【連結財務諸表注記】
1.報告企業
ルネサスエレクトロニクス株式会社(以下「当社」)は日本の会社法に基づいて設立された株式会社であり、日本に所在する企業であります。当社グループの連結財務諸表は2023年12月31日を連結会計年度の末日とし、当社およびその子会社(以下「当社グループ」)で構成されております。当社グループは、半導体専業メーカーとして、各種半導体に関する研究、開発、設計、製造、販売およびサービスを行っております。当社グループの主な事業内容は、「6. 事業セグメント」に記載しております。
当社グループの2023年12月31日に終了する連結会計年度の連結財務諸表は、2024年3月26日に代表執行役社長兼CEO 柴田 英利および執行役員兼CFO 新開 崇平によって承認されております。
2.作成の基礎
当社グループは、連結財務諸表規則第1条の2に掲げる「指定国際会計基準特定会社」の要件を満たすことから、同規則第93条の規定を適用しており、当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しております。
当社グループの連結財務諸表は「3.重要な会計方針」に記載する会計方針に基づいて作成しております。資産及び負債の残高は、別途記載がない限り、取得原価に基づいて測定しております。
連結財務諸表は当社の機能通貨である日本円(百万円単位、単位未満四捨五入)で表示しております。
(連結キャッシュ・フロー計算書関係)
前連結会計年度において営業活動によるキャッシュ・フローの「その他」に表示しておりました「受取保険金」及び「保険金の受取額」は、重要性が増したことによって見直しを行い、当連結会計年度において営業活動によるキャッシュ・フローに独立掲記をしております。
この結果、前連結会計年度の連結キャッシュ・フロー計算書において、営業活動によるキャッシュ・フローの「受取保険金」△1,467百万円、「保険金の受取額」1,467百万円を独立掲記するとともに、「小計」534,134百万円を532,667百万円に変更しております。
3.重要な会計方針
当社グループの重要な会計方針は次のとおりであり、連結財務諸表が表示されているすべての期間について適用しております。
子会社とは、当社グループにより支配されている企業であります。支配とは、投資先に対するパワーを有し、投資先への関与により生じるリターンの変動に晒され、かつ投資先に対するパワーを通じてリターンに影響を与える能力を有する場合をいいます。
子会社の財務諸表は、当社グループが支配を獲得した日から支配を喪失する日まで、連結財務諸表に含まれております。子会社に対する当社グループ持分の一部を処分した後も支配が継続する場合には、当社グループの持分の変動を資本取引として会計処理しており、非支配持分の調整額と対価の公正価値との差額は、親会社の所有者に帰属する持分として資本に直接認識しております。
当該子会社の決算日が連結決算日と異なる場合、仮決算を行った財務諸表を使用しております。
関連会社とは、当社グループがその財務および経営方針に対して重要な影響力を有しているものの、支配をしていない企業であります。関連会社への投資は持分法によって会計処理しております。
関連会社に対する投資は当初取得原価で認識しております。重要な影響力を有することとなった日から重要な影響力を喪失する日までの関連会社の純損益およびその他の包括利益に対する当社グループの持分は、関連会社に対する投資額の変動として認識しております。
当社グループ内の債権債務残高および取引、ならびに当社グループ内取引によって発生した未実現損益は、連結財務諸表の作成に際して消去しております。
企業結合は取得法を用いて会計処理しております。取得対価は、被取得企業の支配と交換に譲渡した資産、被取得企業の旧所有者に対する負債および当社が発行する資本性金融商品の取得日の公正価値の合計として測定されます。
取得対価、被取得企業の非支配持分および取得企業が以前より保有していた被取得企業の支配獲得日の公正価値の合計が、取得日における識別可能資産および負債の正味の金額を上回る場合に、その超過額をのれんとして認識しております。反対に下回る場合には、直ちに純損益として認識しております。発生した取得関連費用は純損益として認識しております。なお、支配獲得後の非支配持分の追加取得については、資本取引として会計処理しており、当該取引からのれんは認識しておりません。
企業結合の当初の会計処理が企業結合が発生した連結会計年度末までに完了していない場合には、完了していない項目を暫定的な金額で報告し、取得日から1年以内の測定期間において、取得日に認識した暫定的な金額を遡及的に修正しております。
当社グループの各企業の個別財務諸表は、それぞれの機能通貨で作成しております。当社グループの連結財務諸表は、当社の機能通貨である日本円で表示しております。
外貨建取引については、取引日における直物為替レートまたはそれに近似するレートにより機能通貨に換算しております。連結会計年度の末日における外貨建貨幣性項目は連結会計年度の末日の為替レートを用いて機能通貨に換算し、外貨建非貨幣性項目は取得原価で測定しているものは取引日の為替レート、公正価値で測定しているものは、公正価値を算定した日の為替レートを用いて換算しております。
換算または決済により生じる換算差額は、発生した期間の純損益として認識しております。ただし、その他の包括利益を通じて測定する資本性金融資産およびキャッシュ・フロー・ヘッジから生じる換算差額については、その他の包括利益として認識しております。
連結財務諸表作成に際し、在外営業活動体の資産および負債は、連結決算日時点の為替レートで、損益およびキャッシュ・フローは、取引日の為替レート、またはそれに近似する期中平均為替レートで日本円に換算しております。この結果生じる換算差額はその他の包括利益で認識し、その累積額はその他の資本の構成要素として認識しております。
在外営業活動体の持分全体の処分および支配または重要な影響力の喪失を伴う持分の一部処分時には、その他の包括利益で認識し資本に累積していた、在外営業活動体の換算差額は、処分による利得または損失を認識する時に資本から純損益に振り替えております。
在外営業活動体に対する債権または債務である貨幣性項目を有しており、決済の予定がなく、予見可能な将来において決済される可能性も低い場合には、貨幣性項目は、在外活動体に対する純投資の一部を構成します。この場合は、それらの貨幣性項目について生じる換算差額は、その他の包括利益として認識しております。
営業債権及びその他の債権については、これらの発生日に当初認識しており、その他のすべての金融資産は、当該金融資産の契約当事者となった取引日に当初認識しております。
金融資産は、当初認識時に、償却原価で測定する金融資産と公正価値で測定する金融資産に分類しております。
(i) 償却原価で測定する金融資産
金融資産は、次の条件がともに満たされる場合には、償却原価で測定する金融資産に分類しております。
・ 契約上のキャッシュ・フローを回収するために資産を保有することを目的とする事業モデルに基づいて、 資産が保有されている。
・ 金融資産の契約条件により、元本および元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが所定の日に生じる。
(ⅱ)その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産
・ その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融資産
金融資産のうち、次の条件がともに満たされる場合には、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融資産に分類しております。
- 契約上のキャッシュ・フローの回収と売却の両方によって目的が達成される事業モデルに基づいて、資産が保有されている。
- 金融資産の契約条件により、元本および元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが所定の日に生じる。
・ その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産
当初認識時に事後の公正価値の変動をその他の包括利益に表示するという取消不能な選択をした資本性金融資産については、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しております。
(ⅲ)純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
上記(i)(ⅱ)以外の金融資産は、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しております。
当初認識時において、金融資産をその公正価値で測定し、金融資産が純損益を通じて公正価値で測定するものでない場合には、金融資産の取得に直接起因する取引費用を加算しております。純損益を通じて公正価値で測定する金融資産の取引費用は、純損益に認識しております。
金融資産の当初認識後の測定は、その分類に応じて次のとおりに測定しております。
(i) 償却原価で測定する金融資産
償却原価で測定する金融資産については、実効金利法による償却原価で測定しております。
(ⅱ)その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産
・ その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融資産
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融資産に係る公正価値の変動額は、減損利得または減損損失、実効金利法を用いて算出した金利および為替差損益を除き、当該金融資産の認識の中止が行われるまで、その他の包括利益として認識しております。当該金融資産の認識を中止する場合、過去に認識したその他の包括利益は純損益に振り替えております。
・ その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産に係る公正価値の変動額は、その他の包括利益として認識しております。当該金融資産の認識を中止した場合には、過去に認識したその他の包括利益は利益剰余金に直接振り替えております。なお、当該金融資産からの配当収入については、金融収益として純損益で認識しております。
(ⅲ)純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
純損益を通じて公正価値で測定する金融資産については、当初認識後は公正価値で測定し、その変動額は純損益として認識しております。
当社グループは、償却原価で測定する金融資産等に係る減損については、当該金融資産に係る予想信用損失に対して損失評価引当金を認識することとしております。また、各報告日において、金融商品に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大したかどうかを評価しております。
金融商品に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大していない場合には、当該金融商品に係る損失評価引当金を12ヶ月の予想信用損失と同額で測定し、金融商品に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大している場合には、当該金融商品に係る損失評価引当金を全期間の予想信用損失と同額で測定しております。
ただし、営業債権等については常に損失評価引当金を全期間の予想信用損失と同額で測定しております。
金融商品の予想信用損失は、次のものを反映する方法で見積っております。
・一定範囲の生じ得る結果を評価することにより算定される、偏りのない確率加重金額
・貨幣の時間価値
・過去の事象、現在の状況および将来の経済状況の予測についての、報告日において過大なコストや労力を掛けずに利用可能な合理的で裏付け可能な情報
当該測定に係る金額は、変動を純損益で認識しております。
(d) 認識の中止
当社グループは、金融資産からのキャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅した場合、または金融資産のキャッシュ・フローを受け取る契約上の権利を譲渡し、当該金融資産の所有に係るリスクと経済価値のほとんどすべてが移転する場合に、金融資産の認識を中止しております。
金融負債は、当初認識時に、償却原価で測定する金融負債と純損益を通じて公正価値で測定する金融負債に分類しております。すべての金融負債は公正価値で当初測定しておりますが、償却原価で測定する金融負債については、直接帰属する取引費用を控除した金額で測定しております。
(i) 償却原価で測定する金融負債
償却原価で測定する金融負債については、実効金利法による償却原価で測定しております。
(ⅱ)純損益を通じて公正価値で測定する金融負債
純損益を通じて公正価値で測定する金融負債については、当初認識後は公正価値で測定し、その変動額は純損益として認識しております。
当社グループは、金融負債が消滅したとき、すなわち、契約中に特定された債務が免責、取消、または失効となった場合に、金融負債の認識を中止しております。
デリバティブは、公正価値で当初認識され、関連する取引費用および当初認識時の公正価値と取引価格との差額を発生時に純損益として認識しております。当初認識後は、公正価値で再測定し、ヘッジ手段に指定されたデリバティブがヘッジ会計の要件を満たすかにより、その変動を次のように会計処理しております。なお、当社グループは、ヘッジ会計の要件を満たすデリバティブについてヘッジ手段として指定し、ヘッジ会計を適用しております。また、当社グループはヘッジ会計を適用するにあたり、リスク管理目的、ヘッジ取引を実行する際の戦略等のヘッジ手段とヘッジ対象の関係、ヘッジされるリスクの性質およびヘッジ関係の有効性の評価方法についてヘッジ開始時に正式に文書化しております。
ヘッジ手段に係る利得または損失のうち有効な部分は、その他の包括利益で認識し、非有効部分は純損益で認識しております。
通貨スワップ契約にキャッシュ・フロー・ヘッジを適用する場合には、通貨ベーシス・スプレッドを除く部分をヘッジ手段として指定し、通貨ベーシス・スプレッド部分に関しては、公正価値の変動額を、ヘッジコストとして、その他の包括利益を通じてその他の資本の構成要素に認識しております。その他の資本の構成要素に累積されたキャッシュ・フロー・ヘッジは、ヘッジ対象のキャッシュ・フローが純損益に影響を及ぼす期間と同一の期間において、純損益に振り替えております。ただし、ヘッジ対象が非金融資産の取得である場合、非金融資産の当初の取得原価の修正として処理しております。
また、期間に関連したヘッジ対象をヘッジする目的で実施したデリバティブ取引についてヘッジコストを認識した場合には、その他の資本の構成要素に累積されたヘッジコストの累計額を、ヘッジ手段からのヘッジ調整が純損益に影響を与える可能性のある期間にわたって、規則的かつ合理的な基準で純損益に振り替えております。
その他の包括利益に計上したヘッジ手段に係る金額は、ヘッジ対象である取引が純損益に影響を与える時点で純損益に振り替えております。ヘッジ対象が非金融資産または非金融負債の認識を生じさせるものである場合には、その他の包括利益として認識している金額は、非金融資産または非金融負債の当初の帳簿価額の修正として振り替えております。
上記以外のキャッシュ・フロー・ヘッジは、ヘッジされた予想将来キャッシュ・フローが純損益に影響を与えるのと同じ期間に当該金額をその他の包括利益から純損益に振り替えております。ただし、当該金額が損失であり、当該損失の全部または一部が将来の期間において回収されないと予想する場合は、回収が見込まれない金額を、直ちに純損益に振り替えております。
ヘッジ会計を中止する場合、ヘッジされた将来キャッシュ・フローの発生がまだ見込まれる場合には、当該金額を、当該キャッシュ・フローが発生するまでその他の包括利益に残し、ヘッジされた将来キャッシュ・フローの発生がもはや見込まれない場合には、直ちに純損益に振り替えております。
(ⅱ)ヘッジ会計の要件を満たさないデリバティブ
公正価値の変動額を純損益として認識しております。
現金及び現金同等物は、手許現金、随時引き出し可能な預金および容易に換金可能であり、かつ、価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から3ヶ月以内に償還期限の到来する短期的な投資から構成されております。
棚卸資産の取得原価には、購入原価、加工費、および棚卸資産が現在の場所および状態に至るまでに発生したその他のすべての原価を含めております。
