文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、2030年に向けた「長期ビジョンCCC2030」において、サステナブルな長期視点での経営をおこなっていくための経営モデルとして「森林経営モデル」を掲げ、「自律協働社会」の実現に向けた自らの役割を「WORK & LIFE STYLE Company」と定め、「働く」「学ぶ・暮らす」の領域で、豊かな生き方を創造する企業となるべく取り組んでおります。
これまで当社グループでは、社会の変化を捉え、「共感共創」という強みを生かして、顧客やパートナーと共に新しい体験をデザインし、家具から多様な「働き方」を支える「オフィス空間」、文具から「学び方と暮らし方」を支える「道具・サービス」など、「モノだけでないコトのニーズ」に対応する事業に発展させてまいりました。
これからは、未来の自律協働社会に向けた社会課題や顧客ニーズの解決のために、「モノからコトへ」提供価値の拡大を進め、「働く」「学ぶ・暮らす」領域における新しい顧客体験価値を創出していきます。既存事業のブラッシュアップに加え、事業領域の拡張や新規ニーズの事業化を通じて事業領域の拡大を進め、様々な顧客ニーズに応えながら持続的に成長する売上高5,000億円規模の多様な事業の集合体(森林)へと変化することを目指してまいります。
2022年12月期からは、「長期ビジョンCCC2030」達成に向けた第3次中期経営計画「Field Expansion 2024」を推進しており、既存事業のブラッシュアップに加え、事業領域の拡大を目指しております。
(価値創造ストーリー全体像)
(2)目標とする経営指標
第3次中期経営計画の最終年度にあたる2024年度の目標数値は、下記の図のとおりです。
財務目標
(単位:億円)
|
2021年12月期 |
2022年12月期 |
2024年12月期 |
||
実績 |
実績 |
目標 |
2021年12月期比 |
2022年12月期比 |
|
売上高 |
2,926 |
3,009 |
3,600 |
+23.0% |
+19.6% |
売上総利益 (率) |
1,135 (38.8%) |
1,166 (38.8%) |
1,437 (39.9%) |
+26.6% (+1.1pt) |
+23.2% (+1.2pt) |
営業利益 (率) |
199 (6.8%) |
193 (6.4%) |
275 (7.6%) |
+38.1% (+0.8pt) |
+42.3% (+1.2pt) |
ROE(率) |
(6.0%) |
(7.9%) |
(8.0%) |
(+2.0pt) |
(+0.1pt) |
(注) 当連結会計年度の期首より、「収益認識に関する会計基準」等を適用しております。前連結会計年度に係る各数値につきましては補正した数値も表示しております。
(非財務目標 2024年コミット目標)
(3)経営環境
当社グループの経営環境については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績」をご参照ください。
(4)中長期的な会社の経営戦略並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
・経営戦略
第3次中期経営計画「Field Expansion 2024」で取り組む重要な4つの全社テーマは下記のとおりです。
4つの重要課題
①「ダイナミックな成長投資」:投資・研究開発の枠を決定し、検討、意思決定、責任者の設定などPDCAのルールと体制など投資ガバナンスを設計し実行する。
②「人材の活躍と成長」:社内の人材の流動性を高め、多様な人材の活躍の機会を増やす。
③「イノベーションの活性化」:インキュベーションの場としくみを構築する。
④「社会価値と経済価値の両立」:社員が社会課題を体験する機会を増やす。
・事業戦略
当社グループは、「長期ビジョンCCC2030」の達成に向けて、自らの社会における役割を「WORK & LIFE STYLE Company」と再定義し、「働く」「学ぶ・暮らす」のドメインで、文具や家具だけにとらわれない豊かな生き方を創 造する企業となることを目指します。
①ワークスタイル領域
新型コロナウイルス感染拡大によって定着した働く場の分散と働き方の多様化により定着したハイブリッドワークにおける新しいニーズに着目します。
ファニチャー事業は、働き方の変化に伴うオフィスリニューアル需要の獲得と、デジタルや内装など事業領域の拡張をベースに増収増益に向けてコクヨ全社の業績を牽引することを目指します。
ビジネスサプライ流通事業は、新型コロナウイルス感染拡大をきっかけにEC購買が広がった通販市場の成長をベースに、カウネットにおいては、ECマーケティングの強化により、顧客数の拡大による増収と収益性の改善に取り組んでまいります。
これによりワークスタイル領域全体として働き方の変化を捉え大幅な増収増益を目指してまいります。
②ライフスタイル領域
学びや生活の道具におけるライフスタイルツールにおいて、より自分らしく生きることへのこだわりのニーズの高まりに着目します。
ステーショナリー事業においては、SNSなど自己表現ニーズの高まりなどにより付加価値文具市場は拡大する中で、国内の既存事業のブラッシュアップに加えて、国内外でデジタルマーケティングの強化に取り組み、増収増益を目指します。
インテリアリテール事業のアクタスにおいては、巣ごもり需要だけでなく、住空間への新たなニーズを取り込むために、店舗とECを統合したマーケティング戦略(OMO、Online Merges with Offline)に取り組み、増収増益を目指します。
