第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社グループは、「安全・安心の提供を通じて社会に貢献する」を経営理念として掲げております。

 

(2)コーポレートビジョン

当社グループは、「安全・安心の提供を通じて社会に貢献する」という経営理念の下、2040年の将来像、ありたい姿として「これまでも、そしてこれからも 建設を支える耐震建材メーカーとして培った「創造力」×「つなぐ力」×「人の力」で世界中の人々の生活に安全・安心を提供するグローバル・ソリューションプロバイダー」を掲げ、「okabe コーポレートビジョン 2040」として策定いたしました。「okabe コーポレートビジョン 2040」の実現に向け、当社グループ一人ひとりが一丸となり、業務に邁進することが、企業価値の向上及び株主共同の利益の確保につながることを確信しております。

同ビジョンに込めた想いは次のとおりであります。

① 創造力

創造的な技術力により、建物と人々の安全・安心を支える会社でありたいと考えており、新しい技術を活用し、建設工事の自動化やゼロエミッション等に向けたソリューションを生み出し続ける会社を目指してまいります。

② つなぐ力

お客様、株主・投資家様、協力会社・サプライヤー様、社員、地域社会とのコミュニケーションで生まれる人とつながる力、建設現場に使われる重要な部材をつなげて安全性を高める力を示しております。

③ 人の力

社是に掲げている「人材の育成に努力し、企業の永遠の発展を期すること」、「社員にとってその一生を託して、悔いることのない職場たること」が示すように、すべての基盤は「人の力」にあると信じており、2040年も不変であることを示しております。

これらの3つの力の根底にあるのは、「安全・安心の提供を通じて社会に貢献する」という想いです。様々な外部環境を想定しながら、地球環境と人類が良い方向に変化するよう、地球の一員として、持続可能な社会に貢献できる会社でありたいという想いを込めております。

 

(3)中長期的な経営戦略

当社グループは、「okabe コーポレートビジョン 2040」の実現に向け、向こう3年間を新たな収益基盤の確立に向けた “Transformation” 期間として位置づけ、その具体化のため、新たに中期経営計画「OX-2026(okabe Transformation 2026)」を策定いたしました。

OX-2026の方向性としまして、事業環境の変化やリスクを機会ととらえ、国内外のマテリアリティ(重要課題)にソリューションを提供し、持続的な成長を図るため、事業ポートフォリオの見直しも含めて経営リソースを集中し、サステナビリティ経営を推進してまいります。

OX-2026の事業戦略の骨子及び主な施策は次のとおりであります。

① カスタマー・セントリック(顧客が抱える課題を最優先で解決するための体制整備と取組みの実施)

・顧客及び社会の課題を解決する製品の開発

・新たなニーズを捉えた新製品の開発・新規事業の創出

・国内建設に特化した商品企画室の新設

・北米及びASEAN市場に適したソリューションの提供による建設事業のグローバル展開加速

・海洋事業におけるブルーカーボン事業開始

② 人的資本経営の実践と経営基盤の強化

・人的資本を中心とした非財務KPIのチャレンジングな設定及び目標の達成

・海外子会社ガバナンスの改善

③ DXの更なる推進

・基幹システムの刷新、業務プロセスの改革・変革

・DXの推進による、他社との差別化・新たな事業機会の創出・売上拡大につながる施策の検討・実施

・IT戦略室の新設

 

(4)経営環境及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

今後のわが国経済の先行きにつきましては、公共投資は引き続き底堅く推移することが見込まれ、民間設備投資は堅調な企業収益等を背景に、持ち直しに向かうことが期待されます。しかしながら、不安定な海外情勢、物価上昇や世界的な金融引締め、為替相場の変動等の要因もあり、依然として不透明な状況が続くと見込まれます。

国内の建設関連製品事業におきましては、公共投資及び民間設備投資が回復基調で推移する見通しではありますが、慢性的な労働者不足による労務費の高騰、鋼材価格の高止まり、電力・燃料費の高騰の長期化、また、物流の2024年問題に伴う荷造運送費の増加などにより収益に影響を生じる恐れがあることから、これに対処すべく、顧客、市場の状況をふまえたDXの推進等による原価低減と資産収益性の向上及び顧客の課題解決に貢献し、現場における脱炭素・SDGsに寄与する製商品の提案強化に注力してまいります。

海外の建設関連製品事業におきましては、米国において、住宅市場の低迷が継続することが想定されるなかで、営業基盤の強化や積極的な営業施策を実施し、需要の取込みに注力してまいります。インドネシアにおいて、ASEAN地域での需要増を背景に、建材製商品の現場向け営業や店舗販売などの新規事業展開を本格化してまいります。

また、海外ガバナンスの強化及び事業ポートフォリオの選択と集中を推進しながら、グローバル展開を一層加速させてまいります。

 

(5)目標とする経営指標

当社グループは、中期経営計画「OX-2026(okabe Transformation 2026)」において、中期的な業績目標(売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益)を設定しております。また、企業価値の向上のため、資産及び株主資本の有効活用が重要との考えから自己資本利益率(ROE)の目標値を設定しております。

2024年度の目標値は、売上高700億円、営業利益41億円、経常利益44億円、親会社株主に帰属する当期純利益28億円、ROE4.7%であります。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組み】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ共通

当社グループは、「安全・安心の提供を通じて社会に貢献する」という経営理念のもと、「人とのつながりと価値を創造するグローバルメーカー」を目指し、持続可能な社会の実現に貢献することをサステナビリティ基本方針として定めております。

サステナビリティ基本方針のもと、各種関連方針により、マテリアリティ(重要課題)への取組みを持続的に行い、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

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① ガバナンス

当社では、サステナビリティに知見のある社外取締役を委員長とするサステナビリティ委員会を設置しております。サステナビリティ委員会は、当社グループにおけるサステナビリティ経営の実施状況の管理・監督を目的として設置しており、取締役会の諮問機関として、当社グループの中長期経営戦略の基盤となるサステナビリティ経営に関する次の事項について審議しております。

[サステナビリティ委員会審議事項]

a.サステナビリティ基本方針及びコミットメントが、中長期経営戦略及び成長シナリオに組み込まれており、持続的な成長に貢献しうるかの確認及びその実施状況の審議

b.サステナビリティに係るマテリアリティが、外部環境認識や中長期経営戦略に整合、連動しているかの審議

c.SDGs及びESGに関する定量的な目標設定及びその水準が、中長期経営戦略と整合しており、持続的な成長に貢献しうるかの確認及びその実施状況の審議

d.サステビリティを脅かすリスク認識の妥当性及びリスクマネジメントの状況の審議

サステナビリティ委員会は、定期的に取締役会に活動内容を報告しており、取締役会で適切に監督される体制を整えております。

また、代表取締役社長執行役員を委員長とし、経営層が中心となり構成されるリスクマネジメント委員会を設置しており、気候関連のリスクを含め、当社グループのリスクマネジメントの全体方針及び計画の策定、リスクマネジメントの推進を実施しております。リスクマネジメント委員会では、気候関連リスクを含めた事業リスクを定性的に評価した上で、定量的な評価も織り込み、リスクを評価しております。その評価結果をもとに重要リスクを選定し、半期ごとに状況報告を実施すると共に、全社的な視点から必要な戦略の決定、施策の指示等を実施しております。リスクのマテリアリティに関する事項は、サステナビリティ委員会と連携して対処しております。

