文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
私たち積水ハウスグループは、企業理念として、根本哲学を「人間愛」、基本姿勢を「真実・信頼」、目標を「最高の品質と技術」、事業の意義を「人間性豊かな住まいと環境の創造」に据えています。
根本哲学である「人間愛」とは、「人間は夫々かけがえのない貴重な存在であると云う認識の下に、相手の幸せを願いその喜びを我が喜びとする奉仕の心を以て何事も誠実に実践する事」であり、積水ハウスグループは、この「人間愛」に根差し、「真実・信頼」を旨として、「最高の品質と技術」の提供を通して、「人間性豊かな住まいと環境の創造」という使命を担ってまいります。
このような企業理念のもと、1960年の創業以来、30年を一つの区切りとして、1990年までの第1フェーズでは、お客様の命や財産を守る「安全・安心」な住まいの提供に注力しました。続く2020年までの第2フェーズでは、住まい手にとって快適さと環境配慮を追求する住宅の提案を行い、新たな価値の創出を行ってきました。
現在は、2050年に向けた第3フェーズとして、2020年に発表した“「わが家」を世界一幸せな場所にする”というグローバルビジョンならびに、“ハード・ソフト・サービスを融合し幸せを提案”、“積水ハウステクノロジーを世界のデファクトスタンダードに”、“ESG経営のリーディングカンパニーに”という3つのサブビジョンを掲げ、住まい手の「幸せ」につながる「健康・つながり・学び」を追求し、人生100年時代への住まい手価値の創出と持続可能な社会の実現を目指し、「住」を基軸に、融合したハード・ソフト・サービスを提供するグローバル企業へと着実に変革を進めてまいります。
世界経済は、依然として高水準にある各国のインフレ継続と金融引き締め政策の動向、ならびに為替変動や地政学リスクが、エネルギーや原材料価格及び調達コストに与える影響に注視が必要な状況が継続するものとみられます。
国内の住宅市場では、資材価格や労務費の上昇を受けた建設費の高騰が需要を下押ししているものの、人生100年時代の到来やWith/Afterコロナ等によるライフスタイル・価値観の多様化、気候変動に伴う自然災害の激甚化、及び長期優良住宅の認定制度の見直しや建築物省エネ法の改正等を背景に、省エネルギー性能が高い住宅等、安全・安心と快適性・環境配慮を両立する高品質な住宅へのニーズが高まることが想定され、多様化する顧客のニーズへの対応が求められます。
また、アメリカの住宅市場では、高水準で推移する住宅ローン金利の影響により住宅着工は調整局面にあるものの、安定的な人口増と良質な住宅の供給不足を背景とした潜在的な需要は強く、物価と金利水準の安定化とともに回復することが想定される新築住宅需要の顕在化への対応が求められます。
当社は、このような事業上の課題認識に基づき、2050年を見据えたグローバルビジョン“「わが家」を世界一幸せな場所にする”の実現に向けて2023年3月に策定・公表した、「国内の“安定成長”と海外の“積極的成長”」を基本方針とする第6次中期経営計画(2023年度~2025年度)を推進していきます。
当社グループのコアコンピタンスである「技術力」「施工力」「顧客基盤」と、商品・技術開発から、営業・設計・施工・アフターサービスまで、住まいづくりに関わる全てのプロセスを当社グループが担う独自のバリューチェーンを活かし、既存事業の深化と拡張を図ります。
また、日本で培った積水ハウステクノロジーの移植による海外での事業展開や、社会・事業環境の変化への対応やデジタル技術の活用による新規事業の開拓と拡張を推進します。
国内においては、戸建住宅ブランドの強化を図るべく、3ブランド戦略※を深化させ、新たに「SI事業」に取り組み、1stレンジの強化を図ります。また、徹底したエリア戦略に基づく高付加価値「シャーメゾン」ブランドの向上とともに、CRE(法人)やPRE(公共団体)事業を強化させることで事業領域を拡張させ、国内事業の安定成長を図ります。また、第5次中期経営計画からサービスを開始した、新しいライフスタイルの基盤「健康」「つながり」「学び」を住宅にインストールする「プラットフォームハウス構想」の推進やIoTの活用など、新規事業の開拓を継続・推進するとともに、DXを活用したサービスやマネジメント業務を新たに取り入れ、積水ハウステクノロジーとして国際事業に活かすなど、新規事業の拡張を目指します。
2024年2月には、オープンイノベーションを通じた事業創造に取り組む新会社「積水ハウス イノベーション&コミュニケーション株式会社」を設立しました。未来を変革する事業創出を通じて人財価値を高めていくとともに、「住まいと暮らし」にまつわる社会課題の解決を目指していきます。
このように、第6次中期経営計画期間においては、「事業の探索と深化」の両利きの経営を実践しながら国内及び海外双方の成長戦略を遂行し、更なる企業価値の向上を図ります。
加えて、従業員のキャリア自律支援やベクトルの一致、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンの推進等の取り組みを通じ、当社グループの更なる人財価値の向上を図り、グローバル企業としての成長を加速させます。
財務面においては、資本効率を意識した成長投資の推進と財務健全性のバランスを保つことが重要という認識のもと、キャッシュリターン創出力の強化によるROE向上と、ESG経営推進の相乗効果により企業価値の向上を目指します。
成長投資は、国内外の不動産投資と、人財、IT・DX、研究開発、M&A等への成長基盤投資を積極的に実施します。引き続き、財務健全性及び信用格付けを意識した財務運営を行い、成長戦略と財務戦略の両立に取り組みます。株主還元については、中期的な平均配当性向を40%以上とし、株主還元の更なる安定性向上を図るべく第6次中期経営計画期間の一株当たり配当金の下限を年間110円(2022年度実績)とするとともに、機動的な自己株式取得の実施により株主価値向上を図ります。
※3ブランド戦略:価格帯で3つのレンジに分け、それぞれの価格帯・スペックに応じた戦略・施策を実行すること
■各ビジネスモデルの事業方針と戦略
上記の事業上及び財務上の課題に対応するため、事業戦略と組織の連動性を高め、資本効率の向上を図ることを目的として2023年度よりセグメント構成を見直し、以下のとおり事業戦略(注1)を策定しました。
(注)1 第6次中期経営計画の詳細は、当社ホームページにてご確認ください。
<中期経営計画>
https://www.sekisuihouse.co.jp/company/financial/plan/index.html
2 CRM:Customer Relationship Management。顧客から得られた情報を一元的に管理し、適時適切に活用することによって、顧客との良好な関係を構築・維持し、価値創出と収益向上を目指すマネジメントの仕組み・手法。
3 CRE・PRE事業:Corporate Real Estate(企業不動産)、Public Real Estate(公的不動産)を指し、法人・企業・公共団体・行政機関の保有する不動産の有効活用を提案する事業。
なお、当社は、グローバルビジョンの実現のため、国際事業においても、日本で培った住宅建築技術とライフスタイル提案による高付加価値の提供等といった積水ハウステクノロジーの普及を進めるべく、米国事業統括会社 Sekisui House US Holdings, LLCの子会社SH Residential Holdings, LLCを通じて、米国において戸建住宅事業を行うM.D.C. Holdings, Inc.(本社:米国コロラド州、以下「MDC社」)の株式の全てを取得すること(以下「本買収」)を決定し、MDC社との間で本買収に関する合併契約を2024年1月18日(米国デンバー時間2024年1月17日)付で締結しました。本買収の実行にあたり、金融機関からの借入金によるブリッジファイナンス等にて調達する買収資金も含め、有利子負債が増加することから、第6次中期経営計画において目標として定めた財務指標を一時的に下回ることが見込まれます。今後、当社は、ブリッジファイナンスのパーマネント化に向け、当社株主への影響や財務健全性を意識し、当社経営・財務状況、市場動向などを勘案しながら、最適な資金調達手段を検討してまいります。
①第6次中期経営計画策定時における3ヵ年業績目標(2023年3月9日公表)
(単位:億円)
※目安とする財務健全性指標
当社は、国内格付機関からAA格・海外格付機関からA格の長期信用格付けを確保すべくD/Eレシオ0.5倍程度、債務償還年数(Net Debt/EBITDA 倍率)1.5年を下回る水準を目途とし、積極的な成長投資と財務健全性のバランス保持に努めます。
(注)MDC社の買収により、財務健全性指標は上記目安を一時的に下回る見込みです。
②2024年1月期実績及び2025年1月期の業績目標(2024年3月7日公表)
(単位:億円)
(注)2025年1月期の業績目標の策定に当たっては、MDC社の買収が当社の連結業績に与える影響を考慮していません。
※2024年1月期におけるD/Eレシオ及び債務償還年数(Net Debt/EBITDA 倍率)の実績は、以下のとおりです。
D/Eレシオ:0.44倍
債務償還年数(Net Debt/EBITDA 倍率):1.57年
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
<サステナビリティの基本方針>
当社グループは、“ESG経営のリーディングカンパニー”として、社会に求められ続ける存在になるためには、「あらゆるステークホルダーに対し、幸せを価値として提供すること」を自ら考え、行動することが重要だと考えています。2022年には、当社グループが果たすべき使命を明確にするため、持続可能な未来に向けたマテリアリティの見直しを行いました。1960年代、高度経済成長期の住宅の確保と、住まいの基本性能の確立に貢献した当社グループは、以来一心に住まいの「安全・安心」「快適性・環境配慮」を追求し、技術の進化を図ってきました。こうした私たちの取組み自体がマテリアリティそのものであると認識し、人生100年時代を迎えたこれからは、住まいを通じた「幸せ」を実現する上で、「良質な住宅ストックの形成」「持続可能な社会の実現」「ダイバーシティ&インクルージョン」という3つを、経営の重要課題に位置づけました。これらのマテリアリティを軸に、「住まいを通じて環境課題の解決に貢献」「従業員の自律を成長ドライバーにする」「イノベーション&コミュニケーション」を基本方針とし、ESGを「自分事」として捉え、自ら考え行動できる人財を育成するため、当社グループらしい「全従業員参画型ESG経営」を推進していきます。
(1) サステナビリティ共通の取組み
①ガバナンス
当社グループは、取締役会の諮問機関として、専門的な知見、能力を有する少なくとも2名の社外委員を含むESG推進委員会を設置し、ESG経営の取組みの進捗と課題等についての意見交換を通じて実効性を高めています。
ESG推進委員会は3ヵ月に1回のペースで開催し、内容は取締役会に報告され、審議することとしています。
ESG推進委員会では、その推進を担う3つの部会、「環境事業部会」「社会性向上部会」「ガバナンス部会」を設置、ESG3部会長には、それぞれ職責者を任命し、目標・KPIを設定しています。
この3部会は、各部門・国内外のグループ会社と連携しながら、ESG経営の旗振り役として先導していくとともに、実効性ある取組みを行います。また、取組みの進捗報告と普及に向けた課題・改善提案のフィードバックを通じて、全従業員の理解・浸透を図ります。
またESG経営推進本部においては、ESG経営に関する基本方針の企画・立案及び推進に関する事項を掌理し、取組みの推進、情報の収集・分析、社内外への情報発信、ESG推進委員会の運営を通じて、ESG経営のさらなる推進を図っています。
当社グループは、「全従業員参画」「先進的な取組み」「社外評価向上」をESG経営推進の3要素として位置づけました。特に、最大のポイントとなる「全従業員参画」では、ESG経営の基盤づくりを実践する基本的な活動を「ESGベーシック」として従来の対話や研修を体系化するなど、全従業員が認知・理解・共感しESGを「自分事」として行動につなげるためのプラットフォームを構築しました。
・ 環境事業部会