これによりライフスタイル領域全体として、自分らしい生き方の探求と社会の共生のニーズへの対応で増収増益を目指してまいります。
・資本政策
経営戦略及び事業戦略を進める上で、投資及び株主還元等との間で適切な資源配分を実施致します。そのために、事業資産の効率向上に向けた取り組みを推進するとともに、資本コストを明確に意識した投資決定と事業評価を推進してまいります。
また、持続的な企業価値向上に向けた戦略投資として、定常投資200億円に加え、事業領域拡大に向けた成長投資300億円を実施致します。社会価値向上に向けて社会貢献目的の寄付枠(経常利益の1%=約2億円)とESG活動費枠を設定し、投資推進部門とサステナブル推進部門が全社横串でクライテリアを明確にしながら推進してまいります。
更に、配当性向40%及び安定的な増配を達成すべく株主還元を実施することで、株主との積極的な対話を通じて、中長期の成長ストーリーに関して説明責任を果たしてまいります。
以上のような取り組みを通じて2024年度ROE8%を実現してまいります。
以上の経営方針に基づき、当社グループにおける持続的成長の獲得を目指してまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、当社グループはグループ経営を取り巻く様々なリスクを網羅的に把握・評価し、経営への影響を適切にコントロール(回避・低減・移転・受容)するリスクマネジメントの推進のため、代表取締役社長の諮問機関としてリスク委員会を設置し、リスクマネジメントに関わるテーマについて全社的な立場から審議し、代表取締役社長に答申しています。
また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 外部環境に関連するリスク
1)経済状況
当社グループの売上は概ね日本国内向けであり、日本国内の景気変動に伴う企業収益や設備投資、公共投資の動向により、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの販売生産、仕入の一部はアジアをはじめとした世界各地で行っており、今後、事業のグローバル化をより一層推進する方針です。そのため、各地域の政治経済・社会情勢の変化や各種規制、ESGを巡る潮流等影響が増大し、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
これに対し当社グループは、事業ポートフォリオ経営を掲げて複数事業セグメントを有しており、業界動向及び事業状況をモニタリングすることによって、適宜リソースシフトを行う体制を構築しております。また各現地法人とコクヨ本社が連携してそれぞれの国の政治、経済情勢等を的確に把握し、適切に対応する体制を構築しております。今後一層対応を強化する方針です。
2)市場環境
当社グループは、顧客にとって付加価値の高い商品開発や提案活動を進めておりますが、事業を展開する市場は景気変動や顧客の購買チャネルの変化等の影響を受けており、分散化やデジタル化の潮流の中にあって、競争はますます激しさを増していることから、当社グループの優位性の維持又は獲得が滞り、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
これに対し当社グループは、事業ポートフォリオ経営を掲げて複数事業セグメントを有しており、業界動向及び業績状況に応じて、経営資源の最適な配分を行っております。ますます激化する競争環境に係るリスクはしっかりと認識する一方で、それらのリスクをむしろチャンスと捉え、前例に固執することなく常に顧客満足を高めながら、より長期目線での経営を推進することによって、更なる成長に向けて取り組んでおります。
3)有価証券の時価変動
当社グループは、投資有価証券を保有しております。金融市場等の変動により投資有価証券の時価が悪化し、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
これに対し当社グループは、投資有価証券は四半期ごとの時価評価以外に定期的な検証を行い、売却や購入の検討をしております。特に政策保有株式については、個別銘柄ごとに定量的及び定性的な観点を踏まえた検証結果を取締役会に報告し、保有の意義が乏しいと判断される銘柄については売却又は縮減を検討しております。
(2) 事業運営に関連するリスク
1)法規制の遵守
当社グループは、商品の品質、取引関連、環境、労務、安全衛生、会計基準や税務など様々な法規制の適用を受けており、当社グループは、法規制を遵守し、社会倫理に従って企業活動を行うためのコンプライアンス体制の構築とその遵守に努めております。しかしながら、これら法規制等への違反が発見又は認定された場合には、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。特に販売部門は業績目標達成のプレッシャーを感じる可能性があること、および一部の事業においては、顧客ニーズにあわせて納入物品や施工内容が随時変更され、売上計上時期や金額が当初契約時から変更となることが多いことから、意図的な売上計上の前倒しや架空売上が計上されるリスクが存在します。また、現行の法規制の変更や新たな法規制、今後の事業のグローバル化、事業領域の拡大により、遵守すべき法規制が追加された場合には、その対応のための投資や費用が必要になるなど、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
