種類 |
発行数 |
内容 |
普通株式 |
189,070株 |
完全議決権株式であり、権利内容に何ら限定のない当社における標準となる株式であります。なお、単元株式数は100株であります。 |
(注)1.本有価証券届出書の対象とする当社普通株式の発行は、2024年5月13日付の代表執行役決定に基づくものです。
2.募集の目的及び理由
当社では、2018年3月期に取締役(社外取締役を除く)及び執行役員に対する株式報酬として業績連動型株式報酬(PSU)制度(以下「PSU制度」といいます。)を導入しました。2019年6月の指名委員会等設置会社への移行後も、執行役及び執行役員に対する株式報酬としてPSU制度を継続するとともに、取締役(社外取締役を含む)及び執行役に対し「企業価値の最大化を図り様々なステークホルダーの期待に応える」という意識を強く持たせ、その責務に相応しい処遇とすることを基本方針とし報酬制度の見直しを行ってまいりましたが、その一環として2021年3月期より取締役(社外取締役を含む)及び執行役に対する株式報酬として事後交付型譲渡制限付株式報酬(RSU)制度(以下「RSU制度」といいます。)を導入しました。また、同様の基本方針のもと、執行役員に対しては2022年3月期よりPSU制度に加えRSU制度を、当社及び当社子会社の上級管理職である従業員(以下「当社グループの従業員」といいます。)に対しては2023年3月期よりRSU制度並びにPSU制度を導入しました。
RSU制度及びPSU制度に基づく自己株式の処分(以下「本自己株式処分」といいます。)は、割当予定先である執行役員及び当社グループの従業員(以下「割当対象者」といいます。)に対する株式報酬として行うものです。また取締役及び執行役の内、株式報酬付与時に執行役員または当社グループの従業員であった者も、割当対象者とします。
RSU制度及びPSU制度の概要等につきましては、以下のとおりです。
[RSU制度の概要等]
① RSU制度の概要
権利算定期間において当社グループに在籍することを条件として、当社が定める数の当社普通株式を取得する権利を付与した上で、予め設定した時期に、予め設定した数の当社普通株式を支給する制度です。
本自己株式処分の対象となる2022年3月期に付与したRSU(以下「FY2022-RSU」といいます。)は権利算定期間を3年とし、権利算定期間の開始時点で取得の権利を有する株数を決定し3年経過後にその数の株式を支給します。
また同じく対象となる2023年3月期に付与したRSU(以下「FY2023-RSU」といいます。)及び2024年3月期に付与したRSU(以下「FY2024-RSU」といいます。)は権利算定期間を3年とし、権利算定期間の開始時点で取得の権利を有する株数を決定し1年を経過するごとにその数の3分の1の株式を支給します。
権利算定期間内に割当対象者が、代表執行役が認める正当な事由(任期満了、死亡、病気等による退任及び定年退職、死亡、病気等による退職を含む)により退任または退職した場合には、退任月または退職月を含む在任月数で取得の権利を有する株数を按分し、相当する株数を代表執行役の確認を経て支給します。
以上に基づき、非業務執行取締役1名、執行役4名、執行役員5名及び退任執行役員4名に対しFY2022-RSUに係る株式を、非業務執行取締役1名、執行役5名、執行役員6名、退任執行役員4名、当社グループの従業員37名及び退職従業員1名に対しFY2023-RSUに係る株式を、非業務執行取締役1名、執行役2名、執行役員6名、退任執行役員4名及び当社グループの従業員48名に対しFY2024-RSUに係る株式を支給することを決定しました。
② 権利喪失事由
割当対象者が権利算定期間中に自己都合で退任または退職する場合、禁固以上の刑に処せられた場合、破産手続又は民事再生手続開始等の申立てを受けた場合など一定の事由に該当した場合は、その該当時点をもって、当該割当対象者がその時点で保有する株式取得の権利の全部を当社は無償で取得します。
③ Transformational FY22-RSU
2019年3月期を評価対象期間の開始とし2021年3月を評価最終年度とするPSU(以下「18PSU」といいます。)の支給率は0%であったものの、報酬委員会は、新型コロナウイルス感染症の拡大により事業環境が大きく影響を受ける中で、18PSU支給対象者である執行役は2022年3月期以降につながる成果を創出していると判断しました。これを踏まえ、企業価値の最大化、株主価値の向上に引き続き邁進するとともに株主との利害の共有を強化するために有効な報酬を執行役に対して支給することが必要と考え、「Transformational FY22-RSU」の付与を2021年4月27日開催の報酬委員会にて決定しました。
