リチウムイオン二次電池の用途は、従来の民生機器に加え電気自動車に広がりつつあり、リチウムイオン二次電池市場はまさに変革期を迎えようとしています。当社はこの変化をチャンスと捉え、特に先進国向けの電気自動車用途に参入して業績の飛躍的な向上を目論み、数年前から本格的に製品開発及び設備投資に取り組んでいます。そして、この取り組みは、当社の市場価値を最大化し、投資家の皆様のご期待に沿えることにつながるものと考えており、今後は当社価値の指標をROIC(投下資本利益率)で示し、当社の付加価値について投資家とのエンゲージメントに活用していくこととしています。
この目標を達成するために当社グループで、顧客に対しての製品の安定供給化、販売量の確保、さらに市場からの高性能・高品質化の要求を受けて、新製品の開発を行っていく必要性があり、引き続き、当社グループでは以下の点を優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題として取り組んでまいります。
① 人材確保及び社員教育
当社グループは、リチウムイオン二次電池用セパレータ製造技術における幅広い専門知識と経験を有する優秀な技術者を育成することが中長期的な視点に立った当社グループ戦略のために必要不可欠と考えております。そのため、中途採用による即戦力の確保だけでなく、海外を含めた新卒者の採用にも積極的に取り組んでおります。今後は研修制度の確立及びOJTによる教育制度の強化並びにストック・オプション制度等をはじめとするインセンティブ制度の充実による社員のモチベーションの維持・向上に取り組んでまいります。
② 新規顧客の拡大
当社グループは、リチウムイオン二次電池用セパレータを製造し、日本をはじめとしてアジア及び米国を拠点としている顧客に対して重点的に販売活動を行っております。今後も、リチウムイオン二次電池を製造している大手顧客との取引拡大に努め、営業活動を強化してまいります。また、この2月より新規事業としてイオン交換膜の出荷を開始しました。今後は、当該事業分野でも取引の拡大を進めていきます。
③ 資金調達
当社グループは、今後の製品需要の継続的な拡大を見込んでおります。製造設備投資、研究開発投資及び運転資金の増大に対応した資金調達は、事業を継続していく上での重要な課題であると認識しており、今後も財務基盤の充実強化を図ってまいります。
なお、資金調達の方針としましては、原則として製造設備投資、研究開発投資資金及び運転資金は株式市場及び金融機関からの借入を中心に調達してまいります。
④ 生産体制の強化
当社グループがリチウムイオン二次電池用セパレータを供給するリチウムイオン二次電池業界は、中長期的な車載用途のリチウムイオン二次電池の需要増加により、成長が持続するものと予測されます。そのような需要の拡大に対して、今後も市場の拡大に合わせてタイムリーな設備投資を行って、生産能力及び生産効率を高め、競争力を強化していく必要があります。また、イオン交換膜事業においても、今後の取引拡大に備えて、生産体制の整備を進めていきます。
⑤ 持続可能な成長に向けた取り組み
世界各国のSDGsへの取り組みは、環境保全と社会貢献を経営理念としている当社にとって重要な課題です。そのため、様々な事業分野で当社のメンブレン技術が環境にやさしく、社会に貢献していく製品を追及していくことと合わせて、ESG経営への取り組みを促進していくことが、持続可能な成長に必要不可欠なことであると認識しています。そのため、まずグループ内にESG委員会を設置しました。今後、ESG委員会を通じて、グループ内でESGに関する啓蒙活動、グループ間での情報共有及び情報発信などを進めていくこととしています。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
世界各国のSDGsへの取り組みは、環境保全と社会貢献を経営理念としている当社にとって重要な課題です。そのため、様々な事業分野で当社のメンブレン技術が環境にやさしく、社会に貢献していく製品を生み出していくことを事業の柱としています。また、当社が生産拠点を世界に展開するうえで、グローバル社会の持続可能な成長は、当社の成長においても一層重要であると捉え、管理面においてESG経営への取り組みを促進していくことが必要不可欠であると認識しています。
そのため、まずグループ内にESG委員会を設置し、ESG委員会を通じて、当社グループ全体のサステナビリティへの取組みを強化していきます。また、それに合わせ、グループ内でESGに関する啓蒙活動、グループ間での情報共有及び情報発信などを促進していくこととしています。
この方針のもと、2024年2月末現在で以下のとおり、それぞれ具体的な取り組みを行っています。
当社は、定時取締役会及び監査等委員会を月に1度開催し、必要に応じて臨時取締役会及び監査等委員会を開催しています。また、グループ全体での経営上の主要課題に対して、迅速に合理的で客観的な意思決定を行うため、各部門別や役職別の定期会議も実施して、情報伝達や意思疎通を適切に行えるよう対応しています。さらに、取締役会直属のESG委員会を製造拠点に設置し、その中で行われる会議での報告及び決議をもとに、当社取締役会や各子会社の取締役会へ働きかけや情報共有が行えるよう、グループ全体としてESG経営を実現する体制を整備しています。
(1) 成長戦略
当社グループは、メンブレンフィルム技術を利用して、エネルギー分野、環境分野、医療分野等に対して、環境保全に貢献する事業を将来にわたり拡大する準備を進めています。 そして、リチウムイオン電池素材をはじめとして、イオン交換膜や高分子電解質など環境保全に資する事業ポートフォリオの多角化を行っていくために研究開発を継続しています。
(2) 環境戦略
