第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

 当社グループは、「リアルなITコミュニケーションで豊かな社会形成に貢献する」ことを経営理念とし、一部の先進企業だけでなく、全ての企業にすぐれたITのメリットを提供することを目指しております。この経営理念を実践するため具体的には以下の三つを行動指針としております。

①柔軟な思考と発想で、次世代のニーズをつかむ
②ゼロから何かを生み出す喜びをお客様とともに
③一人ひとりがパイオニア精神を持ち続けること
 

(2) 目標とする経営指標

 当社グループは、技術革新のスピードが速く、常に革新的な製品・サービスが求められるIT業界に属しております。そのような状況の中、当社は研究開発や難易度の高い開発を受託することで社内に技術を蓄積し、技術的優位性を維持しながら、市場ニーズに応じた革新的な製品・サービスを適切な時期に市場に投入することで、販売価格がリーズナブルながらも高い利益率を確保することを目標としております。
 具体的な経営指標としては、売上高成長率及び売上高経常利益率の向上に努めてまいります。当連結会計年度の売上高成長率は10.1%(前連結会計年度1.5%)、売上高経常利益率は20.8%(前連結会計年度22.2%)となっております。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

 2030年までに国内グループウェアのトップブランドとしてのポジションと評価を確立し、シェアNo.1、累計1000万ユーザーを目指してまいります(2024年1月末時点の販売累計ユーザー数:507万ユーザー)。当社グループの強みである信頼のある高い技術力、先進的なITの実用化に対するいち早い取り組みをさらに強化・挑戦し続けてまいります。

 事業構造としましては、ソフトウエア事業においてクラウドサービス、サポートサービスの安定したストック型ビジネスに、当社が得意とするエンタープライズ向け製品・サービスのシェアを伸ばすことで、安定的な収益モデルを堅実に成長させるとともに、システム開発サービス事業とのシナジーの追求や海外子会社による新たな収益事業の立ち上げや海外販売にもチャレンジしてまいります。

 

(4) 経営環境及び対処すべき課題

 インターネット関連技術は、技術の進歩が著しく、それに応じて業界標準及び利用者ニーズが急速に変化するなど当社の事業環境は日々変化しております。ソフトウエア事業においては、多様なユーザーニーズに応えるためクラウドサービスおよびライセンス(オンプレミス)の双方で販売を行っておりますが、クラウドサービスの利用が一般的に拡大しており、官公庁でのクラウドサービス利用拡大も見込まれることから、今後もクラウドサービスの売上は安定的に成長すると想定しております。この結果、ソフトウエア事業の売上に占めるクラウドサービスの割合は今後も増加していくものと考えております。ライセンスについては、クラウドサービスの利用が広がっているものの、大規模ユーザーにおいては、運用環境が整備されていることや価格面からライセンスを選択する傾向が当面継続すると想定しております。このような中、当社製品は、大規模ユーザーで使用した場合の性能と価格面で特に競争力を有すると考えており、大規模ユーザー向けのライセンス販売は今後も安定的に推移すると見込んでおります。

 

 高性能でありながら低価格な製品・サービスの開発を可能とすることができるのは、社内に蓄積された高い技術力に起因するものであると認識しております。そのため、今後も技術力を維持し、さらに高めていくためには優秀な技術者の採用・育成が重要でありますが、優秀な技術者の採用競争は激化しており、この傾向は継続するものと考えております。

 当社は、職場におけるコミュニケーションや情報共有を円滑にすることに資するような製品・サービスの開発を行ってまいりました。一方で、リモートワークの拡大による職場という概念自体の変化、働き方に対する意識の変化、デジタルトランスフォーメーション(DX)の急速な進展などの変化が生じており、こうした変化に対応した製品・サービスを継続的に開発していくとともに、既存製品・サービスの認知度を高めていくことが重要であると認識しております。

 システム開発サービス事業においては、顧客企業のIT投資動向の影響を受けるものの、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進など競争力を確保するためのIT投資は当面底堅く推移するものと想定しております。このような中、システム開発サービス事業の売上は当面安定的に推移すると想定しておりますが、人員等の制約によりボリュームを大きく増加させることは現実的ではなく、また、将来的にはビジネススピードを重視し内製化が進むことも想定されるため、デジタルトランスフォーメーション(DX)の実現に求められる技術力を蓄積し、より付加価値の高いサービスの提供にシフトしていくことが重要であると認識しております。

 このような事業環境の中、当社グループが継続的に事業規模を拡大させていくためには、下記の課題への対応が必要であると考えております。

 

① クラウドサービスの安定的・効率的な運用体制の構築・維持

 ソフトウエア事業で展開しているクラウドサービスは、ソフトウエア事業の売上の2/3程度を占める規模に成長しており、中期的に安定的な継続成長を見込んでおります。今後も利用者の増加が見込まれる中、クラウドサービスを安定的に提供するためには、計画的なサービス基盤拡大と、運用体制の充実に取り組んでまいります。

 

② 官公庁・自治体のクラウド化への対応

 当社の得意とする官公庁・自治体市場においても、DXを推進するための基盤としてクラウドサービスでの利用が増加していくことが見込まれています。官公庁・自治体のクラウド化へのシフトを見据え、当社はサービス提供者として課せられ条件を満たすソリューションを提供できるようにする必要があります。具体的には、LGWAN-ASP対応や政府機関にクラウドサービスを提供する場合に求められるセキュリティ評価水準であるISMAP(Information System Security Management and Assessment Program)認定取得に向けて取り組んでまいります。

 

③ ノーコード業務アプリ作成ツールAppSuite・ビジネスチャットChatLuckの拡販

 当社は主力製品・サービスとしてグループウェアdesknet’s NEOを提供しておりますが、この他ノーコード業務アプリ作成ツールのAppSuite、ビジネスチャットのChatLuckなどを提供しております。

 AppSuiteのクラウドサービスの売上高は前年同期比31.8%増と大きく増加しておりますが、利用ユーザー数はdesknet's NEOのクラウドサービスの10%程度となっており、ユーザー数を大きく拡大する余地があると認識しております。desknet’s NEOの既存ユーザーへのクロスセルの推進や組織の一部で利用されているようなお客様での利用ユーザー範囲の拡大等に注力することに加え、AppSuiteのアプリライブラリの充実や継続的な機能改善により、AppSuiteを起点としたユーザーの獲得に努めてまいります。

