第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

ミッション(Mission)

「お客様のビジネスにプラスアルファの価値を創造します。」

 世の中にあふれる膨大な文章、数値、画像、音声等の情報を「見える化」し、お客様のビジネスに役立つ「気付き」を提供することで、お客様に+α(プラスアルファ)の価値を創造します。

 

ビジョン(Vision)

「見える化プラットフォーム企業を目指します。」

 あらゆる分野でデジタル化が進み、情報量が爆発的な増加を続ける中、人が持つ創造力や生産性を向上させるソリューションを提案し、お客様、社員、パートナーと共に様々な業界の仕組みを変革するプラットフォーム企業を目指します。

 

企業理念

・私たちは、プラスアルファの価値を生み出すことで、「つきぬける感動」と「広がる可能性」を提供します。

・私たちは、互いに「勇気」「情熱」「思いやり」、そして、「地道な努力」を大切にします。

・私たちが優先するのは、強みが活かせ、自らが成長し、社会に貢献できる仕事であり、常に「ポジティブな姿勢」でやり遂げます。

 

 これらの理念、ミッションの下、当社グループは、あらゆる分野におけるデジタル化の進展に伴い増加する情報量を「見える化」する技術をコアとして、多様なビジネス領域で価値のある事業を展開してまいります。

 

(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、持続的な成長と企業価値の向上を目指しており、主な経営指標として売上高、営業利益、営業利益率を重視しております。

 

(3)経営環境

 当社グループの属する国内ソフトウェア市場は、2022年度において1兆9,768億円に達し、うちSaaS市場は12,062億円と全体の61.0%を占めており、今後も堅調に推移する見通しであります(出所:株式会社富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場2023年版」)。システム導入期間の短期化や導入コストの低減を図れること、API(注)連携による他システムとの連携が容易であることから、国内ソフトウェア市場の中でも特にSaaS型サービスが市場の成長を牽引している状況にあります。当社グループの事業領域であるテキストマイニングツール分野、CRM分野及びHRテック分野においても、企業のデジタル化シフトによる働き方の見直しや業務の自動化・効率化などへの取り組みが続いており、それらを支援するソフトウェア(特に当社グループが手掛けるSaaS型クラウドサービス)については需要が維持され、いずれも市場拡大が見込まれるものと予想されております(出所:同上)。

(注) API:Application Programming Interfaceの略。ソフトウェアからOSの機能を利用するための仕様又はインターフェースの総称で、アプリケーションの開発を容易にするためのソフトウェア資源のこと。

 

(4)経営戦略等

 当社グループは、このような経営環境の下、今後の新たな分野での事業展開を見据え、また既存事業の基盤強化を図るために以下の戦略を進めていく方針であります。

 

① タレントマネジメント領域への積極投資とHR分野への本格展開

 働き方改革や労働人口減を背景に人材活用の質的向上や効率化を目指した人事系ソフトウェアの需要が拡大しております。急拡大する需要に対応するため、タレントマネジメント領域へ積極投資を行い、当社グループが推進する「科学的人事」を実現する機能強化を図るほか、HR分野へのサービス進出を積極的に進めたいと考えております。具体的には、人材情報プラットフォームに蓄積された情報やデータ分析結果を活用することで、既存の人事分野の業務(「人材紹介・採用」「研修・育成」「福利厚生・イベント」「ヘルスケア」など)において、一例としては、精度の高い採用手法や社員教育の効率化手法などを開発し、より実効性の高いサービスとして事業展開を図っていく予定です。

 

② ビッグデータと分析テクノロジーのプラットフォーム戦略

 当社グループでは、様々なデータソースや分析機能をワンストップで取り扱えることで、サービスの付加価値が向上し、顧客にとっての魅力が更に高まると考えております。当社グループでは、サービスが取り扱うデータ種類の拡充を図るとともに、顧客の利用シーンに合わせた豊富な分析機能を用意することを継続して推進する予定です。

 

③ コンサルティング力強化による高付加価値化と大型案件創出

 当社グループでは、コンサルティング業務を通じて顧客とともに課題解決に取り組んでおり、そのプロセスの中で顧客業界の市場特性や課題解決に直結する分析などの知識や経験が蓄積されております。これらの知見を活かして、新たなサービス開発につなげるほか、高付加価値のコンサルティングを合わせて提供することで、大型のソリューション案件の創出につなげていきたいと考えております。

 

④ 事業分野ごとの経営方針

<見える化エンジン事業>

 「顧客体験フィードバック」のコンセプトのもと、企業が顧客に提供したい顧客体験と、顧客の感じ方のギャップを分析する仕組みを提供し、企業の商品・サービスの改善に対するソリューションとして事業展開を図っております。

 顧客の声をマーケティングに活かす取り組みが着実に浸透してきていることから、当サービスへの引き合いも堅調に推移しており、ツール単体としての提供だけでなく、分析ノウハウや分析結果の活用方法などをコンサルティングとして提供しつつ、顧客内の幅広い部門での活用を促す取り組みを強化していく予定です。

 当社グループでは、コンサルティング業務を通じて顧客とともに課題解決に取り組んでおり、そのプロセスの中で顧客業界の市場特性や課題解決に直結する分析などの知識や経験が蓄積されております。これらの知見を活かして、新たなサービス開発につなげるほか、高付加価値のコンサルティングを合わせて提供することで、大型のソリューション案件の創出につなげていきたいと考えております。

