文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社が判断したものであります。
「健康第一」「安全第一」「家庭第一」を基本理念とし、スピードと環境を重視した経営を行い、社会貢献度の高い研究・開発型企業となることを目指します。
当社は収益性を重視し、「売上総利益率」と「売上高経常利益率」を重要な経営指数として位置づけております。経営効率の重視、原価削減により利益率の向上を目標とし、利益率の確保に取り組んでまいります。
今後の継続的な成長を確たるものにするためには、さらに新たな柱となる事業を開拓し、収益獲得手段の多様化を図ることが必要であると考えております。そのため、当社では技術部を中心として、ウレタン樹脂を用いた新技術の開発を継続していく方針であります。また技術部社員による自社施工を強みとしている当社にとって、人員の確保やチーム全員が万全な態勢を整えておくことが必要であり、「社員の健康は、経営の安定・企業価値を向上させる」と考えております。そのため、当社では代表取締役社長直轄のプロジェクトチーム“健康活動倶楽部”を発足し、社員の健康を推進するための様々な取り組みを実施しています。更に新聞・専門誌・雑誌・テレビ等のメディアや展示会出展、説明会等の広報活動により、当社の知名度及びアップコン工法の競合他社に対する優位性の周知、確立のため企業価値の向上を目指したブランド化への取り組みも行っております。
わが国は世界的にみても地震多発地域であり、また高度経済成長時代に建築された社会インフラ関係の建築物の老朽化といった構造問題が着実に進行しております。
建設業界におきましては、従来の新設等を主体とした「フロー」型から、維持・修繕等の「ストック」型への需要の質的変化が予想されます。
当社は、工場、倉庫、商業施設、住宅等のコンクリート床の沈下・傾き・段差・空隙・空洞をウレタン樹脂及び小型機械を用いた独自の「アップコン工法」によって修正する施工を主力事業として展開しており、当該工法を応用した技術を用いて、公共工事として道路や空港に生じた段差の修正や空隙充填なども行っております。
当社の「アップコン工法」は、操業や営業を止めず短工期で修正が可能なことに優位性を有していると認識しており、今後も当該工法及び当該工法を応用した技術を中心に事業を進めて行きたいと考えております。
当社の事業の柱と言えるものは、硬質発泡ウレタン樹脂を用いたコンクリート床スラブ沈下修正工事でありますが、近年、継続的な研究開発により、ウレタン充填工法「FRT工法」による水路トンネル空洞充填工事や空港地盤圧密強化工事など、新しい事業も広がっております。
新しい技術及び新しい工法を継続的に研究開発していくためには、優秀な人材の継続的確保が重要であると考えております。また、特殊ウレタンを使用した工法という点で、材料メーカーとの有益な情報交換のため、技術、開発及び営業メンバーの育成が不可欠であると考えております。
当社は、沈下修正分野以外の新規分野開拓により、将来にわたって収益基盤を強化していくことが課題の一つと考えております。そのために、中長期的な視点で研究開発を進め早期の事業化と新しいマーケットの創出を行ってまいります。
当社が継続的な成長を続けるためには、コーポレート・ガバナンス機能と内部管理体制の強化は必須であると考えております。経営の効率化や内部統制システムの整備、また各取締役を管掌役とした組織構築を行うとともに管理部門の増員も実施いたします。
当社の今後の成長のためには、当社の社名でもある「アップコン工法」のブランド力や知名度をアップさせることが重要であると考えております。知名度を高めることにより新規顧客獲得と新規諸外国への進出を行うことが販路拡大につながるため、費用対効果を見極め十分な市場調査を行った上、PR活動及びIR活動に取り組んでまいります。
⑤ 海外展開
ベトナム業務提携会社での営業力を強化させるために、当社社員から現地提携先社員にアップコン工法に関する指導を直接行い、提携シナジー効果を図っております。また、新規顧客開拓のため、現地調査や日本での情報収集を積極的に行っております。今後は、マーケティングの強化などを行い、さらなる展開を推進してまいります。
⑥ リスクマネジメントの強化
感染症ウイルスや自然災害などの予期せぬ大規模災害などにより、営業体制や施工機材に支障がないよう対応するべく社内インフラの定期的な見直しを行ってまいります。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
当社は、すべてのステークホルダーの皆様から支持される企業を目指し、企業価値を更に向上させるべく、創業当時より経営方針を具現化し、サステナビリティへの取組を行っております。サステナビリティに関する課題の取組を行うマネジメント体制は、社長、各本部本部長及び各部部長から構成される経営会議にて、議論・発表され、取締役会に報告する体制を構築しております。また当社は、代表取締役社長を責任者として、各部からISO推進室メンバーを選出し、品質やサービスに対するリスク管理体制に関する管理・指導を行い、サステナビリティマネジメントの精度の向上を図る役割を担っております。