これに対し当社グループは、法規制を遵守し、社会倫理に従って企業活動を行うための「コクヨグループ行動基準」を制定し、教育・研修等を通じ、その遵守に努めております。また、法規制の改廃制定などに対して、その対応及び遵守状況の定期的な確認により、法令遵守を図っております。さらに、広く社員を対象とする社内サーベイによってコンプライアンスの遵守状況の確認を行っております。また、談合等の反競争的行為や贈賄の防止や反社会的勢力の排除等については、国内・海外子会社に対して定期的に教育・啓発活動を行っております。コンプライアンス推進体制としては、代表取締役社長の諮問機関である「リスク委員会」を設置して全社的な推進状況の把握を行うとともに、各関係会社役員会及びリスク・コンプライアンス委員会において、事業ごとのコンプライアンス遵守状況を確認しております。また、「J-SOX委員会」により財務報告に係る内部統制の評価及び監査を実施、モニタリングしております。
2)品質保証
当社グループの製品において、想定が難しい多様な環境での製品の使用などにより、リコールが発生する可能性があります。その結果、当社グループの経営成績及び財務状況、さらに当社グループの社会的評価に悪影響を及ぼす可能性があります。
これに対し当社グループは国際規格であるISO9001に基づいた品質マネジメントシステムを構築し、それに従った製品及びサービスの設計・開発や製造及びサービス提供の管理を行い、品質チェック体制の整備を図り、品質監査を行うなど、製品・サービスの企画・開発からアフターサービスに至るまでバリューチェーン全体で品質の向上に努めております。リコールが発生した場合のリコール費用及び製造物責任賠償については、保険に加入しておりますが、損失額を全て賄える保証はなく、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
3)購買調達
当社グループが主に使用する原材料は原紙、樹脂、鋼材等であり、これらは国内外の調達先から購入しております。当社が調達先から購入する原材料や仕入商品の価格は、世界的な需給動向や為替変動による影響を受けており、需給動向や為替レートの変動が長期に及んだ場合は、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、ESG観点に基づく社会的要請により、サプライチェーン上の人権状況のチェックや環境への配慮について、より高度な対応が求められており、調達先に対応の不備があれば、原材料の調達停止による当社グループの経営成績及び財務状況への影響だけでなく、社会的評価に悪影響を及ぼす可能性もあります。
これに対し当社グループは需給動向や為替レートの変動については、短期的には海外調達先との外貨建取引の一部については為替予約を行うとともに、中期的には原材料の現地調達比率の適正化や調達先の複数化などにより、需給動向や為替レートの変動リスクの低減に取り組んでおります。また、原材料の調達については、調達先との信頼関係を構築し相互発展を目指すために、「サステナブル調達方針」を制定し、人権尊重や環境保全などの社会的責任を果たし、社会の発展に寄与することに努めております。
4)人材及び労務
当社グループは、持続的な成長を実現するために、有能な人材の確保が重要な経営戦略の一つであると認識し、その採用・育成に努めています。しかしながら、各分野での有能な人材は限られており、人材確保における競争は激化しています。こうした状況下で在籍している従業員の流出が進み有能な人材の獲得ができない場合は、当社グループの将来の成長が阻害される可能性があります。
また、労働環境の維持、向上が経営戦略に重要な影響を及ぼすと認識し、多様性を尊重し、働きやすい職場環境の維持、向上に努めています。しかしながら、各施策が計画通りに進捗せず、労働災害や健康被害、ハラスメント等が発生した場合には、業務パフォーマンスの悪化や労災補償、ブランド価値の毀損が発生し、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
これに対し当社グループでは、「事業と人材の同時成長」を基本方針として、上司と部下の対話を通じた目標設定とその達成度の評価により社員一人ひとりの特性に応じた能力向上を後押ししています。また、事業戦略に合わせた全体最適の適所適材による人材配置や、社内副業(20%チャレンジ)といった新たなチャレンジの機会を提供することで、事業の変革や創出を牽引するリーダーを育成するとともに、社内の人材の流動性を高めて多様な人材が活躍する新たな機会を増やしています。
併せて、安心・安全で快適な職場づくりや災害時の安全対策などは、社員が生き生きと働き、能力を発揮するための基盤であると考え、安全衛生のグループ統括機能である「コクヨグループ中央安全衛生委員会」が中心となり、各事業所の安全衛生委員会を結び、社員と活発な意見交換をしながら、仕組みや体制を整えています 。
これらの活動のなかで職場内では相談・解決し難いものについて相談できる窓口として「コクヨグループホットライン」を設置しています。日本国内だけでなく、海外拠点におけるコクヨグループ社員も利用できるグローバル対応の制度として、運用を行っています。
5)情報セキュリティ
当社グループは、事業上の機密情報や事業の過程で入手した顧客情報や個人情報を保有しております。それらの情報に関して、当社グループの想定を超えるウィルス感染やサイバー攻撃等により、重要データの破壊、改ざん、流出、システム停止等を引き起こす可能性があり、その脅威は年々高まっております。また、在宅やリモートワークなど多様な働き方により、影響の範囲は大きくなっております。その結果、これらが発生した場合、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