 

<カスタマーリングス事業>

 「実感型デジタルマーケティング」のコンセプトのもと、データの効率的な活用にとどまらず、オンライン施策が顧客行動に与える影響を見える化し、次の施策決定の際に分析結果を直接活用できるソリューションとして事業展開を図っております。

 電子商取引市場の拡大により、顧客とのデジタル接点から収集した情報を次のマーケティング施策に活かす取り組みが広がっていることから、新規顧客の獲得に加えて、既存顧客の利用度拡大によるプランアップなどを推進していく予定です。

 

<タレントパレット事業>

 働き方改革や労働人口減を背景とした人材活用プロセス(採用、教育、配置、評価)の質的向上や効率化を目指した人事系ソフトウェアの市場は急拡大しております。当サービスについては、顧客基盤の拡大に向け、先行的に積極的にマーケティング投資を実施するほか、分析的視点での人事戦略を実現する「科学的人事」のコンセプトのもと、継続的にサービスの機能強化を図り、また導入企業へのコンサルティングを通じて蓄積された分析ノウハウや活用方法などをサービス強化に結び付けていく予定です。

 

⑤ AI・テキストマイニング、技術力強化による機能差別化

 IT業界は変化が激しく、新しい技術やトレンドには常にキャッチアップしていくことが不可欠と考えております。特に、当社グループが関わる情報分析の領域においては、近年、機械学習やAIなど新しい技術の枠組みが台頭しております。当社グループでは、他社に先駆けて最新技術を取り入れることで、サービスの差別化や新市場の開拓につなげていく方針です。

 

⑥ 経営基盤の強化、社員の戦力強化

 事業が拡大し社員数が増えていく中で、スピードを落とすことなく成長を継続するため、それを支える経営基盤の強化が不可欠と考えております。社員一人ひとりのレベルアップのため、研修・教育などの制度充実を図るほか、組織拡大に合わせバランスを取りながら経営管理体制を強化してまいります。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループが対応すべき主な課題は、以下の項目と認識しております。

 

① 優秀な人材の確保

 当社グループでは、持続的な成長のために優秀な人材を確保することが不可欠と考えております。当社グループビジョンに共鳴できる人材獲得のため、積極的な採用活動を推進するだけでなく、入社後に定着して能力を発揮できるよう研修の充実を図るなど職場環境を整備してまいります。

 

② サービスの付加価値創出

 SaaS型サービスは、導入費用の低さや導入までの期間の短さから認知度が高まっており、今後も成長が継続すると予想しております。一方で、新規参入者や競合事業者が参入してくることで、今後はサービス提供者が増え、価格競争が進むものと考えております。当社グループでは、顧客ニーズに合わせてサービスを進化させるとともに、新機軸のサービスを取り入れ差別化を図ってまいります。

 

③ 認知度向上とマーケティング強化

 当社グループでは、インターネットへの広告や展示会への出展等を通じて顧客獲得を進めてきましたが、更に顧客基盤を拡大させるため、サービスの認知度を一層高めることが不可欠と考えております。幅広い顧客層にリーチするため、新しいマーケティング手法を取り入れるほか、マス広告等のメディア活用も取り入れながら、更なる認知度の向上に努めてまいります。

 

④ 情報管理体制の強化

 当社グループが運営するサービスにおいては、顧客情報や個人情報を取り扱っており、これらの情報管理体制を強化することが重要であると考えております。プライバシーマークやISO/IEC 27001:2013及びISO/IEC 27017:2015を取得しており、情報セキュリティに関する方針を定め、社内規程の整備や運用の徹底、研修の実施、社内システムの一層のセキュリティ強化等を通じて、これらの情報を厳正に管理するための体制の強化に取り組んでまいります。

 

⑤ システムの安定的な稼働

 当社グループが運営するサービスはインターネットを利用したサービスであり、システムの安定的な稼働が不可欠であります。利用者の増加やデータ容量拡大に対応するため、システム投資、メンテナンス投資及び運用管理体制の強化を引き続き行ってまいります。

 

⑥ 社内管理体制の強化

 当社グループが事業環境に適応しつつ、持続的な成長を維持していくためには、経営上のリスクを適切に把握し、当該リスクを適切にコントロールするための内部管理体制の強化が重要であると考えております。内部統制の実効性を高め、コーポレート・ガバナンスの充実を図るため、監査役と内部監査室が積極的に連携して定期的な監査を実施するほか、役員・従業員に対しては研修の実施等を通じてコンプライアンス体制を強化してまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次の通りであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)ガバナンス

当社グループが中長期的に持続的に成長し、企業価値を向上させるため、サステナビリティに関連する課題への対応は社会的要請へ対応するだけでなく、リスク低下や収益機会にもつながる重要な経営課題と考えております。このため、当社グループでは社会の一員として持続可能な社会の実現に向けた責任を果たすため「サステナビリティ方針」を策定し、これを取締役会にて決議しております。具体的にはESGの観点から、特に「環境配慮の事業運営」、「ダイバーシティ経営」、「多様な働き方を可能とする社会への貢献」、「人的資本への投資を通じた知的財産の強化」という4項目を設定し、当社グループの事業特性を活かした活動を行うこととしております。現在、当社グループでは、取締役会においてサステナビリティ全般に関するリスク及び機会に対する監督権限を有しておりますが、サステナビリティに関する取り組み状況をグループ全体で監督し、強化することを目的とした「サステナビリティ委員会」の設置を検討しております。