当社グループは、環境への親和性を高めるための企業経営活性化、環境汚染予防及び継続的改善活動の推進、環境に優しい資源の使用及び資源リサイクルの向上、環境法規遵守及び環境基準の履行を環境方針と定めています。そして、水資源、大気、廃棄物、有害化学物質などによる環境的影響を最小限に抑え、気候変動対応およびカーボンニュートラルへの対応を図っています。また、エネルギー効率の最大化によって単位エネルギー使用量を改善し、社会と環境に貢献していくこととしています。そのため、製品全過程環境評価(LCA)を通じて、生産過程で生じる影響を把握・管理していくための改善を進めています。
3.人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略
当社グループは専門性(Specialty)、信頼・自信(Confidence)、義務・責任(Obligation)、情熱(Passion)、模範(Example)をもとに採用、育成、評価を行っています。採用については、個人の特性を重視し、国籍や性別などで区別しない公正な採用を行っています。また、育成については、入社教育、職務・職責教育・コンプライアンス教育などの教育プログラムに基づいた育成を行っています。評価については、組織・チーム・個人目標の達成度による評価を行っています。また、従業員の健康に関しても重視しており、定期健康診断の他に定期的な人間ドックの受診制度を採用しています。また、仕事と家庭の両立やメンタルヘルスの観点から、残業時間の抑制や有給休暇の取得を奨励しています。
当社グループは国際基準や、 各国の政策・規制を遵守するために、リスクの重要性評価を行い、その重要課題を選定し改善活動を行っています。環境、社会、ガバナンスについて、各地域ごとに合計21個の項目から、社内や社外の様々な利害関係者を対象にアンケートによる調査を実施して、当社のリスクに対する重要度を評価し、改善活動を進めています。
当社グループ工場で管理している主要項目及び各年度の実績は、下記のとおりです。
なお、これらは、生産量や稼働率に比例して増加する傾向があります。当社は事業成長に合わせて継続的に生産設備の拡張を行っているため、事業成長を加味して最も有効なエネルギー使用、温室効果ガス排出、廃棄物などの目標となる指標について検討を重ねています。
6.人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績、指標及び目標
当社グループの製造拠点について、教育・安全衛生についての過去3年間の実績値は以下のとおりです。
研修時間は、従業員の採用人数や設備拡張のスケジュールにより変動する指標となり、工場設備拡張期にある現状では目標値を設定することは難しいのが実情ですが、一方で、工場の安全管理は、人命にかかわることであり最も重要な指標であることから、災害ゼロを目指して工場を操業しています。
また、当社の人材育成及び社内環境整備に関しては、2022年7月8日に制度改正が行われた女性活躍推進法により「男女の賃金の格差」「女性管理職比率」及び「男性育児休業取得率」及び「有給取得率」を指標として採用することとします。当事業年度の目標は以下のとおりです。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① リチウムイオン二次電池用セパレータへの収益の依存について
当社グループは、リチウムイオン二次電池用セパレータの製造・販売に特化しており、当連結会計年度において、その売上高は当社グループの売上高の全額を占めています。今後につきましてもリチウムイオン二次電池用セパレータの売上が引き続き第一の収益源になると予測しています。
当社グループが開発、製造、販売しているリチウムイオン二次電池用セパレータは国内外のESS(エナジー・ストレージ・システム)、携帯電話、ノートパソコン、電気自動車(EV)、ハイブリッドカー(HEV)など多様な分野で使用されているリチウムイオン二次電池に利用されております。そのため、経済状況の悪化等を原因とした民生用ポータブル機器や輸送用機器などの需要が縮小した場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 競合他社について
当社グループは、リチウムイオン二次電池用セパレータの製造・販売を事業としている企業と競合関係にあります。この業界は、大手企業が市場シェアの大半を占めているため、当社グループは後発企業として、それらの大手企業と競合することになると認識しております。既存競合各社は、概して当社グループより大きな顧客基盤を持ち、当社グループより豊富な財源、技術的資源及び人的資源を有しています。これらの当社グループに対する優位性により、競合他社が技術革新を進め、高性能な新製品を開発・販売した場合、または当社グループの製品よりも安価な製品を提供し、さらに自社製品をより効率的に販売促進した場合などにおいて、当社グループが十分な競争力を発揮できない事態となれば、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 技術革新とライフサイクルの短期化について
当社グループは、先端の生産技術を駆使した製品を販売しておりますが、近年、リチウムイオン二次電池産業全体の技術革新が加速化しており、リチウムイオン二次電池部材全体の性能改善が強く求められる傾向があります。当社グループは、今後もリチウムイオン二次電池用セパレータの超薄膜化や耐熱性向上の為の研究開発を強化する方針であります。
しかしながら、当社グループの予測よりも早く技術革新が起こった場合、新製品の販売開始時期が遅れ、また、既存製品が陳腐化することが想定され、その結果、市場での競争力を失い当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 製品の品質にかかるリスク