 ChatLuckにつきましては、クラウドサービスの売上高も前年同期比8.7%増と売上高は増加しておりますが、パッケージ製品として提供している点が当社の強みの一つであると認識しております。パッケージ製品の売上高は前年同期比21.3%増と、今後も官公庁をはじめとする中規模以上のユーザーでの利用拡大が期待できる領域であるため、拡販に努めてまいります。

 

 

新たな顧客を創造する新製品・新サービスの開発・提供、既存製品・サービスの強化

 スマートフォンやタブレットの普及拡大やクラウドコンピューティング市場の発展、AIやIoT技術の発展、変化する働き方などに対応した新製品・新サービス提供の重要性が高まっております。これらの変化に対応するため、付加価値機能の追加などによる既存製品・サービスの強化充実、顧客ニーズを満たす新製品・新サービスの開発に取り組んでまいります。

 

⑤ 人材の確保・育成

 当社が属する業界において優秀な人材を確保することは、企業の発展、成長に欠かせない要件となっております。当社は、先進的なITの実用化に挑戦し続けることによって、当社の強みである信頼のある高い技術力をさらに強化し、日本屈指のソフトウエア技術力を持つ会社となることを目指しております。この目標に向けて、当社においては、継続的に新卒採用を行い、その後の技術者等育成に注力してまいりました。今後も新卒採用を中心に人材採用を行い、優秀な人材へと育成していくという基本方針は変わりませんが、我が国は少子高齢化が進み、若い人材の不足は今後一層深刻となり、新卒採用による人材、特に技術者の確保が困難になっていくことが見込まれることから、採用活動の充実、強化に加え、即戦力としての中途採用による技術者の確保・拡大にも努めてまいります。また、従業員が仕事を通じて自己実現を果たし、従業員満足度が高く、従業員が誇れる会社となるべく継続的に組織、人事制度を見直してまいります。

 

⑥ サステナビリティに関する取り組み

 当社は、持続的な企業価値向上のためESGを含むサステナビリティ経営を推進することが重要であると考えております。当連結会計年度において新たに設置したサステナビリティ委員会を中心に継続的に取組みをすすめるとともに、活動内容の開示に努めてまいります。また、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)による提言に対しては、当連結会計年度に賛同を表明し、同提言に基づく情報開示を行っております。 

 今後も、当社の事業活動を通じて上記の課題への取り組みを推進し、気候変動に係るリスク等については、TCFD又はそれと同等の枠組みに基づく情報開示を行うことでステークホルダーの皆様との信頼関係の構築に努め、持続可能な社会の発展に貢献することで企業価値の向上に努めてまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したもの、もしくは提出会社が判断したものであります。

 

(1)サステナビリティに関する考え方

当社は創業以来「リアルなITコミュニケーションで豊かな社会形成に貢献する」という企業理念のもと、「すべての働く人を支える」ビジネスICTツール製品とそのサービスの開発に取り組んでまいりました。

地球環境をはじめとするさまざまな社会課題に直面する中、当社が中長期的に持続的な成長を実現するためには、ESG(環境・社会・ガバナンス)の観点を重視した企業経営を推進し、当社の事業活動を通じて社会課題解決に取り組むことが重要であると考えております。

自社開発したICTツールをあらゆる企業・団体の皆様にご活用頂くことで新しい働き方をサポートし、いつ、どこにいても質の高いコミュニケーションが取れる活気に満ち溢れた豊かな社会の創造を目指し、「持続可能な社会の実現」のために貢献してまいります。

 

(2)ガバナンス

①サステナビリティ全般に関するガバナンス

当社グループ全体でサステナビリティを推進する社内体制を構築すべく、常勤取締役を統括責任者とするサステナビリティ委員会を2023年に設置し、当連結会計年度においては3回開催いたしました。本委員会では主に、サステナビリティ関連の方針の検討や、重要事項の共有を行いましたが、これとは別に、サステナビリティに関するテーマ毎の分科会を委員会メンバーにより構成しており、これらの会の活動状況については社内コミュニケーションツールを活用する等、適宜情報共有を行ってまいりました。

 

本委員会は取締役会に対して定期的に(年1回以上)活動状況について報告を行います。当連結会計年度においては3回報告を行い、また外部講師による研修会を1回実施いたしました。取締役会は委員会の取り組みについて監督し、特に重要な事項については審議を行います。

また、本委員会は関係各部署と対応施策について連携することで施策の実行体制を構築いたしております。

 

②気候変動に関するガバナンス

サステナビリティ委員会において当社の気候変動に関する課題の特定や戦略立案、取り組みの推進を行い、当該活動内容について取締役会に対して定期的に(年1回以上)報告を行います。取締役会は委員会の取り組みについて監督し、特に重要な事項については審議を行います。当連結会計年度においては、取締役会はTCFDに関する報告書について審議の上、報告書の内容を承認し、開示することを決議いたしました。

 

(3)戦略

①サステナビリティ全般に関する戦略

当社グループは、創業以来「リアルなITコミュニケーションで豊かな社会形成に貢献する」ことを経営理念とし、ビジョンである「ビジネスICTツールを社会インフラに、すべての企業にITメリットを」と合わせて、持続可能な社会の発展に貢献するためのサステナビリティ経営における基本的な考え方としております。

これに基づき、経営レベルにおける議論を重ね、中長期的成長を果たすための9つの経営重要課題(マテリアリティ)を特定し、関連するマテリアリティを相互に結びつけて分類いたしました。

 

社会との共創、事業における挑戦

 1. 健康で生産的な働き方の実現支援

 2. DXを通じた顧客と地域経済へのエンパワーメント

 3. 顧客の事業継続リスク軽減

 4. デジタル技術を活用したオープンイノベーションによる事業開発

 5. 安全安心な製品の提供

多様な人材が活躍できる組織作り

 6. 当社ならではのデジタル人材の育成と多様化

 7. 健康で生産的な働き方の追求

地球環境との共生

 8. 気候変動リスクへの対応

ガバナンスの充実

 9. 持続可能な経営基盤の構築

 