棚卸資産は当初認識後において取得原価と正味実現可能価額のいずれか低い金額で測定しますが、正味実現可能価額が取得原価を下回る場合にはその差額を評価減として費用認識しております。正味実現可能価額は、通常の事業過程における見積売価から、完成に要する見積原価および販売に要する見積費用を控除して算定しております。
また、原価は次の方法により算定しております。
商品及び製品
注文生産品…個別法
標準量産品…総平均法
仕掛品
注文生産品…個別法
標準量産品…総平均法
原材料及び貯蔵品…主に総平均法
有形固定資産の取得原価には、資産の取得に直接関連する費用、解体、除去および原状回復費用、ならびに資産計上の要件を満たす借入費用を含めております。
有形固定資産の測定においては原価モデルを採用し、取得原価から減価償却累計額および減損損失累計額を控除した価額で表示しております。
土地および建設仮勘定を除き、各資産の残存価額控除後の取得原価は、それぞれの見積耐用年数にわたり定額法で減価償却を行っております。
見積耐用年数、残存価額および減価償却方法は各連結会計年度末に見直し、変更があった場合は、会計上の見積りの変更として見積りを変更した期間および将来の期間において適用しております。
主要な資産の見積耐用年数は次のとおりであります。
当初認識時におけるのれんの測定については、「(2) 企業結合」に記載のとおりであります。当初認識後ののれんについては償却を行わず、取得原価から減損損失累計額を控除した価額で計上しております。
のれんは、企業結合のシナジーから便益を得ると見込まれる資金生成単位に配分し、のれんが配分された資金生成単位は、各連結会計年度の一定の時期、および減損の兆候が存在する場合にはその都度、減損テストを実施しております。なお、のれんの減損損失に関しては、減損を行った場合は純損益として認識されますが、その後における当該損失の戻入れは行っておりません。
無形資産は原価モデルを採用し、取得原価から償却累計額および減損損失累計額を控除した価額で表示しております。
個別に取得した無形資産は、当初認識時に取得原価で測定しております。
企業結合により取得した無形資産は、当該無形資産の取得原価を取得日現在の公正価値で測定しており、主に技術資産、顧客資産、仕掛研究開発資産が含まれております。
<技術資産>
被取得企業の企業結合時点において既に開発済みの技術などから期待される将来の超過収益力を反映したものを技術資産として認識しております。
<顧客資産>
被取得企業の企業結合時点において存在した顧客から期待される将来の超過収益力を反映したものを顧客資産として認識しております。
<仕掛研究開発資産>
被取得企業の企業結合時点において資産の要件を満たす識別可能な研究開発の途中段階のものを仕掛研究開発資産として認識しております。
なお、企業結合で取得した無形資産の詳細については、「13.のれん及び無形資産」をご参照ください。
開発における支出は、次のすべてを立証できる場合にのみ、開発費用を資産計上しております。
・使用または売却できるように無形資産を完成させることの技術上の実行可能性
・無形資産を完成させ、さらにそれを使用または売却するという企業の意図
・無形資産を使用または売却できる能力
・無形資産が可能性の高い将来の経済的便益を創出する方法
・無形資産の開発を完成させ、さらにそれを使用または売却するために必要となる、適切な技術上、財務上およびその他の資源の利用可能性
・開発期間中の無形資産に起因する支出を、信頼性をもって測定できる能力
これらの自己創設無形資産は、正味のキャッシュ・インフローをもたらすと期待される見積耐用年数(5年)に基づく定額法により償却しております。なお、上記の資産計上の要件を満たさない研究・開発費用は、発生時に純損益として認識しております。
耐用年数を確定できる無形資産はそれぞれの見積耐用年数にわたって定額法等で償却し、減損の兆候が存在する場合はその都度、減損テストを実施しております。耐用年数を確定できる無形資産の見積耐用年数および償却方法は各連結会計年度末に見直しを行い、変更があった場合は、会計上の見積りの変更として見積りを変更した期間および将来の期間において適用しております。
市場販売目的のソフトウエアは、主として見込販売期間(3年以内)における見込販売数量に基づく方法とし、自社利用のソフトウエアは、主として社内における見込利用可能期間(5年)に基づく定額法を採用しております。技術資産については、主として事業活動における利用可能期間(15年以内)に基づく定額法を採用しております。顧客関連資産については、主として見積耐用年数(14年以内)に基づく定額法を採用しております。
耐用年数を確定できない無形資産および未だ使用可能でない無形資産については償却を行わず、各連結会計年度の一定の時期、および減損の兆候が存在する場合にはその都度、個別に減損テストを実施しております。
当社グループは、契約の開始時に、契約がリースまたはリースを含んでいるかを判定しております。契約が特定された資産の使用を支配する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転する場合には、当該契約はリースであるかまたはリースを含んでおります。契約が特定された資産の使用を支配する権利を移転するか否かを評価するために、当社グループは以下のことを検討しております。
(ⅰ) 契約に特定された資産の使用が規定されている。
(ⅱ) 資産を使用する期間全体を通じて、借手がその資産から生じる経済的便益のほとんどすべてを得る権利を有している。
(ⅲ) 借手が資産の使用を指図する権利を有している。事前に資産の使用方法および使用目的が決められている場合には、以下のいずれかに該当する場合、資産の使用を指図する権利を有していると判断する。
・借手が資産を稼働させる権利を有している
・借手が資産の使用方法および使用目的を事前に決定するように資産を設計した
リース期間は、解約不能期間に加え、以下の期間を合計した期間としております。
・リースを延長するオプションが付与されており、借手が当該オプションを行使することが合理的に確実である場合、その対象期間
・リースを解約するオプションが付与されており、借手が当該オプションを行使しないことが合理的に確実である場合、その対象期間
当社グループは、建物リースについて契約の対価を、独立価格の比率に応じてリース構成部分と非リース構成部分に配分しております。また、建物以外のリースについては、リース構成部分と非リース構成部分を区別せずに、単一のリース構成部分として会計処理をすることを選択しております。
当社グループは、使用権資産およびリース負債をリースの開始日に認識しております。使用権資産は取得原価で当初測定を行っております。この取得原価は、リース負債の当初測定の金額と、リース開始日より前に支払ったリース料、発生した当初直接コストおよび、原資産の解体および除去費用や原資産または原資産が設置された敷地の原状回復費用の見積りを合計した金額から、受け取ったリース・インセンティブを控除して算定しております。開始日以後においては、原価モデルを採用して、取得原価から減価償却累計額および減損損失累計額を控除して測定しております。
使用権資産は、原資産の耐用年数とリース期間のいずれか短い方の期間にわたり定額法で減価償却しております。当社グループが購入オプションを行使することが合理的に確実である場合には、原資産の耐用年数にわたって償却しております。
リース負債は、開始日時点で支払われていないリース料をリースの計算利子率を用いて割り引いた現在価値で当初測定しております。リースの計算利子率が容易に算定できない場合には、当社グループの追加借入利子率を用いており、一般的に、当社グループは追加借入利子率を割引率として使用しております。
リース負債の測定に使用するリース料には、主に固定リース料、延長オプションを行使することが合理的に確実である場合のオプション期間のリース料およびリース期間がリース解約オプションの行使を反映している場合その解約に対するペナルティの支払額が含まれます。
指数またはレートの変動により将来のリース料が変動した場合、残価保証に基づいて支払うと見込まれる金額の見積りが変動した場合、または購入、延長、あるいは解約オプションを行使するかどうかの判定が変化した場合、リース負債を再測定しております。
リース負債を再測定した場合、対応する修正は使用権資産の帳簿価額を修正するか、使用権資産の帳簿価額がゼロまで減額されている場合には純損益として認識しております。
当社グループは、リース期間が12ヶ月以内の短期リースおよびIT機器のリースを含む少額資産のリースについて、使用権資産およびリース負債を認識しないことを選択しております。当社グループは、これらのリースに係るリース料をリース期間にわたり定額法により費用として認識しております。
当社グループは、各連結会計年度において非金融資産(棚卸資産、繰延税金資産および退職給付に係る資産を除く)についての減損の兆候の有無の判定を行い、減損の兆候が存在する場合には、減損テストを実施しております。ただし、のれんおよび耐用年数を確定できない、または未だ使用可能ではない無形資産については、各連結会計年度の一定の時期および減損の兆候を識別したときに減損テストを実施しております。
減損テストでは、回収可能価額を見積り、帳簿価額と回収可能価額の比較を行っております。資産、資金生成単位の回収可能価額は、使用価値と処分コスト控除後の公正価値のうちいずれか高い方の金額で算定しております。使用価値は、見積将来キャッシュ・フローを貨幣の時間的価値および当該資産の固有のリスクを反映した税引前割引率を用いて現在価値に割り引くことにより算定しております。
減損テストの結果、資産、資金生成単位の回収可能価額が帳簿価額を下回った場合には減損損失を認識しております。のれんを含む資金生成単位の減損損失の認識にあたっては、まず、その単位に配分されたのれんの帳簿価額を減額するように配分し、次に資金生成単位内のその他の資産の帳簿価額を比例的に減額するように配分しております。
減損損失の戻入れは、過去の期間に認識した減損損失を戻入れする可能性を示す兆候が存在し、回収可能価額の見積りを行った結果、回収可能価額が帳簿価額を上回る場合に行っております。戻入金額は、減損損失を認識しなかった場合の戻入れが発生した時点まで通常の減価償却または償却を続けた場合における帳簿価額を上限としております。なお、のれんに係る減損損失の戻入れは行っておりません。
当社グループは、過去の事象の結果として、当社グループが法的債務または推定的債務を負っており、当該債務を決済するために経済的資源の流出が生じる可能性が高く、債務の金額について信頼性のある見積りができる場合に引当金を認識しております。
引当金の貨幣の時間的価値が重要な場合には、見積将来キャッシュ・フローを貨幣の時間的価値および当該負債に固有のリスクを反映した税引前割引率を用いて現在価値に割り引いております。時の経過に伴う割引額の割戻しは金融費用として認識しております。
(12) 賦課金
政府が法令に従って企業に求める経済的便益のある資源の流出である賦課金については、法令により規定される賦課金の支払の契機となる活動により債務発生事象が生じた時点で、支払見込額を債務認識しております。
短期従業員給付とは、従業員が当社グループに関連する勤務を提供した期間の末日後12ヶ月以内に決済の期限が到来する従業員給付をいい、ある会計期間中に従業員が当社グループに勤務を提供したときに、当社グループは当該勤務の見返りに支払うと見込まれる金額を認識しております。当社グループにおける短期従業員給付には賞与および有給休暇に係るものを含んでおります。
累積型の有給休暇に関する従業員給付の予想コストは、将来の有給休暇の権利を増加させる勤務を従業員が提供したときに認識しております。また、当社グループは、累積型有給休暇の予想コストを、連結会計年度の末日現在で累積されている未使用の権利の結果として当社グループが支払うと見込まれる追加金額として測定しております。
なお、賞与については、過去に従業員から勤務を提供された結果、支払を行う法的または推定的債務を有しており、かつ、当該債務について信頼性のある見積りが可能な場合に負債として認識しております。
当社グループは、退職後給付制度として、確定給付制度および確定拠出制度を採用しております。
確定拠出制度への拠出については、棚卸資産や有形固定資産に含められる場合を除き、その発生時に費用として認識しております。既に支払った掛金が連結会計年度の末日前の勤務に対する掛金を超過する場合には、当該前払が将来支払の減少または現金の返還となる範囲で、当該超過を資産として認識しております。
確定給付制度に係る資産または負債の純額は、確定給付制度債務の現在価値から、制度資産の公正価値(必要な場合には、資産上限、最低積立要件への調整を含む)を控除したものであり、資産または負債として連結財政状態計算書で認識しております。確定給付制度債務は、予測単位積増方式に基づいて算定され、その現在価値は、将来の予想支払額に割引率を適用して算定しております。割引率は、将来の毎年度の給付支払見込日までの期間をもとに割引期間を設定し、割引期間に対応した連結会計年度の末日時点の優良社債の市場利回りに基づき算定しております。
勤務費用および確定給付制度に係る資産または負債の純額に係る純利息費用は純損益として認識しております。
数理計算上の差異、純利息費用に含まれる部分を除く制度資産に係る収益の変動および資産上限額の影響の変動については、それらが生じた期間において「確定給付制度の再測定」としてその他の包括利益に認識し、直ちにその他の資本の構成要素から利益剰余金へ振り替えております。また、過去勤務費用は、制度改訂または縮小が発生したとき、あるいは関連するリストラクチャリング費用または解雇給付を認識したときの、いずれか早い方の期において純損益として認識しております。
退職後給付制度以外の長期従業員給付制度として、一定の勤続年数に応じた特別休暇や報奨金制度を有しております。その他の長期従業員給付に対する債務額は、従業員が過年度および当年度において提供したサービスの対価として稼得した将来給付の見積額を現在価値に割り引いた額で測定しております。
政府補助金は、補助金交付のための付帯条件を満たし、かつ補助金を受領することについて合理的な保証が得られた場合に、補助金収入を公正価値で測定し、認識しております。収益に関する補助金は、純損益として認識しております。純損益として認識された補助金は、発生した費用に直接的に基づくものである場合は、対応する費用から控除し、それ以外の要件により受領したものは、その他の収益に計上しております。資産に関する政府補助金は、当該補助金の金額を資産の取得原価から直接減額しております。
自己株式を取得した場合には、取得原価で認識し、資本から控除して表示しております。また、その取得に直接起因する取引費用は、資本から控除しております。ストック・オプションの行使、リストリクテッド・ストック・ユニット(RSU)およびパフォーマンス・シェア・ユニット(PSU)の権利確定に基づく自己株式の処分をした場合を含め、自己株式を売却した場合は処分差損益を資本剰余金として認識しております。
当社グループは、取締役、執行役員および従業員等に対するインセンティブ制度として、株式報酬制度を採用しております。
リストリクテッド・ストック・ユニット(RSU)およびパフォーマンス・シェア・ユニット(PSU)は、事後交付型の株式報酬制度であり、RSUは継続勤務を条件としてユニット数を確定させ、PSUは当社の株主総利回りの伸長率等に応じてユニット数を確定させます。本制度における報酬は、付与する当社株式の公正価値を参照して測定しており、算定された報酬は費用として純損益に認識するとともに、同額を資本の増加として認識しております。
ストック・オプションは、付与日における公正価値によって見積り、最終的に権利確定すると予想されるストック・オプションの数を考慮したうえで、権利確定期間にわたって費用として認識し、同額を資本の増加として認識しております。付与されたオプションの公正価値は、オプションの諸条件を考慮して算定しております。また、その後の情報により確定すると見込まれるストック・オプションの数が従前の見積りと異なることが示された場合には、必要に応じて権利確定数の見積りを修正しております。なお、権利確定後に失効したり、行使されなかった場合は、当該株式報酬の戻入れ額を利益剰余金に直接振り替えております。
販売特約店への販売については、以下のような様々な販売促進の制度が定められております。
シップ・アンド・デビット制度は、顧客への販売活動に関する価格調整を通じて販売特約店を補助する仕組みであります。当該制度が適用される場合には、販売特約店が製品を顧客へ販売した時点で、顧客への販売価格に基づく価格調整を行うこととしております。これについて、当社グループは販売特約店に対して売上収益を認識した時点で、その売上取引に関連する価格調整の見積額を売上収益から控除し、返金負債を計上しております。また、販売特約店がタイムラグにより生じる資金負担を軽減する目的として売掛金の一部を長期未収入金に振替えておりますが、契約に基づき将来的に回収されるものであります。
