第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当第1四半期連結累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

 当第1四半期連結累計期間(2024年1月1日から2024年3月31日まで)におけるわが国経済は、賃金上昇への機運の高まりなどから個人消費のマインドに改善傾向が見られ、また訪日外国人によるインバウンド消費が増加しつつあり、緩やかな回復傾向が続いております。他方、原材料やエネルギー価格の高騰に加え、ウクライナや中東などにおける地政学的な要因や中国経済の減速といった動きを背景とした世界経済の下振れ懸念など、依然として先行き不透明な状況が続いております。

 当社グループを取り巻く外部環境といたしましては、国内市場における少子高齢化、人口減少に伴う需要の低迷という構造的な問題に加えて、国内外を問わず、デジタル化の進展によって事務用品としての筆記具の需要は縮小傾向にあります。一方で、ライフスタイルや価値観の多様化によって、お客様の商品への要求は、機能的な価値のみならず、自己を表現する存在としての情緒的な価値に対しても高まりを見せております。さらに、環境問題をはじめとするサステナビリティという共通課題への関心の高まりは、お客様の消費に対する価値観を変容させつつあります。こうした市場環境の変化に迅速に対応し、お客様の求める価値を具現化し続けていくことが一層求められる状況になっております。

 このような経営環境のなか、当社グループは、「書く、描く」を通じた“表現体験そのもの”を創造することで、すべての人が生まれながらにして持つ個性や才能といった「ユニーク」を表現する機会を創り出すことが、お客様への提供価値ととらえ、「違いが、美しい。」というコーポレートブランドコンセプト(企業理念)に基づき、活動してまいりました。

 具体的な活動として、時代や環境の変化にあわせて「書く、描く」シーンが多様化するなかで、あらゆる人にとっての「ちょうどいい」を目指した新たな選択肢として、ジェットストリームシリーズから、より“かろやか”な書き心地を実現した新開発のインクを搭載した「JETSTREAM シングル(Lite touch ink 搭載)」に加えて、シャープと多色を搭載した多機能ペンのモデル「JETSTREAM 多機能ペン 4&1(Lite touch ink 搭載)」を発売いたしました。また、サステナブルな事業活動のひとつの在りかたとして、役目を終えたあとに廃棄されるものや使用価値の高い循環可能な「素材」に着目し、筆記具として生まれ変わらせた商品を「uni MATERIAL JOURNEY 旅する素材。」というテーマで展開しており、「ジェットストリーム 4&1 BAMBOO」「ジェットストリーム 海洋プラスチック」をラインアップに追加いたしました。さらに、欧米を中心にArt&Craftの分野における自己表現のツールとして水性サインペン「POSCA」が幅広く受け入れられていることから、さらなる販売及び供給体制の強化に努めるとともに、各地域の市場のニーズにあわせたマーケティング体制の整備に向けた活動を行いました。

 また、筆記具事業のさらなるグローバル化を見据えて、ドイツを拠点とするC.Josef Lamy GmbH、Lamy Vermietungs GmbH 及び、C. Josef Lamy GmbH の子会社3社の持分を取得いたしました。

 

 これらの活動の結果、当第1四半期連結累計期間における売上高は20,073百万円(前年同期比5.9%増)、営業利益は3,065百万円(前年同期比8.4%減)、経常利益は3,468百万円(前年同期比0.5%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は2,137百万円(前年同期比10.8%減)となりました。

 セグメント別の業績を概観いたしますと、筆記具及び筆記具周辺商品事業におきましては、海外市場での売上が堅調に推移したことに加え、為替による押し上げ効果もあり外部顧客への売上高は19,456百万円(前年同期比5.9%増)となりました。また粘着テープ事業、手工芸品事業といったその他の事業におきましては、事業を取り巻く市場環境は依然として厳しいものの、外部顧客への売上高は616百万円(前年同期比5.4%増)となりました。

 財政状態につきましては、当第1四半期連結会計期間末の資産は、主に現金預金が減少したものの、棚卸資産やのれんが増加したことにより、前連結会計年度末に比べて23,517百万円増加し、168,989百万円となりました。

 負債は、主に短期借入金や退職給付に係る負債が増加したことにより、前連結会計年度末に比べて20,795百万円増加し、49,778百万円となりました。

 純資産は、主に利益剰余金やその他有価証券評価差額金及び為替換算調整勘定が増加したことにより、前連結会計年度末に比べて2,721百万円増加し、119,211百万円となりました。

(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(3)財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針

 当第1四半期連結累計期間において、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について重要な変更はありません。

 

(4)研究開発活動

 当第1四半期連結累計期間における当社グループの研究開発費は926百万円であります。

 なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

 (持分取得の連結子会社化)

当社は、2024年2月28日開催の取締役会において、C. Josef Lamy GmbH 及びLamy Vermietungs GmbHの全持分を取得し、連結子会社化することについて決議いたしました。

詳細につきましては、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。