文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、複数のゲームユーザーがオンラインで繋がるゲームの提供を経営の基本方針としております。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、継続的な事業の拡大と企業価値向上のため、売上高と営業利益を重要な経営指標としております。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、国内外のオンラインゲーム事業のシェア拡大を中長期的な経営戦略としております。そのため、国内においては、開発中タイトルへの注力の他、ライセンスインタイトルの配信等に、海外においては、海外拠点の活用や現地企業との提携による、海外市場への参入に取り組んでまいります。
(4)経営環境及び対処すべき課題等
当社グループは、今後の事業展開において、業容を拡大し、経営基盤を安定化させるために、以下の課題を認識しており、迅速に対処してまいります。
① 組織体制の最適化・従業員能力の強化
当社グループのゲーム制作はプロジェクト制を採用しており、職能(企画、エンジニア、デザイナー、運営、etc)横断的なコミュニケーションや、迅速な意思決定が可能となることで、組織体制の最適化を図っております。
また、組織体制のさらなる最適化の一環として、複数のプロジェクトを統括する事業部制を導入しております。指揮系統を整理することで、より多様なゲーム開発に対応できる体制を構築し、事業全体の統括管理者や中間リーダー層といった人材が成長できる組織づくりを目標としております。
今後も急激な変化が予想されるオンラインゲーム市場に対応するために、組織の根本である従業員一人一人の能力の向上を図るとともに、継続的な組織体制の最適化に取り組んでまいります。
② 開発中タイトルの強化
当社グループは、設立から現在まで自社開発、同業他社との共同事業、ゲームタイトルのライセンスを取得し日本で配信するライセンスインによりタイトル数の拡充に注力してまいりました。しかし、競合企業との競争激化によるプロモーション効率の悪化などにより、初期のスマートフォンゲーム市場と比較し、配信開始時に新規ユーザーを獲得することが難しくなってまいりました。今後は、グラフィックをはじめとしたゲーム品質の向上や大型IP(※)の活用により、配信開始時から多くの新規ユーザーを獲得できるよう計画することで、より成功確度の高いタイトルになるよう取り組んでまいります。
※『Intellectual Property』の略。コンテンツの著作権と工業所有権の事を指す。
③ 新規タイトルの拡充
当社グループは、設立から現在まで自社開発をコンセプトにタイトルをリリースするとともに、同業他社との共同事業、海外よりゲームタイトルのライセンスを取得し日本で配信するライセンスインにより新規タイトルの拡充に取り組んでまいりました。当社グループでは、今後も安定的な成長を実現するために、継続的なタイトル数の拡充に取り組んでまいります。
④ サービスの安全性及び健全性強化への対応
当社グループは、運営するゲーム等において、ユーザーが健全にコミュニケーションをとることができ、また安心して利用ができるように、ユーザーに対して利用規約の徹底や監視体制の強化等の健全性維持の取り組みを継続的に実施しております。ユーザーが安心して利用できるサービス環境を提供することが、信頼性の向上、ひいては事業の発展に寄与するものと認識しております。
⑤ システムの強化
当社グループは、収益の基盤となるサービスをインターネット上で展開していることから、システム稼働の安定性を確保することが経営上重要な課題であると認識しております。そのためユーザー数増加に対応するための負荷分散等、設備への先行投資をはじめ継続的にシステム基盤の強化を図っていく方針であります。
⑥ 内部管理体制の強化
当社グループが、急速な事業環境の変化に適応しつつ、持続的な成長を維持していくためには、内部管理体制の強化も重要であると考えております。当社グループとしましては、内部統制の実効性を高めコーポレート・ガバナンスを充実していくことにより、リスク管理の徹底とともに業務の効率化を図っていく所存です。
⑦ グローバル市場への対応
当社グループは、今後の更なる事業拡大を目指していく上で、成長スピードの速い海外スマートフォン向けオンラインゲーム市場への迅速な展開が重要であると認識しております。中でも、中国をはじめとしたアジア市場の成長余地が大きいと考えており、台湾に支店を設立しております。この支店を活用することにより、自社単独で繁体字圏へスマートフォン向けオンラインゲームの提供ができ、収益の最大化を図るとともに、グローバルベースでの有力デベロッパーの開拓や、有力企業とのアライアンスなどを推進してまいります。また、ビジネスオペレーションの整備、内部管理体制の充実と強化などにも取り組んでまいります。
当社グループは、「世界中にAimingのファンを」をミッションに掲げ、オンラインゲーム事業を通じて持続可能な社会の実現に貢献することを目指しております。
当社グループにおける重要なサステナビリティに関する考え方及び取組は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
コーポレート・ガバナンスの強化