これに対し当社グループは、これら情報の取扱いに関するルールを整備し、社員をはじめ委託先を含む関係者への教育・啓発活動の推進に加え、高度化する社外からの脅威に応じそれら対策の強化を行っております。また、運営する情報システムへのウィルス感染やサイバー攻撃によるシステム障害、社外への情報漏洩に対する虚弱性を定期的に診断し、対策を行っております。
6)企業に対する出資等
当社グループは、持続的に企業価値を向上させていくために企業に対するM&Aや出資等を行っております。その実施にあたっては、事前に対象企業の財務内容や契約内容等の審査を行い、リスクを検討したうえで決定しております。また、出資後は利益計画等の達成状況や、資産価値についての定期的なモニタリングを実施しております。しかしながら、事業環境の変化等により、当初想定していた成果が得られないと判断された場合には、有形固定資産やのれん等の無形固定資産、投資有価証券の減損損失を認識することにより、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
これに対し当社グループは、減損損失の発生リスクを低減するために、外部アドバイザーからの知見も取り入れながら、投資案件の審査プロセスやモニタリングプロセスを運用し、その継続的な改善に取り組んでおります。また、投資推進に関連する組織へのM&Aや出資に係る知見の蓄積、及び一般社員への教育・啓発活動を通じて、投資に係る能力の向上に努めております。
(3) その他リスク
1)自然災害、感染症等
当社グループは、国内外に事業所や工場を有しております。近年の気候変動に伴う自然災害の大規模化や、これまでに類を見ない感染症の発生などによる想定を超える規模の被害や、広域での社会インフラの停止なども考えられます。このような災害や感染症などが発生した場合のリスク全てを回避することは困難であるため、これらが発生した場合、事業活動の一部停止や縮小など、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
これに対し当社グループは、このような自然災害や感染症などの発生に備え、事業の継続や早期復旧を図るために必要な対策・手順について計画を立て、危機管理の徹底に取り組んでおります。また、計画内容は継続的に精査・見直しを行い、その実効性を担保するようにしております。自然災害については、施設・業務に安全対策を講じることで危機の事前回避と災害対策品の備蓄・保険等の付保により危機発生時における対応力の向上に努めております。感染症については、顧客と社員の安全を図りつつ、事業活動への影響を最小限にとどめるよう努めております。
特に、日本を含む全世界的な新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響はワクチン接種の拡大などにより徐々に緩和され、当社グループの事業活動における影響も同様に緩和されつつあるものの、引き続き不透明な状況が続くものと見込んでおります。また、今後の景気動向の見通しも非常に不透明で、景気の悪化が全世界的に長期にわたる可能性があります。これに対して当社グループは、早期に代表取締役社長を本部長とする新型肺炎対策本部を設置し、「顧客と社員・パートナーの安全の優先」と「社会への感染拡大防止への協力」を目的とした対策を進めております 。
社員の安全確保のガイドラインを策定し、働く場所やコミュニケーション方法を柔軟に使い分けることで政府・社会からの要請に応えると共に、オフィスにおいては、引続き社会的距離の確保、日常清掃、消毒、マスク着用等の感染予防策を徹底しております。
当社グループは引続き顧客及び社員・パートナーの安心安全を第一に、社会インフラを提供する企業として事業継続との両立を目指し取り組んでおります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります
また、当連結会計年度より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。
(1)経営成績
(単位:百万円)
|
2021年12月期 |
2022年12月期 |
増減率(%) |
||
補正前 |
補正後 |
補正前 |
補正後 |
||
売上高 |
320,170 |
292,617 |
300,929 |
△6.0 |
2.8 |
営業利益 |
20,004 |
19,907 |
19,321 |
△3.4 |
△2.9 |
経常利益 |
16,415 |
16,415 |
21,355 |
30.1 |
30.1 |
親会社株主に帰属する当期純利益 |
13,703 |
13,703 |
18,375 |
34.1 |
34.1 |
(注) 当連結会計年度の期首より、「収益認識に関する会計基準」等を適用しております。前期に係る各数値につき
ましては補正した数値も表示しております。
当連結会計年度(2022年1月1日から2022年12月31日まで)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス影響からの経済正常化の動きは続いているものの、中国におけるロックダウン影響やウクライナ情勢の長期化、急激な円安による資源価格及び原材料価格高騰の影響を大きく受けております。