今後も、当社の事業活動を通じてマテリアリティへの取り組みを推進し、適切な情報開示を行うことでステークホルダーの皆様との信頼構築に努め、社会的価値と経済的価値の創造を目指します。また、社会環境や事業の状況の変化を踏まえて、継続的にマテリアリティの見直しを行うことで、当社の中長期的に持続的な成長と社会課題の解決を両立いたします。

 

 

②気候変動に関する戦略

当社は、事業活動が環境に大きな影響を与えていることを真摯に受け止め、環境との調和を経営課題のひとつとして位置づけ、サプライチェーン全体で環境負荷の低減に努め、持続可能な社会づくりに貢献いたします。

気候変動が当社のソフトウエア事業へ与える影響について、TCFDが提唱するフレームワークに基づいてシナリオ分析の手法により、2030年時点における外部環境の変化を予測し、分析を実施いたしました。

 

想定シナリオ

1.5℃
シナリオ

2050年にCO₂排出ネットゼロを目指す等、世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて1.5℃未満に抑制するシナリオ

[参考資料]

IEA World Energy Outlook 2021. Sustainable
 Development Scenario

•Net Zero Emissions by 2050 Scenario

•IPCC SSP1-1.9

4℃
シナリオ

既に実施済みの政策に加え、公表済みの政策が実現されることを想定したシナリオ

[参考資料]

•IEA World Energy Outlook 2021.Stated Policies Scenario

•IPCC SSP5-8.5

 

 

想定シナリオ

事業への影響

財務影響

1.5℃シナリオ

リスク

事業所の電力代増加

データセンターのコスト増加

低炭素/脱炭素製品の台頭及び製品の市場ニーズとの乖離

機会

トレンドやニーズ対応製品・サービスの提供と開発

ビジネスソフトウエア市場の拡大

4℃シナリオ

リスク

従業員の被災等への対策費増加

データセンターのコスト増加

防災系ソフトウエアの台頭及び市場ニーズとの乖離

安価な製品への乗り換えや製品使用の停止による顧客減少

機会

トレンドやニーズ対応製品・サービスの提供と開発

ビジネスソフトウエア市場の拡大

 

 

③人的資本に関する戦略

当社は、多様な人材を活かし、その能力を最大限発揮できる機会を提供することでイノベーションを生み出し、新たな価値創造を目指します。多様な人材が生き生きとやりがいをもって働き、一人ひとりの個性に応じて成長し、健康に日々を送れるように、各種制度の導入や研修、教育体制の強化を進めます。

 

a. 人材の育成に関する方針及び取組

 これからの当社事業を支え、当社の未来を創造する人材の計画的な採用と育成に取り組んでおります。

「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)経営環境及び対処すべき課題 ⑤人材の確保・育成」で記載のとおり、当社が属する業界において優秀な人材を確保することは、企業の発展、成長に欠かせない要件となっております。当社は、先進的なITの実用化に挑戦し続けることによって、当社の強みである信頼のある高い技術力をさらに強化し、日本屈指のソフトウエア技術力を持つ会社となることを目指しております。この目標に向けて、当社においては、継続的に新卒採用を行い、その後の技術者等育成に注力してまいりました。今後も新卒採用を中心に人材採用を行い、優秀な人材へと育成していくという基本方針は変わりませんが、我が国は少子高齢化が進み、若い人材の不足は今後一層深刻となり、新卒採用による人材、特に技術者の確保が困難になっていくことが見込まれることから、採用活動の充実、強化に加え、即戦力としての中途採用による技術者の確保・拡大にも努めてまいります。

また、高性能でありながら低価格な製品・サービスの開発を可能とする、社内に蓄積された高い技術力は当社の強みの一つであります。社員の育成を通じて、この技術力を維持することは当社の競争力を高める上で非常に重要であると考えております。

当社では育成のベースとして職場におけるOJTは重要な役割を担うと認識しており、社員一人ひとりがOJTを通じて、蓄積された技術や製品・サービスに関するノウハウを習得するよう育成しております。このOJTをバックアップするため、階層や役割に応じた様々な研修を実施しております。

OJTや研修に加えて、社員一人ひとりが主体的に学び、専門性を高めることは、自社の更なる競争力強化につながります。ITパスポートから情報処理安全確保支援士、システム監査技術者等、当社が指定する対象資格を取得した社員には、技術資格取得奨励制度に基づき試験費用の補助や報奨金の支給を行っており、社員の技術力向上を支援しております。

 

b. 社内環境整備に関する方針

多様な人材を活かし、その能力を最大限発揮できる機会を提供することでイノベーションを生み出し、新たな価値創造を実現するために、性別、年齢、人種や国籍、障がいの有無、性的指向、宗教・信条、価値観そしてキャリアや経験、働き方など、多様な人材がそれぞれの持つ能力や特性を最大限発揮できる環境づくりに取り組むことで、自社の競争力強化につなげてまいります。

例えば、育児・介護・その他安全衛生に関する相談窓口を社内に設置しており、育児中の社員及び要介護状態の家族がいる社員は、1日につき実働3時間までの短縮ができます。特に、育児中の社員については小学校6年修了時までの延長が可能となっております。配偶者の出産にあたっては配偶者出産休暇として1日の休暇(有給)を取得することができます。

また、職場における社員の安全と心身における健康を確保するとともに、快適な職場環境を形成するために、産業医や外部機関等と連携し、衛生委員会を中心に労働安全衛生管理体制を構築しております。外部講師を招いての健康づくり会の開催、巡回歯科検診の実施、救命講習への参加などの取り組みを行うと共に情報開示を進め健康経営を推進しております。

これらの取り組みの結果として、当社は経済産業省と日本健康会議が推進する健康経営優良法人認定制度において、従業員の健康管理を経営的な視点でとらえ、戦略的に取り組んでいる法人として「健康経営優良法人(大規模法人部門)」に4年連続で認定されております。

 