グループ全体を対象とした事業活動全体の脱炭素化、生物多様性保全や資源循環に関する環境マネジメントシステムを計画・実行するとともに、環境関連情報を把握し、社内外のステークホルダーの環境意識向上・環境負荷低減に向けた認知向上を目的に年に一度のレポートにて開示しています。
グローバルビジョン“「わが家」を世界一幸せな場所にする ”ためには環境への取組みが必要不可欠との考えのもと、これからも先進的な取組みで環境負荷と事業リスクの低減、及び事業機会の創出に努めていきます。
・ 社会性向上部会
人財価値と社会価値の向上により企業価値を高めていくことを目指し、人的資本経営の実践及び社会課題の解決を推進しています。人財価値は、従業員の自律とベクトルの一致の掛け算という考えのもと、従業員にとっての「わが家」である会社と一人ひとりの幸せを実現する施策の計画・実行に努めます。社会価値は、子ども・環境・人権・地方創生を軸に、社会の幸せづくりに寄与する事業・活動を実現します。各施策の方針と推進体制・進捗を包括的にモニタリングし、お客様・社会・従業員の「幸せ」を最大化していきます。
・ ガバナンス部会
グループガバナンスの強化に向けて、本社コーポレート部門と国内外のグループ会社各社とのコミュニケーション活性化が重要と考え、情報連携に努めています。
国内外グループ会社におけるコーポレート機能の強化、ガバナンス人財の育成・適正配置、コンプライアンス意識向上などの現状把握、改善に関する議論などを通じて、事業マネジメントレベルでのガバナンス強化に取り組んでいます。
②戦略
当社グループは、外部環境の変化に伴うリスク・機会を分析し、ステークホルダーである、お客様・社会・従業員それぞれの幸せを実現するため提供できる価値とは何か考え、「良質な住宅ストックの形成」、「持続可能な社会の実現」、「ダイバーシティ&インクルージョン」という3つのマテリアリティを軸に、第6次中期経営計画において、それぞれKPIを設定しサステナビリティの取組みを推進しています。
<マテリアリティごとの取組み>
③リスク管理
当社グループは、サステナビリティを軸に、価値創造に影響をもたらす中長期の課題を分析し、リスク要因を洗い出すとともに、リスクを将来の事業創出の機会と位置付け、中長期の事業戦略立案に繋げています。ESG経営の取組みの進捗と課題については、取締役会の諮問機関であるESG推進委員会において検討した後に、取締役会に報告する体制としています。また、取締役会はESG推進委員会からの報告を受け、当社グループのサステナビリティに関する対応等についての審議・監督を行うこととしています。
サステナビリティの各アジェンダに関するリスク管理の詳細については、「(2)気候変動関連等に対する取組み、(3)人的資本に関する取組み、(4)人権尊重に関する取組み」をご参照ください。
なお、これら以外のリスク管理については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。
④指標及び目標
当社グループは、第6次中期経営計画においてマテリアリティの取組みに向けたテーマごとのKPIを設定しています。そのうち、業績連動型株式報酬(PSU)に係るESG経営指標も含めた主なKPIは下記の通りです。その他のKPIについては、2023年6月発行のValue Report 2023をご参照ください。なお、Value Report 2024の発行は2024年7月を予定しています。
(注)1 集計対象会社は、当社。当社が当年度に契約した戸建住宅において、国が定めた長期優良住宅認定制度の基準をクリアし、行政の認定を受けた棟数の割合を表した指標。集計対象期間は2023年4月1日~2024年3月31日。
2 集計対象会社は、積水ハウス不動産グループ各社。賃貸住宅において、間取りの変更を伴い、資産価値の向上が見込める内装・設備リノベーション工事の契約戸数を表した指標。
3 集計対象会社は、当社。当社が当年度に建築した戸建住宅(北海道の請負・分譲住宅は除く) に占めるZEH(net Zero Energy Houseの略称) の割合を表した指標。集計対象期間は2023年4月1日~2024年3月31日。
4 集計対象会社は、当社。当年度に契約した賃貸住宅「シャーメゾン」に占めるZEH 戸数(ZEH Ready基準以上かつ入居者売電物件)の割合を表した指標。
5 集計対象会社は、当社グループ。当社グループの事業活動全体で直接的に排出するCO2(スコープ1)と、調達電力など間接的に 排出するCO2(スコープ2)を2013年度比で表した指標。
6 集計対象会社は、2023年度は、当社、積水ハウス不動産グループ各社、積水ハウス建設グループ各社、積水ハウス ノイエ㈱、積水ハウスリフォーム㈱ 、㈱鴻池組とその国内連結子会社、2024年度、2025年度は、当社及び国内連結子会社。
7 集計対象会社は、当社、積水ハウス不動産グループ各社、積水ハウス建設グループ各社、積水ハウス ノイエ㈱、積水ハウスリフォーム㈱。「積水ハウスグループ 女性活躍推進行動計画」で掲げた「当社グループ全体の男性育児休業取得率」で、3歳未満の子を持つ男性従業員が、1ヵ月以上の育児休業を取得した割合を表した指標。
8 集計対象会社は、当社、積水ハウス不動産グループ各社、積水ハウスリフォーム㈱。働き方改革関連法に基づき義務化された年5日取得の促進及び総労働時間削減への取組みを推進するため、当社グループ従業員の年次有給休暇の取得率を表した指標。集計対象期間は2023年3月11日~2024年3月10日。
(2) 気候変動関連等に対する取組み
①ガバナンス
当社グループでは、気候変動対応はESG推進委員会の重要議題の一つとして位置づけており、活動方針の妥当性や進捗状況の評価を行うとともに、重要事案については取締役会に報告しています。
ESG推進委員会の傘下に、環境経営に関わる本社部門の職責部長及び各事業部門の環境責任者を中心とした全社横断の「環境事業部会」を設置し、適時に開催しており、より具体的で詳細な検討を行っています。
また、ESG推進委員会の決定事項は環境事業部会を通じて、関連会社を含む全グループに展開し浸透させています。
ESG推進委員会を通じた経営層の監視の実効性確保のために、取組みの推進は、各業務の担当取締役や経営層への日常的な報告と指示を経て進めており、これによってタイムリーな監視・監督機能を確保しています。
②戦略
当社グループは目指すべき事業全般の脱炭素化への歩みを着実に進めるために、今後起こり得る様々な事態を想定し、戦略の妥当性や課題を把握すべく、事業活動及び資源の固有の状況や、物理的リスクについて想定される事業活動・期間・資産の耐用年数などを考慮したシナリオ分析を行っています。
また、移行リスクについて法制化、技術開発、市況に係る潜在的なシナリオに基づき評価し、事業活動に与える気候関連のリスク(物理的リスク及び移行リスク)と機会を抽出し、対応しています。
2021年度には、カーボンニュートラル達成に向けた日本の新たな温室効果ガス排出量削減目標として2030年までに2013年比46%削減が設定され、これに基づき住宅産業に関わる中長期にわたる様々な方向性も示されました。
そのため、全事業を対象としてあらためて大規模なシナリオ分析を実施し、戦略の見直しを行っています。
シナリオ分析により特定した、財務影響が大であると想定された主要なリスク・機会と対応を示します。
<シナリオ分析の前提>
(注) IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change):気候変動に関する政府間パネル
SSP(Shared Socioeconomic Pathways):共通社会経済経路
なお、財務影響と想定期間については以下のとおり定義します。
財務影響 大:200億円以上、中:100億円以上、小:100億円未満
想定期間 短期:現在より3年まで、中期:2030年まで、長期:2050年まで
<主な移行リスク/物理的リスク>
<主な機会>
③リスク管理
当社グループでは、グループ全体のリスクマネジメントプロセスの一環として、気候変動関連リスク及び機会を判断するための評価をTCFDの提言に基づき実施しています。リスクと機会の抽出は、グループ全体を対象に各事業の主管部署を中心に行い、その結果は環境事業部会で集約し、財務影響評価を行っています。このプロセスに基づき特定した主要なリスクと機会については、取締役会の諮問機関であるESG推進委員会において検討した後に、取締役会に報告し、必要に応じてリスクの緩和・移動・受容・コントロールについて検討します。さらに、この結果はリスク管理委員会にも共有し、グループ全体のリスク管理体制の中で検討・管理しています。
④指標及び目標
当社グループでは、2008年に、2050年までに住まいからのCO2排出ゼロを目指す「2050年ビジョン」を宣言し、事業活動全体において、再生可能エネルギーの利用も含めてCO2排出収支ゼロを目指し、既に様々な取組みを開始しています。
この目標達成へのマイルストーンとして、2030年までに企業が自社で直接排出するスコープ1(直接排出量:自社の工場・オフィス・車両などによる燃料消費)とスコープ2(間接排出量:購入した電力など自社で消費したエネルギー)、及びスコープ3カテゴリ11(販売した製品の使用)におけるCO2をそれぞれ2013年度比で75%、55%削減することを目指し、SBTより1.5℃に整合する目標として認定を受けています。スコープ1、2については、2020年度で2030年を目標としていた50%削減を既に達成したため、より野心的な目標に上方修正したものです。
GHG排出量に関する実績(スコープ1、2)(t-CO2e)
GHG排出量に関する実績(スコープ3カテゴリ11)(t-CO2e)(注)
(注) 販売した製品の使用に伴う(供給した住宅及び非住宅建築物の使用段階における)排出量。年間に供給した全ての住宅および非住宅建築物の使用時のエネルギー消費に基づくCO2排出量を算出。供用年数は60年を想定。住宅(国内)については、ZEH(*1) 計算等で使用する「建築物エネルギー消費性能の向上に関する法律」に準拠したエネルギー消費性能計算プログラムを用い算出された一次エネルギー消費量を CO2 排出量に換算し算出。CO2排出係数は「地球温暖化対策の推進に関する法律」の値を採用(*2)。非住宅建築物(国内)については、床面積に用途別の床面積当たりのエネルギー消費量を乗じる方法または前述のプログラムを用いて住宅と同様の方法で算出した一次エネルギー消費量をCO2排出量に換算し算出。用途別の床面積当たりのエネルギー消費量およびエネルギー種別一次エネルギー構成比率は「CASBEE-建築(新築)2021年SDGs対応版」(一般財団法人 住宅・建築 SDGs推進センター)の値を採用。住宅(米国)については、エネルギー省(DOE)(*3)が公開する住宅のエネルギー消費量シミュレーション結果をCO2排出量に換算し算出。CO2排出係数は環境保護庁(EPA)(*4)が公開する値を採用。住宅(豪州)についてはエネルギー規制当局(AER)(*5)が公開する、住宅のエネルギー消費に関するデータをCO2 排出量に換算し算出。CO2排出係数は、気候変動・エネルギー・環境・水資源省(DCCEEW)(*6)の公開する値を採用。
*1 外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギー等を導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅。
*2 電力排出係数については「電気事業者別排出係数(特定排出者の温室効果ガス排出量算定用)R4 年度実績」(R5.12.22 環境省・経済産業省公表)の全国平均係数を使用。都市ガスの排出係数については「算定方法及び排出係数一覧(平成 21 年度実績以降の排出係数算定用)」を使用。
*3 United States Department of Energy:アメリカ合衆国エネルギー省
*4 Environmental Protection Agency:米国環境保護庁
*5 Australian Energy Regulator:オーストラリアエネルギー規制当局
*6 Department of Climate Change, Energy, the Environment and Water:気候変動・エネルギー・環境・水資源省
※ 当社グループでは、2023年6月に発行したValue Report 2023において、詳細なTCFD提言に沿った情報開示を行っています。当社WEBサイトをご参照ください。
Value Report
