第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりである。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。

(1)経営方針

当社グループは、お客様へ新たな価値を提供できる喜びと感謝の気持ちを忘れずに、人と社会の幸せに貢献することを企業理念として企業活動に努めており、中長期的に成長・発展し続ける企業を目指しております。

 

(2)経営者の問題意識と今後の方針について

 当社グループは、不動産管理事業を中心とした不動産総合サービスを事業の柱とすることで事業基盤の確立を進め、安定的で、堅実な収益体系の構築が可能となっております。一方で、従来の主力事業であった投資用マンションの開発・販売事業を縮小したため、不動産管理事業の売上・利益の増加に大きく影響する管理戸数を伸ばすことが難しくなり、結果として、飛躍的な売上・利益の向上が困難となっております。このような状況を踏まえ、既存事業である不動産の販売、管理、賃貸、仲介といった不動産サービス分野の更なる規模拡大を図りながら、付加価値創造事業分野と位置付けた5分野(生活・娯楽(ライフスタイル)、医療・健康(ヘルスケア)、教育(エディケーション)、観光(インバウンド)、エネルギー(再生可能エネルギー))の成長企業とのコラボレーションによるアジア展開を推進し、当社の企業価値・株式価値の向上を目指してまいります。

 

(3)経営環境と対処すべき課題

 当社グループは、継続的かつ安定的に成長できる事業基盤の構築を目指し、不動産管理事業等の「ストック型フィービジネス」を強化してまいりました。そして、この事業基盤を土台としてさらに大きく飛躍するために、不動産販売事業の拡大、そして新たな収益の柱となる新規事業への取り組みを強化してまいります。そのための、当社グループの対処すべき課題及び対応策は次のとおりであります。

 

①不動産販売物件の仕入件数増加

 不動産販売事業の拡大のために、中古の収益不動産及び居住用不動産の仕入を積極的に進めてまいります。不動産仲介会社、信託銀行などの不動産仕入情報ルートの拡大、強化に努めるとともに、購入者ニーズを的確に捉えた商品の仕入を進めてまいります。

 

②賃貸管理戸数の増加

 当社グループが開発、供給してまいりました「グリフィンシリーズ」は、横浜・川崎エリアに特化したドミナント戦略による供給展開を行ってきたため、エリア集中による賃貸管理業務の効率化が図られており、独自の入居者サービスの提供が実現しております。このような競争優位性を活かして、当該エリアにおいて他社が開発・分譲した賃貸不動産の管理業務受託件数の増加を目指してまいります。

 

③金融機関への対応

 当社グループは、不動産販売事業の資金調達のために、既存の取引金融機関との関係強化に努めるとともに、新規の取引金融機関の開拓を進めてまいります。

 

④建設会社への対応

 当社グループは、建設会社等の事業パートナーの協力を得ながら、新築戸建の建築、中古不動産のリノベーション再販事業を拡大していく予定であり、建設会社とのさらなる関係強化に努めてまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりでございます。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 当社グループは、お客様へ新たな価値を提供できる喜びと感謝の気持ちを忘れずに、人と社会の幸せに貢献することを企業理念として企業活動に努めており、中長期的に成長・発展し続ける企業を目指しております。

 

(1)ガバナンス

 当社グループでは、お客様の満足を提供して人と社会の幸せに貢献して社会的な信用を果たすべく、各種規定及び制度を整備して法令や社会規範を遵守しながら事業活動に取り組んでおります。

 なお、当社のコーポーレート・ガバナンスの状況については、「第4 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポーレート・ガバナンスの概要」に記載のとおりであります。

 

(2)戦略

 当社グループは、サステナビリティの視点を踏まえた経営促進においても、当社の柱である不動産総合サービスならびに付加価値創造事業分野と位置付けた5分野(生活・娯楽(ライフスタイル)、医療・健康(ヘルスケア)、教育(エディケーション)、観光(インバウンド)、エネルギー(再生可能エネルギー)においての事業展開を目指して参ります。

