第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社の経営理念は次のとおりであります。

経営理念

1.会社は社員の夢の実現のための機関である

1.そのために会社は健全な収益性を維持しなければならない

1.お客様、社員、取引先から圧倒的な支持を受ける企業を目指す

1.おしゃれ心を満たすトレンド商品をリーズナブルプライスで提供する

1.地域社会に対して常に感謝し、ともに発展することを信条とする

この経営理念の下、株主、取引先、従業員等ステークホルダーの信頼と期待に応えつつ、「適時」「適品」「適量」「適価」「適提案」「適サービス」の実現を通じて婦人靴業界の発展に寄与し、同業界でのオンリーワン企業としての地位を確立することを目指します。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、収益力の向上と財務体質の強化を経営目標の中心として重視しております。売上高及び経常利益、営業キャッシュ・フローの拡大を図ってまいりたいと考えております。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

今後は、国内では対象人口の減少による市場規模の縮小及び業界における淘汰がより一層進行するものと予測されます。このような状況のもと、当社グループは、主力ブランドである旗艦ブランド「JELLY BEANS」を中心に足元の建て直し、収益力の拡大を重要視しております。

 

(4) 経営環境

当社が属する婦人靴業界を取り巻く経営環境は、地方経済の衰退、消費者の節約志向やEC専門事業者の台頭による価格競争の激化などにより、厳しい環境が続いていたなか新型コロナウイルス感染症の感染拡大による世界的規模の打撃をうけ、各社生き残りをかけた大変厳しい経営環境が続いています。また、今後は高水準の賃上げなど所得環境の改善や、企業の設備投資意欲の高まりにより経済は前向きな動きが予測され、個人消費は持ち直しに転じる見込みであるものの、コロナ禍がもたらした消費者の購買行動の変容は続き、婦人靴業界を取り巻く環境は引き続き厳しい状況が続くという判断のもと、対処すべき課題の解決に取り組んでまいります。

 

(5) 優先的に対処すべき事業上財務上の課題

当社グループは売上高が継続して減少しており、前連結会計年度に引き続き当連結会計年度においても営業損失、親会社株主に帰属する当期純損失を計上し、営業キャッシュ・フローもマイナスとなっている状況であります。当社グループでは当該状況を解消し、再建計画を達成することが会社の対処すべき最も大きな課題となっております。そのため、以下の施策に重点的に取り組んでまいります。

 

 

1.直営店舗および百貨店店舗の効率化と収益の確保

直営店舗や百貨店における不採算店舗の撤退を進めてきた事により一定の効果を得ているものの、引き続き各店舗の採算性を注視し効率化と収益の確保を目指します。百貨店との取引においては、短期の催事への出店を積極的に検討し売上増大に取り組みます。EC事業の売上が婦人靴事業の中核となる中で、直営店舗および百貨店店舗については、お客様との接点を活かしながらブランドを発信する拠点として活用していきます。

 

2.EC事業を軸とした事業収益の改善

これまで、当社主力事業であった小売事業を縮小させ、ECサイト販売を重視する方向で諸施策を展開した結果、EC事業は一定の伸びを示し、売上全体にしめる割合も上昇しております。全社の事業収益の改善に向けて、EC事業を軸として、更なるオムニチャネル化体制及びセールスプロモーションの強化に取り組み積極的な販売活動を実施してまいります。

 

3.販売方法の見直しと強化、在庫管理の徹底

シーズン毎に提案し仕入れた商品の販売について、想定する販売期間内にてしっかり売り切れるよう販売戦略を見直し強化します。顧客の需要を分析しタイムリーな販売価格の決定と迅速な判断で翌シーズンへ持ち越す在庫数を極力少なくし在庫回転率を向上させる取り組みを行い、マーチャンダイザーや在庫コントローラーの役割を明確にし在庫管理を徹底します。

 

4.事業領域拡大

既存の主力事業である婦人靴の小売事業及びEC事業だけでなく、主力事業に付随する新たな事業を模索・展開していくことで将来的な売上高の増加・収益確保を図ってまいります。既に取り組みを開始しているSDGs関連商品や美術品等の販売においては、取扱商品や顧客へのアプローチ方法等を再検討し、新たな事業の領域拡大を目指してまいります。

 

