文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、従来、新聞社を中心とした企業顧客に対して、顧客ごとにカスタマイズされた情報システムの構築、運用及び保守を提供する業務を中心に行ってまいりました。しかしながら、近年のITクラウドプラットフォームの急激な進化・拡大により、これを活用して、汎用的に利用できる情報システムを構築し、複数の顧客に提供するITサービスとして展開することが、当社グループの競争力を維持、強化する上で重要と考えております。また、当社の顧客においても、従来の大型システム投資から、クラウド化によるシステムの共通運用を図る動きが現出しており、当社としてもこうした顧客ニーズへの対応を図っていく方針であります。
当社グループには、メディア業界向けシステムの構築で培った、システム間の連携や画像処理などの知識・経験に強みがあり、また中国・武漢のオフショア開発拠点にて優秀なIT技術者を多数擁し、高品質なシステムを低コストで提供することが可能であります。
また、新聞社等のメディア領域の顧客以外に、ヘルスケア領域等の新たな領域の顧客獲得を図ります。さらに、当社グループのIT技術力を活かした顔認証システム活用事業、新たな領域におけるクラウドサービス事業等の新規事業の展開も積極的に行っていきます。
当社グループの経営基本方針により、顧客ごとにカスタマイズされた情報システムの構築サービスから、クラウドを活用した汎用的なITサービス提供事業への転換を図っていきます。その結果として、数年に一度大規模なシステム開発案件を受注していたものが、一定の利用料等を毎月売上計上する形態に変化していくことが予想されます。しかしながら、当該事業は汎用サービスであり、個々のシステムに係る開発費・運用保守費を要しないため、利益率は向上することが見込まれます。したがって、当社グループとしては、売上総利益率を最も重要視する経営指標として考えております。
当社グループの主たる顧客基盤は、新聞社を中心とした紙媒体のメディア事業者にあります。近年は、一般事業者にも顧客基盤を拡充しておりますが、更なる事業基盤の拡充と収益源の多様化を推進するため、ヘルスケア領域のシステム開発事業等の新規事業への取り組みを進めていく方針であります。ヘルスケア領域においては画像処理技術が重要であり、当社が手掛けてきた印刷関連の画像処理技術と親和性があります。その取り組みの一環として、病院のDX(※1)化の推進や、当社が手掛けてきた印刷処理技術を応用した画像処理技術等を活かし、病院等で扱う各種画像のシステム化の推進等を図っていく方針であります。
上記方針を具体化するため、当社グループは、2018年2月にEPSホールディングス株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役:厳浩)と資本提携を開始し、業務的にも関係を深めていく方針を確認いたしました。同社は医薬品開発支援業務の領域で国内の大手企業であり、かつ本邦における病院等にも広く顧客基盤を有しておりますので、この資本提携を通じてヘルスケア領域の顧客開拓、事業拡大を図ります。また、2022年2月にメディカル・データ・ビジョン株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:岩崎博之)と資本・業務提携を開始しました。同社も医療情報統合システムの開発、製作、販売、保守業務等を営むヘルスケア領域の企業であり、今後同社が進めるシステム開発に当社グループが持つ画像処理技術を活かして、積極的に協力していく方針であります。
また、エンターテイメント業界におけるITサービス、IP斡旋などを事業内容とするSEVEN&EIGHT SYSTEM株式会社を子会社として2023年4月5日付けで新規設立し、さらに英語スピーキング評価AI「CHIVOX(R)」を活用したビジネスデベロップメントを事業内容とするアイード株式会社の全株式を2023年4月28日付けで取得し、子会社化いたしました。その他、当社グループで開発実績のある不動産業務システム、インターネット広告システム等については、機能を汎用化することにより複数の顧客に提供が可能であると思われるため、この領域での新規顧客獲得にも注力してまいります。
※1 DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、企業がビジネス環境の激しい変化に対応して、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズをもとに、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確保することであります。
当社グループが主事業とする情報システム業界においては、顧客ニーズの変化が早く、それに応じた技術革新も日進月歩で進んでおります。当社グループでは、IT技術が進む中国での技術革新も取り入れつつ、顧客ニーズに応じた技術革新に積極的に対応していく方針であります。こうした方針の具現化に向けては、本邦、並びに中国における優秀な人材の確保が課題でありますが、教育研修制度の充実、技術委員会による技術解決力の向上等人事諸政策の改善等に取り組み、積極的に人員の確保に取り組んでいく方針であります。
今後、日中両国において、さらなる人員の拡充に努めながら、開発拠点の拡充を図っていく方針であります。
当社グループは新聞業界を中心とした紙媒体のメディア業界向けに、組版システムなどのITサービスを永年提供している実績があります。一方で、紙媒体メディアの発行部数の減少を背景に、競合であった大手システム開発会社がこの領域に注力しなくなってきている状況にあります。当社は、組版システム事業から撤退する事業者を当社グループに組み込むことや、いわゆる残存者利益を享受し、事業の拡充・成長を成し、新聞業界等の紙媒体メディア事業者からは安定的な売上、利益を上げることができています。しかしながら、こうした紙媒体のメディア業界は中長期的に縮小していく傾向にあります。