ストック・ローテーション制度は、販売特約店が、直近6ヶ月の仕入れに対して特定の比率を乗じて算出される金額分の在庫を、半年毎に返品することが可能な制度であります。売上収益に対する返金負債は、決算日毎に算定し、売上収益から控除しております。
金融収益は、配当収入、利息収入、為替差益、金融資産の売却益、純損益で認識したヘッジ金融商品に係る利得、およびその他の包括利益で従前に認識した金額の振替などから構成されております。利息収入は、実効金利法により発生時に認識しております。配当収入は、当社グループの受領権が確定した日に認識しております。
金融費用は、社債、借入金およびリース負債に係る利息費用、為替差損、金融資産の売却損、純損益で認識したヘッジ金融商品に係る損失ならびにその他の包括利益で従前に認識された金額の振替などから構成されております。適格資産の取得、建設または生産に直接起因しない借入費用は、実効金利法により発生時に認識しております。リース料の支払は、金融費用と負債残高の返済部分とに配分しており、金融費用は、負債残高に対して一定の利子率となるようにリース期間にわたって配分しております。
当期税金および繰延税金は、企業結合に関連するもの、およびその他の包括利益または直接資本の部で認識される項目を除き、連結損益計算書上で法人所得税費用として表示しております。
その他の包括利益に認識される項目に関する当期税金および繰延税金は、その他の包括利益として認識しております。
当期税金は、税務当局に対する納付または税務当局からの還付が予想される金額で測定しております。税額の算定に使用する税率および税法は、決算日までに制定または実質的に制定されたものであります。
繰延税金は、連結会計年度末日における資産および負債の税務基準額と会計上の帳簿価額との間の一時差異に基づいて算定しております。繰延税金資産は、将来減算一時差異、未使用の繰越税額控除および繰越欠損金について、それらを回収できる課税所得が生じると見込まれる範囲において認識し、繰延税金負債は、原則として、将来加算一時差異について認識しております。
なお、次の一時差異に対しては、繰延税金資産および負債を認識しておりません。
・のれんの当初認識から生じる将来加算一時差異
・企業結合ではなく、取引時に、会計上の利益にも課税所得(税務上の欠損金)にも影響を与えず、取引時、同額の将来加算一時差異と将来減算一時差異を生じさせない取引における、資産または負債の当初認識から生じる一時差異
・子会社、関連会社に対する投資ならびに共同支配の取決めに対する持分に係る将来加算一時差異について、解消する時期をコントロールでき、かつ、予測可能な将来にその差異が解消されない可能性が高い場合
・子会社、関連会社に対する投資ならびに共同支配の取決めに対する持分に係る将来減算一時差異のうち、予測可能な将来に当該一時差異が解消する可能性が高くない場合または当該一時差異の使用対象となる課税所得が稼得される可能性が高くない場合
繰延税金資産および負債は、決算日までに制定または実質的に制定されている法定税率(および税法)に基づいて、資産が実現されるまたは負債が決済される期に適用されると予想される税率(および税法)によって測定しております。
繰延税金資産および繰延税金負債は、当期税金資産および当期税金負債を相殺する法律上強制力のある権利を有しており、かつ次のいずれかの場合に相殺しております。
・法人所得税費用が同一の税務当局によって同一の納税主体に課されている場合
・異なる納税主体に課されているものの、これらの納税主体が当期税金資産および当期税金負債を純額ベースで決済することを意図している、もしくは当期税金資産を実現させると同時に当期税金負債を決済することを意図している場合
繰延税金資産の帳簿価額は各連結会計年度の末日現在で再検討しております。一部または全部の繰延税金資産の便益を実現させるだけの十分な課税所得を稼得する可能性が高くなくなった場合、繰延税金資産の帳簿価額をその範囲で減額しております。また、当該評価減額は、十分な課税所得を稼得する可能性が高くなった範囲で戻入れております。
当社グループは、法人所得税に関する不確実な税務ポジションについて、税法上の解釈に基づき合理的な見積額を資産または負債として認識しております。
基本的1株当たり当期利益は、親会社の所有者(普通株主)に帰属する純損益を、各連結会計年度中の自己株式を調整した発行済普通株式の加重平均株式数で除して計算しております。
希薄化後1株当たり当期利益は、すべての希薄化性潜在的普通株式による影響について調整して計算しております。
継続的使用ではなく、売却により回収が見込まれる資産または資産グループのうち、現在の状態で即時に売却可能で、経営者が売却計画の実行を確約し、1年以内に売却する可能性が非常に高い場合には、売却目的で保有する資産および売却目的で保有する資産に直接関連する負債を処分グループとして他の資産および負債と区分し、連結財政状態計算書に計上しております。
売却目的保有に分類した非流動資産は、帳簿価額と売却コスト控除後の公正価値のいずれか低い金額で測定しており、当該資産に分類後は減価償却または償却は行っておりません。
既に処分したかまたは売却目的保有に分類している企業の構成単位で、次のいずれかに該当する場合、非継続事業として認識しております。
・独立の主要な事業分野または営業地域
・独立の主要な事業分野または営業地域を処分する統一された計画の一部
・転売のみのために取得した子会社
事業が非継続事業に分類された場合には、その事業が比較期間の開始日から廃止されていたものとして、比較期間の連結損益計算書および連結包括利益計算書を再表示しております。
4.重要な会計上の見積り及び判断
当社グループは、本連結財務諸表の作成において、会計方針の適用ならびに資産、負債、収益および費用の報告額に影響を及ぼす判断、会計上の見積りおよび仮定を用いております。これらの見積りおよび仮定は、過去の経験および利用可能な情報を収集し、決算日において合理的であると考えられる様々な要因等を勘案した経営者の最善の判断に基づいております。しかしながら、その性質上、これらの見積りおよび仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
見積りおよびその基礎となる仮定は継続して見直しております。これらの見積りの見直しによる影響は、当該見積りを見直した期間および将来の期間において認識しております。
本連結財務諸表で認識する金額に重要な影響を与える見積りおよび仮定は、次のとおりであります。
(1) 非金融資産の減損損失
当社グループは、非金融資産(棚卸資産、繰延税金資産および退職給付に係る資産を除く)について、回収可能価額が帳簿価額を下回る兆候が存在する場合には減損テストを実施しております。
ただし、のれんおよび耐用年数を確定できない、または未だ使用可能ではない無形資産については、各連結会計年度の一定の時期および減損の兆候を識別したときに減損テストを実施しております。
減損テストは、資産の帳簿価額と回収可能価額を比較することにより実施し、回収可能価額が帳簿価額を下回る場合には減損損失を計上することとなります。回収可能価額は、主に割引キャッシュ・フロー・モデルにより算定しており、算定に際しては、資産の耐用年数や将来のキャッシュ・フロー、売上収益、売上総利益率、割引率、長期成長率等について一定の仮定を設定しております。
これらの仮定は、経営者の最善の見積りと判断により決定しておりますが、将来の不確実な経済条件の変動の結果によって影響を受ける可能性があり、見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する金額に重要な影響を与える可能性があります。
回収可能価額の算定方法については「15.非金融資産の減損損失」に記載しております。
(2) 退職後給付
当社グループは、確定給付型を含む様々な退職後給付制度を有しております。
これらの各制度に係る確定給付制度債務の現在価値および関連する勤務費用などは、数理計算上の仮定に基づいて算定しております。数理計算上の仮定には、割引率など様々な変数についての見積りおよび判断が求められます。
数理計算上の仮定は、経営者の最善の見積りと判断により決定しておりますが、将来の不確実な経済条件の変動の結果によって影響を受ける可能性があり、見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する金額に重要な影響を与える可能性があります。
これらの数理計算上の仮定およびそれに関連する感応度については「22.従業員給付」に記載しております。
(3) 引当金
当社グループは、製品保証引当金や資産除去債務など様々な引当金を連結財政状態計算書に計上しております。
これらの引当金は、決算日における債務に関するリスクおよび不確実性を考慮に入れた、債務の決済に要する支出の最善の見積りに基づき計上しております。
債務の決済に要する支出額は、将来の起こり得る結果を総合的に勘案して算定しておりますが、予想し得ない事象の発生や状況の変化によって影響を受ける可能性があり、実際の支払額が見積りと異なった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する金額に重要な影響を与える可能性があります。
引当金の性質および金額については「21.引当金」に記載しております。
(4) 繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産の認識に際しては、課税所得が生じる可能性の判断において、事業計画に基づいて将来獲得しうる課税所得の時期およびその金額を見積り算定しております。
課税所得が生じる時期および金額は、将来の当社グループの業績による影響を受けるため、実際に発生する時期および金額が見積りと異なった場合には翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する金額に重要な影響を与える可能性があります。
繰延税金資産に関連する内容および金額については「17.法人所得税」に記載しております。
(5) 棚卸資産
棚卸資産は取得原価で測定しておりますが、連結会計年度末における正味実現可能価額が取得原価より下落している場合には、当該正味実現可能価額で測定し、取得原価との差額を原則として売上原価に認識しております。また、営業循環過程から外れて滞留する棚卸資産については、将来の需要や市場動向を反映して正味実現可能価額等を算定しております。市場環境が予測より悪化して正味実現可能価額が著しく下落した場合には、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する金額に重要な影響を与える可能性があります。
(6) 金融商品の公正価値の測定方法
当社グループは、特定の金融商品の公正価値を評価する際に、市場で観察可能ではないインプットを利用する評価技法を用いております。観察可能ではないインプットは、将来の不確実な経済条件の変動の結果によって影響を受ける可能性があり、見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。金融商品の公正価値に関連する内容および金額については、「3.重要な会計方針 (4) 金融商品」および「34.金融商品」に記載しております。
(7) 法人所得税
法人所得税の不確実な税務ポジションについて、税法上の解釈に基づき合理的な見積額を資産または負債として認識しており、当社グループの繰延税金には、不確実な税務ポジションに関する負債が含まれております。なお、上記の資産および負債の計算に際しては、期待値法を用いて税効果を計算しております。これは現時点での最善の見積りであるものの、実際の結果によっては、翌連結会計年度以降の連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。詳細は、「17.法人所得税」をご参照ください。
5.未適用の新基準
連結財務諸表の承認日までに新設または改訂が行われた新基準書および新解釈指針のうち、当社グループの連結財務諸表に重要な影響を与えるものはありません。
6.事業セグメント
当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、当社の取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっております。
当社グループは、「自動車向け事業」および「産業・インフラ・IoT向け事業」から構成されており、セグメント情報はこれらの区分により開示しております。自動車向け事業には、自動車のエンジンや車体などを制御する半導体を提供する「車載制御」と、車内外の環境を検知するセンサリングシステムや様々な情報を運転者などに伝えるIVI・インストルメントパネルなどの車載情報機器に半導体を提供する「車載情報」が含まれております。当事業において、当社グループはそれぞれマイクロコントローラ、SoC、アナログ半導体およびパワー半導体を中心に提供しております。産業・インフラ・IoT向け事業には、スマート社会を支える「産業」、「インフラストラクチャー」および「IoT」が含まれております。当事業において、当社グループはそれぞれマイクロコントローラ、SoCおよびアナログ半導体を中心に提供しております。加えて、当社の設計および生産子会社が行っている半導体の受託開発、受託生産などを「その他」に分類しております。
報告されている事業セグメントの会計処理の方法は「3.重要な会計方針」における記載と同一であります。報告セグメントに関する情報として、外部顧客への売上収益のほか、セグメント売上総利益、ならびにセグメント損益であるセグメント営業利益を開示しております。
セグメント売上総利益ならびにセグメント営業利益は、経営者が意思決定する際に使用する社内指標であり、IFRSに基づく売上収益、売上総利益および営業利益から、企業結合に関連する無形資産および有形固定資産の償却費、株式報酬費用、その他非経常的な項目を除いたものであります(調整2)。その他非経常的な項目には、企業買収関連費用や当社グループが控除すべきと判断した一過性の利益や損失が含まれます。その他非経常的な項目のうち、各報告セグメントが負担すべきと判断したものなどについては、各報告セグメントのセグメント売上総利益およびセグメント営業利益に含めております(調整1)。なお、当社の取締役会はグループ内取引を消去した後の業績を用いて評価していることから、セグメント間の振替高はありません。
当社グループの報告セグメントごとの情報は次のとおりであります。
前連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
(単位:百万円)
当連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
(単位:百万円)
製品及びサービスの区分が報告セグメントと同一であるため、記載を省略しております。
外部顧客への売上収益および非流動資産の地域別内訳は、次のとおりであります。
(注) 売上収益は顧客の所在地を基礎とし、国または地域に分類しております。
非流動資産の対象は、有形固定資産、のれんおよび無形資産としております。
外部顧客への売上収益のうち、連結損益計算書の売上収益の10%以上を占める相手先がないため、記載を省略しております。
7.企業結合
前連結会計年度および当連結会計年度に行った企業結合は以下のとおりであります。
なお、個別にも全体としても重要性が乏しい企業結合については記載を省略しております。
前連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
(Dialog Semiconductor Plc)
前々連結会計年度末においては、取得日時点における識別可能資産および負債の特定ならびに公正価値の算定が未了であり、取得原価の配分が完了していなかったため、前々連結会計年度末時点において入手可能な合理的な情報等に基づき暫定的な会計処理を行っておりました。前連結会計年度において、確定した取得原価の配分額に基づき、発生したのれんの金額を次のとおり修正しております。
取得日(2021年8月31日)における取得資産および引受負債の公正価値
(単位:百万円)
(注)1 Dialog Semiconductor Plc(以下「Dialog社」)の取得から生じることが期待される既存事業とのシナジー効果と超過収益力を反映したものであります。なお、税務上損金算入可能と見込まれるのれんの額はありません。
2 無形資産への配分額のうち主なものは技術資産であり、当該無形資産の公正価値は超過収益法を用いて、将来事業計画、割引率などの仮定に基づいて測定しております。
なお、Dialog社は、2021年9月14日付でDialog Semiconductor PlcからDialog Semiconductor Limitedに商号変更しました。
(Celeno Communications Inc.)
