第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

(1) 経営方針

当社の経営理念は、「食を通じて、人と地域社会をつなぐ企業へ 全てのお客様に喜んでもらい、「お客様」「社会」「社員」に必要とされる企業であり続ける」であります。

当社はこれまで、「ラーメンでお客様に喜んでもらう」を経営理念とし、ラーメン山岡家を中心とした店舗展開を行ってまいりました。今後は、ラーメンを始めとして『食』に関わる企業として発展していくために、創業当時から守ってきました経営理念をラーメン山岡家の事業理念とし、今後は『食』を通じて「地域貢献」を掲げ、納税や雇用の創出など様々な形で地域社会の発展に貢献し、地域に必要とされる企業を目指していきたいと考えております。

また、この経営理念と合わせて「行動指針」「8つの使命」を策定しております。経営理念を実現するために、従業員が自ら行動する上での指針や使命としております。

 

(2) 経営戦略

今後も、ラーメンは味が第一であるとの認識により、商品の維持管理とサービスレベルを均一化するために従来どおり直営店舗での営業にこだわり、出店方針は原則として郊外型を主体とし、一定数以上駐車スペースを確保できる幹線道路に面した立地としております。更に郊外から都心への展開も可能な業態開発を行っております。今後、日本全国の幹線道路沿いや繁華街に、ラーメン業態を始めとした当社の店舗が必ず存在するような事業の拡大を実現するとともに、効率的な経営を行い企業価値の拡大を図りたいと考えております。

また、当社は原則全店直営での店舗展開をメインとし、更に店舗内調理のチェーン店でナンバーワンのブランド構築を目標としております。

 

(3) 経営環境及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

国内経済は、個人消費やインバウンド需要を中心として、経済活動の正常化が進んでおりますが、国際情勢は不安定な状況が続き、サプライチェーンの混乱やエネルギー資源の高騰を招いており、世界的なインフレや常態化する円安の影響による更なる物価上昇も懸念され、景気の先行きは依然として予測困難な状況が続いております。

外食産業におきましては、消費行動がコロナウイルス感染症拡大前の状況に戻り、コスト上昇に対する価格改定の機運が高まり、各社売上高は回復へと向かっておりますが、来店客数回復に伴う労働力の不足や人件費、求人費の上昇、慢性化している原材料費や配送費の高騰などにより、経営環境は依然として厳しい状況が続いております。

このような状況下で、当社の対処すべき課題は、以下のとおりであると考えております。

 

① 店舗管理を行う人員の増員と店舗臨店増による指導強化について

当社は、現在全社で主にラーメン店を183店舗運営しておりますが、店舗管理やマネジメントを行う人員が担当する店舗数も増加傾向にあります。今後は人員を増員することにより、店舗の臨店回数を増やし、より細かいチェックやマネジメントを行うことや店長を始めとした店舗人員への関与強化を行うことで、お客様をお迎えする体制を整備してまいります。

 

② 店内調理と手作り感へのこだわりによる商品クオリティの安定について

当社は、飲食店を運営する企業として、提供する商品のクオリティの安定が重要課題と考えております。

ご来店いただくお客様へ店内調理と手作り感による、こだわりのある付加価値の高い商品を提供出来るよう、スタンダードオペレーションの確立、動画を活用した店舗業務の学習、フィードバックや指導の効率化を行ってまいります。

 

 

③ 人材の確保・育成・定着に向けた取り組みについて

当社は、今後も全国各地で出店を継続していくこととしており、更に店舗のサービスレベル向上を最重要課題としておりますが、採用活動の効率化や担当人員増強による人材採用の更なる強化、トレーニングセンターを活用した体系的な人材育成を行ってまいります。また、福利厚生や労働環境を向上させ、定着率の向上を図ってまいります。

 

④ 店舗設備の新規導入など、従業員が営業に専念できる環境整備について

当社は現在、来店客数の大幅増に伴い1店舗当たりの売上高も上昇しており、時間当たりに店舗で勤務する従業員も増加しております。今後も安定的に商品を提供するために厨房設備などバックヤードの整備や働きやすい店舗環境へ改善するための設備導入など、従業員が営業により専念できる環境を整備してまいります。

