文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは、食を通じてコミュニティの場を提供するとともに、従業員にとっての自己実現の場を提供し、企業として市場の需要への対応、市場において競争力を確保、社会から信用されることを経営の基本理念として、事業の運営と発展に努め、株主の皆様をはじめとする社会の期待に応えてまいります。
それを実現させるために、いかなる従業員であっても、「誇りのある職場づくり」を志すことにより、クオリティの高いサービス及び商品を提供できる店舗づくりに日々心掛け、徹底したコスト管理と品質の高いサービスの提供に取り組むことを経営の基本方針としております。
当社グループは75店舗(FC4店舗を含む)を展開しております。東海地区を基盤として、関東地区、関西地区へ出店エリアを広げ、更なる拡大を目指してまいります。
当社グループは高い収益性を維持し企業価値を向上させていくため、原価率の低減やコスト管理に努めることにより、事業活動の成果を図ることができる、売上高前期比率、売上総利益率、総人件費対売上高比率、経常利益率を経営指標として掲げております。
具体的な課題は以下のとおりであります。
①商品開発と仕入の強化
原材料のうち、近年特に仕入価格の高騰が顕著である野菜類及び米について、仕入先等との仕入価格交渉等による原価管理を徹底していくことにより、原価率改善を行い、季節メニュー(フェアメニュー)の企画等についても積極的に取り組みます。また、主力材料であります牛肉についても為替の影響はありますが、常に情報を集めて安定供給に対する取り組みと新たな産地開拓も進めて参ります。
②サラダバーの充実
新鮮な野菜類と共にあさくまの名物であります、コーンスープ、カレーソース、焼き立てパン等の充実を行い、更に地元密着の地産地消等も取り入れて独自の開発を行います。多くの店舗で導入している温かいメニュー「ホットバー」を含むサラダバーの品目数を増やし、久しぶりに来ていただいたお客様が、あっと驚くような品揃えができるように取り組んでまいります。
③人材の確保及び育成
優秀な人材の確保及び社内での人材教育の推進により、品質を落とすことなく店舗運営サービスを効率的に進めていくことが必要不可欠と考えております。人材不足・人件費上昇の課題に対応するため、当社グループでは、独自の取組みとして、スタッフとお客様との境界線を出来る限り排除する「カンタレス経営」(カンタレスとは、お客様と当社従業員との間にあるカウンターをなくす「カウンターレス」を意味する造語であります。)を進めております。また、外国人の採用について、ベトナム人のインターン生10名を受け入れておりますが、集合研修において初めに日本での生活についての基本事項から教え、結果的に短期間で店舗において即戦力として活躍させる事が出来た経験を活かし、今後も進めてまいります。
④新規出店と既存店舗のブラッシュアップ
当社グループは、今後も新規出店に積極的に取り組んでまいりますが、先行きの見通し困難な中、その都度、経営判断を行いながら出店について決めてまいります。既存店舗につきましては、店舗の改装やクリーニングを主体とした投資をする等、既存店舗の建物設備の向上を図り、快適な空間を作ってまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) サステナビリティに関する考え方
当社グループは、飲食業に携わる者として「お客様第一」を掲げ、「いつも安心」で「いつも安全」な品質の商品提供を心掛けております。
常日頃より大量の食品・飲料を取り扱っており、持続可能な商品をお客様に提供し続けるためにも、事業活動を通じ、特に環境問題の解決に取り組むべきと考えております。
(2) サステナビリティへの取り組み
当社グループでは、あらゆるリスク及び機会を早期に把握し、経営に大きく影響を及ぼす項目について、代表取締役社長を中心にこれに対応し、必要に応じ適切な人員を集め、取り組んでおります。
サステナビリティに関連するリスク及び機会につきましても、上記と同様に、リスクの解決と機会の拡大を図ってまいります。
食品廃棄ロス
当社グループでは、食材を取り扱っており、食品廃棄ロス(フードロス)が、重要な課題であると認識しております。この食品廃棄ロスについては、大きく「売れ残り」と「食べ残し」という2つの側面があると考えており、これらの削減について、対応策の策定を始めたところであります。
人材の育成及び社内環境整備に関する方針
当社グループにおける人材の多様性を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、店長であれば、店舗運営に当たり必要なスキルを身に付けているか、等を判定し、未達であればサポートする体制を作っております。性別・国籍に関係なく適切な人員配置ができるよう上長が人材の育成を行っております。
当社グループでは、サステナビリティに関連するリスク及び機会について、専任の部署はないものの、代表取締役社長をはじめ幹部社員が中心となり、リスク管理を行っております。特に環境面においては、食品廃棄物の削減に取り組み始めたところであります。
食品廃棄ロスに関する指標及び目標は、上記③リスク管理にありますとおり、今後具体的な指標及び目標を計画することとなります。
人材の育成及び社内環境整備に関する方針の指標については女性管理職比率を用いておりますが、これについて、5年後の2029年度までに30%以上とする目標を掲げております。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