前々連結会計年度末においては、取得日時点における識別可能資産および負債の特定ならびに公正価値の算定が未了であり、取得原価の配分が完了していなかったため、前々連結会計年度末時点において入手可能な合理的な情報等に基づき暫定的な会計処理を行っておりました。前連結会計年度において、確定した取得原価の配分額に基づき、発生したのれんの金額を次のとおり修正しております。なお、前連結会計年度において取得対価の調整をしております。
取得日(2021年12月20日)における取得資産および引受負債の公正価値
(単位:百万円)
(注) Celeno Communications Inc.(以下「Celeno社」)の取得から生じることが期待される既存事業とのシナジー効果と超過収益力を反映したものであります。なお、税務上損金算入可能と見込まれるのれんの額はありません。
なお、Celeno社は、2023年9月29日付でCeleno Communications Inc.からRenesas Semiconductor Design US Inc.に商号変更しました。
(Steradian Semiconductors Private Limited)
当社は、2022年10月17日にインド・ベンガルールに本社を置く半導体会社であるSteradian Semiconductors Private Limited(以下「Steradian社」)の株式すべての取得(以下「本件Steradian買収」)を完了し、Steradian社を完全子会社化しました。
被取得企業の名称 Steradian Semiconductors Private Limited
事業の内容 4Dイメージングレーダ製品の開発および販売
2022年10月17日
インド・ベンガルールに本社を置くSteradian社は、2016年創業のスタートアップ企業であり、高性能と小型化・電力の高効率化を実現するレーダ技術を保有しております。レーダは、様々なセンサを複合的に利用するADAS(先進運転支援システム)の実現に向けて不可欠な技術であります。車載レーダ市場の成長性を鑑みて、Steradian社を買収することにより、当社は、車載レーダ製品をポートフォリオに加え、レーダ事業に本格参入します。
また、当社は、同車載レーダ製品と、レーダ信号を処理するためのADAS用SoC(System-on-Chip)やパワーマネジメントIC(PMIC)、タイミング製品、認識用ソフトウェアを組み合わせた車載レーダソリューションを開発します。これにより、レーダシステムの設計の容易化を図り、早期開発に貢献します。
本件Steradian買収完了に伴い、当社は、Steradian社の優れた技術とエンジニアを獲得し、自動車向けだけでなく、産業向けなど幅広い用途のセンシングソリューションを拡充します。増大するセンシングへのニーズに対し、最適なデバイスやソフトウェアを組み合わせ、お客様の設計を楽(ラク)にするソリューション提案を幅広い用途向けに進めていきます。
現金を対価とする株式取得
当該企業結合に係る取得関連費用は345百万円であり、前連結会計年度において全額を「販売費及び一般管理費」に計上しております。
(注)1 前連結会計年度末において、取得日時点における識別可能資産および負債の特定ならびに公正価値の算定が未了であり、取得原価の配分が完了していないため、前連結会計年度末時点で入手可能な合理的な情報等に基づき暫定的な会計処理を行っております。そのため、前連結会計年度末時点においては、有形固定資産等の再評価や無形資産等の追加認識は行っておらず、取得対価と取得日に受け入れた資産および引き受けた負債の純額との差額を暫定的に全額のれんに計上しております。なお、無形資産については暫定的にSteradian社の簿価で計上しております。
2 契約金額の総額は公正価値と同額であり、回収不能と見込まれるものはありません。
3 Steradian社の取得から生じることが期待される既存事業とのシナジー効果と超過収益力を反映したものであります。なお、税務上損金算入可能と見込まれるのれんの額はありません。
なお、取得対価は、運転資本の変動などに応じた価格調整により変動する可能性があります。
仮にSteradian社の取得日が前連結会計年度の期首に実施された場合にそれが前連結会計年度の売上収益と当期利益に与える影響額は重要性が乏しいため、プロフォーマ情報を記載しておりません。
前連結会計年度において、取得日から前連結会計年度末までのSteradian社の売上収益および当期損益が連結財務諸表に与える影響額は重要ではありません。
⑦ 段階取得に係る差益
当社グループが取得日に保有していた10.64%を取得日の公正価値で再測定した結果、当該企業結合から447百万円の段階取得に係る差益を認識しております。この利益は、連結包括利益計算書上、「その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産」に含めております。
当連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
(Celeno Communications Inc.)
条件付対価は、Celeno社の今後の製品開発、量産の進捗に応じて合意されたいくつかの条件(マイルストン)を特定の期限までに充足した場合にそれぞれに対して支払われるものであり、契約上、最大で45百万米ドルを支払う可能性があります。
条件付対価の公正価値は、Celeno社に支払う可能性がある金額について、その発生確率を加味した現在価値で算定しております。
条件付対価の公正価値のヒエラルキーのレベルは、レベル3になります。レベル3に分類した条件付対価の期首残高から期末残高への調整表は次のとおりであります。
(単位:百万円)
また、条件付対価に係る公正価値変動額のうち、貨幣の時間的価値の変動に基づく部分を「金融費用」に計上するとともに、貨幣の時間的価値以外の変動に基づく部分を「その他の収益」または「その他の費用」に計上しております。前連結会計年度は公正価値の変動などにより、「その他の収益」が2,464百万円、「金融費用」が263百万円発生しており、当連結会計年度は公正価値の変動などにより、「その他の収益」が1,242百万円、「金融費用」が7百万円発生しております。
(Steradian Semiconductors Private Limited)
前連結会計年度末においては、取得日時点における識別可能資産および負債の特定ならびに公正価値の算定が未了であり、取得原価の配分が完了していなかったため、前連結会計年度末時点において入手可能な合理的な情報等に基づき暫定的な会計処理を行っておりました。第1四半期連結会計期間において、確定した取得原価の配分額に基づき、発生したのれんの金額を次のとおり修正しております。なお、第1四半期連結累計期間において取得対価の調整をしております。
取得日(2022年10月17日)における取得資産および引受負債の公正価値
(単位:百万円)
(注) Steradian社の取得から生じることが期待される既存事業とのシナジー効果と超過収益力を反映したものであります。なお、税務上損金算入可能と見込まれるのれんの額はありません。
条件付対価は、Steradian社の今後の製品開発、量産の進捗に応じて合意されたいくつかの条件(マイルストン)を特定の期限までに充足した場合にそれぞれに対して支払われるものであり、契約上、最大で11百万米ドルを支払う可能性があります。
条件付対価の公正価値は、Steradian社に支払う可能性がある金額について、その発生確率を加味した現在価値で算定しております。
条件付対価の公正価値のヒエラルキーのレベルは、レベル3になります。レベル3に分類した条件付対価の期首残高から期末残高への調整表は次のとおりであります。
(単位:百万円)
また、条件付対価に係る公正価値変動額のうち、貨幣の時間的価値の変動に基づく部分を「金融費用」に計上するとともに、貨幣の時間的価値以外の変動に基づく部分を「その他の収益」または「その他の費用」に計上しております。当連結会計年度は公正価値の変動などにより、「その他の収益」が558百万円発生しております。
(Panthronics AG)
当社は、完全子会社を通じて2023年6月1日にオーストリアに本社を置く半導体会社であるPanthronics AG(以下「Panthronics社」)の株式すべての取得を完了し、Panthronics社を完全子会社化しました。なお、Panthronics社は、2023年10月12日付でPanthronics AGからRenesas Design Austria GmbHに商号変更しました。
被取得企業の名称 Panthronics AG
事業の内容 NFC(Near-Field Communication:近距離無線通信)等半導体の開発および販売
2023年6月1日(中央ヨーロッパ夏時間)
オーストリアに本社を置くPanthronics社は、高性能なNFCチップセットやソフトウェアを提供しております。NFCは、デジタル化する経済の中で欠かせない存在となっており、日常生活においても随所で活用されております。例えば、モバイル決済端末(mPoS)や非接触型決済に代表されるフィンテック、IoT、アセットトラッキング、そしてワイヤレス給電に用いられる事例が近年増加しております。優秀なNFCチップセットやソフトウェア開発部隊を擁するPanthronics社を買収することで、当社はNFC技術を内製化できるようになり、成長著しいNFCの市場機会や顧客ニーズを機敏に捉えられます。
また、当社の広範な製品ポートフォリオや、MCU(マイクロコントローラ) / MPU(マイクロプロセッサ)のセキュリティ機能とPanthronics社のNFC技術を組み合わせることで、当社の幅広いお客様に対し、迅速に市場投入できる、革新的なNFCシステムソリューションを数多く提供できるようになります。
当社の完全子会社を通じた現金を対価とする株式取得
当該企業結合に係る取得関連費用は245百万円であり、当連結会計年度において全額を「販売費及び一般管理費」に計上しております。
(注)1 第3四半期連結会計期間末において、取得日時点における識別可能資産および負債の特定ならびに公正価値の算定が未了であり、取得原価の配分が完了していなかったため、第3四半期連結会計期間末時点における入手可能な合理的な情報等に基づき暫定的な会計処理を行っておりました。当連結会計年度末において確定した取得原価の配分額に基づき、発生したのれんの金額を次のとおり修正しております。
取得日(2023年6月1日)における取得資産および引受負債の公正価値
(単位:百万円)
2 契約金額の総額は公正価値と同額であり、回収不能と見込まれるものはありません。
3 Panthronics社の取得から生じることが期待される既存事業とのシナジー効果と超過収益力を反映したものであります。なお、税務上損金算入可能と見込まれるのれんの額はありません。
仮にPanthronics社の取得日が当連結会計年度の期首に実施された場合にそれが当連結会計年度の売上収益と当期利益に与える影響額は重要性が乏しいため、プロフォーマ情報を記載しておりません。
当連結会計年度において、取得日から当連結会計年度末までのPanthronics社の売上収益および当期損益が連結財務諸表に与える影響額は重要ではありません。
条件付対価は、Panthronics社の今後の製品開発、量産の進捗に応じて合意されたいくつかの条件を特定の期限までに充足した場合にそれぞれに対して支払われるものであり、契約上、最大で61百万米ドルを支払う可能性があります。
条件付対価の公正価値は、Panthronics社に支払う可能性がある金額について、その発生確率を加味した現在価値で算定しております。
条件付対価の公正価値のヒエラルキーのレベルは、レベル3になります。レベル3に分類した条件付対価の期首残高から期末残高への調整表は次のとおりであります。
(単位:百万円)
また、条件付対価に係る公正価値変動額のうち、貨幣の時間的価値の変動に基づく部分を「金融費用」に計上するとともに、貨幣の時間的価値以外の変動に基づく部分を「その他の収益」または「その他の費用」に計上しております。当連結会計年度は公正価値の変動などにより、「その他の収益」が223百万円発生しております。
8.現金及び現金同等物
現金及び現金同等物の内訳は、次のとおりであります。なお、前連結会計年度および当連結会計年度の連結財政状態計算書上における「現金及び現金同等物」の残高と連結キャッシュ・フロー計算書上における「現金及び現金同等物」の残高は、一致しております。
(注) 現金及び現金同等物は、償却原価で測定する金融資産に分類しております。
9.営業債権及びその他の債権
営業債権及びその他の債権の内訳は、次のとおりであります。
(注)営業債権及びその他の債権は、償却原価で測定する金融資産に分類しております。
10.棚卸資産
棚卸資産の内訳は、次のとおりであります。
(注) 費用として認識された棚卸資産の金額は、「売上原価」とほぼ同額であります。また、収益性の低下に伴い費用認識した棚卸資産の評価減の金額は、前連結会計年度および当連結会計年度において「売上原価」にそれぞれ6,292百万円および9,734百万円含めております。
11.その他の資産及びその他の負債
その他の流動資産及びその他の非流動資産の内訳は、次のとおりであります。
その他の流動負債及びその他の非流動負債の内訳は、次のとおりであります。
12.有形固定資産
有形固定資産の取得原価、減価償却累計額および減損損失累計額の増減、ならびに帳簿価額は次のとおりであります。
③ 帳簿価額
(注) 1 有形固定資産の取得のために受領した政府補助金の金額は、当連結会計年度において、1,068百万円であり、有形固定資産の取得原価より直接減額しております。政府補助金に付随する未履行の条件もしくはその他の偶発事象はありません。
2 建設中の有形固定資産に関する金額は、建設仮勘定として表示しております。
3 負債の担保に供されている有形固定資産については、「19.社債及び借入金」をご参照ください。
4 有形固定資産の取得に関するコミットメントについては、「37.コミットメント及び偶発債務」をご参照
ください。
5 減価償却費は、連結損益計算書の「売上原価」および「販売費及び一般管理費」に含めております。
6 減損損失は、連結損益計算書の「その他の費用」に含めております。減損損失の内容については、「15.非金融資産の減損損失」をご参照ください。
7 有形固定資産の取得原価に含めた借入費用はありません。
8 使用権資産の内容については、「14.リース」をご参照ください。
13.のれん及び無形資産
(1) 増減表
のれん及び無形資産の取得原価、償却累計額および減損損失累計額の増減、ならびに帳簿価額は、次のとおりであります。
(注) 1 無形資産のソフトウエアのうち、自己創設に該当する帳簿価額は、前連結会計年度および当連結会計年度において、それぞれ526百万円および451百万円であります。
2 ソフトウエア仮勘定は、無形資産の「ソフトウエア」に含めております。
3 無形資産のその他のうち、ソフトウエアライセンスの使用契約による無形資産(ライセンス使用料)に該当する帳簿価額は、前連結会計年度および当連結会計年度において、それぞれ21,096百万円および22,501百万円であります。また、主としてライセンスの利用可能期間(5年以内)に基づく定額法により償却しております。
4 所有権に対する制限および負債の担保に供した無形資産はありません。
5 無形資産の取得に関するコミットメントについては、「37.コミットメント及び偶発債務」をご参照ください。
6 無形資産の償却費は、連結損益計算書の「売上原価」および「販売費及び一般管理費」に含めております。
7 減損損失は、連結損益計算書の「その他の費用」に含めております。減損損失の内容については、「15.非金融資産の減損損失」をご参照ください。
(2) 重要な無形資産
(3) 未だ使用可能でない無形資産
14.リース
リースに係る費用、収益、キャッシュ・フローは、次のとおりであります。
(単位:百万円)