当社グループのコーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方は、経営の効率性と適法性を同時に確保しつつ、経営環境の変化に迅速かつ適切に対応できる経営体制の整備や施策を実施することであり、経営上の最も重要な課題であると認識しております。さらに、この目的を実現するためにも株主、顧客をはじめとする利害関係者に対する経営情報の適時開示を通じて透明性のある経営を行っていく所存であり、コーポレート・ガバナンスが有効に機能することが企業価値の持続的な増大に不可欠であるとの認識のもと、コーポレート・ガバナンス体制の強化に努めております。
人材の多様性の確保が国際的な競争力の強化にもつながるとの考えに基づき、性別、年齢、国籍など属性が異なる人材を採用しています。2023年12月末時点の女性管理職比率は15.2%、総社員数に占める外国人比率は10.5%(11か国)となっております。
② 障がい者雇用の取り組み
当社グループは、誰もがその能力と適性に応じて就業できるよう、2014年から千葉県茂原市に社員への福利厚生を目的とした野菜の栽培ハウス「ふぁーみんぐ」を設立しています。2023年12月末時点の障がい者雇用数は全事業所で9名となっております。
③ 育児休業・育児時間
当社グループの2023年の女性の育児休暇取得率・復職率は100%です。また男性の育児休暇取得率は80%となっております。
育児休業、育児時短勤務に加えて、1 歳に満たない子を育てる女性社員は更に別途30分ずつ1日2回の育児時間を請求することができます。
④ 健康・福利厚生
社員が手ごろな価格でバランスのよい食事がとれるよう、契約業者による弁当販売及び昼食代を補助する取組みを行っております。
当社グループは、事業活動に関する一般的なリスク及び当社グループに係る特有のリスクを把握する過程で、サステナビリティ関連のリスクも把握し、必要に応じて取締役会等において適切な対応を検討、決定する体制としております。
当社グループは、現時点ではサステナビリティ関連の具体的な指標や目標等は定めておりません。前述の通り当社グループにおいては「人材」が最も重要な資本と捉え、当社グループのビジョンに共感いただける方であれば、性別は問わず能力や実績に応じた採用・登用を進めるというスタンスであります。
当社グループ全体の足元の従業員構成比では男性71.2%、女性28.8%の割合となっております。その内、女性管理職比率については、日本政府が掲げる「2030年までに女性管理職比率30%」という数値目標については現状達成ができていないため、引き続き性別を問わず能力や実績に応じた採用・登用を進めるとともに女性が活躍しやすい環境を整備すること等を通じて、自然体で女性管理職比率が向上するように取り組んでまいります。
また、男性の育児休業取得率については、日本政府が掲げる「2025年までに男性育児休業取得率50%」という数値目標に対して取得率が80%とすでに高い取得率にて達成をできております。日本政府が最終目標と掲げる「2030年までに男性育児休業取得率85%」も早期に達成し高い水準を維持することで、男性従業員の育児休業取得の後押しやワークライフバランスの向上に取組んでまいります。
当社グループの事業展開上、リスク要因となる可能性がある主な事項を以下のとおり記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下のとおり開示しております。
当社グループは、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を内在しているため実際の結果と異なる可能性があるとともに、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
① 事業環境に関わるリスク
ⅰ)オンラインゲームの市場環境について
国内のスマートフォン向けオンラインゲーム市場は、2022年度は1兆2,433億円となり、2024年度には1兆2,095億円になると予測(※)をされており、緩やかに減少しているものの安定した市場規模を維持しております。しかしながら、市場規模が大きく減少した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。また、市場の拡大が進んだ場合であっても、当社グループが同様のペースで順調に成長しない可能性があります。また、今後、大手企業による新規参入により市場シェアの構成が急激に変化することで、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(※) 出典:『ファミ通ゲーム白書2023』株式会社角川アスキー総合研究所
ⅱ)他社との競合について
当社グループは、これまでのゲーム制作で培った企画・開発・運営のノウハウを基に、スマートフォンの特徴を活かしたゲームを提供することで、より一層のユーザー満足度の向上を図っております。しかしながら、競合他社の台頭による当社グループの優位性低下や、価格競争激化による収益性の悪化、またユーザー獲得競争の熾烈化により計画どおりのユーザー数が確保できない場合には、当社グループの経営成績及び事業展開に影響を与える可能性があります。
ⅲ)技術革新への対応について
当社グループが事業展開しているスマートフォン向けオンラインゲーム市場は、ネットワーク技術及びサーバー運営技術が密接に関連しており、これらの分野は、技術革新が著しいという特徴を有しております。当社グループでは、適時にコンピュータ技術等の進展に対応していく方針ではありますが、当社グループが想定していないような新技術・新サービスの普及等により事業環境が急激に変化した場合、必ずしも迅速には対応できない恐れがあります。また、事業環境の変化に対応するための費用が多額となる可能性もあります。このような場合には、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。