外食産業は、成熟した市場となっており、企業間における価格競争、弁当・惣菜等の中食市場の成長等により、一層厳しい市場環境となっております。また、他業界と比較すると参入障壁が低いため、新規参入企業が多く、厳しい競合状態が続いております。その中で当社グループは、人材の育成、接客サービスの向上、商品レベルの強化、メニューの改定等により他社との差別化を図り、店舗収益を維持向上することが重要であると考えております。しかし、お客様に満足頂ける商品・サービスが提供できなかった場合やお客様の嗜好の変化等に伴う来店客数の減少により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、食材市況の変動等により食材を安定的に確保することが難しい状況になった場合やこの度の新型コロナウイルス感染症のような大きな社会的環境の変化や法令の改正等により、お客様へ提供する食材の調達や加工に新たな設備や作業等が必要になった場合にも、当該変動要因に係る費用が発生するため、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、「ステーキのあさくま」以外に複数の業態を展開しております。しかしながら、売上収益の大半は「ステーキのあさくま」によるものでございます。引き続き多店舗展開等に取り組んでまいりますが、今後何らかの不祥事により「ステーキのあさくま」ブランドの毀損が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
外食産業におきましては、一部企業による産地偽装や賞味期限の改ざん等、食の安全性だけではなく、商品表示の適正性、信頼性等においても消費者の信用を失墜する事件が発生しております。当社グループは、取引のある事業規模が大きな信頼性の高い納入業者から仕入を行い、適正な商品表示に努めておりますが、その表示内容に重大な誤り等が発生した場合、社会的信用の低下により来店客数が減少し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが提供する商品・メニューは、いずれも食品衛生法による規制を受けております。食品衛生法は、食品衛生の確保のために公衆衛生の見地から必要な規制その他措置を講ずることにより、飲食に起因する危害の発生を防止し、国民の健康を図ることを目的としております。当社グループでは、都道府県知事より飲食店の営業許可を取得するとともに、各店舗に食品衛生責任者を置き、定期的な衛生点検を実施する等、安心安全な商品・メニューをお客様に提供するための衛生管理を徹底しておりますが、万が一、食中毒等の事故が起きた場合は、食品衛生法の規定に基づき、食品等の廃棄処分、一定期間の営業停止、営業許可の取消し等処分を受ける恐れがあり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの全従業員のうち、主な従業員はパートタイマー、アルバイト(以下、合わせて「パート」という。)であります。社会保険及び労働保険をはじめとした労働関連法令の改正等があった場合、人件費関連費用が増加し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、「食品循環資源の再利用等の促進に関する法律(食品リサイクル法)」による規制を受けており、食品廃棄物の発生の抑制、減量化、再利用に取り組むことを義務付けられております。今後、同法の規制が引き上げられた場合、新たな設備投資等の費用が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、未成年者飲酒禁止法及び道路交通法等による規制を受けております。各店舗にてアルコール類飲料を注文されたお客様に自動車等の運転がないか、また、未成年者の可能性がある場合には未成年者ではないかを確認するとともに、誤提供防止の啓蒙ポスター表示等を通じ、十分に注意喚起を行っております。しかしながら、未成年者の飲酒及びお客様の飲酒運転に伴う交通事故等により当社グループ及び従業員が法令違反等による罪に問われる、あるいは店舗の営業が制限された場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの店舗のうち、深夜0時以降も営業する店舗については深夜営業の「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」により規制を受けており、所轄警察署への「深夜における酒類提供飲食店営業開始届出書」により届出を行い、法令の順守に取り組んでおります。しかしながら、法令違反等が発生した場合、一定期間の営業停止が命じられ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、「ステーキのあさくま」以外にもその他業態を複数有しております。商標権については当社グループの事業展開上、重要なものと位置付けており、識別性が無い等の理由により、その性質上商標の登録が困難なものを除き、全ての商標の登録を行う方針としております。当社グループが保有する商標権について、保護策の相談や侵害状況の調査依頼を顧問弁護士や弁理士に行っておりますが、商標使用時における当社グループの調査が十分でなく、当社グループが使用した商標が第三者の登録済み商標権を侵害していると認定され、商標の使用差止や損害賠償請求が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、国内の食肉卸を通してメニューに使用する牛肉の必要量を確保しておりますが、為替相場の大幅な変動や国内外の需要が大幅に増大した場合は、牛肉の仕入価格が高騰する可能性があります。