(1)経営の基本方針
当社グループは創業以来、社是である「世界の人々に役立つ製品をつくる」、「互恵互善の理念に徹し相互の利益をはかる」、「平等の精神を基本とし働く者の楽園を築く」を経営理念とし、開発型ものづくり企業として超精密加工技術を武器に世の中のニーズにマッチした価値をグローバルに供給することで、もっと便利に、もっと豊かに、安心して暮らせる「しあわせな未来」を実現します。
(2)経営環境及び対処すべき課題等
昨今は、カーボンニュートラル社会の実現と情報化社会の高度化の真っ只中にあります。その過程においては当社の主力事業のターゲットである「自動車分野」と「半導体分野」がともに含まれています。日本を含むグローバルでの環境対応の動きは急速に進んでおり、長期的に継続するものと考えています。
このような環境の中、当社グループは、超精密加工技術をベースに省資源・省エネルギーに貢献する製品・部品の供給拡大と生産性向上に取り組んで参ります。また、金型製作から製品供給までの一貫生産の強みを活かし、他社との差別化を図って参ります。
事業環境を分析してその変化に対応し、健全な企業体質を構築するために各事業やロケーションの特徴・機能を含め相乗効果が発揮できるよう連携して取り組んで参ります。
今後も超精密加工技術を核として、グローバル供給体制を活かし顧客ニーズに対応するとともに、引き続き生産性向上、原価低減に取り組み収益拡大を図ります。
このような取り組みにより、翌連結会計年度の連結業績見通しは、売上高は2,370億円(当期比21.0%増)、営業利益は210億円(当期比15.9%増)、経常利益は200億円(当期比8.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は140億円(当期比9.9%減)を予想しております。
各セグメントの取り組み内容は、以下のとおりであります。
(金型・工作機械)
金型・工作機械事業については、省資源・省エネルギー化をはじめとした市場の要求と変化に対応し、重点事業である電子部品事業、電機部品事業を支えて参ります。今後も技術力強化とともに生産性向上及び設備増強による生産能力拡大を図って参ります。
(電子部品)
半導体業界においては、車載向け半導体についての需要動向は拡大基調にあります。情報通信機器関連向け需要並びに民生向け需要は、当連結会計年度は低調に推移したものの、翌連結会計年度後半以降に徐々に回復する見通しです。ただし、自動車の電動化、自動運転化などの進展に伴う旺盛な半導体需要は底堅いと考えており、顧客ニーズに応えるソリューション提案とグローバル供給体制を武器に成長分野にターゲットをフォーカスし、生産性向上と高付加価値製品の販売、原価低減の継続推進による収益向上を図って参ります。
(電機部品)
自動車の電動化の進展に伴い、受注は堅調に推移する見通しです。日本・米州・中国・欧州の4極生産体制を活かし、引き続き事業拡大を進めて参ります。その中で金型事業との連携による一貫生産体制での迅速な量産化対応や顧客要求品質を満たす製品の安定生産・安定供給を武器に、車載用モーターコアの受注拡大、省エネ家電製品用モーターコアの拡販に取り組んで参ります。
(3)中長期的な経営戦略と経営目標
当社グループは社是を経営理念として、持続的な成長と企業価値の向上に向け、それぞれの時代に合った製品・部品の開発を行い、お客様のニーズに応えて参りました。
近年、全世界的に環境保全に対する法整備が進んでおり、環境問題への取り組みの必要性、企業の社会的責務はますます増大していると考えております。当社グループとしましては、「超精密加工でしあわせな未来を」というスローガンのもと、"Save energy. Save earth. Save life."を経営指針の柱に掲げ、超精密加工技術を核に環境対応技術の普及に貢献する製品・部品の供給拡大と生産性向上に今後も継続して取り組んで参ります。
さらに世界中のお客様をマーケットと捉え、必要とされるものを必要とされるときに必要なだけ生産・供給いたします。消費地立地と最適地生産のバランスを常に考え、進化するニーズに対応する技術力で信頼されるグローバルな供給体制を強化して参ります。
その中で、安定的な収益確保と財政基盤の充実を図るため、各事業や各拠点が連携し、全体最適による経営資源の効率的活用に努めて参ります。
なお、中期経営計画の最終年度である2025年1月期の目標につきましては、前述の「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(2)経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
本項には将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末(2024年1月31日)現在において判断したものであります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2024年1月31日)現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、地球環境の保全と事業活動との調和を図りつつ、企業理念である「社是」や、経営指針の柱に掲げているわが社の目的「Save energy. Save earth. Save life.」を推進することで、長期的な企業価値向上を目指すと同時に、持続可能な社会の実現を目指していきます。
(1)サステナビリティの考え方及び取組
①ガバナンス
全社でのサステナビリティ活動の管理・監督を目的に、社長を議長とするサステナビリティ推進委員会を設置しています。各サステナビリティ活動の推進責任を各事業本部・グループ会社が持ち、各事業本部の企画部門が企画段階から参画することで、各事業戦略に連動した活動を推進します。
サステナビリティ推進委員会は定期的に各事業本部より報告を受け、活動について助言を行います。また、サステナビリティ推進委員会が、各事業本部のサステナビリティ活動について取締役会へ報告し指示を受けることで、取締役会は当社のサステナビリティ活動を管理・監督しています。