Transformational FY22-RSUは、18PSU支給対象者である執行役のうち、2022年3月期も引き続き任に当たる者を対象として、付与日を2021年4月1日とし、権利確定は3年後の2024年3月31日または退任から6か月経過後とするRSUを付与するものです。
また執行役員に対しても同様の内容で、2022年3月期も引き続き任に当たる者を対象として、付与日を2021年4月1日、権利確定を2024年3月31日または退任時とするRSUの付与を代表執行役が決定していましたので、権利確定に伴い本自己株式処分の対象とします。
以上に基づき、非業務執行取締役1名、執行役1名、執行役員2名及び退任執行役員4名に対しTransformational FY22-RSUに係る株式を支給することを決定しました。
[PSU制度の概要等]
① PSU制度の概要
3年間の業績評価期間において、予め基準となる株数を定めた上で、予め定めた業績指標の達成度に応じて一定の範囲で調整した数の当社普通株式を支給する制度です。
本自己株式処分の対象となる2022年3月期から2024年3月期を業績評価期間とするPSU(以下「FY2022-PSU」といいます。)は、営業利益率、相対TSR及びESGを業績評価指標としており、業績評価期間終了後に、代表執行役が各指標に照らして各割当対象者の業績を評価の上支給率係数を決定し、その係数を基準株数に乗じ支給株式の数を決定しました。
また、業績評価期間内に割当対象者が、任期満了を含む代表執行役が認める正当な事由により退任した場合には、業績評価期間終了後に算出された支給株数を、退任月を含む在任月数で按分し、相当する株数を代表執行役の確認を経て支給します。
以上に基づき、非業務執行取締役1名、執行役4名、執行役員5名、退任執行役員6名に対しFY2022-PSUに係る株式を支給することを決定しました。
② 権利喪失事由
割当対象者が業績評価期間内に自己都合で退任する場合、禁固以上の刑に処せられた場合、破産手続又は民事再生手続開始等の申立てを受けた場合など一定の事由に該当した場合は、その該当時点をもって、付与対象者から外れるものとします。
3.本有価証券届出書の対象とした募集は、会社法(平成17年法律第86号)第199条第1項の規定に基づいて、当社の保有する当社普通株式の自己株式処分により行われるものであり、金融商品取引法第二条に規定する定義に関する内閣府令第9条第1号に定める売付けの申込み又は買付けの申込みの勧誘となります。
4.振替機関の名称及び住所
名称:株式会社証券保管振替機構
住所:東京都中央区日本橋兜町7番1号
区分 |
発行数 |
発行価額の総額(円) |
資本組入額の総額(円) |
株主割当 |
- |
- |
- |
その他の者に対する割当 |
189,070株 |
432,781,230 |
- |
一般募集 |
- |
- |
- |
計(総発行株式) |
189,070株 |
432,781,230 |
- |
(注)1.「第1〔募集要項〕 1〔新規発行株式〕 (注)2.募集の目的及び理由」に記載のRSU制度及びPSU制度に基づく割当対象者に割り当てる方法によります。
2.発行価額の総額は、本自己株式処分に係る会社法上の払込金額の総額であります。なお、本有価証券届出書の対象とした募集は、自己株式処分により行われるものであるため、払込金額は資本組入れされません。
3.現物出資の目的とする財産は、RSU制度及びPSU制度に基づき、事後交付型株式報酬及び業績連動型株式報酬として支給された金銭報酬債権であり、その内容は以下のとおりです。
|
割当株数 |
払込金額(円) |
内容 |
非業務執行取締役1名、執行役4名及び執行役員(退任者を含む)9名 |
39,222株 |
89,779,158 |
2022年3月期に付与したRSU |
非業務執行取締役1名、執行役1名及び執行役員(退任者を含む)6名 |
17,004株 |
38,922,156 |
2022年3月期に付与したTransformational FY22-RSU |
非業務執行取締役1名、執行役5名執行役員(退任者を含む)10名及び当社グループの従業員38名(退職者を含む) |
36,244株 |
82,962,516 |
2023年3月期に付与したRSU |
非業務執行取締役1名、執行役2名執行役員(退任者を含む)10名及び当社グループの従業員48名 |
42,021株 |
96,186,069 |
2024年3月期に付与したRSU |