当社グループでは、高品質の製品を安定して供給する努力を継続しておりますが、設備等の不良や顧客要求の厳格化等により計画通りの品質や稼働率を達成できず、結果として販売単価や生産数量が下落する可能性があります。また、当社グループではIATF16949に基づいて厳格な品質管理を実施し、出荷製品につきましては細心の注意を払っております。しかし出荷製品の不具合により、製品回収や損害賠償、取引の停止等が発生する可能性があります。このような事態が生じた場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
⑤ 知的財産権について
当社グループは、リチウムイオン二次電池用セパレータ製造技術に関する特許を保有しており、今後も更なる研究開発を進め、必要に応じて特許を出願する方針であります。しかしながら、当社グループが現在出願している特許及び将来出願する特許の全てが登録されるとは限らず、当社グループの技術やノウハウを必ずしも適切に保護できるとは限りません。
また、当社グループは、第三者の知的財産権を侵害しないように常に留意し、定期的に外部の弁護士・弁理士等を通じて調査をしておりますが、万一、当社グループが第三者の知的財産権を侵害した場合には、当該第三者より製造の差し止めや損害賠償などを請求される可能性があります。その場合、当社グループの経営陣が多大な時間と労力の投入を強いられ、弁護士費用等の費用が増加し、当社グループの評判が低下することにより、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 原材料及び燃料の価格変動に関するリスク
当社グループのリチウムイオン二次電池用セパレータの主材料であるポリオレフィンの価格は安定しておりますが、当社グループの生産活動においては、多くの原材料を使用するため、これらについて供給の逼迫や遅延、価格の高騰等が生じた場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 特定仕入先への依存に関するリスク
当社グループがリチウムイオン二次電池用セパレータの製造において購入する資材等には、仕入先や供給品の代替が困難なものや、少数特定の仕入先からしか調達できないものがあります。当社グループで使用する資材、部品、その他の機械・装置等が、現在十分確保されていると認識しておりますが、今後、特定の仕入先における経営悪化や天災等の事情により、供給の遅延・中断や供給不足が生じる可能性があります。当社では、代替調達先を用意する努力を継続しておりますが、その場合にも安定供給が可能であるという保証はありません。また、資材価格の値上りが生じた場合、資材の調達に多額の費用が必要となる可能性があります。こうした事態が生じた場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 顧客の集中に関するリスク
当社グループの売上高は、一部特定の企業によって占められており、当連結会計年度における売上高の90.5%を1社が占めております。今後も売上の多くを限られた数の顧客に依存することになると予測しております。かかる顧客が当社グループからの製品の購入を大幅に減らさないという保証はなく、また当社グループからの製品の購入を中止しないという保証もありません。そのため、かかる顧客による当社グループの製品の購入が減少した場合や、中止された場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑨ カントリーリスクについて
当社グループ製品の100%は韓国の連結子会社2社(W-SCOPE KOREA CO., LTD.、W-SCOPE CHUNGJU PLANT CO., LTD.)によって生産されております。また当社グループの海外売上高は、前連結会計年度において44,828百万円(海外売上高の割合99.4%)、当連結会計年度において47,816百万円(海外売上高の割合99.5%)であります。W-SCOPE KOREA CO.,LTD.は、販売先の現地におけるサービスを行うために、現在香港・中国深圳に子会社を設立しております。当社グループは今後も国内、韓国、中国、ハンガリー、米国のみならず、その他海外向けの販売を強化する計画であるため、地域展開と共に海外の子会社が増える可能性があります。したがって、顧客及び当社グループ子会社が存在する国または地域の政治的、経済的情勢及び政府当局が課す法的な規制の影響またはテロ、戦争、感染症、自然災害その他の要因による社会的混乱により当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社の連結子会社であるW-SCOPE KOREA CO., LTD.及びW-SCOPE CHUNGJU PLANT CO., LTD.は、外国人投資地域に入居した場合に申請が可能な団地型の租税減免決定を受けております。これらにより、生産ライン毎に利益を初めて計上した年から3年間に渡り法人税の100%の減免を受け、その後2年間に渡り法人税の50%の減免を受ける優遇税制の適用を受けています。但し、租税特例制限法の規定によりますと大韓民国国民等が外国法人または外国企業の議決権のある株式または出資持分を直接または間接に10%以上を所有し、その外国法人または外国企業が租税減免を受けられる外国人投資を行う場合、大韓民国国民等のその外国法人または外国企業に対する株式所有比率に対しては、租税減免対象になりません。
当連結会計年度末現在の韓国の法人税率は、2億ウォン以下分については10%、2億ウォン超過・200億ウォン以下分については20%、200億ウォン超過分については22%が適用されており、当連結会計年度末現在においてはW-SCOPE KOREA CO., LTD.及びW-SCOPE CHUNGJU PLANT CO., LTD.は減免率による減免を享受することになっています。しかし、租税特例制限法上の減免税額の追徴事由が発生した場合、かかる優遇税制の適用期間の満了により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