 

⑤ 売上拡大に伴う、店舗開発や購買など本社機能の強化について

当社は現在、来店客数の大幅増に伴い全社売上高が急激に拡大しております。そのため、従業員数や使用食材の仕入量の増加もあり、本社機能の強化が重要課題となっております。また、今後も継続して出店を行っていく方針としており、店舗開発機能の強化も必要となっております。今後、人事総務部や購買部を始めとした人員増や各種業務のシステム化による効率化を推進するなど、店舗運営を支えるバックオフィス機能を強化してまいります。

 

(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社は、着実な事業拡大を通じて企業価値を向上させていくことを重要な経営目標と位置付けております。このため、店舗数の純増による売上規模の拡大は勿論、事業の収益力を占める営業利益、営業利益率を中長期的な経営の重要指標として考えております。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

(1) 当社の経営方針に含まれるサステナビリティの考え方

当社は、「食を通じて、人と地域社会をつなぐ企業へ 全てのお客様に喜んでもらい、「お客様」「社会」「社員」に必要とされる企業であり続ける」という経営理念を具現化した行動指針や8つの使命を策定し、その中で安心・安全な食材の調達や地域社会への貢献など、経営理念の実現に向けた取組を進めております。これは、持続的な成長を実現するために、様々な社会課題の解決し持続的な成長を目指すサステナビリティの考えに沿うものであると考えております。この考え方に基づき、以下の取組をまとめました。

 

(2) ガバナンス

設置済みであります「リスク管理部会」と「コンプライアンス委員会」をベースとして、安心・安全かつ持続可能な食材の確保、フードロスへの取組、資源循環型社会への取組、気候変動対策などサステナビリティに関連するリスクや機会の確認を行い、それらの対応に向けた計画を策定するため、リスクや機会のモニタリングを行ってまいります。

 

(3) 戦略

上記(2)で記載のとおり、「リスク管理部会」と「コンプライアンス委員会」にてモニタリングされるサステナビリティに関するリスクや機会の分析を行い、計画に落とし込んでまいります。

 

(人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略)

当社は、今後の持続的な成長を実現するためには、店舗運営を行う従業員の成長と働きやすい環境の整備が重要課題であると認識しており、キャリアアッププログラムやトレーニングセンターの運営、様々な福利厚生施策など、人的資本への継続的な投資を行ってまいりました。

また、当社が掲げる「食を通じて、人と地域社会をつなぐ企業へ 全てのお客様に喜んでもらい、「お客様」「社会」「社員」に必要とされる企業であり続ける」という経営理念を実践できる人材を育成することにより、当社の存在意義を確立していきたいと考えております。

 

当社では、Y-CUPというキャリアアッププログラムを策定し、その中で1stから5stまでのラインを定め、各ラインをクリアすることにより店長や管理監督者などのタイトルにチャレンジできる制度となっております。体系的なトレーニングプログラムにより従業員にも分かりやすく目指す方向性を明確化しております。

また、店舗従業員を中心としたアンケートを行い、会社への提案や改善事項などについて回答を得ました。それらの意見をもとに働きやすい職場環境の整備など、従業員のモチベーションアップに結び付く取組を行ってまいります。なお、前期から特定技能実習生の受け入れも行っており、今後も継続的に対応していく予定でおります。

なお、キャリアアッププログラムに組み込まれた各種研修の実施により、店舗オペレーション技術やマネジメント力の向上、研修機会を用いた従業員とのコミュニケーションを実施するなど、より長く働ける環境を整備してまいります。

今後は、性別や年齢、国籍や言語などの多様性を認め尊重しあい、より働きやすく従業員の能力が十分に発揮できる環境を整備し、各種課題に対応できる体制を構築してまいります。

 