リスクマネジメント委員会は、定期的に取締役会に活動内容を報告しており、取締役会で適切に監督される体制を整えております。

取締役会は、事業戦略の策定・経営判断に際して、気候変動に関する問題を重要な要素の一つとして考慮し、総合的に審議・決定しております。取締役会は毎月1回以上開催され、取締役の業務執行を監督しております。取締役会には、サステナビリティ分野に精通した取締役2名を選任しております。2名の内1名は、気候関連問題をはじめとした、当社グループの企業価値を高めるサステナビリティ戦略の策定、中長期的な企業価値向上の観点から当社グループの事業戦略や計画に対して、客観的な立場から助言や監督が行える社外取締役としております。

なお、当社は、取締役に対する業績連動報酬制度において、「総CO2換算排出量」を業績評価指標の一つに採用しております。詳細につきましては、「第4 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの状況等(4)役員の報酬等」をご参照ください。

 

 

 

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② 戦略

当社グループは、「okabe コーポレートビジョン 2040」の実現に向け、向こう3年間を新たな収益基盤の確立に向けた“Transformation”期間として位置づけ、その具体化のため、新たに中期経営計画「OX-2026(okabe Transformation 2026)」を策定いたしました。詳細につきましては、「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。

「okabe コーポレートビジョン 2040」実現に向けて、マテリアリティ(重要課題)を特定しております。特定にあたっては、「人々そして社会の安全・安心」の実現が当社の使命であることを再認識し、全体の活動テーマとして掲げ、取組みを推進しております。

 

[マテリアリティ(重要課題)]

分類

活動テーマ

マテリアリティ

貢献するSDGs

社会

安全・安心で持続可能な

社会づくり

①地震、豪雨等の災害の甚大化

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②建設事業の環境変化

③人口減、高齢化社会

④人とのつながり・人的資本経営

環境

地球環境への配慮と

資源の保全

⑤気候変動、地球温暖化

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⑥環境保全、脱炭素、資源循環の実現

⑦海洋資源の維持

ガバナンス

経営の健全性・

透明性の向上

⑧ガバナンスの強化

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③ リスク管理

上記のマテリアリティ(重要課題)の特定にあたっては、各ガイドライン等を参考に社会課題を抽出し、社会の影響度と事業における重要度の二次元で課題を整理した上で、サステナビリティ委員会で審議し、取締役会での承認を経てマテリアリティとして設定しております。特定したマテリアリティには定量目標を定め、サステナビリティ委員会で進捗状況をモニタリングしております。

全社的な視点でのリスクマネジメントにつきましては、リスクマネジメント委員会を設置し、半期ごとに状況報告を実施すると共に、全社的な視点から必要な戦略の決定、施策の指示等を実施しております。

経営目標の達成や企業の継続性に大きな影響を与えるリスクを的確に認識し、適切な対応を図るために、リスクマネジメント体制を整備しております。リスク評価では、「影響度」及び「発生頻度」から気候関連リスクを含めた事業リスクを定性的に評価した上で、定量的な評価も織り込み、リスクの重要度を評価し、管理しております。特に、新たな戦略や取組みに伴い発生するリスクなどの内部要因によるリスクのほか、大規模自然災害や気候変動などの外部要因によるリスクを、重要リスクと位置づけ、リスク低減に向けた取組みを進めております。

サステナビリティに関するリスクについては、サステナビリティ委員会及びリスクマネジメント委員会の連携により、リスクの特定及びモニタリングを行い、取締役会に適宜報告しております。詳細につきましては、「第2 事業の状況 3.事業等のリスク」をご参照ください。

 

④ 指標と目標

各マテリアリティに対するKPIや実績、目標は以下のとおりであります。詳細につきましては、財務・非財務データ集として当社ウェブサイトのサステナビリティページ(https://www.okabe.co.jp/sustainability/)に掲載しております。

マテリアリティ

主なKPI

単位

2023年度実績

2026年度目標

①地震、豪雨等の災害の甚大化

②建設事業の環境変化

③人口減、高齢化社会

耐震・免振等に貢献する製品

(構造機材製品)の売上高

百万円

11,555

12,400

法面補強等に貢献する製品

(土木製品)の売上高

百万円

3,390

3,600

新製品発売数

9

年間10

④人とのつながり・人的資本経営

共同研究する大学(学識者)の数

契約関係 5

協力関係 6

10

女性管理職比率

4.7

10.0

育児休暇取得従業員比率

41.7

100.0

障がいのある従業員数

11

16

IT関連保有資格数

95

600

社会・地域貢献活動への投資額

百万円

26

26

⑤気候変動、地球温暖化

⑥環境保全、脱炭素、資源循環の実現

⑦海洋資源の維持

CO2排出量(Scope1+2)合計

t-CO2e

8,180

前年比

△9.5%以上

CO2排出量(Scope3)合計

t-CO2e

362,899

前年比

△4.0%以上

CO2吸収固定に貢献する海藻種苗の出荷数

185

2,000

総廃棄物リサイクル量

トン

2,749

3,396

(前年比+5%)

使用済みPコンのリサイクル数量

万個

97

300

⑧ガバナンスの強化

社外取締役比率

41.7

1/3以上

女性取締役比率

8.3

16.7

監査等委員会の社外取締役比率

75.0

過半数以上

※ 2023年のScope1+2、Scope3排出量は速報値となります。確定排出量は、「OKABE INTEGRATED REPORT(統合報告書)2024」にて開示予定です。

 

(2)気候変動への対応(TCFD提言に基づく情報開示)

当社グループは、「これまでも、そしてこれからも 建設を支える耐震建材メーカーとして培った「創造力」×「つなぐ力」×「人の力」で世界中の人々の生活に安全・安心を提供するグローバル・ソリューションプロバイダー」という「okabe コーポレートビジョン 2040」のもと、「気候変動、地球温暖化」及び「環境保全、脱炭素、資源循環の実現」をマテリアリティの一つとして特定しております。将来的には、GHG排出量の削減に加え、建設現場ゼロエミッションへの貢献、海洋事業におけるCO2吸収量の増加など、環境負荷低減への取組みを積極的に進め、カーボンニュートラル企業を目指してまいります。

当社グループは、2021年12月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言への賛同を表明し、2022年度より同提言に沿った情報を開示しております。詳細につきましては、当社ウェブサイトをご参照ください。

 

①ガバナンス

(1)サステナビリティ共通 ①ガバナンス」をご参照ください。

 

②戦略

イ リスク・機会の特定

当社グループの事業に影響を及ぼす気候関連リスク・機会の特定にあたり、事業における移行リスク/機会、物理的リスク/機会を抽出し、それらの財務への影響を大~軽微の3段階で評価しました。影響度が中以上となったリスク及び機会は以下のとおりです。

 

リスク/

機会

領域

要因

事業影響

財務への影響度

移行

リスク

規制

炭素価格導入、GHG排出規制強化

炭素価格上昇による原材料価格・上流コスト上昇分の転嫁によるコスト増加

自社ビル、工場などの操業における炭素価格上昇によるコスト増加

規制

省エネ法規制の強化

再エネ調達コストの増加

設備更新・投資などの対応コストの増加

市場

化石資源の価格の変化

エネルギー価格・原材料価格上昇による鋼材価格の上昇

物流コストの変化

燃料価格上昇による輸送・保管コストの増加

中~大

輸送サービスの脱炭素化に伴う価格上昇による物流コストの増加

技術

代替品の出現

新たな低炭素製品が出現し自社製品の需要が減少

移行・

機会

市場

ZEB建築・ネットゼロカーボン建築需要の高まり

事業機会の拡大・省力化工法/製品・木造関連製品の販売機会の拡大

規制

GHG排出規制の強化

脱炭素・低炭素製品の需要の増加

炭素価格導入

海洋関連製品の販売機会の拡大

物理的

リスク

慢性

気温上昇

生産工程における作業効率低下及び対策コストの増加

中~大

急性

極端気象の増加

自社拠点の被災による操業停止、設備の修復コストの増加による収益減少

サプライチェーンの分断

物理的・

機会

慢性

国土強靭化政策の強化

災害激甚化に備えた設備・インフラの強靭化需要増加/土木工事(法面補強)の需要増加

気温上昇

省力化に寄与する工法/製品の販売機会の拡大

急性

降雨パターンの変化

土木工事(法面補強)の需要拡大

極端気象の増加

土砂災害の防止に使用される製品等の販売の増加

災害危険エリアからの移転

海抜の低い地域からの移転需要の発生

(注)影響度 大;1億円以上,中;1,000万円以上1億円未満,軽微(小);1,000万円未満

 

