第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針・経営戦略等

当社グループは、「私たちは、明るく前向きな社会を実現するため、人々が悔いのない人生を生きるためのお手伝いをします。」をミッションに掲げ、高齢社会の進展に伴いニーズが拡大する高齢者やそのご家族に向けて、課題解決のための情報やサービスの提供をすることで社会に貢献することを責務、経営の基本方針と認識しております。

 

(2) 経営環境とそれに対応する経営戦略

日本の高齢化率は年々高まり続けており、様々な社会課題が生じております。当社グループはミッションに則り、葬儀やお墓など、「家族のつながり」のことのみではなく、遺言や相続、不動産などの「お金」のことや、介護・終末期医療などの「からだ」のこと、ほかにも「家の片付け」「思い出」「家族へのメッセージ」など、人生をより良く生きるために大切なこと、必要なことはすべてお手伝いし、高齢社会に確かな価値を提供し続けることで、更なる社会への貢献を目指していきたいと考えております。

 

(3) 目標とする経営指針

当社グループは、上記の経営戦略に基づいた重要な経営指標として、高齢社会に必要とされるサービスを、当社グループがどれだけの人に紹介することができたかを示す「紹介数」、そしてご紹介したユーザーがご満足頂きご利用を決めていただいたかを示す「成約数」、そしてそのユーザーが顧客となり、他のサービスもご利用いただけているかを示す「クロスユース率」を重視しております。加えて継続的な会社成長を示す「売上高」「営業利益」及び「EBITDA」を重要な経営指標とし、良好な財務体質と資本効率の実現のため、「ROE」「ROIC」を重要な財務指標としております。

 

(4) 優先的に対処すべき課題

当社グループは、「(1) 経営方針・経営戦略等」に記載の当社グループの経営方針を実現するため、優先的に対処すべき課題について以下のとおり取り組んでまいります。

 

クロスユースの強化

顧客データベースの精度を高めることで、顧客のニーズを的確に分析し、これを通じてサービスのクロスユース(複数利用)を図ります。終活領域に関するあらゆる情報を有機的に活用し、終活に関する全ナレッジを高め続けることを通じて持続的な信頼構築を図ります。そのためには、顧客のライフイベントに合わせて、適切なタイミングでの情報発信につとめ、顧客接点の拡充を図ることで潜在的なニーズを掴み、よりよいサービス提供を目指します。

 

集客チャネルの多様化

介護や相続などすでに課題が明確である顧客の獲得に加え、さまざまな企業や団体との積極的なアライアンスによって終活の入り口からの顧客接点の拡充を図ってまいります。また、リアル店舗を含むオフラインおよびオンラインの両面により顧客のご相談を受ける接点を複線化いたします。さらに介護施設などとの接点強化の取り組みを通して、顧客課題の明確化とソリューションの提供につとめてまいります。

 

「家族の終活」を中心とした新サービスの拡充

高齢化社会の進行が確実とみられているなか、生前における課題がまだまだ顕在化されていない状況にあります。社会構造の変化や人々の価値観の変化にともなって、今後は課題解決のニーズが急速に顕在化していくものと考えられます。こうした大きな潜在的ニーズに対して常に先手を打ち、老後の不安解消、遺族の負担軽減などの課題解決サービスを拡充することにつとめます。

 

 

④企業信頼性の向上

顧客の課題解決のため、クロスユースの強化、集客チャネルの多様化および新たなサービスの拡充により終活インフラの整備につとめます。また、持続的に成長するため、顧客に対する信頼性、ブランド価値や知名度の向上に加え、顧客の記憶に残るサービス提供への取り組みが重要であると考えています。終活市場においては、家族や遺族といった強い絆を有する性質があることから、一つ一つのサービス提供において確かな信頼を獲得することが、次世代の新規顧客を獲得することにつながると考えます。このため、当社では、より一層誠実な顧客対応を行い、公正で有益なサービスの提供につとめることを通じ、終活インフラの社会への浸透を目指します。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