一方で、情報通信産業の市場規模は2021年には52.7兆円(名目国内生産額ベース)(※2)であり、前年比較で0.8%の増加となっております。中長期的にも老朽化した既存システムの更新・刷新、企業のDX化推進に対するコンサルティングニーズの高まりやそれに伴うIT投資の増加、データの利活用の拡大に伴うセキュリティの強化、労働力不足を補う省人化投資への増加といった成長可能性を有する産業であります。当社グループはこうした市場ニーズをとらえ、紙媒体メディア業界向けの事業につづく新規事業を確立していくことが急務となっております。
※2 出典:総務省「情報通信白書令和5年版」
優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題としては以下の事項を認識しております。
安定した持続的な成長を続けるためには、顧客基盤の拡大が必要だと考えております。現在の主要顧客に対しては、これまでの長年の取引によって蓄積したノウハウと信頼関係をもとに、新たな領域の受注等、更なる深耕を図ります。加えて、ヘルスケア、不動産、インターネット広告等の既存優良顧客に近い業界をターゲットに、ノウハウや実績の横展開を図り、新たな柱となる主要顧客の拡大も目指してまいります。
お客様との信頼関係を構築するためには、常に安定した品質とサービスを提供し、お客様に安心して頂くことが重要になります。品質・サービスレベルの向上に向けて、社員教育、マネジメント向け教育を強化し、中核となるプロジェクトマネージャ(※3)を育成してまいります。加えて、プロジェクト管理の専門部署を通じて、受注前の見積り審査や受注後のプロジェクト進捗確認、および完成後の総括会等を行うことで、品質・サービスレベルの向上を図ってまいります。
※3 プロジェクトマネージャとは、システム開発案件における開発側の責任者のことを指します。
当社グループ事業を取り巻く環境は急速に変化しており、先進性を維持することが肝要と考えております。研究開発を確実に遂行すると共に、2020年に発足させた技術委員会をより充実させ、全社の技術レベルのさらなる向上を目指してまいります。
昨今は、1つのサービスをより多くのお客様にお届けすることが主流となっております。当社でもオーダーメイド製品からの脱却を図るべく、プロダクト化・サービス化を推進し、展開することが重要と考えております。既存取引先と取り組んでいる「新聞組版システムの共通化」を通じて、お客様のDXを牽引してまいります。また、当社自身のDXにも取り組み、ノウハウやコア技術を活用したプロダクト・サービスの展開に取り組んでまいります。
経営に対する公平性及び透明性の担保、また、会社経営を脅かす問題・違反を防止し、法令・企業理念が遵守できる組織にするために、経営管理体制・内部管理体制の強化が重要と認識しております。引き続き公平性と透明性、効率性、並びに、健全性を保つことができる組織を維持するために、コーポレート・ガバナンスの体制強化に取り組んでまいります。
働きやすい環境を整え、社員のワーク・ライフ・バランスやモチベーションの向上を図ることは、結果として社員の生産性や帰属性を高め、優秀な人材の確保に繋がると考えているため、働き方改革の推進を重要課題と認識しております。
ワーク・ライフ・バランスの観点からは、今まで推進してきた開発環境のクラウド化を引き続き推進し、物理的制約から社員を解放してまいります。モチベーション向上の観点としては、オンライン学習システムの導入や、中国拠点との人材交流を通じて社員のレベルアップを後押しし、達成感を感じられる職場となるよう取り組んでまいります。
既存事業の拡充、人材の獲得、関連技術の獲得及び新規事業への進出のため、M&Aや事業提携を推進してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。
当社グループは、企業活動を通じて、グローバルに社会課題の解決に貢献してこそ企業価値の向上が実現されると考えています。「持続可能な開発目標(SDGs)」における「ジェンダー平等」・「生涯学習の機会を促進する」をマテリアリティ(重要課題)として掲げ、取り組んでいます。
「女性活躍・男女共同参画の重点方針2023(女性版骨太の方針2023)」にて発表された女性管理職比率目標は30%です。当社の従業員の状況にもあるように、まだまだ低い状況であります。目標達成に向けて、女性が働きやすい職場環境の整備、教育機会の提供に取り組み始め、女性の活躍を推進してまいります。
連結子会社を含め、国籍・性別・障がい・スキル・職歴などを問わず多様な従業員が、「和して同ぜず」の企業文化のもと、事業を進めていくにあたり、当社グループでも多様性が重要な要素となります。異なる意見と出会ったときにお互いが納得して議論し、今までになかった新たな選択肢をうみだすことができるのが当社グループの企業文化の良さだと自負しております。そのためにも、柔軟な働き方や、一人一人がやりがいを持って働ける職場環境の整備、語学力・技術力に関するスキルアップの機会の提供を推進しております。
サステナビリティをめぐる課題は、代表取締役社長のリーダーシップのもと、管理本部を中心に議論を行い、方針や目標を策定・実行し、進捗を監督しています。
(2) 戦略
当社グループでは、社内環境整備方針として「対面コミュニケーションの環境整備と柔軟な働き方」を掲げております。当社は2023年6月から、改めて対面でのコミュニケーションの充実を図り、在宅勤務規程を改定しました。これにより、基本的には出社を前提としながらも、育児や業務上の都合などを考慮した柔軟な働き方を可能としています。
また、2022年からHOUSEI CAFEを隔週で実施しております。HOUSEI CAFEは、休憩室を活用し、他部署の従業員とも気軽に会話できるような場です。2023年からは、各部署が企画運営を担う機会も作り、毎度ユニークな企画により従業員の新たな一面を知ることができる場ともなっています。HOUSEI CAFEでは、技術、異文化理解、自己研鑽、そしてEラーニングの活用などについての情報交換も行っています。
人材育成方針としては「一人一人の能力の最大化と多様性による相乗効果の発揮」を掲げております。
日進月歩で技術が進化している業界において、従業員一人一人が日々学び続けることが不可欠です。また顧客ニーズや技術トレンドを読み、提案していく人材が当社の競争力とも比例し、最も重要な経営資源であります。
日々学び続ける従業員にさまざまなバックボーンがあることにより生まれた「和して同ぜず」の文化にも表れているように、多様性を事業に生かし、顧客提供価値を高めてまいります。