 また、当社グループでは、人材の多様性を意識した人材育成を目指しており、当社グループ内での研修カリキュラムを整備し、OJTの実施により、女性社員の登用並びに若手社員の育成に注力しております。

 

(3)リスク管理

 当社グループは、事業上のリスクと機会の認識にあたっては、企業規模から鑑みて個別のリスク管理委員会は設けず、取締役会がその機能を果たしております。

 

(4)指標及び目標

 当社グループは、上記(2)戦略において記載した、人材の多様性を意識した人材育成を意識しております。一方で、現状当社グループにおいては、人材育成方針ならびに社内環境整備方針における定量的な指標及び目標は設定しておらず、その具体的な目標設定につきましては、今後の課題として検討してまいります。

 

 

3【事業等のリスク】

以下におきまして、当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、当社グループといたしましては必ずしも事業上のリスクとは考えていない事項につきましても、投資判断の上で、あるいは当社グループの事業活動を理解する上で重要と考えられる事項につきましては、情報開示の観点から記載しております。当社グループは、これらリスクの発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項以外の記載内容も合わせて慎重に検討した上で行う必要があります。

なお、以下の記載につきましては、本有価証券報告書提出日現在における判断によるものであり、当社グループの事業等及び当社株式への投資に係るリスクを全て網羅するものではありません。また、将来に関する事項につきましては、本有価証券報告書提出日現在で当社グループが判断したものであります。

(1) 法的規制について

   当社グループの事業におきまして関連する主な法的規制は以下のとおりであります。今後既存の法的規制が改廃されたり、関連する法令が新たに制定されたりした場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

<主な法的規制>

宅地建物取引業法、建物の区分所有等に関する法律、住宅の品質確保の促進等に関する法律、特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律、個人情報の保護に関する法律、国土利用計画法、都市計画法、建築基準法、建築業法、建築士法、土地基本法、地方公共団体の条例、借地借家法、マンションの管理の適正化の推進に関する法律、建築物における衛生的環境の確保に関する法律、消防法、貸金業法、金融商品取引法、金融商品の販売等に関する法律、資産の流動化に関する法律、不動産特定共同事業法、犯罪による収益の移転防止に関する法律、不当景品類及び不当表示防止法、不動産の表示に関する公正競争規約、賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律

 

(2) 免許、登録

 当社グループが得ている許可、登録は以下のとおりであります。

(当社)

・宅地建物取引業者免許

     宅地建物取引業法第3条に基づき、宅地建物取引業者の免許(免許番号 神奈川県知事(3)第27989号 有効期間:2021年9月6日から2026年9月5日まで)を受けて、不動産の売買や賃貸又はこれらの媒介等を行っております。

・マンション管理業者登録

     マンションの管理の適正化の推進に関する法律第46条第1項に基づき、マンション管理業者の登録(登録番号 国土交通大臣(4)第033175号 有効期間:2022年10月23日から2027年10月22日まで)をして、マンション管理業を営んでおります。

・賃貸住宅管理業者登録

     賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律第3条第1項に基づき、賃貸住宅管理業者の登録(登録番号 国土交通大臣(01)第002743号 有効期間:2021年11月23日から2026年11月22日まで)をして、賃貸住宅管理業を営んでおります。

(株式会社グリフィン・パートナーズ)

・宅地建物取引業者免許

     宅地建物取引業法第3条に基づき、宅地建物取引業者の免許(免許番号 神奈川県知事(3)第27056号 有効期間:2024年3月17日から2029年3月16日まで)を受けて、不動産の売買や賃貸又はこれらの媒介等を行っております。

・金融商品取引業者登録

     金融商品取引法第29条に基づき、第2種金融商品取引業者及び投資助言・代理業の登録(登録番号 関東財務局長(金商)第1540号)をしております。

 