1.サステナビリティ全般

(1)当社のサステナビリティ基本理念

少子高齢化、多死社会、認知症問題、高齢単身世帯の増加など進展する高齢社会の下で、わが国の社会はこれまでにはなかったさまざまな社会問題に直面しています。当社はそうした社会問題の解決につながる情報やサービスの提供を行うことで社会に貢献します。同時にこのような拡大するニーズに応えることで、持続可能な事業をおこない企業として成長を続けてまいります。また社会福祉や医療、介護といった領域においても地方自治体と共同で住民に対するサービスを提供するなど、社会サービスの改良にも努めてまいります。

また、顧客や役職員、取引先や株主、地域社会といったステークホルダーと誠実な信頼関係を構築することが重要であると考えています。さらに当社役職員のひとりひとりが持続可能な社会への取り組み、気候変動への取り組み、さらには、かかわる人々との信頼構築の重要性とゆたかさを認識し、社会に波紋を広げることのできる事業活動および環境整備につとめます。

 

(2)当社のマテリアリティ(重要課題)

当社では、ビジョンとサステナビリティの基本理念にもとづいて、6つのマテリアリティ(重要課題)を設定いたしました。マテリアリティへの取り組みを通して、適切な利益を出し成長を続けることで持続的な企業価値の向上と社会への貢献を目指してまいります。

 

 

マテリアリティ(重要課題)

実行項目

事業を通じた社会貢献

高齢社会の下で人々の人生を充実させるための終活インフラ(基盤)の創造

・さまざまなライフステージや置かれた状況に応じてあくまでも顧客視点を貫いた情報やサービスの提供につとめます

 

明るく前向きな社会の実現

・さまざまな情報やサービスの提供を通して、ユーザーの悩みや困りごとの解決や、やりたいことの実現を支援し、明るく前向きに生きる人を増やします

 

人的資本経営を推進

・当社では人こそがすべてという考えのもと、働く環境の整備に全力を尽くします

・品性を失わず迅速な意思決定を行い利益を追求する組織の構築につとめます

・企業活動を通してリーダーの育成に力を注いでまいります

 

企業の発展を通じた
経営基盤の強化

ダイバーシティとインクルージョン

・多様性と人権を尊重します

・持続可能な包摂的社会の形成に貢献します

・1人ひとりが健全に活躍できる環境を整備します

 

レジリエントな経営基盤の構築

・コーポレート・ガバナンスを高度化し実効性を高めます

・ステークホルダーとの対話を誠実に行います

 

環境保全

・気候変動に対して誠実に取り組みます

・循環型社会の創造に貢献します

 

 

 

 

(3)環境の取り組みの基本方針

当社は、事業を通じて、環境汚染、温室効果ガス、気候変動などの環境課題を解決していくことが、企業の責務であるという認識のもとに活動します。また、大きな社会課題として「環境問題への取り組み」が重要であるとの認識を役職員ひとりひとりが持ち、事業活動を通じた環境課題の解決の推進につとめてまいります。

 

(4)社会の取り組みの基本方針

当社は、進展する高齢社会の下でこれまでにも増して多くの社会課題が山積していることを誰よりも強く認識し、その中で1人でも多くの高齢者とその家族が安心して笑顔で暮らせる社会の実現を目指しています。事業活動において安心、安全で価値のある情報やサービスを提供し、人々の夢や希望、不安や課題を解消するソリューションの提供につとめます。

また、当社は、明るく前向きな社会の実現にむけて、役職員ひとりひとりが明るく前向きに取り組むための労働環境を整備し、人権と多様性の尊重を推進します。

 

①人権の尊重

すべての人が自らの尊厳をもって幸せに生きる権利を生まれながらに有していることを自明とし、当社は、これを「人権」として尊重します。人権尊重を確実に推進するため、事業活動を行う国または地域における法令を遵守します。当社のサプライチェーン、顧客および地域住民のみなさま、当社役職員そして世界の人びとへの人権尊重を通じて、持続可能な社会の構築に貢献します。