その場合には、仕入コストが増加し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、その他の原材料につきましても、急激な仕入価格の高騰、数量の確保が困難に陥った場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループを含む外食産業全体では、慢性的な人手不足に伴う人件費増加や原材料価格の高騰による企業収益低下への対処として販売価格の値上げに踏み切る企業が相次いでおります。当社グループにおいて販売価格の値上げを実施した際は、定期的な販売促進等のキャンペーンの実施により集客数の維持に努めてまいりました。しかしながら、値上げの影響がそのような販売促進等の効果を上回る場合においては、当社グループの集客力が低下し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、当連結会計年度末時点において、愛知県、岐阜県、三重県、静岡県、東京都、埼玉県、神奈川県、千葉県、茨城県の1都8県下に直営店71店舗を展開しております。今後の継続的な成長を実現させるため、東海地方及び関東地方を中心に各地域への出店をしていく方針ですが、当社グループの新規出店水準に見合う物件の確保が困難となった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、店舗等について居抜物件(床・天井・壁・厨房・お手洗等、店舗内の主要設備が残っている状態で今すぐにでも開店出来るような物件)を活用した新規出店を基本方針としており、物件の賃貸に際しては賃貸人に対して、保証金・敷金を差入れた上で土地及び建物を賃借しております。今後、賃借物件の貸主(家主)の経済的破綻等により差入保証金等の一部又は全部の回収が不能となる場合がある他、店舗営業の継続に支障等が生じる可能性があります。また、当社グループの都合で賃貸借契約を中途解約する場合には、契約上の規定から差入保証金等を放棄せざるを得なくなる場合があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、店舗の環境変化や経済環境の要因により店舗ごとの収益性が損なわれた場合、固定資産についての減損損失を認識し、当該減損損失の計上により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。今後、商圏人口、交通量、競合店状況等の変化によって店舗の業績が悪化した場合、店舗閉鎖に伴い遊休資産が発生した場合には減損損失を計上するため、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、飲食事業を営んでおり、主な従業員はパートであります。当社グループの出店エリアにおいては同業他社が年々増加しているだけでなく、一部出店エリアについては従業員確保が極めて困難であるため、パートの時間給引き上げに歯止めがかからず人件費が急激に増加しております。これらの人件費負担増加等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、店舗運営マニュアルに基づく開店前研修や「FC担当マネージャー」を通じた店舗運営指導により、FC加盟契約者への教育を行い、店舗運営レベルの維持向上に努めております。しかしながら、当社グループによるFC加盟契約者への教育及び運営指導が十分に行き届かない場合には、お客様からFC加盟店に対する苦情等が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、新規の店舗展開と既存店の店舗運営及び内部管理体制を強化するために、優秀な人材の確保が必要であります。当社グループの計画に基づいた人材の確保及び育成が未達成となった場合、当然ながら新規出店も未達成となるため、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
外食産業における需要は、天候不順、異常気象、災害・紛争等の発生等により、消費者の外食機会及び外食意欲が減少し変動する場合があります。これらの天候不順等に伴う需要の変動の影響により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、主として東海地区及び関東地区で事業活動をしております。そのため、将来これらの地域で地震等の大規模災害が発生した際には、営業店舗の損傷等による営業日数及び営業時間の減少が発生するため、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、お客様からのメールや電話等で取得した情報及び社員、パート等の個人情報を取り扱っております。当該個人情報の管理は、取得時は利用目的を予め説明し、取得後にはデータの漏洩、滅失又は毀損が発生しないように万全を期しております。しかしながら、何らかの理由により個人情報が漏洩した場合には、損害賠償請求の発生や社会的信用の低下等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、店舗の売上管理及び損益管理、食材の受注及び発注業務、勤怠管理及び給与計算、会計処理及び支払業務等、情報処理の運営管理は、当社グループ管理部で集中的に行っており、バックアップやウイルス対策等、データや処理のセキュリティ強化に取り組んでおります。しかしながら、自然災害や情報機器の故障、ネットワークの障害等不測の事態が発生した場合、業務に支障をきたすことにより、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、取締役及び従業員に対するインセンティブを目的としたストック・オプション制度を採用しております。現在、取締役及び従業員に付与されている新株予約権の行使が行われた場合、保有株式の株式価値が希薄化する可能性があります。なお、当連結会計年度末時点における新株予約権による潜在株式総数は2,050株であり、当連結会計年度末時点の発行済株式総数5,384,070株の0.04%、総議決権数53,110個の0.04%に相当します。