   当社グループは主要な事業活動を行うにあたり、上記の免許、登録を必要とし、これらの規制を受けております。現時点におきまして、当社グループには、上記免許、登録の取消事由・更新欠格事由に該当する事実は存在いたしませんが、将来、これらの免許、登録の取消・更新欠格による失効等があった場合には、当社グループの主要な事業活動に支障をきたし、業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 住宅瑕疵担保責任について

住宅の品質確保の促進等に関する法律では、新築住宅の供給事業者に対して構造上の主要な部分及び雨水の浸入を防止する部分について10年間の瑕疵担保責任を負うこと等を定めております。当社グループでは、自社開発物件におきましては、建築設計の段階から一貫して携わり、供給物件の品質管理に万全を期すとともに、他社開発物件の仕入・販売におきましては、仕入先の開発実績及び物件の選定に十分留意し、瑕疵のない物件を供給するよう務めております。さらに、同法対象の新築販売物件につきましては、特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律において規定される住宅瑕疵担保責任保険を付保することにより、万一不測の事態が起こった場合でも、当該責任を当社グループの業績に影響なく履行できるよう対策を施しております。また、販売後のクレームに対しましても、法令上の責任に基づき、真摯な対応に努めております。

さらに、構造計算書偽造事件を教訓として、当社では、供給するマンションの構造計算の適正性につきまして細心の注意を払っております。例えば、建築確認の際には過去においてチェックミスが報告されていない実績のある住宅性能評価機関による住宅性能評価書の取得を義務づけております。当社グループでは、このように瑕疵のない物件を供給すべく、常に品質管理体制向上に努めております。

しかしながら、当社の供給物件に何らかの原因で瑕疵が発生した場合、クレーム件数と補償工事の増加等を招き、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 土地の仕入れについて

当社グループでは、マンション用地等の取得にあたり、売買契約前に綿密な事前調査を行っておりますが、契約後、稀に土壌汚染等の隠れた瑕疵が発見されることがあります。その場合、当社グループに追加費用が発生することがあり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 外注先の影響について

当社グループでは、マンションの建設につきましては、建設会社に一括発注し、主に民間(旧四会)連合会協定工事請負契約約款に基づく工事請負契約を締結しております。また、建築工事の進捗状況につきましては当社が定期的な監理を行っており、建設会社より当社に対して状況報告がなされる体制を構築しております。

工事請負契約の締結にあたりましては、外注先の財務状況、施工能力・実績、経営の安定性等を総合的に勘案の上決定しておりますが、外注先に信用不安等が発生し、工期遅延が生じた場合、当社の販売計画にも遅延が生じ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、施工完了後、外注先に倒産等の事態が発生した場合には、本来外注先が負うべき瑕疵の補修責任等が履行されず、当社に想定外の費用負担が発生することによって、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) マンション建設に対する近隣住民の反対運動について

当社グループはマンション・戸建住宅建設にあたり、建設地が属する自治体の条例等に従い、事前に周辺住民に説明会を実施する等の近隣への対策を講じております。マンションの立地につきましては、住宅密集地を避け、駅に近い商業地域を中心としてきたため、現在までのところ、近隣住民との摩擦は軽微なものに留まっております。

しかしながら、今後、建設中の騒音、電波障害、日照問題、景観変化等を理由に近隣住民に反対運動等が発生する可能性は否定できず、その解決に時間を要したり、計画の変更が必要となった場合、工期遅延や追加費用が発生することによって、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 資金調達について

当社グループは不動産販売事業を遂行するにあたり、用地や土地建物の取得資金及び建設費用等を金融機関からの融資を主体として資金調達しております。当社は取引金融機関と良好な関係を構築する一方で、新たな金融機関との取引開始、社債の発行等、資金調達の円滑化と多様化に努めております。

しかしながら、何らかの事情により、当社の希望する金額及び条件で金融機関からの融資を受けることができない場合、販売物件を計画どおりに確保できず、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 金利の上昇について