当社は、あらゆる偏見を克服し、社内における差別やハラスメントを徹底して防止するのはもちろんのこと、高度な心理的安全性を確保し、個人とチームのパフォーマンス向上を促進すると共にウェルビーイングの充実を図ります。なお、差別には、国籍、人種、性別、信仰・宗教や政治思想、年齢、障がいの有無、性的指向、性自認などによる差別のすべてを含みます。また、児童労働、強制労働を禁止すると共に、結社の自由と団体交渉権並びに国際人権章典を支持します。

 

②健康と安全

当社は、役職員並びにすべてのステークホルダーのみなさまの健康と安全な暮らしを尊重し、事業活動並びに環境整備を通じてその実現につとめます。業務の効率化および適切な環境整備により、役職員の健康の促進と経済的な充実を推進します。また、役職員の心理的安全性を高めることを推進し、健全で誠実な信頼関係が構築される企業風土を醸成することで、業務効率と業務遂行能力の向上につとめます。

 

③コミュニティとのかかわり

当社は、事業活動を通じて高齢者の利便性向上と終活に関する不安解消により地域社会の活性化に貢献します。当社は、高齢者の終活に関わる社会基盤を整え、この領域でのリーディングカンパニーとしてさまざまな事業に取り組み、地域社会との信頼関係構築につとめます。

 

2.ガバナンス

当社は、持続可能なよりよい社会を次世代へつなげるために、高齢者が明るく前向きに安心して生きられる終活インフラ(基盤)を構築することを目指しています。当社ビジョンとミッション並びにサステナビリティ基本理念にもとづいて、将来にわたる永続的な事業活動と社会貢献の推進を通じて、顧客をはじめとしたすべてのステークホルダーのみなさまの信頼と期待に応えます。そのために当社は、コーポレート・ガバナンスにおいて、健全性、透明性、公正性、高潔性の精神をもって継続的な高度化や向上につとめます。

 

(1)ステークホルダーとの対話

当社は、株主、役職員、取引先、債権者、顧客、消費者、地域社会のみなさまをはじめ、すべてのステークホルダーに対して社会的責任を果たすことにつとめます。このため、役職員ひとりひとりの高潔な判断力を育成し、ステークホルダーとの誠実なコミュニケーションを推進します。また、ガバナンスの効率性、透明性、妥当性を継続的に向上させることで、誠意ある実効的なコミュニケーションにつとめます。

 

 

(2)コンプライアンス

当社は、コンプライアンス体制を整備し、継続的にその機能を向上させ、その実効性を高めてまいります。法令順守のみでなく環境の変化に柔軟に対応することを通じ、社会の信頼に応えてまいります。役職員ひとりひとりがコンプライアンスの重要性を自覚し、公正で高潔な企業活動を通じてステークホルダーと誠実な信頼関係を構築するため、その環境を整備します。

 

(3)情報セキュリティ

当社の事業活動における守秘義務の重要性は非常に大きなものであると認識しています。情報の適切な保守管理並びに情報セキュリティに関するリスク管理は、当社のビジョンとミッションを実現する上で、その根幹をなすものと考えています。ステークホルダーからの期待と信頼に応え、また、終活分野のプロフェッショナルとしてのあるべき姿にもとづき、日々高度化する情報技術をモニタリングすることで情報セキュリティの適切なマネジメントにつとめます。

 

(4)リスク管理

社会のニーズの多様化そして当社の事業領域の拡大に伴って、事業活動におけるリスクは複雑化しています。当社は、リスク管理委員会およびコンプライアンス委員会をしっかり機能させることで、リスクの適時把握並びにリスクへの即時対応を図ります。また、事業間の適切で円滑なコミュニケーションを促進し、複雑化するリスクへ対応するための環境整備につとめます。

 

(5)サービスの安全性とクレーム対応

顧客、お取引先などからのクレームや問い合わせは、いずれもステークホルダーとの大切な接点であると考えています。役職員1人ひとりが誠意を持って対応し、適切な判断によって公正な解決を図れるよう、その環境を整備すると共に、サービスの向上につとめます。また、適切な情報管理、情報共有によってサービスの安全性を高め、より安心して利用できる価値ある情報・サービスの提供につとめます。