 

ロ シナリオ分析のテーマ設定

抽出・整理した気候関連リスク及び機会について、事業への影響度、事業戦略との関連性、ステークホルダーの関心度等を勘案し、当社グループとして重要度が高いと評価した次のテーマについてシナリオ分析を実施しました。

 

リスク/機会

分析テーマ

移行リスク

自社に係る炭素価格の変化による影響

物理的リスク

気候変動に伴う気象災害の増加が事業拠点に与える影響について、優先的に調査すべき拠点のスクリーニング

機会

気候変動に伴う災害対策工事の増加が事業拠点に与える影響

 

ハ シナリオ分析結果

a.移行リスク: 自社に係る炭素価格の変化による影響

分析内容

炭素価格の変化による将来的な操業コストへの影響を予測するため、当社グループのGHG排出量(Scope1、Scope2)の将来の変化について2℃未満のシナリオを含む複数シナリオで予測し、シナリオ別に想定される炭素価格が導入された場合の財務影響を分析しました。

本社及び連結子会社を集計対象としております。(2021年10月に連結子会社化された米国OCM Manufacturing LLCを除く)

分析の

前提条件

分析にあたり2030年、2050年における当社グループの活動量(GHG排出量、再生可能エネルギー調達量)は事業計画をもとに設定しました。GHG排出量1トン当たりに対して、先進国において2030年では18,340円、2050年では32,750円、ネットゼロ宣言(CO2などの温室効果ガスの排出量を将来的にゼロとする宣言)をしている新興市場・途上国において2030年では11,790円、2050年では26,200円の炭素価格が課されると仮定し、その影響を試算しました。また、当社グループの事業戦略の強靭性を評価するため、GHG排出量・使用エネルギーの削減に取り組まなかった場合に対して、再生可能エネルギーの調達による削減に取り組むことでどれだけ財務影響を抑えることが可能かについても検証しました。

なお、炭素価格や電力の排出係数はIEAによるWorld Energy Outlook 2022(Net Zero Emissions by 2050 Scenario、Stated Policies Scenario)を参考にしました。

分析において参照した外部情報:

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※IEA:International Energy Agency

WEO: World Energy Outlook

NZE: Net Zero Emissions by 2050 Scenario

STEPS: Stated Policies Scenario

分析結果

炭素価格が導入された場合の、操業コストへの財務影響を試算しました。

2030年時点では、当社グループのGHG排出量が削減されなかった場合、2.6℃シナリオに比べて、1.5℃シナリオの方が財務的な影響額が約1,200万円低いことがわかりました。また、再生可能エネルギーの活用等を通したGHG排出量の削減に取り組むことによって、約1,200万円抑えることができるため、その影響の程度は限定的となると考えられます。

2050年時点では、当社グループのGHG排出量が削減されなかった場合、2.6℃シナリオに比べて、1.5℃シナリオの方が財務的な影響額が約3,300万円大きいことがわかりました。

 

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※1.5℃シナリオにおいては、2050年時点で当社事業拠点の地域で調達する電力の排出係数が0(以下)になると想定し、再生可能エネルギー導入によるGHG排出量削減効果は得られないと想定している。

対応戦略

当社グループは、GHG排出量に関する目標を「2030年までにGHG排出量(Scope1、2マーケットベース排出量)を指標とし、2022年比で50%削減する」と定め、再生可能エネルギーの導入促進等の排出削減策を積極的に進めております。1.5℃シナリオにおいて、再生可能エネルギーの導入に係るコストは導入によって削減されるGHG排出量に係る炭素価格よりも小さくなると想定しており、2030年において計画通り再生可能エネルギーが導入された場合は、導入しなかった場合に比べて財務的影響が小さくなると考えられます。

 

b.物理的リスク:気候変動に伴う気象災害の増加が事業拠点に与える影響について、優先的に調査すべき拠点のスクリーニング

分析内容

気候変動に伴う気象災害の増加が当社グループの事業に与える影響を予測するため、当社グループの国内外10拠点(国内:7拠点、海外:3拠点)について、影響の可能性を評価し、物理的リスクの影響について優先的に調査すべき拠点のスクリーニングを行いました。

分析の

前提条件

分析では、公開資料や外部専門家からの提供資料等に基づき、RCP2.6(又はSSP1-2.6)及びRCP8.5(又はSSP5-8.5)の気候変動シナリオ下における、河川氾濫、高潮による浸水ハザード、及び渇水ハザード、熱波ハザードについて、現在から21世紀半ばまでのグレードの変化を評価しました。

分析結果

国内拠点では、洪水リスクについては、リスクに留意すべき(グレードB以上)と評価された拠点が現在で4拠点あり、うち1拠点がハザード大(グレードA)と評価され、21世紀半ばまでの気候変動による変化は見られませんでした。高潮リスク・渇水リスクについては、リスクに留意すべき(グレードB以上)と評価された拠点はありませんでした。熱波リスクについては、SSP5-8.5下の21世紀半ばにおいて1拠点がグレードBと評価され、他の拠点についてもSSP5-8.5下でリスク増加の傾向が見られました。

海外拠点では、洪水リスクについては、リスクに留意すべき(グレードB以上)と評価された拠点はなく、気候変動による将来変化は見られませんでした。高潮リスクについては、全拠点が高潮による浸水ハザードは極めて低いと考えられる(グレードE)と評価され、気候変動による将来変化は見られませんでした。渇水リスクについては、2015年時点で3拠点中1拠点がリスクに留意すべき(グレードB以上)と評価されましたが、ハザード大(グレードA)と評価された拠点はありませんでした。熱波リスクについては、リスクに留意すべき(グレードB以上)と評価された拠点はありませんでしたが、全拠点に気候変動によるリスク増加の傾向が見られました。

 

[物理的リスク評価結果(対象:国内外10拠点)]

グレードB以上:リスクに留意する必要があり、より詳細なリスク評価の実施が望まれる

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対応戦略

今回のシナリオ分析において浸水リスクに留意すべきと評価された当社グループの拠点については、リスク評価の実施を検討し、その結果に応じて浸水対策やBCPの策定を進めていきます。

 

 

c.機会: 気候変動に伴う災害対策工事の増加が事業活動に与える影響

分析内容

気候変動に伴う災害対策工事の増加が当社グループの事業活動に与える影響を予測するため、2℃のシナリオにおける土砂災害の増加の予測をもとに、将来の土砂災害防止工事の増加による製品需要の変化を分析しました。

分析の

前提条件

分析においては、まず初めに、日本全国の土砂災害リスクグレード(段階評価)※1を基に、表層崩壊※2の発生リスクが高いエリアを抽出しました。

次に、表層崩壊の主な誘因である降雨を対象に、現在気候、2℃シナリオにおける降雨指標(豪雨度※3 )の変化を分析しました。この分析には、「地球温暖化に資するアンサンブル気候予測データベース(d4PDF)※4」を用いました。これにより算出された気候変動シナリオ下での土砂災害発生頻度の地域別の予測を用いて、現在気候下での将来の土砂災害防止工事は一定と仮定したうえで、2℃シナリオにおける土砂災害防止工事の増加に伴うフリーフレーム、ロックボルトの出荷量の変化を分析しました。