(4)リスク管理

サステナビリティ全般に関するリスク管理

当社における全社的なリスクについては、リスク管理規程に基づき、常勤取締役を統括責任者とするリスクコンプライアンス委員会を設置し、定期的なリスクの洗い出し及び対応を図っております。監査役監査、内部監査により把握された問題点については、代表取締役および担当部門の責任者に報告が行われ、社内体制の整備・強化等に取り組むようにしております。

 

②気候変動に関するリスク管理

サステナビリティに関するリスクのうち、特に当社の気候変動関連リスクに関しては、サステナビリティ委員会において、事業のリスクと機会を特定し、財務影響の算出、対応策の検討を行っております。取締役会に対して定期的に(年1回以上)報告を行い、気候変動を含むサステナビリティに関する課題への取り組み状況について、取締役会による監督が適切に行われる体制となっております。また、特に重要な事項については、取締役会にて審議を行い、意思決定をいたします。

気候変動関連リスクに関しては、リスクコンプライアンス委員会等と適宜連携を行い、適切に管理しております。

 

 

(5)指標及び目標

①気候変動に関する指標及び目標

当社では、2020年を基準年度とし、中長期的なCO₂排出量等の削減目標を設定しております。 またグループおよび単体におけるScope1、2の温室効果ガスの排出量を算定し、コーポレートサイト上で開示しております。

  <環境目標>

 

環境ビジョン2050

環境目標2025

電力使用量及びCO₂
排出量

(Scope1+2)

2020年を基準年度とし、2050年度までに一人当たり使用量を50%削減

(30年度は30%削減)

2020年を基準年度とし、全体の排出量は増やさず、2025年度までの5ヵ年で一人当たり排出量を25%削減

廃棄物排出量

(紙使用量)

2020年を基準年度とし、2050年度までに一人当たり使用量を50%削減

(30年度は30%削減)

2020年を基準年度とし、全体の排出量は増やさず、2025年度までの5ヵ年で一人当たり紙使用量を25%削減

 

 

(ⅰ)GHG排出量(CO₂排出量)

2021年度より横浜本社、大阪営業所が所在するビルにおいて使用する電力全てがCO₂フリー電力に切り替わったことにより、CO₂排出量の大幅削減が実現しました。

GHG排出量(Scope1+2)

2018年度

2019年度

2020年度

(基準年)

2021年度

2022年度

電気使用量

(kWh)

131,658

135,418

(164,483)

143,376

(198,562)

144,435

(195,462)

135,998

(186,132)

CO₂排出量

(kg)

60,511

60,737

(73,962)

62,287

(86,624)

12,117

(34,722)

0

(22,861)

1人当たりCO₂排出量(kg)

522

 

464

(397)

410

(325)

76

(125)

0

(82)

 

*集計期間:2月~1月(2023年度についてはデータ集計中)

*燃料の燃焼や工業プロセスがないことから、Scope1とScope2の合計値として開示

*Scope2は各オフィス、連結子会社における電気使用量に係るGHG排出量を集計し算出

*実数は株式会社ネオジャパン単体の実績(名古屋営業所、福岡営業所は含まず)

( )内の数値は当社グループの実績(海外連結子会社、名古屋営業所、福岡営業所は含まず)

 

(ⅱ)廃棄物排出量(紙使用量)

廃棄物排出量(紙使用量)

2018年度

2019年度

2020年度

(基準年)

2021年度

2022年度

紙使用量(枚)

323,500

(361,000)

254,500

(299,500)

234,500

(281,000)

102,000

(132,000)

1人当たり紙使用量(枚)

2,420

(1,910)

1,642

(1,112)

1,440

(999)

594

(463)

 

*集計期間:2月~1月(2023年度についてはデータ集計中)

*各オフィス、連結子会社における紙購入量に基づき算出

*実数は株式会社ネオジャパン単体の実績

 ( )内の数値はネオジャパングループの実績(海外連結子会社は含まず)

*2018年度は未集計

 

②人的資本に関する指標及び目標

当社では一般事業主行動計画にも女性採用比率の向上を織り込んでおり、採用者に占める女性の割合の目標を40%としております。当事業年度における実績は23.8%でした。なお、当該指標及び目標は当社単体に関するものであります。

 

3 【事業等のリスク】

 以下において、当社グループの事業展開その他に関してリスク要因となり得る主な事項及び投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を記載しております。

 なお、文中の将来に関する事項は、本報告書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅したものではありません。

 

(1) システムダウン及び情報セキュリティに係るリスクについて

  当社グループがクラウドで提供しているソフトウエアは、サービスの基盤をインターネット通信網に依存しております。従って、自然災害や事故によりインターネット通信網が切断された場合には、クラウドサービスの提供が不可能となります。また、予想外の急激なアクセス増加による一時的な過負荷によるサーバーダウンや、データセンターにおける障害等により、当社グループのクラウドサービスが停止する可能性があります。このようなシステム障害等が発生し、サービスの安定的な提供が行えないような事態が発生した場合には、当社グループの業績の低下につながる可能性があります。また、コンピューターウィルスの混入や外部からの不正な手段によるサーバー内への侵入による顧客情報等の漏洩、役職員の過誤等による重要なデータの消去等の可能性があり、このような事態が発生した場合には、当社グループに直接的・間接的な損害が発生する可能性があるほか、当社グループのクラウドサービスへの信用が失墜し、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、上記のリスクに対し、自然災害や停電や火災等の災害に対する耐性やセキュリティ面を慎重に検討した上で、サービス基盤として使用するデータセンターを選定するとともに、複数のデータセンターを利用してリスクの分散を図っております。また、定期的にバックアップ・データを確保して、非常時において当該データを復元し、できる限り速やかにサービスを再開できる体制を整備することで、非常時におけるリスクの軽減を図っております。

 

(2) 技術者の人材確保と育成について

 当社グループは、継続的に技術者の新卒採用を行い技術者の育成に努めております。しかしながら、技術者の採用需要の高まりにより、新卒採用で優秀な人材を適切に確保することの困難性が高まっております。人材の確保及び育成が計画通りに進まなかった場合には、当社グループの事業展開に支障が生じ、当社グループの事業成長及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、上記のリスクに対して、新卒採用方法の見直しを図るとともに、ダイレクトリクルーティング・リファーラル採用の活用、インターンシップへの取組み等により採用を強化しております。また、在籍者については、社内研修内容の改良・改善を図るとともに、外部研修等の活用により人材育成に努めることでリスクの軽減を図っております。