②戦略
今後、サステナビリティを重視した経営を行っていくにあたり、さまざまなステークホルダーの期待と信頼に応え、企業理念の「社是」や経営方針の柱に掲げている「Save energy. Save earth. Save life.」を推進すべく、社会と当社が持続的に成長するための重要課題として、「三井ハイテックのマテリアリティ」を特定しています。さらに、国連「持続可能な開発目標(SDGs)」の17目標に取り組んでいくために、当社のマテリアリティとSDGsを関連付け、事業活動を推進していきます。
テーマ |
マテリアリティ |
環境に配慮した取り組み |
GHG排出量の削減 |
資源の有効活用と水資源の保全 |
|
廃棄物の抑制とリサイクルの推進 |
|
環境負荷を低減する製品・技術の開発 |
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人的資本の強化 |
労働環境の整備と働き方改革 |
ダイバーシティ&インクルージョンの推進 |
|
人権の尊重 |
|
公正なガバナンス体制の維持 |
コーポレートガバナンスの向上 |
コンプライアンスの遵守 |
|
社会・ステークホルダーへの責任 |
製品を通じた安心・安全・快適な社会の構築への貢献 |
高品質・高精度な製品の安定供給 |
|
サプライチェーンマネジメントの向上 |
③リスク管理
当社は、当社グループを取り巻く事業環境の変化が激しく、不確実性への対応が求められる中で、グループ全体でリスクマネジメント体制の強化を図っています。
当社のリスク管理について定める「リスク管理規程」において、各部門及び各グループでリスク管理の責任者を定め、想定されるリスクの発生防止及び発生時の対応等を統制しています。経営企画本部は、当社グループ全体のリスクを網羅的・統括的に管理します。
また、当社では「リスク予測管理要領」に基づき、内部統制部門が、想定される様々なリスクを抽出した上、当該リスクを管理する統括部署を設定し、想定リスクに関する取り組みを管理・監督しています。なお、これらの想定リスクは、近年の社会情勢・経済環境の急激な変化に対応するため、毎年見直しを行っています。 さらに、当該想定リスクは、発生の頻度と影響度の観点から評価し、重要度の高いリスクを「重点リスク」と位置付け重点的に管理しています。内部統制部門はこうしたリスクマネジメント活動をモニタリングし、当社グループ全体でリスクの未然防止とリスクが顕在化した場合の被害の最小化に取り組んでいます。
このリスクマネジメント活動は、定期的に内部統制部門から取締役会に報告されており、取締役会によるモニタリングも実施されています。
④指標及び目標
サステナビリティに関する指標及び目標は、それぞれ
(2)気候変動への対応
昨今、地球規模の環境課題の解決に向け、長期的な取り組みを継続することが企業に求められています。当社グループは子孫に豊かな地球を残すため、「Save energy. Save earth. Save life」を経営指針の柱に掲げ、脱炭素(カーボンニュートラル)社会の構築に貢献する技術及び製品の開発、並びに事業活動における温室効果ガスの排出削減に取り組むことにより、地球環境の保全と事業活動の調和を図り、持続可能な成長を目指します。
当社グループは環境への取り組みを、企業経営の最重要課題の一つとして位置付け、全社事業計画と密接した取り組みを進めていきます。
①ガバナンス
・三井ハイテック環境方針
当社は「ISO14001環境方針」として基本理念と基本方針を定め、グループ会社を含め拠点ごとに環境マネジメントシステムを構築して、環境活動を推進しています。
※三井ハイテック環境方針は以下をご参照下さい。
https://www.mitsui-high-tec.com/sustainability/external/
・取締役会の役割、監視体制
当社は、社会的責任を果たし持続的に発展していくための重要な経営課題の一つとして気候変動問題を含む「環境問題」を認識しており、取締役会による監督とサステナビリティ委員会を中心とするガバナンス体制を構築しています。サステナビリティ推進委員会は経営企画本部サステナビリティ推進部を事務局として年2回開催され、活動状況を取締役会に報告しています。
取締役会は、サステナビリティ推進委員会からの報告を受け、その活動状況の監督を行うとともに、気候変動問題への取り組みを含むサステナビリティに係る基本方針や重要事項の決定を行います。
②戦略
当社では、気候関連のリスクと機会は、中長期にわたり当社の事業活動に影響を与える可能性があると認識しています。外部環境の変化や様々な状況下におけるリスクや機会を考慮するため、TCFD提言におけるシナリオ分析の枠組みを活用し、1.5℃シナリオ・4℃シナリオの双方において、気候変動が当社事業に影響を及ぼすリスク・機会の特定と、その時間軸や可能性、財務影響度の評価を行いました。
シナリオ分析の結果、気候関連リスクは当社事業に対しマイナスの影響を与えうると想定される一方、電動車や半導体への需要が大幅に高まることにより当社の主力事業である電機部品・電子部品・金型事業において大きな気候関連機会が想定され、当社は気候変動に対して一定のレジリエンスを有しているものと認識しています。シナリオ分析については、継続的な実施を検討しています。
|
シナリオの概要 |
発現時期 |
可能性 |
影響度 |
当社事業に想定される影響 |
対応策 |
|
1.5℃シナリオ |
炭素税などの炭素排出政策が導入・強化される |
中長期 |
高い |
中 |
リスク |
脱炭素施策の導入・強化が必須となり、事業活動に必要なエネルギーや資材の調達コストが増加する。 当社グループの2021年度Scope 1、2 排出量9.8万トン-CO2に対し、WEO 2021 NZEシナリオにおける2030年の先進国カーボンプライス予測となる$130(1米ドル=141.9円と想定、当社2023年度平均為替レート)のコスト負担が必要になると、約18.4億円のコスト負担増となる。 |