5.継続した資金調達の実施による財務基盤の安定化

当社は、2020年1月、2021年4月及び2022年4月に第三者割当による新株予約権の発行を行い、円滑な権利行使が進む中、資本の充実を図ってまいりました。当連結会計年度の末日において当該新株予約権による資金調達額は2,642,880千円となり、事業領域拡大資金等に充当しております。なお、2024年1月末時点の未行使新株予約権の調達可能額は813,460千円であり、当社としては、継続して既存の新株予約権未行使分における行使状況の把握を行い、また、必要であると判断した場合は行使価額の引き下げや追加的な資本増強による資金調達を検討するなど財務基盤の安定化に取り組んでまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 

当社は、当連結会計年度を含めると6期連続した営業損失及び営業キャッシュ・フローのマイナスの計上、並びに8期連続した親会社株主に帰属する当期純損失を計上しており、継続企業の前提に関する重要事象が存在しております。

当社グループは、このような状況を早期に解消するために、事業施策による収益性の向上、財務施策による資金繰りの改善に取り組んできました。

このような中、サステナビリティに関しては、環境に配慮してつくられた素材を使用した商品の拡充や再生紙のシューズボックスを使用するなど事業に関連する領域での取り組み実績はあるものの、全社的に体系的な取り組みを行うことは出来ていない状況にあります

今後、中長期的な成長や持続可能性を確保するために、引き続き事業施策による収益性の向上、財務施策による資金繰りの改善に取り組んでいきます。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社が判断したものであります。

 

 

 

(1) ガバナンス及びリスク管理

現在、当社グループでは取締役会を中心としたガバナンス体制を構築しておりますが、サステナビリティに関するリスク及び機会を識別し、監視・管理するための体制までは構築できていません。

今後は、サステナビリティ推進のための仕組みを構築し、事業活動や社会問題との関連性についての議論と整理を行っていきます。また、事業活動に重大な影響を及ぼす懸念のあるリスクについての識別、評価を行い、社会課題の解決と当社グループの持続的成長の両面で重要課題として取り纏めを行い、取締役会においてリスク及び機会の審議及び監督を行う体制を構築してまいります。

 

(2) 人的資本に関する戦略並びに指標及び目標

当社は、女性向けにノンレザー素材を用いたカジュアル婦人靴を製造、販売を行っており、商品企画から店舗販売まで女性の従業員が多く活躍しているものの、事業構造の転換から、店舗販売員だけではなく、本社人員についても大幅なスリム化を図っており、人的資本に関する戦略や関連する指標の策定等については、取り組みができていない状況にあります。

しかしながら、将来の成長・持続的な発展や競争力向上のためには、長期的な視点に立った人的資本に関する戦略が必要であると考えており、女性管理職の育成、従業員のスキルや能力向上、組織の強化、事業の多様化などを考慮し人的資本の戦略を立案してまいります。

 

 

 

3 【事業等のリスク】

以下において、当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもリスク要因に該当しない事項についても、投資家の投資判断上、あるいは当社グループの事業活動を理解する上で重要と考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。なお、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、それらの発生の回避、発生した場合の対応に努める方針でありますが、投資における判断は、本項目以外の記載内容も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

なお、以下の記載は、全てのリスクを網羅するものではなく、また、文中における将来に関する事項は当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものでありますのでご留意願います。

 

(1) 継続企業の前提に関する重要事象等について

当社グループは、2016年1月期以降、売上高が減少傾向にあったところに、さらに新型コロナウイルス感染症の拡大が影響し、売上高は大きく減少、当連結会計年度を含めると6期連続した営業損失及び営業キャッシュ・フローのマイナスの計上、並びに8期連続した親会社株主に帰属する当期純損失を計上している状況にあります。当連結会計年度においては、売上高は919,746千円で前連結会計年度に比較して34.0%減少し、営業損失573,304千円及び親会社株主に帰属する当期純損失596,311千円を計上いたしました。

また、当面の先行きも不透明である状況から継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。

当社グループでは当該状況を解消すべく、以下の事業施策により収益性を高め、財務施策により資金繰りの改善を図ります。

 

事業施策

1.直営店舗および百貨店店舗の効率化と収益の確保

直営店舗や百貨店における不採算店舗の撤退を進めてきた事により一定の効果を得ているものの、引き続き各店舗の採算性を注視し効率化と収益の確保を目指します。百貨店との取引においては、短期の催事への出店を積極的に検討し売上増大に取り組みます。EC事業の売上が婦人靴事業の中核となる中で、直営店舗および百貨店店舗については、お客様との接点を活かしながらブランドを発信する拠点として活用していきます。