※1 東京海上ディーアール㈱

  https://www.tokio-dr.jp/news/2023/20230601/pdf/pdf-20230601-01.pdf

※2 表層崩壊とは、厚さ0.5~2.0m程度の表層土が滑落する比較的規模の小さな崩壊を指します。表層崩壊に対しては、ロックボルト、フリーフレームによる緊急対策工事が有効です。

※3 林拙郎・山田孝 (2017).土砂災害を発生させた豪雨のファクターとスケールの設定法.自然災害科学J. JSNDS 36-3 307-320

※4 地球球温暖化対策に資するアンサンブル気候予測データベース

  https://www.miroc-gcm.jp/d4PDF/about.html

分析結果

●フリーフレームの出荷量の変化

2℃シナリオにおいて、2050年時点では2022年と比較してフリーフレームの出荷量が国内全体で15.4%増加することが予測されました。

●ロックボルトの出荷量の変化

2℃シナリオにおいて、2050年時点では2022年と比較してロックボルトの出荷量が国内全体で15.1%増加することが予測されました。

 

[物理的機会評価結果(2022年と比較した地域別の増加率)]

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対応戦略

当社の災害対策工事関連製品の売上増加の機会と捉え、売上の推移を注視しながら、製品供給体制の拡充を適宜図っていきます。

 

 

 

③リスク管理

(1)サステナビリティ共通 ①リスク管理」をご参照ください。

 

④指標と目標

GHG排出量に関する目標を、下記のとおり定めております。

・Scope1+2※1               2030年 ▲50%(2022年比)

・Scope3(カテゴリ1+4)※1   2030年 ▲25%(2022年比)

この目標は「地球の気温上昇を産業革命前と比べて1.5℃に抑える」というパリ協定が定める温室効果ガス排出削減目標と科学的に整合した目標であるとして、国際的なイニシアチブである「SBTi(Science Based Targets Initiative)」より認定を取得いたしました。

 

GHG排出量の実績は以下のとおりです。今後、目標の達成に向けて、再生可能エネルギーの活用等を通したGHG排出量削減への取組みを着実に進めてまいります。

指標

 

2022年実績<基準>

t-CO2e

2023年実績

t-CO2e

2030年目標

Scope1+2

WGC・WGA※2

11,030

50%削減

上記以外

8,075

8,180※4・6

合計

19,105※3

8,180※4・6

Scope3

(カテゴリ1+4)

WGC・WGA※2

21,228

25%削減

上記以外

408,655※5

362,899※4・6

合計

429,883※5

362,899※4・6

※1 Scope1:自らの燃料の燃焼や工業プロセスに伴う直接排出、Scope2:他社から供給された電気・熱・蒸気などのエネルギー使用に伴う間接排出、Scope3:Scope1・2以外の間接排出、カテゴリ1:購入した製品・サービス、カテゴリ4:輸送・配送(上流)

※2 WGCはウォーター・グレムリン・カンパニー、WGAはウォーター・グレムリン・アクイラ・カンパニーS.p.A.を指しております。

※3 2022年のScope1+2排出量は、OCM Manufacturing LLCのガス購入量の算定間違いにより、GHG排出量が3,561 t-CO2eから1,578 t-CO2eに変更となり、総排出量を20,204 t-CO2eから19,105 t-CO2eに修正しております。

※4 2023年のScope1+2、Scope3排出量は、ウォーター・グレムリン・カンパニー及びウォーター・グレムリン・アクイラ・カンパニーS.p.A.が連結対象外となったためGHG排出量を除外しております。また、新たにPT. Okabe Hardware Indonesiaが連結対象となったためGHG排出量を加算しております。

※5 2022年のScope3排出量は、購入量の算定間違いにより、排出量を修正しております。

※6 2023年のScope1+2、Scope3排出量は速報値となります。確定排出量は、「OKABE INTEGRATED REPORT(統合報告書)2024」にて開示予定です。

 

(3)人的資本

①ガバナンス

(1)サステナビリティ共通 ①ガバナンス」をご参照ください。

 

②戦略

成長戦略を加速させ、持続的な企業価値向上を実現するためには、「人財」こそが最大の財産と捉えております。

 

[人財育成方針]

岡部グループは、国籍、性別、年齢等を問わず、社員一人ひとりがチャレンジ精神を持ち自律した人財として活躍するために、能力開発に必要とされる機会を提供し、さらなる成長機会を創造してまいります。

 

[社内環境整備方針]

岡部グループは、社員一人ひとりが互いを尊重し、多様な考え方を認め合いながら、いきいきと心身ともに健康で働ける職場環境や風土の整備に取り組んでまいります。

 

2022年度には「岡部グループ 人財方針」を定め、取組みの方針を明確にいたしました。また、「人とのつながり・人的資本経営」をマテリアリティの一つに特定しており、取組みを推進しております。

※岡部グループ人財方針は、当社ウェブサイト(https://www.okabe.co.jp/sustainability/policy/)をご参照ください。

 

[社是(人財関連)]

・人材の育成に努力し、企業の永遠の発展を期すること

・社員にとってその一生を託して、悔いることのない職場たること

 

[主な取組み]

取組み

概要

多様な人材の確保・

働きがいのある職場環境の整備

当社は、従業員一人ひとりが個々の能力を最大限に発揮し、ワクワクする組織風土の醸成を目指しております。婚姻・育児・介護等のライフステージに合わせた柔軟な働き方ができるよう、短時間勤務制度や育児・介護休業制度の充実、不妊治療のための特別休暇制度(こうのとり休暇)を導入しております。また、完全週休二日制やテレワーク制度の導入等により、長時間労働を抑制し、働きがいのある職場環境を整備し、多様な人財の確保に努めております。

ワクワク推進表彰制度

2017年の創業100周年を機に、当社のワクワク感を高めるという目的で導入した社内表彰制度「ワクワク推進表彰」があります。会社の業績、業務改善、製品品質向上、社会貢献等の社内外における優れた取組みを表彰対象にしております。特に、サステナビリティや脱炭素に貢献する取組みについて奨励しております。ワクワク感が社内伝播することも期待している制度となります。

新規事業開発提案制度 OSIP(OKABE Star Incubation Program)

新規事業開発と開拓精神のある従業員育成を目的とした新規事業開発提案制度「OSIP」を実施しております。従業員は自ら考えた事業化アイデアを提案し、優れた提案には事業化までの調査・育成支援を行い、提案者自らが事業推進に参画することが可能です。

人財育成制度

新入社員研修、階層別研修、選抜型研修、製品や技術に関する専門研修、ダイバーシティ研修及びハラスメント研修など、対面研修やディスカッション形式の研修と合わせて、eラーニングを導入し、学びたいときに希望するコンテンツを学べる環境を整えております。また、各種資格取得奨励制度等を充実させております。

人権の尊重

岡部グループは、公正な競争を通じて利潤を追求すると同時に、広く社会にとって有用な存在となることを目指しております。

また、岡部グループは、「国際人権章典」及び国際労働機関(ILO)の「労働における基本的原則及び権利に関する宣言」に規定された人権を尊重し、「ビジネスと人権に関する国連指導原則」に沿って事業活動を行うと共に、「岡部グループ人権方針」を定め、グループ全体で人権尊重の責任を果たしてまいります。

内部通報制度として国内外の

従業員が通報できる体制の整備

人権尊重の一環として、弁護士事務所通報窓口を設置しており、通報受信後の報告ルートとして、コンプライアンス委員会や社内業務執行役員を介さずに監査等委員会に直接報告するルートも整備し、通報案件に応じてより適切に対応できる体制としております。