(注)リース負債の満期分析については、「34.金融商品」をご参照ください。
有形固定資産の帳簿価額に含まれる使用権資産の帳簿価額および帳簿価額の増加額は、次のとおりであります。
(単位:百万円)
当社グループは、土地、オフィス、機械装置および車両をリースしております。
リースの契約条件は個別に交渉され、幅広い異なる契約条件を含みます。
延長オプションおよび解約オプションは、当社グループの建物および機械装置リースの多くの契約に含まれております。主にオフィスのリースは3年から10年、機械装置のリースは3年から5年の契約であり、契約終了後に1年間ないし原契約と同じ期間リースを延長するオプションが含まれている契約があります。また、契約期間満了の6ヶ月から1年前までに相手方に書面をもって通知した場合に早期解約を行うオプションが含まれる契約があります。
なお、これらのオプションは、当社グループの事業で使用される資産の管理の観点から運用上の柔軟性を最大化するために使用されます。
15.非金融資産の減損損失
当社グル―プは、次の資産について減損損失を計上しており、減損損失は連結損益計算書の「その他の費用」に含めております。
減損損失の資産別内訳は次のとおりであります。
前連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
当連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
(注) 1 有形固定資産の減損損失には、使用権資産に対して認識した減損損失が含まれており、前連結会計年度および当連結会計年度において、それぞれ424百万円および1,565百万円であります。
2 無形資産の減損損失は、主に開発中止による仕掛中の研究開発資産が含まれており、前連結会計年度および当連結会計年度において、それぞれ6,432百万円および2,349百万円であります。
3 有形固定資産の減損損失には、土地の減損損失が含まれており、前連結会計年度において314百万円であります。
(1) 減損損失
当社グル―プは、原則として、経営管理上の事業区分を基準として、概ね独立したキャッシュ・インフローを生み出す最小の単位でグルーピングしております。重要な処分予定資産、遊休資産および事業用資産などについては、個別資産ごとにグルーピングを行っております。
前連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
(処分予定資産)
自動車向け事業および産業・インフラ・IoT向け事業において、処分予定資産などについて独立した資金生成単位として減損テストを行い、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失586百万円を計上しております。
回収可能価額は処分コスト控除後の公正価値により測定しております。処分コスト控除後の公正価値は売却見込額、または、売却が困難であるものについてはゼロとしており、公正価値ヒエラルキーはレベル3であります。
(遊休資産)
自動車向け事業および産業・インフラ・IoT向け事業において、利用見込みのない遊休資産について独立した資金生成単位として減損テストを行い、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失701百万円を計上しております。
回収可能価額は処分コスト控除後の公正価値により測定しております。当該資産は売却が困難であるため、処分コスト控除後の公正価値をゼロとしており、公正価値ヒエラルキーはレベル3であります。
当連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
(処分予定資産)
自動車向け事業および産業・インフラ・IoT向け事業において、処分予定資産などについて独立した資金生成単位として減損テストを行い、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失118百万円を計上しております。
回収可能価額は処分コスト控除後の公正価値により測定しております。処分コスト控除後の公正価値は売却見込額、または、売却が困難であるものについてはゼロとしており、公正価値ヒエラルキーはレベル3であります。
(遊休資産)
自動車向け事業および産業・インフラ・IoT向け事業において、利用見込みのない遊休資産について独立した資金生成単位として減損テストを行い、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失2,405百万円を計上しております。
回収可能価額は処分コスト控除後の公正価値により測定しております。当該資産は売却が困難であるため、処分コスト控除後の公正価値をゼロとしており、公正価値ヒエラルキーはレベル3であります。
のれんおよび未だ使用可能でない無形資産が配分されている資金生成単位については各連結会計年度の一定の時期および減損の兆候がある場合にはその都度、減損テストを行っております。
なお、連結財政状態計算書に計上されているのれんは主に2017年12月期における旧インターシル社、2019年12月期における旧IDT社および2021年12月期におけるDialog社の買収に伴い認識したものであり、企業結合のシナジーから便益を得ると見込まれる資金生成単位に配分しております。
減損テストの際に当社グループの資金生成単位に配分されたのれんおよび未だ使用可能でない無形資産は次のとおりであります。
(注)前連結会計年度においてSteradian社の買収に伴い認識したのれんについて、当連結会計年度において取得原価の配分の見直しを行った結果、のれんは6,052百万円となりました。詳細は「7.企業結合」をご参照ください。
資金生成単位の回収可能価額は使用価値により測定しております。使用価値は、経営者が承認した今後5年の事業計画とその後の期間における見積永久成長率を基礎としたキャッシュ・フローの見積額を税引前割引率を用いて現在価値に割り引くことにより算出しております。使用価値算定に影響を及ぼす重要な仮定には、事業計画に含まれる売上総利益率、永久成長率、割引率などが含まれます。これらの仮定は、過去の経験と外部からの情報を反映して決定しております。
経営者が承認した将来の事業計画の対象期間を超える期間のキャッシュ・フローについては永久成長率を当連結会計年度2.0%(前連結会計年度1.8%)として使用価値を算定しております。この際用いた永久成長率は、資金生成単位が属する主たる売上高計上国の予想インフレ率を基礎として決定しております。
割引率は加重平均資本コストを基礎として算定しております。使用価値の算定に使用した税引前の割引率は、自動車向け事業10.3%(前連結会計年度13.9%)、産業・インフラ・IoT向け事業12.1%(前連結会計年度15.7%)であります。
当連結会計年度において当該資金生成単位の回収可能価額が帳簿価額を十分に上回っており、減損テストに用いた主要な仮定(売上総利益率/永久成長率/税引前の割引率)が合理的な範囲で変更されたとしても、それにより当該資金生成単位の回収可能価額が帳簿価額を下回る可能性は低いと考えております。
なお、減損テストに用いた主要な仮定(売上総利益率/永久成長率/税引前の割引率)の変動が合理的に予想される範囲は次のとおりであります。
前連結会計年度および当連結会計年度における減損テストの結果、使用価値が当該資金生成単位の帳簿価額を上回っているため、減損損失を認識しておりません。
16.その他の金融資産
その他の金融資産の内訳は、次のとおりであります。
(注) 1 主に純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しております。詳細は、「34.金融商品」をご参照ください。
2 主にシップ・アンド・デビット制度に伴い計上したものであり、シップ・アンド・デビット制度の詳細は、「3.重要な会計方針 (17) 収益認識」をご参照ください。長期未収入金は、償却原価で測定する金融資産に分類しております。
3 その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産、または純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しております。詳細は、「34.金融商品」をご参照ください。
4 預け金、預入期間が3ヶ月超の定期預金、敷金などが含まれます。これらは、償却原価で測定する金融資産に分類しております。
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産の主な銘柄、および公正価値等は、次のとおりであります。
前連結会計年度および当連結会計年度ともに、認識を中止したその他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産はありません。
17.法人所得税
繰延税金資産および繰延税金負債の主な原因別の内訳および増減内容は、次のとおりであります。
(前連結会計年度)
(当連結会計年度)
(注) 当社グループは、繰延税金資産の認識にあたり、将来減算一時差異または繰越欠損金の一部または全部が将来課税所得に対して利用できる可能性を考慮しております。
また、繰延税金負債の無形資産等には、海外子会社における不確実な税務ポジションに関係して期待値法を用いて計算されたものが含まれております。
純損益を通じて認識された額の合計と繰延税金費用合計との差額は、為替の変動等によるものであります。
日本の令和5年度税制改正において、BEPSのグローバル・ミニマム課税ルールに対応する法人税が創設され、それに係る規定(以下「グローバル・ミニマム課税制度」という。)を含めた税制改正法(「所得税法等の一部を改正する法律」(令和5年法律第3号))(以下「改正法人税法」という。)が2023年3月28日に成立しました。改正法人税法では、BEPSのグローバル・ミニマム課税ルールのうち、所得合算ルール(IIR)が導入されており、2025年1月1日開始事業年度より、日本に所在する親会社の子会社等の税負担が最低税率(15%)に至るまで、日本に所在する親会社に対して追加で(トップアップ)課税されることになります。当社グループは、2023年5月に公表された国際会計基準第12号「法人所得税」の修正で定められる例外措置を適用しており、当連結会計年度末時点において、これに関する繰延税金資産および負債は認識しておりません。
当社グループには関連する当期税金のエクスポージャーに重要性はありませんが、グローバル・ミニマム課税制度の施行に備えて、そのエクスポージャーを評価中です。
また、グローバル・ミニマム課税制度の適用およびGloBE所得の計算の複雑性により、制定または実質的に制定された法律の定量的な影響は、まだ合理的に見積可能ではなく、現在、当該制度の適用を支援する税務専門家を関与させております。
繰延税金資産を認識していない将来減算一時差異、税務上の繰越欠損金および繰越税額控除の金額は、次のとおりであります。
(注) 将来減算一時差異、繰越欠損金および繰越税額控除は税額ベースであります。
繰延税金資産を認識していない税務上の繰越欠損金の繰越期限は、次のとおりであります。
繰延税金資産を認識していない税務上の繰越税額控除の繰越期限は、次のとおりであります。
当社グループは、日本国内において当連結会計年度より連結納税制度からグループ通算制度へ移行しております。上記には国内連結納税制度およびグループ通算制度の適用外である、地方税(住民税および事業税)に係る繰延税金資産を認識していない繰越欠損金の金額を含めておりません。地方税(住民税および事業税)に係る繰延税金資産を認識していない繰越欠損金の金額は、前連結会計年度(2022年12月31日)住民税分2,404百万円、事業税分6,751百万円、当連結会計年度(2023年12月31日)住民税分2,173百万円、事業税分6,177百万円であります。
法人所得税費用の内訳は、次のとおりであります。
(注) 1 前連結会計年度および当連結会計年度の当期税金費用には、従前は未認識であった税務上の欠損金、税額控除または過去の期間の一時差異から生じた便益の額が含まれておりません。
2 前連結会計年度および当連結会計年度の繰延税金費用には、従前は未認識であった税務上の欠損金、税額控除または過去の期間の一時差異から生じた便益の額が含まれておりません。
3 前連結会計年度および当連結会計年度の繰延税金費用には、繰延税金資産の評価減または以前に計上した評価減の戻入により生じた繰延税金費用が含まれておりません。
法定実効税率と平均実際負担税率との調整は、次のとおりであります。
(注)適用税率は国税24.4%と地方税7.1%の合計であります。
当社および国内連結子会社は、主に法人税、住民税および事業税を課されております。これらを基礎とした前連結会計年度および当連結会計年度の適用税率は31.5%となっております。なお、海外子会社についてはその所在地における法人税等が課されております。
18.営業債務及びその他の債務
営業債務及びその他の債務の内訳は、次のとおりであります。
(注)営業債務及びその他の債務は償却原価で測定する金融負債に分類しております。
19.社債及び借入金
(注) 1 社債は償却原価で測定する金融負債に分類しております。
2 社債の期日別残高については、「34.金融商品」をご参照ください。
3 当社は、2021年11月19日付で、複数トランシェによる米ドル建無担保普通社債(資金使途を地球環境への貢献が期待されるプロジェクトに限定して発行されるグリーンボンドを一部含みます。)の発行を決定し、2024年満期米ドル建無担保普通社債(グリーンボンド、発行総額:500百万米ドル、利率1.543%、償還期日:2024年11月26日)および2026年満期米ドル建無担保普通社債(発行総額:850百万米ドル、利率2.170%、償還期日:2026年11月25日)を2021年11月26日付で発行し、総額1,350百万米ドルの資金を調達しました。
なお、米ドル建無担保普通社債に係る為替リスクをヘッジするため、通貨スワップを行っており、当該通貨スワップはヘッジ指定されております。ヘッジ会計については、「34.金融商品」をご参照ください。
また、借入金の明細は次のとおりであります。
(注) 1 借入金は償却原価で測定する金融負債に分類しております。
2 借入金の期日別残高については、「34.金融商品」をご参照ください。
3 当社の借入金については、一定の純資産水準、営業損益水準、純損益水準の維持ならびに有利子負債のEBITDAに対する比率が一定水準を上回らないことなどを求める財務制限条項が付されており、当社はこの財務制限条項を遵守しております。
4 平均利率については、借入金の当連結会計年度の期末残高に対する加重平均利率を記載しております。
5 海外子会社における1年内返済予定の長期借入金になります。
6 当社は、2019年1月15日付で、旧IDT社の買収に必要な資金の一部の調達および中長期的な資金として既存借入金の借り換えを目的とした総額897,000百万円のシンジケートローン契約を締結しました。2019年3月28日付で、このうち698,000百万円の実行可能期間付タームローン(シンジケートローンAおよびB、返済期日:2024年3月28日、借入先:㈱三菱UFJ銀行、㈱みずほ銀行、三井住友信託銀行㈱、他5金融機関)の借入を実行しました。また、2019年6月28日付で、149,000百万円のタームローン(シンジケートローンC、返済期日:2024年6月28日、借入先:㈱三菱UFJ銀行、㈱みずほ銀行、三井住友信託銀行㈱)の借入を実行し、既存のタームローンから借り換えました。
2021年11月10日に、このローン契約について、①シンジケートローンBの分割返済日の設定、②米ドル建無担保普通社債の発行に伴うシンジケートローンAの期限前返済、③シンジケートローンAおよびシンジケートローンBに係る保証契約および株式担保の解除等の変更契約を締結しました。