https://www.sekisuihouse.co.jp/company/financial/library/annual/
Value Report 2024を2024年7月に発行する予定であり、本誌でより詳細なTCFD提言に沿った情報開示を行います。また、上記表のスコープ1、2及び3カテゴリ11 のGHG排出量については有価証券報告書作成時点での暫定値であり、確定値、並びに算定基準、スコープ3の他のカテゴリにかかるGHG排出量等はValue Report 2024にて開示する予定です。
なお、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)提言に沿った情報開示については、当社の重要事業である住宅事業について、自然関連の影響・依存とリスク・機会の評価を進めています。
2022年度には、住宅事業(戸建住宅・賃貸住宅)について、一般統計データに基づく各原料の主要原産国を対象として、自然資本に対する潜在的な影響と依存の分析を実施しました。
2023年度は、それを踏まえたリスク・機会の優先度評価を試みました。さらに、当社事業における重要な原料の一つである木材については、調達地域の自然関連の影響・依存の定量分析を行い、当社の調達が自然へ大きく影響を及ぼしている可能性がある地域と、生態系サービスのリスクが懸念される地域を特定しました。
詳細は、7月発行予定のValue Report2024に掲載、開示します。
(3) 人的資本に関する取組み
①ガバナンス
人的資本の施策に関する重要事項については、内容に応じて取締役会の諮問機関である「人事・報酬諮問委員会」、「ESG推進委員会」または「リスク管理委員会」での討議を経て、経営会議または取締役会で付議・報告され全社施策として実行・運営されます。人財戦略の推進にあたっては、人事総務部、人財開発部、ダイバーシティ推進部などといった当社関係部署が、施策の実施及びKPI進捗管理を行っており、ESG推進委員会の傘下にある社会性向上部会にて意見交換の上、部署間の連携を図っています。また、当社はグループ各社の課題及びKPIの進捗について、前述の関係部署が報告を受ける体制を構築しており、グループ全体を包括的に管理しています。
②戦略
人財開発基本方針・社内環境整備方針展開にあたっての基本的考え方
従業員が自律するためには、従業員が当社グループという資源を利用しながら、一人ひとりが主体的に行動し、継続的にキャリア開発に取り組むことが重要です。自律的なキャリア形成を促すため、従業員と企業がともに持続可能な成長を実践できる環境や仕組みづくりを進めます。あわせて、年齢、性別、国籍、障がいの有無などを問わず、誰もが自分らしく働き、その能力を最大限に発揮できる環境や制度づくりを推進するとともに、多様な働き方ができる柔軟性の高い勤務制度の導入・運用を積極的に進めています。また、インテグリティの高いリーダーを計画的に育成するとともに、事業戦略に必要な人財確保や適正配置に努めます。
人財開発基本方針
グローバルビジョン“「わが家」を世界一幸せな場所にする”の実現に向け「人財価値を最大化し、知と経験のD&Iで事業成長を牽引する」を方針とし、人財開発に関する取組みを推進していきます。
社内環境整備方針
グローバルビジョン実現に向け、その原動力である従業員が集う積水ハウスが世界一幸せな会社であることが重要と考えます。「誰もが働くことに、やりがいや幸せを感じられる会社」を目指し、従業員のキャリア自律支援、DE&Iの推進、多様な働き方の推進、幸せの基盤づくりなどの重要施策推進を支える環境整備を行います。
第6次中期経営計画(2023年度~2025年度) 人財戦略
人財価値の向上は、企業の成長のドライバーです。
当社はその価値を「人財価値向上=従業員の自律(注1) × ベクトルの一致(注2)」と表現し、以下の図の通り、人財戦略の重点テーマを整理しています。
1.キャリア自律支援、2.DE&Iの推進、3.多様な働き方の推進、4.幸せの基盤づくり、これら4つのテーマに基づく、制度改革や組織風土づくり、取組み推進などを戦略的に遂行しながら従業員の自律を支援・促進していきます。さらに、これらによって創出された自律した従業員が積水ハウスグループの目指す方向性に共感し、自ら行動するために、企業理念と戦略を浸透させるリーダー育成、戦略に応じた人員確保と適正配置を実施していきます。
「人財価値向上=従業員の自律 × ベクトルの一致」については、乗算であることが重要であり、「従業員の自律」及び「ベクトルの一致」のいずれも高い水準を目指すことで人財価値がますます向上し、社会への価値提供が大きくなります。当社が成し遂げたいことは、社会への提供価値の最大化であり、これを支える人財への投資を着実に行っていきます。
(注)1 従業員の自律:従業員一人ひとりが考え、主体的に行動すること。
2 ベクトルの一致:会社のビジョンや戦略が従業員に浸透し、理解されている状態であること。
[従業員の自律に関する取組み]
1.キャリア自律支援
「イノベーション&コミュニケーション」を合言葉に、従業員間でアイデアを出し合い、活発なコミュニケーションを通じて新たなイノベーションを生み出すという創発型企業文化の醸成や、従業員が主体性を発揮する機会をつくることを通じて、一人ひとりのキャリア自律を支援しています。2003年に開始したキャリア自律意識を醸成する各種研修については累計18,962名が受講(2023年度末実績)し、自律的なキャリア形成への意欲を高めています。また、マネージャー職の責任範囲、職務内容、必要な知識・スキルを定めた職務記述書の従業員への公開の他、業務上必要な主要資格の取得支援も行っています。さらに、2022年からは人財公募制度も再スタートし、グループ会社を含む多くの従業員が新たなキャリア機会にチャレンジしています。2021年から開始した創発型表彰制度「SHIP」では、2023年には昨年対比107%となる2,329件(昨年2,176件)のアイデア応募があり、組織の壁を越え、自ら提案したアイデアを具現化するプロセスをメンバーと楽しみ、数々の新たな価値を生み出しています。
2.DE&Iの推進
i)女性活躍支援
当社グループの使命は「幸せづくりのパートナー」として、お客様や社会に新たな価値を提供し続けることであり、多様な価値観や感性・視点が求められる住まいづくりにおいて、あらゆる分野での女性の活躍は不可欠であると考えます。このことから、女性活躍支援を経営課題として認識し、2006年に経営企画部に女性活躍推進グループ(現在のダイバーシティ推進部)を設置し、以下の採用、定着、育成における活躍支援施策を継続して実施しています。
定着へ向けた取組みとして、女性営業職には2007年から「全国女性営業交流会」を実施し、女性営業同士のネットワークを構築しています。3年目以下の離職率の高さが課題であったため、現場での育成はもちろん、3年目以下の女性営業全員とダイバーシティ推進部が面談を実施し、課題の早期発見や改善に努めるなど一人ひとりに寄り添ったサポートを展開しています。女性現場監督職には2014年から「全国女性現場監督交流会」を毎年開催、2015年からは「女性現場監督サポートプログラム」も実施し、職域の拡大を推進、在籍率30%を超える女性設計職においては専門性の強化と選抜研修による効果的な育成を実施しています。
当社グループでは女性活躍推進法に基づく行動計画(2021年に策定)にて、2025年度までに女性管理職を310人以上(注3)登用することを目標とし、女性管理職候補人財の育成にも注力してきました。2014年から、管理職候補者研修「積水ハウス ウィメンズ カレッジ」を開講。毎年、手挙げまたは上司推薦を経て決定した20人の受講者に、約2年間OJT及び組織課題解決の実践プログラムを提供し、納得性のある育成・登用へとつなげています。開講当初から、代表取締役が自ら受講生との直接対話の機会を持ち、2018年からは、社外女性取締役も参加して受講生に直接エールを送り、女性管理職育成の大きな後押しとなっています。
女性従業員の採用、定着、育成を進めてきた結果、現在では当社の女性採用率は、営業職30%、技術職40%以上を目標としており、2023年度実績では営業職27.7%、技術職38.4%となっています。また、グループ全体の女性正社員比率は29.4%となり、建設業界平均(注4)の約2倍の比率の女性正社員が活躍しています。「積水ハウス ウィメンズ カレッジ」修了生156人のうち、98人が管理職となり、グループ全体の女性管理職数は342人まで増加しています(2024年1月31日現在)。
現在実行している女性活躍推進諸施策の継続の結果、女性正社員、女性管理職候補数が増加しつつあり、従業員の男女賃金格差縮小に向けて、今後も様々な取組みを強力に推進していきます。
(注)3 310人以上は計画策定時の目標。提出日現在の目標は380人以上。
4 出典:「令和4年度雇用均等基本調査 付属統計表 企業調査 第1表 男女及び職種別正社員・正職員割合」(厚生労働省)
ii) グローバル人財の活躍推進
国籍を問わない人財採用と能力適性を考慮した登用を進めています。海外子会社においては、人員体制強化の観点から、現地採用を積極的に行い、優秀な現地採用者の重要ポストへの登用を進めています。
iii) 障がい者の活躍支援
2024年1月末時点での障がい者雇用率は、当社で3.00%、国内連結会社のうち障がい者法定雇用義務のある28社(当社を含む)で2.97%です。現法定雇用率2.50%を上回る状況ですが、今後も「当社は各本部単位で法定雇用率達成」「グループは各社で法定雇用数の達成」を目標に、積極的に雇用を促進します。
定着の取組みとして、障がいのある従業員とその上司が参加し、所属部署を超えたネットワークを構築し、職場環境改善を図ることを目的として、2015年から毎年「ダイバーシティ交流会」を実施しています。また、2024年4月の改正障害者差別解消法施行に備え、障がいのある従業員10名も参画する計32名のワーキンググループを立ち上げ、接客現場の対応指針「積水ハウスUD(ユニバーサルデザイン)サービスハンドブック」と、住宅展示場をはじめとするお客様向け施設や職場の設計基準「社内施設設計UD指針」を2023年7月に完成させました。当該指針の浸透を図るため、幹部研修、グループ接客担当者に向けたe-ラーニング、WEB研修を実施のうえ、戸建事業部門の全施設でお客様対応の実習を行いました。併せて、グループ全従業員が各部場所単位で参加するヒューマンリレーション研修では、「障がいのある人もない人も共に生きる社会」をメインテーマとして取り上げ、お客様対応や従業員の職場環境に関する理解を深めています。
iv)LGBTQの理解促進
社内のLGBTQ理解促進を図るため、2014 年から毎年、ヒューマンリレーション研修にLGBTQのテーマを設け、学習やディスカッションを継続しています。セミナーやイベントも定期的に開催し、理解者・支援者である社内のアライが増えています。またアライ主導で、社会の理解促進を促す発信も継続し、PRIDE指標において、6年連続でゴールドの認定を受けました。また、「レインボー認定」も2年連続受賞しています。誰もが自分らしく安心して暮らせる社会の実現を目指しています。
3.多様な働き方の推進
従業員一人ひとりが働く場所や時間にとらわれず、柔軟かつ自律的に働きながら自分の個性や能力を最大限に活かすため、多様な働き方を推進しています。多様な働き方を推進するためには、まず、信頼関係に基づく安心安全な風土が職場に必要であり、全ての従業員が役職や雇用形態にかかわらず、少人数のグループで対話する機会を設け、心理的安全性の高い職場風土醸成に取り組んでいます。これらの取組みについては、当社が行う幸せ度調査の「職場の幸せ力」のスコアによりモニタリングをしています。
また、従業員が育児や介護、治療などによるキャリアロスなく安心して働けるよう、働く場所にとらわれないテレワーク制度や働く時間帯にとらわれないスライド勤務制度(時差通勤制度)などに代表される、両立を支援する制度の整備や情報提供も行っています。
4.幸せの基盤づくり
従業員の幸せの源泉は健康の維持・増進であると位置づけ、「幸せ健康経営」に取り組んでいます。具体的には、ESG推進委員会に設置された社会性向上部会における幸せ健康プロジェクト(2021年6月発足)が中心となり、健康保険組合、外部アドバイザーなどと連携して、課題の抽出、全社方針の策定、具体施策の立案、全従業員への周知・浸透を図っています。AIによる健康診断結果活用サービスや幸せ度調査を活用するなど、「幸せ健康経営」に取り組んだ結果、健康経営優良法人(ホワイト500)に4年連続(2020年~2023年)認定されています。