優秀な人材の採用・教育が、当社グループの成長と利益に大きく影響します。優秀な人材の確保や育成が想定外となった場合、事業計画の達成・システムやサービスの提供が困難になる可能性が生じる可能性があります。当社ではリスク管理規程を定め、執行役員会においてサステナビリティや人的資本に関するリスクを含めた経営リスク全般の分析と対策の検討を行っております。
「女性活躍・男女共同参画の重点方針2023(女性版骨太の方針2023)」にて発表された女性管理職比率目標30%に向けて、当社目標を以下のように掲げます。
目標達成に向けて、環境整備、研修、採用でのアプローチ等を行なってまいります。また、女性管理職・周囲の従業員へのヒアリングを通して、多様なモデルケースを作成します。研修や会社説明会で発信を行います。さらに、管理職候補の早期育成にも取り組みます。キャリア形成に関する面談を実施し、個々に応じてサポートしていきます。サポートとして、セミナー受講支援や女性従業員の繋がり作りを検討しております。
男性育児休業取得率については、「こども未来戦略方針」(令和5年6月13日閣議決定)における政府目標50%に向けて、当社目標を以下のように掲げます。
2022年に男性育児休業取得の実績ができ、2023年も継続して男性育児休業取得者がおります。取得者の声を社内報やコーポレートサイトで発信した結果、男性が育児休業を取る文化が、少しずつ醸成されています。育児休業取得者だけでなく、周囲のサポートも重要です。育児休業取得にあたっての情報発信やサポートできる体制作りを継続して行ってまいります。
女性管理職比率と男性育児休業取得率の実績につきましては、「第1 企業の概況 5 従業員の状況 (4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」をご参照ください。
当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があるリスク要因として考えられる主な事項には、以下のものがあります。必ずしも、そのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資家の判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
当社グループの連結売上高の48%は新聞社及び通信社から得ております(2023年12月期)。新聞業界はネット専業メディアとの競争により販売部数、広告収入とも減少傾向にあり、新聞社及び新聞社を顧客とする通信社は、中長期的には縮小していく業界であると予想されております。このような状況のもと、同業他社が事実上撤退していく方向にあるため、残ったプレイヤーである当社の新聞業界からの売上は増加傾向にありますが、中長期的には業界の縮小の影響を受けて売上が減少するリスクがあります。当社としては、新聞業界以外の顧客の開拓を通じて新聞業界からの売上比率を減少させ、新聞業界縮小のリスクを回避する方針でありますが、この他業界顧客開拓が想定通り進行しなかった場合、当社グループの売上高が減少するリスクがあります。
当社グループの事業は日本国内を主要市場としており、国内景気の低迷、経済情勢の変化等により、企業のIT投資及びDX投資の動向、競合状況等が変化し、大型案件の受注の成否、個別案件の進捗状況・採算性等が影響を受ける可能性があります。当社では新聞業界以外の顧客開拓にあたり、特定の業界に拠らない顧客基盤の開拓に努め、景気動向等による影響を低減させる方針でありますが、景気動向、投資意欲の減退等様々な要因により顧客からの需要が当社グループの想定するとおりに伸張しない場合、あるいは競合等により当社の顧客基盤が弱まる場合には、当社グループの業績・財政状態に影響が及ぶ可能性があります。
当社グループは中国・武漢にシステム開発子会社を有しており、顧客から受託したシステム開発の重要部分を中国子会社に開発委託しております。中国のシステム開発子会社に開発委託することは、品質、納期、コストの面で当社グループの競争優位性の源泉でありますが、将来の中国政府の政策変更により開発したシステムの輸出に規制がかかった場合や、日本側の顧客の方針により中国へのオフショア開発委託ができなくなった場合等には、当社グループの事業運営に支障が出るリスクがあります。
仮に開発したシステムの輸出や中国へのオフショア開発委託ができなくなったとしても、開発工程のほとんどを中国の開発拠点に依存しているということはなく、日本国内の開発パートナーで代替は可能であります。また、そのような場合には中国子会社の開発リソースが空いてしまう可能性があるため、それに備えて中国国内でのシステム開発案件の獲得を積極的に行っていく方針であります。
連結財務諸表を作成するにあたっては現地通貨を円換算する必要があり、換算時に使用する為替レートによっては当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、為替相場の変動は中長期的には平準化されるものと考え、為替予約等は行っておりません。
情報システム構築ビジネスは、一般的には請負契約によって受託することが多く、納期までに顧客の要求に沿ったシステムを完成・納品する完成責任を負っております。システムへの要求が一層高度化かつ複雑化すると共に、短納期の完成・納品が求められる中、開発作業の過程において、仕様の変更や何らかのトラブル等が発生し、予め見積もっていた作業時間を超える作業が発生した場合には、その超えた分の費用を当社グループが負担しなければならない場合があり、また、開発したシステムの検収完了後に不具合が発生した場合においても、その解消を当社グループの費用負担で行わなければならない場合があります。したがって、これらの事象が発生した場合には、予め見積もった費用を超える費用を当社グループが負担し、システム開発案件の採算性が悪化することとなります。さらに、顧客からの損害賠償請求、当社グループの信用失墜等の事態を招き、当社グループの業績に一定の影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクが顕在化する可能性は低いものの、リスクは常に存在すると認識しております。
当社グループは、契約上でリスク回避に努めると共に、契約前にプロジェクトのリスク洗い出し、適切な進捗管理を行うことでトラブルや赤字発生の抑止に努めております。