生産時の資源使用量の削減や、使用電力の再エネ化、太陽光パネルによる創エネの推進等の脱炭素施策を推進 |
省エネ・再エネ・脱炭素関連技術が進展する |
中長期 |
高い |
大 |
機会 |
脱炭素施策の効果が発現する場合、エネルギー・資材調達コストが抑制される。 |
環境負荷を低減する製品や技術の開発推進により、高まる需要に対応するとともに製品の競争力を強化 |
|
燃費・排ガスや使用電力の規制が強化されるとともに市場や消費者のニーズが変化し、社会の脱炭素化に必要となる電動車や半導体への需要が増加する |
短期 |
高い |
大 |
リスク |
ガソリン車の需要減少・電動車や半導体の需要増加といった顧客業界における需要変化により、売上構成が変化する。また、モーターコア・リードフレーム・金型への需要の増加に伴い、競合環境の激化や原材料調達コストの上昇が生じる。 |
省資源・省エネルギーに貢献する製品・部品の供給拡大と生産性向上に取り組み競争力を維持・強化するとともに、適切な原材料調達及び販売価格戦略を徹底 |
|
機会 |
電動車や半導体の需要増加に伴いモーターコア・リードフレーム・金型への需要が増加し、売上と利益が増加する。 例として、WEO 2021 NZEシナリオにおいて、グローバルでの新車販売に占めるEV車の割合は、2021年の約9%から2030年には60%超へと大きく拡大すると見込まれている。 |
||||||
サプライチェーン全体の脱炭素化が進展する |
中期 |
高い |
大 |
リスク |
環境負荷の高い製品が敬遠され、顧客からの製品の脱炭素化への要請に対応が遅れると、売上が減少する。 |
生産時の排出量削減による製品の脱炭素化への取り組みを推進 |
|
機会 |
製品の脱炭素化への取り組み推進により、顧客からのサプライチェーンの脱炭素化への要請に対応できる場合、売上が増加する。 |
||||||
気候変動に対する投資家・ステークホルダーの注目が高まり情報開示義務が拡大される |
中期 |
高い |
大 |
リスク |
気候変動への対応や情報開示が遅れると、企業価値やブランドイメージが棄損する。 |
脱炭素施策を遂行し、非財務情報開示を強化 |
|
機会 |
脱炭素施策の遂行と非財務情報開示の強化により、投資家・ステークホルダーからの評価や信頼が向上した場合、企業価値も向上する。 |
||||||
4℃ シナリオ |
異常気象が激甚化・高頻度化し、これに伴う自然災害が増加する |
長期 |
中程度 |
大 |
急性リスク |
工場設備等の被災やサプライチェーンの寸断により操業が停止する。 |
事業拠点のリスクの把握と、BCP(事業継続計画)の策定・強化により、サプライチェーンを含めた事業全体のレジリエンスを強化し、災害リスクを抑制 |
平均気温が上昇する |
長期 |
中程度 |
大 |
慢性リスク |
安定した製品品質維持が困難となる。 労働環境の悪化により従業員の生産性が低下する。 |
事業拠点のリスクの把握と、BCPの策定・強化により、レジリエンスを強化 |
|
水資源が不足する |
長期 |
中程度 |
大 |
慢性リスク |
特に欧米・中国において熱波・干ばつの増加により産業用水の供給が不足し、操業が不安定になる。 |
事業拠点のリスクの把握と、BCPの策定・強化により、レジリエンスを強化 |
|
海面が上昇する |
長期 |
中程度 |
中 |
慢性リスク |
海抜の低いエリアに所在する事業拠点の水没リスクが高まる。 |
事業拠点のリスクの把握と、BCPの策定・強化により、レジリエンスを強化 |
TCFDシナリオ前提
採用シナリオ |
4℃シナリオ |
IPCC第6次報告書/SSP4-8.5 |
1.5℃シナリオ |
IEA/WEO2021 NZE |
|
時間軸の定義 |
短期 |
2025年頃まで |
中期 |
2030年頃まで |
|
長期 |
2050年頃まで |
|
シナリオ分析対象 |
既存事業 |
③リスク管理
当社はシナリオ分析を実施することで、気候変動影響による「移行リスク」「物理リスク」を網羅的に抽出しています。抽出したリスクについて採用シナリオごとに「顕在時期」「事業への影響」を評価し、その結果をもって重要な気候変動リスクを特定しています。
特定したリスクに関しては、「
④指標及び目標
当社グループは気候変動対応への指標として、CO2排出量(Scope1・2)の目標を定めています。
[CO2排出量に関する目標及び実績(Scope1・2)]
(単位:Kton-CO2)
2021年度実績(基準年) |
2023年度実績 |
2024年度目標 |
2030年度目標 |
2050年度目標 |
|
排出量 |
削減目標 2021年度比 |
達成率 |
2021年度比 |
2021年度比 |
|
98 |
△6.8% |
118% |
△10.2% |
△30% |
0 |
Scope3については現状調査を実施し、新たに目標を設定していきます。
(3)人的資本に関する取組
①ガバナンス
当社グループでは、「人的資本の強化」についても、気候変動問題同様に、企業の社会的責任を果たし持続的に発展していくための重要な経営課題と認識し、取締役会による監督とサステナビリティ推進委員会を中心とするガバナンス体制を構築しています。この体制のもと、人的資本に関する取り組みをさらに推進していきます。
②戦略
当社グループは、企業としての社会的責任を果たし持続的に発展していくために、「必要人材の確保と成長機会の提供」「働きやすい職場づくり」に直結した施策(以下、人的資本戦略ロードマップ参照)に取り組みます。「人」への投資を積極的に行い、パフォーマンス及びモチベーションを最大限向上させることで、従業員がいきいきと安心して働ける職場づくりを目指しています。
・人材に対する方針
社是の一つである「平等の精神を基本とし働く者の楽園を築く」に基づき、「性別、国籍、社歴等に関係なく、従業員一人ひとりが能力を最大限発揮し、自律的に学び成長できる人材を育成していくこと」を方針とし、組織文化醸成とともに人材育成に取り組みます。
・人権方針