当社の親会社である株式会社テンポスホールディングスは、当社グループの株式公開後も当社発行済普通株式の過半数を所有しております。その結果、当社グループの取締役の選任・解任、合併その他組織再編の承認、重要な事業の譲渡、当社定款の変更及び剰余金の配当等の基本的事項についての決定権又は拒否権に関して、他の株主の意向に関わらず株式会社テンポスホールディングスが影響を与える可能性があります。
株式会社テンポスホールディングス及びグループ各社との取引をはじめとした関連当事者取引については、独立性確保の観点を踏まえ取引の解消を進めてまいりますが、関連当事者と新たに取引を行う場合は、取締役会の諮問機関である関連当事者取引検証委員会での意見表明を受けた上で、取締役会の承認を得なければならないこととしております。また、重要な取引については、取引開始時の検証を行うとともに定期的に取締役会へ報告・確認を行っております。
このように、関連当事者取引については、取引の合理性(事業の必要性)と取引条件の妥当性を十分に検討し、健全性及び適正性確保の仕組みを構築しております。
(17) インターネット等による風評被害について
ソーシャルメディアの急激な普及に伴い、インターネット上での書き込みや店内画像により、マスコミ報道による風評被害が発生・拡散する事案が今日散見されております。当社グループにおいては、このような風評被害を防ぐためにソーシャルメディア利用に関するコンプライアンス研修も実施しておりますが、このような防止策にも関わらずソーシャルメディア利用が要因となる風評被害が発生・拡散した場合、当社グループの経営成績又は財務状態に影響を及ぼす可能性があります。
(18) 感染症流行について
新型インフルエンザや新型コロナウイルス等による感染症が流行・拡大し、外出自粛や店舗営業の自粛もしくは営業時間の短縮等をせざるを得ない場合には、客数の減少により当社グループの経営成績又は財務状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、感染症が国内のみならず、全世界規模で発生・流行した場合、当社グループに関わる仕入業者、物流業者、生産工場及び販売先等のサプライチェーン全体への影響が懸念され、感染症流行抑制のための移動制限や都市封鎖等により仕入物品の入荷や販売商品の納入に遅れが出る等、当社グループの経営成績又は財務状態に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当社グループが判断したものであります。なお、当社グループは、飲食事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。
当社は、2023年6月29日に開催された第50期定時株主総会で「定款一部変更の件」を決議し、決算期を3月31日から1月31日に変更しました。これに伴い、決算期変更の経過期間となる当連結会計年度は、2023年4月1日から2024年1月31日までの10ヶ月間となります。なお、当社及び子会社は2023年4月1日から1月31日までの10ヶ月間となったため、前年同期との比較分析は行っておりません。
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症に係る行動制限が緩和されたことに伴い、社会経済活動の正常化が進んでおりますが、個人消費は度重なる食料品等の値上げにより、持ち直しているとは言えない状況であります。
外食業界においては、円安傾向による輸入物品やエネルギー価格、人手不足による人件費の高騰等のあらゆるコスト上昇により厳しい経営環境が続いております。
このような環境の下、当社グループの取り組みといたしましては、新型コロナウイルス禍において経費削減を行うなかで、生産性向上を進めてまいりました。目指す姿としては、店舗人員を少なくしながらも、お客様から「サービスが良くなったね」と言っていただくことでした。しかし、そのためのトレーニングが追いついておらず、店舗のQSC(商品品質・接客サービス・清潔さ)についてのクレームを多くいただくようになっており、これが来店客数の戻りが悪い原因の1つではないかと考え、クレームの改善と、サラダバーの充実に注力してまいりました。課題を見つけ、それに対し取り組んできた結果、まだまだ十分とは言えませんが、お客様のアンケートのコメント等にて少しずつご満足いただけているものと感じております。サラダバーの品目数や温かいメニュー「ホットバー」を提供する店舗を増やした結果、お客様をびっくりさせるというゴールにはまだまだ届いておりませんが、こちらも少しずつですが、ご満足いただけている方が増えてきているものと感じております。