当社グループの有利子負債残高は、戸建工事代金及び収益マンション購入資金に充当するため、高い水準で推移しております。今後、不動産販売物件の仕入に伴い、さらに有利子負債が増加していくことも考えられます。市場金利が予想を超えて上昇し、有利子負債の金利負担が増加した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(連結)

2021年12月期

2022年12月期

2023年12月期

 有利子負債残高(千円)(A)

500,293

558,585

430,861

 総資産額(千円)(B)

3,062,350

3,129,724

3,615,656

 有利子負債依存度(%)(A/B)

16.3

17.8

11.9

 

(9) 事業エリアの集中について

当社グループが従来販売していた投資用マンション「グリフィンシリーズ」は、次表のとおり、横浜市内の横浜みなとみらい21地区周辺のエリア(西区・中区・神奈川区)、JR新横浜駅周辺(港北区)、川崎市(幸区、中原区)に集中しており、今後も企業イメージの形成を勘案し、当該エリアを中心とした事業展開を図る方針であります。このことから特に横浜市、川崎市を中心とした神奈川県内の経済環境、雇用環境、賃貸需要、地価の動向等の影響を受ける可能性があります。

また、近年、首都圏ではワンルームマンションに対する規制を目的とした条例を制定する自治体が見られ、横浜市では「横浜市ワンルームマンション形式集合建築物に関する指導基準及び同施行細目」等の指導要綱等による規制が制定されており、管理員室の設置、住戸の最低専有面積、駐車・駐輪施設の設置の義務付け等が定められております。また、2006年4月に「横浜都心機能誘導地区建築条例」が施行され、特別用途地区として都市計画で定める横浜都心機能誘導地区(業務・商業専用地区及び商住共存地区に区分)内の建築物の建築及び敷地に関する制限が定められております。現在、自治体の条例による規制が、当社の事業展開に与える影響は軽微でありますが、将来的に規制が変更もしくは強化された場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

エリア

棟数

構成比(%)

戸数

構成比(%)

 

 

 

 横浜市西区・中区・神奈川区

73

70.2

3,354

70.9

 横浜市港北区

7

6.7

404

8.5

 横浜市内その他

4

3.8

139

2.9

 

 

 

横浜市内 計

84

80.8

3,897

82.4

 

 川崎市幸区

4

3.8

233

4.9

 川崎市中原区

9

8.7

345

7.3

 

 川崎市内その他

3

2.9

116

2.5

川崎市内 計

16

15.4

694

14.7

 

 

 

神奈川県下 計

100

96.2

4,591

97.0

 

 

 

東京都内 計

4

3.8

140

3.0

 

 

 

総 計

104

100.0

4,731

100.0

(注)2023年12月31日現在の竣工棟数・戸数について記載しております。

 

(10) 投資用マンション販売事業について

①顧客からのクレームや訴訟提起等について

当社グループが販売したマンションは、主にマンション経営による資産運用を目的として購入されており、金融商品や他の投資運用手段と競合した商品との位置付けにあると考えております。当社は商品販売に際し、空室の発生、家賃相場の下落、金利上昇による返済負担の増加等、マンション経営に関するリスクについて、顧客の十分な理解が得られる説明を行うよう努めております。また、販売後も集金の代行、建物の維持管理、入居者の募集及び賃貸仲介等、アフターサービスの充実に努めております。しかしながら、今後、何らかの事情により、顧客からクレームや訴訟提起等があった場合、事実の存否にかかわらず、当社グループの信用に影響を与え、業績に影響を及ぼす可能性があります。

②販売物件の入居率低下について

当社グループが販売した投資用マンションの賃貸入居率が低下した場合、賃料収入を見込む新規購入者の購買意欲が低下する可能性があります。当社グループでは、賃貸需要が高いと考えられる地域へ物件を建設し、当社グループ及び近隣の不動産業者による新規入居者の獲得に努め、良好な住環境を整備し、入居者の固定化に尽力しております。

