧客のサービス活用に関するナレッジを共有するなどをして、顧客のサービス導入の目的を達成する(カスタマーサクセス)支援を行う部隊を言います。

(*7)UIとはUser Interfaceの略称でユーザーが電子端末を操作する際の入力や表示方法などの仕組みを言います。また、UXとは、User Experienceの略称でサービスなどによって得られるユーザー体験を言います。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社は、「デジタルを簡単に、社会を便利に」をミッションに掲げ、持続可能な社会の実現に向けて事業を通じた環境・社会課題の解決と社会の発展に貢献することで、持続的成長と企業価値向上の実現を目指しております。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

 当社は、ミッションおよびサステナビリティに関する基本方針やそれを踏まえた経営方針などを効果的に実現し、中長期的な企業の価値向上を目指した経営を推進する基盤として、コーポレート・ガバナンス体制の構築とさらなる高度化に取り組んでおります。また、企業倫理・コンプライアンスの徹底、プライバシー、情報セキュリティ等においても継統的な活動の改善、強化に取り組んでまいります。

 

(2)戦略

 当社が持続的に企業価値を向上していくためには、従業員一人ひとりが創造性を発揮し革新的な製品・サービスを提供し続けることが必要不可欠です。したがって、当社は従業員一人ひとりを重要な資本として捉え、各々がその個性や能力を存分に発揮し自律的に成長できるように、組織への投資と個人への投資の両軸を継続的に実施してまいります。

 

 人的資本に関する主な取り組みは下記のとおりです。

テーマ

取組内容

カルチャー醸成・人材交流

・コミュニケーション活性化のための各種イベント(朝会、納会、CS DAY等)

・社内向けアプリの推進(Yappli Hang Out)

 ‐当社サービス『Yappli UNITE』を社内でも利用

・部活動制度

・部門を超えた交流を図るためのシャッフルランチ

・納会後の懇親会の開催

・懇親会費用の支給

多様性

・年齢、性別、人種、障害等に捉われない雇用

・ライフステージの変化による不安や働きにくさの解消サポート

 ‐妊活/不妊治療費の補助・特別休暇、結婚休暇・祝い金、保活コンサル費用補助

マネジメント育成

・組織の中核となるマネジメントへの研修強化

 ‐外部有識者によるマネジメント研修

 ‐コーチング、フィードバック、1on1研修

人材育成

・充実した新入社員向けのオンボーディングプログラムとメンター制度

・専門性やベーススキル向上のための各種研修プログラム

・アプリを通じたオンラインでのマーケティングセミナー視聴提供

・業務関連図書費や最新スマホの購入補助制度

人材採用

・リファラル採用や採用イベントの実施などを通して入社後のミスマッチを防ぐ新たな仲間作りを積極的に推進

出社を促進するオフィス環境作り

・対面でのコミュニケーションによる一体感をもった事業推進

・仕事のスピードや品質向上を目的に出社したくなるオフィス環境を整備

 ‐オフィス内カフェの常設

 ‐個室ブースやデザイナー/エンジニア向け特別モニターの設置

 ‐フリーアドレス制の導入

健康と安全

・健康診断、各種予防接種の補助制度

・ストレスチェック、産業医と連携した従業員のメンタルケア

 

(3)リスク管理

 当社では、サステナビリティ対応におけるリスク等については、経営や事業に重大な影響を及ぼす可能性があるリスク等と同義あるいは密接な関係にあると捉えており、分析や把握については、リスク管理規程に従い、リスク管理委員会にてリスク等を積極的に予見し、適切に評価することで、リスクの回避、軽減及び移転その他必要な措置を事前に実施しております。また案件に応じて経営会議及び取締役会に報告等を行う仕組みを構築しております。リスク等の内容については、「3 事業等のリスク」に記載している内容と同様であると捉えており、当該箇所にその内容を記載しております。

 

 

(4)指標及び目標

 当社では、「(2) 戦路」において記載した方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する実績は、次のとおりであります。なお、当社は性別、年齢、ライフステージ等に関わらず従業員ひとり一人の個性や能力を存分に発揮し自律的に成長できるよう組織と個人へ投資しているため、本指標に関する具体的な目標は定めておりませんが、本指標を常にモニタリングし、改善に努めてまいります。

指標

実績(当事業年度)

eNPS

△1.83

女性管理職比率

38.1%

男性育児休業取得率

53.8%

正社員の男女の賃金の差異

79.4%

従業員の女性比率

43.0%

退職率

13.2%

 