また、請負契約においては、原則として一定の期間にわたり充足される履行義務として、進捗度に基づき売上を計上しておりますが、一部の案件については一時点で充足される履行義務として、顧客の検収に基づき売上を計上しております。当社グループは、プロジェクトごとに進捗管理を行い、計画通りに検収が行われるよう努めております。しかし、プロジェクトの進捗状況により、顧客の検収時期が当初計画と乖離した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、新聞業界以外への顧客開拓を進め、また新規事業としてAI顔認証ソリューションシステム等の製品開発等に注力しております。当社グループでは、中国国内のグループ会社リソースを活用して、コスト面、納期面、品質面等において差別化を図る方針であります。しかしながら、当社グループと同様の情報システム構築サービスを提供する事業者の参入や、当社が企図する業界への大手事業者の参入、競合事業者の価格競争力、サービス開発力、新たな技術やビジネスモデルの参入等により、当社グループのサービス内容や価格・技術に優位性がなくなった場合、当社グループの事業や業績、財政状態に影響を与える可能性があります。
また、新聞業界の分野においても、引続き顧客ニーズに応え、サービス展開を図っていく所存ですが、今後他社が参入し、当社の技術優位性やコスト優位性がなくなる等の事象が生じた場合には、当社グループの事業や業績、財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループが属する情報システム業界では、技術革新や顧客ニーズの変化の速度が非常に速く、極めて激しい開発技術競争や販売競争が行われております。当社グループが予期しない技術革新や顧客ニーズの急激な変化への対応が遅れた場合や、想定を上回る速度での技術革新や新技術が現出した場合、あるいは当社グループが提供する技術力・サービスが陳腐化した場合には、当社グループの競争力の低下を引き起こし、当社グループの事業や業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、常に最新の技術動向や市場動向を分析し、新技術や製品の研究開発に努め、製品サービスの競争力向上に取り組むことで、技術や顧客ニーズの変化に対応しております。
当社グループは、事業規模の拡大と収益源の多様化を実現するために、ヘルスケア領域のシステム開発事業等の新規事業への取り組みを進めていく方針であります。これにより、人材の確保や情報システムへの投資など追加投資が発生し、損益が悪化する可能性があるほか、新規事業が安定して収益を生み出すまでには一定の期間と投資を要することが予想され、全体の利益率を低下させる可能性があります。当社グループでは、新規事業の開始や投資に当たっては、事業性の検証、投資回収方針等を吟味したうえで計画・方針を策定しておりますが、将来の事業環境の変化等により、新規事業が当初の計画通りに推移せず、新規事業への投資に対し十分な回収を行うことができなかった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、本邦での事業活動を行うにあたり、個人情報保護法のほか、労働者派遣法第5条に基づく労働者派遣事業許可を受けて事業展開を行っております。また、子会社の24ABC株式会社では、資金決済法について、現在は規制対象ではありませんが、将来的には規制を受ける可能性があります。当社グループでは、社内の管理体制の構築等によりこれら法令を遵守する体制を整備しているとともに、規制当局の動向及び既存の法規制の改正動向等を踏まえ、適切に対応していく予定でありますが、かかる動向を全て正確に把握することは困難な場合もあり、当社グループがこれに適時適切に対応できない場合や、規制等の新たな制定又は改定が行われた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは知的財産権の取扱いについて、第三者の知的財産権に抵触しないよう、外部専門家との連携を行う等の細心の注意を払っており、知的財産権の侵害を行っていないと認識しております。しかしながら、第三者の知的財産権の状況を完全に調査することは極めて困難であり、知的財産権侵害とされた場合には、損害賠償の請求、当該知的財産権の使用に対する対価の支払いまたはサービスの停止等が発生する可能性があり、その際には当社グループの事業展開や業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、第三者の知的財産権を侵害しないよう、必要に応じて専門家と連携を取りリスクの軽減を図っております。
当社グループでは、社内基準に従い個人情報をはじめとする顧客の重要情報を管理し、その情報の外部漏洩防止に関して、情報資産に対するセキュリティ管理、情報管理に関する従業員への教育、外部委託先との機密保持契約等を行い、当社グループからの情報漏洩を未然に防ぐ措置を講じております。こうした情報管理体制構築に際しては、システム管理や個人情報保護に係る社内規程の整備や、内部監査における運用状況の監査を行うほか、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の認証取得並びに運用を図り、情報管理体制の強化に努めております。また、コンピュータウイルスの感染による情報の漏洩、人的被害についても、当社グループでは社内にシステム管理業務を行うセクションを設置し、開発環境面におけるコンピュータウイルス感染防止ソフトウエアの導入をすると同時に、最新ウイルス情報の配信、定期的なウイルスチェック等の対策をとっております。しかしながら、こうした対策にもかかわらず、当社グループから万一顧客の重要情報が漏洩したり、不正使用されたり、さらにはそれに伴う損害賠償責任が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループのシステム開発事業における製品及びサービスの提供につきましては、当社グループが開発したシステムが良好に運用され、機能が維持できることが前提となっております。当社グループの責に帰すべき事由で、当社グループが開発したシステムに不具合(誤作動、バグ、納期遅延等)が生じた場合、原則として損害賠償額の上限を開発委託料とする契約を締結しております。