非業務執行取締役1名、執行役4名及び執行役員(退任者を含む)11名 |
54,579株 |
124,931,331 |
2022年3月期に付与したPSU |
発行価格 (円) |
資本組入額 (円) |
申込株数単位 |
申込期間 |
申込証拠金 (円) |
払込期日 |
2,289 |
- |
1株 |
2024年5月29日~ 2024年6月9日 |
- |
2024年6月10日 |
(注)1.「第1〔募集要項〕 1〔新規発行株式〕 (注)2.募集の目的及び理由」に記載のRSU制度及びPSU制度に基づき、割当対象者に割り当てる方法によるものとし、一般募集は行いません。
2.発行価格は、本自己株式処分に係る会社法上の払込金額であり、恣意性を排除した価格とするため、2024年5月10日(代表執行役決定日の前営業日)の東京証券取引所における当社の普通株式の終値である2,289円としております。なお、本有価証券届出書の対象とした募集は、自己株式処分により行われるものであるため、払込金額は資本組入れされません。
3.本自己株式処分は株式報酬として付与された金銭報酬債権を出資財産とする現物出資により行われるため、金銭による払込みはありません。
4.割当対象者から申込みがない場合には、当該株式に係る割当てを受ける権利は消滅します。
店名 |
所在地 |
オリンパス株式会社 人事 |
東京都八王子市石川町2951番地 |
店名 |
所在地 |
- |
- |
(注) RSU制度及びPSU制度として支給された金銭報酬債権を出資財産とする現物出資の方法によるため、該当事項はありません。
該当事項はありません。
払込金額の総額(円) |
発行諸費用の概算額(円) |
差引手取概算額(円) |
- |
88,000 |
- |
(注)1.金銭以外の財産の現物出資の方法によるため、金銭による払込みはありません。
2.発行諸費用の概算額には、消費税等は含まれておりません。
3.発行諸費用の概算額の内訳は、有価証券届出書作成費用等であります。
本自己株式処分は、RSU制度及びPSU制度に基づき、株式報酬として付与された金銭報酬債権を出資財産とする現物出資により行われるものであり、金銭による払込みはありません。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
会社の概況及び事業の概況等金融商品取引法第5条第1項第2号に掲げる事項については、以下に掲げる書類を参照すること。
事業年度 第155期(2023年3月期)(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) 2023年6月20日関東財務局長に提出
事業年度 第156期(2024年3月期)第1四半期(自 2023年4月1日 至 2023年6月30日) 2023年8月9日関東財務局長に提出
事業年度 第156期(2024年3月期)第2四半期(自 2023年7月1日 至 2023年9月30日) 2023年11月9日関東財務局長に提出
事業年度 第156期(2024年3月期)第3四半期(自 2023年10月1日 至 2023年12月31日) 2024年2月14日関東財務局長に提出
① 1の有価証券報告書提出後、本有価証券届出書提出日(2024年5月13日)までに、金融商品取引法第24条の5第4項及び企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第9号の2の規定に基づく臨時報告書を2023年6月28日に関東財務局長に提出
訂正報告書(上記1の第155期有価証券報告書の訂正報告書)を2023年9月19日関東財務局長に提出
参照書類としての有価証券報告書及び四半期報告書(以下「有価証券報告書等」といいます。)に記載された「事業等のリスク」について、当該有価証券報告書等の提出日以後、本有価証券届出書提出日(2024年5月13日)までの間において、変更すべき事項が生じています。以下の内容は、当該変更を反映して「事業等のリスク」を一括して記載しています。
また、当該有価証券報告書等に記載されている将来に関する事項は、下記に記載された事項を除き、本有価証券届出書提出日(2024年5月13日)現在においてもその判断に変更はなく、新たに記載する将来に関する事項もありません。
[事業等のリスク]