しかしながら、既存物件の周囲で住環境が悪化する等、不測の事態により入居率が低下した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)人材の確保について

当社グループの退職者は、2021年12月期に27名、2022年12月期に18名、2023年12月期に10名発生しております。

当社グループは、優秀な人材の確保と育成を重要な経営上の課題と捉え、入社した従業員に対しましては、当社グループ内での研修カリキュラムを整備し、OJTの実施により早期の職務技能習得を目指しております。また、個人ごとの業績評価につきましては、社内各部門に適した評価制度を定め、上長の人事考課を実施することで、優秀な人材の定着に努めております。特に、不動産販売、売買仲介及び賃貸仲介を担当する営業部門に所属する従業員につきましては、業務の成果が当社グループの業績に直結することから、その他の部門とは別の報酬体系を定め、成果に応じたインセンティブを付与しております。

しかしながら、こうした施策にもかかわらず、従業員の定着度が高まらない場合や、雇用の需給関係から当社が求める人材が十分に確保できない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)個人情報の取扱について

当社グループでは、既存顧客・見込み顧客の個人情報を保有しております。個人情報保護法に鑑み、当社グループでは、グループ全体の役職員共通のプライバシーポリシーの制定等、同法を遵守する体制の構築を進めております。システム上においては、個人情報ファイル保管の厳重化・ITシステム監視ソフトの導入・アクセス権の制限などにより、個人情報の漏洩防止に備えております。

しかしながら、不測の事態により、個人情報が外部に漏洩するような事態となった場合、損害賠償等による費用が発生する可能性がある他、当社グループの信用低下を招く場合があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)株式価値の希薄化に関わるリスクについて

2020年12月7日付で当社取締役等に対し第5回新株予約権170,000株を発行し、2023年12月31日現在の当該新株予約権の未行使の株式数145,000株となります。また、2023年7月31日付で当社取締役等に対し第6回新株予約権300,000株を発行し、2023年12月31日現在の当該新株予約権の未行使の株式数は300,000株となります。これにより当社の潜在株式数は445,000株となり、これに係る議決権数は4,450個となるため、当社の総議決権数237,233個(2023年12月31日現在)に占める割合は1.9%に相当いたします。当該新株予約権の行使により、当該割合において当社株式に希薄化が生じる可能性があります。

 

(14)海外の不動産管理事業について

当社グループは、中国においてサービスアパートメントの運営及び管理を行っている会社を連結子会社化することにより、海外の不動産管理事業に進出しております。中国の経済状況の変化等の要因により、サービスアパートメントの管理収入などが減少し、採算が悪化した場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15)海外の不動産賃貸事業について

 当社グループは、中国においてワンルームマンションの賃貸事業を行っている会社を連結子会社化することにより、海外の不動産賃貸事業に進出しております。中国の経済状況の変化等の要因により、稼働率が低迷するなどした場合、当該事業の採算が悪化し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績等の状況の概要

 ①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症に伴う行動制限及び水際対策等の緩和によりインバウンド需要が増加し、徐々に経済活動の正常化が進みました。一方、国内では物価上昇による個人消費の落ち込み、国外では各国に頻発する紛争問題、世界的なインフレや金融引き締めによる経済の停滞がリスクとなり、依然として先行きは不透明な状態が続いております。

 当社グループの主力市場である不動産市況においては、資材価格及び建築費の高騰に伴い販売価格の上昇が続いており、以前と比して利益確保が困難にはなっているものの、需要と供給のバランス均衡は底堅く推移しております。

 このような事業環境のもと、当社グループは不動産管理事業を事業領域の中心に据え、それに関連する不動産仲介事業、不動産賃貸事業の更なる収益向上及び不動産販売事業の業容拡大を目指してまいりました。

その結果、当連結会計年度の業績は、売上高2,125百万円(前連結会計年度比14.6%減)、営業利益53百万円(前連結会計年度比10.8%増)、経常利益47百万円(前連結会計年度比11.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益40百万円(前連結会計年度比26.0%減)となりました。