当社は、将来にわたって社会課題及び環境問題に真摯に向き合い課題解決に取り組み、すべてのステークホルダーの皆様から支持される企業を目指し、基本理念である「健康第一」「家庭第一」「安全第一」のもと、サステナビリティ重点課題を設定しております。
当社は、アップコン工法(特許取得)技術の維持管理及び社内教育、技術の市場供給による認知度の向上並びに研究開発型企業としてウレタン樹脂を使用した市場開拓を目標としております。しかし、ウレタン樹脂を使用した新たな工法の出現による売上低下や原材料価格の高騰による利益減少等のリスクを認識しております。
日本の軟弱地盤及び地震多発国であることやスクラップ&ビルドからストック&リノベーションへの転換などにより、当社工法の需要が拡大していくことを見据え、ウレタン樹脂を使用したアップコン工法の強化並びに研究開発から新規事業への挑戦を目指しております。
当社は、安心・安全な職場環境の確保及び健康経営の推進を目標としております。しかし、労働環境の変化による従業員のストレスや労働災害及び業務上疾病の発症による生産性の低下等のリスクを認識しております。
労働環境改善による生産性の向上及び従業員の労働意欲の向上のために、従業員が心身共に安全かつ安心して働ける環境の整備を目指しております。
また当社は、健康経営の推進のため、2016年に代表取締役社長直轄の「健康活動倶楽部」を発足しております。ラジオ体操やウォーキングイベントなどの健康活動を通して、従業員の健康維持・向上や社内のコミュニケーション機会の提供を目指しております。
当社は、従業員に対して1年に1つ以上の資格取得並びに社員教育の強化を目標としております。しかし、採用後の定着率の低下や業績低下による人材離れなどのリスクを認識しております。
労働意欲向上による組織力の強化及び従業員の能力・知識向上による生産性・サービス向上のために、従業員全員が意見及び発言できる場の提供、人事評価の透明性及び資格取得支援制度の強化を目指しております。
当社は、経営の実効性及び透明性の確保並びに中長期的な企業価値の安定的な向上を目標にしております。しかし、法令違反及び企業倫理・規定違反による不祥事の発生等のリスクを認識しております。
経営基盤の安全性の確保・強化、並びにガバナンス体制の確立による経営意思決定の透明性の強化のために、企業価値の向上及び経営基盤の強化、並びにステークホルダー皆様に対する経営の透明性の強化を目指しております。
持続可能な品質管理サプライチェーンマネジメントの強化
当社は、ISO推進室による監査及びBCM管理体制、技術部による品質管理調査及び研究開発や外部機関による調査報告の強化を目標にしております。しかし、稼働率低下によるお客様へのサービス遅延及び停止や環境に影響を及ぼす物質の混合などによるコンプライアンス違反などのリスクを認識しております。
持続可能な安心安全な材料の提供による事業の成長や地球環境に対応したサステナビリティ経営の維持のために、パートナー企業との連携を強化し、安心安全高品質な技術及び材料を社会に提供するサプライチェーン経営を目指しております。
当社は、持続可能な技術の強化のために、特許取得をしております。本書提出日現在において、計10件の特許を取得しております。
当社は、ISO9001を認証取得しており、労災や事故の発生を未然に防ぐために、マニュアルやルールの周知徹底及び教育をしており、労災発生件数0件を目標に掲げております。労災や事故が発生した際には社内で情報共有をし、再発防止に努めております。なお、当事業年度における労災発生件数は2件であります。
また当社は、安心して働ける職場づくりを目指し、ストレスの原因を探り、職場環境の改善を図っていくために、年1回ストレスチェックを実施しております。高ストレス者には、相談窓口の案内、産業医との面談の機会も提供し、生活習慣や働き方を見直す機会を整えており、ストレスチェックの結果点数を前事業年度よりも改善させることを目標に掲げております。なお、当事業年度におけるストレスチェックの結果は、仕事面95点(前事業年度104点)、サポート面99点(前事業年度104点)、総合リスク94点(前事業年度108点)であります。
当社は、法令違反及び規程違反の発生を防ぐために「リスクマネジメント規程」を設けており、法令、定款及び当社の定める規程等のルールを遵守し、誠実かつ公正な業務遂行に努めることを周知徹底しており、法令及び規程違反0件を目標に掲げております。なお、当事業年度における法令違反及び規程違反は0件であります。