このような状況のもと、当社グループは、「長期ビジョンCCC2030」実現に向けて、既存事業のブラッシュアップと領域拡大による成長を目指す第3次中期経営計画「Field Expansion 2024」において、既存事業からのリソース再配分や戦略経費支出の積極化など、事業領域の拡大に向けた取り組みを推進しております。
当社グループを取り巻く経営環境は激変しておりますが、事業環境や顧客ニーズの変化に柔軟に対応することで、引き続き強い競争力を発揮できているものと考えております。
売上高は、ファニチャー事業が期初目標未達となった影響及びステーショナリー事業における上海ロックダウン影響により前年同期比2.8%増の3,009億円となりました。売上総利益は鋼材を中心とした原材料価格の高騰影響を受けたものの、商品価格改定の浸透等の取り組みにより前年同期比2.8%増の1,166億円、売上総利益率は、38.8%と前年同期に引き続き高い水準を維持しました。販売費及び一般管理費は、前年同期比4.0%増の973億円、売上高販管費率は、前年同期比0.4ポイント上昇の32.3%となり、事業領域拡大に向けた積極的な戦略経費支出を推進することができました。
以上により、営業利益は、前年同期比2.9%減の193億円となりました。経常利益は、前連結会計年度に持分法適用関連会社であったぺんてる(株)にかかる減損損失50億円を営業外損失として計上した反動等により、前年同期比30.1%増の213億円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、ぺんてる(株)にかかる投資有価証券売却等により、前年同期比34.1%増の183億円となりました。
なお、当連結会計年度の期首より、「収益認識に関する会計基準」等を適用しております。増減率につきましては前期に係る各数値を同様の基準で補正したものと比較しております。
セグメントごとの経営成績は、以下のとおりであります。
当社グループは、「長期ビジョンCCC2030」の実現に向けて、自らの社会における役割を「WORK & LIFE STYLE Company」と再定義し、「働く」「学ぶ・暮らす」のドメインで、文具や家具だけにとらわれない豊かな生き方を創造する企業となることを目指し、2022年12月期から事業領域を「ワークスタイル領域」と「ライフスタイル領域」の2つに整理し、報告セグメントを「ファニチャー事業」「ビジネスサプライ流通事業」「ステーショナリー事業」「インテリアリテール事業」の4つに変更しております。
ワークスタイル領域では、新型コロナウイルス感染拡大によって定着した働く場の分散と働き方の多様化により定着したハイブリッドワークにおける新しいニーズに着目しております。
ライフスタイル領域では、学びや生活の道具におけるライフスタイルツールにおいて、より自分らしく生きることへのこだわりのニーズの高まりに着目しております。
前年同期の数値は変更後のセグメント区分に組み替えて分析しております。
(ワークスタイル領域)
・ファニチャー事業
ファニチャー事業は、働き方の変化に伴うオフィスリニューアル需要の獲得と、デジタルや内装など事業領域の拡張をベースに増収増益に向けてコクヨ全社の業績を牽引することを目指しております。
日本では、ニューノーマルな働き方による市場の変化を捉え、オフィスの新築及びリニューアル市場攻略のため、顧客へ新たな働き方に向けたオフィスづくりの提案へ注力しておりますが、経済環境の変化に伴い、当期中に実現に至る案件が期初想定を下回りました。
中国では、非日系顧客へ向けて、日本で培った知見を活かしたワークスタイル提案に注力し、上海ロックダウン影響を受けたものの、今後も成長が見込まれる市場へ販売活動を推進しております。
このような状況のもと、売上高は、前年同期比0.9%減の1,348億円となりました。営業利益は、前年同期比5.8%減の167億円となりました。
・ビジネスサプライ流通事業
ビジネスサプライ流通事業は、新型コロナウイルス感染拡大をきっかけにEC購買が広がった通販市場の成長をベースに、ECマーケティングの強化により、顧客数の拡大による増収と収益性の改善に取り組んでまいります。
カウネットは、伸長するEC市場における成長機会獲得に向け、新規顧客獲得施策の実行や非オフィス市場での売上高拡大等の取り組みを推進しております。顧客のオフィス出社率の回復に伴う顧客の購買単価の上昇や価格改定の浸透等により、大企業向け購買が好調に推移しました。
代理店販売は、顧客の購買行動のEC等への切り替えが継続し、業績は弱含みに推移しておりますが、流通基盤の統合とお客様にとって最適な販売体制の構築を図るマイグレーション戦略を推進し、収益性の改善に寄与しております。
このような状況のもと、売上高は、前年同期比2.0%増の953億円となりました。営業利益は、前年同期比27.8%増の32億円となりました。
(ライフスタイル領域)
・ステーショナリー事業
ステーショナリー事業は、SNSなどを通じた自己表現ニーズの高まりにより付加価値文具市場が拡大する中で、国内の既存事業のブラッシュアップに加えて、国内外でデジタルマーケティングの強化に取り組んでまいります。
日本では、BtoB市場における需要低迷が続いておりますが、BtoC市場はノートや文具を中心とした付加価値の高い注力商品の販売強化へ取り組んでおります。原材料価格高騰の影響等により、事業環境は厳しい状況が続いておりますが、事業リソースの最適化等を通じて収益性の改善に取り組んでおります。
中国では、上海ロックダウン影響により、一時的にサプライチェーンが大きな影響を受けましたが、女子中高生をターゲットとした女子文具需要は好調に推移しております。