風通しのよい社風・

コミュニケーション促進

2022年よりデジタルでのコミュニケーションプラットフォーム「Slack」を導入いたしました。情報共有を促進し「仕事を前に進める」ことにより、部門横断型コラボレーションの先にあるイノベーション促進・会社全体の知識基盤の構築と、岡部グループで働く全員のエンゲージメント向上につなげてまいります。

また、従業員と経営トップとの座談会の実施や、社長メッセージ・幹部会議の動画配信などを定期的に行っているほか、「さん」付け呼称の実施により、誰もが率直に意見を言い合える風通しの良い職場づくりに努めております。

従業員エンゲージメント診断・研修

2023年より組織診断アンケートに代わり、従業員エンゲージメント診断を実施しております。従業員にとって働きがいのある組織を構築し、グループ全体で組織改善に活用することを目的としております。

また、2024年からは全社向けエンゲージメント研修を実施しており、全従業員のエンゲージメントに関する理解を深め、エンゲージメントスコアの向上につなげてまいります。

健康経営の取組み

岡部グループは、従業員等の健康増進を重視し経営課題と捉え、従業員等の健康の維持・増進と会社の生産性向上を目指す、健康経営を推進しております。

社是である「社員にとってその一生を託して、悔いることのない職場たること」という想いに基づき、経営トップによる「健康経営宣言」の下、健康経営推進体制を整備し、従業員等の健康維持・増進のための各種施策を立案・実施しております。

これらの取組みの結果、2024年3月に経済産業省より「健康経営優良法人2024(大規模法人部門)」として認定されました。今後も、従業員一人ひとりが心身共にいきいきと働ける環境を構築してまいります。

 

③リスク管理

(1)サステナビリティ共通 ③リスク管理」をご参照ください。

 

 

④指標と目標

各種施策

KPI

単位

2023年度実績

2026年度目標

女性活躍

女性従業員(総合職)の数

27

40

女性管理職の数

10

20

女性管理職比率

4.7

10.0

女性昇進比率

12.2

16.7

女性研究員の数

2

3

女性採用戦略の有無

なし

あり

インクルージョン

中途採用者比率

45.3

50.0

外国人従業員の数

0

5

障がいのある従業員の数

11

16

障がい者雇用比率

2.47

2.50

成長環境・

機会の提供

IT関連保有資格数

95

600

ワクワク推進表彰の推挙数

22

25

OSIPへの参加人数

26

135

総研修費用

百万円

46

55

エンゲージメント向上

従業員エンゲージメント指標

ポイント

63

73

従業員離職率

4.7

3%以下

育児休暇取得従業員比率

41.7

100.0

健康経営

従業員負傷者数

4

0

1人当たりの月平均残業時間

時間

13.5

10

1人当たりの年間取得有休日数

10.9

20

メンタルヘルス不調者数

7

0

高ストレス者数

(ストレスチェック結果)

86

0

健康経営優良法人

(大規模法人部門)の認定

健康経営優良法人の継続認定

 

 

3【事業等のリスク】

当社グループは持続的な企業価値の向上を図るため、事業等のリスクを適切に管理すべく、代表取締役社長執行役員が委員長、各部門の担当取締役及び監査等委員会委員長が委員を務めるリスクマネジメント委員会を設置しております。

リスクマネジメント委員会では、事業への影響度及び発生頻度などを分析・評価し、気候関連リスクを含めた事業リスクを定量的に評価した上で、定性的な評価も織り込み、リスク評価しております。リスクマネジメント委員会において重要リスクを選定し、半期ごとに状況報告を実施すると共に、全社的な視点から必要な戦略の決定、施策の指示等を実施しております。

リスクマネジメント委員会での審議内容については、取締役会に対して付議・報告しており、取締役会は監督機関として機能しています。

2023年度においては、リスクマネジメント委員会は、年3回開催され、次の事項を審議し、取締役会に活動内容を報告しております。

・管理すべき重要リスクの選定

・各リスクが顕在化した場合に想定されるシナリオ

・リスクに対する対策の最終目標

・今年度の計画及び取組み状況

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)成長戦略リスクについて

M&A、海外展開及び新規事業の参入など、当社グループの成長に資する新たな戦略展開が不足又は遅れることにより、機会損失を被る場合、業績等に影響を与える可能性があります。また、当社グループが市場の変化を十分に予測できず、新たな市場ニーズに合致した製品を提供できない場合、新技術・新製品を導入した競合他社に対し競争力が低下し、業績等に影響を与える可能性があります。

また、当社グループの売上高の約6割を占める国内建設市場は、少子高齢化が進行しており、建設業界への就労人口の減少が一層深刻化していくことが予想され、十分な担い手を確保できない場合には、業績等に影響を与える可能性があります。

 (対応策)

当社グループにおいては、M&A、海外展開及び新規事業の参入について、対象領域の市場規模、将来性、既存事業とのシナジー効果等の観点から当社グループの成長に資するかどうかを検討し、機会損失の防止に取り組んでおります。

また、当社グループは、新たな市場ニーズに対応するため、顧客が抱える課題の解決を最優先とする体制整備を目的とした代表取締役社長執行役員直轄部署の「商品企画室」を設置し、営業現場及び顧客からのトレンド・ニーズを把握し、当社グループ内で情報を共有し、連携を強化すると共に、建設業者等との共同開発及び産学連携を推進することで、新技術・新製品の開発に取り組んでおります。

さらに、当社グループは、建設業界の人手不足等に対応するため、省力化に寄与する製品や工法の開発に注力しております。

加えて、顧客に対してより効果的なソリューションを提供し、将来にわたって競争力を維持し成長していくにはDXの重要性が増していることから、代表取締役社長執行役員直轄部署の「IT戦略室」を設置いたしました。今後、本格的に基幹システム刷新プロジェクトを始動し、同時に業務プロセスの改革・変革につながる、より戦略的なIT投資・DX推進を実現してまいります。

 

(2)海外子会社のリスクについて

当社グループは、海外市場において既存事業基盤の成長とM&A戦略の両面を通じたグローバル展開を図ることとしており、事業が拡大するなか、海外子会社の管理が行き届かず、財務内容等が悪化する場合は、業績等に影響を与える可能性があります。

また、海外子会社において、当該国の法律や規制に対する理解が足らずに違法行為を発生させた場合は、業績等に影響を与える可能性があります。特に、当社グループが過去に取り組んでいた自動車関連製品事業におけるバッテリー端子事業に関連する訴訟リスクは、業績等に影響を与える可能性があります。

また、為替の大幅な変動及び通貨危機が発生した場合は、業績等に影響を与える可能性があります。

 (対応策)

当社グループは、海外子会社の管理リスクについて、リスクマネジメント、コンプライアンス及び監査を含むガバナンス体制の見直し・強化に取り組んでおり、海外子会社の管理リスク軽減及び環境関連法令等の遵守に努めております。また、当社グループは、環境関連法令等の遵守のみならず、環境にやさしい製品の開発に取り組むと共に、環境に負荷を与えない製造工程の推進に取り組んでおります。

また、為替の大幅な変動、通貨危機に対するリスクにつきましては、取引に応じて適宜為替予約等を実施することにより、為替変動リスクの軽減に努めております。

 

(3)人財関連リスクについて

従業員の高齢化及び離職、並びに、技術及び技能継承の停滞により、当社グループの競争力が低下した場合、業績等に影響を与える可能性があります。

 (対応策)

当社グループは、女性の新卒採用や中途採用の増加及び役職への積極登用などの女性活躍の推進や高齢者を含む多様な人財が多様な働き方で活躍できる人事制度の整備、並びに、グローバル人財及び技術系人財等の多様な人財の確保・育成など、ダイバーシティ及びインクルージョンの推進に取り組んでおります。