(4) リスク管理

大規模な自然災害の発生、食材価格高騰や気候変動に起因する原材料の不作などサプライチェーンの混乱による物理的なリスクと、再生可能エネルギーの調達を始めとした事業運営コストの増加やサステナビリティ対応への遅れなどの移行リスクについて、定期的にモニタリングを行ってまいります。

 

(5) 指標及び目標

上記(2)で記載のとおり、「リスク管理部会」と「コンプライアンス委員会」にてモニタリングされるサステナビリティに関するリスクや機会の分析を行い、指標や目標を策定してまいります。

 

(人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績、指標及び目標)

人的資本や多様性についての指標・目標については、管理職に占める女性労働者の割合や男性の育児休業取得率などを検討しております。現状はまだまだ低い割合となっており、今後目標値を定めて、達成に向け各種取組を策定、実施してまいります。

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、以下の記載のうち、将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日(2024年4月30日)現在において当社が判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果とは異なる可能性があります。

 

(1) 当社の事業展開について

① 事業内容について

当社は、2024年1月31日現在、「ラーメン山岡家」を主として183店舗(新業態を含む)を北海道から本州、九州地区の主要幹線道路沿いを中心に、全店舗直営店、年中無休営業を基本として出店しております。当社が多店舗展開を推進するにあたり、直営店を基本としてきた理由は、一定の品質・サービス・清潔さの水準を全店ベースで維持・管理するとともに、店舗のスクラップ・アンド・ビルドを実施できることによるものであり、今後も関東、東海、関西地区を中心に引き続き事業の拡大に取り組む方針であります。

しかしながら、当社のセグメントはほぼラーメン事業のみであることから、国内景気の悪化・低迷等の外的要因、あるいは当社固有の問題発生等により、当該事業の展開に何らかの支障が生じた場合は、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 豚肉・豚骨への依存度について

当社のラーメンには、チャーシュー用の豚肉、スープ用の豚骨と、豚を多く使用しております。そのため、豚肉・豚骨の仕入については複数の取引先から調達し、リスクの分散を図っております。しかし、主要食材である豚の安全性に問題が発生した場合、売上原価の高騰など当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 出店政策について

当社の出店における基本方針は交通量の多い幹線道路沿いと考えており、立地条件が売上高を大きく左右すると考えております。今後の出店に当っても上記方針に基づき、物件に関する情報ルートを拡大し、より多くの情報の中から出店候補地の諸条件を検討したうえで、選定を行ってまいります。

ただし、当社の出店条件に合致する物件がなく、計画通りに出店できない場合、または出店後における周辺環境の変化や、ファミリーレストラン、コンビニエンスストアといった外食及び同業他社との競合が発生した場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 人材の確保・育成について

当社は直営店の出店を図るため、人材の確保を行っていく必要があります。特にスーパーバイザー(担当エリアの店舗運営における管理監督者)及び店舗の人材確保並びに育成が重要であると考えており、中途・新卒を含め採用活動を行っております。また、採用した人材については、教育担当専任者が中心となり、研修店舗におけるOJT等で教育を進めております。

しかし、人材確保、育成が当社の計画通りに進まない場合には、店舗におけるサービスの質の維持や計画通りの店舗展開が出来ず、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 敷金・保証金について

当社は、賃借により出店を行うことを基本方針としており、土地・店舗の賃借に際して家主に敷金保証金を差入れております。敷金保証金の残高は2023年1月期末が591,652千円、2024年1月期末が581,654千円となっており、総資産に対する比率は、各々7.0%、5.2%を占めております。敷金保証金は賃貸借契約終了をもって当社に返還されるものでありますが、賃借先のその後の財政状態によっては回収が困難となる場合や店舗営業に支障が生じる可能性があります。

また、当社側の都合によって不採算店舗の契約を中途解約する場合などは、当該契約に基づき、敷金保証金の一部又は全部が返還されない可能性があり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