 

2.EC事業を軸とした事業収益の改善

これまで、当社主力事業であった小売事業を縮小させ、ECサイト販売を重視する方向で諸施策を展開した結果、EC事業は一定の伸びを示し、売上全体にしめる割合も上昇しております。全社の事業収益の改善に向けて、EC事業を軸として、更なるオムニチャネル化体制及びセールスプロモーションの強化に取り組み積極的な販売活動を実施してまいります。

 

3.販売方法の見直しと強化、在庫管理の徹底

  シーズン毎に提案し仕入れた商品の販売について、想定する販売期間内にてしっかり売り切れるよう販売戦略を見直し強化します。顧客の需要を分析しタイムリーな販売価格の決定と迅速な判断で翌シーズンへ持ち越す在庫数を極力少なくし在庫回転率を向上させる取り組みを行い、マーチャンダイザーや在庫コントローラーの役割を明確にし在庫管理を徹底します。

 

4.事業領域拡大

既存の主力事業である婦人靴の小売事業及びEC事業だけでなく、主力事業に付随する新たな事業を模索・展開していくことで将来的な売上高の増加・収益確保を図ってまいります。既に取り組みを開始しているSDGs関連商品や美術品等の販売においては、取扱商品や顧客へのアプローチ方法等を再検討し、新たな事業の領域拡大を目指してまいります。

 

 

財務施策

継続した資金調達の実施による財務基盤の安定化

当社は、2020年1月、2021年4月及び2022年4月に第三者割当による新株予約権の発行を行い、円滑な権利行使が進む中、資本の充実を図ってまいりました。当連結会計年度の末日において当該新株予約権による資金調達額は2,642,880千円となり、事業領域拡大資金等に充当しております。なお、2024年1月末時点の未行使新株予約権の調達可能額は813,460千円であり、当社としては、継続して既存の新株予約権未行使分における行使状況の把握を行い、また、必要であると判断した場合は行使価額の引き下げや追加的な資本増強による資金調達を検討するなど財務基盤の安定化に取り組んでまいります。

 

以上の施策をもって、当該状況の改善に全力を挙げて取り組んでまいります。

 

(2) 流行・気候等が経営成績に与える影響について

婦人靴は、流行性、季節性の高い商品であるため、ファッションの流行や気候・気温の変動により業績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。また、極端な冷夏・暖冬等の異常気象の発生により、想定した商品の需要と実際の市場のニーズが異なった場合、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

このため、社内に商品開発部門を設置しており、市場の流行に合致する商品のデザイン企画・商品選別等に努めることに加え、流行の変化によってある特定のブランドの業績が悪化した場合でも別の商品群で補うべく、旗艦ブランドである「JELLY BEANS」に続くブランドの育成、事業の展開を行う方針であります。

 

(3) 人口減少の傾向について

当社グループの商品は、主として20代から30代の女性をターゲットとした商品であり、今後、国内の市場規模は縮小傾向にあると考えられます。しかしながら、実用品としてよりもファッションアイテムとしての需要が高いこと、婦人靴市場における当社グループの成長余力は十分残されていると考えられることから、消費者のニーズに応えられる商品を提供し続けていく限り、市場規模の縮小が直ちに当社グループの事業の衰退に結びつく可能性は高くないと認識しております。

今後も、強みである企画力を活かし、消費者のニーズに合致した商品を作り続けるとともに、EC事業の強化等により、現在の事業規模を維持・拡大できるものと考えておりますが、こうした施策が奏功しない場合、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 輸入規制緩和による影響について

靴は、使用素材によりノンレザー靴、皮革靴、布靴と大別されますが、皮革靴は関税割当(Tariff Quota(タリフクオータ)、以下TQという)制度の対象品目であり、皮革靴を輸入する業者はそのTQ枠を使用して輸入することが義務付けられております。TQ枠の設定により、国内の皮革靴業界は海外商品の過剰流入から保護されておりますが、今後、TQ枠が撤廃され完全自由化が実施された場合、ヨーロッパなど海外からの皮革靴の流入量が増加し、商品価格の低下等、靴業界に多大な影響をもたらす可能性があります。