 

当連結会計年度におけるセグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

(不動産販売事業)

不動産相場並びに建築資材の高騰を背景として開発を慎重に吟味していることなどから、売上高715百万円(前連結会計年度比36.5%減)、営業利益87百万円(前連結会計年度比19.7%増)となりました。

(不動産管理事業)

建物管理業務を積極的に受注することにより売上高は前年を上回りましたが、新型コロナウイルス感染症の影響緩和に伴い稼働を全面的に復旧させるための営業費用がかさんだことなどから、売上高は589百万円(前連結会計年度比1.7%増)、営業利益は120百万円(前連結会計年度比17.6%減)となりました。

(不動産賃貸事業)

より高い収益性を実現するため資産の流動化を推進しており、前年から投資物件の売却を一部行い賃料収益が相対的に減少傾向にあることなどから、売上高は387百万円(前連結会計年度比4.4%減)、営業利益は63百万円(前連結会計年度比28.1%減)となりました。

(不動産仲介事業)

新型コロナウイルス感染症の影響が緩和され、国内・国外共に経済活動の正常化が見られることなどから、売上高は445百万円(前連結会計年度比11.4%増)、営業利益は94百万円(前連結会計年度比7.3%増)となりました。

(投資事業)

市況を鑑み投資を抑制していることから、売上高、営業利益共に発生はありませんでした(前連結会計年度も同様)。

 

 また、財政状態については次のとおりであります。

(流動資産)

 当連結会計年度末の流動資産の残高は、前連結会計年度比25.6%増の2,631百万円となりました。その主な内訳は、現金及び預金1,279百万円、販売用不動産859百万円、仕掛販売用不動産267百万円であります。増加の要因といたしましては、第三者割当増資などにより、現金及び預金が426百万円増加したことによるものであります。

(固定資産)

 当連結会計年度末の固定資産の残高は、前連結会計年度比4.9%減の984百万円となりました。その主な内訳は、投資不動産574百万円であります。減少の要因といたしましては、保有目的の変更により投資不動産から販売用不動産への振替が生じたことなどにより、投資不動産が34百万円減少したことによるものであります。

(流動負債)

 当連結会計年度末の流動負債の残高は、前連結会計年度比10.4%増の947百万円となりました。その主な内訳は、短期借入金139百万円、前受金124百万円、預り金505百万円であります。増加の要因といたしましては、不動産販売に係る預り金が149百万円増加したことによるものであります。

 

(固定負債)

 当連結会計年度末の固定負債の残高は、前連結会計年度比11.3%減の506百万円となりました。その主な内訳は、長期借入金238百万円、長期預り保証金231百万円であります。減少の要因といたしましては、返済により長期借入金が54百万円減少したことによるものであります。

(純資産)

 当連結会計年度末の純資産の残高は、前連結会計年度比27.1%増の2,162百万円となりました。増加の要因といたしましては、第三者割当増資により資本金及び資本剰余金がそれぞれ200百万円増加したことによるものであります。

 

 ②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、営業活動による収入が145百万円、投資活動による収入が6百万円及び財務活動による収入が272百万円となったことから、前連結会計年度末に比べ426百万円増加し、1,279百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、145百万円の収入(前連結会計年度は455百万円の収入)となりました。これは主として税金等調整前当期純利益の計上47百万円、預り金の増加146百万円等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、6百万円の収入(前連結会計年度は73百万円の支出)となりました。これは主として関係会社株式の売却による収入12百万円等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、272百万円の収入(前連結会計年度は89百万円の収入)となりました。これは主として有利子負債の返済による支出488百万円、新株の発行による収入400百万円等によるものであります。

 

 ③生産、受注及び販売の実績

 a.生産実績

 該当事項はありません。

 b.契約の実績

 当連結会計年度における不動産販売事業の契約実績は次のとおりであります。

種  別

前連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

期中契約高

期末契約残高

期中契約高

期末契約残高

数量

金額(千円)