⑥ 特定人物への依存度について

当社の創業者である代表取締役会長山岡正は、設立以来、経営方針や事業戦略の決定等、当社事業の中心的役割を担っております。現在のところ、他の取締役に権限を委譲する等代表取締役会長山岡正に過度に依存しない体制の構築を進めておりますが、何らかの理由により同氏が当社経営から離れることになった場合、当社の業績及び事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 法的規制等について

① 法的規制について

当社が運営する店舗は飲食店として、主に食品衛生法による規制を受けております。これらの法的規制が強化された場合や、その他当社事業に関連する法的な規制が強化、新設された場合には、設備投資等必要措置に対応するため、新たな費用負担が生じることなどにより、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 衛生管理について

当社では、安全な食品を提供するために、食品衛生法に基づき所轄保健所より営業許可証を取得し、全店舗に食品衛生管理責任者を配置しております。また、店舗内の衛生管理マニュアルに基づき、従業員の衛生管理や品質管理を徹底しております。更に、専門機関による定期的な各種衛生検査を実施しております。

現在のところ、当社では設立以来食中毒の発生等で行政処分を受けた事例はありませんが、当社の衛生管理諸施策の実施にもかかわらず、衛生問題が発生した場合や、他業者の不手際による連鎖的風評被害、食材メーカー等における無認可添加物の使用等による消費者の不信、また社会全般的な各種衛生上の問題が発生した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 短時間労働者に対する社会保険の適用拡大について

現在の短時間労働者に対する社会保険については、一日または一週間の労働時間及び一ヶ月の労働日数が通常の業務に従事する者の概ね4分の3以上である場合には加入が義務付けられており、該当するパート・アルバイトなどの短時間労働者は加入しております。

しかしながら、今後、短時間労働者に対する社会保険の適用基準が拡大された場合には、保険料の増加、短時間労働の就労希望者の減少等により、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 有利子負債について

当社は、店舗出店に伴い、主に設備資金を借入金により調達しているため、総資産に占める有利子負債の比率は下表のとおりの水準で推移しております。近年は低金利が持続しておりますが、今後、借入金利が上昇に転じた場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

2022年1月

2023年1月

2024年1月

有利子負債残高(千円)(注)

2,697,399

3,294,914

2,983,924

(対総資産額比率)

40.2%

38.9%

26.7%

純資産額(千円)

2,227,539

2,461,869

3,866,660

(自己資本比率)

33.0%

29.1%

34.6%

総資産額(千円)

6,702,184

8,462,952

11,163,578

支払利息(千円)

24,363

29,661

32,955

 

(注) リース債務及び割賦債務を含めて表示しております。

 

(4) 固定資産の減損に係る会計基準の適用について

当社は、店舗設備を原則自社保有しております。今後、店舗の営業損益に悪化が見られ短期的には回復が見込まれない場合、固定資産の減損に係る会計基準が適用されることにより減損損失が計上され、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(5) 自然災害等について

当社は、飲食店の経営を主要な事業としておりますが、消費者の来店動機を大幅に減少させるような地震・台風等による大規模な自然災害等が発生した場合、業績及び固定資産へのダメージなどにより財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 新型コロナウイルス感染症について

当社は、飲食店の経営を主要な事業としておりますが、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う政府からの緊急事態宣言発出やまん延防止等重点措置の適用による、各自治体からの要請等に基づく飲食店舗への営業自粛や営業時間短縮、外出自粛要請などが長期化した場合、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 経営成績の状況

当事業年度におけるわが国経済は、社会活動や消費行動は新型コロナウイルス感染症拡大前の活気を取り戻し、個人消費やインバウンド需要を中心として経済活動の正常化が進んでおります。一方で、中東やウクライナにおける武力紛争の長期化により国際情勢は不安定な状況が続き、サプライチェーンの混乱やエネルギー資源の高騰を招いており、世界的なインフレや常態化する円安の影響による更なる物価上昇も懸念され、国内景気は予測が困難な状況が続いております。