また、当社の定める規程類においても、年に1度の見直しを実施し、必要に応じて規程新設及び改訂を実施しております。なお、当事業年度における規程の新設及び改訂は計11件であります。
当社は、従業員教育の一環として、資格取得を支援・推奨しております。当社代表取締役社長から、定期的に資格取得推奨を全従業員に向けて発信しており、1年に1つ以上の資格取得を掲げております。また当社は、土木施工管理技術検定に特化したチューター制度を設けております。有資格者から勉強支援や指導を受け、資格取得を目指しております。当事業年度におきましては、計3名が新たに土木施工管理技術者の資格を取得しております。
また、当社は人材育成を強化する目的で、新入社員に対するチューター制度も有しております。指導する先輩社員と新入社員との関係を密にすることにより、社内での風通しを良くすると共に細やかな指導を通してサービスの質の向上を目指しております。
当社は、2015年にISO9001を取得しており、当社の工法並びにサービスを維持管理するため、代表取締役社長直轄のISO推進室を設けております。当事業年度は「予測と準備を意識し、品質向上を図る」を年度品質目標に掲げ、マニュアルの改訂や定期的な内部監査を実施し、品質管理の維持・向上を目指しております。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
当社のリスク管理体制につきましては、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要」に記載のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社は、建設業法に基づき、神奈川県知事の建設業許可を受けております。当社は許可の要件及び各法令の遵守に努めていることから、許可の取消事由に該当するような事実はありませんが、法令違反等による許可の取消などの不測の事態が生じた場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、各法令の遵守を徹底するため、各法令別に担当部署を決め、管理部と連携して法令に抵触しない運用を整備する他、関連法令等の改廃動向についても常に情報収集を行うとともに、適宜顧問弁護士と連携する体制を整備しております。
(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社は民間地盤沈下修正工事を核とした事業を展開しております。さらに公共事業等の新たな事業を展開中であり、収益力の分散を図っております。しかし、事業環境の激変や類似工法の出現により当社工法のサービスが縮小し、その変化への対応が適切でない場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社は新たな技術や独自のノウハウを蓄積し、知的財産権として権利取得するなど法的保護に努めながら研究開発活動を推進しております。しかしながら、当社の知的財産権が不正使用される可能性があることは否めず、人材移転等により技術・ノウハウが外部に流出する可能性があります。また現時点において、当社は第三者の知的財産権は侵害していないものと認識しておりますが、万一、知的財産権の侵害を理由として、第三者より損害賠償請求及び使用差止請求等を受ける可能性があります。このような状況が生じた場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお当社は、本書提出日現在、以下の日本国特許10件を保有しております。
(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社は施工実施に際し、顧客、施主等の個人に関連する情報を取得しております。これらの情報の取り扱いには、外部からの不正アクセスや内部からの情報漏洩を防ぐため、セキュリティー環境の強化、従業員に対する個人情報の取り扱いに対する教育等、十分な対策を行うと同時に、個人情報として管理すべき情報の範囲についても厳密な判断が必要と考えております。当社は2017年5月19日に情報セキュリティマネジメントシステムに関する国際規格であるISO27001を取得し、個人情報のみならず、あらゆる情報資産に関して取り扱う手順がマニュアル化されており、情報管理には万全を期しております。しかしながら、今後何らかの理由により個人情報が漏洩した場合には、損害賠償や信用力の失墜により、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社は施工にあたって、原則として事前調査を行い、工事の工程を計画的に管理しておりますが、当初には想定されない問題が生じ、工事の着手後に工期が延長することによって、完成工事高や利益が翌期に繰り越されるなど、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社が実施している農業用水路トンネルの施工については、施工の期間が農閑期である11月から2月に限られております。