インドでは、原材料価格高騰影響は続いているものの、商品価格改定の実施や学校再開に伴う学生向け文具販売の需要回復により、好調に推移しております。
このような状況のもと、売上高は、前年同期比7.9%増の784億円となりました。営業利益は、前年同期比11.8%増の67億円となりました。
・インテリアリテール事業
インテリアリテール事業のアクタスは、巣ごもり需要だけでなく、住空間への新たなニーズを取り込むために、店舗とECを統合したマーケティング戦略(OMO、Online Merges with Offline)に取り組んでまいります。
年末年始のセールや春先に行うキャンペーン企画等を通じた販売促進活動が奏功したほか、EC事業が好調に推移しました。
このような状況のもと、売上高は、前年同期比9.3%増の197億円となりました。営業利益は、前年同期比15.1%増の10億円となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
①生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
生産高(百万円) |
前年同期比(%) |
ワークスタイル領域 ファニチャー事業 |
18,295 |
129.0 |
ライフスタイル領域 ステーショナリー事業 |
28,976 |
117.7 |
合計 |
47,271 |
121.8 |
(注)1 金額の表示は製造原価による。
2 ビジネスサプライ流通事業及びインテリアリテール事業は生産活動を行っていないため、記載を省略している。
②受注実績
当社グループは、主に見込生産を行っておりますが、ファニチャー事業の一部について受注生産を行っております。
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
ワークスタイル領域 ファニチャー事業 |
7,681 |
- |
2,330 |
- |
(注) 金額の表示は販売価格による。
③販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
ワークスタイル領域 |
221,228 |
- |
|
|
ファニチャー事業 |
132,702 |
- |
|
ビジネスサプライ流通事業 |
88,526 |
- |
ライフスタイル領域 |
79,486 |
- |
|
|
ステーショナリー事業 |
59,815 |
- |
|
インテリアリテール事業 |
19,670 |
- |
その他 |
214 |
- |
|
合計 |
300,929 |
- |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去している。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がないため、記載を省略している。
3 当連結会計年度の期首から「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用している。このため前年同期比は記載していない。
(2)財政状態
当連結会計年度末の総資産は3,371億円となり、前連結会計年度末に比べ125億円増加しました。
流動資産は2,150億円となり、前連結会計年度末に比べ118億円増加しました。主な要因として、受取手形、売掛金及び契約資産が50億円、商品及び製品が44億円、原材料及び貯蔵品が19億円、それぞれ増加した一方、現金及び預金が22億円減少したためであります。
固定資産は1,221億円となり、前連結会計年度末に比べ7億円増加しました。主な要因として、無形固定資産が88億円、有形固定資産が15億円、それぞれ増加した一方、投資有価証券が94億円減少したためであります。
当連結会計年度末の負債は974億円となり、前連結会計年度末に比べ29億円増加しました。主な要因として、支払手形及び買掛金が14億円増加した一方、未払法人税等が51億円減少したためであります。
当連結会計年度末の純資産は2,397億円となり、前連結会計年度末に比べ96億円増加しました。主な要因として、利益剰余金が121億円増加した一方、その他有価証券評価差額金が12億円、自己株式の増加により10億円、それぞれ減少したためであります。
(3)キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、983億円と前連結会計年度末に比べ22億円の資金減となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により獲得した資金は95億円(前年同期比122億円の収入減)となりました。これは、主として税金等調整前当期純利益233億円、減価償却費66億円の資金収入等があった一方、法人税等の支払額100億円、棚卸資産の増加56億円、投資有価証券売却損19億円、売上債権の増加13億円の資金支出等があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により支出した資金は33億円(前年同期は25億円の収入)となりました。これは、主として関係会社株式の売却による収入79億円、投資有価証券の売却による収入20億円、有形固定資産の売却による収入11億円の資金収入等があった一方、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出84億円、設備投資による支出55億円の資金支出等があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により支出した資金は89億円(前年同期比60億円の支出減)となりました。これは、主として自己株式取得のための預託金の減少10億円の資金収入等があった一方、配当金の支払額61億円、長期借入金の返済による支出17億円、リース債務の返済による支出12億円、自己株式の取得による支出10億円の資金支出等があったことによるものであります。