当社グループの業績は、今後起こりうる様々なリスク(不確実性)によって大きな影響を受ける可能性があります。当社グループは、経営理念や企業戦略などの事業目的達成を支援するため、グローバルなエンタープライズ・リスクマネジメント手法を導入しており、リスクマネジメントは、「リスクマネジメント及び危機対応方針」及び関連規程に基づいています。また、当社グループは、「機会」と「脅威」の両面からエンタープライズ・リスクマネジメントに取り組んでいます。機会は、当社グループの持続的な成長と価値創造につながる積極的かつ適切なリスクテイクを通じて捉えられる一方、脅威は、事業目標の確実な達成とコンプライアンス違反の防止のために特定され、優先順位をつけて対処されます。
2023年4月より当社グループは、ガバナンス・リスク・コンプライアンス(以下、GRC)に関連するリスク&コントロール、コンプライアンス、プライバシー、情報セキュリティの4つの機能を統合し、グローバルGRC組織として新たに立ち上げました。加えて、既存のエンタープライズ・リスクマネジメント・ポートフォリオを先進的な手法に移行し、当社の全ての機能で、この強化された方法にしたがってグローバルなリスクポートフォリオを検証、改良するためのリスク評価を実施しました。
特に注力したエンタープライズ・リスクマネジメントの活動は以下の通りです。
- グローバルなリスクコントロール機能の構築
- グローバルな手法とアプローチの構築
- グローバルに調和したプロセスの構築
これらの活動に注力することで、合理的なエンタープライズ・リスクマネジメントが実行され、事業計画及び財務計画にリスクを反映することを企図しています。また、十分な情報に基づいた経営の意思決定をサポートすることで、当社の事業目標と企業戦略の達成の確度を高めることを目指しています。
エンタープライズ・リスクマネジメントの組織体制
当社グループは、グローバルおよび地域レベルの新しい委員会組織として、グローバル及び地域リスクアシュアランス・コンプライアンス委員会(以下、G-RACC、R-RACC、総称してRACCs)を設立しました。RACCsは、リスクに対処し、適用される方針、法律、規制を遵守するための枠組みを確立、実施、管理することを目的としています。また、勧告、指導、重要リスクについては、グループ経営執行会議(以下、GEC)、取締役会、 監査委員会に定期的に報告され、継続的なモニタリングが行われます。
また、リスクオーナーとして、グローバル事業・機能責任者、地域事業・機能責任者を任命しました。また、各事業・機能でリスク管理を担うリスクコーディネーターを任命しました。リスクオーナーは、自身が管轄する領域において対策(例:組織体制、プロセス準備、重点対策など)を講じる責任を負います。
<エンタープライズ・リスクマネジメント体制>
エンタープライズ・リスクマネジメントの手法とアプローチ
当社グループでは、5つのリスクカテゴリー(1.戦略(外部環境変化を含む)、2.オペレーション&製品、3.ファイナンス、4.ガバナンス、5.IT&デジタル)、及びそれらを具体化したサブカテゴリーによるエンタープライズ・リスクマネジメント手法とアプローチを用いています。
<エンタープライズ・リスクマネジメント リスクカテゴリー>
また、当社グループでは、事業目的の達成や企業戦略に影響を及ぼす可能性のある個々のリスクを評価し、明示するために、3つのリスク評価基準(1.エクスポージャー、2. 脆弱性、3.速度)を用いています。
- エクスポージャーは、発生可能性と発生時の影響によって決定します。可能性とは、リスクが顕在化する確率を示し、影響度とは、リスクが顕在化した場合の結果の重大性を示します。可能性と影響度のレベルは、定量的(財務的数値に基づく)または定性的基準として評価します。
- 脆弱性(Vulnerability)とは、リスクが発生した場合に、組織がそのリスクを管理する準備がどの程度できているかを示します。
- 速度 (Velocity)とは、リスク発生後、当社がどの程度の速さでリスクの影響を受けるかを示します。
これらの基準に基づき、当社グループは積極的にリスクを特定、軽減し、監視しており、対応策を定期的に見直し、有効性を検証しています。また、リスクを可視化して管理するため、エクスポージャー、脆弱性、速度を組合わせてリスク評価結果を4つの象限に分け、当該リスクにどのように対処するべきかについて示す「3Dリスクマトリックス」と呼ばれる手法を用いています。さらに、最新のITツールを用いたデータベース及びダッシュボードを導入することにより、十分な情報に基づくリスクベースの意思決定を行うための支援も行っています。
<エンタープライズ・リスクマネジメント評価手法>
エンタープライズ・リスクマネジメント・プロセス
当社グループのエンタープライズ・リスクマネジメント・プロセスの主な構成要素は以下の通りです。