工事の工程については、受注時の施工計画に基づいて管理を行っておりますが、当社は1月決算であることから、特に11月から翌1月の施工に関し、想定されない問題が生じるなどして、工事の着手後に工期が延長した場合は、完成工事高や利益が翌期に繰り越されるなど、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社には、現段階において業績に重大な影響を及ぼす可能性のある訴訟や顧客との大きなトラブルなどの事実はなく、ISO9001を取得しており、施工については一定以上の品質を保つよう努めておりますが、施工に伴う訴訟等が発生した場合には、多額の費用が発生するとともに、当社の信用を大きく毀損し、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社の沈下修正事業の施工において、技術、品質面での重大な不具合や人為的な事故、環境を要因とする事故等が発生し、その修復に多大な費用負担や施工遅延が生じたり、契約の取り消しとなった場合には、業績や企業評価に影響を及ぼす可能性があります。
(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小)
当社は環境に安全な完全ノンフロンの材料を使用して施工を行っているほか、より環境に配慮した企業活動に取り組むべく、ISO14001を取得し、当該規格に基づいて環境法令遵守に努めておりますが、人為的ミスなどにより環境汚染のリスクが発生した場合には、多額の費用が発生するとともに、当社の信用を大きく毀損し、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、手順書による社内教育の実施、危険物保管状況の記録・保存、産業廃棄物処分業者の選定を行っております。
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社は、「健康第一」「安全第一」「家庭第一」を基本理念として掲げていることもあり、沈下修正の工事にあたっては、危険が生じないよう、安全管理を徹底しておりますが、重大な労働災害が発生した場合は、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社は硬質発泡ウレタン樹脂の新規応用分野への研究開発に取り組み、新たな事業を開拓してまいりました。今後も研究開発には特に注力して新規事業の開拓に努めてまいります。新規事業については事業計画を十分に検討した上で実施することにしておりますが、事業計画には予想や仮説に基づく部分も存在するため、当該予想や仮説が現実と大きく違った場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社の主な事業であるウレタンを使用した沈下修正事業はだれでも参入が可能な市場です。工法の技術の取得に数年を要するため、当社としては簡単に参入できないものと認識しておりますが、今後、当社と同様に沈下修正分野における豊富な知識と経験を有する人材を持つ企業が参入した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
国内外の景気後退等により民間設備投資が縮小した場合や、財政健全化等を目的として公共事業投資が減少した場合には、今後の受注動向に影響を及ぼす可能性があります。
(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社は地盤沈下修正工事等を主たる事業としておりますが、その工事に使用する主たる原材料については、原材料を共同で開発した日本パフテム株式会社から仕入れる契約となっております。同社とは良好な関係を築いており、同社に倒産、製造中止等の事情が生じた場合は、他社に製造・販売を委託できる契約となっておりますが、当社の施工、及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(発生可能性:高、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社の施工に使用するウレタンを構成する材料については、ナフサなど一部、市況の影響を受けるものがあります。日本パフテム株式会社からの仕入れにあたり、現在は安定した取引きが続いておりますが、ナフサをはじめとしたウレタンを構成する材料の需給ひっ迫等により、現在価格が高騰しております。今後、更なる原材料価格の高騰が続いた場合、当社仕入価格及び利益に影響を及ぼす可能性があります。
(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小)