数量

金額(千円)

数量

金額(千円)

数量

金額(千円)

マンション・戸建

13戸

407,633

4戸

235,713

1棟マンション

土地

11件

697,806

10件

355,318

その他

3件

20,390

8件

124,235

合  計

1,125,830

715,267

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

 

前連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

売上高(千円)

売上高(千円)

不動産販売事業

1,126,858

715,792

不動産管理事業

579,877

589,809

不動産賃貸事業

391,826

380,392

不動産仲介事業

391,501

439,973

投資事業

               合計

2,490,064

2,125,968

 (注)最近2連結会計年度における開示すべき主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

マトリックス・キャピタル株式会社

278,606

11.2

 

(不動産販売事業)

物件別販売実績

前連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

物件名

数量

金額(千円)

物件名

数量

金額(千円)

(土地)

 

 

(土地)

 

 

横浜市

7件

396,331

横浜市

9件

354,085

その他の地域

4件

302,207

その他の地域

1件

1,609

小計

11件

698,538

小計

10件

355,694

(実需用戸建て)

 

 

(実需用戸建て)

 

 

横浜市

6戸

228,062

横浜市

3戸

133,259

その他の地域

1戸

36,863

その他の地域

小計

7戸

264,926

小計

3戸

133,259

(投資用マンション 中古等)

 

 

(投資用マンション 中古等)

 

 

横浜市

3戸

84,485

横浜市

その他の地域

その他の地域

1戸

102,564

小計

3戸

84,485

小計

1戸

102,564

(実需用マンション 中古等)

 

 

(実需用マンション 中古等)

 

 

横浜市

3戸

58,507

横浜市

小計

3戸

58,507

小計

(収益物件)

 

 

(収益物件)

 

 

横浜市

3件

20,400

横浜市

8件

124,274

小計

3件

20,400

小計

8件

124,274

合計

1,126,858

合計

715,792

 (注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

地域別販売実績

前連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

地域名

金額(千円)

地域名

金額(千円)

横浜市

787,787

横浜市

611,619

その他の地域

339,070

その他の地域

104,173

合計

1,126,858

合計

715,792

 (注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(不動産管理事業)

 販売実績

前連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

579,877千円

589,809千円

 (注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

物件形態別管理実績

前連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

物件形態

数量(戸)

物件形態

数量(戸)

当社分譲物件

2,204

当社分譲物件

2,050

その他

1,468

その他

1,500

合計

3,672

合計

3,550

 (注)物件所有者に代行して入居者募集業務、賃貸契約代行業務、家賃管理業務を行っている物件の各期末における管理戸数を記載しております。

(不動産賃貸事業)

 販売実績

前連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

391,826千円

380,392千円

  (注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(不動産仲介事業)

 販売実績

前連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

391,501千円

439,973千円

 (注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

    契約形態別仲介実績

前連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

契約形態

数量(戸・件)

契約形態

数量(戸・件)

不動産賃貸

1,505

不動産賃貸

1,606

不動産売買

271

不動産売買

125

合計

1,776

合計

1,731

 (注)不動産仲介業における契約形態別の取扱戸数を記載しております。

 

 

(投資事業)

 販売実績

前連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

-千円

-千円

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 文中における将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日(2024年3月29日)現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、決算日における資産・負債の報告金額及び偶発資産・負債の開示、並びに報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積り及び予測を行っております。当該見積りにつきましては、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に関して情報収集を行い、見積り金額を計算しておりますが、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。

②当連結会計年度の経営成績等の分析

a.売上高・売上総利益

 当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度比14.6%減の2,125百万円となりました。減収の主な要因は、需給の兼ね合いで不動産販売事業において戸建物件販売の伸び悩み等によるものです。

 また、当連結会計年度における売上総利益につきましては、前連結会計年度比0.0%減の820百万円となりました。

 

b.販売費及び一般管理費・営業利益

 当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、コストの見直しと削減により前連結会計年度比0.7%減の767百万円となりました。