しかしながら、かかる損害賠償責任の発生やユーザーの当社グループに対する信頼喪失により、当社グループの将来の業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループはシステム開発において、顧客との間で主に請負契約を締結しております。当該契約には、一般に顧客による受入検査に基づく検収の後にも必要に応じて一定期間無償で不具合(いわゆるバグ)の補修のための役務の提供を実施する旨を約した瑕疵担保条項が含まれております。このような売上計上後の追加費用の最大の発生要因である不具合は完全に解消することは困難であり、当社グループとしては不具合発生の低減のために、開発の進捗管理体制を強化し、品質維持及び向上に注力しておりますが、実際のプロジェクトで発生した不具合等の補修費用が見積額を超える場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社の情報システム開発業務においては、受注時期や顧客への納期のタイミング等により、売上が下期(特に第4四半期)に偏る傾向があります。また、年間を通じて固定的に発生する費用等は上期にも発生するため、利益についても下期(特に第4四半期)に偏重する傾向があります。当連結会計年度においては、売上の27%、営業利益の37%、経常利益の33%、親会社株主に帰属する当期純利益の39%を第4四半期連結会計期間に計上しております。
当社グループでは、璞華国際科技(武漢)有限公司の事業所用建物、クラウドサービス基盤の事業用資産等のほか、2018年1月に中国および日本で譲り受けたシステム開発事業に係るのれん及び2023年4月に日本で子会社化したアイード株式会社の英語スピーキング評価AIを活用したビジネスデベロップメント事業に係るのれんを保有しております。固定資産については、適切な評価を行っておりますが、固定資産の損傷、事業活動の悪化等が生じた場合には多額の減損処理を必要とする場合があり、その場合には当社グループの事業活動や業績、並びに財政状態に影響を与える可能性があります。
2023年12月31日現在において、税務上の繰越欠損金が存在しております。当社グループの事業が順調に推移することにより、繰越欠損金が解消した場合には、通常の基準に基づく法人税、住民税、事業税が計上されることとなり、当社グループの業績、キャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。
当社の代表取締役社長である管祥紅は、当社設立以来一貫して当社グループの代表を務めており、当社グループの経営方針及び経営戦略全般の決定、経営管理及び利益計画の推進等、会社運営の各方面の業務に大きく関与しております。当社グループでは、特定の人物への依存度を低下させるべく、事業責任者、開発責任者等に30~40代の若手を抜擢し、若手への権限委譲を通じて管祥紅への依存度を低下させるなど組織的な業務体制の整備に努めてはおりますが、近い将来に管祥紅が完全に当社グループの経営から離れた場合又は業務を遂行できないような事態となり、他の人的資源によって代替できない場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
システム開発事業で要求される技術はますます多様化・複雑化することが予想され、優秀な技術者を確保することは当社グループの事業の成長にとり極めて重要であります。当社グループの業容拡大には、今後とも高い技術水準を有し経験豊富な技術者を多数確保する必要があります。しかしながら、日中双方において先進的な技術者の獲得を巡る競争は厳しく、かつ当社グループが要求する技術レベルを有する技術者は限られていることから、必要な技術者の確保が困難となる可能性があります。当社グループといたしましては、報酬、福利厚生等の充実、インセンティブプラン導入や、先進技術の導入による技術者の知的満足の充足等に努め、常に優秀な技術者の確保と定着化を図る方針でありますが、今後当社グループの人員計画どおり技術者が確保できない場合や、技術者の大量の離職が生じこれに代わる技術者の代替確保ができない場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
また、中国ソフトウエア業界への発注量増加によって中国ソフトウエア技術者の人件費が高騰する傾向も見られ、今後も国内外問わず優良な外注先を安定的また継続的に確保できない場合、あるいは人件費が高騰した場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループは、当連結会計年度末現在、中国武漢市に子会社1社を配置しております。中国をはじめとした海外における事業展開にあたっては、現地の法令諸規則を遵守して事業展開を行っておりますが、現地の法令諸規則の制定または改正が行われた場合、政治情勢により事業運営に支障を来す事象が生じた場合、自然災害や伝染病が発生した場合、急激な為替変動が生じた場合には、当社グループの事業や業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、海外展開のリスクに関して、迅速な情報収集と適切な対応を検討するリスク管理体制を構築し、リスクの軽減を図っております。
北京大学系の企業集団として知られる北大方正集団は、当社の親会社でありましたが、2014年に当社の代表取締役社長である管祥紅がマネージメント・バイ・アウトを行って当社の100%株主となったため、当社と北大方正集団との資本関係は現在では解消されております。現在では、北大方正集団傘下の会社から中国語フォントの仕入取引を行っているほかは事業上、営業上の取引はなく、人的関係もありません。
また、管祥紅は前述のマネージメント・バイ・アウト時に蘇州方正璞華信息技術有限公司(現璞華科技有限公司)を設立し、同社が当社の親会社でありました。しかし現在では直接の資本関係は解消されております。同社とはソフトウエア製品の仕入取引、AI等の開発外注取引等を行っているほかは、特に重要な事業上または営業上の取引はなく、人的関係もありません。