最近2連結会計年度の販売地域別の売上高の内訳
⑩ 販売先が海外に集中しており、与信管理や取引先管理が十分に行われないリスク
当社グループはアジア及び欧米等の諸外国において主に事業展開しております。海外の国・地域においては商習慣の違いにより取引先との関係構築においても予想し得ないリスク等、予測不可能な事態が生じる可能性があります。当社グループでは、与信管理規程等各種規程を厳格に運用し、与信審査を十分に行い、特に中国市場におきましては、一部は販売協力会社を通じて販売し、また一部は前受金決済でのビジネスにより、売上債権等の未回収リスクの低減を図っております。しかし、予期しない事態により、取引先が不測の債務不履行等に陥り、当社グループが有する債権の回収が困難となる場合には、当社グループの業績等が悪影響を受ける可能性があります。
⑪ 為替変動の影響について
当社グループ製品は、連結子会社W-SCOPE KOREA CO.,LTD.及びW-SCOPE CHUNGJU PANT CO.,LTD.で生産され、世界各国で主に米ドル建で販売活動を行っており、為替レートの変動による影響を受けております。また子会社の外貨建ての利益、費用、資産及び負債の評価は為替レートの変動による影響を受けております。
事業活動において為替変動リスクを完全に排除することは困難でありますので、今後著しい為替変動があった場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑫ 設備投資にかかるリスク
当社グループは、当連結会計年度において、W-SCOPE KOREA CO., LTD.で第11号、第12号コーティング設備、W-SCOPE CHUNGJU PLANT CO., LTD.で第5号~第8号成膜生産ライン(成膜生産ライン累計第14号~第17号)及び第5号・第6号コーティング設備(コーティング設備累計第17号・第18号)への投資を行っておりますが、今後の市場環境の急速な変化や、設備の立ち上げの遅延等により、投資決定時に比べ投資回収期間が長期化することで当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、当社グループが予定通りの増産計画が達成できなかった場合には、顧客の供給量に関する要求にこたえることができないなどの理由により、当社グループ製品の購入を減少させる又は中止させることで、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
⑬ 人材の確保と定着に関するリスク
当社グループは、製品を開発、製造し、製品についての顧客サポート及びマーケティングを行うため、これらの分野における経験を有する専門性の高い研究者及び装置の開発に熟知している技術者を中心に採用しなければなりません。また、韓国においては、専門性を有する人材はソウルへ一極集中傾向があり、経験者の採用に課題があります。
当社グループにおいても、主要な人材を採用及び確保できない場合、当社グループの事業運営が混乱し、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑭ 新規事業に関する投資リスク
当社グループでは、リチウムイオン電池用のセパレータの開発製造によって培ったメンブレンフィルムの生産技術を他の用途に転用すべく、新規事業として取り組んでいます。現在はメンブレンフィルムを淡水化フィルターなど工業用用途に使用する為のフィルムの開発を行っておりますが、これらが成果をもたらすという保証はなく、研究開発費用の支出の回収が困難となる可能性があります。
⑮ 特定の人物への依存について
当社グループの取締役はそれぞれ、経営、技術開発、マーケティング、営業戦略、製造戦略等当社グループの業務に関して専門的な知識・技術を有し重要な役割を果たしています。これらの者が当社を退職した場合や、病気等の事情で業務遂行が困難となった場合、後任者の選任に関し深刻な問題に直面する可能性があり、当社グループの事業展開及び経営成績に重要な影響が生じる可能性があります。
⑯ 法的規制等に関するリスク
当社グループが事業を行っている国及び地域では、投資に関する許認可や輸出入規制のほか、商取引、独占禁止、製造物責任、環境、労務、特許、租税、為替等の各種関係法令の適用を受けています。当社グループは、こうした法令及び規制を遵守し公正な企業活動に努めておりますが、万一当社グループに適用される規制に反することにより、当社グループに制裁金が課されたり、一定の事業活動が強制的に停止させられたりする場合や法令・規制違反を理由とする訴訟や法的手続きにおいて、当社グループにとって不利な結果が生じた場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑰ 特徴的な組織構成について
当社グループはグローバルに事業を展開しており、日本本社のほか、韓国、中国、ハンガリーに連結子会社を保有しております。その中でも、当社グループの製造拠点を韓国に所在する連結子会社であるW-SCOPE KOREA CO.,LTD. 及びW-SCOPE CHUNGJU PLANT CO., LTD.に集約させるなど、特徴ある組織構成を構築しており、役職員は、日本本社が16名、韓国子会社が1,388名、中国子会社が5名、ハンガリー子会社が1名となっております。また当社は製造業として製造現場を最重要視し、日本本社の取締役7名のうち2名を韓国に駐在させております。