 

(2)戦略

<環境配慮の事業運営>

当社グループは、事業運営にあたって、省資源・省エネルギー等により環境や社会への配慮を行い、気候変動などの地球環境問題に対応してまいります。極力環境負荷の少ないものの使用につとめ、環境負荷の低減のみならず、社会や経済の持続可能な成長に貢献する取り組みを積極的に行ってまいります。事業所の省資源・省エネルギー等を進めるほか、サービス運営に必要なデータセンターやクラウドサービスについては、極力環境配慮型のサービスを採用するよう努めてまいります。

 

<ダイバーシティ経営>

当社グループでは、人材の多様性(ダイバーシティ)が経営や事業に変革を生み、会社の持続的な成長を確保する上で強みとなるとの認識に立ち、性別や国籍、年齢に拘らず、経験、能力、多様な視点や価値観を有する従業員が活躍できる職場づくりに積極的に取り組んでまいります。婚姻・育児・介護等のライフステージに合わせた柔軟な働き方ができるよう、短時間勤務制度や育児・介護休業制度の充実、在宅勤務の活用などにより、働きやすい環境整備に努めてまいります。

特に、女性従業員が生き生きと働き継続的に活躍できるよう、妊娠中/出産後の健康管理や相談できる体制を人事部門に整備するほか、育児・介護休業の取得を促進する情報発信、休職中の社員が復帰しやすいようなサポート等を積極的に実施したいと考えております。

 

<多様な働き方を可能とする社会への貢献>

少子化による労働力不足や働き方改革など、雇用や労働のあり方に関する課題とその対応が注目されております。これらの課題に対して、当社グループが提供するサービスの普及を通じて、顧客企業が社員の力を有効に活用し、組織の力を最大化させることを支援してまいります。社員一人ひとりが平等に尊重・評価され生き生きと働けること、また必要な能力開発によりイノベーションを生み出し持続的成長を実現することなどの観点において、タレントパレット事業の推進そのものが社会のサステナビリティにつながるものと考えております。

 

<人的資本への投資を通じた知的財産の強化>

当社グループの持続的な成長と企業価値の向上のため、人への投資を通じた知的財産の強化に取り組んでまいります。当社グループのサービスは、従業員の知見や発想をもとに創り出されており、社員一人ひとりに蓄積されたノウハウが最も重要な資産「人財」であると考えております。このような知的財産を継続的に強化するとともに、職種別、階層別などの社員教育への積極的な投資を行うほか、OJT、OFF JTと合わせて、次世代経営層・リーダーの育成を通じて、人材の登用・育成に努めてまいります。

 

(3)リスク管理

当社グループの経営成績、財務状況などに影響を及ぼす可能性があるリスクについては「リスク・コンプライアンス管理委員会」において、その評価や対応策の検討を行っております。リスク・コンプライアンス管理委員会では、内部環境や外部環境の変化に対して発生しうるリスクの情報収集、分析を行うほか、リスク項目として設定された事項については、重要度や緊急性などの評価を行うほか、対応策の検討や決定、その実施状況についてモニタリングしております。

リスク・コンプライアンス管理委員会の内容については、四半期に1度、取締役会に報告を行っており、必要な指示を受けた上で推進部門とともに迅速かつ適切な対応をとってまいります。

 

(4)指標及び目標

<多様性確保>

当社グループは、多様な経験・技能・属性を有する中核人材を確保することが当社グループの中長期的な成長につながるとの認識のもと、女性・外国人・中途採用者の管理職への登用等での制限は特に設けず、人材の多様性確保に取り組んでおります。管理職に占める女性の比率についてはモニタリングを行っており、現在の全社員に占める女性社員の比率31.3%とのバランスにより、2028年9月末までに管理職に占める女性の割合を20%以上となることを目標に、女性が活躍できる社内環境の整備・支援を一層推進してまいります。

 

<社内環境整備>

社員のライフステージの変化に応じて、育児・介護休業を柔軟に取得できるよう当該休業制度の改善や周知を図っているほか、休業社員の職場復帰を支援するため休業中の情報提供や外部研修の受講促進などの支援を行ってまいります。また長時間労働を抑制するため、月間の平均残業時間を25時間以内とすることを目標としております。

 

<環境配慮>

事業運営にあたり、省資源・省エネルギー等により環境や社会への配慮を行い、気候変動などの地球環境問題に対応してまいります。具体的には、事業所として利用する社屋を環境配慮型のものとするほか、環境対応型のデータセンターを利用するなどの取組みを進めてまいります。TCFDまたはそれと同等の枠組みに基づく開示は行っておりませんが、今後、必要なデータの収集と分析を行い、TCFD等の枠組みに基づき開示を行うこと及び開示の質と量の充実を図ることにつき検討してまいります。

 