 この結果、営業利益は前連結会計年度比10.8%増の53百万円となりました。

 

c.営業外損益・経常利益

 当連結会計年度における営業外収益は、コロナの収束に伴いコロナ対策に係る助成金収入などが減少したことなどにより、前連結会計年度比24.4%減の16百万円となりました。また、営業外費用は、第三者割当にかかる支払手数料の増加がありましたが、借入利息及び為替差損の減少などにより前連結会計年度比18.6%減の21百万円となりました。

 この結果、経常利益は前連結会計年度比11.8%増の47百万円となりました。

 

d.特別損益・法人税等(法人税等調整額含む)・親会社株主に帰属する当期純利益

 当連結会計年度における特別利益の計上はありません(前連結会計年度の特別利益は35百万円)。また、特別損失は、前連結会計年度から3百万円減の0百万円となりました。

 この結果、税金等調整前当期純利益は前連結会計年度比36.2%減の47百万円となりました。また、当連結会計年度の法人税等(法人税等調整額含む)は6百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比26.0%減の40百万円となりました。

 

③経営成績に重要な影響を与える要因について

 「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

 

④経営戦略の現状と見通し

 当社グループは、継続的かつ安定的に成長できる事業基盤の構築を目指し、不動産管理事業等の「ストック型フィービジネス」を強化してまいりました。この事業基盤を土台として既存事業である不動産サービス分野の規模拡大、そして、新たな収益の柱となる新規事業への取り組みを強化してまいります。

 

(不動産販売事業)

約30年間に渡り横浜で事業展開を行うことで培ったノウハウを活かし、横浜エリアを中心に新築戸建住宅の開発や投資用・居住用マンションの買取再販、また全国に保有する土地の販売を行い、業容を拡大しております。また、都内のマンション買取再販事業を強化し、当社が有する海外富裕層とのネットワークをフルに活用して今後も積極的な事業展開を継続してまいります。

(不動産管理事業)

当社グループの基幹事業であり、既に安定した収益基盤を形成しております。不動産オーナーと入居者の双方へのサービスをより一層向上させることで、同業他社との差別化を図り、管理受託戸数の増加につなげるとともに、より一層の業務効率化を実現することで収益拡大を図ります。

(不動産賃貸事業)

当社所有不動産の運用につきましては、国内における投資不動産並びに中国のサブリース事業の稼働率が一時的に低下したものの、賃料水準は概ね現状維持で推移しております。今後につきましても稼働率の維持により一層注視し、賃料水準、稼働状況の向上に努めてまいります。

(不動産仲介事業)

事業内容は賃貸仲介と売買仲介に大別され、賃貸仲介につきましては、賃貸管理業務の受託物件が集中するエリアにおける取引件数及びシェアの拡大を目指します。売買仲介につきましては、投資用マンションオーナーの資産の現金化や組み換え等のニーズに的確に応えるため、購入希望者への斡旋業務を速やかに行ってまいります。また、インバウンド需要のニーズを捉えて、タワーマンション等の大型物件の斡旋にも努めてまいります。

(投資事業)

 既存事業とのシナジー効果が見込める事業や今後の成長が見込まれる新たな事業への投資事業を行ってまいります。

(新規事業)

当社グループは、徳威グループなど日中間のクロスボーダービジネスを収益拡大の好機と捉え、様々な事業協力の可能性を追求し、新たな事業の取り組みを進めてまいります。

 

⑤資本の財源及び資金の流動性についての分析

a.キャッシュ・フロー

 当連結会計年度末におけるキャッシュ・フローの概況については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

b.資金需要及び資金調達

 当社グループの資金需要は、主に土地・中古不動産の取得費用及び戸建新築費用、中古不動産の内装・工事費用等であります。

 調達手段といたしましては、主に金融機関からの借入及び第三者割当による株式発行によっておりますが、社債発行による調達も検討してまいります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。