当社グループは、従業員を大切にし、基本的人権を尊重することを経営の基本としており、三井ハイテックグループ行動規範に明記しています。当社グループに所属する全ての役員及び従業員は、行動規範を遵守すること、互いの人権・人格を尊重することが、安全で明るい職場環境を実現するために不可欠であるとの認識を共有しています。
加えて、国籍、性別、年齢、障がいの有無、性自認や性的指向、又は社会的身分などを理由として差別的な取り扱いは行いません。職場における様々な差別やハラスメント、児童労働や強制労働を容認しません。
また、内部通報制度を整備・運用しており、人権方針違反などがあった場合は、早期かつ的確な対応を図るとともに、その是正について速やかな対応を行っていきます。
・ダイバーシティ&インクルージョン
当社グループは「人」の総合力の発揮に向け、「多様な人材の活用」を目指しています。多様な人材を活用することで、「イノベーション」「潜在的能力の発揮」「バイアス回避」が実現できると考えています。
ダイバーシティ推進に向け、意識改革研修や、女性が継続的に活躍できる職場づくり、さらに管理職を目指す意欲を向上させる研修を実施しています。また、若手の時期から知識を向上させることのできる研修体系を構築し、人材育成を進めています。
・中期経営計画における人的資本戦略
当社グループでは中期2027年度に向けた人的資本戦略ロードマップを策定しました。このロードマップに沿って活動し、持続的成長を可能にしていきます。
人的資本戦略ロードマップ
項目 |
目的 |
施策 |
KPI |
現状値 |
目標値 |
リーダーシップ/育成/スキルと経験 |
人的投資を行い、個人の総合力発揮可能な仕組構築 |
・人事制度改定 ・リーダー育成 ・研修体系の運用継続 ・各部門の技術継承 ・社内技能検定 |
2025年度までに、従業員満足度調査結果により、KPI設定 |
- |
- |
高度な技術・知識を次世代に受け継ぐ |
|||||
ダイバーシティ 非差別 育児休業 |
管理・判断する人材が多様な視点を持つことで、新たな取り組みを促し、会社・組織を活性化させる |
・女性活躍促進 ・多様な視点を取り入れるため、新卒だけではなく中途社員も積極採用 ・男性育児休業取得促進 ・定年再雇用制度改定 ・LGBTQへの理解研修 |
・女性管理職希望率 (男性と同率) ・女性社員採用比率 (独自に算出) ・女性管理職比率 (2020年度大企業平均) ・正規雇用労働者の中途採用比率 ・男性育児休暇取得率 (政府目標水準) ・配偶者出産特別休暇取得率 |
40.2%
23.5%
2.5%
54.0%
43.8%
82.8% |
60%
25%
5%
-
50%
100% |
採用/維持 |
事業運営に必要な人材確保 |
||||
労働慣行 育児労働 強制労働 賃金の公平性 |
平等・公正な労働環境整備 |
・労働慣行方針の策定と周知 ・海外グループ会社への展開 |
・有給休暇取得率 (政府目標水準+10%) |
75.9% |
80% |
福利厚生 |
従業員満足度を向上の上、従業員が安心して働ける環境を整備 |
2024年度に従業員満足度の集計を完了させ、2025年度までにKPI設定 |
2025年度までに、調査結果によりKPI設定 |
- |
- |
従業員満足度 |
当社の課題を測定し、必要人材を獲得・定着させる |
||||
組合との関係 |
雇用者と労働者の代表間で対話を継続実施の上、労使共同で生産性向上を図る |
定期的なコミュニケーション機会の継続(労使協議会、トップ会談) |
(注)上記人的資本戦略ロードマップにおける、KPI、現状値及び目標値は、提出会社単体を記載しております。
③リスク管理
当社グループの人的資本戦略においては、「必要人材の確保と成長機会の提供」「働きやすい職場づくり」が重要と認識しています。労働市場の人材流動化や少子高齢化に伴う労働力人口減少により、今後も人材の獲得競争が激化していきます。そのような環境の中で、当社グループの事業運営に必要な人材を確保することができなければ、事業存続の危機及び競争力低下に繋がる可能性があります。
また、多様な価値観やスキル・経験を有した人材が定着しなければ、技術・技能の伝承機会損失に繋がり、会社の持続的な発展を妨げてしまいます。
これらの人的リスクへの対応として、人権尊重、人事制度改定や人材育成、従業員満足度調査、労働環境の整備、ダイバーシティ&インクルージョン等の取り組みを推進していきます。
なお、特定した人的リスクに関しては、「
④指標及び目標
人的資本における指標及び目標については、「
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項として当社グループが判断するものには以下のようなものがあります。
ただし、すべてのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見できないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2024年1月31日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 業界の需要状況
当社グループは、グローバルに事業を展開しており、製品を販売している国又は地域の経済状況の影響を受けるとともに、主たる供給先である半導体、家電及び自動車業界の需要動向にも影響を受け、顧客の在庫調整等が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、世界経済情勢、半導体・自動車市況を注視し、中長期的な市場予測に基づき生産能力を拡充・調整し、短期的には稼働状況を調整することなどにより、需要の変化への対策を講じております。
しかしながら、あまりにも急激な環境の変化が発生した場合、生産能力の余剰、又は生産能力不足に起因する受注機会逸失による、競争力の低下が発生する可能性があります。
(2) 原材料・部品の調達及び価格変動