3【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当社グループといたしましては、これらのリスクを認識し、リスクの予防、回避及び発生時の適切な対応に努める所存であります。なお、文中における将来に関する事項については、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであり、将来において発生する可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 以下の各事項において、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化したときに当社グループの経営成績等の状況に与える影響について合理的に予見することが困難な場合には、その可能性の程度や時期・影響についての記述は行っておりません。なお、当社グループはリスク管理の基本方針及び管理体制を「リスク管理規程」において定め、リスク管理の基盤としての内部統制システムと代表取締役を委員長とするリスク・コンプライアンス管理委員会において、事業を取り巻く様々なリスクに対して適切な管理を行い、リスク顕在化の予防を図っております。

 

(1)市場動向について

 当社グループが提供するクラウドを利用したSaaS型サービスについては、現在、企業が業務の自動化や効率化を進めており、それらを後押しするシステム投資へのマインドが上向いていることから、企業規模を問わず高い需要が継続しております。このような環境の中、当社グループでは、複数の事業領域へ参入することにより、外部環境の変動に強いビジネスモデルの構築を推進しております。しかしながら、今後経済情勢や景気動向等が変化し、顧客企業の投資マインドが減退するような場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)競合について

 当社グループは、大量の情報を簡易な操作で分析・可視化できるSaaS型サービスを複数の領域で展開しております。当社グループでは、独自の可視化技術の活用により顧客ニーズに合わせたサービスを展開するほか、これまでの経験・実績及び社内ノウハウ等を強みとして製品力を強化することで差別化を図り優位性を高めております。しかしながら、事業展開する領域によっては、資金力、ブランド力を有する競合事業者が存在するほか、新規に参入者が出現する可能性があります。これらの企業との競争が激化した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)技術革新への対応について

 当社グループがサービスを提供するインターネット業界においては、新技術の開発及びそれに基づく新サービスの導入が頻繁に行われ、変化の激しい業界となっております。当社グループでは、新しいトレンドには柔軟に対応していく必要があるため、最新の技術動向や環境変化を把握できる体制を構築するほか、優秀な人材の獲得及び社員教育等に努めております。しかしながら、何らかの理由で技術革新等への対応が遅れた場合、当社グループが提供するサービスの競争力が低下する可能性があります。また予定していない開発費等の投資が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)システムトラブルについて

 当社グループのサービスはインターネット経由で提供されており、サービス基盤は社内外のネットワークやシステムに依存しております。このため当社グループでは、安定的なサービス提供のため、サーバー設備の増強や情報セキュリティの強化を行うなどのシステム管理体制を強化しております。

 しかしながら、自然災害や事故等により、電力供給の停止等の予測不可能な様々な要因により、ネットワークやシステムが停止した場合には、サービスを提供することが不可能となる場合があります。またアクセスの一時的な増加による負荷増大でサーバーが停止する場合や大規模なプログラム障害でサービス提供に支障が出る場合があります。さらに、外部からの不正な手段によるコンピュータ内への侵入等の犯罪や当社グループ担当者の過誤等によりシステムに重大な影響が出る場合があります。これらの場合、当社グループのサービスへの信用度が著しく低下し、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)新規事業への投資について

 当社グループでは、事業規模の拡大と収益源の多様化を実現するため、新規事業を開発するための取り組みを積極的に進めていく方針であります。

 新規事業が安定して収益を生み出すまでには、一定期間、研究開発等への投資を要することが想定され、全社の利益率を低下させる可能性があるため、新規事業への投資については市場動向を充分に観察・分析し、事業計画等を慎重に検討した上で実行判断をするほか、既存事業の収益とのバランスを勘案しながら、許容できるリスクについて判断しております。しかしながら、将来の事業環境の変化等により、新規事業が当初の計画どおりに推移せず、投資に対して十分な回収を行うことができなかった場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)特定サービスへの依存によるリスクについて

 当社グループは、見える化エンジン事業、カスタマーリングス事業、タレントパレット事業の3つのセグメントによる事業展開を行っており、複数の事業領域へ参入することにより、外部環境の変動に強いビジネスモデル構築を推進しております。しかしながら、タレントパレット事業における売上が相対的に大きく(2022年9月期の売上比率60.2%、2023年9月期の売上比率68.6%)、上昇傾向となっております。このためタレントパレット事業における事業環境の変化等が生じた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)M&A、組織再編について

 当社グループは、M&Aの実施にあたり、企業の財務内容や契約関係等の事前調査を十分に行っておりますが、対象会社の業績が悪化し、のれんの残高について、相当の減額を行う必要が生じることで当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。なお当連結会計年度末におけるのれんの残高は1,167百万円であります。

 

(8)広告宣伝費について

 当社グループでは、マス媒体やオンライン媒体等に広告を掲載し、サービス認知を高めることが効率的な集客につながることから、積極的な広告宣伝活動を実施しております。広告宣伝活動の実施にあたっては、蓄積した知見を基に広告宣伝効果を分析し、最適な効果を得られるよう努めておりますが、市場動向等により広告宣伝費に対する費用対効果を期待通り得られない場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(9)内部管理体制について

 当社グループでは、継続的な成長のために適切なコーポレート・ガバナンスを整備し、内部管理体制の充実を図ることが重要であると認識しております。このため業容拡大や従業員の増加に合わせ、内部管理体制の整備を進めており、今後も一層の充実を図る方針となっております。しかしながら、事業成長に比べて内部管理体制の構築が遅れるなど、適切な経営管理がなされない場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)人材の確保について