取引先に関する信用力や支払条件等の厳格な審査の実施に努めるとともに、信用不安情報の早期収拾等、可能な限り信用リスクの最小化を図っておりますが、発注者や協力業者等の取引先が信用不安に陥った場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
地震等の災害によって道路をはじめとした社会インフラのほか、企業の生産・販売活動の拠点である工場、倉庫、商業施設や事業所、また、一般の住宅などに甚大な被害が発生した場合、一時的な復旧需要により、当社の業績に短期的に影響を及ぼす可能性があります。
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社は新型コロナウイルス感染症の流行に対して行動指針を策定するなど、迅速に対応・対策してまいりました。今後、新たな感染症が流行し、緊急事態宣言などによる県を跨ぐ移動制限などが生じた場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社のアップコン工法及びその応用技術を用いた工法は、民間事業・公共事業工事の両方で比較的規模の大きな案件を受注するケースがあります。
当社では、今後もこの様な規模の案件を受注する可能性があると見込んでおりますが、当社の工法は受注を受けてから完工までを短期間で施工する工法であり、期首の段階で想定できない大型案件(1件1億円を超える工事)の期中での受注の成否により、当社の業績に短期的に影響を及ぼす可能性があります。
(単位:千円)
(3)組織体制に関するリスク
(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社の代表取締役社長である松藤展和は「アップコン工法(コンクリート床スラブ沈下修正工法)」に関する豊富な経験と知識を有しており、経営方針や事業戦略の決定、重要な取引先との交渉等、会社運営のすべてにおいて重要な役割を果たしております。
当社は今後優秀な人材を採用・育成することにより、同人に過度に依存しない経営体制の整備を進めてまいりますが、何らかの事情により同人が当社から離職した場合または十分な業務執行が困難となった場合には、当社の事業展開や業績に影響を及ぼす可能性があります。
(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
これまで、当社は少人数の組織体制で効率化を図ってまいりましたが、事業の拡大と合わせて今後積極的に優秀な人材を確保していき、組織体制をより安定させることに努めてまいります。しかし、計画通りに人材の確保が出来ない場合や事業の中核をなす社員に不測の事態が生じた場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社は、有事に備え危機管理体制の整備に努め対策を講じております。しかしながら、当社が事業展開する地域において、地震等の自然災害や火災等の事故が発生した場合、当社の主要拠点等の設備が破壊的な損害を被る可能性があります。この場合は当社の操業が中断し、工事の遅延等の発生により完成工事高が減少し、主要拠点等の修復のために多額の費用を要することとなる可能性があります。
(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:4月、影響度:小)
当社は、剰余金の処分につきましては、株主への利益還元を図り、かつ将来の事業展開及び財務体質の充実に必要な内部留保を確保するため、業績に対応した配当を行うことを基本方針としております。しかしながら経営環境の変化等に伴い業績や財政状態が悪化した場合には、当該基本方針どおりに配当を実施することができなくなる可能性があります。
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
(資産の部)
当事業年度末における資産合計は、1,334,486千円となり、前事業年度末に比べ58,370千円減少いたしました。
流動資産は1,219,436千円となり、前事業年度末に比べ99,289千円減少いたしました。これは主に、その他の増加61,396千円、現金預金の減少135,884千円、未成工事支出金の減少16,774千円等によるものであります。
固定資産は115,049千円となり、前事業年度末に比べ40,919千円増加いたしました。これは主に、投資有価証券の増加30,710千円、機械・運搬具の増加9,296千円等によるものであります。
(負債の部)
当事業年度末における負債合計は、45,274千円となり、前事業年度末に比べ116,683千円減少いたしました。これは主に、未払法人税等の減少72,622千円、未払消費税等の減少26,066千円及び工事未払金の減少20,100千円等によるものであります。
(純資産の部)
