当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は創業以来、「社会に奉仕すること」を企業理念として、道路関連事業、レジャー事業、不動産事業の経営を行っており、道路の維持管理をとおして生活環境整備事業の推進を図るとともに、マリーナ運営や飲食店経営をとおして豊かな生活を提供し、社会の発展に一層貢献することを基本的な考え方として事業活動を進めております。
(2)中長期的な会社の経営戦略及び目標とする経営指標等
① 事業環境
当社グループの主力事業である道路関連事業については、政府による防災・減災、国土強靭化対策をはじめとする関連予算の執行により、道路・橋梁・トンネル等の老朽化・長寿命化対策等、一定の維持補修工事の需要が見込まれる状況にあります。そのため、今後も道路インフラ整備の公共投資は堅調に推移すると予想されるものの、慢性的な建設技能者の不足に加え、労務費・資機材価格が上昇する等、依然として予断を許さない状況が続いております。
一方、レジャー事業については行動制限のない社会生活を取り戻し、客数も順調に回復しておりますが、原材料価格の高騰や人件費・光熱費の上昇等、事業環境は依然として厳しい状況が続いております。
② 顧客動向
道路関連事業においては主要取引先となる国土交通省や高速道路各社について、継続的に予想される道路・橋梁等の老朽化・長寿命化対策として、引き続き公共投資を実施することが予想されるため、今後も一定量の発注が見込まれます。レジャー事業においては人流が回復した事でビジネス街、駅前立地を中心に集客力が高まっております。
③ 経営戦略
当社グループを取り巻く事業環境や顧客動向を踏まえ、より一層の企業価値向上に資するため、2022年3月に3カ年計画である『中期経営戦略2022-2025 TRY!2025』を策定し、目標の達成に向け、グループ一丸となって取り組んでおります。
<中期経営戦略の基本方針>
・当社の事業を最大限に活かし、サステナブルな社会づくりに貢献する
・過去最高売上高・営業利益の更新を目指す
・環境に配慮した事業を推進する
・人材の充実と新しい働き方を推進する
・実効性の高いガバナンス体制の強化を図る
<セグメント別の具体的な経営戦略>
当社グループの主力事業である道路関連事業においては、事業拡大のために以下の具体的な経営戦略を実施します。
・受注拡大に向けた体制の強化
インフラ整備における老朽化対策や保全業務の受注拡大に向け、土木技術者の増強に取り組みます。外国人、女性を問わず、技術者の採用活動を積極的に行うとともに、入社後の社内教育の充実を図るほか、働きやすい環境の整備とワーク・ライフ・バランスの実現を図ります。また、協力会社との連携を深め、体制の強化に努めてまいります。
・年間契約案件の確実な受注
当社グループの主力である年間契約の道路維持管理業務・清掃作業業務は、自社で道路維持車両・特殊機械等を保有し、全ての道路利用者のために365日24時間対応ができる体制を整え、安全管理・品質管理の徹底により確実な施工を行っております。この豊富な経験と実績を生かし今後も受注確保に努めてまいります。
・大規模更新・修繕等の単発契約案件の受注
老朽化対策、防災・減災対策として各高速道路会社等において大規模更新・修繕事業の計画が進められているなか、当社グループの経験や工法、保安規制等の実績を最大限に活用し、積極的な営業展開により受注拡大を図ります。
・環境事業の拡大と新技術開発の推進
サステナブルな社会の実現に向け、排出汚泥凝集剤「水澄まいる」、工場排出オイル凝集剤「オイルフロック」等の販売や凝集剤を使用した「濁水処理システム」の施工をとおして、環境に配慮した事業の拡大を図ります。また、DX技術を活かした点群データ活用による技術力の強化に努めてまいります。
・新たな業務への参画・拡大
当社グループのノウハウが活用できる「コンセッション方式による道路管理業務」や「プロポーザル方式による指定管理者業務」等の受注拡大を目指し、体制の構築と情報収集に努めてまいります。また、新たな自治体等との災害協定の締結に向け、取り組んでまいります。
レジャー事業及び不動産事業においては、以下の具体的な経営戦略を実施します。
レジャー事業
(飲食事業)
・安全衛生管理の徹底を図るとともに、フードロスやプラスチック廃材の削減に努める。
・コロナ禍において対応したテイクアウト施策や売店商品の拡大を継続しながら新商品の開発を進める。
・立地やコスト条件等の情報収集に努め、新規店舗の開店を検討する。