また、従業員等の健康増進を重視し、健康経営を経営課題と捉え、その実践によって従業員等の健康の維持・増進と会社の生産性向上を目指す健康経営を推進しており、「健康経営優良法人2024(大規模法人部門)」としても認定されております。

 

(4)情報セキュリティリスクについて

当社グループは、システム障害やコンピューターウイルスへの感染、サイバー攻撃等により、社内システムに障害が発生し、生産・営業・経理業務等の基幹システムが停止する場合は、業務が中断し、顧客に製商品を供給できないなど、業績等に影響を与える可能性があります。また、社内の機密情報や顧客・取引先情報等の重要情報が漏洩した場合は、企業としての信用低下及び顧客等に対する賠償責任が発生するなど、業績等に影響を与える可能性があります。

 (対応策)

当社グループは、重要な情報の紛失、消失及び改ざん等の防止及び外部からのウイルスやサーバー攻撃などの脅威に対応するため、様々なセキュリティ対策及び社員に対する教育・啓もう活動を実施しております。

 

(5)レピュテーションリスクについて

当社グループに対する否定的な風評が、マスコミ報道又はインターネット上の書き込み等で発生し、当社グループの社会的信用が毀損し、ブランド価値が低下した場合、業績等に影響を与える可能性があります。

 (対応策)

当社グループは、風評被害の発生時に迅速な対応を図り、損害の拡大を防止しこれを最小限にするための対応方法を定めた危機対応・事業継続(BCP)マニュアルを策定しております。

 

(6)コンプライアンスに関するリスクについて

コンプライアンス違反が発生した場合、当社グループの社会的信用及びブランドに重大な影響を与えると共に、従業員の組織に対する信用喪失につながり従業員が離職するなど、業績等に影響を与える可能性があります。

 (対応策)

当社グループでは、関連法令等の遵守のみならず、ステークホルダーからの期待に応えるため、常設組織として取締役常務執行役員を委員長とするコンプライアンス委員会を設置し、海外子会社を含む全社横断的なコンプライアンス体制の整備及びコンプライアンス違反等の解消に努めております。また、内部通報制度においても、海外子会社を含めて整備・運用されております。

 

(7)大規模自然災害リスクについて

地震、津波、噴火、洪水等の自然災害、新たな感染症の発生及び蔓延、大規模事故、テロ、暴動及びその他予期せぬ事態が発生し、当社グループの役職員、事業所、設備やシステムなどが被災し、当社グループの生産活動、販売活動及びその他事業活動に影響が生じた場合、業績等に影響を与える可能性があります。

 (対応策)

自然災害等に関するリスクの対応策につきましては、平時において、避難訓練、ハザードマップの周知及び食糧等の備蓄等を実施しており、また、災害発生時において、迅速な対応を図り、損害の拡大を防止し、被害を最小限にするための対応方法を定めた危機対応・事業継続(BCP)マニュアルを策定し、定期的な訓練を実施しております。

 

(8)気候変動リスクについて

当社グループが、気候変動リスク等の対応を誤り、脱炭素経営に取り組まないことで、市場から評価を得られず、受注が減少した場合には、業績等に影響を与える可能性があります。また、温室効果ガス(GHG)排出基準等の環境規制が変更され、当社グループが法令を遵守できず、ペナルティが課された場合、業績等に影響を与える可能性があります。

 (対応策)

当社グループは、気候変動に対応した経営戦略の開示(TCFD)や脱炭素に向けた目標設定(SBT)などを通じ脱炭素経営に取り組むこと、当社グループのみならず、サプライチェーン全体として脱炭素社会の実現を目指していくこと、及び、当社グループのSDGs 経営をさらに強化することを目的とし、代表取締役社長執行役員直轄部署の「サステナビリティ推進室」を設置すると共に、サステナビリティ経営の実施状況の管理・監督の強化することを目的とし、独立社外取締役が委員長、取締役社長執行役員、各部門の担当取締役及び監査等委員会委員長が委員を務めるサステナビリティ委員会を設置し、脱炭素計画の策定及びサステナビリティ経営の推進体制を確立しております。

当社グループは、中期3ヵ年経営計画「OX-2026(okabe Transformation 2026)」の施策として、サステナビリティ経営を掲げており、建設関連製品事業においては、当社製品・工法を通じて、「建設現場の脱炭素・ゼロエミッション」に取り組んでおります。2022年度からは、建設現場で使用後に不要となったPコン(プラスチックコーン)の回収・リサイクルサービスを開始し、2023年度にはリサイクル材料で製造したEcoPコンを発売開始するなど、廃棄物の焼却処分による温室効果ガス(GHG)排出や、廃プラスチックの海洋流出問題の解決に取り組んでおります。また、海洋事業においては、二酸化炭素を吸収する海藻の成長が期待できる魚礁や藻場礁の普及のほか、磯焼け対策として海藻種苗の移植とその技術の普及に努めているほか、ブルーカーボン事業開始に向けた取組みや洋上風力発電事業と漁業協調への魚礁の提案活動等を通じて、「地球のカーボンニュートラル」への貢献に取り組むなど、脱炭素経営を実施することで、企業価値の向上に努めております。

また、当社グループは、温室効果ガス(GHG)排出基準等の環境規制の変更について、モニタリングする仕組みを構築し、引続き法令を遵守してまいります。

 

<TCFD提言に基づく情報開示>

気候変動対策はグローバル社会が直面している最も重要な社会課題であり、当社にとっても重要な経営課題の一つであることから、当社は2021年12月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明しました。

2022年1月から、気候関連のリスク及び機会が当社の事業に与える影響の分析を行い、2023年3月以降、気候変動に関する「ガバナンス」・「リスク管理」・「戦略」・「指標と目標」の4項目について情報開示を行いました。

詳細につきましては、当社ウェブサイトのサステナビリティページ(https://www.okabe.co.jp/sustainability/policy/)に開示しております。

 

<SBT認定の取得>

当社グループは、2022年5月にSBTの水準を満たした温室効果ガス(GHG)目標設定を表明し、2023年10月にSBT認定を取得しております。

 

(9)経済危機・景気変動リスクについて

当社グループは、経済状況及び景気変動の見通しの正確な把握に努めておりますが、当社グループの売上高の約6割を占める国内建設市場における景気の後退及びそれに伴う需要の減少、又は、経済動向に影響を及ぼすような事態が発生した場合、業績等に影響を与える可能性があります。また、上昇する鋼材価格について、顧客に適正に価格転嫁できない場合、業績等に影響を与える可能性があります。

 (対応策)

経済危機・景気変動によるリスクの対応策として、当社グループは、中期3ヵ年経営計画「OX-2026」の方針の下、米国及びASEAN市場へのグローバル展開を加速し、競争力の強化や国外建設市場向け販売比率の向上に取り組んでおります。

当社グループは、メーカーとして米国のインフラ整備需要の取込みを図ると共に、米国外からの調達量を低減させ、サプライチェーンのリスクを軽減しております。

鋼材価格の上昇に対しては、当社におけるコスト低減努力及び顧客への適正な価格転嫁に努めてまいります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、コロナ禍からの社会・経済活動の正常化が一段と進んだなかで、緩やかに回復したものの、不安定な海外情勢、物価上昇や金融市場の動向など、依然として予断を許さない状況で推移しました。

当社グループの主な需要先であります建設業界におきましては、公共投資が底堅く推移したものの、民間設備投資は持ち直しに足踏みがみられ、慢性的な建設労働者不足による労務費の高騰や鋼材価格の高止まり等も影響し、依然として厳しい環境となりました。

このような経営環境のなか、当社グループは、中期経営計画「NEXT100-PHASE2.1」の施策である、脱炭素を含むSDGs経営・DX活用・グローバル展開加速等を重点課題とし、会社の持続的発展と企業価値の向上に向け取り組んでまいりました。