当社グループでは、今後の事業拡大に伴い人員の増強、内部管理体制の一層の充実に努め、複数の国で事業展開を行うにあたってのグループ全体のコミュニケーションの充実を図っていく方針でありますが、必要な人員が確保できない場合や内部管理体制の充実に適切かつ充分な対応ができない場合、国家間の通信手段の途絶等によりグループ全体のコミュニケーション等が迅速に行えないような場合には、当社グループにおけるガバナンスが発揮できなくなるおそれがあり、業務遂行及び事業拡大に影響を及ぼす可能性があります。
⑱ 自然災害、操業上の事故に関するリスク
当社グループが事業を行っている国及び地域では、地震、台風等の自然災害の影響を受ける可能性があります。同様に火災等の事故災害が発生した場合、当社グループの拠点の設備等に大きな被害を受け、その一部または全部の操業が中断し、生産及び出荷が遅延する可能性があります。また、損害を被った設備等の修復のために多額の費用が発生し、結果として、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、生産設備において生じうる一定の損失を補償するために、当社グループの財産に対する損害及び製 造の中断をカバーするための保険に加入していますが、かかる保険は生じうる全ての損失や費用をカバーできない可能性があります。そのため自然災害、操業上の事故等により当社グループの制御できない事象により大きな損失を被った場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑲ ストック・オプションについて
当社は、新株予約権方式によるストック・オプション制度を採用しており、当連結会計年度末現在における潜在株式数は3,554,000株で、発行済株式総数55,225,600株に対する割合は、6.4%となります。当社は、当該制度が役員や従業員等の業績向上に対する意欲を持たせることを目的とした有効な制度であると認識しており、今後もストック・オプションの発行を実施する可能性があります。従いまして、当該新株予約権が行使された場合及び新たに発行・行使された場合には当社の株式価値は希薄化することになります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度の世界経済は、緩やかな回復基調が続く一方で、物価上昇による影響に加え、欧米を中心とした金融引き締めや中国経済の減速による影響等、不透明な状況が続きました。
なお、当連結会計年度は決算期変更の経過期間にあたるため、2023年1月1日から2024年1月31日までの13か月間となっております。前期は12か月であるため比較対象期間が異なりますが、参考数値として増減額及び増減率を記載しております。
当社グループの主力事業であるリチウムイオン二次電池セパレータ事業においては、車載用電池市場の成長は続いているものの、欧州や中国での補助金政策の見直しなどにより、EV販売台数の成長が鈍化し車載用電池需要が減少しました。また、民生用途の電池需要についても世界的な在庫調整の影響により、電池メーカー各社の生産量が減少しました。このような状況において、当社の車載用セパレータはハイエンド向けが主力であるため、当初見通しは下回ったものの販売数量は増加し、車載用電池向けの売上高は、前年同期比130.9%の29,766百万円となりました。一方で、民生用途については、コードレス家電およびE-Bike用の電池需要は安定しているものの電動工具の需要が落ち込んでいるため、民生用電池向けの売上高は、前年同期比70.7%の15,818百万円となりました。また、新規事業であるイオン交換膜の生産が始まり、これに伴う売上高は2,458百万円となりました。これらの要因により当期連結売上高は48,043百万円となり、前年同期比2,942百万円(同6.5%増)の増収となりました。
営業利益に関しては、売上高が前年同期比2,942百万円の増収となった一方で、販売数量の増加に伴い原材料費846百万円、減価償却費527百万円、人件費1,056百万円など、売上原価等の費用が前年同期比6,527百万円増加しました。なお、当連結会計年度に負担が大きかった水道光熱費は、前年同期比521百万円の増加となりました。また、研究開発費に関しては、車載用途新モデルの開発費及び生産性改善のための工程テストの費用が中心となっております。また、世界的なコスト上昇が継続している中、生産性の改善は継続して行っております。
これらの結果、当連結会計年度の営業利益は前年同期比で3,963百万円減少し、3,865百万円(前年同期は7,829百万円)となり、営業利益率は8.0%(前年同期は17.4%)となりました。
製造の状況に関しては、W-SCOPE KOREA CO., LTD.(以下、WSK)で行っていた既存成膜ラインの生産性向上のための改修工事は完了し、複数の顧客に対して量産サンプルを提出し、評価を継続している状況です。W-SCOPE CHUNGJU PLANT CO., LTD.(以下、WCP)においては、当第4四半期連結会計期間において新規成膜ライン2本の据え付けに取り組んでおりますが、新規成膜ラインの量産稼働はなく、設備は総じて安定的な稼働状況となりました。
営業外収益は米ドル建て債権債務で為替評価差益217百万円を計上しており、営業外費用として支払利息497百万円などがありました。結果として、税金等調整前当期純利益は4,600百万円(前年同期は税金等調整前当期純利益8,294百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は939百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益4,413百万円)となりました。