 

(3) 特定人物への依存について

 代表取締役である社長齋藤晶議(戸籍名:齊藤章浩)は、当社グループの創業以来の代表取締役であり、事業の立案や運営、開発活動の遂行等についてリーダーシップを発揮しており、不慮の事故等何らかの理由により当人が当社グループの事業展開に関与することが困難になった場合には、当社グループの事業及び業績に悪影響を与える可能性があります。
 当社グループでは、上記のリスクに対し、属人的な経営体制を改めるために、役員及び幹部社員の情報共有や権限の委譲、業務分掌に取り組んでおり、同氏に過度に依存しない経営体制の整備をすすめることでリスクの軽減を図っております。

 

 

(4) 知的財産権について

 当社グループはIT業界に属しており、知的財産権の保護については重要な課題であると認識しております。当社グループは、製品・サービスの開発にあたりオープンソースソフトウエアを積極的に活用しておりますが、オープンソースソフトウエアについては、ライセンス条件等が不明確なことがあることなどから、製品・サービスの開発過程等において意図しない形で、第三者の知的財産権等を侵害する可能性があります。そうした事態が生じた場合、当該第三者より損害賠償の訴訟等が提起され、不測の損害が生じる可能性があります。

 当社グループでは、上記のリスクについて、社内担当部門で慎重に調査を行うとともに、必要に応じて専門家と連携を取り調査可能な範囲で対応を行うことでリスクの軽減を図っております。

 

(5) 法的規制について

 現時点において、当社グループの事業展開上の障害となるような法的規制はないと認識しておりますが、「個人情報の保護に関する法律」、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(労働者派遣法)」など当社グループの事業に関連する現行法令の拡大や新法令の制定により、当社グループの事業活動の領域が制約を受ける可能性があり、当社グループの経営成績に悪影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、上記のリスクについて、法令改正の動向などの情報収集を適宜行い、適時に対応できるようにすることによりリスクの軽減を図っております。

 

(6) 海外事業の展開について

 当社グループでは、海外事業を当社グループの中長期的な成長機会と位置付けております。海外の連結子会社3社のうち特にASEAN地域で販売活動を行っている2社につきましては、当初の計画通りに進捗しておりません。小規模ながらも現地政府系機関での利用実績が発生するなど徐々に成果がでてきておりますが、黒字化にはまだ時間を要する見込みであります。今後、計画通りに売上高が拡大していかない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、海外事業の拡充に伴って、法律・規制・租税制度の予期しない変更や社会的混乱など、各国における諸事情の変化や為替などの市場動向が、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、上記のリスクについて、海外子会社の経営陣となっている当社従業員等を中心に経営状況及び事業環境を適時に把握し、必要に応じて当社取締役会等において検討してモニタリングすることで、リスクの低減に努めております。

 

(7) 東京証券取引所「プライム市場」の上場維持基準に適合しないリスクについて

 当社は、2023年1月末時点において、株式流通時価総額がプライム市場の上場維持基準を満たしていなかったことから、2023年4月に上場維持基準の適合に向けた計画書を東京証券取引所に提出しております。当社は、当該計画書に基づき、2026年1月期までに上場維持基準を満たすため各種取組みを進めてまいりますが、財政状態及び経営成績並びに市場環境や経済情勢によって、株価水準が計画書の想定を大きく下回った場合には、上場維持基準を満たすことができず、プライム市場において当社株式の上場を維持することができない可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

① 経営成績

 当連結会計年度における我が国の経済は、個人消費や設備投資の回復基調を受けて景気は緩やかに持ち直しの動きがみられました。景気の先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、政府の各種政策の効果もあり、緩やかな回復が継続していくことが期待されますが、世界的な金融引き締め、物価上昇、不安定な為替変動、中東地域をめぐる情勢、中国経済の先行き懸念等の影響に留意する必要があると認識しております。

 当社グループが属するIT業界におきましては、ソフトウエア投資が増加しており、企業収益の改善等を背景に、今後もITへの投資は堅調に推移することが期待されます。

 このような状況の中、2023年3月に、利用ユーザーの声を受け15機能・50項目以上の機能改善を行ったdesknet's NEOバージョン7.5を、2023年9月にはOpenAI社が提供する「ChatGPT」との連携により、生成AIを安全かつ安心して社内に展開できるdesknet's NEOバージョン8.0及びビジネスチャットChatLuckバージョン6.0をリリースいたしました。

 また、スマートキャンプ株式会社が実施する"今最も評価されているSaaSを表彰する「BOXIL SaaS AWARD Winter 2023」"(2023年12月)において、グループウエアdesknet's NEO及びビジネスチャットChatLuckがそれぞれの部門で4つの賞を受賞いたしました。2024年1月には、IT製品比較・レビューサイト「ITreview」が主催する「ITreview Grid Award 2024 Winter」において当社主力3製品がアワードを受賞いたしました。グループウェアdesknet's NEO及びビジネスチャットChatLuckは、「LEADER」としてそれぞれ19期連続、7期連続、ノーコードアプリ作成ツールAppSuiteは3期連続の受賞となります。

  このほか、横浜市が募集した民間企業のデジタル技術を活用して行政サービスのDX化を進めるプロジェクト「YOKOHAMA Hack!」の第一回実証実験事業者に選定されたことを受け、当社のノーコード業務アプリ作成ツールAppSuite及びグループウェアdesknet's NEOを活用した「要配慮施設利用者の安全を守る避難確保計画の取組強化」の実証実験を実施し、「避難確保計画」をシステム化することで、関係者全体の工数を41%削減することに成功いたしました。この成果を受け2023年10月に横浜市に要配慮施設利用者の安全を守る避難確保計画の作成支援システムの提供を開始いたしました。今後は、同様の機能を横浜市のみならず他の自治体にも展開していけるよう努めてまいります。

 さらに、2023年12月下旬から、鎌倉市全庁において「ChatGPT」との連携機能を搭載したChatLuckを利用した実証実験を開始いたしました。業務情報が外部に保存・学習されることのない安全な環境下で、自治体における「ChatGPT」の利活用の検証を行い、利用拡大に向けて取り組んでまいります。