- リスクアセスメント(リスクの特定、分析、評価)
- 対応策(リスクの低減、リスクマネジメント活動の実行及び調整)
- リスクモニタリング(リスクモニタリングプロセスの設計、実施、リスクトリートメント活動の有効性の評価)
- リスク報告(リスク及びその対応策を集約・評価し、関連するステークホルダーに定期的に報告する。リスク報告は、リスクマネジメントの年次計画の一部として立案・社内へ展開される)
エンタープライズ・リスクマネジメント・プロセスでは、スリーラインモデルの考え方に沿って、リスクコントロール機能と各事業・機能が緊密に連携を行っています。また、リスクコントロール機能は、エンタープライズ・リスクマネジメント手法及び運用ガイダンスを提供、維持、開発する責任を負っており、新しい組織体制・手法の社内への浸透を進めています。
<エンタープライズ・リスクマネジメント・プロセス>
マクロ経済ビジネス環境
ウクライナにおける戦争と中東情勢の影響により、世界のマクロ経済が大きな影響を受けており、エネルギー価格は上昇し、世界レベルで高止まりしています。さらに、インフレの進展は、引き続きサプライチェーンの混乱の影響も受けています。顕著な技能労働者の不足もあり、経済と消費の全体的な減速につながっていましたが、供給サイドの問題が解消され、金融引き締めが続く中、ほとんどの地域でインフレ率は想定よりも早く低下しつつあります。
また、地政学的な不安定性は経済成長にとって最大の脅威の1つであり、他にもサイバー攻撃、大きな災害を伴う異常気象、原材料や部品の調達から製品供給までの不確実性などに起因し、潜在的な影響の大きいサプライチェーン・リスクは近年増加しています。貿易摩擦が激化し、原材料の安定的な調達が難しくなることで、原材料価格の上昇や製品の供給不足が発生しており、サプライヤー管理の強化に集中的に取り組む必要があります。
さらに、世界的に環境問題への意識が著しく高まっており、あらゆるステークホルダーからの要請が増加しています。
技術面では、あらゆる領域でデジタルトランスフォーメーションが加速しています。それに伴い、開発サイクルの短縮が求められる傾向にあり、いわゆる技術革新領域(AI/ロボット/ICT)の実用化も進んでいます。
業界特有のビジネス環境
医療分野では、医療費の抑制や医療サービスの安全性・有効性の向上による患者のQOL(Quality of Life:生活の質)の向上を目指し、国内外で医療制度改革が継続的に実施されています。その結果、米国食品医薬品局(以下、FDA)や欧州医療機器規制(以下、EU-MDR)をはじめ、各国の医療機器申請・登録に対する法規制要件は年々厳格になっています。また、感染予防や再処理(洗浄・消毒・滅菌)に関する要件も複雑化しています。
各国の医療政策の変化、医療費の削減、医療関連法規の強化、感染予防や再処理に対する要求のさらなる高まりなどにより、技術開発のハードルや複雑さは増しています。それに伴い、新技術や代替技術だけでなく、IT技術大手をはじめとする異業種からの医療業界への参入もあり、事業環境は厳しさを増しています。
さらに、先進国を中心に社会の高齢化が進むにつれ、医療に対するニーズは確実に高まっています。高騰する医療費を適正化し、効果的で質の高い医療サービスを提供するため、各国で医療制度改革が進められています。また、このような状況下、当社グループが関わる事業領域には多くの競合他社が存在し、技術革新も進んでおり、特に治療機器事業における競争は、一層激化しています。
中国市場では、米中貿易摩擦が激化し、国産優遇政策や集中購買の推進など、不透明感が強まっていますが、当社グループは、中国市場を持続的な成長が期待できる市場であると認識しています。その他の新興国市場においても、経済成長とともに医療ニーズが高まっており、さらなる成長が期待出来ると考えています。
また、当社グループが事業を展開する業界では、 グローバルで人材獲得競争が激化しており、労働市場の変化で退職率の高まりもみられ、人材の採用・育成・確保がますます重要になっています。
当社グループのリスク状況(2024年3月期)
2024年3月期に実施したグローバルリスクアセスメントに基づき、リスクを特定・評価しました。
3Dリスクマトリックスにおいて"Improve"の領域に特定されたリスクについては、対応策の優先順位を高く設定しています。"Test"の領域に特定されたリスクについては、既にコントロールが実施されていますが、同時に、定期的なモニタリングにより、既存のコントロールが適切にかつ効果的に機能しているか、確認しています。"Monitor"の領域に特定されたリスクは、エクスポージャーが許容可能なレベルであることを継続的に確認し、必要に応じて追加の対応策を設定します。