・的確な商品提案による飲食物品販売のシェア拡大に努める。
(マリーナ事業)
・安心、安全な施設運営に努め、高水準で推移する船舶係留数の維持により、安定的な収益基盤を確保する。
・観光船の運航やレンタルボートサービスを拡充し、施設利用者数の増加に努める。
・新規マリーナの運営受託を目指し情報収集に努める。
不動産事業
・所有物件の計画的な点検、修繕工事を実施し、安全性の高い施設運営に努める。
・将来性や収益の安定性を考慮した不動産戦略に則り、新規不動産の取得を検討する。
④ 目標とする経営指標等
当社グループは、上記経営戦略のもと様々な経営施策と効果的な投資を展開し、2025年1月期時点での中期目標値として、売上高300億円、営業利益45億円を達成できるよう努めてまいります。
なお、中期経営戦略の2期目である当連結会計年度の実績は以下のとおりであり、中期目標値に向けて順調に推移しております。
|
2024年1月期 実績 (百万円) |
2025年1月期 目標 (百万円) |
売上高 |
29,245 |
30,000 |
営業利益 |
4,900 |
4,500 |
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
今後のわが国経済は、行動制限のない社会生活を取り戻し、雇用・所得環境が改善するなかで景気の緩やかな回復基調が続くことが期待されるものの、依然として、海外景気の下振れによる景気の下押しリスクや、中東地域をめぐる情勢、物価上昇等の懸念が拭えず、先行きは不透明な状況となっております。
当社グループの主力事業である道路関連事業を取り巻く環境につきましては、高速道路のリニューアルプロジェクトや政府による防災・減災、国土強靭化対策の推進等公共投資が底堅く推移することが見込まれます。
このような状況のなか、当社グループは、3カ年計画である≪中期経営戦略2022-2025 TRY!2025≫を掲げ、更なる企業価値向上を目指し、各事業において取り組んでおります。
セグメント別の対処すべき課題は以下のとおりです。
(道路関連事業)
① 人的資本への投資
高速道路のリニューアルプロジェクトや災害発生等の緊急時には、高いオペレーション能力と迅速な対応が必要となり、かつ、より効率の良い施工管理を行うには、多工種にわたる施工経験を持つ技術者が必要であるため、人材採用や人材育成等の人的資本投資は最重要課題となります。当社グループは、技術者の採用・募集活動を拡充し、人員の確保に努めると共に、技術継承の促進や資格取得の奨励を図り、また、各種研修プランを充実させ、優れた技術者の育成と定着に努めてまいります。
② 職場環境の整備
「従業員一人ひとりの能力開発に努め、従業員が安全で働きやすい環境を確保すると共に、従業員の多様性、人格、個性を尊重する。」という行動憲章に基づき、働き方改革やダイバーシティの推進と共に、従業員への安全教育や心身の健康管理を徹底する等、安全衛生管理の強化を図り、従業員にとって働きやすい職場環境を整備し、労働生産性の向上に努めてまいります。
③ 受注獲得策の強化
入札時の積算精度の向上や総合評価落札方式への対応強化を図り、道路維持管理業務等の継続的な受注確保に努めてまいります。また、安全管理の徹底により無事故・無災害の施工を目指し、顧客との信頼関係を堅持し、大規模更新・修繕事業への施工協力や附帯する交通規制業務等の受注に向け、積極的な営業展開を行ってまいります。
④ コストへの対応
上昇傾向にある労務費や資機材・燃料価格に対しては、適正な人員配置による業務の効率化や原価管理の徹底によるコスト削減に努めてまいります。
⑤ 環境対策
脱炭素社会の実現に向け、太陽光発電事業を推進すると共に、環境に配慮した資機材の使用や自社開発の濁水処理システムを活用した環境対策に取り組んでまいります。
⑥ 多角的な取組
既に参入しているプロポーザル方式のほか、コンセッション方式やPFI事業等への新たな参入に向け、受注体制の構築に努めてまいります。また、DXの活用による更なる技術力の強化を目指してまいります。
(レジャー事業)
飲食事業
① 収益性の向上
原材料価格の動向に応じたメニューの見直しや価格改定を適宜実施し、収益の確保に努めてまいります。また、立地やコスト条件の良い新規店舗の開店を目指すと共に、多様化する顧客ニーズに合った商品提案に努め、物品販売においても販路拡大に努めてまいります。
② 店舗運営の取組
食の安全・安心を第一とした衛生管理の徹底を行うと共に、従業員の確保と育成によりサービスの向上を図り、お客様にとって快適な店舗づくりに努めてまいります。