i)家族の幸せ支援
従業員と家族の幸せのため、2018年より「男性従業員1ヵ月以上の育児休業完全取得」(注5)を推進しています。社内全体の意識改革、制度整備、家族や職場とのコミュニケーションツールの開発などを行った結果、2019年2月の本格運用開始以降、期限を迎えた対象者全員(2024年1月末2,618人)が1ヵ月以上の育休取得を完了(2021年4月以降はグループ会社も全員取得)し、育休取得者の配偶者満足度は96.8%と高く、家族の幸せづくりに貢献しています。社外に向けても「日本でも男性の育児休業取得が当たり前になる社会」を目指し、2019年より積極的に情報発信を行っています。2023年には119の賛同企業・団体様と共に発信し、男性育休取得促進の気運醸成に寄与しました。
(注)5 3歳未満の子を持つ男性従業員が、1ヵ月以上の育児休業を取得すること
ii)健康づくり支援
当社グループでは、従業員の健康の維持・増進に向けた取組みを重要な経営課題とし、「幸せ健康経営」と名付けています。取締役会傘下のESG推進委員会で承認された年度目標や計画に基づいて取組みを進めています。幸せ健康プロジェクトが、健康保険組合、外部アドバイザーなどと連携して、課題の抽出、全社方針の策定、具体施策の立案をおこない、各事業所と連携しながら全従業員への周知・浸透を図っています。
AIによる健康診断結果活用サービスや従業員の課題別セミナー実施など「幸せ健康経営」に取り組んだ結果、健康経営優良法人(ホワイト500)に4年連続(2020年~2023年)認定されています。
iii)幸せ度調査の継続
従業員一人ひとりの幸せの実現のために、2020年11月から、全従業員を対象とした「幸せ度調査」を実施し2023年11月で4回目を完了しました。幸福経営学の第一人者である慶應義塾大学大学院の前野隆司教授の監修により、日本企業で初めて従業員と職場の幸せを多面的に計測、相関性を分析し、幸せを「見える化」しました。この調査結果を振り返り、職場での幸せ対話などの具体策につなげています。
[ベクトルの一致に関する取組み]
・企業理念と戦略を浸透するリーダーの育成
当社グループとしてお客様と社会に幸せを届けるためには、自律した従業員に企業理念と事業戦略を浸透させ、組織力を生み出すリーダーの存在が不可欠であり、そのようなリーダーを計画的に育成することが企業の持続可能な成長には必要です。
組織成果創出力・人財育成力・組織活性化力などの強化のためのマネジメント対象の階層別研修を実施しています。また、支店長・本社部長・工場長などの組織リーダー候補の選抜と育成を目的に2018年から実施している経営塾、2019年にスタートした若手(35歳以下)リーダー候補者を育成する「SHINE! Challenge Program」によって、次世代のビジネスリーダーを計画的に生み出す土壌づくりを継続的に実施しています。2021年からは執行役員、業務役員及びキーポジションの後継者候補を挙げ、全社的かつ多様な視点で透明度の高い議論を行うサクセッションプラン会議を開始しました。候補者全員の個別育成計画を立案し、定期的な進捗確認により、リーダーパイプラインのさらなる充実に努め、後継者候補準備率(注6)をモニタリングしています。また、グループリーダー以上の全マネージャー職を対象に多面観察を実施しています。フィードバックされた結果を基に、マネジメント行動の変革に向けたアクションプランを作成し、定期的なコーチングによる内省を通じてマネジメント力の向上に取り組んでいます。
(注)6 後継者候補準備率:(後継者プールにいる人数÷リーダーのポジション数)×100
・戦略に応じた人財の確保と適正配置
既存事業の深化と新規事業への挑戦を担う人財確保に努めるとともに、各ビジネスユニットの事業戦略に基づく人財ニーズを把握し、適正配置を実現すべく、持続的成長に必要な人財の採用・育成を計画的に進めています。なかでも、多様性と専門性を強化する方針の下、採用全体に占めるキャリア採用に力を入れ、着実にその数を増やしています。また、リファラル採用をはじめとする多様な手法や媒体を活用しています。2023年度実績は628名を採用し、採用者全体に占めるキャリア採用者の割合は44.0%です(注7)。入社直後からの活躍を支援するオンボーディングプログラムを拡充し早期の活躍を支援しています。
(注)7 集計対象会社は当社、積水ハウス不動産グループ各社、積水ハウス建設グループ各社、
積水ハウス ノイエ㈱、積水ハウスリフォーム㈱。
③リスク管理
人的資本に関するリスクと機会については、人財開発部や人事総務部、ダイバーシティ推進部といった当社関係部署においてリスクと機会の分析、対応策などを検討しており、ESG 推進委員会の傘下にある社会性向上部会にて意見交換の上、部署間の連携を図っています。このプロセスに基づき特定した主要なリスクと機会については、取締役会の諮問機関である ESG 推進委員会において検討した後に、取締役会に報告し、中長期の戦略立案に繋げています。また、当社はグループ内各社が作成したリスクマップをモニタリングし、人財確保に関する事項などの重要事項についてはリスク管理委員会にも報告の上、グループ全体のリスク管理体制の中で検討・管理しています。
当社グループの持続的成長を実現するためには、既存事業の深化と新規事業への挑戦を担う優秀な人財を国内外で獲得し、雇用を維持していく必要があります。採用競争力が低下した場合や、離職による人財流出が深刻化した場合には、成長力が鈍化し、社会的評価が低下する可能性があります。事業戦略に必要な人財を要員計画策定により明確にし、採用ブランディングの強化、採用活動における募集経路・選考手法の多様化を積極的に進め、年齢、性別、国籍、障がいの有無などによらない人財採用を行っています。
④指標及び目標
人財価値向上を加速させるため、各重点テーマに対し以下の目標を設定して取り組んでいます。
(注)1 集計対象会社は当社。
2 集計対象会社は当社、国内連結子会社。
3 「一級建築士」「1級建築施工管理技士」「FP2級」「宅地建物取引士」を含む業務上必要な11の資格。
4 集計対象会社は、当社、積水ハウス不動産グループ各社、積水ハウス建設グループ各社、
積水ハウス ノイエ㈱、積水ハウスリフォーム㈱ 、㈱鴻池組とその国内連結子会社。
5 2024年度目標は、当社及び国内連結子会社。
6 集計対象会社は、当社、積水ハウス不動産グループ各社、積水ハウス建設グループ各社、
積水ハウス ノイエ㈱、積水ハウスリフォーム㈱。
7 集計対象会社は、当社及び国内連結子会社のうち、障がい者法定雇用義務のある28社。
8 集計対象会社は当社、国内連結子会社(㈱鴻池組とその国内連結子会社を除く)。多様な幸せを多面的に測って数値化している「幸福度診断 Well-BeingCircle」における、安心安全な風土、信頼関係のある職場の雰囲気、チャレンジを推奨する雰囲気及び職場オススメ度の平均値。
9 実績値のみ公開しています。
10 配偶者アンケートで「良かった」・「まあ良かった」の回答者がアンケート全回答者に占める割合。
11 集計対象会社は当社、国内連結子会社(㈱鴻池組とその国内子会社を除く)。「幸福度診断Well-Being Circle」の34項目の平均値。
12 集計対象会社は当社グループ。
(4) 人権尊重に関する取組み
①ガバナンス
当社グループの企業理念の根本哲学は「人間愛」であり、人を大切にする考え方は企業経営の基盤にあります。
その考え方に基づき、人権デュー・ディリジェンス(以下、「人権DD」)推進体制を整えています。当社の取締役会は、人権方針の遵守及びその取組みについて、諮問機関である「リスク管理委員会」(委員長:代表取締役副社長執行役員 田中 聡)から定期的に報告を受けて、監督しています。
当社グループの人権課題については、ESG経営推進体制における社会性向上部会で、重点課題と方針を決定しています。社会性向上部会に「人権DDミーティング」を設置し、複数の関係部署間で情報共有と連携を進めています。
②戦略
当社グループは、2020年4月に「積水ハウスグループ人権方針」(以下、「人権方針」)を策定し、公表しました。ヒューマンリレーション研修等を通じて国際規範に基づく人権に対する考え方及び取組みについて発信し、全従業員に繰り返し周知しています。また、人権方針に基づき、人権DDのプロセスを事業活動に組み込み、PDCAサイクルにより、取組みを推進しています。
当社グループの事業に関わる人権リスクの評価の見直しは、人権DDミーティングで行っています。
下記のマップの中で赤いポイントが特定した重点課題です。
特定した重点課題:1.職場のハラスメント
2.施工現場の安全衛生
3.サプライチェーン上の労働課題
4.施工現場の外国人就労
特定した重点課題に対応するため、当社グループは以下の取組みを推進しています。
1.職場のハラスメント
職場のハラスメント防止対策については、ヒューマンリレーション推進委員会が中心となって、予防的アプローチと対処的アプローチの2側面から行っています。年間のPDCAは下図の通りです。
2.施工現場の安全衛生
当社グループは施工現場の災害減少に向けた取組みを推進しています。毎年重点テーマを設け、安全活動の基本事項の徹底と実践を継続し、実効性のある対策を定着させることにより安全・安心な施工現場を実現させます。
3.サプライチェーン上の労働課題
当社は2018年に国連グローバル・コンパクトの掲げる、人権・労働・環境・腐敗防止の4分野10原則を支持・署名したことを機に、日本のローカルネットワークである「グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ)」のサプライチェーン分科会に参加しています。そして、サプライチェーンにおける調達の取組みとして「CSR調達ガイドライン」を制定し、取引先に発信しています。「CSR調達ガイドライン」には人権や労働の権利の尊重がうたわれており、CSR調達ガイドラインの発信に際しては、併せて「積水ハウスグループ人権方針」の周知も行っています。
取引先には、当ガイドラインの趣旨と内容を理解して遵守すること、及びその取組みに関して、当社による定期的な確認または監査に協力することに同意していただいたうえで、「同意確認書」の提出を要請しています。新規取引先の採用においては、「同意確認書」を提出いただいてから取引を開始しています。
4.施工現場の外国人就労
建設現場においては、国籍・性別に関係なく施工技能者が働いていますが、中でも異なる背景(文化・言語など)を持つ外国人就労者(技能実習生を含む)の就労環境を当社は重視しています。
グループ会社とその施工協力会社の主要3職種の外国人就労者を対象に毎年、就労環境に関するアンケート調査を行い、その回答から、現在の就労環境に概ね不満は少ないと考えていますが、今後も継続して技能実習生との対話の機会を多く設け、得た意見などを活かし、さらなる労働環境の整備に努めます。
③リスク管理
人権課題の内容ごとに関係する部署、事業所、グループ会社など(以下、「関係部署など」)が人権DDを担当し、ステークホルダーとの対話、及び専門家や人権団体からの情報提供・助言を通して収集した情報をもとに、リスクを洗い出し、啓発や対策を実施しています。人権DDに関する情報は、関係部署などから事業部門ごとに共有・集約し、または人権DDミーティングなどで内容の検証を行うことで、全社的な課題の抽出、啓発、改善の取組みに統合・展開していきます。
こうした取組みについては、社会性向上部会が、取締役会の諮問機関である「リスク管理委員会」に定期的に報告しています。
④指標及び目標
当社グループは、リスクマップで特定した重点課題に対応する指標として、以下のKPIを掲げています。
<公開ウェブサイト 人権に関する問い合わせ件数>
2020年4月の「積水ハウスグループ人権方針」策定時より、公開ウェブサイトで、人権に関する問い合わせを外部からも受け付けています。これまで全ての問い合わせに対して、状況確認と対応を完了していますが、問い合わせの中に当社の事業に与える重大な人権侵害は確認されていません。
<セクハラ・パワハラホットライン 取り扱い件数>
(注) 相談内容と相談者の意向をヒアリングし、組織として対応すべき問題と判断して対応した件数。それ以外にも、内容に応じて相談者への助言などの支援を行っています。
◆リスク管理体制について
当社グループの事業活動における重要なリスクを的確に把握するとともに、万一リスクが顕在化した際にはグループ事業への影響の低減に向けて適正に対応する体制を構築しています。