ⅳ)プラットフォーム運営事業者の動向
当社グループのスマートフォン向けオンラインゲームは、Apple Inc.やGoogle LLCをはじめとした大手プラットフォーム事業者を中心に、複数のプラットフォーム上において、各社のサービス規約に従いサービスを提供しております。当社グループは当該プラットフォーム事業者に対して、回収代行手数料、システム利用料等の支払いを行っておりますが、システム利用料等の料率の変更や事業戦略の転換並びに今後のプラットフォーム事業者の動向によっては、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
ⅴ)カントリーリスクについて
当社グループは、欧米・アジア諸国など諸外国においてもオンラインゲームを配信し、事業を展開しております。
海外のオンラインゲーム配信国における市場動向、政治、経済、法律、文化、習慣、競合会社の存在の他、様々なカントリーリスクや人材の確保、海外取引における税務のリスク等が存在します。また、当社グループは、在外支店を有しており、為替変動は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
ⅵ)風評被害を受ける可能性について
当社グループの事業は、スマートフォンやPC向けにオンラインゲームの制作を行っている特性上、当社グループのユーザーはインターネットにおける情報に頻繁にアクセスしております。そのため、事実の有無にかかわらず風評被害の影響を受けやすく、また、風評被害によって当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
② 各サービスに関するリスク
ⅰ)ユーザーニーズの対応について
当社グループは、スマートフォンやPCユーザー向けに主にMMOジャンルのオンラインゲームの提供を行っております。当社グループのゲームタイトルは、ユーザーから一定の評価を得ていると認識しております。しかしながら、オンラインゲームにおいてはユーザーの嗜好の移り変わりが激しく、ユーザーニーズの的確な把握や、ニーズに対応するコンテンツの導入が、何らかの要因により困難となった場合には、ユーザーへの訴求力の低下等から当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
ⅱ)特定のゲームタイトルへの依存について
『剣と魔法のログレス いにしえの女神』、『CARAVAN STORIES』(PC版・繁体字版・PS4版・Switch版を含む)、『ドラゴンクエストタクト』、『陰の実力者になりたくて!マスターオブガーデン』の売上高は、当社グループの総売上高の大部分を占めております。当該状況に関しましては、新規タイトルのリリース等の施策を実施することにより、当該タイトルのみに依存しない方針としておりますが、市場環境の変化やユーザーの動向等により当該タイトルの売上高が急速に悪化する場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
ⅲ)新規ゲームタイトルの開発・調達について
当社グループは、事業の拡大を図る上で複数のゲームタイトルで一定以上の売上規模を確保することが重要な戦略と考えております。そのためには市場の動向を注視しながら複数のゲームタイトルを開発・調達することが必要となります。当社グループは、自社の実績や経験を活かしゲームタイトルの開発・運営を内製で行う方針でありますが、さらなる成長や開発遅延によるリスクを勘案して、主に海外からのゲームタイトルの調達も視野に入れております。しかしながら、開発中のゲームタイトルが市場の動向にマッチしていない等の理由により想定どおりにリリースできない場合や、海外からのゲームタイトルの調達が予定通りに進まない場合は、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。
ⅳ)制作コストの増加について
当社グループは、新規タイトル及び既存タイトルを含め、大量のアイテム、キャラクターデザイン、各種プログラミングなど制作にかかる工数が多く発生します。限られた制作費用や期間内に一定の質・量を維持するために、社内での効率的な制作に加え、社外に制作を委託し、かつ、特定の制作委託先に依存することのないよう、複数の制作委託先への分散化に努めています。しかしながら、オンラインゲーム業界においては、急激な市場の拡大や新規参入企業の増加に伴うヒットゲームのトレンド変化やユーザー層の変化などにより市場ニーズも常に変化を続けております。このような中、変化した市場のニーズに適合させるために制作中のゲーム機能にさらなる作り込みが生じる場合など、当社グループの想定以上の制作費用の発生が想定されます。この結果、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
ⅴ)棚卸資産の評価減リスク
当社グループは、制作中のタイトルの棚卸資産計上について、当該タイトルが一定の制作水準に達し、サービス化可能との判断がなされる以前の制作費用については全額費用計上することとし、計上した棚卸資産についても厳格な評価を行うことで、不測の評価減の発生リスクを低減させていく方針としております。しかしながら、オンラインゲーム業界においては、急激な市場の変化によって棚卸資産の陳腐化が発生する場合などに棚卸資産の評価減が発生し、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
ⅵ)システムに関するリスク