 当社グループでは、今後更なる業容拡大に対応するため、優秀な人材を確保し、継続して育成・定着させることが重要な課題であると考えております。このため採用活動を強化するほか、入社後の研修等の充実を図るなど、各種施策を推進しております。しかし、当社グループが求める人材を十分に確保できず、また社内における人材育成が計画通りに進まない場合、適正な人員配置が困難となり、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(11)特定人物への依存について

 当社グループの代表取締役社長である三室克哉及び取締役副社長である鈴村賢治は、当社グループの主要株主であるとともに、事業に関する豊富な経験と知識を有しており、経営方針や事業戦略の決定などの事業活動全般において重要な役割を果たしております。

 当社グループでは、業容拡大とともに権限委譲を進め、両名に過度に依存しない経営体制の整備や人材の育成など、リスクの軽減に努めております。しかしながら、何らかの理由により両名による当社グループ業務の遂行が困難となった場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(12)情報管理体制について

 当社グループは、提供するサービスに関連して顧客企業の機密情報や個人情報を取り扱っております。当社グループでは、個人情報の取り扱いに関する重要性を十分に認識しており、「個人情報の保護に関する法律」や「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」の要求事項の遵守に努めております。これらの情報資産を保護するため、プライバシーマーク、ISO/IEC 27001:2013及びISO/IEC 27017:2015を取得しているほか、情報セキュリティに関する方針を定め、この方針に従って情報資産を適切に管理、保護しております。

 また、個人情報の取り扱いについては、国内の法令のみならず、EU一般データ保護規則(GDPR)をはじめとする海外における法令や規則(以下、「海外法令等」という)の適用を受けることがあります。当社グループでは適用可能性のある地域について現地法律事務所等を通じて必要な調査を実施し、加えて海外法令等の動向調査レポート等を利用するなどして、海外法令等の情報を適宜収集し、これらを踏まえた必要な対策を講じております。

 しかしながら、このような対策にもかかわらず重要な情報資産が外部に漏洩した場合には、当社グループの社会的信用の失墜、損害賠償請求の発生等により、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(13)知的財産権について

 当社グループが開発した知的財産については適切に登録等を行い、財産の保全を図っております。また、他社の保有する知的財産を侵害しないよう、サービスの開発段階において採用する技術等について、必要に応じて弁理士等を通じて調査を行うこととしております。

 しかしながら、万が一、第三者の特許権や著作権等の知的財産を侵害した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(14)訴訟等について

 当社グループは、法令及び契約等の順守のため「コンプライアンス規程」を定めて社内教育やコンプライアンス体制の充実に努めており、本書提出日現在において訴訟を提起されている事実はありません。しかしながら、将来何らかの事由の発生により、訴訟提起を受ける可能性があります。その訴訟の内容及び結果によっては、当社グループの事業及び業績、並びに企業としての社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15)自然災害について

 当社グループの事業活動に必要なサービス基盤については、自然災害等が発生した場合に備え、データセンターやクラウドを利用しております。

 これらサービスの利用にあたっても、自然災害や事故等に備え、システムの二重化、定期的なバックアップ、稼働状況の監視等によりトラブルの事前防止又は回避に努めております。しかしながら、火災、地震等の災害によりサービス基盤が被害を受け、情報資産の消失又はサービスの提供が維持できない状態に至った場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(16)感染症の伝染拡大のリスクについて

 当社グループでは、感染症の伝染が拡大した場合に備え、衛生管理の徹底、時差出勤の導入、在宅勤務の導入など、感染防止のための施策を実施しております。しかしながら、当社グループや業務委託先の従業員、派遣社員等へ感染が広範囲に拡大することや、政府における非常事態宣言や外出禁止等の措置に伴う業務の制限等により、サービス提供、その他事業運営に影響が生じ、当社グループの事業及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営成績等の状況の概要

① 経営成績の状況

 あらゆる情報がデジタル化されビッグデータ化する中で、当社グループは「見える化プラットフォーム企業」のビジョンのもと、先進的なテクノロジー活用によるデータを可視化する技術を武器に、ビッグデータ活用による企業の業務効率化や意思決定を支援するサービスを展開しております。

 

当連結会計年度の経営環境においては、企業のデジタル化シフトや働き方の見直しに伴う業務の自動化・効率化などへの取り組みが続いており、それらを支援するソフトウェアについては高い需要が維持されております。特に当社グループが手掛けるSaaS型クラウドサービスは、イニシャルコストを抑えて短期での導入が可能であることや、システム更新などの運用負荷を軽減できることから導入へのハードルが低く、企業規模や業種を問わず投資意欲が高く、市場成長をけん引しております。

 

当社グループでは、2008年5月にスタートした見える化エンジンにより高収益を確立しながら、2011年7月に立ち上げたカスタマーリングスでは安定成長を継続し、2016年9月に参入したタレントパレットは高成長を続けております。いずれも継続収益が大部分を占めるSaaS型サービスであり、それぞれの事業による収益が上乗せされる形で成長を継続しております。全ての事業は黒字化しておりますが、高収益の安定事業、安定成長事業、高成長事業の組み合せにより、全社ベースで高い成長率と利益率を同時に実現しております。