3【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

当社は、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、不確実性を内在しているため、将来において発生する可能性のあるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 

(1)モバイルアプリ市場について

当社が事業を展開している国内モバイルアプリ市場の売上高は、2016年の126億ドルから2022年には284億ドルまでに成長しており(出典:総務省「令和5年版 情報通信白書」)、当社は今後も引き続き同市場を基盤とした事業を展開する計画であります。しかしながら、今後、経済情勢や景気動向により同市場の拡大が鈍化、縮小するような場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)競合他社の動向について

当社事業は、プログラミング不要でネイティブアプリを簡単に開発、運用できるクラウド型のアプリ運営プラットフォームを提供しております。現時点において当社事業と同様にノーコードでアプリを開発、運用できるプラットフォームを大企業向けに提供している競合他社は存在しないと考えております。しかしながら、競争環境激化により当社と同様のシステムを大企業向けに提供する競合他社が参入し、当社の優位性が失われるような場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)技術革新について

当社が事業を展開している国内モバイルアプリ市場は、技術革新が早く、当社の優位性を維持するためには、技術革新に即座に対応する必要があります。当社では、各種イベントやセミナーへの参加や社内の定期的な勉強会等を通じて、モバイルアプリ市場の技術革新の動向を把握するとともに、それに対応した新サービスの提供ができるよう努めております。しかしながら、当社が技術革新に対応できないような場合、または、当社が対応できないような技術革新が生じた場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)モバイルアプリに代わるツールの普及について

当社サービスを利用する顧客の多くはモバイルアプリをユーザーへのマーケティング、もしくは情報共有のツールとして使用しております。しかしながら、将来的にモバイルアプリに代わるツールが出現、普及した場合に、当社のサービス利用が減少し、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)単一セグメントであることについて

当社事業はアプリ運営プラットフォーム事業の単一セグメントであることから、市場の変化の影響を受けやすい性質があります。当社は、市場の変化に対して臨機応変に対応する方針でありますが、市場全体が縮小を続ける等、当社の対応に限度があるような場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)先行投資に伴う財務的影響について

当社が運営するアプリ運営プラットフォーム事業においては、システムの機能性・利便性の向上及び市場シェアの獲得が重要と考えておりますが、システム開発人員に係る人件費やマーケティング活動費用としての広告宣伝費などの先行投資は2022年度に一巡いたしました。

当社では、2023年12月期以降、先行投資型から売上高と利益の成長を両立するバランス型の成長戦略にシフトしております。費用対効果を見ながら先行投資を実施しつつ、その他の費用に関しては意味のある改善を実施し、収益性の向上に努める方針であります。今後も引き続き営業利益の黒字化を継続して維持するため、投資額の増加を抑制します。2024年12月期については、広告宣伝費は8億円程度、人件費は20億円程度を予定しております。費用対効果に係る測定方法として、具体的には、LTV/CAC(*1)の水準を4~6倍を目標として、先行的な投資をコントロールすることを目指しております。しかしながら、経営環境の急激な変化等のリスクの顕在化等により、これらの先行投資が想定通りの成果に繋がらなかった場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(*1)LTV/CACとは、顧客1契約あたりの生涯に生み出す収益(Life Time Value)を、1契約の顧客獲得コスト(Customer Acquisition Cost)で割り戻した数値を言います。当社では((新規獲得の顧客単価×粗利率÷月次解約率)+初期制作収入単価×粗利率)/((セールス人件費+マーケティング人件費+広告宣伝費+デモアプリ制作費)/新規顧客数)により算出しており、デモアプリ制作費とは、顧客に納品する初期的なアプリ制作に係る当社従業員の人件費を指します。

 

(7)知的財産権について

当社が保有する知的財産権が違法に侵害されることによって、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社は、当社の提供するサービスが第三者の知的財産権を侵害しないように留意しており、現在まで第三者の知的財産権を侵害したとして損害賠償や使用差止めの請求を受けたことはありません。しかしながら、当社が認識せずに第三者の知的財産権を侵害してしまう可能性は否定できず、その第三者より当社に対する損害賠償請求訴訟等が起こされることにより賠償金の支払い等が発生した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)個人情報の管理について

当社が提供するYappliでは、顧客企業から委託を受けてお預かりした個人情報を取り扱います。お預かりした個人情報については、外部漏えいや不正利用等の防止のため、情報セキュリティ基本方針を定め、この方針に従って情報資産を適切に管理・保護しております。