当社グループの事業は、スマートフォンやPC、コンピュータ・システムを結ぶ通信ネットワークに全面的に依存しており、自然災害や事故(社内外の人的要因によるものを含む)等によって通信ネットワークが切断された場合には、当社グループの事業及び業績は深刻な影響を受けます。また、当社グループの運営する各ゲームタイトルへのアクセスの急激な増加、データセンターへの電力供給やクラウドサービスの停止等の予測不可能な様々な要因によってコンピュータ・システムがダウンした場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。また、当社グループのコンピュータ・システムは、適切なセキュリティ手段を講じて外部からの不正アクセスを回避するよう努めておりますが、コンピュータ・ウイルスやハッカーの侵入等によりシステム障害が生じた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
ⅶ)売掛金の回収について
当社グループがプラットフォーム運営事業者を通じてユーザーに提供するコンテンツの売上代金の回収においては、各プラットフォーム運営事業者に回収代行を委託しております。回収代行を委託しているプラットフォーム運営事業者がなんらかの理由で売掛金を回収できない状況に陥った場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ コンプライアンスに関するリスク
ⅰ)インターネットに関連する法的規制について
当社グループが運営するサービスのユーザーの個人情報に関しては「個人情報の保護に関する法律」の適用を受けております。加えて、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」では、他人のID、パスワードの無断使用の禁止等が定められております。さらに、「特定商取引に関する法律」及び「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」により、一定の広告・宣伝メールの送信にあたっては、法定事項の表示義務等を負う場合があります。
また、当社グループが提供するゲームタイトルは、そのサービスの一つとしてSNS(※)機能を提供しておりますが、ユーザー間の健全なコミュニケーションを前提としたサービスであり、「インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律」に定義される「インターネット異性紹介事業」には該当しないものと認識しております。さらには、2009年4月に施行された「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」では、携帯電話事業者等によるフィルタリング・サービス提供義務等が定められており、当社グループは「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)経営環境及び対処すべき課題等 ④ サービスの安全性及び健全性強化への対応」に記載のとおりゲームタイトルの健全性への取り組み強化を継続して実施しております。
しかしながら、当社グループは上記各種法的規制等について積極的な対応をしておりますが、不測の事態により、万が一当該規制等に抵触しているとして何らかの行政処分等を受けた場合、また、今後これらの法令等が強化され、もしくは新たな法令等が定められ当社グループの事業が制約を受ける場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(※)SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス):メールや掲示板などを利用し、人と人とのつながりを促進・サポートする、コミュニティ型の会員制のサービスです。
ⅱ)アプリに関連する法的規制等について
当社グループが属するスマートフォン向けオンラインゲーム業界に関しては、過度な射幸心の誘発等について一部のメディアから問題が提起されております。近年では、「コンプリートガチャ」(※)と呼ばれる課金方法が不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)に違反するとの見解が2012年7月に消費者庁より示されております。これに関して当社グループではゲーム内でコンプリートガチャを採用しておらず、当社グループのサービスには大きな影響を与えていないと認識しております。
当社グループは法令を遵守したサービスを提供することは当然でありますが、今後も変化する可能性がある社会的要請については、サービスを提供する企業として、自主的に対処・対応し、業界の健全性・発展性を損なうことのないよう努めていくべきであると考えております。
しかしながら、今後、社会情勢の変化によって、既存の法令等の解釈の変更や新たな法令等の制定等、法的規制が行われた場合には、当社グループの事業が著しく制約を受け、当社グループの事業及び業績に大きな影響を及ぼす場合があります。
(※)コンプリートガチャ:ランダムに入手するアイテムやカードを一定枚数揃えることで稀少なアイテムやカードを入手できるシステムを言います。
ⅲ)資金決済に関する法的規制について
「資金決済に関する法律」に関し、ゲーム内で利用されている有料の「仮想通貨」が同法の適用の対象となります。このため、当社グループは、同法、関連政令、府令等の関連法令を遵守し業務を行っております。しかしながら、当社グループが、これらの関連法令に抵触した場合、業務停止等の行政処分を受けることも想定され、このような場合には当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
ⅳ)知的財産権の管理