当連結会計年度の平均為替レートにつきましては1米ドルが140.64円、1,000韓国ウォンが107.6円となりました。なお、在外連結子会社の収益及び費用は、連結子会社期中平均レート(1米ドル140.18 円、1,000韓国ウォン107.4円)により円貨に換算しております。
当社グループはリチウムイオン二次電池用セパレータ事業の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載を省略しております。
当連結会計年度末における資産につきましては171,000百万円となり、前連結会計年度末に比べ31,473百万円増加しました。また、負債につきましては47,202百万円となり前連結会計年度末に比べ20,939百万円増加し、純資産につきましては123,797百万円となり前連結会計年度末に比べ10,533百万円増加しました。それぞれの主な要因は以下のとおりであります。
なお、在外連結子会社の資産及び負債は、連結子会社決算日(12月31日)の直物為替レート(1米ドル141.28 円、1,000韓国ウォン109.6円)により円貨に換算しております。
(資産)
流動資産につきましては36,264百万円となり、前連結会計年度末に比べ20,584百万円の減少となりました。これは主として、棚卸資産が1,575百万円増加した一方で、現預金が20,826百万円、売上債権が1,575百万円減少したことによるものであります。固定資産につきましては134,735百万円となり、前連結会計年度末に比べ52,057百万円の増加となりました。これは主として、機械装置及び運搬具が2,111百万円減少した一方で、建設仮勘定が49,625百万円、建物及び構築物が3,320百万円増加したことによるものであります。
(負債)
流動負債につきましては33,232百万円となり、前連結会計年度末に比べ16,385百万円の増加となりました。これは主として、短期借入金が8,413百万円、1年内返済予定の長期借入金が4,825百万円、未払金が3,202百万円増加したことによるものです。固定負債につきましては13,969百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,554百万円の増加となりました。これは主として、長期借入金の増加4,002百万円によるものであります。
(純資産)
純資産の主な増加要因としましては、為替換算調整勘定が2,917百万円増加、非支配株主持分が7,321百万円増加したことによるものであります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ20,826百万円減少し、12,014百万円となりました。主な要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは13,215百万円の収入(前期は6,597百万円の収入)となりました。これは主として、税金等調整前当期純利益の計上4,600百万円、減価償却費の計上7,622百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは51,005百万円の支出(前期28,328百万円の支出)となりました。これは主として、有形固定資産の取得による支出50,551百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは15,015百万円の収入(前期41,686百万円の収入)となりました。これは主として、長期借入金の返済による支出3,003百万円、短期借入金の返済による支出2,591百万円があった一方で、長期借入れによる収入11,169百万円、短期借入れによる収入10,525百万円によるものであります。
当連結会計年度における生産実績は、次のとおりであります。
(注) 1 当社及び連結子会社は、リチウムイオン二次電池用セパレータ事業の単一セグメントであるため、生産実績は、セグメント情報に関連付けた記載を省略しております。
2 金額は、製造原価によっております。
当社グループの製品は、販売先からの受注による受注生産ですが、生産から納入までの期間が極めて短いため、現実的には販売先からの月次あるいは四半期の購入計画情報を基に、過去の実績、生産能力を勘案した見込生産的な生産形態を採っており、受注高及び受注残高を算出することが困難でありますので、その記載を省略しております。
当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。
(注) 1 当社及び連結子会社は、リチウムイオン二次電池用セパレータ事業の単一セグメントであるため、販売実績は、セグメント情報に関連付けた記載を省略しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
当社グループの当連結会計年度のROICは、営業利益が前年同期比3,963百万円減少し、3,865百万円となったことから、3.69%となりました。これは当社グループの主力事業であるリチウムイオン二次電池セパレータ事業においては、EV販売台数の成長が鈍化し車載用電池需要が減少たことや、民生用途の電池需要が世界的な在庫調整の影響により、電池メーカー各社の生産量が減少したことで、売上高の増加が当初の計画を下回ったことと、その中で将来に向けた生産設備の改良や設備投資を進めたことにより営業利益率が低下したことが主な要因です。
当社は、投資家の皆様の期待収益率を上回るROIC(5%以上を想定)を目標として取り組んでおります。2025年1月期連結会計年度も、この需要傾向は暫く続くと見られていますが、これは一時的でなものであり、中長期の電池需要はEV需要の増加に伴って増加傾向が続くと見込まれています。当社ではこの中長期の需要増加に対応すべく、コスト削減のための生産設備の改良や、供給能力増強のための設備投資を続けていますので、世界的な電池需要の回復に伴って、ROICは改善していくものと見込んでいます。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績の分析