また、当社は個人情報保護のために、プライバシーマークを取得しており、個人情報の保護に積極的に取り組んでおります。しかしながら、悪意あるハッキングやコンピューターウィルス等により、当社が保有する個人情報が漏えい、盗用等される可能性を完全に排除することは困難であります。当社が保有する個人情報が漏えい、盗用等されることとなった場合、当社の社会的信用が失われるとともに、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)システムや通信インフラ環境について

当社事業は通信ネットワークやサーバー等のネットワーク機器の作動環境に依存しております。当社が構築しているコンピュータ・システムは、適切なセキュリティや保護手段を講じておりますが、自然災害や不正アクセス等によって通信ネットワークの切断やネットワーク機器の障害が発生した場合、当社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)Apple Inc.及びGoogle LLCの動向について

当社サービスにおいて主に提供されるモバイルアプリは、Apple Inc.及びGoogle LLCのプラットフォーム運営事業者の仕様に従い、アプリ提供の申請、承認を受けることが重要な前提条件であります。これらのプラットフォーム運営事業者の動向や著しい仕様変更によっては、当社の事業展開や事業運営に影響を与え、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)内部管理体制の強化について

当社は、現在の事業規模に応じた内部管理体制を整備・運用しており、今後は事業規模の拡大に合わせ、内部管理体制も強化させていく方針であります。しかしながら、事業規模の拡大及び人員の増加に合わせ、適時に内部管理体制の強化ができなかった場合、適切な事業運営が行えず、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)人材の獲得及び育成について

当社が今後成長を続けるためには、各方面で優秀な人材を配置することが必要不可欠であります。そのため、既存の人材の育成はもちろんのこと、優秀な人材の獲得にも努めております。しかしながら、人材の育成・獲得が円滑に進まない場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)法令について

当社は、電気通信事業法等、企業活動に関わる各種法令の規制を受けております。現在のところ、当社事業に対する各種法規制の強化等が行われるという認識はありませんが、今後国内において新たにプライバシー関連法規の制定やインターネット関連事業者を規制する新たな法律等による法的規制の整備・強化がなされた場合、当社の業務が一部制約を受け、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)訴訟について

当社では、コンプライアンスの徹底と社会的信用の向上を図ることを目的にコンプライアンス規程を整備し従業員へ周知することで、法令違反などの発生リスクの低減に努めており、本書提出日現在において訴訟を提起されている事実はありません。しかしながら、事業を展開する中で、当社が提供するサービスの不備や取引先、第三者との間での予期せぬトラブルの発生等により何かしらの問題が生じた場合には、これらに起因した損害賠償の請求、訴訟の提起がなされる可能性があります。その場合、当該訴訟に対する防御の為に費用と時間を要する可能性がある他、当社の社会的信用が毀損され、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15)新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

当社は、役員及び従業員に対するインセンティブを目的として新株予約権を付与しており、事業年度末現在における付与数は4,952個であり、発行済株式総数に対する潜在株式数の割合は、5.08%となります。これらの新株予約権が行使された場合、当社株式が発行され、既存株主が保有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。

 

(16)配当政策について

当社は、株主に対する利益還元については経営の重要課題の一つと位置付けておりますが、当社は現時点において配当を実施しておりません。今後におきましては、経営成績、財政状態、事業計画の達成状況等を勘案しながら、株主への利益配当を検討していく方針であります。しかしながら、当社の事業が計画通り推移しない場合など、配当を実施できない可能性があります。

 

(17)資金使途について

当社のSaaS型アプリ運営プラットフォーム事業においては、上場後の現在においても、システムの機能性・利便性の向上及び市場シェアの獲得が重要と考えております。そのため、上場時に調達した資金の使途につきましては、システム開発や事業拡大に伴う人件費及びマーケティング費用へ積極的に投資していきたいと考えております。

しかしながら、インターネット関連市場は変化が激しく、その変化に柔軟に対応するため、上記計画以外の使途に使用する可能性があります。また、上記計画通りに資金を使用したとしても当初想定していた事業規模の拡大が進まない可能性があります。なお、将来にわたっては、資金調達の使途の前提となっている事業計画・方向性が見直される可能性があります。

 

(18)為替変動によるリスク

当社は国内で事業を展開しているため、為替の影響は比較的少なく抑えられていると見ておりますが、当社の既存顧客及びターゲット顧客層の中には、円安の影響により事業の運営が厳しくなっている企業が含まれるため、解約また新規顧客獲得に悪影響が出る可能性がございます。また、当社の費用についてですが、社内で使用している一部のツールは為替の影響を受ける為、為替相場が円安になった場合、当社の費用が増加する可能性がございます。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。