「戦略リスク」や「財務・市場リスク」については、経営方針や経営戦略、重要な業務執行を審議する取締役会や経営会議等の会議体で検討しています。また、「事業運営リスク」や「ハザードリスク」に関しては、取締役会の諮問機関として、「リスク管理委員会」(委員長:代表取締役副社長執行役員)を設置して、リスク管理状況のモニタリングを進めています。
リスク管理委員会は取締役会決議で選任された委員を中心に構成されており、原則月1回開催されています。委員会で選定した重要リスク項目については、本社専門部署や会議体など主管組織におけるリスク管理状況のモニタリング内容を踏まえ、リスク管理体制の整備状況の集約・検証及び必要な助言を行い、その内容を年2回、取締役会へ報告しています。委員会には内部監査部門からも委員として参加しており、定期監査の実施内容との連携も図っています。
また、「品質管理」及び「情報セキュリティ」の重要性を鑑み、傘下に「品質管理委員会」及び「情報セキュリティ委員会」を設置し、より専門的視点におけるリスク認識及び対応策について部署横断的に審議しており、両委員会における運営方針や審議内容については、年3回、リスク管理委員会に報告されています。
なお、ESG経営に係るリスク管理の詳細については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しています。
リスク管理体制図
◆リスク管理のプロセスについて
当社グループ会社の各主管部門で識別された「戦略リスク」や「財務・市場リスク」については、取締役会、経営会議等において、中期経営計画をはじめとする事業戦略全体に関する議題及び個別案件に関する議題の中で協議され、リスク評価及びその対策について検討するとともに、重要な影響を及ぼす事象が発生していないかをモニタリングしています。
リスク管理委員会では、主に「事業運営リスク」や「ハザードリスク」について、当社グループの国内事業所・国内子会社・海外子会社を対象として昨年度に実施したモニタリング内容及び本社各部署からのヒアリング内容をもとに、リスク課題を抽出しています。その中から発生可能性及び全社的影響度を、リスク管理委員会で評価し、その評価に基づいて重要リスク項目を選定しています。各重要リスク項目を主管する部署又は会議体は、期初にリスク管理に関する計画を策定し、その進捗についてリスク管理委員会へ報告し、委員会で出た意見を踏まえ改善を進めるという、リスク管理におけるPDCAサイクルを推進しています。
グループ会社に関して、グループ各社の経営全般を管理する「経営管理主管部署」と専門領域について横断的に管理する「専門機能部署」を当社内で明確化して、マトリックスでのリスク管理を推進しています。グループ全体のリスク情報の把握に向けて、国内外のグループ各社における総務責任者による牽制機能の強化及び本社専門機能部署との情報共有の活性化に向けて、「ガバナンスネットワーク」の構築に努めています。主要な事業グループ会社に関しては、一定以上の重要な業務執行について、当社の稟議決裁または取締役会決議を経ることとしています。また主要グループ会社のリスク認識を把握するため、当社と同様にリスクマップにより重要リスクの評価を行い、その内容についてはリスク管理委員会で共有・審議することとしています。
全社レベルで影響を及ぼすおそれのある事案が発生した際には、「クライシス対応マニュアル」に則って本社主管部署よりリスク管理委員会へ報告されます。報告を受けたリスク管理委員会は、本マニュアルに規定された基準に基づいてクライシスレベルの判定を行い、クライシスレベルにおいて一定レベル以上の重大な内容が認められる場合には、リスク管理委員会委員長の判断のもと、専門チーム「クライシス対策本部」を立ち上げて、事態の拡大防止と早期収束に向けて具体的対応を検討する体制を整えています。また、定期的にクライシス対応トレーニングを実施し、本マニュアルが機能するかどうかの検証・改善を行っています。
◆個別のリスク
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を与える可能性のある事項については、以下のようなものが挙げられます。
なお、これらについては、提出日現在において判断したものです。
<戦略リスク、財務・市場リスク>
1.住宅市場環境の変化に関するリスク
[リスクシナリオ]
当社グループは、国内及び海外において住宅を中心とした事業活動を行っているため、個人消費動向、金利動向、地価動向、資材価格の動向、住宅関連政策や税制の動向、それらに起因する賃料相場の変動、さらには地方経済動向等に影響を受けやすい傾向があり、今後これらの事業環境の変化により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
[対策]
市場環境の変化に対応した諸施策を機動的に実施するため、事業本部長・営業本部長を中心とした会議体において、市場動向を踏まえた施策の進捗状況や現場で発見された課題を共有し、次の施策の立案に活かしています。重要な施策については、経営会議の場で十分な審議を経て進めることとしています。
また海外進出国における市場環境についても、海外各拠点と本社が継続的に情報連携を重ね、専門部署において市場分析のうえ、戦略立案を行っています。
2.企業買収・事業再編に関するリスク
[リスクシナリオ]
当社グループは、国内外の事業戦略に基づき、企業や事業の買収、組織再編等による事業規模の拡大を進めています。しかしながら、その統合に向けた手続き及び実行後において期待通りの成果が得られない場合、または想定外の事業環境の変化等により、想定した収益が達成できない場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
[対策]
企業や事業の買収、組織再編等の検討の際は、各専門機能部署が買収前に外部の専門家とともにデューディリジェンスや株式価値評価を行うことで、買収先の企業価値、事業計画の実現可能性等を適正に評価し、経営会議、取締役会等の審議を経て買収の是非の判断を行う体制としております。買収実施後は、各専門機能部署が適切なPMIを推進することで円滑な統合を促し、シナジーの最大化を進めています。さらにPMI として一定の目的を達した後は、経営管理主管部署主導でシナジーを追求し、グループ全体での持続的な企業価値向上を実現できるよう取り組んでいます。
3.保有する資産に関するリスク
[リスクシナリオ]
当社グループが国内及び海外において保有している販売用不動産、固定資産、投資有価証券及びその他の資産について、時価の下落等による減損損失又は評価損の計上や、為替相場の変動によって、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
[対策]
当社グループでは、一定金額以上の投資案件の場合、積水ハウス本社における稟議審査ならびに経営会議での十分な議論を踏まえ、各案件に対する投資の可否を慎重に検討しています。不動産については、優良土地の取得及び資産回転率の向上による安定経営を図り、政策保有株式については、資本・資産効率向上の観点から必要最小限の保有を基本とし、保有の妥当性について、毎年、取締役会において検証するとともに、定量的な目標を設けて段階的に縮減を図っています。為替相場の変動に対しては、為替予約等必要に応じヘッジ手続きを実行することにより、その影響を低減しています。なお、保有する資産については、減損損失及び評価損のリスクを定期的に把握し、必要に応じ適宜会計処理を実施しています。
4. 資金調達コストに関するリスク
[リスクシナリオ]
当社グループは、金融機関からの借入、社債の発行等によって資金調達を行っています。市場金利の急激な変動や金融市場の混乱、格付機関による信用格付けの大幅な引下げ等が生じた場合には、資金調達コストが増加する可能性があり、その結果、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
[対策]
財務規律を重視し、適切な水準の格付けを維持することで資金調達コストを低減するとともに、資金調達手段の多様化及び年限の適切な分散を進めることで金利変動リスクの軽減に努めています。
5.退職給付債務に関するリスク
[リスクシナリオ]
当社グループの従業員に対する退職給付債務及び退職給付費用は、割引率や年金資産の期待運用収益率等の数理計算上設定した前提条件に基づいて算出しています。この前提条件が変更となった場合、または実際の結果が前提条件と大きく異なった場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
[対策]
当社グループでは、退職給付債務については定期的に実績に基づいて見積りの検証と見直しを行っています。年金資産の運用については、外部コンサルタントの助言をもとに、リスク・リターン特性の異なる複数の資産クラス・運用スタイルへの分散投資を行っており、年金資産全体のリスク・リターンの分析を定期的に実施する事で分散効果の有効性について評価を実施しています。また、企業年金基金においてスチュワードシップ・コードの受け入れを表明し、運用機関に対するモニタリングを強化するとともに、企業年金基金の諮問機関である資産運用委員会では、市場環境や運用状況等について定期的に協議を行っています。
<事業運営リスク、ハザードリスク>
1.法令規制に関するリスク
[リスクシナリオ]
当社グループは、国内では宅地建物取引業法、建設業法、建築士法等の主要法令に基づく許認可を受けるとともに、建築、労働、環境その他事業の遂行に関連する各種の法令及び条例に則り事業活動を行っています。また海外においてもそれぞれの国における法令規制を受けています。これら法令規制において違反が生じた場合に、改善に向けて多額の費用が発生すること、又は業務停止等の行政処分を受けることなどで当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
[対策]
国内請負事業においては、設計における建築基準法上のチェックミス・手続き漏れを防ぐための法規制チェックシステムを導入し、型式認定不適合の発生を抑えるために、事業所及び本社でのダブルチェック体制を構築しています。又、建設業法上の専任の配置技術者の適正運用に向けて、配置状況のチェックを専門機能部署で行うとともに有資格者の人財確保・能力向上に継続して取り組んでいます。その他、国内外の各種法令の動向について、各専門部署にて情報収集・分析を行い、必要に応じてグループ内の関係先へ情報発信の上、適切な対応に努めています。
2.品質管理に関するリスク
[リスクシナリオ]
当社グループは、設計・生産・施工上の品質において万全を期すとともに、主要な戸建住宅及び共同住宅においては、長期保証制度及び定期的な点検サービスを実施していますが、長期にわたるサポート期間の中で、予期せぬ人的ミス等により重大な品質問題が生じた場合には、多額の費用発生や当社グループの評価を大きく毀損することになり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
[対策]
リスク管理委員会傘下の「品質管理委員会」により、製品・設計・生産・施工・CSの5つの検討会をまとめる組織として、品質に関する一元的な管理を進めています。特に施工品質不具合の発生を抑えるために、期初に策定する「全社施工品質管理年間計画」に基づく「品質管理重点項目」に対する改善に取り組んでいます。また同委員会では、製品の安全性に関する検証、生産現場の検査、品質に関わる法令遵守、CS 対応の充実についても議論されており、その内容については定期的にリスク管理委員会へ報告されています。
3.情報セキュリティに関するリスク
[リスクシナリオ]
コンピューターウィルスの侵入や高度なサイバー攻撃等により、個人情報・機密情報の漏洩や改竄、システム停止等が生じることで、お客様等からの損害賠償請求を受ける可能性やお客様及び市場等からの信頼を失い、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
[対策]