新型コロナウイルス等感染症の拡大蔓延が長期化することで、顧客企業への訪問制限による商談機会の喪失、市場の環境悪化を背景とした顧客企業の新規投資抑制等により、受注の減少、売上の減少や利益率の低下、回収サイトの長期化等が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼし、成長スピードが鈍化する可能性があります。また、当社グループ内での感染拡大が発生した場合は、プロジェクトの遅延等、事業運営の一部に支障をきたす可能性があります。
当社グループでは、在宅勤務等の推奨や、社内でのソーシャルディスタンスの確保といった感染防止に向けた施策を講じることにより、事業継続に支障のない体制を整えております。
当社グループは、主に日本国内、及び中国武漢市周辺で事業を展開しており、地震・台風等の自然災害の影響や、火災、その他予期せぬ災害や、政変、戦争、テロリズム等による影響を受ける可能性があります。事業展開地域において大規模災害等が発生し、当社グループが人的及び物的被害を受けた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループが直接に被災しない場合においても、外部協力事業者への被災や、電力・交通などの社会インフラの喪失・能力低下、並びにそれらによる経済活動の停滞による顧客企業の事業活動低下等により、当社事業や業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、企業価値の向上を意識した経営の推進を図るとともに、役員及び従業員の業績向上に対する意欲や士気を一層高めることを目的として、当社グループの役員及び従業員等に対して新株予約権(ストック・オプション)を付与しております。また、今後においても当社グループ役員及び従業員の士気向上や優秀な人材の確保を図るため、継続的にストック・オプションの発行を実施していく予定であります。2024年2月29日現在において、これらの新株予約権による潜在株式数は217,300株であり、発行済株式総数7,094,200株の3.1%に相当します。今後、これら新株予約権が行使された場合には、将来的に既存株主が保有する株式価値の希薄化や需給関係に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度における当社グループ全体の売上高は、4,639,586千円(前連結会計年度比385,670千円増、同9.1%増)となりました。利益面については、営業利益は155,781千円(同29,018千円減、同15.7%減)、経常利益は204,309千円(同5,520千円増、同2.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は147,031千円(同12,326千円増、同9.2%増)となりました。
セグメント別内訳は次の通りです。
情報システム事業は当社、璞華国際科技(武漢)有限公司(旧 方株(武漢)科技有限公司)、SEVEN&EIGHT SYSTEM株式会社及びアイード株式会社で展開しております。売上高は4,459,386千円(同332,792千円増、同8.1%増)、営業利益は202,427千円(同33,093千円減、同14.1%減)となりました。
売上高の内訳は、メディア事業2,352,841千円(同84,228千円増、同3.7%増)、プロフェッショナルサービス事業1,871,929千円(同67,334千円増、同3.7%増)、プロダクト推進事業87,690千円(同47,542千円増、同118.4%増)、その他146,924千円(同133,687千円増、同1,010.0%増)であります。なお、前連結会計年度は進捗度に応じて収益を認識する未完成プロジェクト売上高の増減をその他に含めて計上しておりましたが、当期より案件ごとに各事業に配分して計上する方法に変更いたしました。上記の前連結会計年度比は、前連結会計年度の実績を当期と同様の計上方法に変更したものと比較しております。
越境EC事業は24ABC株式会社で展開しております。売上高は180,200千円(同52,877千円増、同41.5%増)、営業損失は46,645(前年同期は50,720千円の営業損失)となりました。
(資産)
当連結会計年度末における総資産は、4,716,648千円と前連結会計年度末から489,246千円増加しました。
流動資産は、主に受取手形及び売掛金が576,361千円、その他が231,772千円、契約資産が168,185千円、それぞれ増加した一方で、現金及び預金が745,178千円減少したことなどにより222,950千円増加して3,083,309千円となりました。なお、当連結会計年度より、前連結会計年度においては独立掲記していた前渡金、前払費用、短期貸付金をその他に組み替えております。
固定資産は、主にのれんが248,129千円、ソフトウエアが19,917千円、有形固定資産が18,029千円それぞれ増加したことなどにより266,748千円増加して1,633,339千円となりました。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末から256,721千円増加して1,529,973千円となりました。
流動負債は、主に短期借入金が270,000千円、1年内返済予定の長期借入金が134,050千円、その他が81,871千円それぞれ増加したことなどにより410,315千円増加して1,135,984千円となりました。なお、当連結会計年度より、前連結会計年度においては独立掲記していたリース債務、未払金、未払費用、前受収益をその他に組み替えております。
固定負債は、主に長期借入金が149,989千円減少したことなどにより153,594千円減少して393,989千円となりました。なお、当連結会計年度より、前連結会計年度においては独立掲記していたリース債務をその他に組み替えております。
(純資産)
純資産の部では、資本金が24,176千円、資本剰余金が24,176千円、利益剰余金が125,953千円、為替換算調整勘定が43,695千円、それぞれ増加したことなどにより、当連結会計年度末における純資産の部は232,524千円増加して3,186,675千円となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動によるキャッシュ・フロー支出が417,188千円、投資活動によるキャッシュ・フロー支出が639,851千円、財務活動によるキャッシュ・フロー収入が269,621千円となり、現金及び現金同等物に係る換算差額34,079千円を調整して、631,224千円(前連結会計年度末比753,338千円減少)となりました。