当社グループは、ノンレザー素材の優れた加工容易性を活かし、価格訴求力よりもデザイン性を追求したノンレザー婦人靴を取扱っておりますが、TQ枠の撤廃による皮革靴市場の価格変動により、ノンレザー靴に対しても価格低下圧力が加わった場合、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 個人情報保護について

直営小売店やインターネット上での通信販売などにおいて取得・保有しております一般顧客の個人情報の保護につきましては、社内規程及び運用マニュアル等の整備、売場へのガイドラインの配布や社員教育等を通じ、内部管理体制を徹底するとともに、不正な外部侵入を防止するためにネットワークセキュリティーを強化するなど、個人情報が外部に流出することのないよう、十分留意しております。

しかしながら、不測の事態により個人情報の漏洩等の重大なトラブルが発生した場合、信用力の低下や、損害賠償請求等により、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(6) 仕入取引について

① 中国からの仕入について

商品は、国内メーカー、国内メーカーの中国協力工場等への生産委託(間接輸入)、中国メーカー(直接輸入)を通じて調達しております。

このうち直接輸入については、為替相場の変動、材料費の著しい変動、物流を取り巻く状況が変動した場合、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、中国における政治体制の変更や労働コストが上昇した場合、仕入体制に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 仕入先メーカーに対する依存について

当社グループは、主に、国内及び海外生産品を問わず、ケミカルシューズ産業の集積地である兵庫県神戸市長田区に在する複数の国内メーカーより商品を調達しております。

長田地区の靴メーカーとの取引により、デザイン面、品質面、納期面、価格面等で当社の希望を満たした商品の調達が可能である一方、取引先メーカーは企業規模が小さなところが多く、何らかの障害が発生した場合や、今後、後継者不足によりメーカーの廃業等が増加した場合、仕入体制に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 知的財産権等について

① 商標権の使用について

ブランドは重要な知的財産であるとの観点から、事業展開上、必要な商標権を取得しております。しかしながら、今後海外進出を行う場合、或いは販売先が、独自の判断において日本国外で商品を流通する場合において、当社グループに先行して、第三者により同一商標の登録がなされていた場合、商標の使用が制限または禁止される可能性があります。そうした事象が発生した場合、異業種コラボレーションによる靴以外の商品を取扱う機会や、ブランド使用許諾(ライセンス)の付与による事業化の機会が制限或いは禁止されることなどにより、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、第三者が保有している同一商標の使用態様により、商標・ブランドに悪影響が及んだ場合、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 訴訟の可能性について

販売先が、その独自の判断において日本国外で商品を流通した場合において、それに起因・関連して当社グループが第三者の知的財産権を侵害したと判断された場合は、当該第三者から損害賠償請求や使用差止め請求等の訴えを提訴される可能性があります。このような場合、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 感染症の拡大について

2019年12月以降の世界各国における新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う経済活動の抑制により、世界各国は深刻な経済危機に陥りました。今後、新型コロナウイルス感染症に限らず、こうした感染症が拡大、継続した場合には、店舗の休業等による消費への影響に加え、プロモーション、生産スケジュール等へ影響し、ひいては業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、経営成績等)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の分類が5類へ移行したことより行動制限等が緩和され、消費活動に回復の兆しが見え始めた一方、ロシア・ウクライナ問題の長期化、原材料・エネルギー価格の高騰によるインフレ圧力の高まり、世界的な金融引締め等による景気後退リスクなど、依然として先行きは不透明な状況が続いております。

婦人靴業界におきましては、生活様式の変化や物価高騰を背景にした個人の消費スタイルが、より慎重なものに変化するなど、婦人靴の市場規模は縮小傾向にあり、引き続き厳しい経営環境が続いております。

このような状況の中、当連結会計年度につきましては、事業再生のための基盤の整備と事業モデルの変革に向けた取り組みに努めました。

これらの結果、売上高919百万円(前年同期比34.0%減)、営業損失573百万円(前年同期は634百万円の営業損失)、経常損失578百万円(前年同期は671百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純損失596百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失697百万円)となりました。

 

当連結会計年度におけるセグメントの経営成績は以下のとおりであります。なお、「卸売事業」からは前連結会計年度において撤退しており、一部の取引先と取引が継続しているものの金額的重要性が乏しくなったため、当連結会計年度より「小売事業」に含めて記載しております。また、報告セグメントに含まれない事業セグメント「その他」は、量的基準を満たしたため、報告セグメントの「その他事業」として記載しています。なお、セグメントの経営成績については、セグメント間の内部売上高又は振替高を含めて記載しております。