需給バランスの乱れ、国際情勢の不安定化等、原材料・部品等の安定的な調達に影響を及ぼす事象により、原材料・部品等を十分に確保できない場合、製品・サービスの提供が遅れ、お客様への納期遅延や機会損失等が発生する可能性があります。また、サプライヤーにおいて児童労働や強制労働等の労働者の権利侵害事象等を含む法令違反等が発生した場合、発注元としての当社グループの評判の低下や、当該サプライヤーからの安定した原材料・部品の調達に支障が生じ、当社グループの業績や事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。非鉄金属(ニッケル、銅など)、鋼材、貴金属(金、銀、パラジウムなど)及び原油価格の変動は、当社グループが購入しております主要原材料価格の変動に繋がり、製品価格への転嫁が進まない場合にも当社グループの業績や事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、主要サプライヤーとの関係強化や調達先の多様化、CSR調達ガイドラインの制定と徹底、また原材料の価格変動については、お客様へ適正なご負担をお願いするなど、当社グループへの影響を最大限少なくするための対策を講じております。
(3) 販売価格の変動
当社グループの主要取引先であります半導体、家電及び自動車業界においては、熾烈な価格競争がグローバルに展開されており、競合他社が安価な人件費、原材料、部品を使用することにより、低価格で製造し供給することとなった場合、当社グループの業績を低迷させる可能性があります。
当社グループもより一層の原価低減、画期的な技術開発により市場価格への対応を図って参りますが、それを上回る販売価格の低下が継続する場合には、当社グループの業績や事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4) 為替相場の変動
当社グループの海外売上高比率は5割程度となっており、為替相場の変動は、当社グループの業績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。こうした状況において、将来の為替相場の変動に伴うリスクの軽減を図る目的で、為替予約を行っております。しかしながら、あまりにも急激な為替変動は当社グループの業績や事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5) 法的規制等の影響
当社グループは、知的財産権の確保とその保護に努めておりますが、当社グループの知的財産権を使用した第三者による類似製品等の製造、販売を完全に防止することができない可能性があります。また、当社グループでは製品開発時には第三者の知的財産権を侵害しないよう細心の注意を払っておりますが、将来、知的財産権を侵害したとして第三者から訴訟を提起される可能性があります。当社グループが第三者の知的財産権を侵害しているとの申し立てが認められた場合には、当社グループが特定の技術を利用できない可能性や多額の損害賠償責任を負う可能性もあります。従いまして、これらの場合には、当社グループの業績や事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6) 品質問題
当社グループは、顧客が求める品質の確保に全グループを挙げて取り組んでおりますが、当社グループが供給した製品の欠陥が原因で生じた損失に対する責任を追及され、多額の損害賠償責任を負う可能性もあります。
当社グループではISO/IATF等の国際認証規格に準拠した品質マネジメントシステム(QMS)を運営しており、国内・海外ともに各工程にて「品質を作り込むこと」で不良品を流出させない品質保証体制を構築しております。
しかしながら、大規模なリコールや製造物賠償責任に問われるような商品の欠陥は、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を及ぼす場合があり、当社グループの業績や事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7) 納期遅延
当社グループは納期管理の徹底に努めておりますが、資材調達、生産管理、設計などにおける予期せぬ要因により納期遅延が生じ、その結果、顧客が被った損害の賠償責任が発生する可能性は排除できません。この場合には、当社グループの業績や事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループとしましては、製造と販売が連携した納期遵守のための会議を実施し、納期面での顧客満足度向上に努めております。
(8) 海外事業展開におけるカントリーリスク
当社グループは、グローバルに生産及び販売拠点を構築しており、カントリーリスクの分散化を図っておりますが、各国における急激な政策変更や経済変動などが発生した場合、当社グループの業績や事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。予想される主な項目は以下のとおりです。
①外国資本に対する投資優遇政策の変更
②輸出又は輸入規制の変更
③為替政策による為替レートの大幅な変動
④人件費、物価などの大幅な上昇
⑤その他の経済的、社会的及び政治的リスク
⑥テロ、戦争、感染症、その他要因による社会的混乱
(9) 地震、台風等の大規模災害
地震、台風等の大規模災害によって、当社グループの生産、原材料や部品の購入、製品の販売及び物流やサービスの提供などに遅延や停止が生じる可能性があります。
当社グループとしましては、社内防災体制を構築し人的被害の最小化を図り、また、事業継続計画(BCP)を策定し推進しております。
しかしながらこれらの想定を超える災害発生により、遅延や停止が起こり、それが長引くようであれば、当社グループの業績や事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。
(10) コンプライアンス