当事業年度末における純資産合計は、1,289,212千円となり、前事業年度末に比べ58,312千円増加いたしました。これは主に、当期純利益67,590千円の計上による利益剰余金の増加、その他有価証券評価差額金の増加5,338千円及び株主配当金の支払による減少20,991千円等によるものであります。
当事業年度における我が国経済は、社会経済活動が正常化し、インバウンド需要等が回復したことにより景気は上昇傾向にありますが、物価高や各国の金融引き締め等により世界経済の減速が懸念されます。一方で、国内金融市場は新NISAの導入による投資資金が流入したことや外国人投資家による日本企業への株式投資により、日経平均株価が34年ぶりに史上最高値を更新し、株高の勢いを見せております。しかし、依然として我が国経済を取り巻く環境は、物価高や人口減少による人材の確保など不安定な状態であり、今後も注視していく必要があります。
建設業界におきましては、公共投資の増加や民間設備投資の回復等により、需要面では微増に向かっております。しかし、供給面については原材料の高騰及び人手不足の解消傾向が見られず、今後も経営環境に大きく影響してくるものと思われます。
このような状況のもと、当社におきましては、営業活動において調査無料キャンペーンの実施や展示会への出展、並びにIR活動等を中心に進めてまいりました。当事業年度における受注工事は、能登半島地震の影響による施工工事延期、仕入れ原価の高騰及び施工による材料使用量増が影響した結果、当事業年度の営業利益、経常利益及び当期純利益は前事業年度実績を下回る結果となりました。以上の結果、当事業年度の経営成績は、売上高852,483千円(前年同期比7.1%減)、営業利益89,878千円(前年同期比46.8%減)、経常利益94,139千円(前年同期比47.2%減)、当期純利益67,590千円(前年同期比41.8%減)となりました。
なお、当社は沈下修正事業の単一セグメントのため、セグメント別の記載を省略しております。
当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べ85,884千円減少し、855,705千円となりました。当事業年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により使用した資金は、25,862千円(前事業年度は263,982千円の獲得)となりました。
主な要因は、税引前当期純利益94,139千円、減価償却費8,518千円、仕入債務の減少20,100千円、法人税等の支払額103,887千円が生じたこと等によります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は、37,736千円(前事業年度は47,794千円の獲得)となりました。
主な要因は、投資有価証券の取得による支出22,620千円、有形固定資産の取得による支出15,347千円が生じたこと等によります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は、22,284千円(前事業年度は110,516千円の獲得)となりました。
主な要因は、リース債務の返済による支出1,276千円、配当金支払額20,883千円が生じたこと等によります。
当社は生産の形態をとらないため、該当事項はありません。
当社の工法は受注から施工完了まで短期間で施工を行う工法であり、受注状況に関する記載はしておりません。
当事業年度の販売実績は、次のとおりであります。なお、当社は沈下修正事業の単一セグメントのため、施工対象別のみを記載しております。
(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績に対する割合は次のとおりであります。
(注)クレハ建設㈱は、2022年4月にクレハ錦建設㈱より社名変更しております。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
民間事業は、主に工場の施工件数が増加しました。倉庫に関しては請負金額の大きい案件が減少しましたが、商業施設等の施工が寄与し577,914千円(前年同期比0.9%増)となりました。
公共事業は、道路の施工件数が減少し274,568千円(前年同期比20.2%減)となり、その結果852,483千円(前年同期比7.1%減)となりました。
仕入れ原価の高騰や施工による材料使用量増等が影響し売上原価は430,278千円(前年同期比4.5%増)となりました。この結果、売上総利益は422,205千円(前年同期比16.4%減)となりました。
販売費及び一般管理費は332,327千円(前年同期比1.2%減)となりました。この結果、営業利益は89,878千円(前年同期比46.8%減)となりました。