 

(小売事業)

小売事業におきましては、直営店の新規出店はなく、神戸マルイ店、マルイシティ横浜店を閉店いたしました。これにより当連結会計年度の末日である1月31日現在における直営店舗数は3店舗となりました。また、前連結会計年度に行った不採算店舗の整理による経費項目の削減効果から、小売事業における売上高は366百万円(前年同期比47.1%減)、営業損失は8百万円(前年同期は営業損失116百万円)となりました。

 

(EC事業)

EC事業におきましては、SNSを経由した顧客コミュニケーションの強化や販促、サイトへの流入を促す広告の強化、自社サイトでは新規会員の獲得とその維持のための施策としてメールマガジンやLINEの配信などを積極的に行いました。自社サイトでは靴の選び方や収納のガイドなど商品以外のコンテンツも充実させるとともに、コスメブランド「JB beauty」の販売を2023年2月から開始いたしました。また、靴デザインやパーツなどを好きな組み合わせで作れるカスタムオーダーシューズは、2023年モデルの販売を3月から開始しています。しかしながらサイトへの訪問者数の減少や積極的な値引き施策により、EC事業における売上高は552百万円(前年同期比8.5%減)、営業利益48百万円(前年同期比33.6%減)となりました。

 

(その他事業)

その他事業は、主力である婦人靴以外の事業領域の拡大のため、美術品販売等の事業、SDGs関連商品の販売、ブランド品の販売及びゲーム関連事業に取り組んでおり、将来的な売上高の増加・収益向上を目指しています。ゲーム関連事業においては、靴をテーマにしたタイムマネージメント型ゲームの開発を進めて参りましたが、開発に遅れが生じ、いまだリリースの時期が見通せないため減損損失を計上しました。現状では、いずれの事業においても、まだ費用が先行する状態であり、売上高は0百万円(前年同期92.3%減)、営業損失は23百万円(前年同期は営業損失8百万円)となりました。

 

 

当連結会計年度末における財政状態は以下のとおりであります。

(流動資産)

当連結会計年度における流動資産の残高は、566百万円(前連結会計年度は552百万円)となり、14百万円増加しました。主な理由は、商品及び製品の増加(109百万円から133百万円へ24百万円増)、未収消費税等の増加(23百万円から28百万円へ4百万円増)に対して、受取手形及び売掛金の減少(96百万円から86百万円へ10百万円減)、現金及び預金の減少(312百万円から310百万円へ2百万円減)であります。

 

(固定資産)

当連結会計年度における固定資産の残高は、29百万円(前連結会計年度は94百万円)となり、65百万円減少しました。主な理由は、差入保証金の減少(69百万円から18百万円へ51百万円減)、減損損失による無形固定資産の減少(14百万円減)であります。

 

(流動負債)

当連結会計年度における流動負債の残高は、254百万円(前連結会計年度は266百万円)となり、12百万円減少しました。主な理由は、支払手形及び買掛金の減少(29百万円から16百万円へ13百万円減)、未払金の減少(96百万円から88百万円へ8百万円減)及び未払法人税等の減少(18百万円から15百万円へ3百万円減)に対して、株主優待引当金の増加(70百万円から83百万円へ12百万円増)であります。

 

(固定負債)

当連結会計年度における固定負債の残高は、228百万円(前連結会計年度は263百万円)となり、34百万円減少しました。主な理由は、長期借入金の減少(214百万円から181百万円へ33百万円減)、退職給付に係る負債の減少(48百万円から46百万円へ1百万円減)であります。

 

(純資産)

当連結会計年度における純資産の残高は、113百万円(前連結会計年度は116百万円)となり、3百万円減少しました。主な理由は、新株予約権の行使による株式の発行に伴い資本金、資本準備金がそれぞれ297百万円増加及び親会社株主に帰属する当期純損失の計上596百万円であります。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて7百万円増加し、310百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、使用した資金は610百万円(前年同期は606百万円の支出)となりました。

これは主に、税金等調整前当期純損失592百万円、棚卸資産の増加額24百万円及び仕入債務の減少額13百万円に対し、減損損失16百万円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果、獲得した資金は62百万円(前年同期は8百万円の支出)となりました。

 これは主に、差入保証金の回収による収入54百万円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、獲得した資金は554百万円(前年同期は448百万円の収入)となりました。