マリーナ事業
③ 船舶係留数の維持
来場者への安心・安全な施設運営を心掛けると共に、有資格者の育成と確保により、更なるサービスの充実を図り、高水準で推移する船舶係留数の維持に努めてまいります。
④ マリンレジャーの普及
マリンレジャー人口の増加に資するため、新規マリーナの運営受託を計画すると共に、既存マリーナにおいて、当社事業のレンタルボートやクルージングをとおして、より多くの来場者にマリンレジャーの魅力を実感していただくことにより、特に若い世代に向けたマリンレジャーの普及を目指してまいります。
(不動産事業)
① 所有物件の付加価値向上
所有物件において計画的な修繕工事や設備の更新を推進し、入居テナントの満足度を高め、所有物件の付加価値向上に努めてまいります。
② 新規物件の取得
立地条件や採算性を踏まえ、中長期にわたり安定的な収益を確保できる優良な新規物件の取得を目指してまいります。
セグメント別では以上となりますが、上記課題に加え、適切な資本政策とコーポレート・ガバナンスの充実を図り、М&A等の投資可能性を追求しながら、安定的かつ多角経営の利点を活かした収益性の高い事業ポートフォリオを構築し、事業を推進してまいります。また、脱炭素社会に向けた取組、地域社会への貢献、DX化の推進による業務の効率化等をとおして、企業価値の向上とサステナブルな社会の実現に向けて、適切に対応してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社は創業以来、「社会に奉仕する」ことを企業理念に掲げ、サステナブルな社会づくりに貢献するために、当社グループの事業活動を通じて持続的な成長を支える4つのサステナビリティテーマを策定しております。
<サステナビリティテーマ>
①地域社会に対する取組
・災害時における応急復旧業務に関する協定締結
・災害時における高速道路上での支援物資の提供
・救援物資、帰宅困難者等の輸送協力協定締結
・地域ボランティア活動やNPO法人等への支援
・農業プロジェクトの立ちあげ
②働き方の多様性の尊重
・ダイバーシティの推進(女性の活躍、外国人の採用・活躍、中途採用者の採用・活躍等)
・インクルージョンの推進(育児・介護、フレックスタイム制の拡大、資格取得奨励制度の拡充等)
③環境への取組
・太陽光発電所の運営
・環境対策製品の開発販売及び施工
・環境に配慮した建設機器等の使用推進
・フードロス、プラスチック廃材削減の推進
・社内書類のペーパレス化の推進
④ガバナンス体制
・すべての事業活動の基盤として、コンプライアンス遵守、コーポレート・ガバナンス強化を推進
・個人情報保護、公正取引の徹底
(1)ガバナンス
サステナビリティに係る重要事項は、当社グループの業務執行に関する重要事項を協議、決議する機関として設置している経営会議で議論のうえ、取締役会に報告することで、取締役会の監督が適切に図られる体制としております。また、ESG課題の具体的な取組、開示等の推進や実行支援の役割を担う機関としては、管理本部長を長とする管理本部総務部グループ経営企画課にて対応しております。
(2)リスク管理
サステナビリティ関連を含む全社的なリスク及び機会については、通常の事業活動のなかでそれぞれの所管部署において検討・管理されており、必要に応じ「
なお、特に重要なリスク及びその対応策に関しては取締役会に報告されており、サステナビリティ関連の対応に関してもこうしたリスク管理のプロセスに組み込まれております。
(3)人的資本に関する戦略(人材育成及び社内環境整備に関する方針)
当社の企業活動における課題である、人手不足の解消を図るとともにダイバーシティの推進に向け、通常の定期新卒採用に加え外国人技術者や高齢者等の中途採用に取り組む等、雇用促進を図っております。
当社においては「スバル興業グループ行動憲章(https://subaru-kougyou.jp/company/charter.html)」に定める方針のもと、具体的には以下の3点の施策を実施することで、安心・安全の意識向上やチームビルディングの強化に努め、更にはDX人材や経営者視点を持ったリーダー等、変革・改革の精神を持ち、挑戦し続けることができる人材の育成に努めております。
①部下育成研修の強化
(コミュニケーションの強化、また、マネージメント力の向上)
内定時・入社・2年目・3年目・主任昇格時・係長昇格時・管理職昇格時の各段階において研修を実施。
②実技講習会、安全大会、個人特別表彰・優秀事業所表彰、DX研修の実施
(技術、安全意識及びモチベーションの向上)