リスク管理委員会傘下の「情報セキュリティ委員会」において、情報セキュリティに関するグループ内の基本方針「情報セキュリティポリシー」や秘密情報管理規則に基づき、情報セキュリティ及び情報管理に関する施策を検討・実施しています。併せて、コンピューターウィルス等サイバー攻撃や秘密情報の漏洩・改竄を防止するために、社内外からのアクセス制御システムを強化するとともに、標的型メール訓練や研修、情報セキュリティ監査などを通じてITリテラシーの向上を図っています。また、ITデザイン部セキュリティシステム推進室にセキュリティインシデントに対応する専門チーム(CSIRT)を設置しています。インシデント対応力を上げるため、各部門参加による、セキュリティインシデント発生を想定した訓練を実施し、万一の事態に備えています。さらに、定期的に外部機関によるセキュリティアセスメントを実施して、更なるセキュリティガバナンス体制の強化に取り組んでいます。
お客様情報の管理については、「お客様情報保護方針」に基づき、各組織において個人情報取扱責任者を定めて、安全対策の実施、周知徹底を図る体制を整えるとともに、全従業員を対象に個人情報の取扱いに関するEラーニングを継続的に推進し、個人情報保護に関する従業員一人ひとりの役割・責任の認識を高めています。
各事業所、各グループ会社におけるセキュリティ意識を高めるため、情報セキュリティ委員会の下に、グループ全社事業所で構成する「情報セキュリティ推進部会」を設置し、幹部から従業員一人ひとりへのセキュリティ意識啓発や対策の徹底を図っています。
4.施工中の災害に関するリスク
[リスクシナリオ]
施工現場では作業環境や作業手順・作業方法の誤りが災害につながる恐れがあり、死亡災害など重篤な災害が発生すると、工事の中断及び工期の延長に加えて、損害賠償負担や社会からの信用失墜を招く可能性もあります。
[対策]
労働災害の抑制を目指し、各組織において施工安全衛生委員会を開催し、災害予防に向けた定期点検や安全パトロール及び災害発生事案に対する検証・再発防止策の推進等を行っています。特に施工現場では、期初に設定する「全社施工安全衛生年間計画」に基づき、安心安全な施工環境の整備に努めているとともに、発生頻度及び重篤性の高い災害の削減に向けて、本社施工本部の指揮のもと作業環境の整備や作業方法の遵守・確認体制の強化など対策に取り組んでいます。
5.労務管理に関するリスク
[リスクシナリオ]
従業員の長時間労働は、36協定違反など各種労働法への抵触、精神疾患を含めた健康障害による長期休業につながる恐れがあり、場合によっては労働問題に発展するリスクがあります。
[対策]
総労働時間の削減に向けて、部門毎に1人当たりの月平均総労働時間の目標を設定し、各事業所において働き方の改善に取り組んでいます。加えて、自律的に働くことのできる職場環境を目指して、年次有給休暇も計画的に取得する取組みをグループ全体で推進しています。本社、工場、事業所の組織ごとに勤務状況の確認を月次で行うとともに、必要に応じて本社人事総務部によるモニタリング、労務管理研修を実施して適正な労務管理を促しています。
6.資材供給停止に関するリスク
[リスクシナリオ]
大規模自然災害や社会不安(戦争、テロ、感染症、地政学的リスク等)により、資材調達先が被害を受け、資材の供給が困難になった場合、または受注量の増大により資材調達が間に合わない場合、施工がストップして契約工期に影響が出る可能性があります。
[対策]
当社グループでは、一つの資材調達先が被災等で調達が困難になった場合等を想定し、3つの側面から備えを進めています。
・供給面の備えとして、部材ラインナップ複数化、複数社調達、複数生産拠点化、国内供給拠点の強化を進めています。
・仕様面の備えとして、部材の汎用化等、調達の容易な材料や仕様への変更に取り組んでいます。
・情報面の備えとして、サプライヤー拠点のデータベース化により、迅速な対応を行う体制を構築しています。
さらに具体的な対策を強化するために、資材調達に関するリスクと影響度を分析し図示することで、従業員の意識向上を図るとともに、ターゲットを明確にした活動の推進を図っています。また、サプライヤーに対しても自社サプライチェーンの強化を求めることで、備えの輪を広げ、サプライチェーン全体の強靭化に努めています。
7.大規模自然災害等に関するリスク
[リスクシナリオ]
大規模自然災害やパンデミックの発生時など緊急事態への対応計画が不明確なことにより初動対応が遅れた場合、各拠点における事業継続が困難になり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
[対策]
当社グループでは、「積水ハウスグループ事業継続計画管理基本方針」を定め、事業継続に影響を及ぼすような緊急事態が発生した場合にも、重要な事業を中断させず、また中断せざるを得ない場合でも可及的速やかに復旧させる手順と体制を整備しています。
大規模自然災害等の発生に対しては、「積水ハウスグループ災害対策基本方針」を定め、各組織の「災害マニュアル」を策定し、災害時の各事業拠点における情報収集及び事業継続に向けた準備を進めています。また、大規模自然災害等により本社での業務継続が困難となった場合に備え、本社災害対策本部の設置等を規定した初動対応マニュアルの整備を行っており、本社被災時には、東京拠点(東京都港区赤坂)と総合住宅研究所(京都府木津川市)を代替拠点として、本社における重要業務を継続できる体制を整えています。
海外事業を展開する上において、海外子会社の従業員や出張者が自然災害やテロ・暴動等に巻き込まれるリスクに備えて、対応マニュアルを各国別に整備し、迅速な情報共有体制の構築を図るとともに、海外専門の危機対応支援会社と提携して緊急事態発生時の現地従業員へのサポート体制も整えています。
※ サステナビリティに関わる、「人権に関するリスク」、「気候変動に関するリスク」及び「人財確保に関するリスク」については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しています。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりです。
当連結会計年度における世界経済は、物価上昇率が一時より低下したものの、世界的なインフレ圧力により各国が金融引き締め政策を継続しており、地政学リスクと併せて、物価情勢及び国際金融資本市場の動向に与える影響に注視が必要な状況が続きました。そのような中、アメリカをはじめとする一部の国では、個人消費や雇用者数が増加する等、景気回復の動きもみられました。
住宅市場は、国内の新設住宅着工戸数がアフターコロナの消費行動の変化や建設コスト増の影響もあり弱含みの状況が続いています。アメリカでは、長期金利の上昇等により住宅着工の調整局面や中古住宅の在庫減少が継続していますが、人口増に対する慢性的な住宅供給不足を背景に住宅に対する潜在需要は強く、住宅ローン金利が2023年10月下旬をピークに再び低下に転じたことで足元では持ち直しの動きもみられています。
このような事業環境の中、当社グループは、2050年を見据えたグローバルビジョン“「わが家」を世界一幸せな場所にする”の実現に向け、「国内の“安定成長”と海外の“積極的成長”」を基本方針とする第6次中期経営計画(2023年度~2025年度)に基づき、ハード・ソフト・サービスを融合した様々な高付加価値提案等を積極的に推進しました。
当連結会計年度における業績は、連結受注高は3,196,437百万円(前期比13.8%増)、連結売上高は3,107,242百万円(前期比6.1%増)となりました。
利益については、連結営業利益は270,956百万円(前期比3.6%増)、連結経常利益は268,248百万円(前期比4.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は202,325百万円(前期比9.6%増)となりました。
セグメント別の経営成績は次のとおりです。
なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、当連結会計年度における比較・分析は、変更後の区分に基づいています。
当事業の当連結会計年度における売上高は471,056百万円(前期比1.1%減)、営業利益は41,065百万円(前期比1.0%減)となり、前期から続く資材価格高騰の影響を受けました。
価格レンジ別戦略の深化による戸建住宅ブランドの強化を図るべく、1stレンジ商品を強化するとともに、2nd・3rdレンジの中高級商品・高価格商品の拡販に注力し、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)「グリーンファースト ゼロ」をはじめ、大空間リビング「ファミリー スイート」、次世代室内環境システム「スマート イクス」や間取り連動スマートホームサービス「PLATFORM HOUSE touch」等の高付加価値提案が好評で、受注は底堅く推移しました。
また、良質な住宅ストックに“愛着”を編み込むことで、人生100年時代の「幸せ住まい」を提供するべく、お客様の“感性”を住まいに映し出す新デザイン提案システム「life knit design」を2023年6月から全国展開しました。その一環として、お客様に深く“愛着”を感じていただけるインテリア提案の強化を図るべくオーダーメイド木製家具メーカーである株式会社アイダの普通株式の全てを2023年12月付で取得し、2022年における無垢木材のインテリア材メーカーである株式会社マルホンの子会社化と併せて、「空間・デザイン」「建材」「家具」の内装一体提案を強化しました。加えて、国内の良質な住宅ストック形成に貢献するため、創業以来培ってきた積水ハウスの安全・安心の耐震技術を世の中に広く開放し、地域のパートナー企業が建築する木造住宅の基礎と構造躯体の施工を積水ハウス建設が請け負い、外装と内装については、主にパートナー企業が担う、業界初となる共同建築事業「SI※事業」を新たに開始しました。
※SI(エス・アイ):S=スケルトン(建物の構造躯体)とI=インフィル(外装・内装)のこと
当事業の当連結会計年度における売上高は524,121百万円(前期比3.5%増)、営業利益は78,016百万円(前期比4.8%増)となりました。
エリア戦略に基づく高付加価値物件を供給し、シャーメゾンブランドの更なる向上を図るべく、当社オリジナル構法を用いた3・4階建て賃貸住宅の拡販、ネット・ゼロ・エネルギーの賃貸住宅「シャーメゾンZEH」の普及に注力しました。太陽光パネルを住戸ごとに接続する「シャーメゾンZEH」は、入居者がメリットを実感できる光熱費の節約やエシカル志向への対応を考慮した入居者売電方式が好評で、賃貸住宅受注に占めるZEH住戸割合は76%となりました。また、「シャーメゾンZEH」においては、入居者の光熱費削減を実現しながら、EV(電気自動車)充電インフラ不足の解消により2050年の脱炭素社会の実現に貢献すべく、住戸ごとに専用接続するEV充電設備を設置する体制を全国で整えました。
これらの高付加価値提案に加え、高い入居率と賃料水準を実現する都市部を中心としたプライスリーダー戦略が奏功し、受注は好調に推移しました。
また、収益不動産拡大のための土地仕入及びESGソリューション提案の強化により、CRE(法人)・PRE(公共団体)事業における受注も好調に推移しました。
当事業の当連結会計年度における売上高は274,653百万円(前期比2.7%増)、営業利益は12,904百万円(前期比9.1%増)となりました。
建築事業において追加変更工事の獲得等により採算性が改善するとともに、民間における設備投資意欲が持ち直したことにより、建築・土木事業ともに受注は好調に推移しました。
当事業の当連結会計年度における売上高は646,588百万円(前期比4.8%増)、営業利益は50,180百万円(前期比5.5%増)となりました。
好立地に建築した高品質・高性能な賃貸住宅「シャーメゾン」の供給により管理受託戸数が堅調に増加しました。オーナーの資産価値の最大化に向けた多様なソリューション提案とリレーション強化、入居者に向けたブロックチェーンを用いた入居手続きのワンストップ対応等、充実したサービスの提供により高水準の入居率と賃料を維持し、増収に寄与しました。
当事業の当連結会計年度における売上高は174,996百万円(前期比4.8%増)、営業利益は23,482百万円(前期比4.7%増)となり、前期の好調な受注及び順調な工事進捗が増収に寄与しました。
住宅ストックの資産価値向上と長寿命化を図るべく、戸建住宅では、住まい方をアップデートするリノベーション提案等の提案型リフォーム、断熱改修や最新の省エネ・創エネ・蓄エネ設備等を導入する環境型リフォームに注力しました。また、賃貸住宅では、資産価値を向上させ、賃料の上昇と高入居率の維持を実現するリノベーション提案に注力しています。これらの取り組みにより、受注は堅調に推移しました。