当社グループは、コンプライアンスを実践して事業活動を推進しておりますが、重大なコンプライアンス違反が発生した場合、当社グループの社会的信用が失墜し、当社グループの業績や事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、行動指針「王道を歩む」のもと、「三井ハイテックグループ行動規範」を制定し、海外グループ会社を含む当社グループで働く役員・従業員に周知しております。また、行動規範の遵守・実践を推進する機関として、常勤取締役ほかで構成する「コンプライアンス委員会」を設置し、全社的な取り組みを推進しております。加えて、内部通報窓口を社内及び社外に設置し、コンプライアンス違反の早期発見及び是正を図っています。内部通報制度の運用においては、通報者の保護を徹底しております。
(11) 環境・気候変動の影響
当社グループは、大気汚染、水質汚濁、土壌・地下水汚染、有害物質の取扱い、廃棄物処理などを規制する環境関連法令を遵守しておりますが、気候変動抑制のための温室効果ガス排出規制等の関連規制が強まっており、これらの法令・規制等に十分対応できない場合、当社グループの社会的信用が失墜し、当社グループの業績や事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、社会的責任を果たし持続的に発展していくための重要な経営課題の一つとして気候変動問題を含む「環境問題」を認識し、取締役会による監督とサステナビリティ推進委員会を中心とするガバナンス体制を構築しております。取締役会は、サステナビリティ推進委員会からの報告を受け、その活動状況の監督を行うとともに、気候変動問題への取り組みを含むサステナビリティに係る基本方針や重要事項の決定をおこなっております。なお、当社は「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」への賛同を表明しており、シナリオ分析に基づくリスクと機会の開示と、TCFDの提言に沿った気候変動関連情報開示に取り組んでいきます。
(12) 情報セキュリティ
事業活動を行う中で、保有する機密情報や個人情報等が、コンピューターウィルス、不正アクセス、人為的過失等により、外部へ漏洩した場合、当社グループの社会的信用が失墜し、当社グループの業績や事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。
全社的なセキュリティ課題について、情報システム管掌役員の下、定期的なリスク対応評価を行いながら、ITガバナンス強化やセキュリティ強化に取り組み、情報セキュリティに関する改善点の検証、予防対策、人材育成などを行い、必要に応じ経営会議や取締役会まで報告し、適正かつ効率的な事業運営に資するための施策を推進するなど、可能な限りのリスク低減に努めております。重大な事象が生じた場合には、情報開示委員会での審議や取締役会への報告を行い、速やかに必要な情報開示を行うこととしております。万一事故が発生した場合は、事故対応のみならず再発防止策を含む適切な対策を速やかに講じます。
(13) 税務リスク
当社グループは、グローバルに事業を展開しており、各国税務当局から租税に関する法的規制の適用を受けております。そのため、当社グループでは「グローバル税務管理規程」に従い、各国の税務施策に関する情報について適宜収集を実施しており、当社グループへの影響を事前に見極め、必要な対策を講じるよう努めております。
しかしながら、予期しない税制改正や、各国税務当局との間に税に対する見解の相違等があった場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(14) 人材・労務リスク
当社グループにおいて、必要とする人材を採用及び育成することは重要課題であり、その人材の採用又は育成ができない場合や、優秀な人材が定着しない場合、当社グループの業績や事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。
まずは、従業員が安心して働ける職場をつくっていくために、当社グループで働くすべての従業員の人権を守ります。三井ハイテックグループ行動規範に「基本的人権を尊重し、職場におけるさまざまな差別やハラスメントを容認しません」と明記し、従業員の人権尊重の意識や環境の醸成に努めております。また、「人材は資本である」との考えのもと、人材の採用・育成に投資し、成長の機会を提供しております。従業員のチャレンジの結果に関しては、基準に基づいた正しい評価を行い、適切なフィードバックと待遇を与えることにより、従業員がやりがいを感じることができる職場づくりへ結び付けております。
(15) 設備投資
当社グループにおいて、設備投資にあたっては、製品の需要予測並びに投資効率に鑑みて投資を実行しておりますが、競合他社の技術力や価格動向、最終商品の市場環境変化に伴い、需要が減少し、想定した販売規模を達成できない等の場合には、当社グループの業績や事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、お客様と仕様、生産能力の確保・その時期などを調整し、投資効率を検討の上、所要変動を勘案して投資を慎重に行うなど、リスクを軽減する努力をしております。
業績等の概要
(1) 業績
当連結会計年度における当社グループを取り巻く経済環境は、欧州における地政学リスクの長期化や中東情勢悪化、世界的なインフレや各国の政策金利引き上げによる金融不安、中国経済の減速等の影響により、先行き不透明な状況が続きました。
当社グループの主たる供給先の状況として、自動車業界においては、車載用半導体の供給不足緩和による生産活動の正常化に伴い、電動車関連の需要は堅調に推移しました。一方、半導体業界においては、各種半導体の在庫調整等により、厳しい状況が継続しています。
このような事業環境のもと、当社グループは超精密加工技術を核として、省資源・省エネルギーに貢献する製品・部品の受注拡大を図るとともに、顧客ニーズに応えるため、グローバル供給体制の強化を推し進めました。加えて、全グループを挙げて生産性向上、原価低減等に取り組みました。