 

(6)広告宣伝活動

当社は、広告宣伝活動において各種法令を遵守することはもとより、当社サプライチェーンを含めた適切な情報表示の重要性を認識し、公正で価値ある情報をお届けするようその環境と体制を整備します。

 

3.戦略

当社は、従業員1人ひとりの能力と活躍、そして誠実さと高潔さによって支えられるものであり、当社では人材を重要な経営資源であると考えております。当社は、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針として、下記を掲げております。

 

(1)人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針

①多様で優秀な人材の確保と育成

当社では成果を出す力と成長ポテンシャルを重視し、新規学卒者採用と業務経験者採用の両面において、多様性に富んだ優秀な人材の採用を進めております。

育成面においては、長期的な視点で価値創造に挑戦する人材の育成を目指します。また、複雑な課題に真摯に対応し、広い視野で解決策を導き、最後までやり通すリーダーの育成につとめます。その仕組みの一環としては、特に人材育成の中心となるのはOJTであることを重視し、各部署の管理者が共通で有すべきマネジメントと育成ノウハウの浸透を図るためのシリーズ研修を実施し、OJT力の強化を進めています。また、外部専門機関とも連携し、従業員個別の業務ニーズや育成ニーズに応じたテーマ別研修やセミナーを受講できるようになっています。

これらの研修の仕組みに加え、当社では評価制度も人材育成に大きく寄与するものであるととらえており、業務目標の達成度とキャリアステージ(等級)ごとに細やかに定めた行動基準に照らした評価を厳密に行い、評価の結果と内容を1人ひとりの従業員に個別面談をもってフィードバックすることにより、さらなる成長に向けた課題設定を明確にするようにしております。

 

 

②働きやすい労働環境の整備

当社では、従業員ひとりひとりが心理的安全と信頼を感じ健康で安全に協働できることが重要であるという考えのもと、長時間労働の削減、勤務時間と就業場所の柔軟化、育児や介護のための制度拡充など、その環境を整備しております。

長時間労働の削減に関しては、時間外労働が一定の時間に達すると該当従業員に自動的に警告がなされる勤怠管理システムを導入しており、労務管理部門においても全従業員の時間外労働時間をモニタリングし、時間外労働が増える傾向にある従業員および管理者には注意、指導を行っております。柔軟な勤務時間と就業場所に関する制度に関しては、始業時間と終業時間を一定の範囲で個々の従業員に委ねるフレックスタイム制度と、出社勤務とリモート勤務を組み合わせたハイブリッド勤務制度を導入しております。

育児と介護に関する制度拡充に関しては、法令基準以上の日数の子の看護休暇と介護休暇を設けており、これらの休暇は時間単位でも取得できるようにしております。

 

③従業員エンゲージメントの向上

当社では、従業員のエンゲージメント(仕事に対してポジティブで充足した状況)向上に努めております。その仕組みの一環としては、半年ごとに全従業員を対象としたエンゲージメントに関する調査を実施しており、その結果を組織や人事に関する施策の策定や研修プログラムの設計、業務環境の整備などに活用しております。

 

(2)リスク管理

当社は、企業活動に重大な悪影響を及ぼすリスクに適時・適切に対処するため、リスクマネジメントを実施しております。

①リスク対策委員会

常勤取締役および経営管理部の管理職を構成員としてリスク対策委員会を、定期的に、また必要に応じて臨時に開催しています。総合的なリスク管理事項について討議し、必要に応じて外部の法律事務所等の指導・助言を受けた上で、その内容に応じて適切に取締役会へ報告します。

これらにより業務上の重大なリスクについて、迅速な審議と意思疎通が行える体制を整えています。また、役職員がつねに法令遵守および社会倫理に則った行動をとるよう励行とチェックを行っています。

リスク対策委員会の有効性については、取締役会で評価し、適宜是正します。また、事業環境の変化などに伴う新たなリスク領域への対応が必要となった場合は、課題や対応状況について適宜、改善並びに周知の上、対処します。