(開発事業)
当事業の当連結会計年度における売上高は530,980百万円(前期比31.3%増)、営業利益は64,821百万円(前期比78.0%増)となりました。当事業に集約された仲介・不動産事業、マンション事業、都市再開発事業の経営成績は次のとおりです。
当事業の当連結会計年度における売上高は288,456百万円(前期比30.5%増)、営業利益は25,857百万円(前期比47.5%増)となり、積水ハウス不動産各社における住宅用地を中心とした販売用不動産の売却が順調に進捗し増収に寄与しました。
また、情報ルートの強化により顧客からの引合い増加に注力するとともにエリアマーケティングに沿った優良な住宅用地の積極仕入れ、土地取得から検討中の顧客への拡販に注力した結果、受注は好調に推移しました。
当事業の当連結会計年度における売上高は109,450百万円(前期比12.7%増)、営業利益は17,532百万円(前期比27.4%増)となりました。
「グランドメゾン大濠公園THE TOWER」(福岡市中央区)の引渡しが完了したほか「グランドメゾン溝の口の杜」(川崎市高津区)等の引渡しが順調に進む等、物件の引渡しが計画通りに進捗し増収に寄与しました。
また、東京・名古屋・大阪・福岡の商圏において展開する高付加価値の分譲マンション「グランドメゾン」については、ブランドの更なる向上を図るべく開発用地を厳選するとともに、家庭部門の脱炭素化への貢献を目指して2023年以降に販売する物件を全住戸ZEH仕様としています。これらの取り組みが評価され、「グランドメゾン北堀江レジデンス」(大阪市西区)、「グランドメゾン福岡The Central Luxe」(福岡市中央区)等の販売が好調に推移しました。
当事業の当連結会計年度における売上高は133,073百万円(前期比54.5%増)、営業利益は21,430百万円(前期比317.7%増)となりました。
計画に沿い物件売却が順調に進捗したことにより、増収となりました。また、当社が開発した賃貸住宅「プライムメゾン」等の当社グループ保有物件の入居率が堅調に推移するとともに、ホテル物件の運営状況についても都市型ホテルを中心に改善傾向で進捗しました。
当事業の当連結会計年度における売上高は511,055百万円(前期比1.9%減)、営業利益は48,898百万円(前期比33.8%減)となりました。
アメリカでは、戸建住宅事業及びコミュニティ開発事業において、前期における住宅ローン金利の急激な上昇に伴い受注残高が減少した影響を受けましたが、高品質な新築住宅へのニーズは高く受注は回復傾向で推移しました。加えて、米国子会社であるWoodside Homes Company, LLCは、住宅販売エリアを拡大し積水ハウステクノロジーの更なる展開を進めるべく、アイダホ州の住宅販売会社であるHubble Group, LLCの持分を取得しました。なお、SHAWOOD事業の推進においては、「Sommers Bend」(カリフォルニア)で2023年11月にモデル棟をオープン、2024年1月より販売を開始し、来場・受注ともに順調に推移しています。また、賃貸住宅開発事業において、「St.Andrews」(ロサンゼルス)、「The Society」Margo棟(サンディエゴ、全4棟のうち3棟目)の引渡しが計画通りに完了しました。
オーストラリアでは、戸建住宅事業の販売戸数減少等はあったものの、マンション開発事業において「West Village」(ブリスベン)の商業棟の一部及びマンション、「Melrose Park」(シドニー)のマンションの引渡しに加え、計画していた開発物件の引渡しが順調に進捗しました。
シンガポールでは、2023年2月にプンゴルの商業施設「Waterway Point」の持分譲渡が完了しました。
中国では、2023年9月に瀋陽市のホテル「ル・メリディアン瀋陽和平」の持分譲渡が完了し、また、同年12月に積水住宅(太倉)有限公司の清算が完了するなど、中国事業の完了に向けた取り組みが進捗しています。
当事業の当連結会計年度における売上高は13,230百万円(前期比39.9%増)、営業利益は2,654百万円(前期比40.4%増)となりました。
ESG経営のリーディングカンパニーを目指す当社グループは、第6次中期経営計画において「住まいを通じて環境課題の解決に貢献」「従業員の自律を成長ドライバーにする」「イノベーション&コミュニケーション」を基本方針とし、積水ハウスグループらしい「全従業員参画型ESG経営」を推進しています。
環境面では、新築戸建住宅ZEH比率が95%(2023年度)と過去最高を更新するとともに、賃貸住宅「シャーメゾン」や分譲マンション「グランドメゾン」等の集合住宅においてもZEHを推進しました。さらに、2025年夏の実用化に向け、自宅で水素を製造・貯蔵・使用し、ゼロカーボンを実現する住宅メーカー初(当社調べ)の水素住宅の実証実験を開始しました。また、当社の温室効果ガスの削減目標の一つである事業活動におけるCO2排出量の75%削減の早期実現を目指し、当社グループの業務用車両にCO2排出ゼロの電動車の導入を開始しました。住宅事業を通じた生物多様性保全に向けた取り組みとしては、戸建住宅、賃貸住宅等において、住宅と外構との一体提案を強化するとともに、地域の気候風土・鳥や蝶等と相性の良い在来樹種を中心とした植栽を提案する造園緑化事業「5本の樹」計画や株式会社シンク・ネイチャーの生物多様性ビッグデータ・AIを活用して、「生物多様性の純増と算出方法の標準化」を目指し、同社と共同で推進する連携協定を締結しました。
社会性向上に関しては、重要な経営戦略の一つである「女性活躍の推進」において、2014年から開始している女性管理職候補者研修「積水ハウス ウィメンズ カレッジ」やキャリア形成の手本となるロールモデルづくりを継続・推進しました(2024年1月末現在女性管理職人数336人)。2018年から開始している3歳未満の子を持つ男性従業員を対象とした男性育児休業制度については、当社グループ全体で1ヵ月以上の取得率100%を継続するとともに、男性育休取得推進に賛同する企業・団体と共に男性育休を考えるプロジェクト「IKUKYU.PJT」を実施しています。また、積水ハウス建設グループにおいては、新たな人事評価制度を導入する等、建設現場での高齢化や若年就業者の減少といった社会的な問題に対応し、良質な住宅ストックの形成に向けた担い手や地方の雇用の創出に貢献すべく、クラフター(住宅技能工)の育成と採用を大幅に強化することとしました。加えて、当社グループのコアコンピタンスの「技術力」と「施工力」を支える積水ハウスの施工現場に従事する大工職人の高い技術力に改めて敬意を表すとともに、技能を競い合い仕事そのものの魅力を発信することでブランディング向上を図るため、積水ハウスの高い品質を支える大工の頂点を決定する「積水ハウス大工選手権大会 WAZA 2023」を開催しました。
ガバナンス面では、トップマネジメント・事業マネジメント両輪での効果を推進する第6次中期経営計画の方針に則り、第三者機関による実効性評価を踏まえた取締役会の機能向上や情報開示の更なるレベルアップに取り組むとともに、成長著しいアメリカ事業等におけるグループガバナンスのグローバル展開を進めています。また、人権及びコンプライアンスのグローバル展開を促進する観点から、専任組織を明確化すべく、当社法務部のヒューマンリレーション室を「人権・コンプライアンス推進室」に名称変更しました。これに加え当社は、当社グループのコアコンピタンスの一つである「施工力」の充実・拡大を図るべく、積水ハウス建設グループを中間持株会社体制へ移行する方針を決定し、2024年2月に中間持株会社である積水ハウス建設ホールディングス株式会社との間で吸収分割を実施しました。事業領域拡大も見据え、積水ハウス建設各社の地域密着性を踏まえながら、高品質で安全な建設工事を実現し、機動的な人事制度改革等を実施するとともに、中間持株会社への権限委譲と責任の明確化により、成長戦略の実現とガバナンスの強化を推進していきます。
このような取り組みを含むESG経営を推進した結果、環境面では、国際環境非営利団体CDPから「気候変動」「フォレスト」「水セキュリティ」全分野で最高評価「Aリスト」に選定、社会性向上では、特定非営利活動法人キッズデザイン協議会主催の「第17回キッズデザイン賞」においてこども政策担当大臣賞等、ガバナンス面では、一般社団法人日本取締役協会主催の「コーポレートガバナンス・オブ・ザ・イヤー2023」で特別賞・東京都知事賞を受賞、また、公益社団法人日本証券アナリスト協会が実施する「証券アナリストによるディスクロージャー優良企業選定」で3年連続第1位を獲得する等、高い社外評価を獲得しました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動により15,683百万円、財務活動により6,483百万円それぞれ増加し、投資活動により69,124百万円減少した結果、前連結会計年度末と比較して39,846百万円減少となり、当連結会計年度末の資金残高は292,901百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、得られた資金は15,683百万円(前期比109,780百万円資金減)となりました。税金等調整前当期純利益を288,958百万円計上したこと等により、資金の増加となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、減少した資金は69,124百万円(前期比96,284百万円資金増)となりました。賃貸用不動産等、有形固定資産の取得による支出が76,937百万円(前期比15,225百万円資金増)あったこと等により、資金の減少となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、得られた資金は6,483百万円(前期比162,263百万円資金増)となりました。短期借入金の純増加が155,886百万円(前期比118,528百万円資金増)あったこと等により、資金の増加となりました。
当社グループ(当社及び連結子会社)の展開する事業は多様であり、生産実績を定義することが困難であるため「生産実績」は記載していません。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(ハ)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 主な相手先別の販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため記載
を省略しました。
※ 当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、前期比は、それぞれ前期の数値をセグメント変更後に組み替えて算出しています。
※ 当連結会計年度に連結子会社化したHubble Group, LLC及びその子会社について、同社の数値を各指標の「国際事業」に含めて表示しています。
※ 当連結会計年度に連結子会社化した株式会社アイダについて、連結子会社化前の受注高を「その他」の受注残高に含めて表示しています。
(参考) 提出会社個別の事業の受注高、売上高、繰越高の状況は次のとおりです。
(注) 1 前事業年度以前に受注した工事で、契約の更改により請負金額に変更のあるものについては、その増減額を「当期受注高」並びに「当期売上高」に含めています。
2 損益計算書において、住宅請負事業は「完成工事高」、不動産事業は「不動産事業売上高」として表示しています。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
当連結会計年度の連結売上高は、国際ビジネスが中国事業の完了に向けた取組みによる反動減の影響等により減収となったものの、国内事業の安定成長により請負型ビジネス・ストック型ビジネス・開発型ビジネスが増収となった結果、前期比178,406百万円増加の3,107,242百万円(前期比6.1%増)となりました。
連結営業利益は、物件売却が順調に進捗した開発型ビジネスの増益、請負型ビジネスにおける利益率の改善、ストック型ビジネスの継続的な増収効果が寄与し、前期比9,467百万円増加の270,956百万円(前期比3.6%増)となりました。