 

①財政状態の状況

(資産)

当事業年度末における資産合計は2,814,352千円となり、前事業年度末に比べ29,216千円減少いたしました。これは主に、繰延税金資産が227,569千円増加した一方で、現金及び預金が143,067千円、流動資産その他が89,987千円及びのれんが28,116千円減少したことによるものであります。

(負債)

当事業年度末における負債合計は1,454,292千円となり、前事業年度末に比べ45,248千円減少いたしました。これは主に、未払費用が103,657千円増加した一方で、借入金返済により長期借入金(1年内返済予定含む)が125,000千円及び契約負債が28,308千円減少したことによるものであります。

(純資産)

当事業年度末における純資産合計は1,360,059千円となり、前事業年度末に比べ16,032千円増加いたしました。これは主に、当期純損失を計上したことにより、利益剰余金が74,079千円減少した一方で、資本金及び資本剰余金がそれぞれ45,099千円増加したことによるものであります。

 

②経営成績の状況

当事業年度におけるわが国経済は、消費活動の回復やインバウンド需要の拡大等、リオープニングによる景気回復の兆しが見られる一方で、物価上昇や円安状況の長引き、また労働人口の縮小による人件費の高騰も顕著になり、先行きが不透明な状況が継続しました。しかし、このような経済環境の中、企業はデジタル化を引き続き促進しており、IT技術を使った生産性や効率化への投資は安定して推移し、当社が属するソフトウェア業界の重要性はますます高まっております。

当社は、「デジタルを簡単に、社会を便利に」というミッションの下、アプリ開発技術がなくてもノーコード(プログラミング不要)で誰でも簡単にスマートフォンアプリの開発・運用を行うことができるプラットフォーム「Yappli」を提供しております。「Yappli」は従来の企業のアプリ開発における様々な課題を解決するだけではなく、顧客企業自ら効率的にアプリを運用することを可能にするため、アプリ運用における成果を生み出しやすいサービスとなっております。

また、2021年10月にはノーコードの顧客管理システムである「Yappli CRM」をローンチし、ユーザーとのタッチポイントであるアプリに加え、バックエンドのデータ領域へと当社のドメインを拡大いたしました。「Yappli CRM」は順調に立ち上がり、様々な企業への導入が進んでおります。また、2023年8月に社内利用向けアプリを刷新し、人的資本経営をアプリから推進する新サービス「Yappli UNITE」をローンチしました。人的資本開示に向け、HR Tech領域に進出し、組織エンゲージメントをアプリで向上させる新たな市場の開拓を目指します。

以上の結果、当事業年度の業績は、売上高4,864,465千円(前年同期比17.4%増)、営業利益264,833千円(前年同期は営業損失818,800千円)、経常利益254,408千円(前年同期は経常損失824,984千円)、当期純損失74,079千円(前年同期は当期純損失941,138千円)となりました。当期純損失は、繰延税金資産の回収の可能性が見込まれる部分について、繰延税金資産を計上したことによる法人税等調整額(益)を227,569千円計上した一方で、特別損失に信託型ストックオプション関連損失を530,536千円計上したことによるものであります。信託型ストックオプション関連損失は第3四半期会計期間において一部見積り計上していた600,673千円が、当第4四半期会計期間で確定したことによるものです。

なお、当社はアプリ運営プラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

 

③キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は1,507,669千円となり、前事業年度末に比べ143,067千円減少となりました。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により使用した資金は161,362千円(前年同期は926,634千円の使用)となりました。これは主に、信託型ストックオプション関連損失が530,536千円、未払費用の増加が46,691千円及びのれん償却額が28,116千円あった一方で、税引前当期純損失が276,448千円及び信託型ストックオプション関連損失の支払額が473,570千円あったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により獲得した資金は53,220千円(前年同期は19,577千円の使用)となりました。これは主に、敷金及び保証金の回収による収入が54,136千円あったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により使用した資金は34,925千円(前年同期は729,032千円の獲得)となりました。これは主に、新株予約権の行使による株式の発行による収入が89,315千円あった一方で、長期借入金の返済による支出が125,000千円あったことによるものであります。

 

④生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

b.受注実績

 当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

c.販売実績

 当事業年度の販売実績は次のとおりであります。なお、当社は、アプリ運営プラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

当事業年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

4,864,465

117.4

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(売上高、売上原価、売上総利益)