リスクカテゴリー:戦略(外部環境変化を含む) |
リスクタイプ:機会と脅威 |
リスクシナリオ |
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このリスクカテゴリーは、「計画・資源配分」、「事業開発・投資」、「コミュニケーション・ステークホルダーマネジメント」、「マーケットダイナミクス」、及び「不可抗力」のサブカテゴリーで構成されています。最も高いリスクとして評価されたのは、地政学の脅威、サプライチェーンの中断、不安定な市場における事業展開であり、このカテゴリーには市場・競合状況に関するリスクも含まれています。以下はその一例です: •価格、技術、品質等において、競争力を有する製品を適時に投入する必要がありますが、その成否によっては収益確保に影響を及ぼす可能性があります。 •M&A先の選定には、機会と脅威の両方があり、リスクに基づいた慎重な選定、契約前のデューデリジェンス、デューデリジェンス結果をフォローアップする統合プロセス、契約後のデューデリジェンスが必要ですが、その成否によっては当社グループの事業遂行に影響が生じるほか、のれんの減損や、その他これに伴う費用の発生など、業績および財政状態に影響を与える可能性があります。 |
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対応策 |
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当社グループでは、上記のリスクに対応するために以下の対応策を実施しています。 •市場における代替技術・製品の出現などを含めた競争環境を注視し、マーケティングや知的財産および関連部署との協力の下で、採用すべき新技術の選定および開発の迅速化に努めています。社内での開発のみならず、M&Aやアライアンス等を通じた社外の技術の取り込みも積極的に検討するとともに、市場ニーズに即した高付加価値の新製品・技術の開発にも取り組んでいます。 •サプライチェーンの脆弱性を低減するための、サプライチェーンのビジビリティを高める取り組み。 •グローバルな事業継続マネジメントシステムの強化。 •合併・買収プロセスの見直しと強化。 |
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経営戦略・方針との関連:成長のためのイノベーション、生産性の向上 |
リスクカテゴリー:オペレーション&製品 |
リスクタイプ:機会と脅威 |
リスクシナリオ |
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このカテゴリーは、「研究開発」、「製造・修理」、「エンド・ツー・エンド・サプライチェーン」、「販売・マーケティング・サービス」、「品質」、「資産」、及び「人的資源」のサブカテゴリーで構成されています。最も重大なリスクは、製品品質、エンド・ツー・エンドのサプライチェーン、マーケティング&セールスに存在します。これらは、製品のライフサイクルだけでなく、製品の安定的な供給に関するリスクも含まれています。以下はその一例です: •2023年3月期にFDAより受領した警告書のフォローアップ活動に関連し、大規模な品質改善プログラムと改善活動の推進により、製造、品質、サプライチェーンマネジメント、及び研究開発の非常に多くのリソースが用いられ、通常行うべき業務とリソースのバランスを保つ必要があり、その成否によっては当社グループの事業遂行に影響を及ぼす可能性があります。 •地政学的危機、自然災害、その他サプライチェーン上の課題が増加する中で、サプライチェーンの外的な混乱に対する当社の回復力を更に向上させる必要性を認識しています。自然災害リスクが顕在化した例としては、令和6年能登半島地震があり、当社の製造機能にとって重要なサプライヤー及び当該サプライヤーからの短期・中期的な原材料供給に影響を与えています。 |
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対応策 |
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当社グループは、患者様の安全に最も重点を置き、顧客に高品質な製品・サービスを提供するため、エンド・ツー・エンド・サプライチェーンの安定と品質プロセスの改善に注力しています。 主な活動は以下の通りです: •品質マネジメントシステムと品質プロセスをグローバルかつ持続的に強化し、調和させるために、グローバルな複数年にわたる品質プログラムを実施。 •サプライチェーンの可視性を向上させ、特定のサプライヤーに依存しない体制を構築するためのプロジェクトを実施。 •グローバルな事業継続マネジメントシステムの強化。 |