7 当社は、Dialog社の買収に伴う資金調達のために締結したローン契約に基づいて、2021年8月31日付で、総借入額270,000百万円のタームローン(借入実行日:2021年8月31日、最終返済日:2022年2月7日、借入先:㈱三菱UFJ銀行、㈱みずほ銀行)の借入を実行しました。
また、2021年12月23日付で、既存借入270,000百万円のうち、既に返済済みの30,000百万円を除いた240,000百万円について、中長期性の資金に借り換えることを目的として、シンジケートローン契約(総借入額:96,000百万円、借入実行日:2021年12月30日、最終返済日:2026年12月末日、借入先:㈱三菱UFJ銀行、㈱みずほ銀行、三井住友信託銀行㈱、㈱りそな銀行、㈱あおぞら銀行、信金中央金庫、農林中央金庫、バンク・オブ・アメリカ・エヌ・エイ東京支店)およびJBICローン契約(総借入額:144,000百万円、借入実行日:2021年12月30日、最終返済日:2026年12月末日、借入先:㈱国際協力銀行(JBIC))を締結しました。これらの契約に基づいて、2021年12月30日に総額240,000百万円の借入を実行し、2021年8月31日付のタームローンの残額を全額返済しました。
8 当社は、2022年6月に、2022年6月28日付のタームローン契約(総借入額:200百万米ドル、借入実行日:2022年6月30日、最終返済日:2027年6月30日、借入先:バンク・オブ・アメリカ・エヌ・エイ東京支店)および2022年6月30日付のタームローン契約(総借入額:20,000百万円、借入実行日:2022年6月30日、最終返済日:2027年6月30日、借入先:㈱三菱UFJ銀行)を締結し、これらの契約に基づいて、2022年6月30日に総額47,096百万円の借入を実行しました。
(注) 上記のほか、連結上消去されている子会社株式(前連結会計年度:638,841百万円、当連結会計年度:638,841百万円)を担保に供しております。
20.その他の金融負債
その他の金融負債の内訳は、次のとおりであります。
(注)1 純損益を通じて公正価値で測定する金融負債に分類しております。詳細は、「34.金融商品」をご参照ください。
2 詳細は、「7.企業結合」をご参照ください。
21.引当金
引当金の内訳および増減内容は、次のとおりであります。
当社グループが使用する事務所および工場の不動産賃貸借契約に伴う原状回復義務や、固定資産に関連する有害物質を除去する法的義務などに対して、当該義務を履行する際に必要と見込まれる金額を引当金として計上しております。これらの債務は使用見込期間を3年~47年と見積り、割引率は0.1%~10.5%を使用して計算しておりますが、支出の時期は将来の事業計画等により影響を受けます。
事業再構築および整理統合に伴い今後支出が見込まれる損失に備えるため設定しており、損失見積額を計上しております。支出の時期は、将来の事業計画等により影響を受けます。
その他の引当金には、製品保証引当金および不利な契約に対する引当金を含めております。
22.従業員給付
当社グループでは、一部の在外連結子会社を除き、確定給付型および確定拠出型の退職後給付制度を採用しております。
確定給付制度の特徴および関連するリスクは、次のとおりであります。
当社および当社グループの子会社の主要な確定給付制度には、(ⅰ)退職一時金制度および(ⅱ)確定給付企業年金制度があります。また、従業員の退職などに際して割増退職金を支払う場合があります。
(ⅰ)退職一時金制度は、確定給付制度債務に対して外部積立を行わず、内部積立のみをもって一時金を支払う非積立型の制度であります。退職一時金は各社の就業規則等の退職金規程に基づき給与と勤務期間に基づいた金額が支払われます。
(ⅱ)確定給付企業年金制度は、確定給付企業年金法(2002年4月施行)に基づいて定められた確定給付型の年金で積立型の制度であります。確定給付企業年金制度は、基金型企業年金であり、基金から給与と勤務期間に基づいた一時金または年金が支給されます。当該確定給付企業年金制度において、事業主・基金の理事等企業年金の管理運営に携わる者は、法令・規約・資産管理運用契約等を遵守し加入者に対する利益相反行為の禁止など行為基準が明確化されております。
また、確定給付企業年金制度は、従業員の職階に応じて付与されるポイントの累積数に基づいて給付額が計算されます。当社および国内連結子会社は、確定給付企業年金制度にキャッシュ・バランス・プランを導入しております。一部の海外連結子会社は、信託基金などの外部積立型の年金制度を採用しております。これらの制度では、制度加入者の個人別勘定に、給与水準、職階および市場金利をもとに計算される再評価率に基づいて計算された金額が積み立てられます。
確定給付制度により、当社グループは制度資産について価格変動リスク、確定給付制度債務の現在価値について金利リスクなどの数理計算上のリスクに晒されております。
連結財政状態計算書で認識した金額は、次のとおりであります。
前連結会計年度における確定給付制度債務(積立型および非積立型)の現在価値のうち、国内制度は105,643百万円、海外制度は20,808百万円であります。また、制度資産の公正価値のうち、国内制度は△120,553百万円、海外制度は△14,174百万円であります。
当連結会計年度における確定給付制度債務(積立型および非積立型)の現在価値のうち、国内制度は99,837百万円、海外制度は24,433百万円であります。また、制度資産の公正価値のうち、国内制度は△125,882百万円、海外制度は△16,113百万円であります。
確定給付制度債務の現在価値の増減内容は、次のとおりであります。
各年度の確定給付制度債務の加重平均デュレーションは、次のとおりであります。
④ 制度資産の公正価値の増減
制度資産の公正価値の増減内容は、次のとおりであります。
(注) 1 当社グループにおける確定給付制度への拠出は、法令に基づき、会社の財政状況、制度資産の積立状態、数理計算上などの様々な要因を考慮しております。
また、2024年12月期に確定給付年金に1,980百万円の拠出を行う予定であります。
2 当社グループの制度資産の運用にあたっては、受給者に対する給付を将来にわたり確実に行うために、許容されるリスクの範囲内で、必要とされる収益を長期的に確保することを目的としております。
目標とする収益率は、必要な年金財政上の予定利率を安定かつ長期的に上回ることを目標としております。
その運用目標を達成するため「政策アセットミックス」を定め、これに基づく資産構成割合を維持するように行うものとしております。また、資産構成割合は、必要に応じて見直しを行うものとしており、当社グループの状況、当社グループを取り巻く制度や環境の変化に応じて変更することができるものとしております。
3 一部の連結子会社では、複数事業主確定給付年金制度に加入しております。
資産上限額の影響の増減内容は、次のとおりであります。
(注) 将来掛金が減額されないまたは返還されないために経済的便益が利用できないことから、当社グループの確定給付制度の一部にて資産上限額の設定および負債の算定を行っております。
制度資産の公正価値の種類別内訳は、次のとおりであります。
(注) 制度資産の大部分は合同運用ファンドを通じて運用されており、活発な市場における公表市場価格がないものに分類しております。合同運用ファンドについては、企業年金基金規約に従い主に活発な市場に上場している株式および債券等に適切に分散投資しております。生命保険一般勘定は生命保険会社が複数の契約の資金を合同運用する勘定であり、一定の予定利率と元本が保証されております。その他の主な内容は、ロング・ショートや証券化商品等で運用しているオルタナティブであります。
主要な数理計算上の仮定(加重平均)は、次のとおりであります。
感応度分析における確定給付制度債務の算定にあたっては、連結財政状態計算書で認識している確定給付制度債務の算定方法と同一の方法を適用しております。
感応度分析は連結会計年度の末日において合理的に推測しうる仮定の変動に基づき行っております。また、感応度分析は分析の対象となる数理計算上の仮定以外のすべての数理計算上の仮定が一定であることを前提としておりますが、実際には他の数理計算上の仮定の変化が影響する可能性があります。
数理計算上の仮定が0.5%変動した場合における確定給付制度債務への影響は、次のとおりであります。
当社グループは確定拠出制度として確定拠出年金制度を設けております。厚生年金法に基づく厚生年金保険料の事業主負担分を含め、確定拠出制度に関して費用として認識した金額は、次のとおりであります。
(注) 当該金額は、連結損益計算書の「売上原価」および「販売費及び一般管理費」に含めております。
従業員給付費用の内訳は、次のとおりであります。
(注) 当該金額は、連結損益計算書の「売上原価」、「販売費及び一般管理費」および「その他の費用」に含めております。
23.資本金及びその他の資本項目
普通株式
(注) 1 当社の発行する株式は、すべて権利内容に何ら限定のない無額面普通株式であります。
2 当社は、2023年2月9日付の取締役会決議に基づき、2023年2月10日から2023年3月10日までの期間において、公開買付けの方法により自己株式の取得を行い、自己株式40,453,107株を取得しました。これにより、自己株式は50,000百万円増加しております。また、ストック・オプションの行使、リストリクテッド・ストック・ユニット(RSU)およびパフォーマンス・シェア・ユニット(PSU)の権利確定に基づく自己株式の処分などを行い、当連結会計年度において自己株式は20,571,392株減少しました。これにより、自己株式は24,480百万円減少しております。この結果、当連結会計年度末において、自己株式は217,691百万円となっております。なお、ストック・オプション、RSUおよびPSUについては、「33.株式報酬」をご参照ください。
3 発行済株式は全額払込済みであります。
日本における会社法では、株式の発行に対しての払込みまたは給付に係る額の2分の1以上を資本金に組み入れ、残りは資本剰余金に含まれている資本準備金に組み入れることが規定されております。また、会社法では、資本準備金の額は株主総会の決議により、資本金に組み入れることができます。
会社法では、剰余金の配当により減少する剰余金の額の10分の1を、資本準備金および利益準備金の合計額が資本金の4分の1に達するまで資本準備金または利益準備金として積み立てることが規定されております。積み立てられた利益準備金は、欠損填補に充当できます。また、株主総会の決議をもって、利益準備金を取り崩すことができることとされております。
24.配当金
前連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
該当事項はありません。
当連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
該当事項はありません。
25.売上収益
(1) 収益の分解
外部顧客との契約から認識した売上収益の分解は、「6.事業セグメント (2) 報告セグメントに関する情報、(4) 地域に関する情報」に記載しております。また、売上収益はすべて顧客との契約から生じたものであります。
当社グループは、半導体専業メーカーとして、各種半導体製品に関する研究、開発、設計、製造、販売およびサービスを行っており、売上収益は主に半導体製品の販売によるものであります。
製品販売については、製品の支配が顧客に移転したとき、すなわち、製品を顧客に引渡した時点で、顧客に製品の法的所有権、物理的占有、製品の所有に伴う重大なリスクおよび経済価値が移転し、顧客から支払を受ける権利を得るため、その時点で収益を認識しております。
これら製品販売による収益は、顧客との契約に係る取引価格で測定しております。
リベートおよび事後的な値引きなど、対価の変動を含む取引契約については、その不確実性が解消される際に重大な売上収益の戻入れが生じない可能性が非常に高い範囲で、過去の実績等に基づく最頻値法を用いて当該変動対価を見積り、取引価格を決定しております。
なお、取引の対価は履行義務を充足してから主として1年以内に受領しており、重大な金融要素は含んでおりません。
(2) 契約残高
(注)1 営業債権は、連結財政状態計算書において「営業債権及びその他の債権」および「その他の金融資産」に含めております。
2 契約資産は、企業が顧客に移転した財またはサービスと交換に受け取る対価に対する企業の権利で、当該権利が時の経過以外の何か(例えば、企業の将来の履行)を条件としている権利であります。契約資産は、対価に対する権利が無条件になった時点で債権に振替えられます。契約資産は、連結財政状態計算書において「営業債権及びその他の債権」に含めております。
3 契約負債は、契約に基づく履行に先だって受領した対価に関連するものであります。契約負債は、当社グループが契約に基づき履行した時点で収益に振り替えられます。契約負債は、連結財政状態計算書において「その他の流動負債」に含めております。
4 前連結会計年度および当連結会計年度において、過去の期間に充足した履行義務から認識した収益の額に重要性はありません。
5 前連結会計年度および当連結会計年度に認識した収益のうち、期首現在の契約負債残高に含まれていた金額は、それぞれ299百万円および177百万円であります。
(3) 残存履行義務に配分した取引価格
当社グループにおいては、個別の予想契約期間が1年を超える重要な取引がないため、実務上の便法を使用し、残存履行義務に関する情報の記載を省略しております。また、顧客との契約から生じる対価の中に、取引価格に含まれていない重要な金額はありません。
(4) 顧客との契約の獲得または履行のためのコストから認識した資産
当社グループにおいては、顧客との契約の獲得または履行のためのコストから認識した資産はありません。
26.販売費及び一般管理費
販売費及び一般管理費の内訳は、次のとおりであります。
(注)販売費及び一般管理費に研究開発費が含まれております。なお、研究開発費の主な内訳は、研究開発に係る外注費、従業員給料手当、減価償却費及び償却費、材料費であります。
27.その他の収益
その他の収益の内訳は、次のとおりであります。
(注)1 当連結会計年度において計上された受取保険金は、2021年3月19日に当社連結子会社であるルネサスセミコンダクタマニュファクチュアリング㈱の那珂工場で発生した火災に伴う保険金の受取額などであります。なお、この保険金には、火災により被害を受けた際の逸失利益に対する受取額が含まれております。
2 詳細は、「7.企業結合」をご参照ください。
3 前連結会計年度において計上された固定資産売却益は、2022年6月30日付で集約を完了した100%子会社であるルネサスセミコンダクタマニュファクチュアリング㈱の山口工場の売却に伴うものなどであります。
28.その他の費用
その他の費用の内訳は、次のとおりであります。
(注)1 当社グループは、強靭な収益構造の構築に向けて事業・生産構造改革などの諸施策を実行しており、それらの施策により発生した費用を事業構造改善費用に計上しております。事業構造改善費用の主な内容は、割増退職金など人件費関係費用および拠点集約に伴う設備撤去費用などであります。
2 減損損失の内容については、「15.非金融資産の減損損失」をご参照ください。
3 前連結会計年度に発生した和解金は、主に、過去のライセンス契約に関するものであります。
29.金融収益及び金融費用
金融収益および金融費用の内訳は、次のとおりであります。
(注) 為替差損益には通貨デリバティブの評価損益が含まれております。
30.その他の包括利益
その他の包括利益の内訳項目ごとの組替調整額および税効果額は、次のとおりであります。
31.1株当たり利益
親会社の普通株主に帰属する基本的1株当たり当期利益および希薄化後1株当たり当期利益は、次のとおりであります。
32.連結キャッシュ・フロー計算書
(1) 財務活動から生じた負債の増減表
財務活動に係る負債の内訳および増減内容は、次のとおりであります。
(前連結会計年度)
(当連結会計年度)
(注)1 1年内返済予定の長期借入金を含んでおります。