営業活動の結果支出した資金は417,188千円でありました。収入の主な要因は税金等調整前当期純利益203,877千円、のれん償却額103,019千円、減価償却費74,578千円などであり、支出の主な要因は、売上債権の増加額553,910千円、契約資産の増加額168,185千円、仕入債務の減少額66,285千円などであります。
投資活動により支出した資金は639,851千円であり、その主な要因は事業譲受による支出270,000千円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出268,582千円などであります。
財務活動により得られた資金は269,621千円であり、その主な要因は短期借入れによる収入270,000千円、長期借入れによる収入100,000千円、株式の発行による収入48,353千円、長期借入金の返済による支出125,950千円、社債の償還による支出30,000千円などであります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間取引については相殺消去しております。
2.金額は、製造原価によっております。
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)金額は、仕入価格によっております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)セグメント間取引については相殺消去しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものであります。
財政状態の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況 ② 財政状態」をご覧ください。
当連結会計年度の売上高は4,639,586千円と前年同期と比べ385,670千円(9.1%)の増収となり、売上原価は3,408,499千円と前年同期と比べ308,538千円(10.0%)増加いたしました。その結果、売上総利益は1,231,087千円と前年同期と比べ77,131千円(6.7%)増加いたしました。
セグメントごとの状況及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
(情報システム事業)
当セグメントにおきましては、新聞社等のメディア関連企業及びメディア関連企業以外の顧客から着実に受注をいただき、受注済み案件を順調に開発して納品することができたため、売上高は4,459,386千円と前年同期比332,792千円(8.1%)の増収となりました。売上高の増収に伴い、売上原価は3,247,356千円と前年同期比251,379千円(8.4%)の増加となりました。その結果、売上総利益は1,212,030千円と前年同期比81,412千円(7.2%)の増益となりました。
(越境EC事業)
当セグメントにおきましては、日本製の品物を中国で販売するビジネスが拡大したため、売上高は180,200千円と前年同期比52,877千円(41.5%)の増収となりました。増収に伴う商品仕入高の増加などにより、売上原価は161,143千円と前年同期比57,158千円(55.0%)増加しました。その結果、売上総利益は19,057千円と前年同期比4,281千円(△18.3%)の減益となりました。
販売費及び一般管理費については、人員増により給料手当及び賞与が44,403千円、外注費が25,881千円、のれん償却額が20,511千円増加したことなどにより、1,075,305千円と前年同期比106,149千円(11.0%)増加しました。
その結果、営業利益は155,781千円と前年同期比29,018千円(△15.7%)の減益となりました。
営業外収益については、主に人民元高により武漢子会社の日本円建て借入金などに係る為替差益26,973千円及び補助金収入20,050千円を計上したことなどにより、55,186千円と前年同期比21,825千円(65.4%)増加しました。
営業外費用については、前期に発生した上場関連費用が当期は発生しなかったことなどにより、6,658千円と前年同期比12,713千円(△65.6%)減少しました。
その結果、経常利益については、204,309千円と前年同期比5,520千円(2.8%)の増益となりました。
特別利益については、当期は発生しなかったため、前年同期比19,526千円(△100.0%)減少しました。
特別損失については、前期に計上した役員退職功労金を当期は計上しなかったことなどにより、431千円と前年同期比19,422千円(△97.8%)減少しました。
法人税等合計については、72,123千円と前年同期比8,367千円(13.1%)の増加となりました。
その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は147,031千円と前年同期比12,326千円(9.2%)の増益となりました。
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況 ③ キャッシュ・フロー」をご覧ください。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。運転資金需要のうち主なものは、売上原価に係るもののほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。これらの資金については、基本方針に基づき、主に金融機関からの長期借入金及び社債によって調達することとしておりますが、負債と資本のバランスに配慮して調達額を決定してまいります。なお、一時的な資金の不足については、10億円の当座貸越枠を設定し、必要資金を適時に確保する体制を整えております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