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経営戦略・方針との関連:患者様の安全と持続可能性、生産性の向上 |
リスクカテゴリー:ファイナンス |
リスクタイプ:機会と脅威 |
リスクシナリオ |
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このカテゴリーは、「資本構造」、「会計・報告」、「流動性・信用」、「収益サイクル」、及び「税務」のサブカテゴリーで構成されています。 当社グループは、世界のさまざまなマーケットにおいて製品およびサービスを提供しており、為替についてのリスクを認識しています。為替が円高に推移した場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼし、一方、円安は好影響を与える可能性があります。外貨建債権・債務について可能なものについてはヘッジを行っていますが、急激な為替変動が生じた場合、あるいはヘッジの対象となる債権・債務の発生が予定と大きく異なった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 資金調達のリスクについて、当社グループは、金融機関等からの借入、社債発行による資金調達を行っていますが、金融市場の環境変化によっては、当社グループの資金調達に影響が生じる可能性があります。また、当社グループの業績悪化等により資金調達コストが上昇した場合、当社グループの資金調達に悪影響が生じ、一方、業績良化等により資金調達コストが低下した場合、好影響を与える可能性があります。 さらに、世界各国の租税法令またはその解釈や適用指針の変更等により、追加の税負担が生じる可能性があります。繰延税金資産については、経営状況の変化や組織再編の実施等により、回収可能性の評価を見直した場合、繰延税金資産に対する評価性引当金の積み増しが必要となる可能性があります。そのような事態が生じた場合、当社グループの業績および財政状態に影響が生じる可能性があります。 この他にも、当社グループでは、顧客や取引先等の信用リスクなども認識しています。 |
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対応策 |
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当社グループでは、為替変動リスクを軽減することを目的として、先物為替予約や通貨スワップ等のデリバティブ取引を利用しています。また、グローバル・キャッシュ・プーリングの導入により、グループ資金の効率化などを通じて、外貨建債権・債務の縮小を図っています。 資金調達に関するリスクに対しては、コマーシャル・ペーパーや公募社債の発行等、資金調達手段の多様化による調達コストの低減に取り組んでおり、長期の有利子負債は基本的に固定金利を採用することで、金利上昇の影響を限定的にしています。また、グローバル・キャッシュ・プーリングの導入により、グループ資金の効率化や財務管理の強化を図っています。 世界各国の租税法令またはその解釈や適用指針の変更等に関しては、法令の改正や規則の変更に対するモニタリングを行いながら、社内の取引ルールを適宜見直していきます。繰延税金資産については、グループ各社の収益性をモニタリングしながら、それぞれの会社が適切な収益を確保出来る様に業績を管理することに加えて、グループ会社間の組織再編においても再編後の収益性の変化に留意することでリスクの最小化を図ります。 また、信用リスクについては、与信先の財務状態等をモニタリングの上、必要に応じた対応を行います。 |
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経営戦略・方針との関連性:生産性の向上 |
リスクカテゴリー:ガバナンス |
リスクタイプ:機会と脅威 |
リスクシナリオ |