道路メンテナンスにおける集中工事等は高いオペレーション能力と安全管理体制整備が求められます。
また、スマートデバイスを使ったDX環境を整えることで次世代の働き方にコミットします。
③スバル興業グループ安全・衛生・安心プロジェクト(技-waza-・新-arata-)の開催
(変革・改革精神の鍛練)
スバル興業グループが自らのため、お客様・社会のために今後取り組むべき「安全・衛生・安心」
に関する対策・技術をスバル興業グループ及び協力会から広く募集し、優秀な案件を表彰します。
社内環境整備については、育児休業や介護休業の取得促進、フレックスタイム制の導入等による様々な働き方に取り組むと共に、健康管理の充実や資格取得における奨励制度の拡充等を行い、従業員にとって働きやすい環境の構築に取り組んでおります。
なお、当社はライフワークバランスの充実を図るため、多様な働き方を推進するとともに、男性の育児休業取得の促進、女性従業員の産前・産後休暇制度の充実化等、休暇の取りやすい環境を整備し、次の方針のとおり指標を定めます。
(4)指標及び目標
当社では社内環境整備方針について、次の指標を用いております。
方針:勤続5年以上の社員は毎月1日以上年次有給休暇を所得する。
指標 |
目標 |
実績(当連結会計年度) |
年間有給休暇平均取得日数 |
12日 |
8.5日 |
上記有給休暇とは別に特別休暇として、夏季休暇5日間(取得期間7月1日~9月30日)、アニバーサリー休暇2日間(取得期間4月1日~3月31日)等の休暇を付与しております。
本目標及び実績は、連結グループに属するすべての会社では行われないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため本指標に関する目標及び実績は連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識する主な事項には、以下のようなものがあります。これらの事業等のリスクに対して、当社グループでは法令順守及びリスク管理を目的に当社各部門並びに子会社から委員を選出した「コンプライアンス・リスク管理委員会」を設置し、リスクが顕在化する可能性の程度や時期、また、顕在化した場合における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況へ与える影響の内容を把握したうえで、その影響を最小限にするための具体的な施策を検討し、その内容を取締役会へ報告しております。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
(特に重要なリスク)
(1)公共工事への依存に伴うリスク
当社グループは売上高に占める公共工事の割合が非常に高いため、国及び地方自治体の財政事情により予想を上回る公共工事の削減や競合企業の増加による入札競争の激化となった場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。具体的には、公共工事の削減や入札競争の激化に伴い道路の維持管理業務をはじめとする大型契約の受注機会が減少することで、売上の減少や余剰人員の発生などの影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、これらの公共工事の削減や入札競争の激化による受注機会の減少に備えるべく、当社グループで実施してきた維持管理業務の経験や工夫、保安規制等の実績を最大限に活用し、積極的な営業展開による受注拡大に努めます。また、入札の機会を減少させないため、公共事業の入札にあたり指名停止・営業停止を受けないことを目的に安全管理・品質管理を徹底し、総合評価点の向上を目指すとともに、入札時の人為的なミスを防止するため、社内管理体制の強化を図ることで、発注者からの信頼を確保し、一つでも多くの入札機会の確保・落札の可能性を高めることで、公共工事の受注確保に努めます。
(2)労働人員不足のリスク
わが国において高齢化社会の進行に伴い労働人口が減少しており、技術者をはじめとする労働人員不足から受注の確保や円滑な業務遂行に支障をきたす可能性があります。
当社グループでは、労働人員確保のために外国人労働者を含めた技術者の採用に努めるとともに、在籍従業員への資格取得の奨励をとおして、技術力やマネジメント能力に優れた技術者の育成を実施しております。
(3)労務費及び資機材価格の高騰リスク