(売上高)
車載用電池市場の成長は続いているものの、欧州や中国での補助金政策の見直しなどにより、EV販売台数の成長が鈍化し車載用電池需要が減少しました。また、民生用途の電池需要についても世界的な在庫調整の影響により、電池メーカー各社の生産量が減少しました。このような状況において、当社の車載用セパレータはハイエンド向けが主力であるため、当初見通しは下回ったものの販売数量は増加し、車載用電池向けの売上高は、前年同期比130.9%の29,766百万円となりました。一方で、民生用途については、コードレス家電およびE-Bike用の電池需要は安定しているものの電動工具の需要が落ち込んでいるため、民生用電池向けの売上高は、前年同期比70.7%の15,818百万円となりました。また、新規事業であるイオン交換膜の生産が始まり、これに伴う売上高は2,458百万円となりました。これらの要因により当期連結売上高は48,043百万円となり、前年同期比2,942百万円(同6.5%増)の増収となりました。
(売上総利益)
当社グループの当連結会計年度の売上総利益は、6,328百万円(前年同期は売上総利益9,913百万円)となりました。
主な要因は、労務費や減価償却費等の固定費増加によるものであります。
(販売費及び一般管理費並びに営業損益)
当社グループの当連結会計年度の販売費及び一般管理費は2,462百万円となりました。販売費及び一般管理費のうち主要なものは役員報酬186百万円、給与手当678百万円、支払手数料442百万円、支払報酬263百万円、運送費136百万円であります。
この結果、当連結会計年度の営業利益は3,865百万円(前年同期は営業利益7,829百万円)となりました。
(営業外損益及び経常損益)
当社グループの当連結会計年度の営業外収益は、主に受取利息557百万円、為替差益217百万円、助成金収入90百万円により1,254百万円となり、営業外費用は、主に支払利息497百万円により519百万円となりました。
この結果、当連結会計年度の経常利益は4,600百万円(前年同期は経常利益8,294百万円)となりました。
(特別損益及び親会社株主に帰属する当期純損益)
当社グループの当連結会計年度の特別利益、特別損失の発生はありませんでした。この結果、税金等調整前当期純利益は4,600百万円(前年同期は税金等調整前当期純利益8,294百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は939百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益4,413百万円)となりました。
b. 資本の財源及び資金の流動性の分析
当社の資金需要のうち主なものは、設備投資資金のほか、材料等の仕入や研究開発費用等であります。設備投資資金につきましては、株式市場及び金融機関からの長期借入金を基本としており、運転資金につきましては、金融機関からの短期借入金を基本としております。なお、当連結会計年度における借入金残高は34,862百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び預金の残高は12,014百万円となっております。
c. 経営戦略の現状と見通し
2025年1月期通期は、主要顧客と締結している2027年までの長期供給契約をベースとして、売上は安定的に増加する見込みであることから、連結売上高は前年比4.1%増加の50,000百万円となる見通しです。また、売上原価については、既存設備の改修工事やその承認に係る費用負担が軽減されることで低減する見込みであるものの、WCPでの新規2ラインの立ち上げ費用が増加することが想定されます。また、販売費および一般管理費においては、中東地域の海上輸送の混乱からハンガリー向けの海上運賃の上昇と、一部の製品輸送を航空貨物に切り替えるなどの対応を取らざるを得ず、運送費が大幅に上昇する見込みです。これらの状況を勘案し営業利益は、前年同程度の営業利益率8.0%を見込み、4,000百万円としています。
昨年から電気自動車(EV)購入に対する各国政府の補助金の削減によるEV車の需要減少や、民生用電池の在庫調整により、世界的に電池需要が低迷している状況にあります。一時は全世界でのEV需要が電池生産能力を上回る状況が見込まれていましたが、短期的にはそのような状況は一旦沈静化し、中長期的には安定的にEV需要が回復すると予想されます。当社計画では、2024年下半期から米国向けの主要顧客への製品出荷が始まる予定でもあり、2030年までのグローバルでの営業見込みを精査した結果、販売数量は今後も大きく増加するものと見込んでいます。この需要増加に対応するため、既存の生産設備に当社独自の新しい量産技術を付加する改造及び開発を進めております。また、ハンガリーでの設備投資においても、当初計画の通りに進めております。さらに、生産地域が多角化し、世界的に人件費が高騰傾向にある中で、製品品質の安定性確保と人件費削減を目指し、製造工程各所の自動化設備導入への取り組みを開始しております。
なお、今後の米国向け出荷量増加に備えて北米への工場進出を検討中ですが、その詳細は確定しておりません。その要因として、米国政府より発表されましたインフレ抑制法(IRA)によって、米国でのEV関連産業について一定の指針が示されましたが、その内容に変更が生じる可能性があります。そのため、その情勢を注視している状況であり、年内には確定する予定です。