当社グループは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。顧客の財務状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得を見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異等について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
当社グループは、ソフトウエア請負契約における将来の損失に備えるため、将来の損失が確実に見込まれ、かつ、当該損失額を合理的に見積もることが可能なものについて、将来の損失発生見込額を計上しております。予見不能な事象の発生やプロジェクト案件の進捗状況等によって損失額が大きく変動する可能性があります。
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産または資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
経営方針、経営戦略又は経営上の目標の達成を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 目標とする経営指標」に記載のとおり、売上総利益率を経営指標として重視しております。売上総利益率を重視する理由は、ソフトウエア開発における競争力を表す指標であるためであります。当社単体の売上総利益率は2017年12月期22.2%、2018年12月期25.5%、2019年12月期27.7%、2020年12月期27.9%と順調に改善してまいりましたが、2021年12月期は、売上総利益率の低いハードウエア販売案件等による売上高の比率が高くなったため、24.7%と悪化しました。2022年12月期は一部の開発プロジェクトで赤字が発生したため、23.0%とさらに悪化しておりましたが、2023年12月期については24.6%と改善傾向にあります。連結上は2020年12月期31.2%から2021年12月期は26.8%に悪化しました。2022年12月期は27.1%と若干改善したものの、2023年12月期は26.5%と再び悪化しております。
今後につきましては、顧客に汎用的に提供できるクラウドサービスやプロダクトなど、初期開発費用が発生するものの、それ以降の費用の発生が少なく、売上総利益率の高くなるサービスやプロダクトの売上比率を上げていくことにより、売上総利益率の改善を図ってまいります。なお、初期開発費用は研究開発費として計上しております。
当社は、2023年12月21日開催の取締役会において、当社連結子会社である璞華国際科技(武漢)有限公司がWEB及びソフトウエア開発及びシステムコンサルティング事業を展開する璞華科技有限公司より、中国国内の金融業界向け情報システム事業を2024年1月1日付で譲り受けることを決議し、同日付で事業譲渡契約を締結しております。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」の(重要な後発事象)をご参照ください。
当連結会計年度(2023年12月期)の研究開発活動は、前連結会計年度に続き顔認証、新聞業界で汎用的に利用可能な情報システムの開発等を中心に行ってまいりました。
研究開発体制は、当社の研究開発機関である子会社の璞華国際科技(武漢)有限公司の研究開発部門と密接な連携・協力関係を保ち、効果的かつ迅速な活動を推進しております。
当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額は
セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。
顔認証端末を生かしたソリューション提供のため、周辺機器との連携、情報集中管理のクラウド化を推進しております。具体的には、運転免許証・マイナンバーカード等のICカードリーダとの連携、勤怠管理システムとの連動等に関する準備を進めております。これまで同様、アルコール検知結果、予約状況等の情報をクラウドサービスに連携する開発も継続しております。
メディア産業、特に、新聞社向けのコンテンツ管理システムのコア部分開発・ライブラリ化、及び、周辺デジタル媒体への連携部分の開発を推進しております。このコンテンツ管理システムを生かした既存WebCMS(※1)との連動についても積極的に推進しております。また、近年メディア産業内で更に重要性を増している写真・動画・音声の各コンテンツ管理について、特化したサービスの開発も進めております。更に、昨年ブームとなった生成系AI(※2)のメディア利用に関する研究にも着手しております。創業時から継続開発を進める自動組版エンジン(※3)の取組みも継続しております。
オンライン教育システムの開発、ローコード/ノーコード開発ツール(※4)の活用方法研究等、メディア、顔認証以外の分野における新規研究開発も並行して推進しております。
以上のような研究開発活動の成果により、情報システム事業における研究開発費の金額は140,594千円であります。
※1 WebCMSとは、Webサイトのコンテンツを管理するシステムの総称です。当社が研究開発しているコンテンツ管理システム(CMS)が紙媒体を含めた汎用的なコンテンツ管理を行う仕組みであるため、両者の違いを明確にする意味で「Web」という言葉を付けています。
※2 生成系AIとは、「Generative AI:ジェネレーティブAI」とも呼ばれ、学習済みのデータを活用して新たなデータを生み出せるAIを指します。生み出すデータは、テキストだけでなく、画像・音声・動画など様々なものに対応出来ます。2022年末からブレークしたChatGPT(OpenAI)、Gemini(Google)等が代表的なサービスとなります。
※3 自動組版エンジンとは、載せるべき情報と雛形を準備し、自動的に印刷物の版(レイアウト)を作成する仕組みのことです。商用の自動組版では、商品の写真・売価・商品名・商品説明文のようなデータベースと基本の雛形だけを準備するだけで、スーパーのチラシのような複雑な印刷物まで生成することができます。
※4 ローコード/ノーコード開発ツールとは、簡単にいうと「ソースコードを記述しなくともプログラムが作れるツール」の総称です。
越境EC事業における研究開発費の金額は8,536千円であります。主な内容は越境EC基盤プラットフォームの追加開発等であります。