 

②インシデント発生時の対応

当社では、リスク対策委員会が主体となり、インシデントが発生した場合にその内容・緊急度・重要度にもとづいた報告・連絡・相談のあり方を定め、適時・適切な対応を行っています。また、インシデントの分析を通じで、再発防止対策を適宜実施しています。

③腐敗防止

当社は、企業に求められる腐敗行為防止に関する社会的要請を強く認識しています。社会の疑念や不信を招くような接待贈答や、不正な利益を得るための金銭そのほかの利益供与などの腐敗リスクについては社内外の弁護士を交えて検討し、必要な防止策を講じます。

 

(3)指標及び目標

当社グループでは、上記「3.戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。

指標

目標

実績(当事業年度)

管理職に占める女性従業員の割合

2025年3月までに15%

10.5%

男性従業員の育児休業取得率

50.0%

 

(注)目標は、当社が「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」の規定に基づく行動計画として届け出た目標を記載しております。男性従業員の育児休業取得率は行動計画作成時点において既に比較的高い水準にあったため達成しようとする目標及び取組として届け出ておりませんが、重要指標として用いているため記載しております。

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 事業環境に関するリスクについて

① インターネットの普及について

当社グループは、運営するポータルサイトを通じてユーザーと取引先を結びつけることにより、ポータルサイトのユーザーに必要とされる情報やサービスを提供することを主たる事業としております。このため、インターネット及び関連サービスの更なる普及が事業の成長を図る上で重要であると考えております。特に高齢者におけるインターネットの普及は今後も継続していくと考えておりますが、インターネットの普及に伴う個人情報の漏洩、改ざん、不正使用等や、社会道徳または公序良俗に反する行為等への対応としての新たな法的規制導入や、その他予期せぬ要因によって、インターネット及び関連サービス等の普及が阻害されるような事象が生じた場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 他社との競合について

当社グループは、運営するポータルサイト等を通じて終活にかかる様々な情報やサービスをユーザーに提供しており、更なる情報量の拡張や新たなサービスの提供に取り組むことで、競争力の向上を図っております。

しかしながら、当社グループと同様に終活にかかる情報を提供している企業や新規参入企業との競争激化により、ユーザー数の減少、手数料の縮小が起こり、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 技術革新への対応について

当社グループは、主にインターネットを活用した事業を展開しておりますが、インターネット関連分野は新技術の開発及びそれに基づく新サービスの導入が相次いで行われ、非常に変化の激しい業界となっております。また、ハード面においては、スマートフォンの普及が急速に進んでおり、新技術に対応した新しい事業が相次いで展開されております。

このため、当社グループではこれらに対応すべく、インターネットに関する技術、知見、ノウハウの取得に注力しておりますが、係る知見やノウハウの取得に困難が生じた場合、または技術革新に対する当社の対応が遅れた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 事業内容に関するリスクについて

① 特定のサイトへの依存について

当社グループは様々なポータルサイトを運営しておりますが、「いい葬儀」「いい仏壇」「いいお墓」の3サイトに係る売上高比率は2024年1月期で約59.6%となっており、これら3サイトに係る収入への依存が高い状況にあります。このため、今後予期せぬ事象の発生等によりこれら3サイトのユーザー数が減少したり、サイトの運営が困難となった場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社は常にユーザーのニーズに沿ったサービス、サイト構成、システム構築を心掛けて改良を加えておりますが、当社が行った改良がユーザーに受け入れられないものであった場合、ユーザーが減少し、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 新規事業について

当社グループは終活市場におけるユーザーの多様化するニーズに応えるため、常に新しいサービスの提供を検討し、実施しております。新規事業の展開においては、当社グループ内で事業開発及びシステム開発を行う必要があります。その際、当社グループでは新規事業の蓋然性を十分考慮した上で、開発を行っておりますが、当該開発が何らかの影響で想定以上の工数を要した場合や、ユーザーの獲得に結びつかなかった場合は当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、新規事業を展開する中で、必要に応じて他社との業務提携等を検討し、実行してまいりますが、想定していた相乗効果が業務提携等から得られなかった場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