当社グループは、第三者の知的財産権を侵害しない体制として、当社グループ管理部門内に担当者を配置し、当社及び外部への委託等により調査を行っております。しかしながら、万が一、当社グループの事業活動において第三者の知的財産権を侵害した場合には、当該第三者から損害賠償請求や使用差止請求等の訴えを起こされる可能性があり、これらに対する対価の支払い等が発生する可能性があります。
また、当社グループが保有する知的財産権についても、第三者により侵害された場合において、当社グループが保有する権利の適正な使用ができない可能性もあります。これらによって、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 組織体制に関するリスク
ⅰ)代表者への依存について
当社の代表取締役社長である椎葉忠志は、当社の創業者であり、創業以来の最高経営責任者であります。同氏は、オンラインゲームの開発技術及びそれらに関する豊富な経験と知識を有しており、技術的判断、経営方針や事業戦略の決定及びその遂行において極めて重要な役割を果たしております。
当社グループでは、事業運営において権限委譲や人員拡充等により組織的対応の強化を進めておりますが、何らかの事情により同氏に不測の事態が生じた場合、または同氏が退任するような事態が生じた場合は、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。
ⅱ)人材の獲得及び育成について
当社グループが今後事業をさらに拡大し、成長を続けていくためには優秀な人材の確保が重要課題となっております。当社グループでは入社後の実務研修や各種勉強会の開催など、人材の育成と流出の防止に鋭意努力し、優秀な人材の確保を図っておりますが、万が一、当社グループの採用基準を満たす資質とスキルを持った人材の獲得や人材の流出防止が適切に行えず、適正な人材の確保ができなかった場合、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ その他
ⅰ)配当政策について
当社グループは、利益配分につきまして、将来の財務体質の強化と事業拡大のために必要な内部留保を確保しつつ、当社グループを取り巻く事業環境を勘案して、内部留保とのバランスを保ちながら、収益の増加に連動した配当を実施していくことを基本方針としております。当期につきましては、業績を鑑み、誠に遺憾ではございますが、無配とさせていただきます。なお、次期(2024年12月期)の配当実施の可能性及びその実施時期等につきましては、現時点では未定とさせていただきます。
ⅱ)新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社グループは、取締役、従業員に対するインセンティブを目的として、新株予約権(以下、「ストックオプション」という。)を付与しております。これらのストックオプションが権利行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。2023年12月末現在、これらのストックオプションによる潜在株式数は100,000株であり、発行済株式総数40,163,500株の0.2%に相当しております。
ⅲ)自然災害、事故について
当社グループでは、自然災害、事故等に備え、定期的バックアップ、稼働状況の常時監視等によりトラブルの事前防止又は回避に努めておりますが、当社グループ所在地近辺において、大地震等の自然災害が発生した場合、当社グループ設備の損壊や電力供給の制限等の事業継続に支障をきたす事象が発生して、当社グループの事業展開及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(業績等の概要)
当社グループは、「世界中にAimingのファンを」をミッションに掲げ、スマートフォンをはじめとした基本無料の「オンラインゲーム事業」を主たる業務としております。
国内のスマートフォン向けオンラインゲーム市場は、2022年度は1兆2,433億円となり、2024年度には1兆2,095億円になると予測(※)されており、緩やかに減少しているものの安定した市場規模を維持しております。その一方、アニメやゲームなどの知名度の高いIP(Intellectual Propertyの略)を題材としたタイトルや、品質の高い海外企業のゲームが国内でサービスを開始するケースも多く、競争は激化しております。また、国内外の品質の高いゲームが市場に投入されることで、ユーザーの求めるゲーム品質の水準が高まっていることから、ゲームの開発期間は長期化し、開発費用も高騰しております。
このような状況の中、当社グループはオンラインゲーム事業のさらなる成長及びシェアの拡大を目指し、サービス中タイトルの拡充と開発中タイトルの準備を進めてまいりました。
サービス中タイトルにつきましては、株式会社スクウェア・エニックスとの共同開発タイトル『ドラゴンクエストタクト』は、コラボイベントや新キャラクター追加の実施を通じて、アクティブユーザー数及び課金ユーザー数の維持に努め、収益に貢献しました。『陰の実力者になりたくて!マスターオブガーデン』は、周年イベントや新キャラクターの追加の実施を通じて、当社グループの売上を支えるタイトルに成長しました。『剣と魔法のログレス いにしえの女神』や『CARAVAN STORIES』をはじめとする他タイトルについては、長期運営によるKPIの低下は見られるものの、コラボイベント実施等により、アクティブユーザー数及び課金ユーザー数の維持に努めました。