前述の労働人員不足リスクに起因して、建設・土木業における労務単価の上昇が続いていることや、地政学的リスクに起因する燃料を含む原材料費や各種資機材等の経費も上昇傾向にあることから、当社グループの利益圧迫につながる可能性があります。
当社グループでは、適材適所な技術者の配置や協力会社との連携により無駄のない体制構築を実施することで、労務単価の高騰に備えるとともに、原材料、資機材の充実した調達ルートを確保するよう努めることで、これらの価格高騰に対処するように努めます。
(4)自然災害のリスク
想定外の大規模地震・津波・洪水等の自然災害や火災等の事故災害、その他の要因による社会的混乱等が発生したことにより、当社グループや主要取引先の事業活動の停止又は事業継続に支障をきたす事態が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
これら自然災害が発生した際には、当社グループは事前に社内で策定した安全衛生管理計画に従い初動対応・安否確認を行うとともに、現地対策本部を設置し支社・支店・本部が後方支援にあたることで、リスクを最小限に留めるように計画しております。
(5)新型コロナウイルス感染症のリスク
新型コロナウイルス感染症が再拡大した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。具体的には、レジャー事業における飲食店舗での来店者数の減少、マリーナでの来場者数の減少や、不動産事業におけるテナントの営業不振による賃料の一時的引き下げ・免除等に伴い、当社グループの売上の減少や取引先の貸倒れ等が発生する可能性が挙げられます。また、道路関連事業においても、当社グループ内で新型コロナウイルス感染症の罹患者が発生した場合には、工事の中断等により円滑な業務遂行に支障をきたす可能性があります。
当社グループでは新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防ぐため、策定した感染防止ルールに則り、従業員の健康管理を徹底し、引き続き感染予防に努めてまいります。
(重要なリスク)
(6)法的規制に関するリスク
当社グループの主力事業である道路関連事業は、建設業法やこれら関連法律の規制を受けており、法律の改正や法的規制の新設により業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループではこれら法的規制に準拠するために、各省庁、地方自治体等からの通達や指導等をグループ全体で共有できる体制を構築しており、法令順守の徹底に努めております。
(7)取引先の信用リスク
当社グループが民間事業者から各種工事を請け負った場合、急激な事業環境の変化等により発注者である取引先が信用不安に陥ったときには貸倒れが発生し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは貸倒れの発生を予防するために、受注元の与信管理を徹底し、状況に応じて支払条件を柔軟に変更することで、リスクの回避に努めております。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、個人消費や設備投資が持ち直し、景気の緩やかな回復基調が続いているものの、世界的な金融引き締め等を背景とした海外景気の下振れ懸念や、中東地域をめぐる情勢、資源価格・原材料価格の高騰等により、先行きは依然として不透明な状況で推移しました。
このような情勢のもと、3カ年計画≪中期経営戦略2022-2025 TRY!2025≫の2年目にあたり、各事業において業績の向上に努めました結果、当連結会計年度における売上高は292億4千5百万円(前期比1.2%増)、営業利益は49億円(前期比3.8%減)、経常利益は49億4千7百万円(前期比5.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は32億8千3百万円(前期比6.6%減)となりました。
なお、2023年12月に、脱炭素社会に向けた取組みを強化するため、太陽光発電設備の設置工事・機器販売等を主力事業とする株式会社テス東北の全株式を取得し、連結子会社にいたしました。以上により、当連結会計年度末における連結子会社数は12社となりました。
セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
(道路関連事業)
道路業界においては、引き続き政府による防災・減災、国土強靭化対策の推進もあり、公共投資が底堅く推移しましたが、慢性的な建設技能者の不足に加え、労務費・資機材価格が上昇する等、依然として予断を許さない状況が続きました。