これは主に、新株予約権の行使による株式の発行による収入591百万円に対し、長期借入金の返済による支出33百万円によるものであります。

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績

(仕入実績)

当連結会計年度の仕入実績は、次のとおりであります。なお、仕入実績はセグメントごとに把握することが困難であるため、取扱品目の合計額を記載しております。

 

品目別

当連結会計年度

(自 2023年2月1日

至 2024年1月31日)

仕入高(千円)

前年同期比(%)

婦人靴

504,281

△16.8

その他

3,784

△28.1

合計

508,065

△16.9

 

(注) 1.金額は、仕入価格によっております。

2.当連結会計年度における婦人靴の仕入実績の著しい変動は、事業規模の縮小によるものであります。

 

(販売実績)

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年2月1日

至 2024年1月31日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

婦人靴

 

 

小売事業

366,871

△47.1

EC事業

552,186

△8.5

その他事業

688

△92.3

合計

919,746

△34.0

 

(注) 1.金額は、販売価格によっております。

2.当連結会計年度における婦人靴の販売実績の著しい変動は、事業規模の縮小によるものであります。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(経営成績)
イ 売上高

当連結会計年度の売上高は919百万円(前年同期比34.0%減)となりました。セグメントごとに見ると、小売事業で366百万円(前年同期比47.1%減)、EC事業で552百万円(前年同期比8.5%減)、その他事業で0百万円(前年同期比92.3%減)となりました。なお卸売事業からは前連結会計年度において撤退しております。また、小売事業では、不採算店舗の撤退を継続して実施したこと、EC事業ではサイトへの訪問客数の減少や積極的な値引き施策が売上減少の主な要因となっております。

 

ロ 売上総利益

当連結会計年度の売上総利益は、売上高が前年同期比34%減少したこと、またシーズンの晩期や各種イベントにおいて積極的にセール価格での販売を行った結果、前連結会計年度より302百万円減少の531百万円(前年同期比36.3%減)となりました。

 

ハ 販売費及び一般管理費

販売費及び一般管理費は、前連結会計年度より364百万円減少し、1,105百万円(前年同期比24.8%減)となりました。減少の主な要因は、不採算店舗の退店等により人件費や地代家賃の固定費が減少したことによります。

 

ニ 営業利益

営業利益は、前連結会計年度より61百万円増加し、△573百万円(前年同期は△634百万円の営業損失)となりました。前述の通り売上総利益は減少したものの販売費及び一般管理費が減少したことによるものであります。

 

ホ 経常利益

経常利益は、前連結会計年度より93百万円増加し、△578百万円(前年同期は△671百万円の経常損失)となりました。増加の主な要因は、前述の営業利益の増加、助成金・補助金収入、受取給付金の減少および退店違約金の減少によるものであります。

 

ヘ 特別利益

  特別利益は、固定資産売却益3百万円を計上しました。

 

ト 特別損失

特別損失は、前連結会計年度より1百万円増加し、16百万円(前年同期比11.2%増)となりました。増加の主な要因は、減損損失が4百万円増加したこと、前連結会計年度に臨時休業による損失2百万円を計上したものの当連結会計年度は計上していないことによるものであります。

 

チ 親会社株主に帰属する当期純利益

以上の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度より101百万円増加し、△596百万円(前年同期は△697百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

 

(財政状態)

当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ50百万円減少し、596百万円となりました。

当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べ47百万円減少し、482百万円となりました。

当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ3百万円減少し、113百万円となりました。

主な増減内容については、『(1)経営成績等の状況の概要』に記載のとおりであります。

以上の結果、財務指標としては自己資本比率が前連結会計年度の16.4%から17.8%に改善しております。

 

(経営戦略の現状と見通し)

経営戦略の現状と見通しについては、『経営方針、経営環境及び対処すべき課題等』にて報告しております。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に新規事業に係るものであります。

当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

運転資金及び設備投資資金の調達につきましては、これまで金融機関からの長期借入を基本として行っておりましたが、2022年1月までの返済猶予をいただいていた経緯に鑑みると、金融機関からの借入を完済したものの、長期借入は現実的な選択肢ではありません。従って、当社グループは直接金融による資金調達方法を検討し、第三者割当による新株予約権発行が最も現実的であり最適であるとの判断から新株予約権の発行、行使による機動的で柔軟な資金調達を実行しております。

なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は215百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は310百万円となっております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。