 また2022年10月からは株式会社グローアップが子会社となり、タレントパレットとの連携を図りながらグループの成長に寄与しております。

 

新規顧客を獲得するための活動としては、マス広告やWeb広告等によるオンラインマーケティング、展示会やWebセミナー等へのイベントへの参加により、当社グループのサービスに関心をもつ顧客を集客し、導入を検討する企業にはサービス説明や分析手法の紹介などのデモを実施しながら、顧客の導入意欲を高めることにより受注を獲得しております。またインサイドセールスやアウトバウンドなどの手法も活用し、潜在的な顧客に対して積極的に提案を行うことで、新たな顧客層の開拓を推進しております。

 

 以上の取り組みの結果、当連結会計年度における売上高は11,171,752千円となり、前年の高成長を継続しております。また将来の大きな市場獲得を見据えた人材採用やマーケティング投資などの積極的な成長投資を継続した結果、営業利益は3,711,007千円、経常利益は3,678,778千円、親会社株主に帰属する当期純利益は2,620,777千円となっております。

 セグメント別の経営成績は次の通りであります。

 

a.見える化エンジン事業

 見える化エンジン事業においては、コールセンターやマーケティング部門に集まる顧客の声に加え、近年拡大してきたソーシャルメディア上での口コミを分析できるツールを提供しております。

当事業では「顧客体験フィードバック」のコンセプトのもと、企業が顧客に提供したい顧客体験と、顧客の感じ方のギャップを分析する仕組みを提供しており、企業の商品・サービスの改善に対するソリューションとして事業展開を図っております。

 

主力顧客の製造業の受注は引き続き堅調であるほか、金融業などのサービス業などでも顧客の声をマーケティングに活かす取り組みは着実に浸透しつつあることや、コロナウイルス感染で抑制されていた観光・レジャー業などの活動が回復しつつあることなどにより、当サービスへの引き合いは堅調に推移しております。またツール単体としての提供だけでなく、分析ノウハウや分析結果の活用方法などをコンサルティングとして提供しつつ、顧客内の幅広い部門での活用を促す取り組みを強化した結果、受注案件の大型化が進んでいるほか、既存顧客についても活用シーンの拡大とともに顧客単価は堅調に推移しております。

足元では、ソーシャルメディア上での消費者動向の把握、コールセンターやコンタクトセンターなどでの顧客の声の分析、社内のナレッジ蓄積と業務効率化等を目的としたサービス導入が好調に推移しております。

 

 以上の結果、当連結会計年度におけるセグメント売上高は1,815,843千円、セグメント利益は954,814千円となりました。

 

b.カスタマーリングス事業

 カスタマーリングス事業においては、主にEC事業者や通信販売事業者向けに、顧客の属性、購入履歴、メール配信への反応等の情報に基づき、最適なキャンペーンを実施できる統合マーケティング・ツールを提供しております。

当事業では「実感型デジタルマーケティング」のコンセプトのもと、データの効率的な活用にとどまらず、オンライン施策が顧客行動に与える影響を分析・見える化することで、次の施策決定を支援し、また分析した結果を直接マーケティング施策に活用できるソリューションとして事業展開を図っております。

 

電子商取引市場の拡大により、顧客とのデジタル接点から収集した情報をマーケティング施策に活かす取り組みが広がってきている一方で、成長市場であるデジタルマーケティング分野は新規参入も多く、競争環境は厳しくなってきております。そのような環境の中で、当社グループは、多様な条件設定によりリアルタイムに有望顧客を抽出・可視化することで顧客に合わせたきめ細かなマーケティング・シナリオ構築と最適アクション実施を実現できるツールとして差別化を図っております。

 

 当サービスへの引き合いは堅調に推移しており、顧客数の増加に加え、既存顧客の利用度拡大に伴うプランアップ従量課金の増加により顧客単価は上昇傾向にあり、収益拡大に寄与しております。

 

 以上の結果、当連結会計年度におけるセグメント売上高は1,689,434千円、セグメント利益は508,735千円となりました。

 

c.タレントパレット事業

 タレントパレット事業においては、企業内に散在している社員スキル、適性検査結果、職務経歴、人事評価、従業員アンケート、採用情報などの人材情報を集約して分析・見える化できるプラットフォームを提供しております。 働き方改革や労働人口減を背景とした人材活用プロセス(採用、教育、配置、評価)の質的向上や効率化を目指した人材管理のソフトウェア市場は急拡大しております。当社グループでは、顧客基盤の拡大に向け、先行的に積極的な人員採用やマーケティング投資を実施しており、導入社数は急速に増加しております。

 

 当事業において提供しているサービスは「タレントパレット」と「キミスカ」であります。

 「タレントパレット」では人材情報をデータで見える化し、分析的視点での人事戦略を実現する「科学的人事」のコンセプトのもと、継続的にサービスの機能強化を図っているほか、導入企業へのコンサルティングを通じて蓄積された分析ノウハウや活用方法などをサービス強化に結び付けております。足元では「ジョブ型雇用機能」「健康経営機能」「人的資本管理機能」などのサービス強化を図るほか、展示会への出展やセミナー開催などリアルの場を活用したマーケティング施策により、引き合いが増加しております。新規に導入する顧客については、従業員数が多い大手企業が増えており、オプション機能の導入やプランアップによるアップセルが進んでいることから、全体の顧客単価が上昇傾向にあり、収益拡大に寄与しております。