このような状況のなか、当社グループの道路関連事業は、積算精度の向上や安全管理の徹底等、総合評価落札方式への対応強化を図りました。道路土木工事においては、熾烈な受注競争のなか、橋梁補修工事をはじめとする各種工事の受注に努めましたが、採算性の高い工種が一部減少したこともあり、前期に比べ減収となりました。年間契約を主とする道路維持管理業務においては、概ね順調に推移し、道路清掃業務においては、積極的な作業提案が追加受注につながり、前期に比べ増収となりました。
以上の結果、道路関連事業全体の売上高は266億1千7百万円(前期比0.7%増)、セグメント利益は51億2百万円(前期比3.2%減)となりました。
なお、2023年3月に宮城県栗原市において太陽光発電事業を取得し『スバルくりこま太陽光発電所』(1,000kW)として稼働しております。
(レジャー事業)
飲食業界においては、行動制限のない社会生活を取り戻し、外食に対する需要が好調のなか、客数も順調に回復しましたが、原材料価格の高騰や人件費・光熱費の上昇等、依然として厳しい事業環境が続きました。
このような状況のなか、当社の飲食店は、テイクアウト販売の強化に加え、商品提供スピードの改善や時間制の導入による回転率の向上に努め、SNSを利用した情報発信等販促活動に注力した結果、飲食事業は前期に比べ増収となりました。
なお、2023年10月に『ドトールコーヒーショップ本郷三丁目店』(東京都文京区)を開店し、同月に入居ビルの閉館により『ラ・ベルデ有楽町店』(東京都千代田区)及び『そば処 竹むら』(東京都千代田区)を閉店したことにより、当連結会計年度末現在の飲食店舗数は5店舗となりました。
マリーナ事業は、『東京夢の島マリーナ』『浦安マリーナ』における年間契約の船舶係留数が引き続き高水準で推移したことに加え、ヨットレース「スバルザカップ」や「ハワイ&タヒチフェスティバル」等の各種イベントを開催し、顧客サービスの充実を図りました。
以上の結果、レジャー事業全体の売上高は17億6千6百万円(前期比4.9%増)、セグメント利益は1億8千5百万円(前期比19.6%増)となりました。
(不動産事業)
不動産事業は、『吉祥寺スバルビル』や『新木場倉庫』等の賃貸物件が堅調に稼働したことに加え、一部テナントにおける賃料改定や前期に取得した物件が寄与したこともあり、売上高は8億6千1百万円(前期比7.3%増)、セグメント利益は5億5千万円(前期比6.4%増)となりました。
なお、2023年11月に大阪府吹田市内に事業用地を取得し、賃貸を開始しております。
生産、受注及び販売の実績
当社グループ(当社及び連結子会社)では、生産実績を定義することが困難であるため、「生産の実績」は記載しておりません。
1.受注高及び受注残高
区分 |
当連結会計年度 (自 2023年2月1日 至 2024年1月31日) |
|||
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
|
道路関連事業 |
29,776,748 |
22.8 |
7,506,759 |
72.7 |
(注) 当社グループでは道路関連事業以外は受注生産を行っておりません。
2.売上実績
区分 |
当連結会計年度 (自 2023年2月1日 至 2024年1月31日) |
|
売上高(千円) |
前年同期比(%) |
|
道路関連事業 |
26,617,263 |
0.7 |
レジャー事業 |
1,766,797 |
4.9 |
不動産事業 |
861,468 |
7.3 |
合計 |
29,245,530 |
1.2 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 道路関連事業の売上高のうち、スバル興業単体の道路維持工事の売上高は5,724,660千円であります。
3 主な相手先別の売上実績及び当該売上実績の総売上実績に対する割合
前連結会計年度(自 2022年2月1日 至 2023年1月31日)
相手先 |
売上高(千円) |
割合(%) |
中日本ハイウエイ・メンテナンス東名株式会社 |
2,882,234 |
10.0 |
阪神高速技術株式会社 |
3,742,402 |
12.9 |
当連結会計年度(自 2023年2月1日 至 2024年1月31日)
相手先 |
売上高(千円) |
割合(%) |
中日本ハイウエイ・メンテナンス東名株式会社 |
3,158,852 |
10.8 |