この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

イ 財政状態

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ140億9百万円減少し、898億8千5百万円となりました。

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ89億5千9百万円減少し、278億2千4百万円となりました。

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ50億5千万円減少し、620億6千万円となりました。

 

ロ 経営成績

当連結会計年度の経営成績は、売上高は781億5千2百万円(前連結会計年度比1.7%増)、営業利益は40億8千2百万円(前連結会計年度比22.5%減)、経常利益は43億3百万円(前連結会計年度比21.3%減)となりました。なお、自動車関連製品事業のうちバッテリー端子製品の製造販売事業における収益性の低下、チャプター11申請に関連する連結子会社の異動及び訴訟の提起に対応するための弁護士費用等による特別損失、並びに、米国において建材製品の製造事業を展開しているOCM Manufacturing LLCに関連するのれんの減損損失など、特別損失を103億7百万円計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純損失は54億7千2百万円(前連結会計年度は38億4千8百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。

 

セグメント別の経営成績は次のとおりであります。

〔建設関連製品事業〕

国内における建設関連製品の売上高を製品別にみますと、仮設・型枠製品は鉄筋コンクリート造物件の着工床面積の増加に伴う需要の取込みなどにより、売上高が堅調に推移した結果、前連結会計年度に比べ3.0%の増加となりました。土木製品は土砂災害の防止に使用される製品等の需要に適切に対応したことなどにより、前連結会計年度に比べ2.2%の増加となりました。構造機材製品は都市圏の再開発案件の需要取込みに注力した結果、前連結会計年度に比べ2.5%の増加となりました。

海外における建設関連製品の売上高は、米国において、利上げに伴い住宅市場が低迷したことなどにより、建設資材の販売が伸び悩んだものの、円安による為替換算レートの影響から前連結会計年度に比べ1.9%の増加となりました。一方で、営業利益は人件費や荷造運送費等の増加により減少しました。

この結果、建設関連製品事業における売上高は641億2千8百万円(前連結会計年度比1.7%増)となり、営業利益は40億6千6百万円(前連結会計年度比20.2%減)となりました。

 

〔自動車関連製品事業〕

主に自動車関連製品の製造販売に関連するウォーター・グレムリン・ホールディングス, Inc.、ウォーター・グレムリン・カンパニー及びウォーター・グレムリン・アクイラ・カンパニーS.p.A.は、ウォーター・グレムリン・ホールディングス, Inc.及びウォーター・グレムリン・カンパニーが2023年10月27日(米国時間)付で米国デラウェア州連邦倒産裁判所にチャプター11(米国連邦倒産法第11章)に基づく再生手続の申請を行い、裁判所の許可を得た上で、ウォーター・グレムリン・カンパニーが同社の事業を第三者に譲渡することとなり、また、ウォーター・グレムリン・ホールディングス, Inc.が同社の子会社であるウォーター・グレムリン・アクイラ・カンパニーS.p.A.の株式を第三者に譲渡することとなったことから、当連結会計年度において、連結の範囲より除外しております。なお、連結の範囲から除外するまでの同3社の損益計算書については連結しております。

このような状況下において、米国においてバッテリー端子製品の販売が伸び悩んだものの、円安による為替換算レートの影響から、売上高は99億9千6百万円(前連結会計年度比0.8%増)となりました。利益面におきましては、チャプター11に基づく再生手続の申請に伴う影響などにより、営業損失は3億円(前連結会計年度は1億4千4百万円の営業損失)となりました。

 

〔その他の事業〕

産業機械製品の堅調な販売の推移及び海洋事業の年後半における大型案件の納入などにより、売上高は40億2千8百万円(前連結会計年度比4.4%増)となりましたが、ウォーター・グレムリン・カンパニーが営んでいた釣り用錘製品の販売が低調に推移した結果、営業利益は3億1千6百万円(前連結会計年度比0.4%減)となりました。

 

事業別・製品別売上高

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減率(%)

建設関連

製品事業

仮設・型枠製品

 

7,075

7,288

3.0

土木製品

 

7,266

7,428

2.2

構造機材製品

 

19,949

20,450

2.5

建材商品

 

11,945

11,799

△1.2

国内計

 

46,237

46,967

1.6

建材製商品

 

16,843

17,160

1.9

海外計

 

16,843

17,160

1.9

当事業計

 

63,081

64,128

1.7

自動車関連製品事業

(注)1

9,914

9,996

0.8

その他の事業

(注)2

3,859

4,028

4.4

合計

 

76,854

78,152

1.7

(注)1 当連結会計年度において、ウォーター・グレムリン・ホールディングス, Inc.、ウォーター・グレムリン・カンパニー及びウォーター・グレムリン・アクイラ・カンパニーS.p.A.を連結の範囲より除外しております。なお、連結の範囲から除外するまでの同3社の損益計算書については連結しております。

2 その他の事業は、当社のコア事業である建設関連製品事業、及び自動車関連製品事業に属さない多角化事業であり、海洋資材製品の製造販売業務、産業機械製品の製造販売業務及びテナントの賃貸業務を行っております。なお、米国における釣り用錘製品の製造販売は、ウォーター・グレムリン・カンパニーの連結範囲からの除外に伴い、当連結会計年度をもって対象外となります。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ56億1千7百万円減少し、125億3千9百万円となりました。

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローにおける収入は、62億2百万円となりました(前連結会計年度は19億7千5百万円の収入)。主な要因は、棚卸資産の減少によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローにおける支出は、17億6千9百万円となりました(前連結会計年度は82億2百万円の支出)。主な要因は、事業譲受による支出の減少によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローにおける支出は、85億6千7百万円となりました(前連結会計年度は1千8百万円の支出)。主な要因は、短期借入金の返済による支出の増加によるものであります。

③ 生産、受注及び販売の実績

イ 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

建設関連製品事業

26,610

△1.8

自動車関連製品事業

6,641

△15.3

その他の事業

3,796

△3.2

合計

37,048

△4.7

(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 金額は、販売価格によっております。

 

ロ 受注実績

当社及び連結子会社は、建設関連製品事業、自動車関連製品事業、その他の事業において見込み生産を行っており、その一部について受注形態をとっておりますが、重要性がないため記載を省略しております。

ハ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

建設関連製品事業

64,128

1.7

自動車関連製品事業

9,996

0.8

その他の事業

4,028

4.4

合計

78,152

1.7

(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 主要な販売先については、総販売実績に対する販売割合が10%以上の相手先がないため記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に係る会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)及び(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

イ 経営成績等

a.財政状態

(資産合計)

当連結会計年度末の資産合計は前連結会計年度末に比べ140億9百万円減少し、898億8千5百万円となりました。

流動資産は主に現金及び預金の減少により前連結会計年度末に比べ122億7千8百万円減少し、512億3千6百万円となりました。

固定資産は主に建物及び構築物、並びに、機械装置及び運搬具の減少により前連結会計年度末に比べ17億2千4百万円減少し、386億2千2百万円となりました。

 

(負債合計)

当連結会計年度末の負債合計は前連結会計年度末に比べ89億5千9百万円減少し、278億2千4百万円となりました。

流動負債は主に短期借入金の減少により前連結会計年度末に比べ82億2千5百万円減少し、181億7千7百万円となりました。

固定負債は主に長期借入金の減少により前連結会計年度末に比べ7億3千4百万円減少し、96億4千7百万円となりました。

 

(純資産合計)

当連結会計年度末の純資産合計は前連結会計年度末に比べ50億5千万円減少し、620億6千万円となりました。また、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ4.4ポイント増加し、69.0%となりました。

 

b.経営成績

(売上高)