 当社製品・サービスの認知度向上を目的として、当連結会計年度に実施を計画しておりました広告宣伝投資につきましては、当社では初となる規模でのテレビコマーシャルに挑戦いたしました。当初計画では300,000千円を予定しておりましたが、上期に実施したテレビコマーシャルの結果を踏まえ、追加で制作費用等を追加したことにより、これら一連の広告宣伝費は約330,000千円となりました。

 以上の結果、当連結会計年度における売上高6,615,676千円(前年同期比10.1%増)、営業利益は1,296,834千円(前年同期比4.5%増)、経常利益は1,375,051千円(前年同期比2.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は956,350千円(前年同期比17.7%増)となりました。

 当連結会計年度におけるセグメント別の経営成績は以下のとおりであります。

 

 

 

(ソフトウエア事業)

 

 

売上区分

前連結会計年度

(自 2022年2月1日

  至 2023年1月31日

当連結会計年度

(自 2023年2月1日

  至 2024年1月31日

売上高
(千円)

構成比
(%)

売上高
(千円)

構成比
(%)

増減率
(%)

 

クラウドサービス

2,702,621

64.1

2,951,377

64.4

9.2

 

プロダクト

1,435,839

34.1

1,562,474

34.1

8.8

 

技術開発

73,961

1.8

70,600

1.5

△4.5

 

合計

4,212,421

100.0

4,584,451

100.0

8.8

 

 

a. クラウドサービス

 クラウドサービスの主要サービス別の売上は以下のとおりであります。

 

 

前連結会計年度

(自 2022年2月1日

  至 2023年1月31日

当連結会計年度

(自 2023年2月1日

  至 2024年1月31日

増減額(千円)

増減率(%)

売上高(千円)

売上高(千円)

 

desknet's NEOクラウド

2,236,647

2,445,300

208,652

9.3

 

AppSuiteクラウド

134,276

177,028

42,751

31.8

 

ChatLuckクラウド

66,764

72,579

5,815

8.7

 

その他月額売上

197,846

199,565

1,718

0.9

 

月額売上合計

2,635,535

2,894,474

258,938

9.8

 

その他役務作業等

67,085

56,903

△10,182

△15.2

 

クラウドサービス合計

2,702,621

2,951,377

248,756

9.2

 

 desknet's NEOクラウド版の売上高は、利用ユーザー数の増加及びライセンス持込型のサービス提供終了に伴うキャンペーン価格適用終了による価格改定等により前年同期比208,652千円増加し、2,445,300千円(前年同期比9.3%増)となりました。同サービスの1社当たりの平均利用ユーザー数は85ユーザーと100ユーザー未満での利用が多くなっておりますが、300ユーザー以上のお客様においてもクラウドサービスでの利用を選択されることが徐々に増加してきております。また、解約率(*1)は0.30%と低い水準を維持していることから、今後も安定的に推移するものと認識しております。AppSuiteクラウド版の売上高は、利用ユーザー数の増加により前年同期と比較して42,751千円増加し、177,028千円(前年同期比31.8%増)となりました。当連結会計年度末時点において同サービスの利用ユーザー数は、desknet's NEOクラウドのユーザー数の約10%となっており、成長余地が大きく引き続き高い成長を見込んでおります。ChatLuckクラウド版の売上高につきましては、前年同期と比較して5,815千円増加し、72,579千円(前年同期比8.7%増)となりました。売上高全体に占める割合は小さいものの、成長が見込める分野であることから継続的に機能強化に取り組み、利用ユーザー数の拡大に努めてまいります。その他月額売上の売上高につきましては、前年同期と比較して1,718千円増加199,565千円(前年同期比0.9%増)と前年とほぼ同水準となりました。その他役務作業等の売上高につきましては、主にASP事業者向けのカスタマイズ売上高が減少したことにより10,182千円減少し、56,903千円(前年同期比15.2%減)となりました。

 以上の結果、クラウドサービス全体での売上高は前年同期比248,756千円増加し、2,951,377千円(前年同期比9.2%増)となりました。

 

(*1)desknet's NEOクラウドのユーザーにおける「当月の解約により減少したMRR(*2)÷前月末のMRR」の当連結会計年度の平均で算出しております。

(*2)MRR(Monthly Recurring Revenue)は対象月の月末時点における継続課金ユーザーにかかる月額料金、もしくは年額料金の1/12の合計額で算出しております。

 

 

b. プロダクト

 プロダクトの主要製品別の売上高は以下のとおりであります。

 

 

前連結会計年度

(自 2022年2月1日

  至 2023年1月31日

当連結会計年度

(自 2023年2月1日

  至 2024年1月31日

増減額(千円)

増減率(%)

売上高(千円)

売上高(千円)

 

desknet's NEOエンタープライズライセンス

164,139

184,715

20,575

12.5

 

desknet's NEOスモールライセンス

40,889

52,144

11,254

27.5

 

AppSuite

79,309

116,079

36,770

46.4

 

ChatLuck

38,440

46,643

8,202

21.3

 

その他ライセンス売上

10,466

8,487

△1,978

△18.9

 

ライセンス売上合計

333,245

408,070

74,824

22.5

 

サポートサービス

801,083

843,471

42,388

5.3

 

カスタマイズ

73,020

106,445

33,425

45.8

 

その他役務作業等

228,489

204,486

△24,002

△10.5

 

プロダクト合計

1,435,839

1,562,474

126,635

8.8

 

 大規模ユーザー向けのdesknet's NEOエンタープライズライセンスの売上高につきましては、官公庁や金融機関向けの売上が堅調に推移したことにより、前年同期と比較して20,575千円増加し、184,715千円(前年同期比12.5%増)となりました。

 中小規模ユーザー向けのdesknet's NEOスモールライセンスの売上高につきましては、クラウドサービスを選択されるお客様が増加傾向にあることにより、従来は減少傾向にありましたが、当連結会計年度の売上高は前年同期比11,254千円増加し、52,144千円(前年同期比27.5%増)となりました。これは、競合製品のパッケージ版提供終了に伴う当社製品への乗り換えなどの影響であると考えております。desknet's NEOスモールライセンスにつきましては、クラウドサービスの利用が一般化してきているため長期的には減少傾向にあると認識しております。