開発中タイトルにつきましては、LiTMUS株式会社との共同事業として『かみながしじま~輪廻の巫女~』を2023年6月6日にリリースいたしました。また、『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか バトル・クロニクル』を2023年8月24日に全世界に向けて同時配信いたしました。今後ますます激化することが予想される市場競争に対し、IP取得によるユーザー訴求力の向上や共同事業などによる適切なビジネススキームの確立に取り組んでまいります。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は18,199百万円(前期比33%増)、営業損失は1,309百万円(前期は営業利益400百万円)、経常損失は1,100百万円(前期は経常利益315百万円)となり、親会社株主に帰属する当期純損失は2,227百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益601百万円)となりました。
(※) 出典:『ファミ通ゲーム白書2023』株式会社角川アスキー総合研究所
オンラインゲーム事業のサービス区分別の業績の状況等は次のとおりであります。
(オンラインゲーム配信サービス)
『剣と魔法のログレス いにしえの女神』、『CARAVAN STORIES』、『ドラゴンクエストタクト』、『陰の実力者になりたくて!マスターオブガーデン』は当社グループの売上高の主軸となっております。
(オンラインゲーム制作/運営受託サービス)
今年度において制作及び運営を受託したオンラインゲームは合計19タイトルとなっております。
各サービス区分別の実績につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (生産、受注及び販売の状況) (3)販売実績」をご参照ください。
当連結会計年度における現金及び現金同等物は前連結会計年度より2,370百万円減少し、2,882百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によって減少した資金は1,153百万円(前連結会計年度は350百万円の減少)となりました。これは主として、コンテンツ償却費701百万円があったものの、棚卸資産の増加701百万円、税金等調整前当期純損失の計上1,100百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によって減少した資金は695百万円(前連結会計年度は262百万円の減少)となりました。これは主として、敷金及び保証金の差入による支出592百万円、有形固定資産の取得による支出125百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によって減少した資金は502百万円(前連結会計年度は381百万円の増加)となりました。これは主として、短期借入金の増加500百万円があったものの、非支配株主への配当金の支払額934百万円によるものであります。
当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
当社グループは受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
当連結会計年度の販売実績を事業ごとに示すと、次のとおりであります。なお、当社グループはオンラインゲーム事業の単一セグメントであります。
(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
なお、Apple Inc.及びGoogle LLCに対する販売実績は、当社グループが、同社等を介して行うアイテム課金サービスのユーザーに対する利用料の総額であります。
(財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析)
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。なお、この連結財務諸表の作成にあたっては、資産・負債及び収益・費用の数値に影響を与える見積りを必要とする箇所がございます。これらの見積りにつきましては、経営者が過去の実績や取引状況を勘案し、会計基準の範囲内でかつ合理的に判断しておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果と異なる可能性があることにご留意ください。
(2)財政状態の分析
当連結会計年度の資産につきましては、前連結会計年度末に比べ1,204百万円減少し、7,396百万円となりました。これは主として、敷金及び保証金の増加550百万円があったものの、現金及び預金の減少2,370百万円によるものであります。
当連結会計年度の負債につきましては、前連結会計年度末に比べ848百万円増加し、2,619百万円となりました。これは主として、短期借入金の増加500百万円、買掛金の増加376百万円によるものであります。
当連結会計年度の純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ2,052百万円減少し、4,776百万円となりました。これは主として、非支配株主持分の増加207百万円があったものの、親会社株主に帰属する当期純損失2,227百万円の計上等による利益剰余金の減少2,307百万円によるものであります。
(3)経営成績の分析
当連結会計年度における売上高は18,199百万円(前期比33%増)、営業損失は1,309百万円(前期は営業利益400百万円)、経常損失は1,100百万円(前期は経常利益315百万円)となり、親会社株主に帰属する当期純損失は2,227百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益601百万円)となりました。