③ システムやインターネット接続環境の不具合について

当社グループは、主にインターネットを通して、ユーザーに対し終活に関する情報を提供しており、当社グループのシステムやインターネット接続環境の安定的稼働は、当社グループが事業を行っていく上で根幹となるものであります。当社グループは、サーバーが停止することで事業の遂行に影響が出ないように、データのバックアップを逐一行う等、リスク回避を図っております。また、外部からの不正なアクセスが出来ないように、一定のセキュリティを確保しております。

しかしながら、自然災害や事故、ユーザー数やデータ量の増大に伴うアクセス数の急増による通信障害、ソフトウエアの不具合、ネットワーク経由の不正アクセスやコンピュータウイルスの感染等の予期せぬ事態が発生した場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ サイト機能の拡充及びシステム投資について

当社グループでは、ユーザーのニーズに沿ったサービスの拡充や、IT技術の進展に伴う新たな機能の追加を継続して行い、サイトの活性化及び利便性の強化を図っております。しかしながら、それらの施策が当社の想定どおりに進捗しない、また、システム投資及びそれに付随する人件費等の経費が想定以上に増加した場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 当社グループサイトの集客における外部検索エンジンへの依存について

当社グループが運営するサイトに訪れるユーザーは、概ね検索エンジン経由であり、これらの集客は各社の検索エンジンの表示結果に依存しています。検索結果についてどのような条件により上位表示されるかは、各検索エンジン運営者に委ねられており、その判断に当社グループが介在する余地はありません。当社グループは積極的なブランディングプロモーション活動を通じてブランド力を高め、検索エンジンに依存しない集客の比率を高めるとともに、検索結果において上位に表示されるべくSEO等の必要な対策を進めていますが、今後、検索エンジン運営者における上位表示方針の変更等、何らかの要因によって検索結果の表示が当社にとって優位に働かない状況が生じる可能性もあり、その場合、当社グループが運営するサイトへの集客効果が低下し、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 事業体制について

① 内部管理体制について

当社グループは、更なる事業の拡大や継続的な成長のために、今後も内部管理体制を充実・強化させていく方針でありますが、事業の拡大に合わせた適時・適切な人員配置等、組織的な対応が出来なかった場合は事業の拡大や継続的な成長の妨げとなり、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 人材確保と育成について

当社グループは、終活に関する情報やサービスをユーザーに提供する事業を展開しており、競争力のある情報やサービスを提供していくためには、優秀な人材の確保と育成が不可欠と考えております。そのため、当社グループは事業計画に合わせた優秀な人材の確保及び育成を行っていく方針でありますが、当社グループの求める人材を計画通りに確保、育成できなかった場合は、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 情報管理体制について

当社グループは、インターネットやファックスを通して、終活に関わる各種の個人情報をユーザーから受領し、保有しております。また、受領した当該個人情報は、当社の取引先に提供しております。当社では、個人情報の外部漏洩の防止はもちろん、不適切な利用、改ざん等の防止のため、個人情報の管理を事業運営上の重要事項と捉えております。また、個人情報管理規程及び情報セキュリティ管理規程を制定し、個人情報を厳格に管理するとともに、社員教育を徹底する等、個人情報の保護に積極的に取り組んでおります。しかしながら、外部からの不正アクセスや社内管理体制の瑕疵等により、当社グループ又は取引先が保有する個人情報が外部に流出した場合、当社グループへの損害賠償請求や社会的信用の失墜により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 事業に係る法的規制等について

① 法的規制について

当社の事業特性上、運営するポータルサイトを通じてユーザーから個人情報の取得を行っているため、「個人情報の保護に関する法律」の適用を受けております。また、当社グループはシステム開発やコンテンツ制作の一部を外注する場合があり、「下請代金支払遅延等防止法」の対応が求められます。さらに、「特定商取引に関する法律」及び「不当景品類及び不当表示防止法」等の法的規制を受けております。
 当社グループは上記を含む各種法的規制等に関して、法律を遵守するよう、社員教育を行うとともにそれらの体制を構築して、法令遵守体制を整備・強化しておりますが、今後これら法令の改正や、当社グループの行う事業が規制の対象となった場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 訴訟等について