 AppSuiteライセンス及びChatLuckライセンスにつきましては、desknet's NEOエンタープライズライセンスとの同時購入をされることが多い傾向にありますが、当連結会計年度においては、官公庁や金融機関における追加導入などによりAppSuiteライセンスの売上高は前年同期比36,770千円増加し、116,079千円(前年同期比46.4%増)、ChatLuckライセンスの売上高は前年同期比8,202千円増加し、46,643千円(前年同期比21.3%増)となりました。

 カスタマイズの売上高につきましては、前年同期と比較して中規模の案件が増加したことを主な要因として、前年同期比33,425千円増加し、106,445千円(前年同期比45.8%増)となりました。また、サポートサービスの売上高は、desknet's NEOのサポートサービスの売上高が前年同期比16,068千円増加し、705,752千円(前年同期比2.3%増)となったことに加え、AppSuiteのサポートサービスの売上高が前年同期比17,471千円増加し、63,249千円(前年同期比38.2%増)となったことなどにより、42,388千円増加し、843,471千円(前年同期比5.3%増)となりました。

 以上の結果、プロダクト全体での売上高は前年同期比126,635千円増加し、1,562,474千円(前年同期比8.8%増)となりました。

 

 

c. 技術開発

 技術開発につきましては、積極的に受託開発を行う方針ではなく、主に従来からの継続案件の売上により売上高は前年同期比3,361千円減少し、70,600千円(前年同期比4.5%減)となりました。

 

 以上の結果、ソフトウエア事業の売上高4,584,451千円(前年同期比8.8%増)となりましたが、テレビコマーシャルの実施等による広告宣伝費の増加、新サービスの研究開発費の増加、人件費の増加等の影響により、セグメント利益は1,224,099千円(前年同期比0.4%減)となりました。

 

(システム開発サービス事業)

  システム開発サービス事業は、子会社である株式会社Pro-SPIREが展開する事業で構成されており、同社が長年培ってきたクラウドインテグレーション、システムインテグレーションのノウハウを基礎に技術者の育成を図り、先端技術を活用し新たな顧客ニーズを満たすシステムエンジニアリングサービスを主に提供しております。

 当連結会計年度においては、前第4四半期連結会計期間以降の売上高の回復傾向が継続し、主要顧客の体制縮小や退職等による人員減少により売上高が落ち込んだ前年同期と比較して、234,279千円増加し、2,049,942千円(前年同期比12.9%増)となりました。売上原価も、売上高の増加に伴う協力会社への外注費用の増加を主な要因として216,604千円増加いたしました。販売費及び一般管理費は、人件費の増加などにより、前年と比較し8,618千円増加いたしました。

 以上の結果、システム開発サービス事業の売上高は2,049,942千円(前年同期比12.9%増)、セグメント利益は103,146千円(前年同期比9.6%増)となりました。

 

(海外事業)

 海外事業は、海外子会社3社の事業で構成されており、現地企業向けにdesknet's NEOのライセンス販売、クラウドサービスの提供などを行っております。

 ASEAN地域においてはdesknet's NEO及びAppSuiteを中心に販売活動を進めております。当社の子会社が活動を行っているマレーシア、タイにおきましては、前連結会計年度より、本格的な営業活動を再開し、営業人員の強化や展示会への出展により現地における製品・サービスの認知度向上に努めております。タイにおきましては、当連結会計年度において現地で新たに販売代理店2社と契約を締結し、数件ではあるものの販売代理店経由の売上実績もあがっております。ASEAN地域の子会社2社につきましては、売上は徐々に増加しておりますが、安定した単月黒字化にはまだ時間を要する状況であります。ストック型の売上を着実に積み上げていくほか、AppSuiteのアプリ作成支援等にも注力し、売上拡大に注力してまいります。また、米国においては、現地の市場調査を踏まえ、前連結会計年度より開発を進めていたサービスを第2四半期連結会計期間において当社に譲渡いたしました。

 以上の結果、海外事業の売上高は93,973千円(前年同期比856.7%増)、セグメント損失は31,922千円(前年同期はセグメント損失82,361千円)となりました。なお、海外事業における売上高の増加は、主に米国子会社において、開発を進めていたサービスの権利を当社に譲渡したことによるものであります

 

② 財政状態

(資産)

 当連結会計年度末における資産合計は前連結会計年度末より597,448千円増加し、8,622,954千円となりました。これは主に、当期純利益を源泉として現金及び預金が367,901千円増加したこと、投資有価証券の売却に伴う未収入金を主な要因として流動資産のその他が401,169千円増加したこと、製品のバージョンアップ等に伴いソフトウエア(ソフトウエア仮勘定を含む)が49,399千円増加した一方、債券の償還及び売却を主な要因として有価証券及び投資有価証券が275,351千円減少したことによるものであります。

 

(負債)

 当連結会計年度末における負債合計は前連結会計年度末より14,460千円減少し、2,283,133千円となりました。これは主に、クラウドサービス、サポートサービス等にかかる契約負債がユーザー数の増加に伴い34,278千円増加したことに加え、賞与引当金が26,208千円増加した一方、未払法人税等が47,030千円減少したほか、未払金の減少を主な要因として流動負債のその他が46,003千円減少したことによるものであります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は前連結会計年度末より611,909千円増加し、6,339,821千円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益が956,350千円計上された一方で、298,291千円の剰余金の配当を実施したことにより、利益剰余金が658,059千円増加したことによるものであります。

 

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は前連結会計年度と比較し322,836千円増加し、5,240,215千円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は1,027,404千円(前連結会計年度は1,190,208千円の収入)となりました。収入の主な内容は税金等調整前当期純利益1,398,273千円、減価償却費の計上223,788千円、契約負債の増加34,250千円により資金が増加した一方で、法人税等の支払532,984千円により資金が減少したことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動により支出した資金は359,171千円(前連結会計年度は174,402千円の支出)となりました。これは主に、投資有価証券の償還による収入150,553千円、及び投資有価証券の売却による収入120,716千円により資金が増加した一方で、無形固定資産の取得による支出258,498千円、投資有価証券の取得による支出354,297千円により資金が減少したことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動により支出した資金は389,511千円(前連結会計年度は207,261千円の支出)となりました。これは主に、配当金の支払298,024千円及び自己株式の取得による支出90,400千円によるものであります。