当社グループの売上高の約6割を占める国内建設関連製品事業においては、仮設・型枠製品及び構造機材製品における鉄筋コンクリート造物件の着工床面積の増加に伴う需要の取込みや都市圏の再開発案件の需要の取込み、土木製品における土砂災害の防止に使用される製品等の需要への適切な対応などにより、販売が堅調に推移した結果、増収となりました。また、売上高の約2割を占める海外建設関連製品事業においては、利上げに伴い住宅市場が低迷したことなどにより、建設資材の販売が伸び悩んだものの、円安による為替換算レートの影響から、増収となりました。

自動車関連製品事業においては、米国においてバッテリー端子製品の販売が伸び悩んだものの、円安による為替換算レートの影響から、増収となりました。

その他の事業においては、産業機械製品の堅調な販売の推移及び海洋事業の年後半における大型案件の納入などにより、増収となりました。

以上の結果、売上高は781億5千2百万円(前連結会計年度比1.7%増)となりました。

 

(営業利益、経常利益)

米国の建設関連製品事業における人件費や荷造運送費等の増加及び自動車関連製品事業におけるチャプター11に基づく再生手続の申請に伴う影響などにより、営業利益は40億8千2百万円(前連結会計年度比22.5%減)となり、受取利息や受取配当金の計上などにより、営業外損益が2億2千万円の利益となった結果、経常利益は43億3百万円(前連結会計年度比21.3%減)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

自動車関連製品事業のうちバッテリー端子製品の製造販売事業における収益性の低下、チャプター11申請に関連する連結子会社の異動及び訴訟の提起に対応するための弁護士費用等による特別損失、並びに、米国において建材製品の製造事業を展開しているOCM Manufacturing LLCに関連するのれんの減損損失など、特別損失を103億7百万円計上したことなどにより、特別損益は102億5千3百万円の損失となりました。この結果、親会社株主に帰属する当期純損失は54億7千2百万円(前連結会計年度は38億4千8百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。

 

c.キャッシュ・フローの状況

キャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

ロ 資本の財源及び資金の流動性

a.資金需要

当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、生産活動に必要な運転資金(材料・外注費及び人件費等)や、営業活動に必要な運転資金(人件費等の販売費及び一般管理費)であります。

また、設備資金需要としては、コア事業である建設関連製品事業における生産拠点整備、生産設備増強、研究開発投資等であります。

b.財務政策

 当社グループは、事業の「選択と集中」により生産設備、研究開発、企業買収等の投資案件を厳選し、フリーキャッシュ・フローの増加を図ると共に、金融市場動向及び当社財務状況等に応じて最適な資金調達方法を選択し、健全な財務体質を維持することを基本的な財務方針としております。

 

ハ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

(経営上の目標の達成状況について)

 当社グループは中期経営計画「OX-2026(okabe Transformation 2026)」において、中期的な業績目標(売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益)を設定しております。また、企業価値の向上のため、資産及び株主資本の有効活用が重要との考えから自己資本利益率(ROE)の目標値を設定しております。

 当連結会計年度における当初業績予想に対する実績は、売上高は781億5千2百万円(予想比95.3%)、営業利益は40億8千2百万円(予想比71.6%)、経常利益は43億3百万円(予想比74.2%)、親会社株主に帰属する当期純損失は54億7千2百万円(親会社株主に帰属する当期純利益の予想は38億9千万円)となりました。また、自己資本利益率(ROE)は△8.5%となり、目標値を下回る結果となりました。

 

ニ セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

〔建設関連製品事業〕

当セグメントの国内における売上高は、当セグメントの販売状況を左右する指標の着工床面積につき、鉄筋コンクリート造物件の着工床面積が前年を上回ったものの、鉄骨造物件を中心に全体としては前年を下回ったという状況のなかで、鉄筋コンクリート造物件の着工床面積増加に伴う需要の取込み、土砂災害の防止に使用される製品等の需要への適切な対応及び都市圏の再開発案件の需要取込みに注力した結果、仮設・型枠製品、土木製品及び構造機材製品共に微増となり、前連結会計年度に比べ2.5%の増加となりました。

当セグメントの海外における売上高は、米国において、利上げに伴い住宅市場が低迷したことなどにより、建設資材の販売が伸び悩んだものの、円安による為替換算レートの影響から前連結会計年度に比べ1.9%の増加となりましたが、営業利益は人件費や荷造運送費等の増加により減少しました。

この結果、当セグメントの売上高は641億2千8百万円(前連結会計年度比1.7%増)となり、セグメント利益については、営業利益は40億6千6百万円(前連結会計年度比20.2%減)となりました。

 

〔自動車関連製品事業〕

主に自動車関連製品の製造販売に関連するウォーター・グレムリン・ホールディングス, Inc.、ウォーター・グレムリン・カンパニー及びウォーター・グレムリン・アクイラ・カンパニーS.p.A.は、ウォーター・グレムリン・ホールディングス, Inc.及びウォーター・グレムリン・カンパニーが2023年10月27日(米国時間)付で米国デラウェア州連邦倒産裁判所にチャプター11(米国連邦倒産法第11章)に基づく再生手続の申請を行い、裁判所の許可を得た上で、ウォーター・グレムリン・カンパニーが同社の事業を第三者に譲渡することとなり、また、ウォーター・グレムリン・ホールディングス, Inc.が同社の子会社であるウォーター・グレムリン・アクイラ・カンパニーS.p.A.の株式を第三者に譲渡することとなったことから、当連結会計年度において、連結の範囲より除外しております。なお、連結の範囲から除外するまでの同3社の損益計算書については連結しております。

このような状況下において、売上高は、米国においてバッテリー端子製品の販売が伸び悩んだものの、円安による為替換算レートの影響から、99億9千6百万円(前連結会計年度比0.8%増)となりました。

セグメント利益については、チャプター11に基づく再生手続の申請に伴う影響などにより、営業損失は3億円(前連結会計年度は1億4千4百万円の営業損失)となりました。

 

〔その他の事業〕

売上高は、産業機械製品の堅調な販売の推移及び海洋事業の年後半における大型案件の納入などにより、売上高は40億2千8百万円(前連結会計年度比4.4%増)となりました。

セグメント利益については、ウォーター・グレムリン・カンパニーが営んでいた釣り用錘製品の販売が低調に推移した結果、営業利益は3億1千6百万円(前連結会計年度比0.4%減)となりました。

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動は、「安全・安心の提供を通じて社会に貢献する」という経営理念のもと行われております。

なお、当連結会計年度の研究開発費は737百万円であります。また、セグメント別の研究開発活動を示すと次のとおりであります。

 

(1)建設関連製品事業

省力化・安全確保、環境保全に貢献する工法及び関連製品の開発を中心に実施し、仮設・型枠製品、土木製品及び構造機材製品について当社が研究開発を行っております。

当事業に係る研究開発費は695百万円であります。

なお、主な取組みは次のとおりであります。

①鉄骨構造用露出柱脚工法の開発

②鉄骨構造用耐震制振部材の開発(耐震ブレース・制振ダンパー)

③鉄骨梁開口補強工法の開発

④鉄筋コンクリート構造物用接合工法の開発(鉄筋継手等)

⑤木造用耐震制震工法の開発(耐震金物・住宅用制振工法)

⑥杭頭接合工法の開発(各種コンクリート杭、鋼管杭対応工法)

⑦仮設・型枠製品の開発

⑧土木関連製品の開発(切土斜面の安定化工法、補修補強工法)

 

(2)自動車関連製品事業

当連結会計年度における当事業の研究開発費用はありません。

 

(3)その他の事業

水産資源の保護育成や環境保護に貢献する海洋資材製品の開発を中心に実施し、当社が研究開発を行っております。

当事業に係る研究開発費は42百万円であります。