当社グループは、法令遵守を基本としたコンプライアンスの推進により、法令違反等の低減努力を実施しております。しかしながら、当社グループの役員及び従業員の法令違反等の有無にかかわらず、利用者、取引先、その他第三者との予期せぬトラブル、訴訟等の発生及び知的財産権、個人情報、サービスの安全性及び健全性についても訴訟のリスクがあるものと考えております。
 かかる訴訟の内容及び結果によっては、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、多大な訴訟対応費用の発生や企業イメージの悪化により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) その他のリスクについて

① 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

当社グループは、当社グループの役員及び従業員、並びに取引先に対するインセンティブを目的とし、新株予約権を付与しております。これらの新株予約権が権利行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。当連結会計年度末現在、これらの新株予約権による潜在株式数は808,900株であり、発行済株式総数39,041,200株の2.1%に相当しております。

 

② 自然災害、事故等について

当社グループでは、自然災害、事故等に備え、定期的なコンピュータシステム、データベースのバックアップ、稼働状況の常時監視等によるトラブルの事前防止または回避に努めておりますが、当社所在地近辺において、大地震等の自然災害の発生により、当社設備の損壊や電力供給の制限等の事業継続に支障をきたす場合は、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 配当政策について

当社グループは、株主に対する利益還元を重要な経営課題の一つとして位置付けており、将来の企業成長と経営基盤の強化のための内部留保を確保しつつ、株主に継続的に配当を行うことを基本方針としております。中期経営計画に基づき、1株当たり当期純利益の持続的な成長に対応した安定的な配当性向20%を維持する方針であります。しかしながら、当社グループの業績が計画通りに進展しない場合には、配当を実施できない可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状況及び経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行されたことにより社会経済活動の正常化が本格化し、全体としては緩やかな回復基調が続いたものの、先行きについては、ウクライナ情勢の長期化と、世界的な金融引き締めが続く中、物価の上昇、為替や金融資本市場の変動などの影響に注視を要する状況にあります。
  当社グループはわが国の高齢社会の進展に伴うさまざまな社会課題の解決をミッションとして、さまざまな情報やサービスを提供しています。長期にわたる高齢化の進展や、少子化・都市への人口集中など日本社会を取り巻く大きな環境の変化は、家族関係の変化や単身世帯の増加などを生み出しており、そうしたことを背景にいわゆる「終活」に対する社会的関心は高まりを見せております。

このような状況のなか、当社グループは、従前からのお墓・仏壇・葬儀といった事業に加え、相続や不動産等のアセットマネジメント事業、介護事業、単身高齢者向け事業、全国の地方自治体との取り組みである官民協働事業など新たなサービスを積極的に行うことで、わが国における「終活インフラ(=国民の生活と支える基盤)」づくりを目指しております。当期においては、従前からの事業での大幅なオペレーションの改善を行い、新たな成長への足掛かりを得ることができました。また、新たな事業であるアセットマネジメント事業の成長や、介護事業の収益改善などを得ることができました。官民協働事業においては高齢社会の生み出すさまざまな社会課題の解決を行うべく、日本全国の数多くの地方自治体と共同でさまざまな事業を推進しています。それはスタート当初の「おくやみハンドブック」「エンディングノート」等を協働刊行から、クラウドサービスの提供、そして「お悔みコーナー」の受託など死後手続きのワンストップ化(DX領域)へと広がりを見せています。また、当期はさらなる成長を目的として大規模なシステム開発を行っており、当連結会計年度から順次稼働しています。

この結果、当連結会計年度の業績は、売上高は5,859,844千円(前年同期比17.1%増)、営業利益816,219千円(前年同期比18.9%増)、経常利益811,700千円(前年同期比18.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は530,760千円(前年同期比17.0%増)となりました。