 

 また「キミスカ」では、企業と学生を結びつけるプラットフォームを提供しております。学生は無料でデータベースにプロフィールを登録し、利用企業は登録された学生プロフィールを閲覧しながら求人ニーズにマッチする候補者に直接アプローチする「逆求人」型のサービスを展開しております。利用企業にとっては、就職ナビ等を経由して企業に応募する「エントリー型」の応募では出会えない学生へのアプローチが可能となるほか、学生にとっては、自分の強みやスキル、価値観、経験などを評価してくれる企業からのオファーを得られるサービスとなっております。タレントパレットの導入企業がキミスカを通じて効率的に新卒学生とのマッチングが図れるための連携機能を強化しており、グループ連携を図りながら利用企業の開拓を推進しております。少子化に伴う労働力不足で採用の難易度が高まる環境下で、本サービスに対する引き合いは堅調に推移しております。

 

 以上の結果、当連結会計年度におけるセグメント売上高は7,666,474千円、セグメント利益は3,186,308千円となりました。

 

 

② 財政状態の状況

(資産)

 当連結会計年度末における流動資産は9,702,083千円となりました。主な内訳は、現金及び預金が8,278,003千円、受取手形及び売掛金が1,231,654千円であります。

 また固定資産は2,313,956千円となりました。主な内訳はのれんを含む無形固定資産が1,492,186千円、投資有価証券が200,000千円、繰延税金資産が177,571千円であります。

 

(負債)

 当連結会計年度末における負債合計は2,570,306千円となりました。主な内訳は、未払法人税等が671,838千円、未払消費税等が254,287千円、契約負債が586,966千円であります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は9,445,733千円となりました。主な内訳は、資本金447,718千円、資本剰余金が437,718千円、利益剰余金が8,558,704千円であります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は8,278,003千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果、得られた資金は3,307,907千円となりました。これは主に、法人税等の支払額により1,006,729千円の資金の減少があったものの、税金等調整前当期純利益の計上が3,642,221千円あったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は644,708千円となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出が28,561千円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が612,109千円あったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果、得られた資金は136,184千円となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出が178,085千円、配当金の支払額が360,333千円となった一方で、新株予約権の行使による株式の発行による収入が710,010千円あったことによるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社グループは、生産に該当する事項がありませんので、生産実績に関する記載はしておりません。

 

b.受注実績

 当社グループは、受注から役務提供の開始までの期間が短いため、受注実績に関する記載は省略しております。

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年10月1日

至 2023年9月30日)

前年同期比(%)

見える化エンジン事業(千円)

1,815,843

-%

カスタマーリングス事業(千円)

1,689,434

-%

タレントパレット事業(千円)

7,666,474

-%

合計(千円)

11,171,752

-%

(注)1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合

が10%以上の相手先がいないため記載を省略しております。

2.当社グループは当連結会計年度が連結初年度であり、前期は連結財務諸表を作成していないため、前期との

比較は行っておりません。

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たり、決算日における財政状態及び会計期間における経営成績に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、この見積りと異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。

 また、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

 

(固定資産)

 当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。

 

(のれん及び顧客関連資産)

 連結子会社を取得した際に識別したのれんは、超過収益力として取得原価と被取得企業における識別可能資産及び負債の企業結合日時点の時価との差額で算定しております。また、顧客関連資産は、既存顧客との関係及び受注残により生み出されることが期待される超過収益力の現在価値として算定しております。これらは、その効果が及ぶ期間にわたり償却を行い、減損の兆候があると認められる場合には、割引前将来キャッシュ・フローの総額と帳簿価額を比較することによって、減損損失の認識の要否を判定することとしております。

 当該のれん及び顧客関連資産は、将来の経営環境の変動等に伴う事業計画の進捗状況に影響を受ける可能性があり、事業計画に反映された主要な仮定である契約獲得数に関する予想伸び率が減少し、超過収益力が低下したと認められた場合には、翌連結会計年度の連結財務諸表において、のれん及び顧客関連資産の金額に重要な影響を与える可能性があります。

 

(繰延税金資産)

 当社グループは、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保でき、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産及び法人税等調整額に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・結果内容

(売上高)

 当連結会計年度の売上高は、11,171,752千円となりました。セグメント別の売上高については下記のとおりとなっております。

 見える化エンジン事業:コールセンターやマーケティング部門に集まる顧客の声に加え、近年拡大しているソーシャルメディア上での口コミを分析できるツールを提供しております。顧客の声をマーケティングに活かす取り組みが着実に浸透してきていることから、コンサルティングを行いつつ、顧客内の幅広い部門での活用を促す取り組みを強化しており、契約単価の上昇が売上拡大に結び付いており、当連結会計年度におけるセグメント売上高は1,815,843千円となっております。

 

 カスタマーリングス事業:導入企業が顧客属性、購入履歴、メール配信への反応などにより、最適なキャンペーンを実施できる統合ツールを提供しております。顧客とのデジタル接点から収集したデータを次のマーケティング施策に活かす取り組みが広がっており、顧客数の増加と既存顧客の利用度拡大による契約単価上昇が売上拡大に結び付いており、当連結会計年度におけるセグメント売上高は1,689,434千円となっております。