イオン交換膜事業については、POSCOアルゼンチン法人へのイオン交換膜スタックモジュールの出荷は材料の納品遅延により遅れていましたが、この2月から出荷が開始されています。契約金額2,600万米ドルのうち、2024年1月期に2,458百万円を計上していますので、2025年1月期にその残金を売上計上する見込みです。POSCO HOLDINGSとは、POSCOアルゼンチン法人へ出荷した製品の評価が行われた後、他のPOSCO関連会社との新規供給契約の締結が進められていくこととなります。
業績見通しの前提となる2025年1月期の平均為替レートにつきましては、対1米ドル135円、対1米ドル1,250ウォン、対1,000ウォン108.0円を想定しております。
また、当社は、当連結会計年度から決算期を12月31日から1月31日に変更いたしました。当期実績につきましては、決算期変更の経過期間にあたるため、2023年1月1日から2024年1月31日までの13か月となっております。次期は12か月であるため比較対象期間が異なりますが、参考数値として増減率を記載しております。
(1) 土地の賃貸借に関する契約
(注) 賃借料減免事項は、契約日2005年11月より3年以内に外国人投資資金が30,000,000ドルを超えた場合、
土地の賃借料が減免されるというものであります。
入居契約申請の際に提出した工場設立事業契約書による外国人投資計画を履行しない場合または入居契約後に外国人投資家の持分が30%未満に変動する場合等には同契約は解除されることもあります。また、解除事由によって契約が解除される場合、これに対する損害賠償を請求することができず、復旧費用等に対して賠償責任があります。
上記の外国人投資契約に従って契約日以降の現在における累積投資額は30,000,000ドルを超過しており、外国人投資計画書上の条件は満たしている状態であります。
(2) 土地(第2工場用地)の賃貸借に関する契約
(注)賃借料減免事項は、2020年6月30日以内に外国人投資資金が8,498,361ドルを超えた場合、土地の賃借料が減免されるというものであります。
入居契約申請の際に提出した工場設立事業契約書による外国人投資計画を履行しない場合または入居契約後に外国人投資家の持分が30%未満に変動する場合等には同契約は解除されることもあります。また、解除事由によって契約が解除される場合、これに対する損害賠償を請求することができず、復旧費用等に対して賠償責任があります。
上記の外国人投資契約に従って契約日以降の現在における累積投資額は8,498,361ドルを超過しており、外国人投資計画書上の条件は満たしている状態であります。
(3) 土地(第3工場用地)の賃貸借に関する契約
(注)賃借料減免事項は、2021年10月20日以内に外国人投資資金が7,896,651ドルを超えた場合、土地の賃借料が減免されるというものであります。
入居契約申請の際に提出した工場設立事業契約書による外国人投資計画を履行しない場合または入居契約後に外国人投資家の持分が30%未満に変動する場合等には同契約は解除されることもあります。また、解除事由によって契約が解除される場合、これに対する損害賠償を請求することができず、復旧費用等に対して賠償責任があります。
上記の外国人投資契約に従って契約日以降の現在における累積投資額は7,896,651ドルを超過しており、外国人投資計画書上の条件は満たしている状態であります。
(4)土地の賃貸借に関する契約
(注)賃借料減免事項は、2021年12月14日以内に外国人投資資金が33,435,513ドルを超えた場合、土地の賃借料が減免されるというものであります。
入居契約申請の際に提出した工場設立事業契約書による外国人投資計画を履行しない場合または入居契約後に外国人投資家の持分が30%未満に変動する場合等には同契約は解除されることもあります。また、解除事由によって契約が解除される場合、これに対する損害賠償を請求することができず、復旧費用等に対して賠償責任があります。
上記の外国人投資契約に従って契約日以降の現在における累積投資額は33,435,513ドルを超過しており、外国人投資計画書上の条件は満たしている状態であります。
(5)土地の賃貸借に関する契約
(注)賃借料減免事項は、2029年3月7日以内に外国人投資資金が6,008,714ドルを超えた場合、土地の賃借料が減免されるというものであります。
入居契約申請の際に提出した工場設立事業契約書による外国人投資計画を履行しない場合または外国人投資企業として登録されない場合等には同契約は解除されることもあります。また、解除事由によって契約が解除される場合、これに対する損害賠償を請求することができず、復旧費用等に対して賠償責任を負うことになります。
今後、上記の外国人投資契約に従って、投資を進めていくこととなります。
当社グループは、リチウムイオン二次電池用セパレータ事業の単一セグメントであるため、研究開発活動は、セグメント情報に関連付けた記載を省略しております。
当連結会計年度における研究開発活動は、市場の新たなニーズに応えることのできるリチウムイオン二次電池用セパレータの開発、安定的な高品質製品の供給に資する生産システムの開発、イオン交換膜や新規素材の開発を目的として、日々活動しております。
また今後も引き続き、高品質なリチウムイオン二次電池用セパレータ、イオン交換膜などの新規素材及びその生産技術の開発に鋭意努力してまいります。
当社グループの研究開発活動は、連結子会社W-SCOPE KOREA CO.,LTD.に設置した研究所(構成メンバー29名)、W-SCOPE CHUNGJU PLANT CO., LTD.に設置した研究所(構成メンバー37名)及び当社開発部(構成メンバー1名)により遂行しております。
当社グループでは、リチウムイオン二次電池用セパレータやその他の新規素材などの開発を中心として、以下のような研究を行っております。
これらの研究開発活動により、当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額は