外食産業におきましては、人流が回復し消費行動が活発になり、コスト上昇に対する価格改定の効果もあり、各社売上高は上昇傾向が強まっております。一方で、来店客数回復に伴う労働力の不足や人件費、求人費の上昇、慢性化している原材料費の高騰などにより、経営環境は依然として厳しい状況が続いております。

このような状況の中、当社は、「食を通じて、人と地域社会をつなぐ企業へ」という経営理念のもと、①ロードサイドを中心とした直営店舗による出店、②お客様ニーズに何時でもお応えできる年中無休24時間営業を基本とした営業体制、③店内調理による味にこだわった商品提供を基本方針として、店舗運営に取り組んでまいりました。

当事業年度におきましては、「お客様に喜んで貰う」という全社スローガンを掲げ、ご来店いただくお客様、従業員、取引先など様々なステークホルダーの皆様にしっかりと向き合い、共に喜びを分かちあえる関係性を築きながら、更なる業績拡大と企業価値の向上に向けて取り組みを進めてまいりました。

今期の取り組みに関しまして、売上増や新規出店の対策として、中途採用や社員登用による人材確保や人員配置の適正化、各職制に応じた人材育成プログラムを計画し実行いたしました。また、店舗の商品やサービスの質の維持向上を図るため、経営層やスーパーバイザーが定期的に店舗への臨店を実施し、QSC(商品の品質・サービス・清潔さ)の確認と指導を継続的に行いました。更に、食材の安定供給に向けて取引先と連携を強化し、主要食材の仕入ルート確保と新規開拓、豚骨・豚肉の備蓄を計画的に進めました。

販促面では、10月に山岡家専用アプリをリリースし、会員限定のポイント付与やクーポン発行、期間限定商品や新店情報配信のほか、独自のコンテンツを盛り込んだ結果、会員数は40万人を突破、お客様サービス向上やリピーター獲得に繋がりました。他にも、来店動機の訴求効果を狙ったTV・ラジオによるCMやSNSを活用した情報発信などの販促も継続的に実施しております。

また、札幌市の狸小路商店街に自社ブランド3店舗を出店し各業態の宣伝効果や話題性を高め、より多くのお客様ニーズにお応えできるエリアを実現いたしました。

更に、DXの取組みとしまして、多様化するニーズに対応するため、キャッシュレス券売機の全店導入を10月に完了いたしました。導入により商品の選びやすさや買いやすさが向上し、お客様の利便性向上や混雑緩和、業務の効率化に繋がっております。

これらの施策を実行した結果、来店客数は年間を通じて好調を維持し、既存店売上高は22ヶ月連続で対前年を上回り、12月・1月と連続して過去最高の単月売上を記録いたしました。想定を上回る売上の伸びにより、各利益は対前期比で大幅な増益となり、営業利益率も過去最高を記録し、期初に立てた中期経営計画の目標を1年で達成することとなりました。

他に、従業員の意欲向上やリスク軽減、離職防止の一環として、従業員への定期的なアンケート実施により対話強化を図り、生活習慣病リスクが高まる40歳以上社員の人間ドック受診の義務化により健康管理を強化し、健康経営の実現に努めております。

その他、SDGsに関しまして、2022年から本格的にスタートした農業事業が軌道に乗り、農地面積の拡大や人材の補強により安定的に収穫できる体制へと向っております。今後も自社栽培の長ネギを更に多くの店舗で提供できるよう、通年での安定した収穫量を確保し、事業拡大に向けて計画的に課題に取り組み、食の安全、地球環境への負荷軽減と循環型社会の実現に向けて、環境に配慮した経営を目指してまいります。

なお、当事業年度の新規店舗展開は、ラーメン山岡家を北陸地方に2店舗、東北・近畿・中国・九州地方にそれぞれ1店舗、味噌ラーメン山岡家を札幌市に1店舗出店を行い、当事業年度末の店舗数は183店舗となりました。