阪神高速技術株式会社 |
3,529,536 |
12.1 |
(2)財政状態
当連結会計年度末の総資産は、現金及び預金の減少等がありましたが、企業結合による㈱テス東北の全株式取得、宮城県栗原市所在太陽光発電所の事業譲受、大阪府吹田市所在事業用地の取得等により前連結会計年度末に比べ24億6千2百万円増の387億8百万円となりました。
負債は、未払法人税等の減少等がありましたが、資産除去債務の増加等により前連結会計年度末に比べ1億3千3百万円増の51億4千4百万円となりました。
純資産は、利益剰余金の増加等により前連結会計年度末に比べ23億2千8百万円増の335億6千4百万円となりました。
(3)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」)は、前連結会計年度末に比べ12億8千2百万円減少し、122億9千9百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の増加は、41億6千2百万円(前年同期比5億7千9百万円増)となりました。これは主に法人税等の支払額18億7千6百万円等により資金の減少があったものの、税金等調整前当期純利益49億5千万円、減価償却費5億7千6百万円、売上債権及び契約資産の減少5億7千万円等により資金が増加したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の減少は、44億4千4百万円(前年同期は13億5百万円の資金減)となりました。これは主に有形固定資産の取得によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の減少は、10億1百万円(前年同期は10億2千万円の資金減)となりました。これは主に配当金の支払いによるものであります。
(4)資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品及び原材料の購入のほか、外注費、修繕費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要の主なものは、新たな不動産の取得、新規飲食店の出店及びM&A投資等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入、設備投資や長期運転資金は自己資金及び金融機関からの長期借入による調達を基本方針としております。
(5)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたっては、経営者により一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、継続的に評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらの見積りとは異なることがあります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(道路土木工事において一定の期間にわたり充足される履行義務について認識した完成工事高の計上)
道路土木工事において一定の期間にわたり充足される履行義務について認識した完成工事高の計上について、道路土木工事における履行義務の充足に係る進捗度を合理的に見積ることができる取引は、進捗度を工事収益総額に乗じて算定しております。なお、進捗度は、インプット法に基づき見積工事原価総額に対する連結会計年度末までの発生工事原価の割合にて算定しております。
また、履行義務の充足に係る進捗度を合理的に見積ることができないものの、当該履行義務を充足する際に発生する工事原価を回収することが見込まれる場合には、原価回収基準により収益を認識しております。
経営者は、工事原価総額及び工事進捗度の見積りに際して、事業環境等も踏まえた合理的な予測・判断を行っておりますが、一定の不確実性が伴うことから、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(固定資産の減損会計における将来キャッシュ・フロー)
減損損失を認識するかどうかの判定及び使用価値の算定で用いている将来キャッシュ・フローは、事業環境等も踏まえて合理的に作成された予算をもとに、資産グループの現在の使用状況や使用計画等を考慮して見積りを行っておりますが、一定の不確実性が伴うことから、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。