2 長期借入金の非資金取引には、アレンジメントフィーを含んでおります。
3 米ドル建無担保普通社債に係る為替リスクをヘッジするため、通貨スワップを行っており、当該通貨スワップはヘッジ指定されております。ヘッジ会計については、「34.金融商品」をご参照ください。
4 デリバティブは社債、借入金および予定取引をヘッジする目的で保有しているものです。
(2) 非資金取引
重要な非資金取引の内容は、次のとおりであります。
(3) 株式の取得により新たに連結子会社となった会社の資産および負債の主な内訳
(前連結会計年度)
株式の取得により新たにSteradian社を連結したことに伴う連結開始時の資産および負債の内訳ならびに同社株式の取得価額と同社株式取得による支出(純額)との関係は「7.企業結合」をご参照ください。
(当連結会計年度)
株式の取得により新たにPanthronics社を連結したことに伴う連結開始時の資産および負債の内訳ならびに同社株式の取得価額と同社株式取得による支出(純額)との関係は「7.企業結合」をご参照ください。
33.株式報酬
当社グループは、取締役、執行役員および従業員等に対するインセンティブ制度として、株式報酬制度を採用しております。
連結損益計算書に含まれている株式報酬費用計上額は、前連結会計年度は「売上原価」および「販売費及び一般管理費」にそれぞれ1,548百万円および16,596百万円であり、当連結会計年度は「売上原価」および「販売費及び一般管理費」にそれぞれ1,537百万円および21,747百万円であります。
付与対象者に対して、当社取締役会が定める期間に応じた数(原則として3年分、社外取締役の場合は1年分に相当する数)のユニットを事前に付与し、1年経過する毎に、継続勤務を条件として、係る期間が満了するまでの年数に応じて按分したユニット数(原則として付与日から1年間を経過する毎に3分の1ずつ確定される数、社外取締役の場合は1年間を経過した場合に全数)を確定させ、当社普通株式を交付する株式報酬制度であります。
付与対象者(社外取締役を除きます。)に対して、当社取締役会が定める数のユニットを事前に付与し、付与した年の4月1日から3年間における当社の株主総利回りの伸長率等に応じてユニット数を確定させ、当社普通株式を交付する株式報酬制度であります。
前連結会計年度および当連結会計年度において付与したRSUおよびPSUは、次のとおりであります。
(注) 1 RSUの公正価値は、付与日の当社株価に基づき算定しております。
2 PSUの公正価値は、一定期間の当社株価と株価指数の伸長率を比較した結果により、付与数の実現率を公正価値に反映しております。
3 権利確定時に、確定したユニット数に対応した当社普通株式(1ユニット当たり1株)を交付します。株式交付時に付与対象者からの払込みはありません。
前連結会計年度および当連結会計年度における権利数(1権利=1株)の変動は、次のとおりであります。
ストック・オプション制度は、当社の株主総会において承認された内容に基づき、当社の取締役会で決議された対象者に対して新株予約権として付与されております。ストック・オプションの行使期間は、割当契約に定められた期間であり、その期間内に行使されない場合は、当該オプションは失効します。また、権利確定日までに対象者が当社を退職する場合も、当該オプションは失効します。ただし、任期満了による退任等、新株予約権割当契約で認められた場合は、この限りではありません。
当社のストック・オプション制度は、持分決済型株式報酬として会計処理しております。
当連結会計年度に存在する株式報酬契約は、次のとおりであります。
(注)1 付与日以降、権利確定日まで継続して勤務していることが権利確定条件となっております。ただし、任期満了による退任、定年退職その他正当な理由のある場合はこの限りではありません。
2 新株予約権者は、付与日の翌日から権利確定前までの間は新株予約権を行使することができません。また、権利確定日までに対象者が当社または当社の子会社を退任または退職する場合も、当該オプションは失効します。ただし、任期満了による退任または退職の場合は、当該退任または退職の日の翌日から13ヶ月を経過する日まで新株予約権を行使することができるなど、新株予約権割当契約で認められた場合はこの限りではありません。
3 新株予約権者が新株予約権を放棄した場合、当該新株予約権を行使することができません。
前連結会計年度および当連結会計年度におけるストック・オプションの数量および加重平均行使価格の変動は、次のとおりであります。ストック・オプションの数量については、株式数に換算して記載しております。
(注)1 前連結会計年度および当連結会計年度において、期中行使されたストック・オプションの権利行使日の加重平均株価はそれぞれ1,336円および2,374円であります。
2 前連結会計年度および当連結会計年度の未行使のストック・オプションの加重平均残存契約年数はそれぞれ2年および1年であります。
前連結会計年度および当連結会計年度において付与されたストック・オプションはありません。
34.金融商品
当社グループは、持続的な成長を実現し、企業価値を最大化することを目指しております。資金運用については短期的な預金もしくは安全性の高い金融資産などに限定し、また、資金調達については主に銀行借入および社債による方針であります。デリバティブは、為替の変動リスクなどを回避するために利用し、投機的な取引は行わない方針であります。当社グループは、有利子負債から現金及び現金同等物を控除した純有利子負債、および資本を管理対象としており、各残高および当社グループが資本管理において用いる主な指標は、次のとおりであります。
親会社所有者帰属持分比率:親会社の所有者に帰属する持分合計/負債及び資本合計
当社グループは、事業活動を遂行する過程において、様々な財務上のリスク(信用リスク、流動性リスクおよび市場リスク)に晒されております。そのため、社内管理規程等に基づき、定期的に財務上のリスクのモニタリングを行い、リスクを回避または低減するための対応を必要に応じて実施しております。
当社グループは、投機目的でのデリバティブ取引は行っておりません。
受取手形及び売掛金は、顧客の信用リスクに晒されております。当該リスクに関しては、当社グループの債権管理運用規則に従い、取引先ごとの期日管理および残高管理を行うとともに、主な取引先の信用状況を定期的に把握する体制としております。未収入金については、取引先の信用リスクに晒されておりますが、そのほとんどは短期間で決済されております。短期投資は短期で運用している金融資産であり、信用力の高い金融機関と取引を行っております。営業債権等について、その全部または一部について回収ができない、または回収が極めて困難であると判断された場合には債務不履行とみなしております。なお、当社グループでは、特定の取引先について重要な信用リスクのエクスポージャーはなく、特段の管理を有する信用リスクの過度の集中はありません。
報告期間の末日現在の信用リスクに対する最大エクスポージャーは、金融資産の減損後の帳簿価額となりますが、過年度において重要な貸倒損失を認識した実績はありません。
保証債務については、「37. コミットメント及び偶発債務」に表示している保証債務の残高が、当社グループの信用リスクに係る最大エクスポージャーとなります。
損失評価引当金の増減は、次のとおりであります。
前連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
当連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
各連結会計年度の損失評価引当金に関する金融資産の帳簿価額(損失評価引当金控除前)は、次のとおりであります。
各連結会計年度における営業債権の年齢分析は、次のとおりであります。
営業債権について、当社グループの主要な取引先は信用力の高い特定の販売特約店等で構成されており、予想信用損失に基づく損失評価引当金の残高に重要性はありません。また、営業債権以外の金融資産においては、格付けに対する集中した信用リスクはありません。
当社グループは、支払債務の履行が困難になる流動性リスクに晒されておりますが、当該リスクに関し、当社グループは運転資金の効率的な管理による資本効率の最適化、当社による資金の集中管理等により資金管理の維持に努めております。また、当社グループは、適時に資金繰計画を作成、更新することにより、手許流動性を適正に維持し、さらに外部金融環境等も勘案したうえで、流動性リスクを管理しております。
金融負債の期日別残高は、次のとおりであります。
前連結会計年度(2022年12月31日)
当連結会計年度(2023年12月31日)
(注)詳細は、「7.企業結合」をご参照ください。
(ⅰ)為替リスク管理
当社グループのグローバルな事業展開によって生じる外貨建の債権債務は、外国為替相場の変動リスクに晒されております。当該外国為替相場の変動リスクを低減するために、必要に応じて、為替予約取引、通貨オプション取引および通貨スワップ取引を利用しております。
(ⅱ)為替変動リスクのエクスポージャー
為替変動リスクのエクスポージャー(純額)は、次のとおりであります。なお、デリバティブ取引および外貨預金により為替変動リスクをヘッジしている金額は除いております。
(ⅲ)為替感応度分析
前連結会計年度および当連結会計年度に当社グループが保有する外貨建金融商品につき、その他すべての変数が一定であることを前提として、日本円が米ドル、ユーロに対して1.0%円高となった場合における連結損益計算書の「税引前利益」への影響額は、次のとおりであります。
当社グループは、長期的な運転資金や成長戦略の推進に係る資金の確保などを目的として主に借入金および社債により資金調達を行っております。借入金は主に変動金利であるため金利の変動リスクに晒されておりますが、支払金利の変動リスクを抑制するために、必要に応じて金利スワップ取引を利用しており、また社債は固定金利であります。そのため、金利変動リスクに対する当社への影響は限定的であり、重要なものではないと判断しており、金利リスク感応度分析は行っておりません。
当社グループは、主に子会社の優秀な人材を確保するのを目的として、従業員インセンティブ・プランを導入しております。その制度の運用のため、株式などを長期保有しており、市場価格の変動リスクに晒されております。なお、当該制度は、ストックオプション制度導入に伴い、廃止されており、新規の発行は行っておりません。
株価変動が当社グループに与える影響は軽微であるため、感応度分析の記載を省略しております。
金融商品の公正価値の算定方法は、次のとおりであります。
これらは主に短期間で決済されるものであるため、公正価値は帳簿価額と近似しております。
(b) 営業債務及びその他の債務
短期で満期が到来する営業債務及びその他の債務については、公正価値は帳簿価額と近似しております。短期で満期が到来しない営業債務及びその他の債務の公正価値は、新規に同様の借入を行った場合に想定される利率で割り引いた現在価値により算定しており、レベル2に分類しております。
活発な市場における同一銘柄の市場価格が入手できる場合は、当該市場価格を使用して公正価値を測定しており、レベル1に分類しております。市場価格が入手できない場合の公正価値は、主として純資産に基づく方式(株式発行会社の純資産に基づき、必要に応じて時価修正を加えて算出する方法)などにより測定しており、レベル3に分類しております。
貸付金の公正価値は、信用リスクを加味した利率で割り引いた現在価値により算定しており、レベル3に分類しております。
長期借入金の公正価値は、元利金の合計額を、新規に同様の借入を行った場合に想定される利率で割り引いた現在価値により算定しており、レベル2に分類しております。
為替予約、通貨オプションおよび通貨スワップについては、取引先の金融機関から提示された価格等に基づいて算定しており、レベル2に分類しております。また、観察不能なインプットを使用して評価した場合はレベル3に分類しております。
(g) 社債
社債の公正価値は、公表されている市場価格を参照して算定しており、レベル2に分類しております。
(h) 条件付対価
企業結合による条件付対価は、適切な評価技法を用いて将来の支払額について、その発生確率を加味した現在価値により算定しており、レベル3に分類しております。
(i) その他の金融資産、その他の金融負債
償却原価で測定する3ヶ月超の定期預金、長期未収入金、敷金または預り保証金は、レベル2に分類しております。なお、公正価値は帳簿価額と近似しているため、注記を省略しております。
金融商品の公正価値ヒエラルキーは、レベル1からレベル3までを次のように分類しております。
レベル1:活発な市場における公表価格により測定された公正価値
レベル2:レベル1以外の観察可能なインプットを直接または間接的に使用して算出された公正価値
レベル3:観察可能な市場データに基づかないインプットを含む、評価技法から算出された公正価値
公正価値ヒエラルキーのレベル間の振替は、各報告期間の期末に発生したものとして認識しております。
(a)償却原価で測定する金融商品
償却原価で測定する金融商品の帳簿価額と公正価値は、次のとおりであります。なお、公正価値で測定する金融商品および帳簿価額と公正価値が極めて近似している金融商品については、次の表には含めておりません。また、リース負債については、次の表には含めておりません。
前連結会計年度(2022年12月31日)
(単位:百万円)
当連結会計年度(2023年12月31日)
(単位:百万円)
(b)公正価値で測定する金融商品
公正価値ヒエラルキーのレベルごとに分類された、経常的に公正価値で測定する金融資産および金融負債の内訳は、次のとおりであります。
前連結会計年度(2022年12月31日)
当連結会計年度(2023年12月31日)
(注)詳細は、「7.企業結合」をご参照ください。
(注) 1 純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に関するものであり、「金融収益」および「金融費用」に含まれております。
2 在外営業活動体の換算差額およびその他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産に関するものであり、連結包括利益計算書上の「在外営業活動体の換算差額」または「その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産」に表示しております。
3 純損益を通じて公正価値で測定する金融負債に関するものであり、「金融費用」、「その他の費用」および「その他の収益」に含まれております。
4 レベル3に分類されている金融商品は、非上場株式、貸付金および企業結合による条件付対価により構成されております。公正価値測定結果については、適切な権限者がレビュー、承認をしております。
非上場株式は、主にファンドへの出資であり、評価技法としては純資産価値により公正価値を算定しております。
貸付金は、満期までの期間および信用リスクを加味した利率、ならびに契約内容の履行状況をもとに、将来予測されるキャッシュ・フローを現在価値に割り引いて公正価値を算定しております。なお、見積りには不確実性を伴うため、重大な観察可能でないインプットの変動により公正価値が増減するなどの影響があります。
条件付対価の公正価値は、開発マイルストンの達成される可能性や貨幣の時間的価値を考慮して公正価値を測定しております。なお、見積りには不確実性を伴うため、重大な観察可能でない開発マイルストンの達成される可能性が高くなった場合、公正価値は増加するなどの影響があります。
④ 期首および期末において純損益にまだ認識していない当初認識時の公正価値と取引価格の差額の総額およびこの差額の変動は、次のとおりであります。
(単位:百万円)