(資本の財源及び資金の流動性)
運転資金及び投資資金につきましては、内部留保のほか金融機関からの借入により調達しております。また、当社グループにおいてキャッシュ・マネジメント・システムを導入し、グループ内資金の効率化を図ると共に緊急時の資金調達手段の確保を目的として、取引銀行10行と130億円の貸出コミットメント契約の締結により資金の流動性を確保しております。
資金需要の動向につきましては、主な使途として、事業領域拡大に向けた戦略投資、原価低減のための設備改善並びに新製品開発投資、製品の製造・販売に係る費用及び製品の品質向上等となります。
(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(5)経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
取得による企業結合
当社は、HNI Hong Kong Limited (現社名Kokuyo Hong Kong Limited)の全株式を取得する契約を2022年7月21日付で同社及び同社の株主との間で締結しました。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。
ぺんてる株式会社の株式譲渡及び同社との業務提携
当社は、2022年9月30日開催の取締役会において、プラス株式会社(以下、プラス)との間で当社が保有するぺんてる株式会社(以下、ぺんてる)の全株式をプラスに譲渡すること、併せてぺんてるとの間で海外文具市場における事業拡大を目的とした業務提携契約を締結することを決議しました。
当社グループの当連結会計年度における研究開発費の総額は、
1.ファニチャー事業
新型コロナウイルスをきっかけに、ハイブリッドワークなどのさまざまな働き方が増え、オフィスはこれまで以上に、メンバーとのコラボレーションや相乗効果を生み出す場としての役割を求められております。
それに伴い、オフィスの空間や家具は、レイアウトや使い方に柔軟に対応できる「可変性」と「サステナブル」が必要とされているなか、以下の商品開発を行いました。
(1)ココロ弾むオフィスをつくる「Any way(エニーウェイ)」シリーズ
「Any way」は、コミュニケーションを加速させる機動性、気分を高めるカラーリングとシンプルなデザインが特長の家具シリーズです。『グッドデザイン賞BEST100』や『iF Design Award』など各国のデザイン賞を受賞したAnyチェアーを中心にハイスツール、おおらかな座面の2人掛けハイベンチ、薄型天板や細径脚といった、細部までこだわったノイズレスなデザインのテーブル、使用シーンにあわせて自由に動かせ、組み合わせ自在なユニットソファーで構成。本体と同色でデザインしたキャスターを装備することで、チェアーはもちろん、ハイテーブルやソファーまでも簡単に動かすことができ、空間をダイナミックに変えることができます。
(2)可変型ソファー「OSFA(オスファ)」
「OSFA」は、使い方やシーンに合わせて選べる機能とデザインが備わる可変型ソファーです。
在宅勤務やテレワークの導入が進むなかで、社員同士のコミュニケーションの活性化を目的に、ゆったりとした雰囲気の中で仕事ができるオフィスラウンジを増やす企業が増えています。パーツを自由に組み合わせて、お好みの形状のソファーを作ることができ、アクティビティに合わせて変更が可能です。背もたれやカフェテーブルは取り外しや移動が容易で、購入後も部材の買い足しや交換により、新たなソファーに変身させることが可能なロングライフ設計です。
(3)働く空間にやさしく馴染むカジュアルチェアー「Liite(リーテ)」
「Liite」は、リビングライクなデザインでありながら、背座を傾けることができるチルト機構と包み込み感のあるシェル形状で、長時間の作業をしっかりサポートする「働く」に適した機能も強化したチェアーです。環境保全に配慮した設計を取り入れており、汚れやすい背クッションは、簡単に交換可能のため、永く良い状態でお使いいただけます。さらに背部分の樹脂シェルの素材は、バイオマスプラスチックを使用しており多様化するワークスタイルやインテリアに柔軟に対応しつつ永く愛用できる、サステナブルなカジュアルチェアーです。
(4)ラウンジチェアー・テーブルシリーズ「yuimori(ユイモリ)」
当社は2006年から高知県の大正町森林組合(現在の四万十町森林組合)とともに、「結(ゆい)の森プロジェクト」として森林保全活動を行っています。このプロジェクトにより育まれた木材をはじめ、国産木材の活用を通じて人と自然がより良く共生する社会へ貢献することを目指す木製家具ブランド「yuimori」を立ち上げ、知見をもつパートナーとともに開発を進めてまいりました。「yuimori」の第一弾シリーズであるラウンジチェアー・テーブルシリーズは、国産木材を活用した美しく存在感のあるデザインと、オフィスで使える品質が特長の製品です。また、適切な廃棄ができることを意識した設計を行っています。
(5)可動式ブース「WORKPOD FLEX(ワークポッドフレックス)」2人用・4人用