商品の施策としましては、年間を通して期間限定のフェアメニューを投入いたしました。年末年始においては、お客様より全店での提供がなくなり再開希望の声のありました“テンダーロインステーキ”の提供を全店舗で行いました。お客様からは非常に好評のお声をいただいており、良い年末年始をお過ごしいただける料理・空間を提供できたのではないかと感じております。第52期においてはステーキだけでなく、第51期に取り組んでいたイセエビやホタテメニューのように、海鮮メニューを名物にすべく商品開発を行ってまいります。
店舗施策としましては、2023年11月10日に3期ぶりとなります出店を岐阜県関市に行いました。岐阜県関市には25年ぶりの出店となります。オープンから予想を超えるお客様にご来店いただき、全62店舗中、1カ月の売上高が2位という結果でした。2024年2月には愛知県春日井市に出店を行い、こちらは過去10年間に出店した店舗の初日売上高を超える新記録となり、春日井市近郊のお客様に待っていただいていたものと思われ、良いスタートになったと感じています。第52期においては、中部地区を中心に関西地区、関東地区への出店を行ってまいります。また、建坪100坪以上の大型のロードサイド店舗だけでなく、中規模店舗での出店、また、より当社グループを利用していただきやすくするための低価格な業態の開発も行い、全国へ「あさくま」を届けてまいります。
採用と教育につきましては、今後の課題になる人材採用をクリアすべく、積極的な外国人の採用と教育を行ってまいりました。まず初めに、2023年10月にベトナム人のインターン生を10名受け入れました。来日したインターン生はすぐに店舗へ配置するのではなく、2週間の集合研修を行い、日本での生活についての基本事項から、店舗における基本的な用語を覚えること、お済みの食器類の引き上げ(バッシング)や、来店されたお客様のご案内、サラダバーの仕込みなどの基本業務まで、現場において即戦力となるよう、出来るようになるまで繰り返しトレーニングを行いました。その結果、店舗において、即戦力として活躍し、2か月足らずで、一通りの店舗業務が出来る者も出てまいりました。今後も目標を決め継続してトレーニングを行っていくことで、早期に店長を任せることの出来る人材に育つものと考えております。今後も外国人採用と教育を積極的に行い、今のインターン生10名だけではなく、第52期中にさらに20名の特定技能外国人材を受入れ、店舗責任者としての教育と抜擢を行ってまいります。
以上の結果、当社グループの当連結会計年度における業績は、売上高が6,101,188千円、営業利益は174,633千円、経常利益は184,941千円、親会社株主に帰属する当期純利益は130,487千円となりました。
なお、当連結会計年度における店舗展開につきましては、直営店で新規に1店舗増加したため、当連結会計年度末現在における当社の店舗数は、直営店が62店舗にFC店4店舗を加えて66店舗となっております。また、株式会社あさくまサクセッションの直営店は1店舗減少し9店舗となり、当社グループの総店舗数は、75店舗(FC店4店舗を含む)となっております。
② 財政状態の状況
当連結会計年度末における総資産は3,746,320千円となり、前連結会計年度末に比べて439,295千円増加しました。その内容は、以下のとおりであります。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は2,481,947千円となり、前連結会計年度末に比べて292,047千円増加しました。主な要因は、現金及び預金で317,397千円増加したことに対して、未収入金で73,072千円減少したことによります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は1,264,372千円となり、前連結会計年度末に比べて147,247千円増加しました。主な要因は、有形固定資産で103,777千円、繰延税金資産で53,579千円それぞれ増加したことによります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は1,043,489千円となり、前連結会計年度末に比べて301,696千円増加しました。主な要因は、買掛金で112,683千円、未払金で67,261千円、未払法人税等で59,069千円、株主優待引当金で12,425千円それぞれ増加したことによります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は200,052千円となり、前連結会計年度末に比べて7,110千円増加しました。主な要因は、資産除去債務で19,270千円増加したことに対して、長期借入金で12,160千円減少したことによります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計の残高は2,502,778千円となり、前連結会計年度末に比べて130,487千円増加しました。主な要因は、利益剰余金が130,487千円増加したことによるものです。