詳細につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要 (1)業績」をご参照ください。
(4)資本の財源及び資金の流動性
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
当社グループの資金需要のうち主なものは、新規タイトルの開発や運営にかかる人件費や外注費、サービス提供・拡充のための広告宣伝費であります。
当社グループは、事業運営上、必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、これらの資金需要に対して、営業活動によるキャッシュ・フローや自己資金を充当することを基本とし、状況に応じて、金融機関からの借入れや各種資本政策等による資金調達で対応することとしております。
(5)経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループは、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、市場動向、競合他社、技術革新、人材の確保・育成等、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
そのため、当社グループは優秀な人材の採用、ユーザーのニーズに合ったタイトルの提供等を積極的に行っていくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因に対し適切に対応を行ってまいります。
(6)経営者の問題意識と今後の方針
経営者は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社グループが今後の業容拡大を遂げるためには、厳しい環境の下で、様々な課題に対処していくことが必要であると認識しております。
そのためには、収益力のある新規タイトルの継続的な提供、グローバル市場への対応、ゲームの安全性及び健全性の強化を図ることが重要であると考えています。
(7)経営戦略の現状と見通し
当社グループは、創業時の2011年5月から現在までオンラインゲーム事業に特化して注力してまいりましたが、その運営で得たノウハウを敷衍し、海外市場への本格的な進出も含めた今後の展開について検討していく所存であります。
(8)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
本書提出日現在における経営上の重要な契約等は次のとおりであります。
(1)ゲーム開発・販売等に関する契約
(2)共同事業契約
(3)業務提携契約
当連結会計年度の研究開発活動において、主にスマートフォン向けオンラインゲームの開発を行っており、研究開発活動に関わる費用の総額は、
当社グループの研究開発体制は以下の通りです。
当社グループのゲーム制作は、プロジェクト制を採用しており、職能(企画、エンジニア、デザイナー、運営、etc)横断的なコミュニケーションや、迅速な意思決定を実現しております。
また、新旧問わず世界中のゲーム分析を行うゲームリサーチの専門職を設けており、その結果を、ゲーム開発及び運営に反映させております。
当社グループでは、ゲーム開発において、おもしろさを仕様として記述することが難しいため、常にゲームが動く状態を保ちながら開発を進め、開発途中に実際に遊びながら変更・改善していく、というアプローチが必要であると考えており、アジャイル開発 (※1) や継続的デプロイメント (※2) を日常的に実践しております。これらにより、付加価値の低いゲームを開発してしまうリスクを少なくしております。
また、開発途中やサービス開始後の要求変化といった短期的なものから、プラットフォームの市場シェアや技術トレンドの変化といった中長期的なものまで、ゲーム開発に要求される技術的スキルセットは大きく変化するため、既存のソースコード (※3) や新技術について迅速な学習を支援するシステムが必要となります。これに対し、コードレビュー (※4) 、ペアプログラミング(※5) といった手法を取り入れることで、ノウハウや知識の共有化を図り、教育速度を向上させるとともに、人員配置の柔軟性を高めることで、特定個人への依存体制になってしまうリスクを少なくしております。
※1 アジャイル開発:要求変化に迅速に対応し、計画を変更しながら改善を続けていくための開発手法。初期にすべてを計画するウォーターフォール型開発ではこのような要求変化に対応することが難しい。
※2 継続的デプロイメント:常にサービスとして動作する状態を保ちながらソフトウェアの開発やアップデートを進める手法。分割して開発を進め、長いプロジェクト期間の最後に結合する従来型の手法と比較して、小さな更新を行う都度、自動化されたプロセスにより動作保証を行うため、
・開発中でもゲームに対するフィードバックが得られ、作り直し作業の無駄が減る
・サービスが公開できなくなるリスクが下がる
・開発コストの予測可能性が高まる
といったメリットがある。
※3 ソースコード:人間がプログラミング言語を用いて記述したコンピュータプログラム。
※4 コードレビュー:開発メンバーが互いにソースコードの査読を行う開発手法。ソースコードの品質と開発スキルを同時に向上できるというメリットがある。
※5 ペアプログラミング:2人のプログラマーが1台のマシンを使って設計や実装を行う手法。常にレビューされた状態を作れること、知識を底上げできること、チームワークを醸成できること等においてメリットがある。