なお、当社は終活事業の単一セグメントであるため、セグメント別の業績の記載をしておりません。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ524,124千円減少し、1,981,093千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
  当連結会計年度において営業活動により得られた資金は365,196千円(前連結会計年度は891,336千円の収入)となりました。これは税金等調整前当期純利益807,715千円が計上されたことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
  当連結会計年度において投資活動により使用した資金は393,016千円(前連結会計年度は90,219千円の支出)となりました。主な支出要因は、有形及び無形固定資産の取得による支出353,869千円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
 当連結会計年度において財務活動により使用した資金は499,883千円(前連結会計年度は994,876千円の支出)となりました。主な支出要因は、自己株式の取得による支出664,727千円、配当金の支払額94,951千円であります。

 

③生産、受注、販売の実績

a.生産実績

当社グループは、生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

b.受注実績

aと同様、主たる事業である終活事業の特性になじまないため、記載を省略しております。

 

C.販売実績

当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。なお、当社グループは終活事業の単一セグメントであるため、サービス区分別に記載しております。

 

サービス区分別

2023年1月期販売高(千円)

2024年1月期販売高(千円)

終活事業

4,940,245

5,797,268

終活関連書籍出版事業

63,996

62,575

合計

5,004,242

5,859,844

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況と関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積もりによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。

 

②当連結会計年度の経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度の売上高は、5,859,844千円となり、前連結会計年度に比べ17.1%増収となりました。新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行されたことにより社会経済活動の正常化が本格化し、売上高が増加したこと等によるものであります。

(売上原価)

当連結会計年度の売上原価は、2,302,898千円となり前連結会計年度より12.3%増加しました。主な要因としては、業務委託費の増加によるものであります。

(販売費及び一般管理費)

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は2,740,725千円となり前連結会計年度より20.9%増加となりました。主な要因は広告宣伝費の増加によるものです。

(特別損失)

当連結会計年度の特別損失は4,010千円となり前連結会計年度より18,284千円減少しました。主な要因は固定資産除却損3,312千円、固定資産売却損697千円であります。

これらの結果を受け、当連結会計年度の営業利益は816,219千円(前年同期比18.9%増)、経常利益は811,700千円(前年同期比18.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は530,760千円(前年同期比17.0%増)となりました。

 

③当連結会計年度の財務状況の分析

(流動資産)

当連結会計年度の流動資産は3,094,380千円(前連結会計年度末比521,461千円減)となりました。主な要因としては、売掛金の増加238,257千円、現金及び預金の減少524,124千円であります。

(固定資産)

当連結会計年度の固定資産は954,154千円(前連結会計年度末比252,296千円増)となりました。主な要因は、ソフトウェア仮勘定の増加297,945千円、ソフトウェアの減少34,674千円であります。

(流動負債)

当連結会計年度の流動負債は819,141千円(前連結会計年度末比36,148千円減)となりました。主な要因は、未払金の増加78,185千円、未払消費税等の減少62,514千円であります。

(固定負債)

当連結会計年度の固定負債は76,550千円(前連結会計年度末比1,805千円増)となりました。主な要因は退職給付に係る負債の増加8,885千円、長期借入金の減少7,080千円であります。

(純資産)

当連結会計年度の純資産は3,152,842千円(前連結会計年度末比234,821千円減)となりました。主な要因は、利益剰余金の増加435,809千円、自己株式の増加664,727千円であり、自己資本比率は77.8%であります。

 

④キャッシュ・フローの分析

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

⑤経営者の問題認識と今後の方針について

経営者の問題認識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

⑥資本の財源及び資金の流動性について

当社の主な資金需要は、人件費、業務委託費、広告宣伝費、新規事業への投資の運転資金となります。これらにつきましては、基本的に営業活動によるキャッシュ・フローや自己資金を充当し、投資が必要な場合には、状況に応じて金融機関からの借入等による資金調達で対応していくこととしております。

なお、主要取引銀行と総額12億円のコミットメントライン契約を締結しており、機動的な資金調達の対応が可能となっております。

 

5 【経営上の重要な契約等】

   該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

   該当事項はありません。