この結果、自己資本比率は66.8%(前連結会計期間末は71.7%)となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比較し317,397千円増加し、2,050,240千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度307,156千円の収入に対し、484,520千円の収入となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益148,587千円、減価償却費64,380千円、仕入債務の増加額112,683千円、法人税等の還付額65,155千円を計上したこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度140,870千円の支出に対し、156,866千円の支出となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出143,747千円、差入保証金の差入による支出13,292千円を計上したこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度430,537千円の支出に対し、10,256千円の支出となりました。これは、長期借入金の返済による支出10,256千円を計上したことによるものであります。
該当事項はありません。
当連結会計年度における仕入実績は、次のとおりであります。
(注)1.金額は、売上原価によっております。
2.当連結会計年度は、決算期の変更により、2023年4月1日から2024年1月31日までの10ヶ月間となっております。このため、前年同期比については記載しておりません。
該当事項はありません。
当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。
(注)当連結会計年度は、決算期の変更により、2023年4月1日から2024年1月31日までの10ヶ月間となっております。このため、前年同期比については記載しておりません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度におきまして当社グループは、従業員教育によるお客様満足度の向上、販売促進、品質・エンターテイメント性を重視した商品開発に取り組んでまいりました。外食産業においては、人材不足に伴う人件費関連コストの増加、原材料価格の高騰、物流コストの増加が懸念されるところであり、これらのコストを吸収しつつ収益力を維持・拡大させていくために、付加価値の高い商品開発、リピート率の高い店舗体制の構築が引き続き課題であると認識しております。
商品開発に関しましては、体験型レストランとして、お客様が単に食事をするだけでなく自ら作って楽しめる空間作りや、サラダバー・デザートバーの充実を図ることで、ファミリー層のリピート率を高める商品の開発に注力してまいりました。また、当社グループのスケールメリットを活かした取引先との仕入価格交渉及び仕入先選定の見直し、物流コスト負担の軽減についての施策等に継続的に取り組むことで、コストの増加に対応しております。
人材不足に伴う人件費関連コストに関しましては、増加傾向は続くものと考えておりますが、効率化を進め、当連結会計年度における総人件費対売上高比率は25.8%(前年比0.6%増)となっております。この人件費関連コストの増加は、慢性的な人材不足を背景に、従業員の離職等による採用コスト及び教育関連コストの増加、パートの最低時給の上昇によるものであります。今後は、従業員の給与水準の見直し、正社員の勤務時間の柔軟化を図り正社員の採用枠を広げてパートを正社員として積極的に雇用、有給休暇や連続休暇等の年間休日日数の増加、女性従業員向けの子育て支援制度等の福利厚生制度の充実化に積極的に努めてまいります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、営業キャッシュ・フローで獲得した資金を財源として、その資金の範囲内で新規出店及び改装等で必要な投資キャッシュ・フローを賄うことを基本的な姿勢としております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。
重要な会計方針は、「第5 経理の状況、1連結財務諸表等、連結財務諸表、注記事項、連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりでありますが、連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。
なお、円安傾向による仕入価格高騰の影響等不確実性が大きく将来事業計画等の見込数値に反映させることが難しい要素もありますが、期末時点で入手可能な情報を基に検証等を行っております。
(固定資産の減損処理)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
(繰延税金資産)
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。これらの見積りにおいて用いた仮定には不確実性が伴うため、翌連結会計年度に係る連結財務諸表に影響を及ぼす可能性があります。
(資産除去債務)
当社グループは、店舗建物の不動産賃貸借契約に伴う原状回復義務等について、個別に入手した原状回復費用の見積額や業態別に直近の退店時の原状回復費用実績に基づき店舗1坪当たり費用を見積もり、それらを既存店舗の建築坪数へ乗じて各店舗の原状回復費用を見積もっております。また、当社の営業実績及び契約期間等を勘案して使用見込み期間を主として30年と仮定して、割引計算を実施し、資産除去債務を計上しております。
資産除去債務の履行時期を予測することや将来の最終的な除去費用を見積もることは困難であり、これらの見積りにおいて用いた仮定には不確実性が伴うため、翌連結会計年度に係る連結財務諸表に影響を及ぼす可能性があります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。