 

(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

2023年1月

2024年1月

自己資本比率(%)

71.2

73.4

時価ベースの自己資本比率(%)

183.6

178.3

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

0.0

0.0

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

82,395.9

33,073.79

 

(注)1.各指標の計算方法は、次のとおりであります。

自己資本比率=自己資本÷総資産

時価ベースの自己資本比率=株式時価総額÷総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率=有利子負債÷営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ=営業キャッシュ・フロー÷利払い

2.各指標はいずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

3.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

4.営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書におけるキャッシュ・フローを使用しております。

5.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っているすべての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

④ 生産、受注及び販売の状況

(a) 生産実績

 当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

(b) 受注実績

当社グループは受注開発を行っておりますが、受注高及び受注残高の金額に重要性はありません。

 

(c) 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示しますと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

ソフトウエア事業

4,580,329

8.8

システム開発サービス事業

2,012,028

12.6

海外事業

23,317

137.4

合計

6,615,676

10.1

 

(注) 1.セグメント間の取引は相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

(自 2022年2月1日

  至 2023年1月31日

当連結会計年度

(自 2023年2月1日

  至 2024年1月31日

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

ダイワボウ情報システム(株)

766,132

12.8

837,046

12.7

 

 

(2) 経営者の視点による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績や現状を勘案し合理的に判断しておりますが、実績の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 また、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものにつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(a) 経営成績の分析

(売上高)

 当連結会計年度における売上高は前年同期比608,595千円増加し、6,615,676千円(前年同期比10.1%増)となりました。これは主に、ソフトウエア事業の売上高が前年同期比370,356千円増加4,580,329千円(前年同期比8.8%増)となったことに加え、システム開発サービス事業の売上高が224,743千円増加2,012,028千円(前年同期比12.6%増)となったことによるものであります。ソフトウエア事業の売上高は主に、クラウドサービスの売上高(セグメント間の内部売上高を含む)が248,756千円(前年同期比9.2%増)増加したことによるものであります。クラウドサービスの売上高増加は、当社の中核クラウドサービスであるdesknet's NEOクラウド版のユーザー数が堅調に推移したことを主な要因とするものであります。また、システム開発サービス事業の売上高は、前連結会計年度において主要顧客の体制縮小の影響及び退職等による人員減少により減少した売上高が、前第4四半期連結会計期間から回復基調が継続したことにより増加したものであります。

 

(売上原価)

 当連結会計年度における売上原価は前年同期比201,695千円増加し、2,976,471千円(前年同期比7.3%増)となりました。これは主に、システム開発サービス事業において、売上高の増加に伴い外注費が増加したことを主な要因とするものであります
 この結果、当連結会計年度の売上総利益は前年同期比406,899千円増加し、3,639,204千円(前年同期比12.6%増)となりました。

 

(販売費及び一般管理費)

 当連結会計年度における販売費及び一般管理費は前年同期比351,232千円増加し、2,342,370千円(前年同期比17.6%増)となりました。これは主に、ソフトウエア事業においてテレビコマーシャルを実施したことを主な要因として広告宣伝費が275,411千円増加したことに加え人件費が増加したことによるものであります。

 この結果、当連結会計年度の営業利益は前年同期比55,667千円増加し、1,296,834千円(前年同期比4.5%増)となりました。
 

(営業外損益)

 当連結会計年度における営業外収益は前年同期比10,200千円減少し、85,400千円(前年同期比10.7%減)となりました。これは主に、保険解約返戻金が減少したことによるものであります。また、営業外費用は前年同期比6,177千円増加し、7,183千円(前年同期比614.0%増)となりました。これは主に、投資事業組合運用損の増加によるものであります。

 この結果、当連結会計年度の経常利益は前年同期比39,289千円増加し、1,375,051千円(前年同期比2.9%増)となりました。

 

(特別損益、当期純利益及び親会社株主に帰属する当期純利益)

 当連結会計年度における特別利益は、主に保有していた外貨建債券の償還益38,463千円および投資有価証券売却益7,307千円によるものであります。また、特別損失は、投資有価証券売却損26,924千円によるものであります。法人税、住民税及び事業税(法人税等調整額を含む)は、前連結会計年度においては繰延税金資産の取崩しを行った影響があったことを主な要因として、前年同期比78,754千円減少し、444,960千円(前年同期比15.0%減)となりました。
 この結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期比143,709千円増加し、956,350千円(前年同期比17.7%増)となりました。

 

(b) キャッシュ・フローの状況の分析

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況の分析については「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

 

(c) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社グループの主な資金需要は、中長期的な成長を図るための、従業員等の採用・育成に係る費用、人件費、広告宣伝費、新製品開発のための研究開発費、その他営業費用などとなります。これらにつきましては、基本的に営業活動によるキャッシュ・フローや自己資金で対応していくこととしております。なお、現在の現金及び現金同等物の残高、営業活動から得る現金及び現金同等物の水準については、当面事業を継続していくうえで十分な流動性を確保しているものと考えております。

 

③ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループは、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境の変化や組織体制の整備等、さまざまなリスク要因が当社の成長や経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。そのため、当社グループは、常に新技術の動向や市場動向に留意しつつ、内部管理体制を強化し、優秀な人材を確保育成し、顧客ニーズを満たす製品・サービスを開発し提供していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因の低減を図ってまいります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

 インターネット関連技術は技術革新のスピードが早く、またそれに応じて業界標準及び利用者ニーズが急速に変化するため、新技術・新製品・新サービスが相次いで登場しております。そこで当社グループは、これらの新技術の習得に積極的に取り組み、顧客の求める質の高い新製品・新サービスを低価格で提供できるように研究開発に取り組んでおります。

 当連結会計年度における研究開発費の総額は96,158千円であり、セグメント別の内訳は、ソフトウエア事業85,489千円、海外事業10,669千円となっております。