売上高は、主に新規顧客獲得及び既存顧客に対するアップセル等の営業努力により4,864,465千円(前事業年度比722,031千円増)となりました。2023年12月末時点でのYappliの契約アプリ数は843となり、月次解約率(直近12カ月平均)も0.81%、月額利用料割合は82%と堅調に推移しています。

売上原価は、主に外注費の内製化で減少した一方で、契約アプリ数の増加に伴うサーバ費用、アプリマーケティングで発生した広告媒体費及び賞与が発生した影響から1,507,774千円(前事業年度比117,220千円増)となりました。この結果、売上総利益は3,356,691千円となりました(前事業年度比604,811千円増)。

(販売費及び一般管理費、営業利益)

販売費及び一般管理費は、主に研究開発費が増加した一方で、広告宣伝費及びオフィス賃借料等が減少した影響から3,091,858千円(前事業年度比478,822千円減)となりました。

この結果、当事業年度の営業利益は264,833千円(前事業年度営業損失818,800千円)となりました。

(営業外収益、営業外費用、経常利益)

営業外収益は、主に雑収入の増加があった一方で、受取手数料が減少した影響から1,016千円(前事業年度比402千円減)となりました。営業外費用は、主に支払利息の増加と支払補償費の計上があった影響で11,440千円(前事業年度比3,838千円増)となりました。

この結果、当事業年度の経常利益は254,408千円(前事業年度経常損失824,984千円)となりました。

(特別利益、特別損失、税引前当期純損失)

特別損失は、主に信託型ストックオプション関連損失を計上した影響から530,857千円(前事業年度比423,456千円増)となりました。

この結果、当事業年度の税引前当期純損失は276,448千円(前事業年度税引前当期純損失932,385千円)となりました。

 

(法人税等、当期純損失)

法人税等については、主に法人税、住民税及び事業税の増加があった一方で、繰延税金資産を計上したことによる法人税等調整額(益)を計上したことにより△202,369千円となりました(前事業年度比211,122千円減)。

この結果、当事業年度の当期純損失は74,079千円(前事業年度当期純損失941,138千円)となりました。

 

(当社の経営成績に重要な影響を与える要因)

当社が事業展開するサービスは、小売業態において多くの導入実績があり、その中でも特にアパレル関係企業への導入が進んでおります。小売業界においては、これら企業の広告費は引き続き好調な推移を示すと予測する見方ではあるものの、国内外の経済情勢を受け当社の予想を超えて下振れするような場合には、当社の経営成績に重要な影響を及ぼすリスクがあります。

その他、当社が抱える事業等のリスクについての詳細は、「3 事業等のリスク」をご参照ください。

以上を踏まえ、当社は常に市場動向には留意しつつ、顧客に求められる機能やサービスを開発していくとともに、優秀な人材の採用、新規サービスの開拓、内部管理体制の強化をしていくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因に備え、リスクの発生を抑え、適切に対応していく所存であります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社は、事業運営上必要な資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金、設備投資や長期運転資金の調達について、自己資金又は金融機関からの借入を基本としており、都度最適な方法を選択しております。

なお、当事業年度末における借入金の残高は793,750千円であります。また、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は1,507,669千円となります。

なお、当社は、アプリ運営プラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたりまして、事業年度末日における資産及び負債、会計期間における収益及び費用について会計上の見積りを必要としております。この見積りに関しては、過去の実績及び適切な仮定に基づいて合理的に計算しておりますが、実際の結果と相違する場合があります。

なお、当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は後述「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。

 

④経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の分析・検討内容

「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、契約アプリ数、月次解約率、アプリ当たりの平均月額利用料を重要な経営指標と位置付けております。

当該指標については、2023年12月末時点でのYappliの契約アプリ数は843(前事業年度末比60件増)となり、月次解約率は0.81%(前事業年度末は0.88%)、アプリ当たりの平均月額利用料は423千円(前事業年度末は389千円)であります。これは、現時点において予定通りの進捗となっており、今後の業績に寄与するものと期待できることから、堅調に推移しているものと認識しております。なお、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標の推移については、「第1 企業の概況 3 事業の内容」に記載のとおりであります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 当社は、自社において研究開発活動を行っております。なお、当社の事業は、アプリ運営プラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略をしております。

 当事業年度は、アプリ運営プラットフォーム事業で蓄積された経験を基に、Yappli CRMやYappli UNITEを含む新規の機能開発やサービスに関する研究開発を行い、研究開発費の総額は319,287千円となりました。