「WORKPOD」は電話やWeb会議、作業に最適な個室型のブースです。コロナ禍を受けて、ソーシャルディスタンスの確保や急増したWeb会議での音対策が求められるなかで、「WORKPOD」は2020年7月の発売開始以来、安心で快適なワークスペースとしてたいへん好評を頂き進化をし続けております。「WORKPOD FLEX」は、明快なデザインと豊富なカラーバリエーションで空間やレイアウトに合わせやすいスタンダードモデルで、新たにWeb会議や少人数でのミーティングに最適な2人用と4人用を開発しました。扉の開き(左右)、本体背面のガラス仕様・パネル仕様を選択できるほか、本体カラー10色、内装カラー4色、ソファーカラー6色の豊富なバリエーションから空間やレイアウトに合わせてお好みの「WORKPOD」にアレンジが可能です。利用時は常に換気された状態が保たれワーカーが安心・快適に使用できる性能を有しています。
以上の結果、当連結会計年度における研究開発費の金額は、
2.ビジネスサプライ流通事業
当連結会計年度における研究開発費の金額は、
3.ステーショナリー事業
顧客のシーンごとに未充足ニーズを見出し、当社ならではの価値ある商品、差別化された商品を世の中に出すことで、お客様に支持され続ける商品づくりを目指しております。
際立った価値を提供できる商品や、新たな着眼点で既存の商品の価値を見直すことにより顧客ニーズに応える商品として、以下の商品を開発・発売しました。
(1)テレワークの増加に伴う新たなニーズに対応する「BIZRACK」シリーズ
新型コロナウイルス感染拡大を背景に近年急速に拡大したテレワークによる働く場所の選択肢の増加に伴い発生した新たなニーズに応えるワークツールシリーズです。通勤・移動時の書類や小物の持ち運び、在宅勤務時のワークツールの収納に注目し、A4書類と小物を2つ折りにして持ち運べるクリヤーブックや、筆記台付きのPCスタンドなど計7アイテムをラインアップしました。いずれも働くシーンにも暮らすシーンにもなじみやすいカラーバリエーションとしています。
(2)切り心地を正直に追求した高級ハサミ「HASA」
切れ味を洗練させたコクヨ独自設計刃(※HASA-001、002のみ)と、使い心地を追求したハンドル、暮らしに調和する美しい外観が特長の、愛着を持って永く付き合える道具になることを正直に追求した高級ハサミです。刃は、耐久性の高い2段刃付けで、刃同士の接触面積を減らす加工などによって、開閉の軽さ、切り心地の良さを追求。また、製造は刃物作りに100年の歴史を持つ貝印株式会社に委託し、同社のベトナム工場で1本1本丁寧に仕上げられています。バリエーションは、切りたいものの種類や使用シーンに合わせ、「強力」「強力・ロング」「紙・工作用」の3種を用意しています。
(3)書類がすっきり分けられるクリップホルダー
医療・介護現場での立ち仕事におけるニーズから生まれたクリップボードです。A4書類を3つのポケットに仕分けできる3段ポケットや、立ちながらの作業でも片手で書類が出し入れしやすいよう端が浮いたポケット、奥の書類が取り出しやすいインデックスなど現場で使いやすい機能が搭載されています。このような機能が好評で、発売から9か月で目標の2倍以上の国内販売数を達成。『2022年度グッドデザイン賞』の受賞や、GetNavi主催『文房具総選挙2022』(ワン・パブリッシング)での、総合3位、「記録する」部門1位獲得など、大きな反響を受け、より広いシーンでの使用が可能な黒色も2022年11月にラインアップに追加しました。
(4)テープのり<ドットライナーフリック>
内部設計の最適化により、業界最小クラスの本体サイズを実現したつめ替えタイプのテープのりです。キャップにはバネを内蔵した新機構の「フリックキャップ」を搭載することにより、横方向に開閉させ、ペンケースの中でキャップが開いてしまうことを防ぎながら、使用時はワンアクションでスムーズに開けることを可能にしています。のり面にホコリやごみがつきにくいフルカバーキャップと、テープ長さ12mの容量ながらコンパクトな仕様は、ペンケースに入れて持ち運んで使うことが多い学生にも使いやすくなっています。
(5)「キャンパス ノートのように使えるバインダー」(2×2リング)
筆記後にページを自由に差し替えられるバインダーノート本来の良さはそのままに、リングが上下に分かれていることで、ルーズリーフを抜き差しせず綴じたまま筆記をしてもリングが手に当たりにくく、ノート感覚で使えるバインダーノートです。最大40枚の収容を可能としながら、スリムな設計を実現し、薄くて軽いので、教科ごとにバインダーを分けるという複数教科持ちがしやすくなっています。
(6)タイトルブレーンクロス
顧客へ提出する資料や共有資料を多く扱う建設・工事業、官公庁・福祉、製造、サービス等の業界を中心に、見栄えも良く、作業効率も良いとの理由から根強い需要のあるラベルプリンタの従来品「タイトルブレーン2」を全面リニューアルし、機能を強化しました。従来品に比べ印刷時間を約20%削減しただけではなく、キーボードや液晶画面の改良、予測変換機能を搭載し、長文入力がしやすくなりました。また、100種類以上のコクヨラベルに対応しており、1台で入力・編集・印刷まで完結します。
以上の結果、当連結会計年度における研究開発費の金額は、
4.インテリアリテール事業
当連結会計年度における研究開発費の金額は、
5.全社(共通)
次世代の働き方や学び方の研究をベースにコクヨグループの新たな商品やサービスに関しての開発を行い、当連結会計年度における研究開発費の金額は、328百万円となりました。