その結果、当連結会計年度の売上高は1,958億8千1百万円(前期比12.2%増)となりました。利益面では、主に電子部品事業が減収となったことなどにより、営業利益は181億1千9百万円(前期比19.8%減)となりました。外貨建て金融資産の為替差益増加により、経常利益は217億3千3百万円(前期比4.1%減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は155億4千5百万円(前期比11.6%減)となりました。
半導体業界の需要動向は見通しづらい状況ではありますが、引き続き全グループを挙げて、収益拡大に取り組んで参ります。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
(金型・工作機械)
金型・工作機械事業については、電機部品事業の堅調な需要に対応しました。その結果、売上高は119億7千7百万円(前期比1.4%増)、営業利益は13億8百万円(前期比1.4%増)となりました。
(電子部品)
電子部品事業については、各種半導体の在庫調整等により、厳しい状況が継続しました。その結果、売上高は566億7千5百万円(前期比19.1%減)、営業利益は57億4千5百万円(前期比53.0%減)となりました。
(電機部品)
電機部品事業については、電動車向け駆動・発電用モーターコアの堅調な需要に対応しました。その結果、売上高は1,338億8千2百万円(前期比33.6%増)、営業利益は先行投資に伴う各種費用の増加があるものの、増収の結果、114億6千6百万円(前期比26.1%増)となりました。
なお、上記セグメント売上高は、セグメント間の内部売上高又は振替高66億5千4百万円を含めて表示しております。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、391億9千2百万円となり、前連結会計年度末に比べ53億8百万円増加しました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、増加した資金は316億7千6百万円(前期比95億9千4百万円増)となりました。
これは、主に法人税等の支払額59億9百万円により資金が減少した一方、税金等調整前当期純利益217億9千2百万円及び非資金項目の減価償却費115億7千2百万円により増加したものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は363億9千4百万円(前期比168億円増)となりました。
これは、主に電機部品事業における、新規製品及び生産能力増強のための設備投資など、有形固定資産の取得357億1千5百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、増加した資金は88億3千3百万円(前期は資金の減少6億6千5百万円)となりました。
これは、長期借入金の返済126億1千4百万円及び配当金の支払24億8千9百万円により資金が減少した一方、主に設備投資を使途とする借入による収入240億円により資金が増加したものであります。
生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度の生産、受注及び販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(1)生産実績
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年2月1日 至 2024年1月31日) |
前期比(%) |
|
金型・工作機械 |
(百万円) |
5,259 |
19.4 |
電子部品 |
(百万円) |
56,440 |
△ 19.2 |
電機部品 |
(百万円) |
132,614 |
28.7 |
合計 |
(百万円) |
194,314 |
9.6 |
(2)受注実績
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年2月1日 至 2024年1月31日) |
|||
受注高(百万円) |
前期比(%) |
受注残高(百万円) |
前期比(%) |
|
金型・工作機械 |
5,458 |
16.3 |
1,964 |
0.8 |
電子部品 |
56,714 |
△ 12.7 |
7,101 |
3.3 |
電機部品 |
138,270 |
35.9 |
12,965 |
50.7 |
合計 |
200,443 |
16.9 |
22,031 |
26.4 |
(3)販売実績
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年2月1日 至 2024年1月31日) |
前期比(%) |
|
金型・工作機械 |
(百万円) |
5,323 |
21.2 |
電子部品 |
(百万円) |
56,675 |
△ 19.1 |
電機部品 |
(百万円) |
133,882 |
33.6 |
合計 |
(百万円) |
195,881 |
12.2 |
(注)1.生産実績の金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2022年2月1日 至 2023年1月31日) |
当連結会計年度 (自 2023年2月1日 至 2024年1月31日) |
||
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
トヨタ自動車㈱ |
45,839 |
26.3 |
67,430 |
34.4 |
経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しているとおりであります。
(2)当連結会計年度の経営成績等の分析
① 概要
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高が1,958億8千1百万円(前期比12.2%増)、営業利益は181億1千9百万円(前期比19.8%減)、経常利益は217億3千3百万円(前期比4.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は155億4千5百万円(前期比11.6%減)となりました。