営業外収益は有価証券評価益、助成金収入が減少したこと等により、5,473千円(前年同期比43.5%減)となりました。営業外費用はリース資産による支払利息、有価証券評価損も計上等により1,212千円(前年同期比159.5%増)となりました。この結果、経常利益は94,139千円(前年同期比47.2%減)となりました。
法人税、住民税及び事業税を29,886千円(前年同期比56.7%減)、法人税等調整額を△3,337千円(前期同期は△7,052千円)計上したことにより、当期純利益は67,590千円(前年同期比41.8%減)となりました。
財政状態の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況」に記載のとおりであります。
キャッシュ・フローの状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社は企業体質の強化を図りながら持続的な企業価値の向上を進めるにあたり、事業運営上必要な資金を安定的に確保することを基本方針としております。
当社の財源は主に営業活動によるキャッシュ・フローで生み出した資金を源泉とし、運転資金及び設備資金は主に自己資金で賄うことを基本としております。
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
この財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載の通りであります。
経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標の進捗については、第21期事業年度において、売上総利益率49.5%(前事業年度55.1%)、売上高経常利益率11.0%(前事業年度19.4%)となっております。今後も、経営効率の重視、原価削減により利益率の向上を目標とし利益率の確保に取り組んでまいります。
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
経営者の問題認識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
当社は、沈下修正工事を行うと同時に、将来の新たな事業発展を目的として、複数のプロジェクト(以下「PJ」という。)による研究開発を進めております。
現在の研究開発は、当社の技術部メンバー全員によって取り組んでおります。
当事業年度における研究開発費の総額は
既存の建物の屋内でも施工可能な小型の機械を使用し、地盤改良を行います。具体的には地盤を掘削して杭状袋体を入れ、その袋体の中でウレタンを掘削径よりも大きく発泡させることにより、地盤の圧密強化と密着性を高めることで上載荷重を支持することを目標とするPJです。
当事業年度は性能証明を目的としたフィールド試験を実施いたしました。
なお、当PJに係る研究開発費は4,351千円であります。
地震などの災害で、大きな段差が生じてしまった道路を、応急的に復旧する工法です。道路に発生した段差に高強度ウレタン樹脂を吹付け、表面をスロープ状に硬化させることで、段差を解消し、緊急車両等の通行を短時間で可能とすることを目的とするPJです。
当事業年度は前年度同様にEE東北´23(展示会)に出展いたしました。また、経済性を考慮し、小規模な段差にも対応出来るよう、工法の改良を行いました。
なお、当PJに係る研究開発費は764千円であります。
ウレタン生成時に第三の物質を混入させることで、生成時の科学反応熱を低く抑えることが可能となり、大規模な空洞部の充填工事が容易に行えるようになりました。昨今、道路の陥没事故が多数発生しており、道路下の空洞を充填する工法を確立するため、実験を実施いたしました。
当事業年度はフィールド実験を行い、良好な結果が得られたため、研究開発を終了いたしました。今後は試験施工、本施工に移行し実績を積み重ねてまいります。
なお、当PJに係る研究開発費は3,825千円であります。
社会的需要の増加に対応し、自然災害対策の1つである電柱の補強について、ウレタンを使用した補強研究を継続しております。電柱内部の中空部にウレタン樹脂を充填することで電柱を倒壊しにくくすることを目的とするPJです。
当事業年度は実験の再現性や耐震補強効果を検証することを目的にFEMによる解析を行いました。
なお、当PJに係る研究開発費は1,446千円であります。
施工及び研究開発等で使用した廃棄処分予定の発砲ウレタンを再利用・再資源化することで、廃棄物量の減少を目的としております。
当事業年度は再利用・再成形方法の検討を行いました。
なお、当PJに係る研究開発費は274千円であります。
(6)壁断熱PJ
第22期より新たに壁断熱PJを発足いたしました。既存建物の壁や体育館の床を解体せずに断熱工事を行うことを目的としております。新規材料の開発、施工方法の検討・確立、施工効果の確認を実施してまいります。