その結果、当事業年度の売上高は26,494,136千円(前年同期比41.9%増)、営業利益は2,063,742千円(同301.4%増)、経常利益は2,132,790千円(同266.1%増)となりました。また、特別損益において、固定資産除却損21,882千円及び減損損失14,776千円を計上したことなどにより、当期純利益は1,432,628千円(同246.2%増)となり、通期で売上高、各利益ともに過去最高となりました。

 

 

② 財政状態の状況

(資産)

当事業年度末における資産につきましては、前事業年度末に比べ2,700,625千円増加し、11,163,578千円(前年同期比31.9%増)となりました。主な要因は、次のとおりであります。

流動資産につきましては、前事業年度に比べ1,762,533千円増加し、4,844,110千円(同57.2%増)となりました。これは現金及び預金が前事業年度末に比べ642,390千円増加し、2,774,994千円(同30.1%増)、店舗食材が前事業年度末に比べ593,597千円増加し、1,171,936千円(同102.6%増)、売掛金が前事業年度末に比べ462,002千円増加し、581,448千円(同386.8%増)が大きな要因であります。

固定資産につきましては、前事業年度に比べ938,091千円増加し、6,319,468千円(同17.4%増)となりました。これは有形固定資産が前事業年度末に比べ713,794千円増加し、4,745,683千円(同17.7%増)が大きな要因であります。

 

(負債)

当事業年度末における負債の残高は、前事業年度に比べ1,295,835千円増加し、7,296,918千円(同21.6%増)となりました。主な要因は、次のとおりであります。

流動負債につきましては、前事業年度に比べ1,479,832千円増加し、5,150,219千円(同40.3%増)となりました。これは未払金が前事業年度末に比べ453,397千円増加し、1,733,453千円(同35.4%増)、未払法人税等が前事業年度末に比べ514,441千円増加し、730,986千円(同237.6%増)が大きな要因であります。

固定負債につきましては、前事業年度に比べ183,997千円減少し、2,146,698千円(同7.9%減)となりました。これは長期借入金が前事業年度末に比べ188,781千円減少し、1,365,509千円(同12.1%減)が大きな要因であります。

 

(純資産)

純資産につきましては、前事業年度に比べ1,404,790千円増加し、3,866,660千円(同57.1%増)となりました。これは、当期純利益計上などに伴う利益剰余金の増加(1,893,923千円から3,286,545千円へ1,392,621千円の増加)が大きな要因であります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末と比較して606,388千円増加し、2,633,990千円となりました。当事業年度中におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

当事業年度のキャッシュ・フローの状況

営業活動によるキャッシュ・フロー

2,441,924

千円

投資活動によるキャッシュ・フロー

△1,368,828

千円

財務活動によるキャッシュ・フロー

△466,707

千円

現金及び現金同等物の期末残高

2,633,990

千円

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において営業活動により得られた資金は、2,441,924千円(前年同期比79.4%増)となりました。これは主に、税引前当期純利益2,096,158千円に対して減価償却費が562,631千円、減損損失が14,776千円となりましたが、法人税等の支払額が314,398千円となったことなどによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において投資活動により使用した資金は、1,368,828千円(前年同期比5.9%増)となりました。これは主に、店舗開設等による有形固定資産取得による支出が1,240,483千円あったことなどによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において財務活動により使用した資金は、466,707千円(前年同期は499,299千円の収入)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出が720,544千円、社債の償還による支出が284,000千円に対して、新規の長期借入れによる収入が500,000千円、新規の社債の発行による収入が196,382千円あったことなどによるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績

当事業年度の生産実績を事業部門別に示すと、次のとおりであります。

事業部門の名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

ラーメン事業

44,266

190.5

合計

44,266

190.5

 

(注)1.金額は、製造原価により算出しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b.受注実績

該当事項はありません。

 

c.販売実績

当事業年度における販売実績を都道府県別に示すと、次のとおりであります。

 

当事業年度

(自 2023年2月1日

至 2024年1月31日)

売上金額(千円)

前年同期比

(%)

ラーメン事業

 

 