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このカテゴリーは、「カルチャー」、「規制、法務」、「コンプライアンス」、「データプライバシー」、及び「コーポレートガバナンス」のサブカテゴリーで構成されています。以下はその一例です: •契約管理プロセスと契約管理データベースの統合が不十分なことで、透明性の欠如を引き起こし、契約違反やクレーム、債務を誘発する可能性があります。 •多くの医療機器規制や法律、複雑な貿易規制に直面しており、書類の不備や違反が直ちに製品供給に影響を及ぼす可能性があります。 •2023年3月期にFDAから受領した警告書で指摘された事項に対して実施中の是正活動は、規制を遵守するために完全に実行する必要がありますが、今後の経過によっては、FDAによりさらなる規制措置が取られる可能性があります。 •グローバルに一貫した事業継続マネジメントシステムの統合に遅れが生じる可能性があります。 |
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対応策 |
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これらのリスクに対して実施・継続している主な活動は、以下の通りです。 •契約管理プロセスの評価および強化。 •規制要件に対応する改善プロジェクト及び全社の品質向上プログラムを統合し、総合的な品質・規制対応を強化。 •当社と規制当局の間における、計画と期待の整合性を確保するための緊密なコミュニケーションの確立。 •グローバルに一貫した事業継続マネジメントシステムを構築し実行するためのプロジェクトをキックオフし、既存の事業継続措置との統合を目指す。 |
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経営戦略や方針との関連:患者様の安全と持続可能性 |
リスクカテゴリー:IT&デジタル |
リスクタイプ:機会と脅威 |
リスクシナリオ |
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このカテゴリーは、「ITセキュリティ・サイバー」、「ITアプリケーション」、「ITガバナンス」、「ITインフラ・サービス」及び「デジタル」のサブカテゴリーで構成されています。当社においてはサイバーセキュリティ侵害のリスクを重く評価しており、常に注意と対応が必要だと考えています。 また、患者様への治療の質と効率を向上させるために、当社製品にデジタル技術を活用することが増えており、サイバーセキュリティの侵害に対する対策は、製品開発からバリューチェーン全体に及んでいます。 |
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対応策 |
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サイバーセキュリティ侵害を回避し、適切に管理するための最も重要な対応策は以下のとおりです。 •ITおよび情報セキュリティに関する取り組みの維持・管理のため、ITおよび情報セキュリティ機能を強化。全社的なセキュリティ態勢強化のため、グローバルプロジェクトを実施・継続 •エンタープライズ・リスクマネジメントシステムに直結する、ITリスクマネジメントフレームワークを導入 •サードパーティのプロバイダーとのセキュリティおよび連携要件を見直し、強化 •サイバーセキュリティ侵害が顕在化した際に顧客や患者様への影響を最小限に留めるため、事業継続管理を全社で整合させるプロジェクトのもと、事業継続計画と災害復旧計画を強化 •サイバーセキュリティ侵害から製品とデジタルサービスを守るため、最新のサイバーセキュリティ要件を考慮した技術やプロセスなどの対策を講じるための全社的な取り組みを開始 •サイバーセキュリティの脅威や日常の業務で取ることのできる回避策について、従業員教育を定期的に実施 |
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経営戦略・方針との関連:患者様の安全と持続可能性、生産性の向上 |
リスク評価手法の変更およびリスクポートフォリオの全面的な見直しにより、リスクの内容および順位を変更しました。この結果、以下のリスクは前述のトップリスクよりも評価が低くなったため、上記に記載していません。なお、これらのリスクはすべて、当社グループのリスクポートフォリオに含まれており、現在も対応・モニタリングを行っています。
•訴訟に関するリスク
•人材に関するリスク
•気候および環境を含むサステナビリティに関するリスク
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株式会社東京証券取引所
(東京都中央区日本橋兜町2番1号)
該当事項はありません。
該当事項はありません。