当社グループは、主に外貨建のキャッシュ・フローに係る為替の変動リスクに対するヘッジ取引を目的とした為替予約取引、通貨オプション取引および通貨スワップ取引を利用しております。ヘッジ会計の要件を満たすものについてはヘッジ会計を適用しております。ヘッジ会計の要件を満たさない場合においても、経済的に合理的である場合にデリバティブ取引を利用しており、当該デリバティブ取引の公正価値の変動は純損益として認識しております。また、投機目的のためのデリバティブ取引は行わない方針であります。
キャッシュ・フロー・ヘッジ
キャッシュ・フロー・ヘッジとは、将来キャッシュ・フローの変動リスクを回避するためのヘッジ取引であり、キャッシュ・フロー・ヘッジとして指定したデリバティブ取引の公正価値の変動はその他の包括利益として認識し、ヘッジ対象である取引が純損益に影響を与える時点で、その他の包括利益に認識した金額を純損益に組み替えております。ヘッジ対象が非金融資産または非金融負債の認識を生じさせるものである場合には、その他の包括利益として認識している金額は、非金融資産または非金融負債の当初の帳簿価額の修正として振り替えております。キャッシュ・フロー・ヘッジとして指定したデリバティブ取引には、外貨建取引に係る為替変動に伴うキャッシュ・フロー変動リスクをヘッジするために為替予約取引、通貨オプション取引および通貨スワップ取引があります。
前連結会計年度および当連結会計年度において、ヘッジの非有効部分に関して純損益として認識した金額に重要性はありません。
② ヘッジ手段として指定した項目に関する情報
ヘッジ指定しているヘッジ手段が当社グループの連結財政状態計算書に与える影響は、次のとおりであります。なお、デリバティブ資産およびデリバティブ負債はそれぞれ連結財政状態計算書上の「その他の金融資産」または「その他の金融負債」に含めております。
前連結会計年度(2022年12月31日)
(単位:百万円)
当連結会計年度(2023年12月31日)
(単位:百万円)
ヘッジに指定しているヘッジ対象が当社グループの連結財政状態計算書に与える影響は、次のとおりであります。
前連結会計年度(2022年12月31日)
(単位:百万円)
当連結会計年度(2023年12月31日)
(単位:百万円)
キャッシュ・フロー・ヘッジに指定しているヘッジ手段が、連結損益計算書及び連結包括利益計算書に与える影響は、次のとおりであります。
前連結会計年度(2022年12月31日)
(注) 税効果調整前の金額であります。
当連結会計年度(2023年12月31日)
(注) 税効果調整前の金額であります。
⑤ ヘッジ会計を適用していないデリバティブの公正価値
ヘッジ会計が適用されていないデリバティブの公正価値および契約額等は、次のとおりであります。
前連結会計年度(2022年12月31日)
当連結会計年度(2023年12月31日)
(5) 金融資産の譲渡
当社グループは構造改革から成長ステージへ加速させる中、当該成長戦略の実現に向け資金調達手法の多様化を図り、営業債権の一部について、債権譲渡等の方法により流動化を行っております。
全体が認識の中止となる営業債権の譲渡から生じた費用は、前連結会計年度においては39百万円、当連結会計年度においては32百万円であります。
35.関連当事者
前連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
当社と関連当事者との間の取引は、次のとおりであります。
(単位:百万円)
(注) 1 2022年4月27日付の取締役会決議に基づき、2022年4月28日から2022年5月31日までの期間において、自己株式の公開買付けを実施したことにより、㈱INCJの保有割合が12.52%に減少した結果、IFRSに基づく当社の関連当事者に該当しないこととなりました。
2 自己株式の取得については、2022年4月27日付の取締役会決議に基づき、2022年4月28日から2022年5月31日までの期間において、公開買付けの方法により自己株式の取得を行い、168,067,250株を取得しました。
当連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
該当事項はありません。
主要な経営幹部に対する報酬は次のとおりであります。
(注) 株式報酬の権利行使価格等については「33.株式報酬」に記載のとおりであります。
36.主要な子会社
当社の連結財務諸表は、すべての子会社を連結の範囲に含めております。
当連結会計年度末における主要な子会社は次のとおりであります。
(注) 議決権の所有割合の( )内は、間接所有割合で内数であります。
なお、重要な非支配持分を有する子会社はありません。
37.コミットメント及び偶発債務
当社グループの資産の取得に係るコミットメントは、次のとおりであります。
(注)主な内容は、甲府工場の再稼働および那珂工場などにおける生産能力向上に係る設備投資に関する未履行の契約によるものであります。
当社グループは、預託金提供の契約を締結しております。契約に基づく未実行残高は、次のとおりであります。
(注)上記貸出コミットメント契約においては貸出実行されずに終了するものもあるため、未実行残高は必ずしも全額が貸出実行されるものではありません。
なお、2024年2月27日に500,000千米ドルの貸出実行をしております。
当社グループは、長期的な運転資金の確保を目的として、主要取引銀行とコミットメントラインの設定に係る契約を締結しており、未実行残高は次のとおりであります。
当社グループは、当社グループの従業員に係る銀行借入などに関し、次のとおり債務保証を行っております。
(従業員の債務に対する保証)
当社グループは、福利厚生プログラムの一環として従業員の住宅資金借入に対し保証を行っております。当社グループは従業員が保証債務の対象となっている銀行借入を返済できない場合、当該債務を負担しなければなりません。これらの保証債務は従業員の住宅によって担保されております。
当社グループは、グローバルに事業活動を展開しており、様々な国や地域で訴訟、仲裁の申し立て、規制当局の調査その他の法的手続の当事者となることがあります。
当社グループが現在当事者となり、または今後当事者となる可能性のある法的手続について、その解決には相当の時間、費用などを要する可能性があり、結果を予測することは困難ですが、その結果が、当社グループの事業、業績、財政状態、キャッシュ・フロー、評判および信用に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、国際会計基準第37号「引当金、偶発債務及び偶発資産」の第92項に従い、当社グループの立場が不利になる可能性があるため、これらの法的手続に関する詳細な内容は開示しておりません。
当社グループは、合理的に見積りが可能な限りにおいて、以下に記載する事案のいくつかについて訴訟損失引当金を計上しております。また、以下に記載する事案以外にも他社との訴訟や損害賠償請求案件などの支払に備えた訴訟損失引当金を計上しております。
(特許侵害およびトレード・シークレットの不正使用等に関する民事訴訟)
当社米国子会社は、2008年11月、米国テキサス州東部地区連邦地方裁判所(以下「第一審裁判所」)において特許侵害およびトレード・シークレットの不正使用等に関連して、他社から民事訴訟を提起されました。2016年6月の第一審裁判所判決に対し、米国連邦巡回控訴裁判所(以下「第二審裁判所」)に控訴し、2018年7月、第二審裁判所は、第一審裁判所の判決による賠償額を取り消し、第一審裁判所での再審理を命じました。再審理を経て2022年3月、第一審裁判所は48.3百万米ドルの賠償を命ずる判決を出しております。その後、2022年8月に当社米国子会社は第二審裁判所に控訴しております。
(環境汚染問題に関する請求)
当社台湾子会社は、事業承継元の会社が過去に保有していた台湾の工場において生じた環境汚染問題に関連して、損害賠償請求を受けております。
2004年6月以降、当社台湾子会社は、事業承継元の会社が過去に保有していた台湾の工場において生じた環境汚染問題に関する汚染浄化費用ならびに当該工場に勤務していた元従業員等が提起した環境汚染問題に関する集団訴訟における賠償責任および訴訟費用について、他社から損害賠償請求権を留保している旨の通知を受けておりました。当社台湾子会社は当該集団訴訟の被告ではありませんが、2017年12月、上記請求について、当該請求者から当社台湾子会社に対して仲裁の申し立てがなされました。その後当該請求者の要求により仲裁手続は停止されております。
38.後発事象
(自己株式の消却)
当社は、2024年2月8日付の取締役会において、会社法第178条の規定に基づき、以下のとおり自己株式の消却に係る事項を決議しました。
当社では、保有する自己株式の総数の上限を、発行済株式総数の5%程度を目安とし、5%を超える自己株式については、原則消却することを方針とします。
(2) 自己株式の消却に関する取締役会決議内容
① 消却する株式の種類 普通株式
② 消却する株式の総数 87,839,138株(発行済株式総数に対する割合約4.5%)
③ 消却予定日 2024年2月29日
2024年2月29日に自己株式の消却を行い、消却後において、発行済株式総数は、1,870,614,885株、自己株式総数は、92,093,364株となりました。
(Transphorm, Inc.の買収)
当社は、2024年1月11日、GaN(窒化ガリウム)パワー半導体のグローバルリーダーであるTransphorm, Inc.(以下「Transphorm社」)と、当社が子会社を通じて現金によって買収する(以下「本件買収」)合併契約を締結しました。
高効率なパワーシステムは、カーボンニュートラルの実現に欠かせないものとして、需要が高まっています。こうした要求に応えるために、半導体業界では、SiC(炭化ケイ素)やGaNに代表されるワイドバンドギャップ素材の普及が広がっています。こうした先進的な素材は、従来のシリコン製デバイスに比べ、より幅広い電圧やスイッチング周波数への対応が可能です。当社は、こうした流れに対応するために、自社工場へのSiC生産ラインの新設、そのための10年間にわたるSiCウェハ供給契約の締結を発表しています。
本件買収により、当社はパワー半導体に用いられる重要な次世代素材であるGaNに対して、Transphorm社のGaN技術を自社技術として獲得し、ワイドバンドギャップのポートフォリオを拡充します。GaNは、より高いスイッチング周波数、より低い電力損失、そしてより小さい形状を実現し、顧客のシステムコストを低減しながら、高効率化、小型化、軽量化できます。当社は、車載用規格に対応したTransphorm社のGaN技術を活かし、急速に拡大するGaNの市場機会に対して、EV向けX-in-1パワートレイン用途やコンピューティング、エネルギー、産業、民生向けのパワーソリューションの提供力を強化します。
① 名称 Transphorm, Inc.
② 所在地 米国カリフォルニア州ゴレタ
③ 事業内容 高電圧電力変換アプリケーション向けの高性能・高信頼性のGaN半導体の設計および製造
本件買収では、当社が子会社を通じてTransphorm社の発行済普通株式のすべてを、Transphorm社の2024年1月10日付の終値に約35%のプレミアムを付与し、1株当たり5.10米ドルで買収します。これは、直近12ヶ月平均の株価に対し約56%のプレミアム、直近6ヶ月平均の株価に対しては約78%のプレミアムに相当します。買収総額は、約339百万米ドル(1米ドル145円換算で約492億円)となります。
本件買収は、Transphorm社の株主の承認、必要な規制当局の承認、およびその他の一般的な取引完了条件を充足したうえで、2024年下半期中に完了する予定です。
(Altium Limitedの買収)
当社は、2024年2月15日、電子機器設計のグローバルリーダーであるAltium Limited(以下「Altium社」)と、当社がAltium社の発行済普通株式および発行予定普通株式のすべてを取得し完全子会社とすること(以下「本件Altium買収」)について合意しました。
当社は、パーパス“To Make Our Lives Easier”のもと、組み込み半導体ソリューションでのグローバルリーダーを企図し、組み込みプロセッサ(マイコン/SoC)、アナログ、パワー、コネクティビティと多岐に及ぶ製品ポートフォリオの拡充を進めてきました。さらに、より使いやすいユーザエクスペリエンス(UX)を実現し、クラウドベースの開発を可能とするためのデジタライゼーション戦略を推進しています。
Altium社は、世界初のPCB(プリント基板)設計ツールプロバイダーとして1985年に豪州で創業し、現在世界で最も使用されているPCBソフトウェアツールを擁する電子機器設計のグローバルリーダーとしての地位を確立しています。
本件Altium買収により、業界をリードする二社が一体となり、コンポーネント、サブシステム、システムレベル設計間のコラボレーションを可能にする、統合されたオープンな「電子機器設計・ライフサイクルマネジメントプラットフォーム(Electronics system design and lifecycle management platform)」を構築します。本件Altium買収は、電子機器設計者にシステムレベルでのユーザエクスペリエンス(使いやすさ)の向上とイノベーションをもたらすことができ、当社のデジタライゼーション戦略を推進するうえで、最初の重要な施策となります。
さらに、本件Altium買収により、当社の財務基盤は強化され、当社が推進するデジタライゼーション戦略が加速することで、大きな株主価値が創出されます。
① 名称 Altium Limited
② 所在地 米国カリフォルニア州サンディエゴ
③ 事業内容 PCB(プリント基板)設計などのソフトウェアツールの開発および販売
④ 資本金の額 127,699千米ドル(19,242百万円、1米ドル151円換算)
⑤ 設立年月日 1987年10月
Altium社は豪州証券取引所に上場しております。本件Altium買収にあたっては、豪州上場会社の株式を100%取得する方法の一つである豪州会社法に基づくScheme of Arrangement(以下「SOA」)の手続きにより、Altium社の発行済普通株式および発行予定普通株式のすべてを現金にて取得する予定であり、当社およびAltium社の取締役会における全会一致での決議を経て、Altium社との間で本件Altium買収に関する合意内容を定めるScheme Implementation Agreement(以下「SIA」)を締結しました。
本件Altium買収はSOAにより実施され、本件Altium買収に係る提案に対するAltium社の株主総会における承認(投票議決権ベースで75%以上かつ出席投票株主の頭数の過半数による承認)、豪州裁判所における承認および関連する各国において必要となる当局の承認取得等の条件を満たすことにより、当社(または、SIAの規定に従い当社完全子会社を用いることとなった場合は当該完全子会社)は、Altium社の全株式を取得することができます。
本件Altium買収においては、Altium社株式を1株当たり68.50豪ドル(総額約91億豪ドル、1豪ドル97円換算で約8,879億円)で取得する予定です。買収資金については主要取引銀行から新たに調達する予定の借入金および手許現金で充当することを想定しています。
また、本件Altium買収による取得株式数、取得価額および取得前後の所有株式の状況は以下のとおりであります。
① 異動前の所有株式数 0株 (所有割合:0.0%)
② 取得株式数 133,279,432株 (注) (発行済株式数に対する割合:100.0%)
③ 取得対価 約91億豪ドル (1豪ドル97円換算で約8,879億円)
④ 異動後の所有株式数 133,279,432株 (注) (発行済株式数に対する割合:100.0%)
(注) 2024年2月15日現在の完全希薄化ベースの株式数を基準としております(本件Altium買収に伴う株式関連報酬の精算による希薄化等を反映)。小数点以下については四捨五入。
本件Altium買収は、Altium社株主、豪州裁判所および必要な規制当局の承認に加え、その他一般的な取引条件の充足を経たうえで、2024年下半期中に完了する予定です。