北海道

6,610,356

132.8

茨城県

2,647,418

134.8

栃木県

1,318,017

136.7

埼玉県

2,336,277

135.7

千葉県

2,712,357

143.7

群馬県

1,179,284

135.5

東京都

259,726

141.2

宮城県

632,947

142.8

静岡県

1,072,091

135.0

福島県

551,607

151.1

神奈川県

693,706

147.1

岐阜県

109,361

147.6

山梨県

555,042

129.9

山形県

225,352

154.3

愛知県

1,070,576

144.9

三重県

426,272

149.4

長野県

452,289

151.5

岩手県

218,129

159.1

秋田県

338,441

143.1

青森県

528,120

153.6

兵庫県

305,973

156.5

福岡県

304,358

349.9

新潟県

604,139

151.1

富山県

154,257

131.6

福井県

161,360

170.1

岡山県

195,388

136.8

石川県

193,352

198.5

山口県

143,071

244.6

広島県

252,537

滋賀県

107,766

その他

134,555

88.7

合計

26,494,136

141.9

 

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

本項に記載した将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(売上高)

新規出店は7店舗となり当事業年度末の店舗数は183店舗になりました。

売上増や新規出店の対策として、中途採用や社員登用による人材確保や人員配置の適正化、各職制に応じた人材育成プログラムを計画し実行いたしました。また、店舗の商品やサービスの質の維持向上を図るため、経営層やスーパーバイザーが定期的に店舗への臨店を実施し、QSC(商品の品質・サービス・清潔さ)の確認と指導を継続的に行いました。また、山岡家専用アプリのリリース、来店動機の訴求効果を狙ったTV・ラジオによるCMやSNSを活用した情報発信などの販促も継続的に実施しております。また、札幌市の狸小路商店街に自社ブランド3店舗を出店し各業態の宣伝効果を高めることができました。なお、キャッシュレス券売機の全店導入を10月に完了し、お客様の利便性向上や混雑緩和、業務の効率化に繋がっております。

これらの施策を実行した結果、来店客数は年間を通じて好調を維持し、既存店売上高は22ヶ月連続で対前年を上回りました。その結果、売上高は26,494,136千円(前年同期比41.9%増)と過去最高となりました。

(売上原価、売上総利益)

当事業年度は、需給バランスや価格高騰に伴う原材料価格の変動が継続しており、引き続き厳格なロス管理を行っておりますが、前事業年度と比較し原価率が約1%上昇いたしました。以上の結果、売上総利益は18,836,509千円(前年同期比39.8%増)となりました。

(販売費及び一般管理費)

販売費及び一般管理費は、人件費につきましては、引き続き適切なワークスケジュール管理を行い適正化に努めておりますが、時給単価上昇が続いていることや待遇改善のためのベースアップや特別賞与支給、来店客数増加に伴うスタッフの増員と人員配置の見直しにより大幅に増加いたしました。エネルギーコストにつきましては、為替の上昇が一服したことや原油先物の下落もあり増加は限定的となりました。主要コストを含めその他店舗管理コストにつきましても、引き続き徹底した効率化を図っておりますが、売上高の拡大による人件費の増加を始めとしたコストの上昇が続いていることなどもあり、販売費及び一般管理費は計画を上回り、16,772,766千円(前年同期比29.4%増)となりましたが、売上高比では63.3%と前期と比較し約6ポイントの改善となりました。なお、当事業年度の営業利益は2,063,742千円(前年同期比301.4%増)となりました。

(営業外収益、営業外費用)

営業外収益は、受取手数料が69,008千円(前年同期比25.0%増)となったことなどから、109,061千円(前年同期比3.8%増)となりました。営業外費用は、支払利息が29,121千円(前年同期比9.0%増)となったことなどから、40,013千円(前年同期比9.0%増)となりました。なお、当事業年度の経常利益は2,132,790千円(前年同期比266.1%増)となりました。

(特別利益、特別損失)

特別利益は27千円(前年同期比100.0%減)となりました。特別損失は、固定資産除却損21,882千円及び減損損失14,776千円を計上したことなどから36,658千円(前年同期比55.2%減)となりました。