連結経常利益は、連結営業利益の増加や為替差益の計上等により、前期比10,976百万円増加の268,248百万円(前期比4.3%増)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、シンガポール事業等における関係会社株式売却益、中国事業における関係会社清算益等の特別利益の計上により、前期比17,805百万円増加の202,325百万円(前期比9.6%増)となりました。
(参考) 連結売上高、連結営業利益をビジネスモデル及びセグメントごとに示すと、次のとおりです。
資産、負債及び純資産の状況
当連結会計年度末における資産総額は、前連結会計年度末と比較して11.5%増の3,352,798百万円となりました。流動資産は、主に販売用不動産の増加等により、2,496,947百万円と増加(前期比19.2%増)しました。固定資産は、有形固定資産の減少等により、855,851百万円と減少(前期比6.3%減)しました。
負債総額は、借入金の増加等により、前連結会計年度末と比較して16.3%増の1,558,745百万円となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益を202,325百万円計上したことによる利益剰余金の増加等により1,794,052百万円と増加(前期比7.6%増)しました。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
当社グループの資金需要のうち主なものは、運転資金及び不動産(棚卸資産を含む)の取得・開発をはじめとする投資資金等であり、運転資金については、自己資金の活用又は借入金、短期社債(コマーシャルペーパー)により調達し、投資資金等については、主に社債、借入金により調達しています。資金調達に際しては、これら多様な調達手段から時機に応じて最適な手段を選択することで、安定的な財源の確保及び調達コストの低減を図るほか、国内信用格付AA格・外国信用格付A格の維持を前提に、D/Eレシオ0.5倍程度及び債務償還年数(Net Debt/EBITDA倍率)1.5年を下回る水準を中期目標として財務健全性の維持に努めています。また、複数の金融機関とコミットメントライン契約及び当座貸越契約を締結することで、十分な資金の流動性を確保しています。
なお、2024年4月に買収完了したM.D.C. Holdings, Inc.の株式取得に関連して行っている資金調達は、今後1年以内を目途にパーマネント化を図る予定です。
⑤ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)目標とする経営指標」に記載のとおりです。
当連結会計年度においては、2024年1月期の業績目標(連結売上高30,800億円、連結営業利益2,650億円、連結経常利益2,590億円、親会社株主に帰属する当期純利益1,930億円)に対し、実績は連結売上高31,072億円、連結営業利益2,709億円、連結経常利益2,682億円、親会社株主に帰属する当期純利益2,023億円となり、目標を上回る結果となりました。また、EPSは309.29円(目標295.05円)、ROAは8.7%(目標8.8%)、ROEは11.9%(目標11.6%)、1株当たり配当金は123.00円(目標118.00円)及び配当性向は39.8%(目標40.0%)となりました。引き続き、目標数値の達成を目指します。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。
この連結財務諸表の作成にあたり、資産、負債、収益及び費用の報告額に不確実性がある場合、作成時に入手可能な情報に基づいて、その合理的な金額を算出するために見積り及び仮定を用いていますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に用いた会計上の見積り及び仮定のうち、特に重要なものは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等」の「(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。
(1) 標章使用許諾に関する契約(提出会社)
(2) M&Aに関する契約
当社は、当社の完全子会社Sekisui House US Holdings, LLCの子会社であるSH Residential Holdings, LLCを通じて、米国において戸建住宅事業を行うM.D.C. Holdings, Inc.(本社:米国コロラド州、CEO:David D. Mandarich、米国ニューヨーク証券取引所上場:MDC、以下「MDC社」)の株式の全てを取得すること(以下「本買収」)を2024年1月18日開催の取締役会において決議し、MDC社との間で本買収に関する合併契約を2024年1月18日(米国デンバー時間2024年1月17日)付で締結しました。
なお、その概要については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な後発事象)」に記載のとおりです。
当社グループ(当社及び連結子会社)では、グローバルビジョン“「わが家」を世界一幸せな場所にする”の実現に向け、ハード・ソフト・サービスを融合させた住まいの研究開発が使命と考えています。創業以来積み上げてきた安全・安心・快適の技術を土台として、住まい手の「幸せ」につながる「健康・つながり・学び」という2030年に提供すべき価値を見据え、デザイン研究開発・環境技術開発・オリジナル技術開発を推進するとともに、新たな研究開発領域の拡大も図っていきます。
住宅は個人資産であると同時に、社会資本であり、住まいが次世代に引き継がれるために、持続可能性、環境への配慮、美しさの追究は必須です。そのために、「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)」や「ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)」の推進をはじめとする2050年カーボンニュートラルを見据えた研究、まちなみとの調和、住む人の感性や価値観に合わせたデザイン研究に積極的に取り組み、研究開発成果を国内事業とともに海外事業にも展開し、幸せなわが家づくりを通して積水ハウステクノロジーが世界のデファクトスタンダードとなるように推進していきます。
また、研究開発における当社の強みは、「総合住宅研究所」の徹底した技術検証によるエビデンス構築とともに、「住生活研究所」の調査・分析に基づいた「幸せ住まい」の提案力です。「最高の技術と品質」を技術開発の根本に据え、業界のトップランナーとして、経営戦略にベクトルを合わせた研究開発を行っています。
ハードとソフトの融合により、家族の「幸せ」を実現する「ファミリー スイート」は、当社の研究開発の成果の一つです。柱をなくし、最大スパン7mの大空間リビングを支えるオリジナル構法「ダイナミックフレーム・システム」は、当社独自の技術であり、「ファミリー スイート」の新築戸建住宅での採用率は60%を超えています。また、ウイルスや花粉等の汚染物質に配慮した、次世代室内環境システム「スマート イクス」の採用率は80%を超えています。
当社グループでは、R&D本部において、「総合住宅研究所」や「住生活研究所」による建築新技術、住生活の研究開発に加え、住を基軸としたデザイン、商品開発並びに知的財産戦略の立案に関する事項を掌握し、技術開発の更なる推進を図っています。
今後もR&D領域をさらに拡大し、「住」を基軸としたあらゆる分野の情報を収集・分析するとともに、1つの事象をより深掘りし多くのエビデンスを取得しながら研究開発を進める体制を強化していきます。そのために、社内だけでなく社外のリソースを有効的に活用することが必要であり、オープンイノベーションやM&A等による同業種・異業種との交流・連携の強化を推進していきます。
当連結会計年度の研究開発活動の概況と成果は以下のとおりであり、研究開発費総額は
・2023年6月にスタートした新デザイン提案システム「life knit design」は、人生100年時代、良質な住まいに“愛着”を持って、より長く住み続ける循環型社会を目指し、流行り廃りではないお客様の“感性”を大切にした住まいづくりを提供します。「life knit design」という名称には時間と共に愛着を編み込むように住んでいただきたいという願いが込められており、2023年4月オープンの「駒沢シャーウッド展示場 HUE(ヒュー)」は、「life knit design」を体現した第一号モデルとして、その思想に共感頂いたミナ ペルホネンのファウンダー/デザイナーの皆川 明氏とのコラボレーションにより実現しました。
・2022年度の住宅性能表示制度改正への戸建住宅、共同住宅の標準仕様等での対応に加えて、2023年4月には重量鉄骨などの「3階建て住宅」において、断熱等性能等級「6」に対応できる仕様を追加しました。さらに共同住宅においても同年5月に断熱等性能等級「6」に対応できる仕様を追加し、戸建住宅、共同住宅ともに快適な住まいづくりへの技術開発を進めています。
・80%以上の採用を頂いている次世代室内環境システム「スマート イクス」に室内のCO2濃度を検知し、一般的にCO2濃度の目安とされる1000ppm以下となるように自動制御するデマンド換気機能を組み込みました。
・当社の2023年度の新築戸建住宅ZEH比率は95%となり、供給を開始した2013年以降の累積棟数も83,541棟(2024年3月末現在)となりました。また、集合住宅においても、「賃貸ZEH」をシャーメゾンブランドで展開し、2023年度の受注戸数は15,191戸、住戸ZEH比率は76%と、第6次中期経営計画の2023年度目標である70%を上回り、累計戸数も42,562戸となりました。また、賃貸ZEHでは、住戸毎に専用接続するEV充電スタンドの設置を推進し、モビリティにおけるCO2排出量削減にも貢献します。
・住生活関連では、2022年5月から毎月、生活ソフト系調査「リサーチ」の発信を継続中です。日々変化し続けるライフスタイルについてさまざまな角度からリサーチし、幸せのヒントになる発信をする取組みで、積水ハウスの「住」分野における研究機関としての認知を向上させ、営業・設計の業務にも活用されています。
・2023年10月には、Tomorrow’s Life Museum(茨城県古河市)において、「一緒に“つくる・たべる”で家族の幸せなつながりを。」をコンセプトにした新食空間の提案として開発した戸建用オリジナルキッチン「キッチンテーブル」を新設しました。
・国内の良質な住宅ストックの形成に貢献すべく、性能規定に基づく「基礎ダイレクトジョイント構法」を開発し、2023年8月に積水ハウス ノイエに導入、同年9月にはSI事業へも採用し、積水ハウスの技術をオープン化しました。
・2022年4月に開始した千葉大学予防医学センターとの5年間にわたる共同研究は2年目に入り、「0次予防」に寄与する要因確認及びエビデンス獲得を目指した当社オーナー様5,000人規模のコホート調査を実施し、分析を進めています。
・2023年6月より、総合住宅研究所内実験検証棟にて、太陽光の余剰電力と水から、水素を「つくる・ためる・つかう」ことを目指す、水素活用による発電住宅の検証を開始しました。
・2023年9月には、複合素材のため廃棄となった時の処理が困難とされる「塩ビクロス」に新たな価値を与えて再生した日本初のアップサイクル内装壁面建材をフクビ化学工業株式会社、エスエスピー株式会社と共同開発しました。
・2020年6月にスタートした、東京大学×積水ハウス「国際建築教育拠点(SEKISUI HOUSE - KUMA LAB)」は、研究施設「T-BOX(2021年10月運用開始)」を活用し、次世代の人財育成及び住宅イノベーションの実現に向けた研究を継続しています。
・庭などに生態系に配慮した地域の在来樹種を中心とした植栽を行う「5本の樹」計画による累計植栽数は1,984万本となりました(2024年1月末時点)。また、琉球大学と2021年度に共同検証した、この活動による広域エリアにおける生物多様性保全効果の定量評価の仕組みを用いて、都市緑化機構や自治体などと連携し、都市のネイチャー・ポジティブにつながる活動を行いました。
・積水ハウステクノロジーの海外移植を推進すべく、アメリカではラスベガスにおいてパイロットプロジェクト等を経てシャーウッド構法の本格展開に向け着実に歩みを進めています。また、オーストラリアではシャーウッド構法の品質再現性をさらに高める検証を行っています。