 

 タレントパレット事業:企業内に散在している社員スキル、適性検査結果、職務経歴、人事評価、従業員アンケート、採用情報などの人事情報を集約して分析・見える化ができるプラットフォームを提供しております。積極的なマーケティング投資により導入社数が急速に増加しているほか、導入企業の大型化に伴い契約単価も上昇していることが売上拡大に結び付いており、当連結会計年度におけるセグメント売上高は7,666,474千円となっております。

 

(営業費用及び営業利益)

 当連結会計年度の売上原価及び販売費及び一般管理費を合算した営業費用は、7,460,744千円となりました。これは主に販売促進費及び広告宣伝費の増加によるものであります。この結果、営業利益は、3,711,007千円となりました。

 

(営業外損益及び経常利益)

 当連結会計年度において、有価証券利息を3,140千円計上し、営業外収益が3,950千円、上場市場区分変更に伴う費用28,480千円を計上し、営業外費用が36,180千円となりました。この結果、経常利益は、3,678,778千円となりました。

 

(特別損益、法人税等及び当期純利益)

 当連結会計年度において固定資産売却に伴う売却益を計上し、特別利益が107千円となりました。法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額を合算した法人税等は1,021,444千円となりました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、2,620,777千円となりました。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、その大部分を運転資金が占めており、その内訳としては人件費、広告宣伝費等の営業費用となっております。当該資金需要に必要な資金は自己資金を中心としながら、必要に応じて金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等で資金調達していくことを基本方針としておりますが、今後の資金需要の額や使途に合わせて資金調達方法は柔軟に検討を行う予定です。

 なお、当連結会計年度末において、現金及び現金同等物は8,278,003千円であり、十分な資金の流動性を確保しております。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

⑤ 経営者の問題意識と今後の方針に関して

 当社グループは、「プラスアルファの価値を生み出すことで『つきぬける感動』と『広がる可能性』を提供します。」を企業理念に掲げ、事業を拡大してまいりました。

 当社グループがこの理念の下、長期的な競争力を維持し持続的な成長を図るためには、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の様々な課題に対して、経営者は常に事業環境の変化に関する情報の入手及び分析を行い、最善の経営方針を立案していくことが必要であると認識しております。

 

⑥ 経営戦略の現状と見通し

 経営戦略の現状と見通しについては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。

 

⑦ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、主な経営指標として売上高、営業利益、営業利益率を重視しております。当連結会計年度における各指標の前年同期比の増減率は以下のとおりであり、引続き対処すべき経営課題の改善を図りながら、経営戦略を推進してまいります。

 

2022年9月期

(前連結会計年度実績)

2023年9月期

(当連結会計年度実績)

前年同期比増減率

売上高

-千円

11,171,752千円

-%

営業利益

-千円

3,711,007千円

-%

営業利益率

-%

33.2%

-%

(注)当社グループは当連結会計年度が連結初年度であり、前期は連結財務諸表を作成していないため、前期との比較は行っておりません。

 

 

 

5【経営上の重要な契約等】

 当社は、2022年8月5日開催の取締役会において、当社の関連会社である株式会社グローアップの株式を追加取得して、完全子会社化とすることを決議いたしました。また同日付で株式譲渡契約を締結し、2022年10月3日に株式を取得しております。詳細は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。

 

6【研究開発活動】

 当社グループは、各事業部による既存サービスの新機能開発活動を推進しております。また、各セグメントに関連付けられない全社共通の研究開発活動として、情報技術・イノベーションセンターによるテキストマイニング技術及びAI活用に関する研究開発活動、経営企画部主催の全社員を対象とした新規事業開発活動に取り組んでおります。毎年、新規事業創発のためのコンテストを開催しており、事業現場、技術部門、企画部門が連携することで、テキストマイニング、CRM・MA、タレントマネジメントに続く、「世の中を「見える化」する新サービス」の開発に努めております。

 

<見える化エンジン事業>

 顧客内での幅広い利用者による情報活用を可能とするためのプラットフォーム構築や大量データを可視化するための機能開発を行っております。

 

<カスタマーリングス事業>

 市場変化に迅速に対応するため、業務の自動化、高速化、機能追加及びシステム安定化など、サービス基盤を強化するシステム開発を行っております。

 

<タレントパレット事業>

 時代変化が顧客にもたらす課題を解決するための新機能開発やサービス品質向上を図るためのシステム開発を行っております。

 

<全社共通>

 大量の日本語を分析処理するテキストマイニングの基盤技術である自然言語処理エンジン「Waters」の機能強化や精度向上のためのシステム開発を行っております。また新規事業創造への取り組みとして、新規事業開発活動を行っております。

 

 当連結会計年度における当社グループの研究開発体制は、見える化エンジン事業2名、カスタマーリングス事業2名、タレントパレット事業3名、情報技術・イノベーションセンター1名であります。

 当連結会計年度における研究開発費の総額は、110,291千円であります。セグメント別の内訳は、見える化エンジン事業29,393千円、カスタマーリングス事業18,632千円、タレントパレット事業42,540千円、全社共通19,724千円であります。