(当期純利益)

税引前当期純利益2,096,158千円に対し法人税、住民税及び事業税並びに法人税等調整額の合計663,530千円を計上し、当期純利益は1,432,628千円(前年同期比246.2%増)と過去最高となりました。

 

② 経営方針・経営戦略、経営上の目標達成を判断するための客観的な指標と今後の見通しについて

国内経済は、個人消費やインバウンド需要を中心として、経済活動の正常化が進んでおりますが、国際情勢は不安定な状況が続き、サプライチェーンの混乱やエネルギー資源の高騰を招いており、世界的なインフレや常態化する円安の影響による更なる物価上昇も懸念され、景気の先行きは依然として予測困難な状況が続いております。

 

外食産業におきましては、消費行動がコロナウイルス感染症拡大前の状況に戻り、コスト上昇に対する価格改定の機運が高まり、各社売上高は回復へと向かっておりますが、来店客数回復に伴う労働力の不足や人件費、求人費の上昇、慢性化している原材料費や配送費の高騰などにより、経営環境は依然として厳しい状況が続いております。

このような環境の中、当社は以下のとおり、経営戦略を掲げております。

a.QSC向上…SVの増員と店舗臨店回数増加による指導強化、衛生面の管理強化、インナーコンテストの実施

b.採用・育成…特定技能人材の採用、新卒採用の拡充、早期店長昇格を目的としたキャリア採用の強化、経営理念・行動指針の浸透、研修体制の拡充、各種トレーニングツールの積極的活用

c.労務環境 …健康経営の実現と人間ドック受診費の会社負担継続、コンプライアンス遵守と長時間労働者の産業医面談の実施、人事労務面のインフラ整備と情報管理の向上、福利厚生による将来の資産形成フォロー

d.出店・改装…山岡家業態10店舗の新規出店、売上好調なエリアへのドミナント出店強化、西日本エリアの出店候補地選定強化、バックヤードの設備増設

e.購買活動 …豚骨の備蓄増強、主要食材の年間仕入スケジュール構築、食材の安定供給に向けた仕入先との連携強化、農業事業の課題取り組みと拡大

経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、売上高、営業利益及び営業利益率を中長期的な経営の重要指標としております。

次期につきましては、当事業年度と同じく「お客様に喜んで貰う」を全社スローガンとして掲げ、当社の経営ビジョンである300店舗の出店と47都道府県への店舗展開の実現に向けて、QSC(商品の品質、サービス、清潔さ)向上、人材採用と育成、労務環境整備と定着率向上、新規出店と改装、効率的な購買活動と食材の安定供給に関する各課題に対して方策を立て、計画的に取り組みを進めてまいります。

次期は、これらの施策により、売上高30,000百万円経常利益2,350百万円当期純利益1,572百万円と計画しており、計画達成に向け社内一丸となって取り組んでまいります。

なお、2025年1月期から3年間の中期経営計画につきましては、現在策定中であります。

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

キャッシュ・フローの分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社の運転資金需要のうち主なものは、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は営業店舗設備投資等によるものであります。

当社は、運転資金につきましては、内部資金により資金調達することとしており、設備資金につきましては、固定金利の長期借入金及び社債(銀行保証付私募債)発行で調達することを基本としております。調達コストにつきましては、過度な金利変動リスクに晒されないよう、固定金利もしくは金利スワップなどを活用しております。今後におきましても、これらの方針に大きな変更はないものと考えております。

なお、当事業年度末現在における借入金及びリース債務等を含む有利子負債残高は2,983,924千円となっております。

 

 

④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針につきましては「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 重要な会計方針」に記載のとおりであります。

当社は、固定資産の減損及び税効果会計などに関して、過去の実績や当該取引の状況に照らして、合理的と考えられる見積り及び判断を行い、その結果を資産・負債の帳簿価額及び収益・費用の金額に反映して財務諸表を作成しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。