② 売上高
省資源・省エネルギーに貢献する製品・部品の受注拡大及び顧客ニーズに応えるため、グローバル供給体制の強化を推し進めたことに加え、為替相場において大幅に円安が進行したことなどにより、前連結会計年度に比べ12.2%の増収となりました。
③ 売上原価、販売費及び一般管理費
売上高の増加に伴い、売上原価は1,631億9千9百万円(前期比17.7%増)、販売費及び一般管理費は145億6千3百万円(前期比9.0%増)となりました。
④ 営業損益
以上の結果、営業利益は181億1千9百万円となりました。
⑤ 営業外損益及び経常損益
営業外収益は主に為替差益36億2千4百万円の計上により44億8百万円(前期比728.0%増)、営業外費用は7億9千3百万円(前期比76.6%増)、経常利益は217億3千3百万円となりました。
⑥ 特別損益
特別利益は補助金収入の計上により5億7千1百万円、特別損失は固定資産圧縮損の計上により5億1千1百万円となりました。
⑦ 親会社株主に帰属する当期純損益
税金等調整前当期純利益は217億9千2百万円(前期比2.1%減)となりました。これより税金費用61億7千8百万円及び非支配株主に帰属する当期純利益6千8百万円を控除した親会社株主に帰属する当期純利益は155億4千5百万円となりました。
なお、セグメント別の分析については、前述の「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要(1)業績」に記載のとおりであります。
また、財政状態の分析については、後述の「(4)資本の財源及び資金の流動性の分析 ② 財政状態の分析」に記載のとおりであります。
(3)経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、前述の「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(4)資本の財源及び資金の流動性の分析
① 財政政策
当社グループは、売上債権及び棚卸資産の圧縮等、資産のスリム化を図ることによって内部資金を生み出し、財務基盤の一層の健全化を進めて参ります。
売上債権については、回収の管理・促進は営業部門に加え専門部署が担当しております。
棚卸資産については、生産工程の見直しによる仕掛在庫等の圧縮を図っております。
以上の取り組みを行ったうえで必要となる資金調達に関しましては、その時点の財政状況、資金需要の期間及び目的を勘案し、最適な調達を行うことを基本としております。
② 財政状態の分析
(資産)
総資産は1,956億9千6百万円となり、前連結会計年度末に比べ358億9千2百万円増加しております。
これは主に、成長分野への先行投資を進めたことにより有形固定資産が288億8千4百万円増加したことによるものであります。
(負債)
負債合計は987億3百万円となり、前連結会計年度末に比べ195億6百万円増加しております。
これは主に、買掛金が47億2千8百万円、借入金が113億8千5百万円増加したことによるものであります。
(純資産)
純資産合計は、969億9千3百万円となり、前連結会計年度末に比べ163億8千5百万円増加しております。
これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益155億4千5百万円の計上などにより利益剰余金が増加したことによるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況については「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(5)経営上の目標の達成状況
当社グループは、資本効率性も鑑みた収益性重視の観点から、売上高営業利益率を経営指標に掲げ、その向上に取り組んでおります。また、財務体質の健全性維持を図るため自己資本比率を経営指標としております。
なお、当社グループが取り組むべき経営課題については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照下さい。
該当事項はありません。
当社の主たる供給先である半導体、家電及び自動車関連の市場において、低炭素社会に向けた「省資源・省エネ・創エネ」に対する要求が、今後も一層高まるものと思われます。
当社は「超精密加工でしあわせな未来を」をスローガンとして、"Save energy. Save earth. Save life."を経営指針の柱に掲げ、世界の人々に役立つ製品を目指して研究開発に取り組んでおります。
当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は
(1) 金型・工作機械
創業以来培ってきた当社の強みである超精密加工技術やノウハウをもとに、車載用・省エネ家電用モーターコアの高効率化、高精度化の要求により超薄板材料、高硬度材料対応金型や多列大型化に対応した金型の研究開発にも取り組んでおります。また、リードフレーム用金型においては、高精度化、高生産性を目指した金型の研究開発に取り組んでおります。工作機械においても、引き続き精度向上や生産性向上を目指した研究開発に取り組んでおります。
(2) 電子部品
電子部品においては、伸張領域である車載用パッケージや情報通信機器パッケージ、さらには低炭素社会に向けた電力変換の高効率化・低損失化に貢献するパワー半導体分野においても長年培った精密加工技術を活かしたリードフレームの開発を行っております。
さらに生産性の向上を図る製造ラインの構築や設備開発も行っております。
(3) 電機部品
電機部品においては、独自の積層工法により、材料の歩留りを飛躍的に向上させた省資源に貢献できる技術開発を継続しております。さらに、モーターの高機能化・高効率化要求に対応するためコア形状の開発や焼鈍技術の確立、モーターコアに永久磁石を固定する工法開発、顧客ニーズに対応するため原価低減を目的とした生産性向上の研究開発にも取り組んでおります。今後も高効率モーターに要求されるモーターコアの研究開発を行って参ります。